2023年1月茨城県議会臨時会 江尻かな議員の最終日討論(要旨)
日本共産党の江尻加那です。
補正予算ならびに専決処分の採決にあたり、通告に従い討論いたします。
はじめに、第1号議案―366億7800万円の一般会計補正予算について、物価高騰対策や農業支援予算が計上されましたが、その規模は不十分であり、全体額の75%(276億円)は国補公共事業等の防災・減災・国土強靭化事業です。
一方、コロナ感染症に対する直接の予算は1億4千万円の県立学校物品整備しかありません。いまだ続く第8波の最中、陽性者も死亡者もクラスター発生数も過去最多となり、7割の医療機関が人手不足などで現場のひっ迫を訴えています。医療や介護現場への対策が、水光熱費高騰支援だけでいいのでしょうか。
高齢者施設の現場から、「職員に週2回分の抗原検査キットの配布だけでは不十分。やはり、より精度の高いPCR検査を広く実施できる仕組みがないと職員から入所者への感染リスクを止められない」との指摘が上がっています。
また、老健施設で家族を亡くされたご遺族は、「同じ部屋で感染者が出たときに、入院もしくは、せめて隔離できる個室があれば助かったかもしれない」と痛恨の念を訴えておられました。
知事は、新型コロナの5類引き下げ政府方針を「歓迎したい」と述べていますが、国や県から医療機関や介護施設の実態などコロナに関する情報が伝わらない状況が続いています。
県民に対する情報発信を強化すること。さらに、入所施設の感染予防を強化・支援すること、症状のある高齢者を入院措置すること。および、救急搬送体制の拡充など、現場の実態を的確に反映した予算措置を求めます。
また、補正予算の中で、「新しい資本主義の加速」として24億4900万円が計上されましたが、一番の要であるはずの賃金引き上げ施策がありません。
あるのは、マイナンバーカードの交付率引き上げであり、県として出張申請窓口の設置予算1千万円が計上されました。しかし、国に言われるまま運転免許センターや商業施設に窓口を設置して終わるのではないか。そもそも、政府の思惑通りに交付率が伸びないのは、個人情報を管理する国への根強い不信感や、「健康保険証廃止や預貯金口座との紐づけは納得できない」などといった国民の声が置き去りにされているからです。
こうした声にまともに応えず、交付率の高い自治体には地方交付税を加算しようとする政府の姿勢は問題です。交付率の伸び悩みを地方自治体の責任にすり替えることは認められません。
以上の理由により、一般会計補正予算に反対いたします。
次に、報告第1号―専決処分のうち、1月10日から再開された全国旅行支援事業費22億2700万円の予算措置に反対します。
そもそも、令和4年度に繰り越された旅行支援事業費86億4500万円は、多額の使い残しが見込まれています。にも関わらず、専決処分で上乗せする必要があるのでしょうか。
この予算で、3月末までに本県で40万人もの大規模な旅行者を予定しています。このように、国は全国の都道府県に多額の旅行支援予算を配分していますが、不用額があっても宿泊施設や観光事業に対する自治体独自の支援策に当てることを認めていません。
よって、深刻な苦境から抜け出せないあらゆる業界や事業者への直接支援、医療、介護現場、子どもへの支援にこそ、財源を有効に確保すべきとの立場から、専決処分に賛同できません。
以上で討論を終わります。
以上