2024年6月 茨城県議会第2回定例会 江尻かな議員の最終日討論(要旨)
日本共産党の江尻加那です。議案及び請願等の採決にあたり、討論いたします。
はじめに、第114号議案 大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整備についてです。
2つの法律が国会で改定したことにより、大麻の成分を使った医薬品の利用が可能となりました。難治性てんかんなど医療用大麻を必要とする患者にとって朗報であると同時に、許可を受けない大麻が麻薬と位置づけられ、不正に使用した場合には7年以下の懲役刑が科されることになりました。
背景には、大麻による検挙が過去最多となり、その約7割が30歳未満であるなど、若い世代で増加していることがあります。
一方、厚生労働省の検討会では、使用しただけで刑事罰を科すことに12人の委員中3人が反対し、国会の参考人質疑でも、薬物依存症の支援団体等から懸念が示され、法律の付帯決議にも盛り込まれました。
その理由は、大麻使用者や家族が相談したくても逮捕や刑事罰を恐れて相談しづらくなり、治療プログラムへの参加が遅れ、社会復帰を妨げることなどを挙げています。他人に誘われて使ったような学生や若者に「前科」として残る刑事罰を科すことが妥当なのか議論が尽くされていません。厚労省が、法案策定過程で依存症支援団体のメンバーを排除したことも問題であり、共産党は反対しました。
薬物依存症の人に必要なのは厳罰化ではなく相談・支援・治療であり、徹底した議論が必要です。よって、問題を含む法令を根拠にした条例改定に賛成できません。
次に、請願6年第1号 鹿行地域の医療体制充実・茨城県厚生連なめがた地域医療センターの機能回復に関する請願を不採択とすることに反対です。
請願事項は4項目です。(1)医師及び運営費確保に対する行政の支援、(2)透析センターを閉鎖させず、今ある全ての診療科・部門を維持する、(3)閉鎖されている入院や手術を段階的に回復させる、(4)日中・夜間を含め救急受入体制を拡充する─ことです。どれも鹿行地域における公的医療機関としての役割をしっかりと担えるよう県と厚生連に求めるものです。不採択にする理由があるでしょうか。
約3千名の署名とともに寄せられた地域住民の声も読みました。
ある男性は、「なめがた医療センターに通院していたが、今は土浦協同病院に回され土浦に通っています。しかし、だんだん年を取って土浦までは遠くてつらい。何とかなめがたに戻りたい」と訴えています。また、ある方は、「頼りにしていたなめがた医療センターが縮小され、いずれ廃止になるのではないかと心配しています。機能回復を切に望みます」と寄せています。
さらに私が注目したのは、救急隊員の声です。「行方市内で救命士として働いています。縮小する際に、なめがたで診るべき患者は土浦協同病院が受け入れるという話でしたが、実際は断られることや近隣病院に問合せろと返答されることも少なくありません。土浦協同は3次病院なので事情はわかりますが、地域住民の理解は得られないと感じます。JA厚生連は、農民の健康は農協組織の手で守ることが目的としていますが、農業大国・鹿行地域から撤退することは、この理念から外れるのではないでしょうか」というものです。
今回の厚生連労働組合の請願のきっかけとなったのは、昨年8月に「透析センターを本年度いっぱいで閉鎖する」との提案が厚生連からなされたことです。それ以前の機能縮小時に、「透析、訪問看護・訪問リハビリを含む現行の外来診療科はすべて維持する」と約束したにも関わらずです。
さらに、昨年12月に厚生連と行方市が「地域医療連携協定」を結んだ後も、今年3月には透析の閉鎖だけでなく、なめがたセンターを土浦協同のサテライトとして限りなく縮小し、診療所化して医師や看護師を減らす計画を示しています。
せめて、今ある機能を残すべきという現場の声、そして住民の切実な声に共感し、一人でも多くの議員の賛同をいただき、採択することを強く願います。同趣旨の請願は、行方、鉾田、鹿嶋それぞれの市議会にもかけられ、「主旨採択」されたと聞いています。
行政と厚生連が協力方針を掲げ、できる限りの医療体制を何としても守り抜く、その守り手としてなめがた地域医療センターの機能回復に力を尽くすことを求め、討論を終わります。
以上