2025年6月 茨城県議会第2回定例会 神栖特別支援学校 校舎建設工事請負契約における債務負担行為の変更について(2025年6月9日)
日本共産党の江尻加那です。
議案質疑として、第83号議案・令和7年度一般会計補正予算の(仮称)神栖特別支援学校校舎建設工事請負契約における債務負担行為の変更について質疑します。
この補正予算は、限度額33億4千万円余の債務負担行為の期間を、令和8年度から9年度までの2か年に延長・変更するものです。その理由は、校舎の新築工事について、予定価格約22億円を事前公表した一般競争入札が、本年4月に参加業者ゼロで不調になったことです。
項目
(1)入札不調を避ける手立て
これにより、新校の開校予定時期が当初計画の2027年4月から9月へ、5か月遅れるとされました。この事態は、一日も早い開校と教育・通学環境の改善を願う関係者の期待を裏切ってしまうものです。そこで、今回の入札不調を避ける手立てはなかったのか、不調の発生原因は何なのか、教育長に伺います。
(2)再入札に向けた対応策
次に、今後、再入札を行う予定とされていますが、再度不調となれば、さらなる遅れが懸念されます。そこで、入札やり直しに当たり、県はどのような対応策を考えるのか、併せてお答えください。
(3)入札不調を踏まえた総事業費の見直し
3点目に、その際、校舎の新築工事費(約22億円)を含む総事業費約40億円について見直しが必要なのか、教育長の所見を伺います。
(4)児童生徒及び保護者への対応
最後に、一番影響を受ける児童生徒及び保護者への対応です。障害のある子どもは、環境の変化にとりわけ配慮が必要です。とくに、9月という年度の途中に新しい学校へ多くの児童生徒が転学しなければならないことへの不安が寄せられています。例えば、教員の配置やクラス編成、修学旅行等の学校行事の調整、さらには給食や通学バスの提供体制などです。
こうした心配や疑問に一つひとつ丁寧にこたえられるよう、県として見通しと対策を示すべきと考えます。教育長の所見を伺い、議案質疑を終わります。
教育長答弁
江尻加那議員の御質問にお答えいたします。
第83号議案「令和7年度茨城県一般会計補正予算(第1号)」の(仮称)神栖特別支援学校校舎建設工事請負契約における債務負担行為の変更についてです。議員から4点御質問をいただきました。
まず、1点目の入札不調を避ける手立てについてです。本年4月に(仮称)神栖特別支援学校の新築工事の入札が不調となった主な要因は、資材単価や事業者から徴取した見積りを基に、予算の範囲内で設定した予定価格と、入札時点での実勢価格との間に乖離が生じたことによるものと考えております。
県といたしましても、予測が困難な状況の中、落札に向けて予定価格の設定等を適切に行ったものと考えておりますが、結果として不調になり、開校予定時期を変更せざるを得ない事態となりました。開校を心待ちにされていた児童生徒や保護者の皆様をはじめ、関係者の皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけしましたことを、心よりおわび申し上げます。
2点目の再入札に向けた対応策についてです。再入札の実施に当たりましては、見積りを再度取り直すなど、市場の変化や動向を適切に把握して、現在の実勢に応じた適正な予定価格を積算してまいります。また、今回の議案の議決をいただけましたら、第3回定例会で契約締結の議決をいただけますよう、速やかに新築工事の再入札に向けた手続きを進め、再度不調となることがないよう、最大限の努力を尽くしてまいります。
3点目の入札不調を踏まえた総事業費の見直しについてです。県といたしましては、施設の仕様や規模などについて、これまでどおり児童生徒の安全安心な教育環境が確保できる水準を維持する方針のもと、建築コストの上昇などの状況を十分に考慮し、当初予定した総事業費約40億円についても適切な見直しを進めてまいります。
なお、現行の校舎建設工事等の予算としまして、債務負担行為の限度額約33億円に加え、令和7年度当初予算に約13億円を計上しており、合わせて約46億円と、十分な額を確保しております。現在、不調となった新築工事などの再入札に向けた予定価格を積算中でございますが、現行の予算の範囲内で再度発注が可能であると判断しております。このことから、今定例会では、債務負担行為の限度額については現行のままとし、期間のみの変更を提案させていただいております。
4点目の児童生徒及び保護者への対応についてです。今回の入札不調による、今後の建設工事と備品搬入や外構工事などの工程を踏まえつつ、早期開校を待ち望む児童生徒や保護者のため、可能な限り最短のスケジュールとなるよう、開校予定時期を2027年9月としたところであります。
これにより、神栖市在住の児童生徒は、1学期はこれまでどおり鹿島特別支援学校に通学し、夏休み明けの2学期から(仮称)神栖特別支援学校へ通学することとなります。このことについては、今週13日に鹿島特別支援学校において、保護者向け説明会を開催するとともに、転入学手続きについても、今年度中に保護者への説明会や面談を実施し、9月からの通学に向けて見通しが持てるよう、丁寧に周知してまいります。
また、今年度から鹿島特別支援学校の校務分掌に新校準備推進室を位置付け、開校に向けて準備を開始したところでありますので、今後、保護者等からの御質問に対しましては、一つ一つ丁寧に説明していきたいと考えています。円滑に開校を、この後迎えられるようしっかり取り組んでまいります。
以上