2022年11月茨城県議会 予算特別委員会 山中たい子議員の質問と答弁(大要)

山中たい子議員の予算特別委員会質問と答弁(大要)

2022年11月15日(火) 茨城県議会 第4回定例会

【質問事項】

  1. 東海第二原発の再稼働問題について(答弁=知事)
  2. 児童相談所業務と体制強化について(答弁=知事)
    (1)土浦児童相談所の分割と一時保護所の併設
  3. 洞峰公園パークPFI事業におけるアンケート結果と今後の対応について (答弁=知事)
  4. つくば市の県立高校新設について(答弁=教育長)
パネルを示して質問する山中たい子議員

パネルを示して質問する山中たい子議員=11月15日、茨城県議会

項目

1. 東海第二原発の再稼働問題について

日本共産党の山中たい子です。
初めに、東海第二原発の再稼働問題について、知事に質問いたします。

先日、東海村で東海第二の原発事故を想定した避難訓練が行われました。バスで守谷市に避難した小学6年生は、「事故は怖いが、落ち着いて行動できた」と言っています。

しかし、現実の事故では、家には帰れません。長期間の避難を余儀なくされます。

それまでと大きく異なる生活を強いられ、通っていた学校や保育園に行けなくなり、仮設住宅などでの避難生活は大きなストレスとなります。
福島では事故後、子どもの人口減少率は全体の約2倍と言われます。11年経っても子どもの帰還率は低いままです。

知事は、子どもたちへの影響をどう考えているでしょうか。東海第二原発の再稼働に反対することが知事の責任ではありませんか。福島の現実を踏まえ、原発事故が子どもに及ぼす影響について、知事の所見を伺います。

【大井川知事】

お答えいたします。
まず、原子力事故が子どもに及ぼす影響についてでございます。

国の原子力災害対策指針では、原子力災害時において、放射線等による被ばくの影響をできるかぎり軽減するための防護措置を講じることとされており、具体的には、PAZにつきましては放射性物質が放出される前の段階から予防的に避難を行うほか、UPZにつきましては屋内退避などの対策をとることとされております。

また、放射性ヨウ素による内部被ばくの健康影響は、年齢が低いほど大きいとされておりますことから、避難中に放射性物質が放出された場合などに備え、子どもを含む40歳未満の住民に対する安定ヨウ素剤の配布体制の構築や、19歳未満の避難者などに対する甲状腺被ばく線量モニタリングの実施などの対策を講じることとされております。

なお、原子力事故が子どもに及ぼす影響について、福島県が実施している甲状腺検査により確認された甲状腺がんにおいては、福島県の県民健康調査検討委員会や「原子放射線の影響に関する国連科学委員会」などの専門家会議により、現時点では放射線の影響は考えにくいという趣旨の評価がされておりますが、さらなる科学的知見の集積状況なども注視しながら、対策の不断の検証に努めてまいります。

また、被災者の生活支援につきましては、原子力災害時に、国において、環境大臣及び原子力利用省庁の担当大臣を長とする原子力被災者生活支援チームが設置され、県や関係市町村等と緊密に連携しながら、子どもを含めた被災者の健康調査や健康相談、住民等の状況把握等が実施されることとなっていると認識しております。

次に、東海第二発電所の再稼働についてでございますが、県といたしましては、これまでも申し上げましたとおり、県原子力安全対策委員会における安全性の検証と実効性のある避難計画の策定にしっかりと取り組み、県民の皆様に情報提供した上で、県民や避難計画を策定する市町村、並びに県議会のご意見を伺いながら判断してく考えに変わりはございません。

【山中】

原油やエネルギーの高騰を受け、「原発を動かせ」との議論が強まっています。

しかし、東海第二を稼働すれば電気代が下がるのか。2,350億円以上かかる工事費用はどれだけ電気料金に転嫁されるのか。40年を超える老朽原発がトラブルなく安定発電できるのか。問題は山積しています。

にも関わらず、政府は東海第二も再稼働をめざす原発と位置づけ、日本原電は工事を進めています。そして、県や市町村は、延々と避難計画づくりを続けています。

その避難計画について伺います。
これまで1人2m²としてきた避難所面積を見直しているようですが、単に3m²で計算し直せばいいと考えているなら、まったくの見当違いと言わざるを得ません。

内閣府が参考にしている国際基準・スフィア基準は最低3.5m²であり、避難受け入れ先の千葉県や群馬県は4m²以上を基本にしています。なぜ知事は3m²にしたのか、お答えください。

【大井川知事】

県では、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、昨年、自然災害時などにおける避難所運営マニュアル作成指針を改定し、感染症防止対策やプライバシー確保に配慮した、避難所のレイアウト例を示したところでございます。

具体的には、市町村は自然災害などに備え、2名収容できる縦横がそれぞれ約2メートルのパーティションテントを備蓄しているのが一般的でありますので、このテントを用意できる場合には、共有部分も含め、一人約3平方メートルとなるレイアウト案を示すとともに、テントが用意できない場合のレイアウト案は、一人約4.5平方メートルとしております。

これらのレイアウト案を参考に、東海第二発電所の原子力災害時の避難所の確保について避難元市町村と協議を行ってまいりました。

その結果、避難する方への負担軽減のため、可能な限り長距離の避難とならないよう、パーティションテントの活用を前提に、一人あたり3平方メートルを確保していくことで協議が整ったところであります。

なお、避難所運営マニュアル作成指針に示した避難所面積の考え方などについては、その後の市町村における運用事例等も踏まえ、今後、感染症対策や防災対策に関する有識者などで構成する委員会を設置し、検証していくこととしております。

その結果も踏まえて、避難先の確保を進めてまいりたいと考えておりますが、その際、避難先自治体における避難所面積の考え方なども考慮しながら協議を行ってまいります。

【山中】

いまご答弁あったように、知事は、たった3m²にしただけでプライバシーが確保でき、感染防止の点でも大丈夫と考えているのですか。
そもそも、県は、パーティションが避難者全員分用意されれば3m²、十分な数を用意できない場合は3.5m²、まったくない場合は4.5m²を目安にするとしていたのに、今度はあってもなくても一律3m²にするのですか。

埼玉県の担当者が、内閣府も入った東海第二のワーキングチーム会合で、「機械的に出した収容可能人数が1,000人でも、校庭が狭くて50人分しか駐車場が確保できない場合はどうするのか」と質問したのに対し、茨城県は「駐車場の問題は後で協議する」と答えたとのことですが、今回もまた避難所面積を3で割って機械的に収容人数を算定するよう他県や市町村に求めるのですか。

こうした問題を考慮すると、避難所不足が深刻になって、避難計画が作れなくなる。実効性ある計画とは程遠い、「絵に描いた餅」になると知りつつ数字をいじるだけ、2m²のときと同じあやまちを繰り返すだけだと私は考えます。

もう一つは、原発の老朽化についてです。

今月1日に開かれた県の東海第二安全性検討ワーキングチームの会議では、老朽化問題も審議されたと聞いております。
東海第二原発の原子炉内にあって燃料集合体を支える役割を果たすシュラウドサポートについて、原電の定期検査においてだけでも99か所の亀裂が確認・想定されているとし、今後、361か所にまで増えても大丈夫と原電は言っています。これを県はどう評価するのでしょうか。

これまでも多くの発電所で虚偽報告や試験データ偽造、事実隠ぺいなど法律や規制をないがしろにする風潮が原子力への不信を招いてきました。このような体質を改善しなければ、リスクの増大になりかねません。

また、シュラウドサポートだけでなく、原子炉圧力容器が長期間放射線を受けて金属がもろくなる「照射脆化」についてどう評価しているのでしょうか。6月に県内の「科学者・技術者の会」からも質問書がワーキングチームに提出されています。

県はどのように検証し、県民に説明していくのか、知事の所見を伺います。

【大井川知事】

お答えいたします。

避難所運営の面積についてのご質問のほうですけども、避難所運営マニュアル作成指針に示した面積の考え方などについては、その後の市町村における運用事例なども踏まえ、今後、感染症対策や防災対策に関する有識者などで構成する委員会を設置し、検証していくこととしております。

その結果も踏まえ、避難先の確保を進めてまいりたいと考えておりますが、その際、避難先自治体における避難所面積の考え方なども考慮しながら協議を行ってまいります。

ちなみに、パーティションテントについては、現在、日本原電に対して要請している放射性物質の拡散シミュレーションの結果を踏まえ、必要数を制した上で県が国と連携しながら調達方針を策定することとしております。

現在、財源や備蓄場所なども含め、具体的な調達方法について国と協議を行ってるところでございますので、決して備蓄することが難しいという状況にはいたっておりません。

次に、東海第二原発の老朽化についてでございます。

東海第二発電所のシュラウドサポートのひび割れを踏まえた耐震性や中性子照射脆化を含む高経年化対策につきましては、県民意見も踏まえて30の論点に整理した上で、東海第二発電所安全性検討ワーキングチームにおいて審議を行っているところでございます。

このうち、シュラウドサポートの耐震性につきましては、今月1日に開催した会合において、日本原電から、これまでの国の審査において説明してきた内容について説明がなされたところでございます。

具体的には、運転開始後60年時点におけるシュラウドサポートの耐震評価を行うにあたり、極端の想定として、亀裂がシュラウドサポートの全周にわたり存在するものとした上で、シュラウドサポートに対する荷重を1.5倍にした場合でも、崩壊に至らないとの評価が得られたことから健全性が確保されるとの説明がございました。

これに対し、委員からは、想定した亀裂の深さの設定根拠について具体的に示すよう追加の指摘がなされたところでございます。

また、令和2年10月に開催した会合では、日本原電から、原子炉圧力容器の中性子照射脆化の状況を確認するための試験の実施方針など、これまでに国の審査で確認を受けた内容について説明があり、委員からは、試験の対象部位の追加について検討を求める指摘がなされたところでございます。

これらの委員からの意見につきましては、今後、日本原電から改めて詳細な説明を聴取した上で、東海第二発電所の高経年化対策が安全上、どの程度余裕のある対策となっているのかなど、県民にわかりやすい視点から、検証結果を示してまいりたいと考えております。

【山中】

同じ原電の敦賀発電所1号機は、計300か所のひび割れが発見されたとして、運転開始30年でシュラウドサポートを新品と交換し、ひび割れはすべて除去したとしているのに、なぜ東海第二はそのままにするのでしょうか。

古い原発の再稼働はリスクが大きすぎます。福島原発事故の教訓というのは、再び原発事故を繰り返してはならないということだと思います。あらためて再稼働させない決断を知事に求めて、次の質問に移ります。

2. 児童相談所の業務と体制強化について

次に、児童相談所の業務と体制強化についてです。

本県は、痛ましい虐待死などの事件を教訓に、2020年に中央児童相談所から日立児童分室と鹿行児童分室を分離独立させ、現在は5ヶ所の児童相談所です。

この間、児童福祉司・児童心理士などの増員を図るとともに、その専門性向上に向けた研修の充実などに取り組んできています。一方、相談件数は5年間で1.5倍を超え、家庭的に困難を抱え、継続的な対応が求められる養護の相談が増加しています。

パネル・資料1をご覧ください。

資料1 児童相談所別 虐待相談件数・一時保護状況と管内人口

資料1 児童相談所別 虐待相談件数・一時保護状況と管内人口

児童相談所の管轄区域と虐待相談件数・一時保護の推移を示したものです。
特に、土浦児童相談所は、管内人口が100万人を超えており、分割が必要です。

22年3月改正の「児童相談所運営指針」において、管轄区域内の人口は「おおむね50万人以下」とされていますが、土浦児相はその2倍以上です。この地域は、子育て世帯が増加しているTX沿線のつくば市やつくばみらい市を抱え、さらに、龍ケ崎市や取手市・牛久市・守谷市などは、首都圏と近接する通勤・通学圏域です。

児童相談所のひっ迫と体制の強化は大きな課題となっているなか、土浦児相は、管内を南北エリアに分けて、それぞれ責任者に所長・副所長を置いて業務を遂行していると聞いております。

土浦児童相談所の増設について知事の所見を伺います。

【大井川知事】

お答えいたします。
土浦児童相談所につきましては、県内5カ所に設置した児童相談所の中で、最大の管内人口を抱えております。

このため、人員体制の面において、所長に加え、同格の課長級職員を配置し、所長と担当エリアを分担して対応にあたるとともに、専門職である児童福祉司、児童心理士の配置についても、県条例による独自の加配も行いながら、現行の国基準を超える職員を配置するなど、虐待事案に迅速に対応できる体制を整備しております。

私の方もパネルを用意しました。

知事答弁 児童相談所ごとの児童虐待相談対応の状況

知事答弁 児童相談所ごとの児童虐待相談対応の状況

土浦児童相談所の児童相談対応件数、これは令和3年度において、県内で最多でありますが、これは専門職1人当たりで見るとその対応件数は概ね県内の平均程度となっておりまして、決して過重な負担になっている状況でございません。

こちらでございますけども、大体1人当たり26件、筑西ですと30件、平均で25件ですので、土浦が特別飛び抜けてこんな状況ではないわけでございます。

また土浦児童相談所には、専門職、事務職を合わせて70名程度の職員を配置しておりまして、経験豊富なベテラン職員から若手職員をまとめて配置することにより、人材育成面や業務分担面でも、円滑で効果的な取り組みが図られているものと考えております。

このように、現状においては十分な対応がとられているものと認識しておりますが、今後の児童虐待相談対応件数の推移なども踏まえながら、必要に応じてさらなる体制強化も検討してまいります。

【山中】

いま、知事もパネルを使ってご説明いただきましたけれども、1人当たりの受け持ちが少ないから、勿論少ない方がいいに決まっているのです。

先程も言いましたように、継続的な対応が求められる大変な事例が増えています。大変な家庭が増えている状況の中で、子どもの対応を迫られているということだけはお話ししておきたいと思います。

本県の虐待相談対応件数は10年間で4.3倍に増えています。昨年は3,743件のうち、土浦児相が3割を超え、一時保護・委託数では4割です。

子どもが一時保護を必要とする場合、一時保護所を利用することが原則とされています。
しかし、今県内の一時保護所は、水戸市の中央児童相談所1か所だけ、定員は30名です。

そのため、夕方や夜間などは、民間の乳児院や児童養護施設、里親などに委託し、その数は一時保護所を上回っています。
土浦児相の増設を求めます。併せて一時保護所の併設も求めます。知事の所見を伺います。

【大井川知事】

新たな一時保護所の併設についてでございますが、現在、児童虐待等による要保護児童の一時保護につきましては、中央児童相談所の一時保護所における措置に加え、県内の乳児院、児童養護施設等への一時保護委託を実施しております。

加えて、児童の一時保護の増加に対応するため、民間の児童養護施設に一時保護専用施設を現在、県北と県南に各1か所、計2か所を指定しております。

このような官民合わせた取り組みにより、これまで一時保護ができなかったと言う事例はなく、当面、一時保護の受入体制は整っているものと認識しております。

引き続き、地域バランスにも配慮しつつ、一時保護専用施設の指定を進めるなど、民間の力を有効活用しながら対応してまいりますが、今後の一時保護の状況などを踏まえ、必要に応じてさらなる体制強化も検討してまいります。

児童相談所や一時保護所の体制整備や強化にあたりましては、引き続き、社会情勢や国の動向等を注視しながら、適切に対応したいと考えております。

【山中】

虐待やさまざまな事情によって家庭で過ごせない子ども達は、乳児院や児童養護施設で生活していますが、家庭的な養育を担っているのが里親制度です。

私はこの間、保健福祉医療委員会でもとりあげましたが、本県の里親委託率は17.4%で全国37位です。第2次県総合計画で里親委託率を48%まで引き上げる目標を掲げています。里親制度の活用を推進する上でも児童相談所の役割は非常に重要です。

県南地域にあと1か所は最低でも必要であり、増設を求めて次に移ります。

3. 洞峰公園パークPFI事業におけるアンケート結果と今後の対応

次に、洞峰公園パークPFI事業のアンケート結果と今後の対応についてです。

県は、洞峰公園で民間資金を投入したグランピングやバーベキュ-施設、24時間トレーニングジムなどのパークPFI事業を展開するにあたり、説明会を4回行い、1,100人の「記述式」アンケート調査と、追加で1,000人の「選択式」アンケート調査を実施し、その結果の一部を公表しました。

知事は記者会見において、「選択式」の設問で「事業実施に賛成が半数を超えた」ことを理由に、計画を一部変更したうえで、PFI事業を基本的に推進すると発言しました。

一方、つくば市長は、全ての項目を集計して「記述式」の速報値を発表しました。
パネル・資料2をご覧ください。

資料2 洞峰公園パークPFI事業に関する記述式アンケート

資料2 洞峰公園パークPFI事業に関する記述式アンケート

記述式と選択式のアンケート結果を示しました。

県は、パークPFIの「導入目的」と計画全体に対する」評価項目の結果を数値で公表していません。しかし、つくば市の独自集計結果を見れば一目瞭然です。太枠で囲んだ部分です。「導入目的」は、「良い・どちらかと言えば良い」が16%、「悪い・どちらかと言えば悪い」が75%です。「計画全体」に対しては、「改善すべき点がある」が86%、「改善すべき点はない」はわずか5%です。

アンケート結果をすべて公表しなかったことは、県行政への信頼を損ねる行為だったと思います。
なぜすべての項目について公表しないのか、お答えください。

【大井川知事】

お答えいたします。

記述式アンケートは、説明会やインターネットにおいて、パークPFI事業に反対される方のみの声が集中的に集まった可能性があり、必ずしも県民やつくば市民の全体の意見を反映してない恐れがあると考えております。

このため、幅広い県民・市民の全体の意見をより正確に反映させるよう、県内の人口バランスを考慮し、無作為抽出した県民が回答する選択式アンケートを追加で実施いたしました。

その結果、パークPFI事業ついては、県民全体だけでなく、つくば市民においても賛成が反対を上回っております。

一方、記述式アンケートにおいては、反対の理由として挙げられた課題については詳細に分析し、必要な改善策に活かしたところでございます。

県といたしましては、この二つのアンケートの調査結果を踏まえ、パークPFI 事業の実施が最善であると判断しており、一部事業計画を修正のうえ、事業が進められるよう、今後ともつくば市と協議してまいりたいと考えております。

【山中】

驚きです。「記述式」は反対している人の意見だと断言するという知事の態度が問題だと思っています。
「選択式」は対象者を全県に広げたため、洞峰公園を利用したことがない人や公園がどこにあるかも知らない人が回答している可能性があります。

設問全体が、公園維持に多額の県財政を投入しており、民間資金が必要と殊更強調し、誘導するような設問だと私は思っています。「選択式」の結果に基づいて事業を進めること自体が偏っていると私自身は思っていますが、改めて知事の理由をお聞きします。

【大井川知事】

お答えいたします。

先ほど山中議員は、公園を利用した経験のない県民は、この洞峰公園のパークPFIについて意見を述べる資格がないというふうにおっしゃっていたようでございますが、こちらの公園は県営の公園であり、利用したことのない方も含めて、県の財政を使っているものでございます。

人口が増えているつくば市民だけのものではございません。この財源には過疎に苦しんでいる地域の県民からの財源も入っているわけでございますので、つくば市民の意見も当然大事でございますが、県民全体の意見も聞きながら、より良い方向で県の公園としてどう運営すべきか、ということを聞くのは当然であると私は考えております。

【山中】

知事は私の発言を曲解していると言わざるを得ません。

私は「そういう方もいる可能性がある」とお話ししたまでで、知事の今の話を聞くと、(洞峰公園を)あくまで「儲かる公園」にしたいというお考えが強いと思います。

しかも県に都合の悪いアンケート結果を公表していないと私は再三言っておりますが、むしろ隠していると思っています。そもそも、公園は県民の福祉の増進のためにあります。

「公園の維持管理に県民の税金を使っている」、これは当然です。どの程度税金が投入されているか分からなくても、皆さんはそのことを承知のうえです。

一方で、収益が上がらなければ、利用料金を値上げするという事も含めてアンケートで採っています。最初から二者択一を迫るやり方は間違っていますし、多くの県民は、公園整備への要望や意見を素直に述べているのであり、知事は真摯にその意見を受け止めるべきでだと私は思います。

今後の対応についてお聞きします。
アンケート結果に基づき、つくば市との協議を始めると思います。

つくば市長は、「記述式の結果が利用者の声であり、重みが全然違う」と話しています。
説明会やアンケート調査では、知事は「記述式」について、反対の意見が多いようだと言っておりますけれども、様々な意見や要望が寄せられ、住民参加の協議会設置の提案も寄せられているわけです。知事はそうした声を懐深く受け止めて、今後の公園運営に活かすことを求められると思いますが、改めて知事の所見を伺います。

【大井川知事】

山中議員は、記述式の方が県民全体の声、あるいは、つくば市民の声をよりよく反映されているというふうにおっしゃっていますが、私はその考えに同意できません。

当然反対の方達は、声かけあって、皆さん集まって、アンケートに答えたという可能性もないわけでございません。無作為で抽出して幅広く意見を聞いた方が、全体のご意見の把握は正確なのではないかと考えております。

その上で、反対を述べている方々のご意見は真摯に受け止め、改善すべきところは改善し、公園運営をより良くしようと申し上げているわけで、それのどこがいけないのか私にはまだちょっと理解ができません。

いずれにしても、利用料金を単純にあげればいいというようなことではなく、今後、少子化・人口減少が進む中で、しっかりと赤字体質の施設についても、将来の世代に負担を残さないよう、赤字体質を少しでも改善するということは重要でございますし、今後、様々な可能性を考えた上でこの計画を作ったわけでございますので、一部の利用者だけに利用料を上げて負担を強いるというのもいかがなものかということもございますので、今後、その辺も含めてつくば市と協議をしてきたいと思います。

【山中】

いま知事は代替案の話をして、利用料金の値上げのことをお話しているのかもしれませんが、そもそも代替案を出してきたのは県です。そのことをしっかりと受け止めなければならないと思います。

一部の人ということで、記述式のことをそのように言いますが、一部の人ではなく、様々な利用者の声があそこに詰まっています。両方勘案して知事は選択していくというのであれば、様々な意見を取り入れるべきだし、住民参加の協議会設置は非常に良いことだと思います。

それから、県の財政力は直近で全国9位、予算規模は1兆3千億円です。知事が全国トップクラスと豪語する、最大50億円の企業本社機能移転補助金を準備しているのですから、指定管理料縮減額6,600万円の予算がやりくりできないはずがありません。

県民は、「もうかる公園」より「静かな公園」を望んでいます。パークPFI事業は見直すべきだと改めて申し上げたいと思います。

4. つくば市の県立高校新設について

最後に、つくば市の県立高校新設について、教育長に質問いたします。

今議会には、市民団体が呼びかけた「つくば市やTX沿線に全日制県立高校の早急な設置と進学環境の充実を求める」請願署名が、追加提出を含め7,699筆届けられました。しかし、この請願署名は10日の文教警察委員会で継続審査となりました。実質審議がないまま「継続審議」では、市民の理解が得られないのではないでしょうか。

教育長は、一貫して「エリアを基本に通学可能な範囲で進学先が確保できるようにする」との答弁を繰り返しています。
パネル・資料3をご覧下さい。

資料3 県立高校における募集学級数の推移

資料3 県立高校における募集学級数の推移

2019年「高校改革基本プラン」の募集学級数の計画と推移を示しております。

つくばエリアの県立高校は、2018年が計57クラス、26年は2クラス増の計59クラスとなっています。現状はどうか。今年度は計55クラスです。つくば市で生徒が増加しているにもかかわらず、学級数はプランのスタート時より、逆に減少しています。来年度は、つくばサイエンス高校が2クラス増となるため、計57クラスになりますが、それでも、プランのスタート時に戻っただけで、「改革プラン」は実行されていません。

この高校改革プランでは、つくば市の中学生の困難さが増すばかりで解消はできません。答弁を求めます。

【教育長】

お答えいたします。

県立高等学校改革プランでは、生徒の通学実態などを踏まえ、県内12のエリアに分け、そのエリアを基本に県立高校の適正配置などを検討することとしております。

また、今後、県全体の中学校卒業者数の減少が見込まれることから、2020年度から2026年度までの計画期間の状況を示すために、2023年度と2026年度の全日制高校の募集学級数を記載しており、この募集学級数は、プラン策定時の2018年度に行った中学校卒業者数の推計などを踏まえ、見込みとして算出したものございます。

一方、毎年の募集学級の調整につきましては、プランで示した将来見込みにとらわれることなく、その都度、直近の中学校卒業者数の推計を基に、各学校の志願状況などを考慮した上で、県立高校を希望する生徒を受け入れられるよう必要な学級数を決定しております。

また、プラン策定時において、既につくば市の人口増加が見込まれておりましたことから、実施プランにおいて、令和5年度のつくばサイエンス高校の開校に併せ、2学級増により対応することとしたところです。

一方、最新の中学校卒業者数の推計とプラン策定当時の推計を比較した場合、2018年から2023年までのつくばエリアの増加の度合いには、大きな差は見られないものの、2023年以降の増加の度合いは、最新の推計の方が大きく伸びていく見込みとなっております。

こうした状況を踏まえ、県といたしましては、中学校卒業者数の推移や志願状況などを勘案しながら、適切な時期に県立高校の定員を増やすなど、中学生の進路選択に影響が出ないよう計画的に取り組んでまいります。

【山中】

教育長は、「プランはあくまで将来見込みであり、学級数はその都度決めている」ということですけれども、実際はこのプランを基本にして「実施プラン」をつくり、実質的に、学校の適正配置と募集学級数が決められているのではないでしょうか。お答えください。

【教育長】

先程お答えいたしましたように、2018年度の状況を勘案してプランを策定しておりますけれども、プランで示した将来見込みにとらわれることなく、その都度直近の中学校卒業者数の推移を元にして必要な学級数は決定しているところです。

【山中】

9月議会では、知事も教育長も、つくば市の人口増への対応が必要だと認めました。しかし、つくばエリアの竹園高校や牛久栄進高校、隣接の土浦第二高校はすでに8クラスで、学級数を増やすことになれば、大規模化し、教育条件の悪化を招くことは必至です。

一方、プラン最終年までに、つくばエリア隣接の中高一貫校の下妻一高は、今年度から1クラス・40人減となりました。土浦一高は、昨年21年度から1クラス・40人減、今年22年度も1クラス・40人減となりました。高校入試はさらに狭き門となっています。
教育長は、「中学生の進路選択に影響が出ないようにする」と明言しました。

ですが、県が推進した8万人を呼び込むTX沿線の人口急増と中高一貫校の拡大によって、すでに大きな影響が出ているのです。県の責任です。

教育長は、この現実をどう認識しているのですか。お答えください。

【教育長】

つくば市の中学校卒業者は、市内の県立高校のほか、同じエリアや隣接するエリアの高校、私立高校含め、広範囲に進学しておりますので、つくば市の人口増加への対応につきましては、周辺エリアの状況などもしっかりと見極めたうえで判断していく必要があります。

そうした中、つくば市内の県立高校におきましても定員に満たない学校が生じていることから、県といたしましては、既存の県立高校の魅力化を図り、志願者を確保していくとともに、通学可能な範囲で県立高校の定員を増やしていく必要があると考えております。

なお、定員増にあたっては、つくば市から多くの生徒が通学している土浦市、牛久市、下妻市の3市における中学校卒業者数の減少に対し、つくばエリアの増加が上回る状況にありますことから、こうした状況を勘案しながら、エリアを基本に検討してまいります。

また、委員ご指摘の、中高一貫教育校において、附属中学校から生徒が進学することに伴い、高校から入学できる生徒数が減るという点につきましては、生徒の入学する時期が中学校か高校かの違いであり、当該年齢の生徒にとって、高校の定員が減るというものではありません。

また、例えば、土浦第一高校につきましては、つくば市から多くの生徒が入学しておりますが、地元土浦市のほか、石岡市やかすみがうら市など土浦エリアの市町村からも一定数の生徒が入学しており、さらに今後、土浦エリアの中学校卒業者は、大きく減少していく状況にあります。

県といたしましては、こうした状況を踏まえつつ、中高一貫教育校の設置に伴う学級減が志願状況にどの程度影響してくるかといったことや学校施設の状況など、様々な事情を勘案しながら、募集定員について具体案の検討を進めてまいります。

【山中】

つくば市内の県有地を一部活用し、県立高校新設を9月議会に続いて改めて求めます。知事の決断一つだと思います。県有地を企業に売却するより、県立高校を新設すべきです。

以上で質問を終わります。

以上

動画はこちらから

2022年11月茨城県議会 山中たい子議員の予算特別委員会質問と答弁(大要、PDF)

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