2014年3月議会一般質問 子どもの貧困対策・学童保育・介護保険

2014年3月議会(3/3~3/19)にあたり、3月11日の本会議で一般質問を行いました。


日本共産党水戸市議団の江尻加那です。東日本大震災と福島原発事故により、かけがえのない命と暮らしが奪われました。多くの犠牲となられた方々に思いをはせ、哀悼の意を捧げます。それでは、通告にしたがい一般質問を行います。


1.子どもの貧困対策について


はじめに、子どもの貧困対策について水戸市の考えを伺います。
日本政府が初めて子どもの相対的貧困率を大々的に公表したのは、2009年10月です。その時の数値が15.7%。6人に1人の子どもが貧困状態にあるとの数値は衝撃をもって受け止められました。しかし、現在では30人の学級に5人が経済的に大変な家庭にあるというのは、水戸市でも実感できる数字となっています。さらに、ひとり親家庭の貧困率は5割を超えています。
子どもの貧困のみならず、高齢者の貧困、女性の貧困、労働者のワーキングプアなど、広がり続ける貧困を安倍政権はさらに拡大させています。年金や生活保護、児童扶養手当の引き下げ、労働法制の規制緩和で非正規労働を拡大しています。しかし、子どもは将来を担う社会の要であり、貧困の連鎖を食い止めなければならないとう理念は党派を超えて広がり、昨年2013年6月、通常国会で「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が全会一致で可決し、今年1月17日に施行されました。法律の基本理念には「子ども等に対する教育の支援、生活の支援、就労の支援、経済的支援等の施策を、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのない社会を実現すること」を掲げ、この基本理念にそって、地方公共団体は子どもの貧困対策を総合的に策定、実施しなければならないと義務付けています。貧困対策実施に向けての市の認識を伺います。
(1)就学援助について
水戸市にどれだけ貧困状態の子どもがいるのか、現在は把握されていません。しかし行政データとして、例えば水戸市で保育所に通う子どものうち、保育料の所得段階が低い1と2の合計は約17%で、国の貧困率15.7%とほぼ合致します。一方、小中学校の就学援助の受給率はわずか8%です。学校に納める給食費や学用品代、修学旅行費などへの就学援助は全国的に受給率が激増し、2011年度には15.6%と貧困率と合致します。水戸市で8%というのは、本来必要な子どもに援助が実施されていないと言わざるを得ません。改善が必要です。水戸市では就学援助の所得基準が生活保護基準の1.2倍未満です。これが低すぎると日本共産党市議団は当初から1.5倍まで広げるよう繰り返し求めてきました。さらに、政府の生活保護費引き下げにより、ますます就学援助の所得制限が厳しくなると指摘してきました。市は来年度1.4倍に改善するとしていますが、これによって全国並みの就学援助受給が保障されるのか、1.4倍とした根拠を伺います。
そもそも、就学援助の額は必要な費用をカバーできていません。文部科学省「子どもの学習費調査」によると、給食費や学用品代、制服、体操服、上履き、絵の具、習字、ピアニカ、リコーダー、PTA会費や部活動費、修学旅行など積み上げると、公立小学校で平均年間9万7千円、中学校で16万7千円かかります。とくに、中学校入学準備だけでも10万円程度かかると言われます。現在の就学援助入学準備金の22,900円では制服も買えません。現状をしっかりと調査把握していただき、実情に合わせた改善を求めます。

【答弁 教育次長】
江尻議員の一般質問の子どもの貧困対策についてのうち,就学援助についてお答えいたします。
子どもを安心して生み,健やかに育てる環境づくりをより一層進め,すべての子どもたちが教育を等しく受けることができるよう,就学援助制度の充実は重要であると認識しております。
小中学校での学校徴収金は,給食費,クラブ活動費や生徒会費等,教育活動を行うための必要最小限の経費となっております。この経費の負担が経済的な理由により困難な場合には,就学援助制度を活用していただいております。
就学援助制度について,広く周知するため,広報みとや市ホームページに掲載するほか,制度の案内書を作成し,入学説明会や保護者説明会の際に全ての保護者に配布し,その徹底を図っております。さらに,各学校が年度始めや随時行う家庭訪問の際にも,必要に応じ再度制度を伝え,就学援助を必要とする世帯が申請できるようにしております。
次に,本市の準要保護児童生徒の就学援助につきましては,これまで平成21年に策定した水戸市就学援助実施要項に基づき,認定に当たっては,収入基準を生活保護基準額の1.2倍未満としておりました。
しかしながら,国の制度の見直しにより生活扶助基準額が段階的に引下げられることに伴い,就学援助制度への影響が懸念されることから,現行の認定世帯の収入額や生活保護基準額との比較調査を行い,新たな制度設計に取り組んでまいりました。その結果,平成26年度からの就学援助事業につきましては,収入基準を1.4倍未満に緩和し,就学援助の充実を図ることとし,本議会に予算案として御提案したところでございます。
次に,就学援助費の額につきましては,経済的負担を軽減するため,その経費の一部を負担することを目的とし,国の「要保護児童生徒援助費補助金」に示されている単価を基本とし決定しております。具体的には,新入学時に通常支給される学用品費,給食費等に加え,新入学学用品費として,小学校で19,900円,中学校で22,900円を支給しております。この新入学学用品費等の支給額についても,国の制度を基本としており,他市の事例を参酌しても適切であると考えております。
今後とも社会情勢等を注視しながら,経済的理由により児童生徒の就学が困難にならないよう,就学援助制度の趣旨に基づき,適切な運用に努めてまいります。

(2)学習支援について
次に、学習支援について質問します。貧困をなくし、貧困の連鎖を断ち切るためには教育支援が欠かせません。経済的理由によって教育を受ける権利が奪われることがあってはなりません。日本共産党市議団が今議会に給付型奨学金制度の創設を国に求める意見書を提出したのも、この思いからです。
子どもの貧困問題に長くかかわり、内閣官房社会的包摂推進室のメンバーを務めた阿部彩氏は、「子どもの貧困-解決策を考える」という著書の中で、「大学進学のための給付型奨学金は間違いなく必要とされる施策の一つであるが、子どもの貧困対策として行うべきことは最低限必要な学力をすべての子どもに保障すること。落ちこぼされる子どもをなくすことだ」と力説しています。

阿部 彩 著『子どもの貧困II』

阿部 彩 著『子どもの貧困II』

しかし、今の教育行政はさらなる競争教育を進めています。水戸市第6次総合計画では、教育の目標指標として、県の学力診断テストで県平均より水戸市の小学校は+10点、中学校で+25点上回ることを掲げました。できる子をうんと伸ばして全体の平均点を引き上げるのでしょうか。私は、なかなか勉強がわからない、ついていけない子どもへの丁寧な援助で底上げしていく学校現場での取り組みにこそ光を当てるべきと考えます。テスト点数の目標数値化はやめるべきです。「朝食を食べない子どもほど平均点が低い」などと報告を繰り返すのではなく、なぜ朝食を食べる家庭環境にないのか、そこに貧困の問題がないのかという深い考察と対策が必要ではないでしょうか。教育長の見解を伺います。
また、市が始めようとする「放課後等の学力サポート事業」はどのような中身なのでしょうか。厚生労働省は2009年から、貧困家庭の子どもたちへの学習支援事業に補助を予算化しています。これを使って、埼玉県では地域の福祉施設を会場にした教員OBや教員志望の学生などによる子どもへの学習支援活動に取り組み、1人の子どもに1人の支援員という個別の信頼関係を築きながら学習を支援し、進学率のアップにつなげています。長野県松本市は独自に取り組みを始めています。水戸市でも茨城県と連携して学習支援に取り組むよう求め、見解を伺います。
どの子にも教育を保障するのは大変なことではありますが、希望をつなぐ取り組みが教育・福祉をこえて実現されることを願います。

【答弁 教育次長】
学習支援についてのご質問のうち,総合計画の目標指標及び放課後等における学力サポート事業についてお答えいたします。
はじめに,第6次総合計画において,学力診断のためのテストの平均点を目標指標としたことについてですが,学力とは,平成19年に改正された学校教育法によって,「基礎的・基本的な知識・技能」や「知識を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等」及び「主体的に学習に取り組む態度」という3つの要素からなることが初めて法律の中に規定されました。
そのため,学力診断のためのテストは,単に知識の定着を測るだけのものではなく,思考力・判断力・表現力等についても総合的に診断するものとなっております。
また,学力を向上させる基盤として,落ち着いた生活習慣の確立や豊かな心の醸成等,学校の教育活動全体を通した取組が重要であり,これらの取組を通して,一部の児童生徒のみならず,全ての児童生徒の学力向上を目指しております。
このようなことから,競争を助長するためではなく,日々の教育活動を充実させ,本市全体の教育力を向上させるための明確な指標の一つとして数値目標を掲げたものでございます。
また,放課後等における学力サポート事業につきましては,基礎的・基本的内容の定着や,家庭学習への意欲付けを行うため実施するものであり,来年度は,希望のあった学校のうち1箇所をモデル地区とし,地域の退職教員,教員を目指す大学生,保護者がボランティアとして関わりながら,学校と地域・保護者が一体となって,学習支援を実施してまいりたいと考えております。
さらに,来年度は,児童生徒の学力向上を図るため,市独自の非常勤講師を増員し,市内全小中学校に配置できるよう,予算を計上したところであり,今後とも,習熟度別学習等,一人一人に応じたきめ細かい学習指導の充実に努め,全ての児童生徒の学力向上を図ってまいります。

【答弁 保健福祉部長】
江尻議員の学習支援のご質問のうち,貧困家庭を対象とした学習支援事業についてお答えいたします。
生活困窮者が困窮状態から早期に脱却することを目的とした国の「生活困窮者自立促進支援モデル事業」を活用し,全国の17の自治体において,生活保護受給者世帯等の子どもを対象とした学習支援事業が実施されております。
県内では,茨城県社会福祉協議会が,自主事業として「低所得世帯等児童・生徒への学習支援事業」を計画しており,現在,水戸市内でのモデル地区1か所での実施に向け準備中と伺っております。
同事業につきましては,生活困窮等に起因して学習の機会を逸している児童に対し,学びの場を提供することで,世帯の自立を側面的に支援できる貴重な社会資源になるものであり,本市といたしましても,リーフレットの配布等についての事業への協力を予定しております。
今後の生活困窮世帯の子どもを対象とした学習支援の取組みにつきましては,生活困窮者の自立支援の総合的な制度設計の中で,貧困の連鎖防止を目指し,検討を進めてまいります。

(3)未成年者の自立援助ホームについて
次に、自立援助ホームについて伺います。日本の大学進学率が上がったといっても49.4%です。約半数の子どもは高校卒業後の未成年の段階で労働市場に送り出されます。とくに、中卒、高校中退といった子どもたちは、不安定就労、失業、病気、若年妊娠、犯罪、ホームレスなど危険にさらされ、彼らの将来を奪っています。
また、児童養護施設に入所する子どもたちは、卒業や高校中退と同時に施設から出なくてはなりません。そして、仕事と住まいを失った時に帰れる家、居場所がありません。こうした子どもを受け入れる施設が自立援助ホームです。
昨年11月1日の「いばらき教育の日」推進大会では、東京にある自立援助ホーム(カリヨン子どもセンター)の理事長で弁護士の坪井節子氏が講演されました。「助けてほしい、いますぐ」という子どもたちの身の安全を確保し、親身な相談相手となって寄り添う場所の重要性と必要性を訴えました。私もお聞きしました。そして、水戸市にもたった1か所ではありますが、自立援助ホームがあると知りました。行政が適切にかかわり、ぜひとも具体的支援につなげていただき、拡充できるよう求めて、見解を伺います。


【答弁 保健福祉部長】
未成年者の自立援助ホームについてお答えいたします。
自立援助ホームにつきましては,親の不存在などの事情により児童養護施設等に入所していた児童が,義務教育終了後,高等学校等に在籍せず,就労し自立する場合などに,相談その他の日常生活上の援助,生活指導,就業の支援等を受けながら自立を目指す場所であり,児童の健全育成に取り組んで行く中で,貴重な社会資源であると認識しております。
自立援助ホームの設置状況につきましては,茨城県内に3か所設置されており,うち1か所につきましては,水戸市内に設置されております。
対象児童の入所につきましては,茨城県福祉相談センターによる相談・決定となりますが,本市においても,家庭児童相談業務の中で,自立援助ホームの機能を利用しての自立が適当であると判断し,茨城県福祉相談センターとの連携のうえ,入所決定が行われたことで適切な支援に繋がった例もございます。
子どもを取り巻く環境が複雑化する中で,子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう,自立援助ホームとの連携はもとより,関係機関相互の密接な連携のもとで,全ての子ども達が健やかに育成される環境の整備と適切な支援を継続し,子どもの貧困問題の対策に努めてまいります。


2.学童保育について


開放学級の充実を求める署名

開放学級の充実を求める署名

次に、小学生の子ども達を対象にした学童保育について質問します。水戸市では、全小学校にある開放学級に約2,100人の子どもが利用し、さらに民間学童クラブで市補助を受けて運営する11クラブに約500人。その他、独自運営のクラブ等を合わせると約3,000人と、実に、小学生の5人に1人が、放課後や夏休みを学童保育で過ごしています。
昨年12月に、水戸市開放学級の充実を求める陳情が保護者から高橋市長に提出され、2,552名の署名が直接手渡されました。要望の中身は、1)小学6年生までの対象拡大、2)開設時間を保育所と同じく午後7時まで延長すること、3)専用室の確保、4)開放学級の充実に欠かせない指導員の責任と処遇の改善、5)民間学童クラブを増やし、保育料の補助を実施すること―以上の5項目です。
さらに、先週金曜日の3月7日には、民間学童クラブが市と交渉を行い、意見を交換しました。そこでは、ひとり親家庭や低所得家庭への保育料の補助が強く求められました。
そこで、これらの要望や意見をふまえ、4月からの新年度事業において、どのような改善や拡充に取り組まれるのか伺います。とくに、保育料は開放学級が月4,000円に対し、民間学童は平均16,000円です。公設と民間それぞれの役割や、これまでの運営実績を生かしつつ、子どもや保護者、指導員にとって不利益な格差は解消すべきではないでしょうか。
さらに、開放学級を量的にも、内容の面でも拡充するうえで欠かせないなのは、子どもたちに日々関わる指導員の体制確保です。現在、400人を超える指導員が開放学級を支え、教員免許などもっている有資格者はそのうち約100人。その他50人は学生です。夏休みなどの長期休みは、学生なしでは成り立ちません。私は先日、茨城大学の大学院で教育臨床心理を学びながら、開放学級の指導員をしている学生と話す機会がありました。彼は、「子どもの気になる行動や感情を見つめて、指導員が適切に接すれば子どもの貴重な成長の機会になる。大学ともっと連携して、指導員の研修とスキルアップを行えば開放学級はもっと良いものになる」と話してくれました。こうした声をしっかりと吸い上げて、指導員の確保や研修に生かし、学童保育の専門性に見合った報酬に時給を引き上げることです。学童保育という子どもの居場所が豊かに発展すること願います。


【答弁 教育次長】
学童保育事業についてお答えいたします。
はじめに,開放学級事業につきましては,子どもたちを,健やかに,安心して育てることができる環境づくりのために,重要な施策の一つであると認識しております。
開放学級事業の拡充につきましては,今年度から長期休業期間中の4年生の受入れを実施したところでございますが,来年度については,定員に余裕がある学級において,積極的に高学年を受入れてまいりたいと考えております。また,開設時間延長のモデル校につきましても,2校増設し,8校にする予定でおります。
次に,指導員の処遇改善につきましては,開放学級事業実施のため重要な課題として認識しており,報酬について増額し,時給換算で860円(現在840円)として予算を計上したところでございます。
議員ご提案の主任指導員の配置につきましては,学校や総合教育研究所等との窓口となる連絡員を指導員の中から選任して各学級に配置し,適正な運営に努めているところですが,引き続き,検討してまいります。
さらに,指導員に対する研修につきましては,児童・保護者への接し方や特別な支援を要する児童に対する接し方などの研修会や講演会を実施しております。
今後とも,県の放課後アドバイザー制度等も活用し,研修会の内容や実施回数等の充実に努め,指導員の資質向上を図ってまいります。

【答弁 保健福祉部長】
民間学童クラブの拡充についてお答えいたします。
民間学童クラブにつきましては,放課後における子ども達の安全で健やかな居場所づくりにおいて,開放学級とともに,本市の放課後児童健全育成事業の推進のための重要な資源として,現在,11か所の民間学童クラブに対し運営を補助しております。
しかしながら,開設時間の差異等もあり,開放学級と比較いたしますと民間学童クラブの保護者負担金が高額となっている状況がございます。
そのため,低所得者やひとり親家庭への支援,兄弟利用時の減免等,様々な視点により民間学童クラブの保護者負担に対する助成の在り方について検討を進めておりますが,民間学童クラブへの補助制度との整合性などの課題と合わせ,経済的な問題が子ども達の健全な放課後の生活に影響を与えることのない制度設計の検討に努めてまいります。


3.介護保険制度の改悪について


最後に、介護保険制度について質問します。介護の社会化を目指してスタートした介護保険制度が15年目を迎えます。介護サービスで助かっているという声がある一方、制度改定のたびに複雑になってわかりづらく、利用しづらい。介護保険料はどんどん上がり、年金から5千円の天引きは負担が重いというのが高齢者の声です。しかし、安倍政権は今の通常国会に「地域医療・介護総合確保推進法案」を提出し、介護保険では、徹底した介護給付の削減とさらなる自己負担強化を進めようとしています。そこで、政府の介護保険制度改定に対する市の認識や現状をについて質問します。
第1に、特別養護老人ホームの入所要件について、これまでは要介護1以上から入所できていたのを、原則要介護3以上に制限します。しかし、要介護1、2であっても、頼れる家族がなく、認知症や障害を抱え、自宅では生活できない方が大勢います。現在、特養ホームへ入所している方で要介護1、2の高齢者はどのくらいいるのか。退所を迫られることはないのか伺います。
第2に、「要支援」の高齢者が利用するホームヘルプサービスとデーサービスの2つを介護保険給付から外し、市の地域支援事業に移行することです。政府は、これまで介護事業所に委託していたこの2つのサービスを、民間企業やNPO、ボランティアに委ね、例えば、食事はお弁当の配食業者、掃除はハウスクリーニング業者、ごみ出しは地域のボランティアという安上りの支援事業を可能としています。これでは、ヘルパーはじめ専門職が関わることで介護状態を悪化させないという予防の観点が抜け落ちてしまします。適切な介護と生活環境が崩されると心身が衰えて介護度が重くなることは、震災後の福島県など被災地の深刻な現状をみれば明らかです。水戸市において、要支援者へのサービスをこれまで通り継続できるのか。どのような課題があるのか伺います。
第3に、要支援者へのサービスの報酬単価を引き下げれば、介護事業所の経営に打撃となることが避けられないのではないか。
第4に、介護給付から地域支援事業になれば市の財政負担も増えるのではないか。また、市の業務が増え、現在の職員配置や組織体制で間に合うのか。これらの問題を整理し、市民が安心して介護が受けられることが必要です。同時に、国に対して、介護保険のサービス切り捨ては許されないと声を上げていくことを求め、市の見解を伺います。


【答弁 保健福祉部長】
保険介護制度改正についてお答えいたします。
まず、特別養護老人ホームの入所者につきましては、平成25年12月に特別養護老人ホームを利用している水戸市の被保険者のうち要介護3以上の方は、1,558人、要介護2以下の方は、338人おります。また、平成27年4月1日からの制度改正により、特別養護老人ホームへの入所は、原則、要介護3以上の方に限定されることとなりますが、要介護2以下の方であっても、やむを得ない事情等により、特別養護老人ホーム以外での生活が著しく困難であると認められる場合には、特例的に入所が認められることとなっております。
次に、要支援者への「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」につきましては、訪問型サービス、通所型サービスに加えて、配食サービス等の生活支援サービスを、NPO,民間事業者、ボランティアなど地域の多様な主体を活用しながら、市町村の事業として、提供するというものです。本市といたしましては、今後、対象となる高齢者の置かれている状況やニーズ、サービスの提供主体となる地域資源の把握等を行うとともに、効果的な実施手法について先進事例を参考としながら調査研究を行い、導入に向けた制度設計を進めて参ります。
次に、介護事業所への影響につきましては、「新しい総合事業」の報酬単価は市町村が定めることとなっておりますので、介護保険料に与える影響や現在の報酬単価等を踏まえ、検討して参りたいと考えております。
次に、市の財政負担及び職員体制につきましては、「新しい総合事業」について、実施する時期や事業内容等により異なってまいりますので、今後の事業の制度設計の中で十分検討して参ります。

以上

Follow me!