2014年6月議会一般質問 年金、保育・介護職員処遇改善、教育・部活動、空間放射線量
2014年6月19日の水戸市議会本会議で一般質問に立ちました。
以下、質問と答弁の要旨を掲載します。
日本共産党水戸市議団の江尻加那です。通告にしたがい一般質問を行います。
項目
1.年金について
(1)受給額について
はじめに、年金について質問します。今年4月、年金支給額がまた引き下げられました。どこへ行っても、多くの市民の皆さんから「これ以上年金引き下げでは暮らしていけない」と声があがります。一人暮らしのある女性は「私の国民年金では、医者から処方された薬も控え、食べるもの着るものを節約しても生活していけない。こんなに少ない年金をさらに引き下げるのは、早く死になさいということです」と話しておられました。
今回の年金削減は、2012年11月、総選挙直前の民主党政権のもと、民主と自民、公明の3党合意で可決され、昨年10月と今年4月、そして来年4月の3年間であわせて2.5%削減するものです。消費税増税と一体で、年金生活者の暮らしは厳しくなる一方です。
今回の年金削減に対し、全国で126,642人がいっせいに不服審査請求を出しました。茨城県でも1,932人(水戸市163人)の高齢者が、年金引き下げは許せないと不服審査請求したのは初めてのことであり、それだけ、削減の不当性に怒りが広がっています。
削減の根拠にされている「消費者物価指数」下落は、パソコンや大型家電用品の値下がりが主な原因です。高齢者の場合、支出の多くは食料品や光熱費、医療費、介護費用であることが考慮されていません。なおかつ、国保税や介護保険料などは、物価指数の対象になっていないことも問題です。
今回の年金削減以前にも、物価スライドにより10年間で5回(03年、04年、06年、11年、12年)、計2.2%も下げられてきました。その影響額は、厚生労働省の調査で、厚生年金の平均受給額が年間204万円から180万円に24万円の削減、月額で2万円も減りました。さらに、支給額の少ない国民年金では全国平均で月額5万4千円しかありません。(「厚生年金保険・国民年金事業の概況」より)
そこで、水戸市民の国民年金平均月額はいくらかお答えください。合わせて、度重なる年金削減が水戸市民の高齢者の暮らしにどんな影響を与えているか、市の見解を伺います。
(2)保険料納付及び免除・納付猶予の状況について
次に、水戸市における国民年金保険料の納付状況について伺います。20歳以上の国民が納める保険料は値上げされ、今年度(2014年度)は月15,250円です。収入が月7、8万円しかない労働者でも1万5千円で、学生など収入がなくても納付義務があり、政府は徴収強化や未納者への差し押さえを増やしています。しかし、所得に応じた保険料への引き下げや、労働者の不安定雇用や低賃金こそ解決すべき政治の責任です。
そこで、水戸市における国民年金保険料の納付状況と、保険料の免除や納付猶予の状況がどうなっているのか伺います。
(3)年金削減の中止を国に求めること
第3に、年金削減の中止を国に求めることです。来年4月は0.5%の引き下げ計画です。さらに安倍内閣は、年金支給額を恒久的に削減する改悪や、年金の支給開始を68~70歳に先送りにし、現役世代が将来受けとる年金を大幅削減する改悪も検討しています。これでは、年金不信はいっそう拡大し、生活苦と将来不安はますばかりです。こんな年金削減はやめよと水戸市から国に意見をあげていただきたい。市の見解を打伺います。
【秋葉保健福祉部長 答弁】
江尻議員の一般質問のうち、年金についてお答えいたします。
国民年金につきましては、国の社会保障制度の一つであり、年金給付や保険料の徴収、免除の決定等の業務運営を日本年金機構が担い、市町村は年金請求や免除申請手続等の一部事務を国からの委託により実施しているところであります。
初めに、水戸市の国民年金受給額でございますが、日本年金機構に受給権者数、支給額を確認いたしましたところ、平成24年度につきましては、平均月額53,146円となっております。(※国民年金受給権者は53,828人で、厚生年金や共済年金及び基礎年金のみ全体の数)
次に、保険料納付及び免除、納付猶予の状況についてのご質問のうち、水戸市の保険料納付状況でございますが、平成20年度から平成24年度までの過去5年間の納付率は54%前後を推移し、平成24年度は54.5%となっております。
また、免除、納付猶予の状況でございますが、免除者数は増加傾向にあり、平成24年度は13,707人で(※納付猶予も含む)、免除率は34.2%でございます。
次に、年金削減の中止を国に求めることについてでございますが、本市は、国民年金の一部事務を「法定受託事務」として行う立場にあります。公的年金制度は、国民生活の安定の基盤となる極めて重要な制度であり、長期的な持続可能性を確保するためにも、関連機関と連携しながら、国民年金制度の意義や役割について周知を図るなど、適正な運営に努めて参りますので御理解願います。
2.福祉行政について
(1)保育所や介護サービス事業所の職員の処遇改善について
国や自治体の補助金を活用して新たな保育園や特別養護老人ホームが新設されても、そこで働く保育士や介護職員の人材不足が全国的に問題になっています。水戸市内の施設においても、職員確保に施設管理者が苦労されている状況を耳にしますが、市の把握状況を伺います。現場ではやりがいを感じながらも、重い責任、きつい仕事、低い賃金の改善はまったなしです。厚生労働省の調査によると、すべて職種の労働者の平均賃金が325,600円であるのに対し、保育士は214,200円、介護職員が218,400円と、それぞれ10万円以上低くなっています。この間行われた国の処遇改善対策により、実際の賃金引き上げにどれだけの効果があったのか伺います。賃金格差の是正にむけ、さらなる処遇改善を国に強く求めるべきであり、市の認識を伺います。
【秋葉保健福祉部長 答弁】
福祉行政についてのうち、介護保険サービス事業所の職員の処遇改善についてお答えいたします。
高齢化の進展に伴い、介護ニーズが増大するなか、サービス提供を担う介護人材を確保することは重要な課題となっています。しかしながら、介護職員については、離職率が高い、人材確保が難しい等の状況にあります。これは介護職員の賃金が低い等の処遇の問題が一因であると考えられます。他の業種との賃金格差を縮め、介護における雇用を安定させ、優秀な人材を確保していくためには、介護職員の処遇改善を進めることが必要であり、これまで、国では、介護職員処遇改善加算等による処遇改善を図ってまいりました。今後、更なる介護職員の確保に向けた方策を講じるとの動きもあることから、国の動向を注視し対応してまいりたいと考えております。
【中里教育次長 答弁】
江尻議員の福祉行政についての一般質問のうち,保育所での職員の処遇改善についてお答えいたします。
保育所は,地域で最も身近な児童福祉施設として,さらには子育て家庭の求めているニーズに応える施設として,その役割はますます重要なものとなっております。
一方で,保育の担い手である保育士等については,新規人材の確保はもとより,継続的に勤務することができる取り組みが必要であると認識しております。
このようなことから,昨年度,安心こども基金を活用した「保育士等処遇改善臨時特例事業費補助金」について補正により6,100万円を予算化し,民間認可保育所へ交付いたしましたが,保育所に勤務する職員の賃金改善を図ることで,処遇改善に一定の効果を上げていると考えております。
今年度につきましても,保育士等の処遇改善を図ることにより人材確保につながるよう,民間認可保育所に対し,国の保育緊急確保事業費補助金を活用してまいります。
さらに,来年度から実施予定である子ども・子育て支援新制度におきましては,公定価格の設定において処遇改善等加算により,引き続き保育士等の処遇改善を進め,人材の確保がしやすい環境を整えてまいります。
(2)生活保護行政などにおけるDV被害等の女性に配慮した対応について
DVや性暴力は被害者の心身を深く傷つけ、異性に対する恐怖心に苦しんだり、精神不安定になったり、家庭生活や仕事を続けられなくなって経済的困窮につながるケースも少なくありません。行政支援の充実、個人情報保護等の徹底はもちろんですが、被害を受けた女性から、行政の対応は女性職員が行うようにしてほしいと相談が寄せられました。これに対し生活福祉課は、担当する男性ケースワーカーを女性に交代させることは困難だが、女性職員が同席、同行することで対応したいと言っていますが、現に対応できていないケースがあります。今後の改善を求め見解を伺います。
【秋葉保健福祉部長 答弁】
生活保護行政などにおけるDV被害等の女性に配慮した対応についてお答えいたします。
初めに、職員の配置状況につきましては、現在、ケースワーカーは49名であり、そのうち女性のケースワーカーは11名で、被保護者の生活指導等を行うため、訪問活動を実施しているところでございます。
DV被害等への女性への対応につきましては、これまでも、男性ケースワーカーのみで訪問等は実施せず、女性ケースワーカーとの同行訪問や窓口対応時の同席など援助内容に合わせ対応しているところでございます。
今後もケースの状況を適宜把握し、きめ細やかな対応をしてまいりたいと考えております。
3.教育行政について
(1)就学援助費の支給方法について
次に、教育行政のうち、小中学校に納める給食費や学用品代、修学旅行費などへの就学援助制度について伺います。今年度(2014年度)から就学援助の収入基準が生活保護基準額の1.4倍未満に拡大されました。そこで、昨年に比べて就学援助の件数は増えたのか、状況を伺います。また、就学援助の支給方法について、今は市が学校長の口座にまとめて振り込み、学校から保護者に手渡されていますが、保護者の口座にへの直接振り込みへと支給方法を見直すべきと考えます。宇都宮市や前橋市、高崎市では、プライバシーや利便性を考慮して、保護者の口座に振り込みを行っています。本市でも、子どもの医療費助成や幼稚園保育料補助などは口座振り込みが実施されており、就学援助費も同様の取り扱いにすることについて見解を伺います。
【中里教育次長 答弁】
教育行政についてお答えいたします。
はじめに,就学援助費の支給方法についてでございますが,子どもを安心して生み,健やかに育てる環境づくりをより一層進め,すべての子どもたちが教育を等しく受けることができるよう,就学援助制度の充実は重要であると認識しております。
本市の準要保護児童生徒の就学援助につきましては,本年度から,収入基準を生活保護基準額の1.2倍未満から1.4倍未満に緩和し,制度の充実を図っているところです。
基準を緩和したことにより,認定者数は,5月1日現在で前年度と比較して,小学校は485名から603名に,中学校は383名から435名と合計して170名,約20%増えております。引き続き制度の周知を図り就学援助を必要とする世帯が申請できるように努めてまいります。
また,本市における,就学援助費の支給方法につきましては,市から学校長の口座に振込み,未納金がある場合は,保護者の了解を得て充当した上で,学校から保護者に現金支給を行っているところです。直接保護者と対面するため,保護者と学校が家庭状況や学校生活等に関する情報交換を行うことに役立っており,各学校において,プライバシー等に十分配慮しながら実施しております。
議員御提案の保護者へ直接口座振込みをする支給方法につきましては,保護者の利便性の向上につながるものと考えますが,振込手数料や未納対策などの問題も生じるため,学校や保護者等の要望を把握しながら検討してまいります。
今後とも社会情勢等を注視しながら,経済的理由により児童生徒の就学が困難にならないよう,就学援助制度の趣旨に基づき,適切な運用に努めてまいります。
(2)学校施設・設備の安全点検について
学校保健安全法に基づく定期安全点検は、危険個所の発見や災害時における避難経路の確保など、学校生活を安全に送るために重要です。例えば、点検対象である防火扉や防火シャッターは、火災が起きた時に扉が閉まって炎が広がらないようにする役割がありますが、昨年10月に起きた福岡市の整形外科医院の火災では、閉まるはずの防火扉が閉まらず、死者10名、負傷者5名を出しました。
そこで、水戸市内の小中学校49校における安全点検の実施状況、特に防火扉等が改善されないまま長期間放置されている箇所はないか。万が一の火災発生時に作動しなかったでは済まされません。いつまでに改善される計画かお答えください。
【中里教育次長 答弁】
学校施設・設備の安全点検についてお答えいたします。
学校施設及び設備につきましては,学校保健安全法に基づき,学校において,毎月1回,安全点検を実施し,また,自動火災報知設備などの消防設備につきましては,消防法令に基づき,年2回,専門業者に委託して保守点検を実施しております。
これらの点検を踏まえ,不具合があった場合については,安全が確保されるよう,早急な対応に努めております。
このうち,防火扉等については,軽易なものも含め,保守点検により指摘を受けている学校が,現在19校確認されており,実際の火災時に作動しないというようなことがないよう,随時,改修等を実施しているところであります。
また,防火シャッターにつきましては,平成17年度の建築基準法改正により,防火シャッターが閉まる際,障害物等があった場合の安全装置を設置するなど,安全性について見直しがあったところであります。
本市においても,この改正を受けて,既存の防火シャッターにつきましては,小学校を優先して,計画的に改修を進めております。
(3)学校でけがの発生状況と中学校運動部活動のあり方について
次に、学校での児童生徒のけがの発生状況について伺います。本市では、小学校でのけがの発生する割合に比べて中学校は2倍多く、その半数以上が運動部活動でのけがだとお聞きしました。運動にけがはつきものとするのでなく、1人でもけがする子どもを減らす取り組みが大切だと考えます。先月、常陸大宮市で行われた中高生を対象にしたスポーツ講演会では、日本体育協会公認スポーツドクターで筑波大の向井直樹准教授が講演し、「練習時間が長すぎるのは危ない。自分の体を毎日しっかり観察しよう」と、けが防止策としてストレッチ運動の指導を実践したことが茨城新聞に紹介されました。
また、昨年、長野県教育委員会が示した「中学生期の適正なスポーツ活動のあり方」に関する報告書が全国的に注目され、部活の朝練禁止は是か非かと話題になっています。しかし、示された方針は、決して朝の部活動だけではなく、中学校の運動部活動はどうあるべきか、全国に共通する問題を投げ掛けています。
報告書では、「休養も練習の一部」「個々人の能力に応じて楽しさを経験できるような指導が大切」「『栄養・運動・睡眠』の3本柱をトータルで考える」ことなどを提言しています。睡眠不足で長時間の練習をする結果、けがをする生徒が多くなっていることにも注意を促しています。生徒の問題だけでなく、学校としても重要な課題です。生徒の状態を一番把握できる学校において、それぞれ部活動について検討、実施されていると考えますが、本市教育委員会の基本的な考えについて伺います。
【中里教育次長 答弁】
学校でのけがの発生状況と中学校運動部活動のあり方についてお答えいたします。
はじめに,スポーツ振興センター災害給付を受けた怪我の発生件数は,平成24年度で小学校729件,中学校775件で,発生率は,小学校5.22%,中学校11.04%であり,全国平均を下回る数値となっております。
また,小中学校での怪我の状況の違いや特徴といたしましては,小学校では体育や休憩時間に起こるケースが多く,中学校では運動部の活動によるものが半数以上を占めており,小中学校ともに,骨折,捻挫,打撲が約半数となっております。
次に,中学校運動部活動のあり方についてでございますが,運動部活動は,生涯にわたってスポーツに親しむ能力や態度を育て,学級や学年を離れて生徒が自主的・自発的に活動を組織し展開することにより,生徒の自主性,協調性,責任感,連帯感などを育成するとともに,仲間や教師との密接な触れ合いの場として大きな意義を有するものであると認識しております。
現在,運動部活動には,およそ76%の生徒が加入し,日常の活動に取り組んでいるところでございますが,部活動は学校教育活動の一環として行い,スポーツ障害の予防や生徒のバランスのとれた生活と成長の確保等の観点から,土曜日・日曜日のいずれかの活動を自粛することや,週1~2日程度の休養日を設けております。
今後とも,学校や生徒の実態等に応じて,適切な運動部活動運営の充実に努めてまいります。
4.放射能汚染対策について
(1)空間放射線量のきめ細かな測定と対応について
福島原発事故は人類史上経験したことのない原子力事故です。4基の原子炉が一度に事故を起こし、長期に放射性物質を放出し続け、いまなお収束していません。大量に放出された放射性物質は、空気中を降下し、雨や雪とともに地上に落ちてきて、水や土壌を汚染し、動植物に取り込まれ、食べ物などを通して私たちの体内に入り、DNAを傷つけます。細胞分裂が活発な子どもの方が放射線の影響を受けやすく、心配は尽きません。
原発事故後、水戸市でも学校や幼稚園、保育所、公園などの空間放射線量を継続的に測定し、データを公表していることは重要な取り組みです。現在、水戸市の空間放射線量は低い場所で約0.08マイクロシーベルトと、国が目安としている0.23マイクロシーベルトを下回っていますが、それでも事故前に比べると2倍の値が続いています。また、局所的に放射線量が高くなることがあります。
市内のある公園では、昨年10月に園内13カ所を測定し、2カ所で国の基準値を上回っていましたが、市のHP等では13カ所の平均値のみが示され、基準値は下回っているとの公表でした。しかし、市民グループの独自測定によって高い場所が指摘され、管理者である市に対し、原因と考えられる園路に積もった杉の葉など落ち葉の処分をお願いしたことがありました。
同様に、ひたちなか市の国営ひたち海浜公園では先月23日の測定で、園内3ヵ所で0.23マイクロシーベルトを超えたため、計13,000m²に立入禁止ロープを張って除染作業を行っています。
子ども達が外で元気に遊び、学校プールでの水泳授業も始まる季節です。線量が高くなりやすい樹木の下や水の集積所などもしっかり測って、単に平均値を示すだけでなく、高い場所があった際には表示し、除染するなどのきめ細かな対応を求めて、1回目の質問を終わります。
【三宅市民環境部長 答弁】
江尻議員の一般質問のうち,空間放射線量の測定と対策についてお答えいたします。
本市におきましては,福島第一原子力発電所の事故に伴う,放射性物質の影響に対する不安解消のため,平成23年5月から,保育所,幼稚園,小中学校,公園など585箇所の施設において,継続的に空間放射線量の測定を行っております。
測定につきましては,1施設につき,複数の箇所で測定を行い,これらの測定結果は,市のホームページなどにおいて,各施設の平均値を公表しております。
また,平成23年12月からは,個人宅等における訪問測定を開始し,平成26年5月末現在で,1,422件の測定を実施しております。
本市の空間放射線量は,環境省が定めた除染基準である,毎時0.23マイクロシーベルトを下回っており,福島第一原発事故から3年が経過し,全ての施設で減少しております。今後も高い数値を示す地点が確認された場合は,詳細な調査を行うとともに,公表し,その場所に応じた適切な除染措置を講じてまいります。
また,学校のプールなど,不安を感じる場所等につきましても,定期測定において,対応しているところでございます。
引き続き,子どもたちをはじめ市民の安全を第一に配慮した対策を基本に,きめ細やかな測定を継続するとともに,わかりやすい情報提供に努めてまいります。