2023年9月 茨城県議会第3回定例会 江尻かな議員の最終日討論(要旨)

日本共産党の江尻かなです。

この後採決される議案等35件のうち11件に反対・24件に賛成し、そのうち5件について討論いたします。

はじめに、第99号議案・令和5年度一般会計補正予算(第3号)は、原油価格・物価高騰対策や介護施設等のコロナ患者療養支援のほか、神栖特別支援学校の新設や6月の大雨災害復旧などに必要な予算(約66億円)であり、これらには賛成です。

しかし、繰越明許費として、新産業廃棄物最終処分場のための新設道路整備費の一部2億4千万円を次年度に繰り越す補正措置が含まれ、この点に反対いたします。

新たな道路(120億円)の建設は、元はと言えば県が処分場の候補地に不適切な場所を選んだことが事の発端です。当初、県が搬入道路に想定していた県道37号線(梅林通り)は、幅員も狭くてカーブも多く、住宅地や学校、保育園が隣接しています。

そして、今般の台風により土砂崩れや路面冠水で全面通行止めとなる被害も発生しました。道路脇を流れる鮎川も氾濫し、護岸の損壊、浸水被害が発生。かねてからの住民の懸念は的中し、心配が膨らんでいます。
にも関わらず、県は大きな被害はなかったとして整備をすすめる予算に反対です。

次に、第102号議案・令和5年度地域振興事業会計補正予算(第1号)は、常陸那珂工業団地の整備費です。県は、「インターパークつくばみらい」(70ha・200億円)に続き「フロンティアパーク坂東」(73ha・194億円)、そして常陸那珂工業団地(第1期23ha・68億円、第2期38ha・102億円)と開発を連続し、その事業費は計564億円です。

売却した企業には不動産取得税の免除という優遇措置の上、過去の開発によっていまだに未分譲用地が866.9ヘクタールのぼり、これは、つくばみらい・坂東・常陸那珂と3つ合わせた開発用地の4倍以上も売れ残っているのです。その破たん処理に今なお税金投入を続けて穴埋めし、これまでの総額は2,600億円を超えています。新たな開発への予算には反対です。

次に、請願第6号・所得税法第56条廃止を求める意見書採択に関する請願を不採択とすることに反対です。

自営業者や農家の妻や家族の自家労賃を必要経費として認めない56条の規定は、国連女性差別撤廃委員会が見直し勧告していることからも明らかなように、ジェンダーギャップ指数が世界最低クラスという日本を象徴するもので、単に申告方法の問題や世帯内での恣意的な所得分割を防止する観点にとどまらない不条理をもたらしています。

国は、古い時代の税制を改め、女性の働きを正当に認めることができる制度を検討すべきであり、それを求める本請願への賛同をお願いいたします。

次に、議第20号・ブラッドパッチ療法(硬膜外自家血注入療法)に対する適正な診療上の評価等を求める意見書に賛成いたします。
脳脊髄液減少症の治療法の一つであるブラッドパッチ療法を、公平に安全に患者に適用していくため、意見書にある改善措置が求められます。

同時に、適切にブラッドパッチを行える専門医が少なすぎること、かかれる病院が地域にないことも大きな課題です。また、複数回ブラッドパッチを行っても回復しない難治性患者の把握と研究も必要であり、さらなる取組が必要と考えます。

最後に、議第22号・ALPS処理水の海洋放出による風評被害対策を求める意見書に反対します。
風評被害対策は当然政府の責任ですが、その前段として、「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」という約束を国と東電が破り、放出ありきで進めたことは認められません。

国は、風評被害対策約1,000億円を水産事業者支援として計上しましたが、影響は観光・宿泊業に及んでおり、今後ますます対策費は膨らむでしょう。

事態を悪化させないためには、今すぐ放出を中止し、その上で、日々新たに発生している汚染水を増やさないために広域遮水壁を建設して地下水流入を防ぐこと、大型タンク保管やモルタル固化など海に流さない対策に踏み出すことです。そして、安全で美味しい水産物を消費者に届けたいという漁業者の思いにこたえるべきであり、海洋放出を前提として認めている本意見書に同意できません。

以上で討論を終わります。

以上

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