2013年12月議会代表質問 水道料金、債権差押え、放射線被曝、原子力安全協定、防災ラジオ、子ども医療費
日本共産党水戸市議団は11月21日、来年度水戸市予算に関して115項目の要望を市長に提出し、市民生活を最優先に暮らしと安全を守ることを求めました。
2014年度水戸市予算に関する要望書(PDF)
代表質問にあたり、重点要望にもとづいて質問いたします。
項目
1.水道料金値上げ中止を強く求める
(1)値上げ計画について
第一に、来年4月からの水道料金値上げ中止を強く求めます。消費税増税分を含め、総額5億692万円にのぼる市民負担増が市長から今議会に提案されました。値上げ率は、税込で平均すると10.9%ですが、一般的な4人世帯では13.4%もの値上げ率です。ただでさえ生活も営業も大変な時に、「値上げは困る」との声は市長にも届いているはずです。水戸民主商工会や新日本婦人の会、年金者組合など市民団体が参加する「値上げ反対市民連絡会」から、短期間で2,841名の値上げ中止署名が市長に提出されています。
市民からは「なぜ値上げなのか」と怒りが共通して寄せられました。1)水道事業会計が黒字なのになぜ値上げするのか。2)今年4月に国保税や下水道料金を値上げしたばかりで、なぜ連続値上げするのか。所得も年金も減っており、市民の暮らしを市長はどう考えているのか。3)来年4月はだたでさえ消費税増税により下水道料金や農業集落排水使用料が上がるのに、なぜ水道料金値上げのダブルパンチを実施するのか。4)水道施設改修のために今後5年間で89億円必要だと言うが、国の補助ないのか。5)全ての市民の生活に直結する値上げ計画なのに、なぜ市民に知らされないのか。市の各種計画策定はパブリックコメントが実施されているが、水道料金や国保税の値上げ計画は公表されず、意見も言えずに決まるのは納得できない。こうした声に市長はどう答えるのでしょうか。値上げ中止を強く求めます。
(2)水道事業の改善について
合わせて、水道事業の改善に向け、以下3点提案します。
第1に、全国一高い県中央広域水道用水からの受水を中止することです。水戸市は6万人以上の余裕水があるのに、危機管理用水や施設維持用水だと理由をつけて必要のない水を県から買い、年間約1億6千万円、これまでの15年間で28億7千万円を県に支払っています。無駄な県受水は続けながら、市民には料金値上げなど到底認められません。県受水の根拠は、30年も昔の昭和59年5月24日に県と取り交わした協定書(「茨城県中央広域水道用水供給事業の実施に関する協定書」)です。霞ヶ浦と那珂川を地下トンネルで結ぶ導水事業の完成を前提にした、時代に合わない協定書の見直し、廃止が必要です。市長の考えを伺います。市長は県水の基本料金引き下げを求めていますが、県は一切応じていません。県中央広域水道予算の6割を霞ヶ浦導水事業等水の源開発費が占め、その結果、日本一高い料金になっています。市町村に水を買わせる責任引取制の協定書見直しを県に強く迫るよう求めます。
提案の第2は、老朽管の更新事業等に対して国庫補助が受けられるよう、市町村の実態に即した補助要件に見直しさせることです。資本単価を補助要件としているため、都市部に不利であり改善が必要です。市は、今後40年間の水道施設整備に総額約1,120億円もの巨額資金が必要だとしていますが、国庫補助なしには実現できません。日本水道協会を通した要望にとどまらず、直接、水戸市から国に働きかけ、国庫補助を実現させるよう求めます。
そして、第3の提案は、一般財源からの計画的な繰り入れ実施です。水道は市民生活を支える最重要のライフラインであり、水道施設の改修や耐震化が必要不可欠な重要事業であるならば、一般財源からの計画的な繰り入れにより事業費を確保することです。企業会計への繰り入れは政策判断でできます。毎年の一般会計の剰余金を積み立てた財政調整基金は、8年前は2億円でしたが、この間どんどん増え続け、今年度末で93億円に増える見込みです。料金値上げではなく、市民が納めた税金を水道施設更新に有効活用することです。市長の見解を伺い、来年4月からの水道料金値上げ中止を改めて求めます。
【答弁 高橋市長】
江尻議員の代表質問のうち、消費税増税分を含む水道料金改定についての基本的な考え方を申し上げます。
独立採算制をとる水道事業として、将来にわたり持続的に市民の皆様に安全で良質な水を安定的に供給していくことが私の債務であります。そのためには、これまでの取組に加え、経営という視点からの一層の改善が必要であり、平成6年以降、据え置かれてきた水道料金について、各種団体の代表や一般公募者などから構成される水道事業審議会からの答申、さらには、議会からいただきましたご意見をもとに熟考を重ね、答申から引き下げを図った上での見直しを行うという結論に至ったものであります。
来年4月から、消費税率が改定されることが決定されました。
私は、社会保障サービスが増加の一途をたどる現状を鑑みると、安心で希望が持てる社会を構築居していく上で、その財源として必要なものと考えております。このタイミングで水道料金を改定することは、市民の皆様に対し大変申し訳ないという思いでありますが、公平性の視点から受益者に負担を求めることといたしました。
将来にわたり安定したサービスを提供するためには、持続可能な財政基盤を確立し、次世代に負担を先送りしないという私の強い思いからの決断であり、市民の皆様にも御理解をいただけるよう、しっかりと説明責任を果たすとともに、徹底した行財政改革を断行し、信頼される行政運営に努めてまいります。
【答弁 水道事業管理者】
水道料金についてお答えいたします。
まず、茨城県中央広域水道用水供給事業の実施協定書の見直しと受水の中止についてのご質問でございますが、当該事業につきましては、昭和59年3月、市議会の同意を得て関係市町村とともに茨城県に、水道法に基づく広域的水道整備計画の策定の要請を行い参画し協定したものであります。
しかしながら、本市におきましては、水道供給量減少の中、協定の1日最大給水量30,400m³に対し、十級契約水量4,742m³にとどめております。
また、受水料金につきましては、県が経営する用水供給事業の中で突出して高い水準であり、受水団体の経営を圧迫している状況にあります。このようなことから、県及び11市町村で構成する中央広域水道建設促進協議会で懸案事項等について協議・検討を行うほか、受水料金の引き下げについては、引き続き県に対して強く要望をしてまいります。
さらに、県からの受水の中止については、大規模災害や突発的な事故など、発生が懸念される多様な危機に対応する必要があり、市民の安心・安全を図るため引き続き確保してまいります。
次に、老朽管更新への、国の補助制度を活用するに当たっては、厚生労働省の定めた複数の補助採択基準を全て満足する必要があります。本市においては、有収水量に対する減価償却費の割合が全国平均と比較して低いことや、資本単価や給水人口などが補助採択基準を満たさないことから、国庫補助制度を活用できない状況であります。
また、水道事業は地方公営事業として、独立採算制をとることから、一般会計からの繰り入れに頼るのではなく、公平性の視点から、受益者に負担を求めることを基本としているところであり、これまでも、一般会計からの繰り入れにつきましては、国からの地方公営企業繰出金についての通知に基づき、該当する事業について行ってきたところでありまして、今年度から安全対策事業に係る事業費の一部が認められております。
しかしながら、給水収益の伸び悩みなど本市の厳しい経営環境を踏まえ、全国の水道事業体で構成される日本水道協会を通じて、経年施設を多く有する水道事業者に対する補助採択基準の緩和や地方公営企業繰出制度の拡充等について関係省庁に対して要望したところであり、今後とも財源確保に向け、財政支援の拡充に向けた取組みを積極的に実施してまいります。
2.収税事務における債権差し押さえについて
(1)滞納整理について
水道料金や国保税、介護保険料など、あらゆるものが値上げされる一方で、所得や年金は減り続け、どうしたら滞納せず払い続けられるか、多くの市民が苦慮しています。高すぎる負担を見直さなければ、税金支払いのために自殺者さえ生みだしかねません。
水戸市は、市税や国保税を滞納した世帯への差し押さえを強化し、差押件数は3年間で4.8倍。510件(2010年度)から2,470件(2012年度)に急増です。税収確保・徴収率向上のかけ声のもと、目標達成に向け、収税課職員1人当たり差押件数は20件,1件当たり60万円で1,200万円を差し押さえるというノルマを課すのをやめるべきです。
2012年に自治労連がとりくんだ「税務職場実態アンケート」では、1人の職員が1000件~2000件を超える滞納者を担当していることが問題にされました。水戸市収税課はどのような実態にあるのかお示しください。1人で1000件も抱えていては、丁寧な相談対応は困難です。差し押さえありきで、機械的な滞納整理に職員を駆り立てるのではなく、滞納者の収入や生活実態に即した分割納付、徴収猶予措置の実行、生活保護や融資制度の活用等により生活を再建していく対応が求められます。市長の考えを伺います。
(2)児童手当差し押さえに対する違法判決について
税金滞納を理由に、預金口座に振り込まれた児童手当13万円を鳥取県が差し押さえたのは違法だとする判決が、先月11月27日に広島高裁で出されました。訴えていた男性は病弱な妻と子ども5人を抱え、仕事の収入が激減したため税金を約24万円滞納。2ヶ月半にわたり残高73円しかなかった銀行口座に児童手当13万円が振り込まれた直後、9分後に、県は全額差し押さえたのです。
広島高裁は、児童手当以外に口座への入金がない状況を知り得る状態にありながら処分を断行したのは、児童手当差し押さえを禁止する法律からの裁量逸脱であり、違法と認定しました。
そこで、市長に伺います。水戸市は昨年度の1年間だけで1,800件を超える債権差し押さえを実行していますが、児童手当や年金は、口座に振り込まれた時点で差し押さえ可能な預金債権になると判断しているのか、お答えください。また、先ほど例に挙げたような法に違反するケースはないのか、その根拠についてもお示しください。
(3)差押禁止財産の取り扱いについて
これら差押禁止財産の取り扱いについて、さらに伺います。過去の情報公開によって入手した「平成23年度差押等整理簿」を確認したところ、年金や児童手当、さらには児童扶養手当の支給日もしくは支給日翌日の差し押さえが20件ほど見受けられます。年金は偶数月の15日、児童手当は6・10・2月の13日、児童扶養手当は4・8・12月の11日が原則支給日ですが、支給日に年金や手当を差し押さえたのではないか、お答えください。
差押禁止債権を狙い撃ちする滞納処分が全国各地で問題となり、滞納者へのむごい仕打ちとなっています。市長の見解を伺います。
【答弁 高橋市長】(担当 収税課)
収税事務における債権差押えについてお答えします。
私は、市税収納率の向上につきましては、本市における最重要課題の一つと考えております。市民サービスの向上を図るためには、財政の健全化と税負担の公平性の確保が喫緊の課題であり、これまで、地方税法や国税徴収法等に基づき税収の確保に向けて努力してまいりました。
初めに、滞納整理における徴収職員の担当件数につきましては、平成25年度当初で1人あたり約1,300件でございます。この数値につきましては、納め忘れの方なども多く含まれていますので、実態として滞納処分が必要となる件数は、これを下回っております。
このような状況の中で、徴収職員への負担の軽減策といたしましては、少額滞納者に自主的な納税をお願いしており、また、滞納処分が必要な事案については、昨年度に刷新いたしました滞納管理システムを活用して情報を整理するほか、事務補助職員も大幅に増員しております。その結果、納税相談に来庁される方一人ひとりに対して、状況に応じた丁寧な対応を行っているところでございます。
次に、差押え禁止債権と預金債権の考え方につきましては、平成10年2月の最高裁判決において、法律により差押えが禁止されている債権であっても、受給者の預金口座に振り込まれ、預金債権となった時には、他の預金残高と区別することが困難となることから、差押え禁止債権としての属性を承継しないという考え方が示されています。しかしながら、今般の広島高裁松江支部における控訴審判決の事案につきましては、その預金残高のほとんどが児童手当の給付によって構成されていたことから、本来、差押え禁止である児童手当相当額の返還を命じております。
私は、差押え禁止債権については、口座に振り込まれて預金債権となったとしても、法律の趣旨を尊重すべきと考えており、本市では、預金債権の差押えに際して、入金直後であるなど明らかに差押え禁止債権であると認められるものにつきましては、差押えを中止するなど、滞納者への配慮をしているところでございます。
なお、本市の滞納処分において、差押え日と各種差押え禁止債権の支給日が同一、あるいは、接近している事例があるとのご指摘につきましては、年間を通じて滞納処分を執行している中で発生したものと考えられます。
収税事務につきましては、今後とも法令等を遵守し、財源の確保に向け、引き続き全力で取り組んでまいります。
3.原発事故対応と防災強化について
(1)放射線被曝の影響と市の対応について
水戸市は福島第一原発事故に対応して、市のホームページに「水戸市内放射線量のお知らせ」を掲載しています。学校や公園での空間線量測定数値などを表示するとともに「いずれの値も健康に影響はありません」と記載していますが、そう断定している根拠をお示しください。
茨城県は福島県の次に放射性ヨウ素の拡散濃度が高く、水戸市でも原発事故後の3月15日に空間線量が最高3.63マイクロシーベルトまで上昇しました。現在は低い場所で約0.08マイクロシーベルトですが、これでも原発事故前に比べると2倍の値です。こうした状態を考慮するなら、市民への広報は「直ちに健康に影響しないが、低線量被ばくによる晩発性障害は個人差と年齢差が大きく、確率的に発症するとされており、被ばく量は少なければ少ないほど良い」と示すべきではないでしょうか。低線量被ばくによる健康への影響は専門家でも意見が分かれます。空間線量や学校給食の食材、水や地元農産物は検査しているのに、なぜ子どもの健康調査は行わないのでしょうか。
チェルノブイリ原発事故の後、統計学的に明らかに増えたとされるのは子どもの甲状腺がんです。そして、福島県では11月12日の県民健康管理調査検討委員会において、原発事故当時に18歳以下だった子ども約22万6000人のうち、59人が甲状腺がんやその疑いがあることが明らかにされました。今後、甲状腺がんに限らず様々な晩発性障害が発症しても、放射線被曝との因果関係を個人で証明することは非常に困難です。全く被曝していない人の集団の発症率と比較して被ばく影響を求めたり、被曝する前後の健康状態の変化など、総合して判断されることになります。
そこで、第1に、継続的な子どもの健康調査の実施を求めます。第2に、水戸市の子どもたちが、学校保健安全法等に基づき保育所や幼稚園、小・中学校で定期的・継続的に行っている健康検査の結果により、心臓疾患や腎臓疾患など疾患の増減推移を市がきちんと調査・把握すること。第3に、これら健康検査による各個人のデータは貴重な資料であり、学校保健安全法で5年間とされている検査結果の保存期間を延長し、本人や保護者の求めに応じて開示できる体制を保障していくことです。これら子どもの健康検査に対する市長の見解を伺います。
【答弁 高橋市長】(担当 保健センター)
本市では、小中学校、幼稚園、保育所、公園など500箇所を超える公共施設において、空間放射線量の定期測定を行っております。また、市民からの申込に応じて、自宅などを市職員が訪問し、測定する訪問測定も行っております。
これらの測定結果は、すべて市のホームページなどを通じて公表しており、本市の空間放射線量は、毎時0.23マイクロシーベルト以下で、国が定めた基準である公衆の被ばく線量の限度である年間1ミリシーベルトを下回っております。
また、放射線被ばくによる健康調査についてでございますが、本年10月に公表された「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(案)」に対するパブリックコメント結果において、政府は、「福島県外でも健康調査を実施すべき」という意見に対して、福島県の近隣県における有識者会議において、科学的には特段の健康管理は必要ないとの結論がでていること、あわせて、WHO及び国連科学委員会の報告書における、放射線に起因する健康影響については、増加が認められる見込みはないとの評価を踏まえ、当面は、福島県民健康管理調査を実施するとともに、新たに有識者会議を開催し、今後の支援の在り方を検討するとの見解を示しております。
このため、本市におきましては、こうした国の動向を注視しながら今後の対応を検討するとともに、引き続き、公共施設における空間放射線量の測定を行い、市民にお知らせしてまいります。
さらに、児童生徒健康診断票につきましては、学校を卒業した日から5年間、学校保健安全法施行規則の規定に基づき保存しておりますが、この規定を超えて、卒業した児童生徒の個人情報を市が保管することにつきましては、個人情報保護の観点から困難でございますので、健康診断の結果を記録し、卒業時に児童生徒に返却する「健康手帳」の活用やその後の保存について、保護者へ十分な周知を図ってまいります。
(2)東海第二原発の再稼働に向けた動きと、安全協定の拡大について
日本原子力発電(株)は、今年7月11日に濱田社長が東海第二原発の再稼働方針を表明。6月からフィルター付ベントや防潮堤の工事を始めましたが、これは日本原電が茨城県や東海村と結んでいる原子力協定書に違反するものです。
協定書第5条には、「原子力施設及びこれと密接な関連を有する施設を新設し,増設し,変更しようとするときは,事前に県及び村の了解を得るものとする。」とあります。フィルター付ベントも防潮堤も重要な関連施設であり、事前説明も了解もない工事着工は明らかな協定違反であり、日本共産党は工事の中止を要請しました。高橋市長も6月20日に「甚だ遺憾だ」として日本原電に申し入れましたが、工事はそのまま続けられています。中止を求めるべきです。県民の7割を超える「再稼働反対」の世論に背を向け、協定書の内容さえ誠実に履行しない日本原電の対応は許されません。
東海第二原発は11月28日で運転開始から35年経過した老朽化原発です。原子力規制委員会が定めた原則40年運転までのあと5年です。にもかかわらず、再稼働をめざし、20年延長して60年運転の可能性まで言及しています。ベントや防潮堤工事にいくらかけるのか。東海村議会が視察調査した際、防潮堤だけで200~300億円かかると説明したようですが、工期は何年なのか。水戸市は日本原電の計画をしっかり確認できているのかお答えください。
また、年内をめどに回答するとされた原子力安全協定の枠組み拡大について、今月中に回答が得られると確認しているのでしょうか。回答の先延ばしや、再度のゼロ回答は許さない、より多くの市民や自治体の意見を反映させる立場で日本原電に迫るべきです。「甚だ遺憾だ」というだけでは、市民の安全を脅かす再稼働への動きを止められません。再稼働は認められないと市長が表明するよう求めます。
【答弁 高橋市長】(担当 地域安全課)
東海第二原発に関する御質問についてお答えいたします。
東海第二発電所につきましては,日本原電から,本年6月に,福島第一原子力発電所の事故を踏まえ,原子力規制委員会の新規制基準である放射性物質の放出を低減する格納容器のフィルター付ベント設備の設置や,津波災害対策としての防潮堤の建設などの安全対策に着手するとの報告がありました。
両工事とも,着工から2年ないし3年の工期が必要との報告がありましたが,工事費用につきましては,金額の提示は受けておりません。
原子力安全協定の見直しにつきましては,本市はもとより原子力施設周辺の一体的な安全確保を重要課題として捉え,「県央地域首長懇話会」として,昨年の7月に,日本原電に申し入れを行い,本年7月19日に,速やかな回答を求めるために,再度,申し入れを行ったところであります。
これまでのところ,東海第二発電所に係る重要事項等の情報提供について,本年2月に覚書を交わし,強化を図ったところでありますが,安全協定の枠組みや協定内容の見直し等については,検討を進めるとの中間回答にとどまっていることから,要求の実現に向け,日本原電に対し,年内に回答するよう強く求めているところであります。
(3)防災ラジオの普及による情報伝達体制の拡充を
日本共産党水戸市議団が先月行った市民アンケートに、要望が寄せられました。「防災無線や防災ラジオは、原子力災害だけでなく、地震や風水害にも有効だが、水戸市でも長時間の停電にも対応できる伝達体制の速やかに整備して欲しい」との声です。市は、FMぱるるんとの連携を強化し、ラジオ活用を掲げていますが、緊急時・停電時に対応した受信機が市民に普及されないままで良いのでしょうか。
日本共産党茨城県委員会と水戸市議団は11月25日、大門みきし参議員議員とともに、議員会館で総務省消防庁防災課防災情報室の課長補佐と直接交渉し、防災ラジオ設置に対する国庫補助を求めました。その時、示されたのが「防災行政無線の整備にかかる財政措置」です。防災ラジオの普及と、電波が届きにくい場所への補完中継アンテナを一体的に整備する場合、100%起債が認められ、その70%が交付税算入されます。「これらを活用してほしい」との回答でした。各家庭への防災ラジオを普及し、「市役所から何の情報もなかった」という事態を2度と繰り返さないよう求め、市長の考えを伺います。
【答弁 高橋市長】(担当 地域安全課)
防災ラジオの普及による情報伝達体制の拡充についてお答えいたします。
災害時における市民への情報提供は,被害の抑制や不安軽減の観点から大変重要であり,震災等の教訓を踏まえ,情報提供手段の強化を図っております。
震災後におきましては,FMぱるるんとの協定の見直しを図るとともに,今年度中には,ラジオ放送の割込み装置を導入し,迅速な情報提供体制を確立してまいります。FMぱるるんの電波エリアにつきましては,建物の陰などにおいて,入りにくい場所があるものの,市内全域をカバーしていることを確認しております。
本市において,ラジオ放送による災害情報の提供は,有用なものであり,ラジオによる災害情報の入手は,一般のポータブルラジオや車において可能であります。各家庭におきましては,ラジオが普及していると認識しており,FMラジオの活用に関する専用パンフレットを作成し,防災訓練や防災講座,さらには,私自ら,市民の皆様と接する機会に,積極的にお伝えしているところであります。
現在,本市においては,市内全域における災害情報提供手段の見直しについて,庁内において協議を重ねるとともに,水戸市第6次総合計画(案)に位置付けているところであります。震災等の教訓を踏まえるとともに,現代の社会様式や住環境に即した情報提供手段の整備を早期に進めてまいります。
災害時においては,ラジオに加えて,市ホームページ,登録制のメールマガジン,ツィッター,広報車,さらには市内の携帯電話に一斉に配信する緊急速報メールシステムなど,複数の手段を活用し,避難所や給水場所など市民の皆様が必要とするきめ細やかな情報を積極的に提供してまいります。市民の皆様におかれましても,テレビの情報を含め,ひとつでも災害情報を入手した方は,隣近所の方に声をかけていただき,市民協働により,情報が漏れなく伝わるような地域づくりを進め,ハード・ソフトの両面において,さらなる災害情報提供体制の充実,強化を図ってまいります。
4.秘密保護法の撤回を国に求めること
次に、特定秘密保護法について伺います。秘密保護法が施行された場合、水戸市など地方行政にはどのような影響が及ぶのか、市長の見解を伺います。
国会最終日とされた12月6日の深夜、国民多数の反対の声、圧倒的多数の徹底審議を求める声を真っ向から無視して、強行可決されました。アメリカと情報を共有し、国家防衛の名のもとに集団的自衛権を行使し、軍事作戦を行う仕組みづくりです。国の行為を明らかにしようとすれば懲役刑に罰するという、まさに現代版治安維持法です。
水戸市でも市内各所で抗議行動やデモが行われ、茨城県弁護士会なども反対声明を出して廃案を求めました。福島県を始めとする全国の地方自治体首長からも慎重審議を求める声が多数あがりました。日本共産党は断固、法律撤回をめざします。
橋本昌県知事は11月の定例会見で、「国から特定秘密の指定を受けた場合、それに応じた体制を自治体側でもとっていかなければならない。原子力関係や国民保護訓練などいろいろあるかもしれない」と容認しています。しかし、どの情報が秘密のかが秘密であり、地方自治体はどう体制をとるのかも示されないままの強行可決です。地方公務員は地方公務員法によって、守秘義務違反は懲役5年とすでに規定されています。これを懲役10年に罰則強化して個人を縛るものです。水戸市においては、市民の個人情報をしっかり管理・保護しながら、行政情報は公開を基本とし、透明性を高めることです。国の情報を国の判断で秘密扱いにして、国民の知るべきことが知らされない社会にしてはなりません。市長の所見を伺います。
【答弁 高橋市長】(担当 総務法制課)
特定秘密保護法についてお答えします。
特定秘密の保護に関する法律につきましては,国民の安全を確保するため,防衛や外交などの特定の安全保障の分野における情報について,特定秘密に指定し,取扱者を制限した上で,その漏えいを防止することを定めたものであり,12月6日に成立したところでございます。
御質問の市民に対する影響につきましては,特定秘密に指定される情報が安全保障の分野に限定されておりますが,様々な問題が指摘されていることから,法の運用について,市民生活への影響が生じないよう注視していきたいと考えております。
私といたしましては,成立までの過程において,丁寧な説明,議論が足りなかったように感じており,法の恣意的な運用に不安を抱いている多くの国民がいることも認識しているところでございます。
行政には,市民の知る権利を保障し,情報を公開していく責務がございますので,国におきましては,特定秘密の範囲拡張や国民の知る権利に対する侵害がないよう,法の厳格な運用を求めるものでございます。
5.子ども医療費助成制度の所得制限は廃止を
最後に、子ども医療費補助制度について質問します。10月から中学3年生まで補助が拡大されました。ところが、所得制限によって約半数にあたる3,300人の中学生が補助を受けられません。小学生でも約4割、修学前乳幼児でも約3割の子どもが補助を受けらない所得制限は廃止するよう求めます。こちらのパネルをご覧ください。県内44市町村のうち、赤く染めた30市町村がすでに所得制限を廃止しています。
今年3月の私の一般質問に対し、市長は「一定の所得制限は必要だ」と答えましたが、夫婦と子ども1人の場合、年所得431万円の制限額を、市長は適当だ、妥当だと考えているのかお答えください。
所得制限は、世帯のうち所得が一番多い人で判断されます。例えば、父親の所得が400万円、母親も400万円、合わせて800万円ですが、それぞれは制限額以下なので補助が受けられます。一方、父親の所得が500万円、母親は働いておらず所得ゼロ、世帯の所得は500万円ですが、父親が制限額を超えるので補助が受けられません。この矛盾を市長はどうお考えでしょうか。矛盾は所得制限がある限り解決できません。「子どもの命と健康をまもり、子育てを支援する」「どの子もお金の心配なく病院にかかれるようにする」という視点に立ち、所得制限廃止の決断を市長に求め、1回目の質問を終わります。
【答弁 高橋市長】(担当 国保年金課)
子どもの医療費助成制度についてお答えいたします。
子どもの医療費助成につきましては、未来への投資として、子育て世代の負担軽減を図るため、その対象を市単独で中学校3年生まで拡大し、本年10月から実施しているところでございます。
この制度の目的は、医療費の一部を助成し、生活の安定と福祉の向上に寄与するものでありますが、本市の厳しい財政状況の中、将来にわたり持続可能なものとするためにも、一定の所得制限は必要であると考えております。
県の補助制度を活用して財源確保を図るとともに、所得制限についても県の基準に基づき、事業を推進してまいりたいと考えております。
また、急速に進行する少子化は、人口減少をはじめ、社会経済状況にも大きな影響を及ぼすことが懸念されており、我が国の未来にかかわる重大な課題と考えております。こうしたことから、子どもの医療費助成制度につきましては、国、県がベースとなる制度を創設・拡充し、市町村がその制度を活用して、地域の独自色を打ち出すことが望ましいと考えておりますので、引き続き、国、県に対し、子どもの医療費助成制度の創設等について働きかけてまいりたいと考えております。
質問と答弁が予定時間を超えたので、再質問はしませんでした。
放射線被曝の健康への影響について、市がホームページで「いずれの値も健康に影響はありません」と広報している根拠は、国の基準値(空間放射線量)を下回っていることだけという答弁した。今後、不幸にして病気が現われても、「水戸市において因果関係はありません」と今から印籠を突き付けるものではないでしょうか。
被ばくした住民の健康管理は、本来は国の仕事であり、医療費も国が負担すべきです。しかし、政府は「原発の放射線被曝で亡くなった人はいない。因果関係が明確でないのもに補償はできない」という対応です。子ども・被災者支援法も、福島県の一部を指定したのみで、法の目的を骨抜きにしようとしています。だからこそ、市町村の取り組みが重要になっているのです。
また、子ども医療費助成制度の所得制限について、矛盾が生じていることを市長にも伝え、こうした矛盾をなくすためには所得制限をなくすしかないと求めました。市長は「一定の所得制限は必要」と言いますが、乳幼児の3割、小学生の4割、中学生の5割が医療費補助を受けられないような厳しい所得制限が適切とは言えません。
水戸市の認識や広報、制度の改善にむけて、これからも取り組みます。