2022年9月茨城県議会 予算特別委員会 山中たい子議員の質問と答弁(大要)

山中たい子議員の予算特別委員会質問と答弁(大要)

2022年9月22日(木) 茨城県議会 第3回定例会

【質問事項】

  1. TX沿線開発とまちづくりについて
    (1)つくばのまちづくり(答弁=知事)
    (2)つくば市内に県立高校の新設を(答弁=教育長)
  2. 水道行政について(答弁=知事)
    (1)県水道ビジョンの課題
    (2)水道料金の引き下げ
  3. 洞峰公園の新たな事業計画について(答弁=知事)
    (1)大規模修繕費用
    (2)説明会とアンケートの実施
  4. つくば霞ヶ浦りんりんロードの維持管理の強化について(答弁=土木部長)
パネルを示して質問する山中たい子議員

パネルを示して質問する山中たい子議員=9月22日、茨城県議会

項目

1. TX沿線開発とまちづくりについて

(1)つくばのまちづくり

日本共産党の山中たい子です。TX沿線開発とまちづくりについて、知事に伺います。

つくば市内5地区で国と県が進めたTX沿線開発は、8万人を呼び込む大規模な宅地開発事業です。みどりの駅・万博記念公園駅・研究学園駅の周辺は、子育て世代を中心に人口が急増し、学校建設が追いついていません。つくば市は小中学校5校を建設しています。

日本共産党は先頃、市民アンケートを実施しました。県政要望では、水道料金引き下げ、県道整備、教員の増員、河川整備、児童相談所の増設等。また、居住地で足りない施設は、高校がトップで、図書館・郵便局・交番・児童クラブが上位です。

その他、街灯・防犯灯、信号機設置と通学路の安全確保等、県と市が連携して取り組むべき課題が数多く寄せられました。「小中学校とスーパーがあるだけでは生活できない」と怒りの声も届いています。

こうした沿線地域の現状を、知事はどのように受けとめているのか、お答えください。

県施行の島名・福田坪、上河原崎・中西地区は7年先まで開発が続きます。沿線開発を推進してきた県は、つくば市と協力して県民要望・地域要望に応える責務がありますが、知事の所見を伺います。

【大井川知事】

お答えいたします。
まず、現状認識についてでございますが、これまで、地域住民の生活に必要な商業施設や雇用の受け皿となる企業の誘致を展開し、県所有地の約8割にあたる約320ヘクタールが売却に至り、沿線3市ではTX開業時と比較し、約7万8千人の人口増となるとともに、住みよさランキングに上位でランクされるなど、魅力あるまちとして一定の評価を得ております。

人口減少や少子高齢化が加速する中、将来にわたり、本県を持続的に発展させていくためには、流入人口の拡大が大変重要であると認識しており、当該地域において人口増が続いていることは、誠に望ましいものと考えております。

一方で、人口急増により、小中学校の不足や周辺道路の渋滞等が生じていることから、例えば、小中学校については、地元市からの要望を踏まえ、用地を確保するなど、関係機関と協議をしながら対応を図っております。

また、今後の対応についてでございますが、まずは地区の造成と土地の販売を確実に完了させることを最優先に取り組みつつ、魅力ある商業施設のほか、つくばにふさわしい先端技術を有する企業の誘致に一層力を入れてまいります。

今後も引き続き、地元市や関係機関との連携を密にし、沿線開発に取り組んでまいります。

【山中】

県は、この沿線開発と土地区画整理事業を推進するにあたって、小中学校や公益施設は準備しましたが、高校は考えていなかったのでしょうか。本県の県立高校の設置状況からみれば、人口8万人開発地区内に、新設の県立高校が必要であると思います。

いま高校建設の要望が大変強く、つくば市も市民要望に応え、総務部内に担当する部署を置いたと聞いています。問題は場所です。利便性の良い場所が求められます。

そこで、私は、コストコ南側にある14万m²の県有地の一部を活用し、県立普通科高校を建設することを提案します。小中学校もすぐ隣にあり、研究学園駅も近くにあり、最適な場所です。高校の敷地面積の全国平均は7万4千m²ですから、敷地として申し分ありません。

教育施設のための県有地の一部活用について、知事の所見を伺います。

【大井川知事】

県においてはつくば市と協議のうえ、必要な学校用地を確保しており、市の要望に基づき計画的に処分しているところでございます。

処分にあたりましては、価格の減額や無利子貸付などにより市の財政負担軽減を図っており、すでに7カ所の学校用地をつくば市に処分しているところでございます。

今後、市の学校適正配置計画に示されている残り2箇所の学校用地につきましても、引き続き市に対して早期取得を働きかけ、学校の過不足を支援してまいります。

高等学校につきましては、県の立場としてはつくば市内に限らず、つくば市周辺地域も含めてみたところ、生徒数の減少を見る中で、つくば市に新設高校を県が作るという決断には至っておりません。

一方で、既存高校のクラスの増設とか、新しいサイエンス高校の設置など、つくば市民の高校での需要に対しても適切に対応しているものと認識しております。

【山中】

先ほど知事は、学校はつくば市と協議をして整備していくと。もちろん当然です。その用地は確保されておりますから。今私が提案したのは、コストコ南側の県誘致の一部活用についてお聞きしました。答弁お願いします。

【大井川知事】

コストコ南側の用地につきまして、学校用地としてつくば市と協議をするということは現在考えておりません。

【山中】

あそこは業務用地というふうに考えているのでしょうか。知事は県有地への企業誘致をお考えではないかと思って改めてお聞きしますけれども、茨城の未来を担う子どもたちのために、あの場所に県立高校の新設を改めて強く求めたいと思いますが、答弁お願いします。

【大井川知事】

県としては、つくば市において新設高校を作る必要性はないと考えております。周辺地域を含めて検討すると生徒数は今後かなり減少すると定員に余りが生じてしまうという状況の中で、つくば市の高校生をつくば市の中だけで通わせるということは県としては非常に合理的ではないと考えております。

もし、つくば市の中でどうしても新設高校が必要だということであるならば、それは例えば、つくば市がつくば市の市立として高校を検討するということも考えられるのではというふうに思っています。その場合は県としても全面的に協力したいと思っております。

【山中】

改めて県有地一部活用を引き続き求めたいと思いますのでご検討ください。ありがとうございました。

(2)つくば市内に県立高校の新設を

次に、つくば市への県立高校新設について、教育長に伺います。

つくば市内中学卒業者の進学先は、市内全日制県立高校で6人に1人です。
教育長は、私の3月議会質問に、「通学可能な県立高校のクラス増など必要な対応を取る」と答弁しましたが、現在の中学生のためにも、その検討結果をお示しください。

しかし、その検討結果として、来年は校名を変更したつくばサイエンス高校の2クラス増にとどまるのでしたら、全く不十分です。

高校改革プランの募集学級数の調整は、エリア区分毎に行うことが基本方針でした。ところが、生徒急増のつくばエリアはこの基本方針から外して、隣接エリアまで広げるとしました。6月議会でも、「つくばエリアの中学卒業者は、2030年までに800人増加するが、周辺エリアの土浦・牛久・下妻等で1,500人減少する」と答えました。

教育長は、学校統廃合する地元自治体には丁寧に説明すると言いましたが、生徒が急増しているつくばエリアの地元自治体の意見には向き合おうとしていません。教育長は、1人ひとりの生徒の学ぶ権利を保障し、そのための教育条件整備に責任を負っているはずです。どう取り組むのか。合わせてお答えください。

【教育長】

お答えいたします。
県立高校の適正配置につきましては、県立高等学校改革プランに基づき、生徒の通学実態などを考慮し、県内を12のエリアに分けて検討することとしております。

つくば市の中学校卒業者につきましては、つくば市内の県立高校のほか、同じエリアや隣接するエリアなど広範囲の県立高校に多くの生徒が通学しており、私立高校などを含めた多様な選択肢の中から学校を選んで進学している状況にあります。

また、今後の中学校卒業者につきましては、最新の推計によりますと、つくばエリアで2030年までに約700人増加する見込みである一方、土浦市や牛久市、下妻市などつくば市内から通学可能な市町村を含む周辺エリアでは、約1,400人減少する見込みとなっております。

このため、つくば市の人口増への対応につきましては、つくばエリアの状況だけではなく、隣接エリアの中学校卒業者の減少がどう影響していくかなどもしっかりと見極めたうえで、判断していく必要があると考えております。

さらに、つくば市内の県立高校におきましても、定員に満たない学校が生じている状況でございます。

県といたしましては、既存の県立高校の魅力化を図り、しっかりと志願者を確保していくとともに、各校の状況等を勘案した上で、つくば市内から通学可能な県立高校における募集定員の増などの対応をとってまいります。

なお、先ほどの知事の答弁にもございましたけれども、高校の新設につきまして、つくば市民からの強い要望であることや、市の財政力を考慮いたしますと、市立の高校を作ることも考えられるのではないかと思いますので、そのような場合には、県としても出来る限り協力させていただきたいと考えております。

【山中】

私が質問した教育条件整備に教育長は責任を持っていると。そのことについてどう認識して取り組んでいくのかということです。それから、つくば市の皆さんが求めているのは県立普通科高校です。その点についても併せてお答えください。

【教育長】

お答えいたします。
県といたしましても、つくば市の人口増への対応は必要であると考えており、令和2年8月に策定した実施プランI期第2部において、令和5年度のつくばサイエンス高校への改編と併せて、2学級80人の定員増を行うこととしたところでございます。

それ以外の対応につきましても現在検討しているところであり、具体的な対応が決まり次第、公表していくこと考えております。

【山中】

地域の皆さんの切実な要望である、つくば市内の県立高校について全く前進的な答弁ではないと。

そのうえで、つくば市が建設するというような場合には、支援をすると知事も教育長も言っていますけれども、まずは、県立として皆さんが望んでいるわけですから、県としての責任を果たすべきじゃないかと思います。

総務省社会生活基本調査によれば、本県の高校生の通学時間は往復で100分、片道50分で全国ワースト3位です。学校は、教育内容も重要ですが、どこにあるのかも重要です。通学に時間がかかれば、子どもが自由に使える時間が減り、事故等に遭う危険性も高くなります。公共交通体系が脆弱な本県ではなおのこと。定期代等の経済的負担も大変です。

改めてTX沿線で利便性の良い場所への県立普通科高校新設を求めます。ご答弁ください。

【教育長】

つくば市の人口増への対応につきましては、つくばエリアの状況だけでなく、隣接エリアの中学校卒業者の減少がどう影響していくかなどもしっかりと見極めたうえで、判断していく必要があると考えております。
県といたしましては、既存の県立高校の魅力化を図り、しっかりと志願者を確保していくとともに、各校の状況等を勘案した上で、つくば市内から通学可能な県立高校における募集定員の増などの対応をとってまいります。

2. 水道行政について

(1)県水道ビジョンの課題

【山中】

次に、水道行政について、知事に質問します。

1県1水道をめざす「県水道ビジョン」が本年2月に策定され、2050年までの必要水量が示されました。人口255万人、1人1日最大給水量382リットルです。今後30年間で人口は11%減、32万6千人も減少する一方で、1人1日最大給水量は3%伸びると推計しています。

1人1日最大給水量は2013年度~19年度の給水実績を見ると毎年減少しています。ビジョンでなぜ伸びるのか、お答えください。

また、県は、水道ビジョンの推進と広域連携のため、県内を5地域に分けた「広域連携等に係る研究会」を立ち上げ、これまで2回の会議を実施しました。各市町村の経営や施設、水道料金の設定状況を分析、課題を抽出し、来年度は覚え書きを交わした上で統合に向けた準備会をスタートさせ、翌2024年度は改定水道法に基づく法定協議会に移行。25年度は統合するスケジュールです。

1県1水道となれば、各自治体が持つ自己水源を放棄することになります。水道料金の大幅値上げも予想されます。広域連携と統合、先にありきの研究会はただちに止めるべきですが、知事の所見を伺います。

【大井川知事】

まず、水道ビジョンにおける需要水量の推計につきましては、素案作成の段階から、市町村等の実態や人口減少を適切に反映させるため、将来の水需要をはじめとした各種調査を市町村等に対して行い、その結果を採用するとともに、県総合計画における将来人口の推計値等を元に算出しております。

具体的には、1日最大給水量の元となる1日平均給水量の算出において、人口減少を見込む一方で、水道普及率が向上することや、企業誘致等により工場等における上水道の業務用での利用拡大が見込まれることなどから、大きくは減少しないとしたところであります。

その上で、水道事業のように需要変動があるものについては、給水需要の最大値に合わせた施設整備が求められることから、災害時など一時的に需要が増えた場合にも、安定供給が可能となるよう、過去の実績等も踏まえた「負荷率」を設定し、1日最大給水量を算出しているところでございます。

1人1日最大給水量は、1日最大給水量を給水人口で除して算出するものであり、地域によっては井戸から水道への切り替えが進んでいることや、業務用の上水道利用が増えている状況などから、増加しているところであります。

水道ビジョンにつきましては、学識経験者や日本水道協会、市町村職員等を委員とする「茨城県水道ビジョン策定検討委員会」を設置し、それぞれの専門的見地からご意見をいただきながらとりまとめたものであり、需要水量についても、過去の実績や市町村等のデータを元にしていることなどから、適切に推計されたものと考えております。

次に、本県水道事業の在り方についてでございますが、人口減少に伴う給水収益の減少や施設の老朽化による更新需要の増加等により、水道事業を取り巻く経営環境が厳しさを増していく中、水道の広域連携を進めていくことは非常に重要であると認識しております。

広域連携は、施設の統廃合による最適化により更新費用の削減が可能となるほか、広域化に係る国の有利な財源の活用などにより、市町村等が単独で経営を継続する場合に比べ、料金として回収すべき将来の給水原価の上昇を抑制するなどの効果が期待できると考えております。

こうした考えのもと、水道ビジョンでは、2050年度の姿として、サービス・料金が統一される県内水道の一元化「1県1水道」を目指しつつ、当面10年間の取り組みとして、県企業局が行う水道用水供給事業と市町村等の水道事業において、料金の統一を必要としない「経営の一体化」を推進するとともに、地域の状況に応じ、共同発注による連携を検討するなど、段階的に取り組んでいくこととしております。

本年4月には、「広域連携等に係る研究会」を設置し、市町村等とともに広域連携の実現に向けた具体的方策の検討を始めたところであり、今後、様々なシミュレーション等を行いながら、統合条件等の検討を進め、統合に向けて合意を得られた市町村等から順次、準備会や法定協議会に移行していくこととしているところであります。

広域連携を効果的に進めるにあたっては、施設の統廃合について、県全体としての全体最適を図ることが極めて重要であると考えております。

このため、県の施設を有する優先するということではなく、水源の安定性や浄水場の規模、災害時の有効性などといった点を勘案し検討を行ったうえで、市町村等との協議により統廃合を進め、全体最適化を図ってまいります。

広域連携は、水道事業が抱える課題を解消し、強靭かつ持続可能な水道事業の実現のために非常に有効な手法であると考えており、引き続き、市町村等と丁寧な議論を重ね、しっかりと合意形成を図りながら推進してまいります。

【山中】

将来の水需要計画を推計する場合、人口予測と1人1日最大給水量が重要です。水戸市は昨年、厚労省の指導のもとで過大な水需給計画を見直し、給水人口を4万7千人、給水量を5万2千m³削減する水道条例の改正を行いました。

これが実態であり、県が意図的に最大給水量を増加させることは認められません。実態を踏まえない研究会は中止し、水道ビジョンの見直しを強く求めます。

(2)水道料金の引き下げ

次の水道料金引き下げは、長年の県民要求です。すでに今年も鹿行広域と県中央広域の関係自治体から要請書が上がっており、県南広域の関係自治体も要請する予定と聞いています。

今年度は水道料金の見直し・改定の時期です。

2018年に改定した「企業局経営戦略」の投資・財政計画を見ると、最終年2024年度までの水道用水供給事業全体の純利益の総額を194億5千万円と見込んでいます。

県の水道事業会計は、この財政計画をさらに上回る黒字を毎年積み上げており、県民に還元すべきではありませんか。水道料金の引き下げについて、知事の所見を伺います。

【大井川知事】

安全で安心な水を供給するためには、長期的に安定した水道事業の経営が不可欠であります。
そのため、企業局では、経営・財務状況を的確に把握し、将来においても安定的に事業を継続していけるように考慮して、平成27年度から10か年計画の企業局経営戦略を策定しております。

この経営戦略におきましては、計画期間中の水需要を過去の実績を参考にほぼ横ばいと見込んでおり、現行料金を維持した場合には、毎年度黒字を確保できるものの、老朽化施設の更新による減価償却費などの増加により、黒字幅は年々減少していくものと見込んでおります。

このような中、経営戦略期間中に発生する利益剰余金は、今後、多額の資金を要することが見込まれる、老朽化が進む浄水場の大規模な改修や管路の耐震化などの建設改良投資、頻発する自然災害への対策としての停電対策等に充てていく必要があることから、利益が出ているからといって、直ちに料金の引き下げができる状況にはないと考えております。

一方で、契約水量の増量が図られれば、基本料金の単価引き下げも可能となることから、企業局では、市町村等に対し、地下水道等の自己水源から県の水道用水への転換を積極的に働きかけ、契約水量の増量に努めているところでございます。

なお、水道料金は、水道法などの規定に基づき3年毎に見直しを行っており、今年度は料金見直しの時期となっております。

見直しにあたっては、ダムなどの水源費や施設整備のための借入金の償還金、維持管理費及び施設改築等の費用を適切に見込む一方、管路や浄水場設備の劣化診断へのAIの活用といった最新の技術の導入による維持管理費の抑制や、浄水場の運転管理の効率化による経費節減など、経営戦略に基づく経営努力を最大限進めながら、長期的な展望に立って、適切な料金設定となるように検討を進めてまいります。

【山中】

今の答弁を聞いておりますと、いくら黒字を積み上げても県民には還元しないということを改めて表明しているようなものです。暮らしが大変、水道料金が赤字ということでなく黒字なのですから県民に当然還元すべきだと改めて申し上げたいと思います。

3. 洞峰公園の新たな事業計画について

(1)大規模修繕費用

次に、洞峰公園の新たな事業計画について質問します。
つくば市の住宅街にある県立洞峰公園は、面積20ヘクタールの都市公園で、プールや体育館、テニスコートなどの有料施設だけでも年間利用者は27万人。そのほか、散歩やジョギング、自然散策など多くの市民・県民が利用しています。

パネル(資料1)をご覧ください。毎年、県の指定管理者が実施している「洞峰公園の利用実態調査」です。利用者の7割がつくば市民で、子どもからシニアまで全世代に利用されていることがわかります。

資料1 洞峰公園利用者アンケート

資料1 洞峰公園利用者アンケート

この憩いの場に、県はパークPFIを導入し、民間活力による収益事業を実施するとしています。

知事は記者会見で、「今後、体育館・プールの改修や駐車場拡張の費用捻出のために利用料の大幅値上げも必要になってくる。そうしなくても済む形で提案した」と述べました。

ところが、提案された中身は、グランピングやバーベキュー、ドッグランなどの他、指定管理者は自主事業としてビール工房も計画しています。利用者や住民からは、樹木の伐採や景観への影響、野鳥をはじめ動植物や生態系への影響、さらには騒音や治安などへの懸念や不安の声が出されているのはご承知の通りです。

県民のためのパークPFIだと言いながら、公園利用者や地域住民が望まない公園に変えてしまっていいのでしょうか。収益を前提にした新たな施設を作るのではなく、県の責任で計画的に施設の大規模修繕や公園の維持管理を実施すべきです。知事の所見を伺います。

【大井川知事】

今後、急激に進む人口減少や社会保障関係費の増大などにより、県財政がますます厳しくなることが見込まれる中、公園をはじめとする公共施設等の維持管理コストを可能な限り縮減していくことが、県にとって大変重要なことと考えております。

そのような中、洞峰公園には、県営都市公園では稀な温水プールや体育館などが存在し、つくば市民を中心に多くの方にご利用いただいております。一方でそれらの施設の管理運営には多大な経費を要しているとともに、修繕工事にも多大な費用がかかっている状況であります。

洞峰公園のパークPFI事業は、公園の利便性向上に資する施設整備を行いながら、県民の税金でまかなっている管理運営コストをできる限り削減するものであり、今後の大規模修繕につなげていくものです。

具体的にはパークPFI事業の導入により、県の指定管理料の支出を、従前の年間約1億5千万円から、約9千万円に縮減し、これにより生み出される年間約6千万円の財源を、プールや体育館等の大規模修繕に充てていきたいと考えております。

県といたしましては、このパークPFI制度を活用しながら、県民の税金で賄っている管理・運営コストの縮減を図りつつ、 公園を適切に管理できるよう努めてまいりたいと考えております。

【山中】

知事がこれまで行った偕楽園有料化やPFIによる月池レストランの整備、県立図書館等へのカフェ導入なども、利用者の声が十分反映されているとは言えません。今度は洞峰公園を「儲かる公園」にするというのでしょうか。

そもそも、公園や公共施設は県民の福祉の増進を図るものです。その維持管理費はすでに県民が納めている税金でまかなうものです。収益が上がらなければ利用料の値上げだなどという発想自体、改めるべきです。

都市公園は住民のためにあるのです。
住民参加型の公園整備が大事ではないでしょうか。再度伺います。

【大井川知事】

お答えいたします。パークPFIの事業を導入した理由は、将来的な公園の維持管理費用を縮減していくということです。

将来的に、この人口減少時代が続く中で、県の財政が今までのように豊かである保証は全くないというふうに考えておりますので、資産効率を高めていくということも、タブーなしで見直しをしていく一環として、偕楽園の有料化であるとか、パークPFIの導入をはじめ、その第2弾として、洞峰公園にも同じようにパークPFIの導入を検討しているところでございます。

決して県民の利便性を害してまで、ということを意図することは全くございませんし、逆にこのパークPFIの活用によって、県民の洞峰公園に対する楽しみ方、あるいは利用価値が更に上がるものではないかというふうに考えております。

(2)説明会とアンケートの実施

【山中】

県が提案したパークPFI事業の各種事業について県民は望んでいないということです。

次に説明会についてお聞きしますけれども、説明会に私も参加しました。4回で376人が参加し、活発な意見交換はできたと思っています。パークPFI事業に関するアンケート回答者は1,100人。公園運営に市民参加と協議会設置を求める4,000人の署名も届けられています。県民がこれほど多く関心を示して参加していることを県はむしろ歓迎すべきです。

ところが知事は、この声を素直に受け止めずに「反対のための反対」と記者会見で発言しました。こういう知事の態度こそ改めるべきではないでしょうか。説明会やアンケートで出された意見を洞峰公園の今後の運営や県行政に生かすことこそ今求められていると思いますが、知事の所見を伺います。

【大井川知事】

県では今回のパークPFI事業によって、グランピング施設など新たな公園施設の建設を進めていくにあたり、パークPFI制度を導入した目的や、県に寄せられた様々なご意見に対する対応策などについて7月に4回の説明会を開催するとともに、広く県民を対象としたアンケート調査を実施しております。

説明会では、そもそも指摘された騒音や臭いなどについて、(指摘されましたよね?先生)定量的にそれも説明し、それらの懸念は無いということを説明会でも説明させていただきました。出席者からも意見としてそれについての更なる懸念は出てこなかったことから、私共は一定の理解が得られたのではないかなというふうに思います。

ただ一方で、その説明会の場では、今度は治安や環境への影響という新しい話が様々出されております。
こういう中で、現在、説明会で寄せられた意見やアンケート調査の結果など、県民の皆様からの声を丁寧に分析しており、つくば市ともしっかり協議しながら、今後の対応を検討してまいりたいと考えております。

【山中】

新たな要望が出たことについても全てそれに答えていく、丁寧な説明をしていくというのが知事の責任ではないでしょうか。

県は、アンケート回答者の9割がつくば市民であったことを理由に、偏りがあるとして、全県に広げて追加調査を行っています。しかし、その内容は公開されていません。
回答者の9割がつくば市民でなぜ悪いのか。県はなぜ偏りというのか、合理的な説明がされているとは思いません。

先ほどパネルで示したように、もともと公園利用者の多くがつくば市民です。洞峰公園が都市住民のための総合公園という位置づけですから、当然の結果です。

県はまた、公園管理に県民の税金を使っていることをことさら強調していますが、県立公園ですから当たり前の結果です。そんなことは追加調査をやる理由にはなりません。それこそ偏っています。

18日にテレビで報道された際、都市整備課長は計画の白紙撤回は考えていないと発言しましたが、今こそ住民の声に真摯に耳を傾けるときです。改めて、知事の所見を伺います。

【大井川知事】

私共ですね、先生の話と違ってしっかりとこれまでの市民の皆様から寄せられた声に対応して、解決策を提示しながら、どうやって皆様のご懸念とパークPFIが成り立つのかということを努力してまいりました。

騒音の問題、臭いの問題、様々と懸念が示されましたが、それらの問題については杞憂であるということがはっきり科学的にも証明されており、そのことも説明させていただきました。

そのあとの説明会での様々な反対理由は、木を伐採すると全て環境破壊ということであったり、あるいは、飲食、特にお酒を飲むと服を脱ぎ捨て、全裸になって暴れる人が出るのではないかという、そういう反対意見が出たりして、私共としてはちょっと対処のしようがない、理解に苦しむ意見が多かったと認識しております。

我々としては誠心誠意、懸念に対処して、いったい何が問題なのかと、何が理由で反対なのかということは探りながらですね、PFIの両立ができないかと努力しているにも関わらず、そういうことで反対されても、我々としてちょっと当惑してしまうのかなというふうに思います。

説明会で行ったアンケートについては、反対理由について記述式で答えていただいておりますので、しっかりとそれを分析しながら対応したいと思っています。

ただ一方で、回答者の9割、7割でございません。9割がつくば市民だったということでございますので、県税によって管理運営している県の公園ですので、今たまたま7割の方が、つくば市の人が7割を使っているからといって、つくば市以外の方の県民の利用を妨げるわけではありませんし、元々県民全員のための財産でございますので、しっかりと得られたサンプルが十分であると考えられるような人口バランス、年齢階層別にバランスをとって広くアンケート調査を行っているところでございます。

【山中】

そうであるならば、「反対のための反対」という記者会見での発言は撤回して下さい。

4. つくば霞ヶ浦りんりんロードの維持管理の強化について

最後は、つくば霞ヶ浦りんりんロードの維持管理について、土木部長に質問します。

りんりんロードは、自転車・歩行者専用道路として整備され、休憩所設置や危険箇所への看板設置なども進められています。2019年にナショナルサイクルルートに指定され、県内外の多くの人に利用されています。また通勤、通学や買い物、散歩等にも広く利用されている生活道路です。

先日、市民の方から要望が寄せられました。
1つは草刈りです。パネル(資料2)をご覧ください。

資料2 つくば霞ヶ浦りんりんロード

資料2 つくば霞ヶ浦りんりんロード

写真は私が撮りました。草刈りは県が年2回、70センチの刈り幅でやっていますが、予算を増やして刈り幅を広げることです。2つ目は桜並木の剪定や消毒などの維持管理です。桜並木は県が占有許可を出し、地元団体が植樹し管理していると聞いていますが、高齢化などで苦労しているとのことです。

草刈りも桜並木の管理も、地元団体や区会・個人にご協力いただいていますので、今後の維持管理のあり方を地元やつくば市等と協議していただきたい。3つ目は、自転車と歩行者の事故です。相談者は遭遇した事故で大事には至りませんでした。今議会には、一昨年11月に起きた自転車転倒事故の損害賠償議案が出されています。

自転車の走行が増えれば、事故の蓋然性も高くなります。利用者への安全走行の徹底をお願いします。以上、土木部長に伺います。

【土木部長】

お答えいたします。
委員ご指摘のりんりんロードの除草につきましては、厳しい予算額でありますが、年2回の除草を実施しております。さらに、この計画的な除草以外にも、雑草の繁茂が著しく、通行に支障をきたす恐れがあった場合には、応急的な除草も行なっております。

次に、委員ご指摘の桜並木につきましては、「消毒」や「枝払い」などの維持管理全般を地元団体が行うことを条件として植樹を許可したものでありますことから、管理については、地元団体に行っていただくこととしております。

県においては、利用者の通行の安全を確保するため、月2回の道路パトロール時に、桜などの樹木の植生状況などを確認し、倒木の危険性や視認性に問題がある場合には、枝払いや伐採などの対応を行うこととしております。

また、安全対策につきましては、事故後速やかに、事故箇所を含むカラー舗装区間で路面清掃や主要箇所にスリップ等注意喚起看板の設置といった応急措置を講ずるとともに、古いカラー舗装については、新しいアスファルト舗装に更新をしております。

県しましては、引き続き、安全安心なつくば霞ヶ浦りんりんロードとして皆様に利用していただけるよう、適切な維持管理に努めてまいります。

【山中】

桜並木の管理の問題、草刈りの問題、つくば市そして地元と協議することについてお答えください。

※所要時間を超えていたため部長答弁はなし。

以上

動画はこちらから

2022年9月茨城県議会 山中たい子議員の予算特別委員会質問と答弁(大要、PDF)

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