2024年6月茨城県議会 江尻かな議員の本会議議案質疑と答弁(大要)

江尻かな議員の本会議議案質疑と答弁(大要)

2024年6月10日(月) 茨城県議会 第2回定例会

【第116号議案】

日本共産党の江尻加那です。
第116号議案「茨城県幼稚園型認定こども園、保育所型認定こども園及び地方裁量型認定こども園の認定要件に関する条例の一部改正条例」について、質疑いたします。

本条例改正は、国が今年度から、保育士1人が受け持つ3歳児を最大20人から15人に、4・5歳児は30人から25人に減らすよう基準を改定したことに伴うものです。

背景には、保育現場での事故や不適切な保育により子どもの安全が守られないこと、保育士が少ないため過重労働となり保育士不足が深刻化していることを踏まえたとされ、国は76年ぶりに基準を見直しました。

遅きに失するとは言え、「子どもたちにもう1人保育士を!」という世論と運動が国を動かしました。この見直しが本当に改善につながっていくのか重要です。

これまでも保育士の加配に加算は実施されてきましたが、国の「3歳児配置改善加算(2015年度開始)」 の本県における適用実績は、昨年度で約8割。また、3歳児以上の「チーム加算(2020年度開始)」は、認定こども園で約7割(私立498施設のうち366施設・73%)、保育所に至っては約2割(私立329施設のうち51施設・15%)にとどまっています。

保育所がとくに低いのは、国の加算の要件が職員の経験年数が平均12年以上でないと認められないためと考えられ、本県の平均年数が6.6年であることから厳しすぎます。

本県独自に、1歳児を担当する保育士を基準(1:6)以上配置する施設への補助(1歳児1人につき月5,000円)を継続すること、及び、国として今度は0・1・2歳児の配置基準も見直すことなど、さらなる改善が必要です。

そこで、以下4点について福祉部長に伺います。

(1)基準改正の対象となる施設は本県にいくつあるのか伺います。

(2)第2に、基準を満たすために保育士を増やす必要がある施設も多いと考えますが、今でも求人を出しても応募がなく、人材紹介会社に高いお金を払って紹介してもらっていると伺っています。大本は、保育士の処遇が低すぎるという問題です。そこで、本県の保育士の給与は、全国の保育士に比べ、また全職種に比べてどれくらい差があるのか伺います。

(3)第3に、今回の改正にあたり、国は新たに「4歳以上児の配置改善加算(2024年度開始)」を導入しました。そこで、これまでチーム加算等が受けられなかった施設で新たな加算を利用するなど、すべての施設で適切に加算が受けられるよう、県はどのように周知に取り組むのか伺います。

(4)最後に、まずは今回の3・4・5歳児の見直しがしっかり実行されるべきですが、国は当分の間は従前の配置数でもよいとし、その経過措置の期限さえ示していません。そこで、すべての施設で早急に改正後の基準を満たせるよう、県としてどう取り組んでいくのか伺います。

以上で議案質疑を終わります。

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●福祉部長 答弁

江尻加那議員のご質問にお答えいたします。
第116号議案茨城県幼稚園型認定こども園、保育所型認定こども園及び地方裁量型認定こども園の認定要件に関する条例の一部を改正する条例についてでございます。
議員から、4点ご質問をいただきました。

まず1点目の国の配置基準の改正により、対象となる施設数についてでございますが、県内では合わせて700施設でございます。

次に2点目の県内保育士の給与に係る状況についてでございます。
保育士の給与の状況が分かる統計としては、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」がございますが、2023年の調査結果によりますと、本県の保育士の給与月額等の平均は、勤続年数6.6年で25万5千円、全国平均は勤続年数8.5年で27万1千円でございます。
その差は1万6千円となりますが、それぞれの平均勤続年数が異なることや、保育士の場合は、施設運営の基準となる国の公定価格が地域によって違うため、一概に比較することはできないと考えます。

なお、近隣県と比較いたしますと、栃木県は平均勤続年数9.8年で24万5千円、群馬県は平均勤続年数11.6年で25万7千円、山梨県は平均勤続年数6.6年で24万7千円となっており、勤続年数を考慮すれば、本県の給与水準は近隣県を上回る水準と考えております。

また、全職種の全国平均は、勤続年数12.4年で34万7千円であるため、本県の保育士とは、9万2千円の差がございますが、こちらにつきましても、平均勤続年数の違いや、職種により給与体系が異なることから、比較は困難と考えております。
なお、経営者に対しましては、保育士の給与の配分を上げるよう働きかけ、着実な給与の改善を促進しているところでございます。

次に3点目の条例改正に関連した国の加算措置についての周知でございます。
国の配置基準の改正とともに、本年4月から国において4歳児及び5歳児クラスの職員配置を改善するための加算措置が設けられました。

県といたしましては、市町村の担当者向け説明会を開催し、制度の概要などについて周知を図るとともに、保育団体との意見交換において、基準改正による混乱が生じないよう、丁寧な説明に努めてきたところでございます。引き続き、加算措置が適正に活用されるよう、機会をとらえ、関係機関などへの説明を重ね、一層の周知を図ってまいります。

なお、加算の認定は、施設が所在する市町村が行うことになっておりますことから、県といたしましては、申請手続きや要件の審査に係る照会に対応するなど、市町村において円滑な認定手続きが行えるよう助言してまいります。

最後に、4点目の条例改正に伴う県の取り組みについてでございます。
基準改正に対応した配置を行うことは、保育士の負担軽減や、ゆとりのある保育の提供が可能となり、子どもを巡る事故防止や不適切な事案の抑制につながることから、できるだけ早く取り組む必要があると考えております。

このため、県といたしましては、改正された配置基準に対応した必要な保育士の確保ができるよう、市町村と連携しながら、施設の配置の現状や今後の計画をしっかりと把握してまいります。

また、「いばらき保育人材バンク」において、潜在保育士や再就職を希望する方を掘り起こし、施設とのマッチングを進めるとともに、働きやすい職場環境づくりのため、管理者などを対象としたセミナーの開催や、先進的な事例の紹介などに取り組んでまいります。

以上

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