2025年3月 茨城県議会第1回定例会 江尻かな議員の最終日討論(要旨)
日本共産党の江尻加那です。
今議会に提案された議案・意見書等88件のうち53件に賛成し、一般会計予算や条例改正で反対する主な5件について討論します。
第1号議案・2025年度一般会計予算及び第7号・国民健康保険特別会計予算です。
一般会計は、県税収入も歳出規模も過去最大ですが、「県民所得全国3位」を実感できず、先の見えない物価高に疲弊する多くの県民への生活支援が余りに不十分です。物価が上がる中、納める税金も増えるばかりです。税収を県民に還元し、給食費無償化や医療費マル福の拡充、高齢者の交通手段を確保する支援や県道の除草など、身近な要求は実現可能です。
県立大学や専門学校の授業料も、値上げでなく無償化できます。学校教員も足りません。欠員補充の講師が1,420人(教員数全体の7%)にのぼる上、その講師もいない教員の未配置が今年1月時点で276人にのぼります。教員配置と定数増は待ったなしです。医療分野では、救急搬送への選定療養費徴収が2カ月で698件にのぼり、徴収は撤回し、入院や救急医療に県補助の増額を求めます。
一方で知事は、大企業や大型開発には大盤振る舞いです。企業誘致に大型補助金や工業団地の開発、さらにグローバル企業に100億円の新規補助を掲げました。そして、総事業費389億円の県産業廃棄物処分場と搬入道路建設に92億円。 霞ヶ浦導水事業(総事業費2,395億円)はすでに2,000億円が投入され、新年度は県が111億、国が258億、合わせて369億円の予算です。これ以上の水源開発は必要なく、霞ヶ浦は浄化できず、生態系や環境を破壊するものです。導水事業の中止・見直しを求強くめます。
茨城空港の拡張と平行誘導路計画に反対です。国は自衛隊百里基地が軍事攻撃の標的になることを想定し、戦闘機隠蔽施設や生物化学兵器対応設備の整備を大規模に進める計画です。危険な基地と茨城空港の就航促進は共存できません。
火災や施工不良が頻発する東海第二原発は、再稼働を認めず廃炉にすべきです。
新年度、県内10市町以上が国保税を値上げ。かすみがうら市では昨年値上げした介護保険料を今年も引上げる異例の事態です。県には国保や介護、後期高齢者医療の財政安定化基金が積み上がっており、包括外部監査でも、介護保険財政安定化基金に「余裕資金が発生している」「基金残高が適切か確認すべき」との意見です。資産運用優先でなく、保険料の引き下げに活用すべきです。
次に、第16号議案・2025年度水道事業会計及び第20号・流域下水道事業会計予算についてです。
県は水道事業経営の統合を進めていますが、市町村が自前の浄水場をなくし、人件費を削減して水道職員を減らすことは、平時はもちろん災害時対応を弱体化させます。市町村の水道施設改修に財政支援こそ増やすべきで、県主導の広域化に反対です。
また、県中央広域水道用水事業において、水戸市は県の水は必要ないとして、受水契約を解除することを決定しました。過大な県の水需要計画の見直しを求めます。
下水道も老朽化対策が急務です。県の下水道部門職員はこの15年間で88人から68人に2割以上減っています。下水道事業に企業会計を導入し、すべての流域下水道施設の管理を民間委託したからです。ところが国は、施設の運営権までヴェオリア社など大手水ビジネス企業に売却する前段として、ウォーターPPPの導入を自治体に押し付けようとしています。
本県も調査費を計上していますが、埼玉県で起きた下水道管腐食による道路陥没事故をみれば、PPPを導入しないと下水管改築への国交付金を出さないという国のやり方は許されず、地方自治を奪うものです。国に抗議し、見直しを迫るべきです。
最後に、第30号議案・看護専門学校の設置及び管理に関する条例改正のうち、准看護師から正看護師をめざすための県立中央看護専門学校の2年過程を廃止することに賛同できません。ここがなくなれば、水戸市医師会の専門学校しか受け皿がなくなりますが、授業料は3倍近くかかります。看護師数が全国43番目という本県において、2年過程は必要と考えます。以上で討論を終わります。
以上