県政資料(県民の願いを届け実現をめざしてきました・2018年5月)

項目

憲法が生きる県政へ
県民の願いを届け実現をめざしてきました

発行・日本共産党茨城県議団 2018年5月 県政資料

私たち県議団の活動は、2015年1月の初登庁から4年目を迎えます。
「県民の暮らしや仕事を応援する県政に」と、寄せられた声や願いを届け、実現に向けて多くのみなさんと力を合わせてきました。
前進した要望や残されている課題について、その一端をご報告いたします。


子育て支援

子ども医療費助成(マル福)を拡充

子どもの医療費助成制度は、長年の県民運動のなかで拡充されてきました。
2018年10月より入院費助成が高校3年生まで拡大されます。

外来は小学6年生のまま据え置きとなりました。所得制限が16年10月に緩和されたことにより、対象年齢の9割の子どもが助成を受けられるようになりました。「せめて医療費は無料に」というのが子育て世代の声です。

外来・入院とも高校卒業まで所得制限も自己負担もなく医療費を無料にするための必要予算はあと25億円です。日本共産党は完全無料化を迫っています。

保育所も保育士も足りない 市町村実態調査を実施

希望しても認可保育所に入れない子どもが増えています。2017年10月の待機児童は850人、その97%は0~2歳児です。
日本共産党は県内自治体の実態調査を実施。市町村からの回答をもとに、認可保育所の増設とともに0~2歳児の保育定員を1,700人ふやし、年度途中の入所を保障する支援策を提起してきました。

保育士の処遇改善も不可欠です。県内の民間で働く保育士は約7千人。待機児童解消にはあと1千人の保育士が必要です。保育士の給与は全職種平均に比べ月額10万円以上も低い現状ですが、必要な基本給の底上げは進んでいません。

日本共産党は、保育士の賃金引き上げにむけ、国の加算に上乗せする県の改善策を求めています。

よりよい学童保育に

学童保育(放課後児童クラブ)の改善にむけて、施設の増設、指導員の処遇改善を求めてきました。
県は「指導員のスキルアップ研修やアドバイザーの派遣などを支援していく」と答えています。

児童虐待への相談体制 児童福祉司55人→75人に

児童虐待に対応する児童相談所は現在、県中央(水戸)、土浦、筑西の3ヵ所です。日立、鹿行(鉾田)は分室となっています。児童虐待の相談件数はこの10年間に3倍以上に急増し、児童相談所で扱う全相談件数の3割以上を占めています。
日本共産党は、相談件数の多い県南地域への一時保護所の新設、日立、鹿行の分室を児童相談所に拡充することを提起。実際に相談に対応する児童福祉司、児童心理司の増員を求めました。

県は、2016年度55人だった児童福祉司を17年度に10人増員し19年度までに75人体制にすることを明らかにしました。
今後は虐待相談件数の状況を見ながら対応していくとして、児童福祉司の専門性を確保するため、新任研修や相談対応力の向上に取り組んでいくことを表明しています。

  • 医療的ケアが必要な障害児と家族への支援求める
    ――医療的ケア児を受け入れる施設の開設に補助が実現(18年度当初予算)
  • 障害児保育にたいする県補助の創設を提起
  • 子どもの貧困の実態調査を要求

教育

少人数学級を拡大 中学3年生まで対象に

本県独自の少人数学級は1学年に35人を超えるクラスが3クラス以上あることが条件です。
1・2クラス以下はクラス毎に非常勤講師1名を配置するという不十分なものです。
県は2017年度に中学2年生まで対象を拡大し、18年度には中学3年生まで拡大しました。
日本共産党は、35人以下学級の全学年、全クラス実施にはあと8億4千万円でできると指摘してきました。
教職員や父母から毎年提出される教育請願には紹介議員となり、採択を主張してきました。

茨城県の少人数学級

〈小学校〉

  1. 1・2年生→全学年で35人以下学級
    (国が11年に小学1年、12年度に2年に導入)
  2. 3~6年生(県独自で実施)
    (ア)35人超3学級以上→1学級増設、担任教諭1名配置
    (イ)35人超1・2学級→学級毎に非常勤講師1名配置

〈中学校〉

  1. 1・2年生(2年生は17年度に拡大)
  2. 3年生(18年度に拡大)
    (ア)35人超3学級以上→1学級増設、担任教諭1名及び非常勤講師1名配置
    (イ)35人超1・2学級→学級毎に非常勤講師1名配置

特別支援学校の増設、教室不足の解消

県立特別支援学校(23校)の児童生徒数がこの10年間に1.23倍に増えています。
施設整備が追いつかず、教室不足が常態化しています。
200人規模で開校した「つくば特別支援学校」は2倍の過密状態です。
県教育委員会は、石岡市内の中学校跡地に2019年度に新設する計画ですが、人口増のなかで過密解消にはならない見込みです。

日本共産党は、つくば市内に分離・新設を急ぐよう求めています。
教室不足解消のためには県の整備計画を見直すとともに、県独自に「1校当たり150人規模」とする設置基準を提起。スクールバスの増車を図り、長時間・遠距離通学の解消、介助員の複数配置コースを増やすなどの改善を求めています。

教室不足が多い特別支援学校(数字は不足教室数)

2017年5月1日現在

  • つくば(知的障害)…20
  • 鹿島… 15
  • 水戸飯富… 13
  • 友部… 13
  • 伊奈… 13
  • 協和…11
  • 土浦…10
  • 勝田… 9
  • つくば(肢体不自由)… 8
  •  私学助成の拡充、授業料軽減策の所得制限が緩和され対象広がる
  •  県独自の大学生向け給付型奨学金の創設を提起
  •  小・中学校教員の勤務時間実態調査を初めて実施(2017年10月)
    ――平日平均 小学校11時間39分、中学校12時間15分

医療・福祉

高すぎる国保税の引き下げを

滞納世帯が約2割にも

高すぎる国保税が払えない滞納世帯は加入世帯の約2割にのぼっています。
滞納世帯は正規の保険証が取り上げられ、窓口で全額(10割)支払わなければならない「資格証明書」や期限を区切った「短期保険証」が交付されます。

こうした事態をひきおこした元凶は国の予算削減です。
この30年間に国庫支出金は半減し、国保税は約3倍に引き上げられました。国庫負担を計画的に引き上げ、誰もが払える国保税にする改革が急務です。

運営主体が市町村から都道府県に

2018年4月から国民健康保険の財政運営主体が市町村から都道府県に移行されました。
高すぎる国保税を抑えるため市町村が独自でおこなってきた一般会計からの繰り入れが解消され、国保税引き上げにつながる懸念が出ています。
18年度、県内17市町村で引き上げが決まっています。

県独自に軽減策を

日本共産党は、国庫負担の大幅引き上げを国に求めるとともに、県独自の軽減策を求めてきました。
とくに子どもが多い世帯ほど高くなる国保税の課税方式を見直し、18歳以下の被保険者を均等割から免除することを提起。
「子育て支援という観点からも県独自の軽減策になる」と迫りました。県は約21億円でできることを明らかにしています。

上がり続ける介護保険料 保険料・利用料に独自減免を

65歳以上の高齢者の介護保険料は3年ごとに見直されます。
4月から第7期(2018~20年)に入ることから保険料の見直しがおこなわれました。
県内23市町村で引き上げられ、県平均5,339円となりました。
多くの人は年金から自動天引きされており、高齢者の生活を脅かすほどになっています。

日本共産党は、国庫負担割合(現在25%)の引き上げを国に求めるとともに、県独自でも保険料・利用料の独自減免を求めてきました。
さらに、軽度の高齢者から介護を奪うことのないよう独自施策をおこなうことや、特養ホームの増設による待機者の解消、介護士の賃金引き上げに県補助をおこなうことを提起してきました。

後期高齢者医療保険料・率 8年間据え置きに

75歳以上の高齢者が加入する後期高齢者医療保険料・率が2018~19年度据え置きとなりました。
保険料・率は2年ごとに見直されます。
保険料・率の据え置きは12年から連続8年となります。

日本共産党は県内市町村で構成する広域連合にたいし、「医療費給付費準備金と財政安定化基金、合わせて57億円以上の積立金を活用すれば値上げは必要ない」と申し入れてきました。
国は低所得の人などが対象の保険料の特例軽減措置の縮小・廃止に踏み出しており、多くの高齢者が影響を受けることになります。

滞納者への厳しい取り立て、差し押さえやめ 生活実態に応じた納付相談を

国保税や住民税の滞納に厳しい取り立てが強まっています。
市町村で徴収困難なものは県内44市町村でつくる一部事務組合「茨城租税債権管理機構」に移管されます。
機構は住民に高圧的な態度で取り立て、財産の差し押さえ、公売など容赦なく強行しています。
県は機構にたいして事務局長や各課長を派遣し、補助金も支出しています。

“税金取り立て”機構は廃止に

機構の取り立てによって「税金を払うだけの人生はむなしい」という遺書を残して自らの命を絶った例まで生まれています。
日本共産党は、滞納者の生活実態を十分把握したきめ細かい納税相談を求めてきました。本来、徴収は市町村の業務であり、市町村での相談体制の拡充こそ必要です。日本共産党は機構を廃止し、徴収事務を市町村に戻すことを提起しています。

医師確保へ修学資金を拡充

人口当たり医師数全国46位という本県の実態のなかで日本共産党は2016年12月議会で、医師修学資金貸与制度が関東近県に比べて貸与額の月額も少なく、入学金も含まれていない現状を示し、修学資金の拡充を訴えました。

県は17年度に地域枠の月額を引き上げ、18年度は貸与人数を10名から20名に増やしました。
日本共産党は、本県の分娩施設がこの10年間に3割減少し、産科・産婦人科医は200人程度と圧倒的に少ない現状を示し、修学資金貸与制度の地域枠に産科の診療科枠を設置するよう提起しています。

  • 2017年度
    ◇貸与額引き上げ
    国公立大学・月額20万円
    私立大学・月額25万円
  • 2018年度
    ◇貸与人数を拡大
    貸与人数・10名→20名

● 精神障害者の医療費助成の拡充、交通運賃割引きを提起
――交通割引き制度の適用求める請願が全会一致で採択(17年3月)
● 肝炎患者の定期検査への助成対象が緩和(16年11月から実施)

くらし・経済

最低賃金時給(796円)の引き上げを

労働者全体の賃金水準の底上げには最低賃金の大幅引き上げが必要です。
最低賃金の地方格差を是正し、先進国では当たり前の全国一律最低賃金制に踏み出すべきです。いますぐ時給1,000円に引き上げ、さらに1,500円をめざすことは県民の切実な要求となっています。

日本共産党は、全国平均よりも低い本県の最低賃金の大幅引き上げ、中小企業の賃上げへの支援を県として国に求めるよう提起してきました。
さらに県の委託業務や発注工事で働く労働者の労働条件や賃金が適正に確保されるよう公契約条例の制定を提起してきました。

正規雇用を増やす県の取り組みを

県内の非正規労働者は約47万人、全体の4割を占めています。
県が税金を免除して誘致した企業が不安定な非正規労働者を増やしている例も生まれています。
日本共産党は県が誘致した企業の雇用実態を把握し、大幅な雇用変動の場合は県への報告を義務付けるなど、県民の雇用を守る独自の取り組みを求めてきました。

東京都では2015年度から3カ年、非正規労働者を正規雇用に転換した企業にたいする助成制度を実施してきました。
本県でも正規化をすすめる企業を支援する制度の新設など、正規雇用の拡大に向けた実効ある取り組みを提起しています。

知っておきたい労働法」 高校生、大学生、専門学校生に配布

青年向けに労働法などを解説するパンフレットの発行は2007年の日本共産党の提案がはじまりでした。
当初は3万部発行で、高校3年生だけでしたが、15年度から8万5千部に増やされ、高校生全員、大学生、専門学校生、高等専門学校生にまで配布対象が広げられています。

必要な人が受給できる生活保護へ

県内生活保護受給者は約2万8千人、世帯数で2万世帯を超えています。生活保護は憲法で明記された生存権を保障する制度です。
保護申請の門前払いや強権的な保護打ち切りなどをあらため、必要な人すべてが受けられる生活保護が求められています。
本県の受給者は1千人当たり9.6人と全国の約半分です。
2017年度、窓口に来た人のうち、申請できたのは約5割、実際の利用は4割でした。
申請書さえもらえない人も少なくありません。

「国民の権利」の周知を図る

日本共産党は、(1)広報紙などで内容や手続きを知らせるなど制度の周知を図ること。(2)窓口に来た人に申請書を速やかに渡して受け付け、そのうえで生活状況を調査すること。(3)生活保護のケースワーカー職員が少ない状況を早急に改善すること――を提起、生活困窮者への支援の強化を求めています。

米価補償、新規就農者支援

2018年度から米の直接支払交付金と減反(国による生産調整)が廃止され、農家への深刻な影響が懸念されています。
日本共産党は、農業を維持するうえで米の直接支払交付金制度は不可欠だとして、国に制度の復活を求めるとともに、県として所得補償・価格保障をおこなうよう提起してきました。
茨城農業の担い手の確保・育成もまったなしの課題です。
39歳以下の就農者目標250人にたいし2014年度は190人、しかも青年就農給付金を受けたのはわずかに43人でした。
日本共産党は、就農給付金の要件を緩和するなどの支援を求めています。

  • 県の臨時・嘱託職員の処遇改善
    ――臨時日給、嘱託月給が引き上げられ、産休、育休、介護休暇が拡大
  • 住宅リフォーム、商店リニューアル助成制度を提案

街づくり

市町村実施のコミュニティバスに補助

県内の市町村が実施しているコミュニティ交通には県補助がなく、日本共産党は県の財政支援を繰り返し求めてきました。
2018年度当初予算に市町村がおこなうコミュニティバスやデマンドタクシーの運行経費に最大3年間補助する制度が新設されました。
日本共産党は補助期間の延長などを求めています。

17年10月調査で、コミュニティバスは21市町、デマンドタクシーは23市町村で運行され、年間利用数は310万人に及び、住民の足として広がっています。

公営ギャンブル・県立取手競輪場 廃止し市民の憩いの場に

取手市の中心市街地に立地する県営取手競輪場。「公園に転用してほしい」などの声が高まっています。
入場者数がピーク時の1割にも満たず、県への財政繰り入れも年1億円程度にとどまっています。
日本共産党は、事業を廃止し、新たな活用策を検討するよう提起しています。

道路予算 生活道路、通学路優先に

県の道路延長は北海道に次いで全国2位ですが、道路改良率は最下位です。
日本共産党は道路整備は大型開発関連の幹線道路中心から、生活道路優先に移すよう提起。とくに改良率が低い市町村道への県補助を求めてきました。
通学時の交通事故が相次ぐなかで県は2013年度に緊急点検をおこない、小学校で対策が必要な危険個所は1,890カ所に上りました。日本共産党は通学路整備の予算を拡充して緊急な整備を求めました。
要望が多い信号機設置には予算の増額を求めています。

  •  太陽光発電施設に県独自のガイドラインを策定(2016年9月)
  •  住宅用太陽光パネルの設置補助の復活を要求
    ――本県の太陽光発電容量は原発2基分の205万kw(2017年3月末)
  • 他県の残土を持ち込ませないために残土条例の規制強化を提起

防災・安全

常総水害 県に被災者生活支援制度が実現

2015年9月9日から10日の台風18号の豪雨による鬼怒川の決壊で、常総市内では全半壊家屋が5千棟以上という甚大な被害となりました。
被害は住宅だけでなく商店街、病院、鉄道・道路とともに、農作物や農地、農業機械、ハウスなどの農業施設にまで及びました。

県の支援が一歩前進、さらなる拡大を

日本共産党は、国の支援対象外になっている「半壊」「一部損壊」にも住宅再建支援金を拡大するよう国に求めるともに、県と市が財源を出し合い独自支援をおこなうよう要求。

さらに農業共済の補償対象となっていない収穫後の米の救済や、農地の復旧、農業施設・機械への補助、中小企業グループ施設復旧整備補助の実施など、国と県の強力な支援を求めました。

県は被災者生活再建支援法で補助対象外の半壊世帯に補助するなど、特例的な独自の支援策を実施しました。

16年11月、県はこの支援策を今後発生する地震を含めた自然災害に備えて恒常的な制度としてスタートさせました。

鬼怒川決壊の教訓を明らかにし 河川改修・堤防の早期整備を

2015年9月の関東・東北豪雨で鬼怒川をはじめ県管理の八間堀川や西仁連川など合わせて49河川で決壊や法面崩れを起こしました。
日本共産党は鬼怒川流域の堤防整備率が16.8%と未整備区域を多く残していた実態を明らかにしました。
そのうえで「鬼怒川上流の4つのダムには2千億円以上をつぎ込む一方、河川整備には年20億円程度。甚大な被害をもたらした国と県の責任は明らか」と追及、鬼怒川流域の集中整備を求めました。

国と県は15年度から6年間で約600億円を投じる「鬼怒川緊急対策プロジェクト」を実施し、堤防整備をすすめています。

県はこれで鬼怒川の堤防整備は約9割に向上する見込みとしています。

日本共産党は、県内の国直轄河川の堤防整備率が58%と遅れている現状を指摘し、那珂川などの堤防整備を早急にすすめるよう求めています。

開発・ムダ

ムダな水源開発やめ、水道料金引き下げを

県内4つの広域水道事業から供給を受けている市町村は、高すぎる受水費(水道料金)の値下げ要望をくりかえし県にだしています。
日本共産党は、広域水道事業は黒字をつづけており、黒字分は料金値下げに還元すべきと求めてきました。

霞ヶ浦導水、八ッ場ダムから撤退を

県は総合計画で人口減少を予測しながら、県の長期水需給計画(07年改定)では水の使用量が増えると予測して水源開発をすすめています。
霞ヶ浦導水事業は工期が2023年度まで延長され、事業費の大幅増額は必至です。
八ッ場ダムは16年8月、事業費が当初の2.5倍に増額されました。水源開発は、水余りをいっそうひどくし、市町村、県民に高い水道料金となって跳ね返ってきます。日本共産党は新たな水源開発からの撤退を強く求めています。

売れ残り土地 破たん処理に税金投入

売れ残り開発用地の破たん処理に、2006年度から18年度当初予算まで2,307億円の税金が投入されました。
県や開発公社、土地開発公社が保有する土地は未だに1,072haもあり、借入残高は2,252億円にのぼります。

日本共産党は、莫大な借金をつくった開発優先からの転換を求めてきました。
破たん処理にあたっては、金融機関にたいし返済額の縮減や返済期間の延長など「貸し手」責任を求め、県民負担をできるだけ少なくするよう提起してきました。

常陸那珂港区 まるで“大企業の専用港” 総事業費6,800億円――すでに3,600億円投入

茨城港常陸那珂港区建設は、東海村とひたちなか市にまたがる海岸を埋め立て、北、中央、南の3つのふ頭を建設する総事業費6,800億円の巨大事業です。
17年度までに3,618億円が投入されました。

完成している北ふ頭の7割は東京電力常陸那珂火力発電所が占め、現在1・2号機が稼働、3号機も建設中です。
臨海地区にコマツ、日立建機が進出し、北ふ頭はさながら2社の“専用積み出し港”と化しています。

中央ふ頭は常陸那珂火力発電所の石炭灰の処分場にもなっています。
2016 年11月、中央ふ頭内の一部にスバル自動車が進出しました。

日本共産党はCO²削減に逆行する石炭火力発電所の増設や石炭灰埋め立てによる中央ふ頭建設の中止を求めています。

原発ゼロ

東海第2原発 40年の老朽化、トラブル多発

東海第2原発は今年11月に運転開始40年となります。
日本原子力発電(原電)は2017年11月24日、運転期間を20年延長する申請を原子力規制委員会に提出しました。
東海第2原発は、事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型原子炉(BWR)で、同型炉の運転延長申請は初めてです。

運転延長ではなく廃炉こそ必要

原発の長期運転は、機器や配管の劣化が起きるだけでなく、放射線にさらされる原子炉本体や壁などがもろくなり、事故の確率が格段に高まります。
しかも東海第2原発は、大震災で大きな揺れと津波で被災した「被災原発」でもあります。運転延長は原発の危険をいっそう増大させるだけです。

日本共産党は、運転当初からのトラブル状況を調査し、30年に近づくとトラブルが増えている実態を明らかにしました。
住民説明会でも老朽化にかかわる質問が最も多く寄せられていることを指摘、知事にたいし運転延長に反対し、原電に廃炉の決断をするよう求めてきました。

使用済み核燃料、あと5年で満杯

日本共産党は、使用済み核燃料について質問。知事は現在、燃料プールや乾式キャスクの貯蔵量が8割を超えており、「再稼働した場合、約5年で容量に達する」ことを明らかにしました。
知事はまた「青森県むつ市の施設に貯蔵する計画」と答えましたが、むつ市の貯蔵施設はまだ稼働できておらず、最終的に運ばれる六ヶ所再処理施設も本格稼働の見通しは立っていません。

30キロ圏内に約96万人 住民避難計画の矛盾ただす

「複合災害」へ対応なし、要配慮者は施設まかせ

東海第2原発の30キロ圏内には約96万人が住み、原発周辺では全国1の人口密集地です。
県は2015年3月、過酷事故を想定した広域避難計画を策定しました。
しかし原発事故だけの想定で、地震や津波などとの複合災害は想定していません。
道路が通行不能になった場合の代替ルート、避難先が被災した場合の避難所の確保など計画の実効性が問われています。

30キロ圏内には避難に援助が必要な入院患者や入所者を抱える病院、福祉施設が317施設、定員数で23,000人を超えています。
計画では避難先の確保は施設の管理者があらかじめ確保しておき、避難時のバスや車両も自ら確保するというものです。
日本共産党は「住民避難の実効性ひとつみても廃炉にすべき」と迫っています。

子どもの健康調査 県独自の実施求める

放射能汚染による健康への不安が広がり、若いお母さんなどから子どもの健康影響調査を求める声が高まりました。
低線量被ばくによる健康被害は不明点も多く、長期にわたる健康調査が必要です。
日本共産党は、子どもや妊産婦、希望者への内部被ばく検査、尿検査、甲状腺超音波検査などの実施を求めてきました。さらに除染は子どもが近づく施設や場所から優先し、除染をおこなう市町村への支援、農産物の検査体制などを求めました。
県議会では2012、13年に、子どもの健康影響調査に関する意見書が4回にわたって全会一致で可決されています。

  •  住民・自治体の声が反映されるよう安全協定の拡大を求める
  •  福島原発事故避難者(2018年2月現在、3,444人)への県独自の支援策を提起
  •  東海原発の放射性廃棄物(L3)埋め立て計画の中止申し入れ

議会改革

一般質問枠を拡大

3議席になった日本共産党は議会運営委員会の正式メンバーとなり、一般質問者数を年間40人にしている制限の撤廃を提案しました。
また日本共産党も入った議会改革推進会議では発言機会の拡大を主張しました。
県民からも「一般質問の制限やめよ」の声があがり、2千筆を超える署名が提出されました。
こうした運動のなかで、2016年から年間枠が40人から42人に増え、日本共産党の一般質問は3月、6月、9月の年3回に拡大されました。

議会運営委の傍聴可能に

議会運営委員会や議会改革推進会議で傍聴の改善を求め、これまで傍聴ができなかった議会運営委員会での傍聴が実現しました。
さらに傍聴者が聞きやすくするためにスピーカーの増設や、子ども連れで気軽に傍聴できる「親子ルーム」の設置、インターネットによる中継を常任委員会にまで拡大することを提案しています。

費用弁償の廃止を提案

日本共産党は本会議などに出席する際に支給される費用弁償の廃止を議長に申し入れました。現在、日本共産党は費用弁償の受け取り拒否の意思を示し、費用弁償の全額を積み立てて、各議員が退任時に県に返還することにしています。

ムダづかい、負担増に反対 知事提出議案をチェック

2015年1月から18年3月議会までの知事提出議案は601件。
他会派が全議案に賛成してきたなかで、日本共産党は県民の目線で一つひとつチェック、ムダづかいや県民負担増には反対してきました。
毎議会討論に立って議案の問題点をただし、議案の約半分に賛成しています。

県民から提出された請願は教育や農業、豪雨災害支援など46件に及びました。
他会派は6割以上に反対してきましたが、日本共産党は96%に賛成、採択に力をつくしてきました。

全国8位の財政力は――県民のくらし・福祉を優先に

くらし、福祉・子育てをまもる

働く人の実質賃金は年額で15万円も減り、格差と貧困が拡大しています。
生活保護費を最大5%削減する影響は住民税や保育料、介護保険料、就学援助、最低賃金などに連動します。
国民健康保険の運営が4月から県に移管されました。
この制度改定のなかで県内17自治体が国保税引き上げとなりました。県民のくらし、福祉・子育ての願いは切実です。県民生活を守る県の役割発揮が求められます。

県民要望は―

  • 1位 子育て支援の推進
  • 2位 医療体制の充実
  • 3位 高齢者福祉の充実

2017年「県政世論調査」での「県政への要望」より

原発ゼロ、地域の力いかす産業振興へ

18年度予算では、企業誘致のため「本社機能移転に50億円」「豪華ホテル建設に10億円」などの大型補助金が創設されました。
県庁内に「営業戦略部」を新設し、県外・海外に茨城を売り込む方針です。
八ッ場ダムや常陸那珂港建設などの大型開発は、知事が替わってもそのまま推進しています。
原発ゼロに踏み出し、自然再生エネルギーへの転換を図るべきです。
地域に根ざした中小企業、地場産業、農林水産業を支援し、安定した雇用と仕事をつくりだすことが必要です。

新たに営業戦略部を新設(18年度)

グローバル戦略チームは企業の海外展開等を応援。ポートセールスチームは港のセールスを行います。

税金は県民生活支援に、 憲法を守りいかす

国は「地方創生」の名のもとに、行政サービス・公共施設の「集約化」をすすめ、新たな行政改革を推進しようとしています。
こうしたときこそ県民の願いに寄り添い、憲法が明記する地方自治の本旨に基づいて「住民福祉の増進を図る」(地方自治法)ことが県の仕事です。

県は開発用地の破たん処理に2,300億円もの巨額の税金を投入してきました。
税金を「大企業優先」に使うのか、「県民生活優先」に使うのかが問われています。全国8位の財政力を生かし、県民の暮らし、福祉を応援する、希望が持てる県政へ力をあわせます。

  • 憲法92条
    「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める」
  • 地方自治法1条2
    「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として……」

県政資料(2018年5月、PDF)