2022年9月茨城県議会 江尻かな議員の一般質問と答弁(大要)

江尻かな議員の一般質問と答弁(大要)

2022年9月13日(火) 茨城県議会 第3回定例会

【質問事項】

  1. 保健医療の拡充と専門人材の育成・確保について(答弁・知事)
    (1)保健師の増員など保健所体制強化
    (2)医療体制の拡充と次期保健医療計画に向けた課題
  2. 河川の防災対策について
    (1)鬼怒川水害裁判の教訓と河川管理のあり方 (答弁・知事)
    (2)那珂川の治水対策の進捗 (答弁・土木部長)
    (3)県産廃処分場建設予定地における周辺河川の洪水浸水想定区域指定 (答弁・知事)
    (4)住民参加の河川防災・流域治水の推進 (答弁・知事)
  3. 学校給食への地場産物・有機農産物の活用と給食費無償化の取組みについて(答弁・教育長)
  4. 聴覚障害児や視覚障害者への支援について(答弁・福祉部長)
  5. 原子力・エネルギー行政について(答弁・知事)
    (1)東海第二原発の再稼働問題
    (2)再生可能エネルギーの普及拡大に必要な対策
質問する江尻かな議員

質問する江尻かな議員=9月13日、茨城県議会

1. 保健医療の拡充と専門人材の育成・確保について

(1)保健師の増員など保健所体制強化

日本共産党の江尻かなです。通告に従い一般質問を行います。

昨日(9月12日)、大井川知事が27日の国葬に参列し、同日には県庁に半旗を掲げると記者会見しました。民主的手続きを経ず、法的根拠がなく、全額国費で行う国葬実施は撤回すべきであり、日本共産党は中止を求め、統一協会問題の徹底究明こそ行うべきと考えます。

コロナ感染への国の対策も不十分です。そこで、まず、茨城県の保健医療の拡充と専門人材の育成・確保について、新型コロナで業務ひっ迫を招いた反省をどう生かしていくのか伺います。

知事は、今月2日から感染者の全数把握をとりやめ、リスクが高い2割弱の患者に発生届を限定しました。これにより、どこに自宅療養者がいるのか、どれだけクラスターが発生するのか把握できず、県民は知るすべもありません。

8月に本県で亡くなった方は109人と過去最多となりました。かつて、新型インフルエンザがまん延した2009年、県内の感染者は約41万人に上る一方、死亡者は5人。これに対し、新型コロナは今日までに627人です。高齢者だから仕方がないと知事は考えるのでしょうか。

私は、全数把握をやめた茨城含む4県(宮城、滋賀、鳥取)を、知事が「四銃士」と記者会見で例えたことに強い違和感を覚えました。

発生届がない自宅療養者の受診や入院が迅速に判断できるのか、食料支援や療養証明発行をやめてしまっていいのか。県民の不安や疑問は置き去りです。「四銃士」と自画自賛する前に、本来行うべきことができなくなってしまった事態を反省し、県民に説明すべきです。

知事が、全数把握見直しを記者会見した同時刻、県議会はコロナ対策調査特別委員会の真っ最中でした。委員会で、本県感染症対策協議会委員長を務める岡部信彦医師は、「全数把握を止める代わりに何をやるかだ」と指摘されましたが、何をやるかも不十分、県民への理解もない見切り発車ではなかったでしょうか。

また、同委員会で県保健所長は、「応援職員の派遣や外部委託をすすめても、保健師にしかできない業務がある」、「40代の保健師が圧倒的に少なく、50代のベテランに負担がかかり、20代・30代は産休育休が多いが代替保健師がみつからない」と現場の実態を示しました。

40代といえば、20数年前の採用世代です。その時代、県は職員定数をどんどん減らして新規採用を抑え、保健所も削減。28年前に18か所から14か所に。その5年後には12か所へ。そして、大井川知事は9か所に統合しました。本県の保健師数は、人口当たり全国37位にとどまっています。

専門職が足りない、負担増大というなら、保健師や公衆衛生医師など専門人材の育成・確保に積極的に取り組み、保健所の体制を強化すべきです。知事の所見を伺います。

【大井川知事】

江尻加那議員のご質問にお答えいたします。
初めに、保健医療の拡充と専門人材の育成・確保についてお尋ねをいただきました。

まず、保健師の増員など保健所体制強化についてでございます。
保健所の体制につきましては、令和元年11月の保健所再編以前は、多くの保健所が小規模で、所長が兼務の状態にあり、新興感染症などへの対応が十分にできない深刻な状況が続いていたところであり、現場を預かる保健所長会から、保健所の再編について、強い要請がございました。

私は、この現場からの強い要請に基づき、早急な再編を決断し、住民サービスの水準を維持した上で、12保健所から9保健所2支所とすることとし、保健所の機能強化を図ったところであります。

この結果、保健師などの技術職を集約化し、全ての保健所に感染症対策を専門的に担う保健指導課を設置したことで、新型コロナウイルス感染症対策業務など、専門性が高い業務や突発的に生じた業務に対し、より的確に対応できるようになりましたので、保健所再編により、体制が強化されたことはあっても、弱体化・縮小したということは全くないと認識しております。

次に、保健師の確保につきましては、これまでの保健所再編においても、行政需要に適時適切に対応した採用を行っており、必ずしも保健師の採用を抑制してきたものとは考えておりません。

また、新型コロナウィルス感染症対応のため、保健所への保健師の配置数を、令和2年度の82名から、令和4年度の91名へと9名増員してきたところであります。

なお、保健師の年齢構成においては、40代の職員が少ないなどの偏りがあることから、平成29年度から社会人採用を導入し、その是正に向けた取り組みも併せて実施しております。

さらに、保健師の育成については、経験年数に応じた研修の実施により、知識や技術の段階的な習得を進めているほか、国立感染症研究所への長期研修などにより、感染症関係業務の専門能力の向上に向けた取り組みを実施しているところです。

併せて、公衆衛生医師の確保に向けては、公衆衛生に関心のある医師を保健所に配置するとともに、筑波大学への委託により、公衆衛生医師育成プログラムを設けて、保健所での勤務機会を提供し、若手医師の掘り起こしなどを行っております。

県といたしましては、保健所が求められる業務をしっかりと遂行し、県民の命と健康を守るという役割を十分に果たせるよう、今後とも保健所の体制強化に取り組んでまいります。

(2)医療体制の拡充と次期保健医療計画に向けた課題

【江尻】

医療体制も同様です。発熱外来のひっ迫はもちろん、コロナ入院患者の受け入れ病床を現在800床運用するために、その2倍以上の一般病床が休止され、一般診療との両立が困難になっています。

しかも政府は、病床確保を拒否した医療機関に、今後は罰則を科す方針まで示しています。岸田首相は、「平時から計画的に体制を整備し、有事に確実に医療が提供されるようにする」と述べましたが、そうであるなら入院ベッドの削減や、水府病院など県内4病院を含む公的医療機関の統廃合方針は撤回すべきです。

そこで、新型コロナ対応での教訓や課題をふまえ、新興感染症とその他の一般診療との両立を図るため、次期保健医療計画(R6年度~)において、病院の統廃合や急性期病床の大幅削減方針は見直すよう求め、知事の所見を伺います。

【大井川知事】

次に、医療体制の拡充と次期保健医療計画に向けた課題についてでございます。

令和2年3月に本県において、はじめて確認された新型コロナウイルス感染症につきましては、今般の第7波まで感染の波を繰り返しており、その都度、医療提供体制における課題が生じたところでございます。

例えば、デルタ株による第5波においては、高い重篤度から、重症の入院患者が増加したことで、重症肺炎患者用の人工心肺装置ECMOが設置された病床が逼迫しました。

また、オミクロン株による第6波以降においては、その感染力の強さから陽性者が急増したことに伴い、入院患者も増加し、その多くを占める高齢者には、介護を必要とする患者も一定程度見られたことで、医療現場の負担が増加しました。

これらの経験を踏まえ、さらなる変異株による入院患者の急増にも備えるべく、県医師会の協力のもと、これまでに重症患者用の80床を含む、最大949床までコロナ専用病床を確保してまいりました。

また、病床の拡大にあたっては、医療機関の新型コロナウイルス感染症以外の患者に対する救急医療における役割も考慮して、弾力的な運用を図るほか、退院基準を満たした患者の後方支援病院等への転院や退院を促進するなど、県医師会とも連携しながら、医療機関の役割分担や連携体制を強化してきたところでございます。

このように、先手先手で講じてきた対策と、医療従事者の方々のご尽力もあり、本県ではこれまで医療崩壊という事態には至っておりませんが、入院受け入れ医療機関がコロナ専用病床を稼働させるにあたっては、増床の都度、段階的に看護体制や診療体制を見直す必要が生じ、 不急の診療について延期せざるを得なくなるなど、一般診療への影響も懸念されるところです。

こうした一般診療の影響緩和とともに、入院受け入れ医療機関への負担軽減のため、感染症対策については、あらかじめ体制を整備しておくことの必要性を強く認識しているところでございます。

このため、感染症医療についても、新たに策定を予定している次期保健医療計画において、感染拡大前から拡大時における医療機関の役割分担を定めるとともに、その役割に応じた機能強化を図り、実際の感染拡大時にも柔軟に対応できる体制を整備することで、一般診療との両立を図ってまいります。

なお、当該計画につきましては、今後、国から示される方針を踏まえて策定いたしますが、議員ご懸念の病院の統廃合や病床の削減については、計画に位置付けるか否かも含め、一切決まってはおりません。

県といたしましては、医療従事者の状況や将来の医療需要など、地域の実情を踏まえながら、限られた医療資源の中で、医療機関に求められる役割を適切に担っていただけるよう、引き続き、役割分担や連携体制の構築を推進し、県民の命や健康を守る医療提供体制の実現を目指してまいります。

2. 河川の防災対策と河川改修の課題について

(1)鬼怒川水害裁判の教訓と河川管理のあり方

次に、河川の防災対策と河川改修の課題について質問します。

2015年9月の関東・東北豪雨で鬼怒川が決壊し、浸水被害を受けた常総市民が国に損害賠償を求めた裁判で、水戸地裁は7月、国の河川管理の不備を認めました。長年、住民側の訴えが退けられ続けた水害訴訟を覆す画期的な判決です。

私は山中たい子県議とともに8月24日、改めて水害現場を視察しました。氾濫地点の若宮戸地区は、かつて自然堤防の役割を果たしていた砂丘林を、メガソーラー業者が掘削。住民が危険性を訴えたにも関わらず、国は放置。裁判では、国が開発行為を禁ずる河川管理区域に指定していれば砂丘掘削は防げたと、3,928万円の支払いを国に命じました。

一方、上三坂地区の堤防決壊については、責任はないとしましたが、堤防の強化技術を使えばたとえ越水しても堤防は防げたと指摘する専門家もいます。

鬼怒川を含む利根川水系で、過去80年間に決壊した32か所のうち、28か所が既存の堤防を超えた水が土堤をえぐって決壊。これを防ぐのが、のり面ブロックや天端舗装による「耐越水工法」です。
知事は判決後の記者会見で、裁判での指摘を参考にしてこれからの県の河川管理を向上させていきたいと答えました。

そこで、第一に、県管理河川の自然堤防や隣接した丘陵地などの実態調査、総点検を行うとともに、対象箇所を河川区域に指定すること。第二に、被災前の鬼怒川の堤防整備率は、栃木県側が62.7%の整備に対し、茨城県側は16.8%と遅れていましたが、緊急プロジェクトでどこまで向上したのかお答えください。第三に、堤防整備の工法や優先順位の付け方をどう改善していくべきと考えるのか、知事に伺います。

【大井川知事】

次に、河川の防災対策についてお答えいたします。

まず、鬼怒川水害裁判の教訓と河川管理のあり方についてでございます。

はじめに、県管理河川における、河川沿いにある自然堤防や砂丘林などの実態調査・総点検についてでございます。

本県におきましては、河川の堤防や排水施設、水門等の河川管理施設の点検につきまして、出水期前や豪雨等による河川の増水後などに加え、維持管理における除草時においても、河川管理施設の状況確認や損傷箇所の把握を行っております。

これまでの点検などでは、河川管理施設と接する自然堤防等の民有地において、新しく河川区域の指定により地形改変を規制すべき箇所は確認されておりません。

一方で、将来にわたって、定期的な河川管理施設の変状確認はもとより、近接地の土地利用の変更、地形の改変等の有無やその影響について、確認していくことは重要と考えております。

これからも引き続き、河川管理施設の定期的な点検などを進める中で、治水安全上の観点から、施設だけではなく、近接地の状況にも留意しつつ、適切に河川管理を進めてまいります。

次に、本県における鬼怒川の堤防整備率についてでございます。

国が管理しております鬼怒川の茨城県から栃木県の区間におきましては、平成27年3月時点で全堤防の4割程度が計画断面で確保されておりましたが、平成27年9月の関東・東北豪雨災害を受け、「鬼怒川緊急対策プロジェクト」による復旧・復興事業が進められたことにより、令和3年3月には全堤防の9割程度が完成し、治水安全度が向上したところです。

現在は、結城市久保田地区の鬼怒川と田川の合流部分において、水門や堤防整備が進められており、引き続き、国に早期完了に向けて働きかけてまいります。

最後に、耐越水工法による整備についてでございます。

議員ご指摘の耐越水工法は、堤防のすべての面をコンクリートなどで覆い、堤防機能を強化する工法でありますが、過去に国が試験的に施工したところ、整備コストが大きいなどの課題があるとされております。

一方、県の河川整備につきましては、まずは、堤防整備や河道掘削などを行うことにより、河川の流下能力を確保し、治水安全度を向上させることを最優先で取り組んでいくこととしており、現段階では耐越水工法を採用することは考えておりません。

県といたしましては、今後とも適切な河川管理を行い、住民の安全・安心の確保に努めてまいります。

(2)那珂川の治水対策の進捗

【江尻】

那珂川でも、令和元年東日本台風において浸水被害が起き、令和6年度までの緊急治水対策プロジェクトが進められています。そこで、大規模に浸水した那珂川と藤井川、田野川の合流地点でどのような改善策が図られるのか。

また、水戸市国田地区では、今回ようやくコンクリート擁壁が整備されることになりましたが、国の緊急プロジェクトと別枠の位置づけになっています。他の事業と同様に優先整備が必要と考えますが、あわせて土木部長に伺います。

【土木部長】

那珂川の治水対策の進捗についてお答えいたします。
令和元年度東日本台風により戦後最大規模の洪水となり、家屋等への甚大な浸水被害が発生したことから、那珂川流域において、国・県・市町が連携し、緊急治水対策プロジェクトを集中的に進めているところでございます。

このプロジェクトにおきましては、再度災害防止の観点から緊急的に対策が進められており、「河道の流下能力の向上」、「遊水・貯留機能の確保・向上」、「土地利用・住まい方の工夫」の3つの対策を組み合わせた「多重防御治水の推進」を大きな柱にしております。

那珂川本川につきましては、国の事業として、水戸市大野地区をはじめ、6地区の堤防整備や、水戸市水府地区など6地区において水位を下げる対策として、河道掘削に着手されております。

加えて、上流の常陸大宮市と城里町にまたがる大場地区では、下流の水位を下げるため、洪水を一時的に貯留する遊水地整備が進められているところでございます。

議員ご指摘の水戸市内における那珂川支川との合流点におきましては、本川下流の河川断面の不足により、浸水被害につながったことから、河道掘削を行い、東日本台風と同規模の洪水に対しても、越水しない対策が進められております。

また、国田地区におきましても、東日本台風による計画規模以上の出水によって被害を受けた、約700メートルの区間について、浸水対策が進められることとなっております。

具体的には、下流の河道掘削等による水位を下げる対策と合わせて、地盤の低い箇所の嵩上げを行うものであり、今後、事業に必要な用地を確保し、緊急治水対策プロジェクトと合わせて進めていくと国から聞いております。

このように東日本台風による浸水被害を踏まえ、県民の生命を守る観点から、ハード対策が進められておりますが、防災意識の向上を図るソフト対策に取り組むことも大変重要でございます。

ソフト対策としましては、水位計や河川監視カメラの増設など、河川の情報提供体制の強化を図るとともに、個人の防災行動計画であるマイ・タイムラインの作成促進、避難訓練などによる地域の防災力の向上、水防団活動の啓発など、防災・減災に向けた取り組みを国・県・市町が連携して進めているところであります。

県といたしましては、緊急治水対策プロジェクトの早期事業完了に向けて、国・市町と一体となって、ハード・ソフトの両面の対策を進めてまいります。

(3)県産廃処分場建設予定地における周辺河川の洪水浸水想定区域指定

【江尻】

次に、県産廃処分場予定地における周辺河川の洪水浸水想定についてです。
国は、想定を超える降水量が記録されていることを受け、千年に1度の過去最大クラスの大雨に備えるべく水防法を改定し、都道府県すべての管理河川で洪水浸水想定区域の指定を義務付けました。令和7年度が完了目標です。

これにより、日立市諏訪町の処分場予定地から排水を流す二級河川・鮎川も、県が区域指定を行って日立市がハザードマップをつくることになります。ところが、県が指定するのは最終年度の令和7年度で、これでは処分場の供用開始にさえ間に合いません。なぜ、真っ先に行わないのでしょうか。

予定地は、広大な唐津沢の谷底にあり、降った雨は日立セメント採掘跡の巨大な窪地にたまった後、徐々に蒸発または地下浸透していきます。この自然防災ダム湖とも言える窪地に大量の廃棄物を埋め立てれば、雨水は行き場を失います。水路や調整池をつくると県はしていますが、それらは30年に一度の雨を想定した基準に過ぎません。水防法は千年に一度なのに、なぜ処分場施設は30年に一度でいいのでしょうか。

住民の反対理由の一つが洪水への懸念です。よって、処分地周辺を流れる鮎川および桜川の洪水浸水想定区域について、直ちに指定公表するべきと考えますが、知事の所見を伺います。

【大井川知事】

次に、県産廃処分場建設予定地における周辺河川の洪水浸水想定区域指定についてでございます。

議員ご案内の、水防法に基づく洪水浸水想定区域は、洪水時における住民等の円滑かつ迅速な避難の確保を目的として、想定しうる最大規模の降雨が発生した場合の浸水範囲などを示すものです。

県管理河川においては、県が洪水浸水想定区域の指定を行い、これを踏まえ市町村がハザードマップの作成や住民への周知を行うこととなっております。

これまで県では、改正前の水防法に基づき、洪水により甚大な被害を生じる恐れがある、洪水予報河川1河川、水位周知河川16河川について、平成29年度までに洪水浸水想定区域の指定を行っております。

こうした中、頻発化・激甚化する水害に備えるため、令和3年7月の水防法の改正により、河川管理者は洪水予報河川及び水位周知河川以外の一級河川及び二級河川についても、洪水浸水想定区域の指定を行うこととなりました。

この指定につきましては、改正水防法に伴う国土交通省通知を踏まえ、県では、全ての県管理河川において令和7年度までに洪水浸水想定区域を指定することとしております。

このことから県では、治水上特に重要な一級河川を優先し、市町村単位でまとまるよう、洪水浸水想定区域指定を進めていくスケジュールを作成し、既に県内関係市町村との調整を完了させております。

このスケジュールに基づき、各関係市町村においては、指定後円滑にハザードマップの作成や住民への周知を行えるよう、準備をしているところであります。

こうした調整を経て、日立市内にある二級河川鮎川及び桜川につきましては、日立市内の他の二級河川と併せて、令和7年度に洪水浸水想定区域を指定することとしております。

県といたしましては、今後も水害に備え、県民の速やかな避難行動に資するため、スケジュールどおり着実に洪水浸水想定区域の指定を進め、住民の安全・安心の確保に取り組んでまいります。

(4)住民参加の河川防災・流域治水の推進

【江尻】

河川防災や流域治水に住民参加は欠かせません。
鬼怒川や那珂川においても、被災前から出されていた住民意見や危険箇所の指摘を軽視し、対策を怠ってきたことが被害を拡大させました。
そこで、これからの河川の防災にあたって、住民への情報開示や意見の反映にどう県は取り組むのか知事に伺います。

【大井川知事】

次に、住民参加の河川防災・流域治水の推進についてでございます。

本県においては、平成27年関東・東北豪雨、令和元年東日本台風などにより甚大な浸水被害が発生しており、こうした災害からの県民の安全・安心を確保することが喫緊の課題となっております。

これらの課題に対応していくためには、住民の理解を深めつつ、治水対策に取り組んでいくことが重要であると考えております。
このため県では、ハード整備における河道掘削や堤防整備などの河川改修のための計画の策定にあたり、流域住民に対して情報提供して意見を頂き、進めてまいりました。

また、個々の事業を実施する際にも、まずは概要説明や事業パンフレットなどにより地元への周知を図り、設計等の完了後、順次、整備内容や用地取得など詳細な内容について、説明会等を通じて住民の皆様にご理解いただけるよう努めてきたところでございます。

今後とも、計画や実施の各段階において住民へ適切に情報提供し、意見をいただきながら、浸水被害の大きい市街地など、優先度の高い箇所から集中的に河川整備を進めてまいります。

一方で、県民の生命を守るためには、ハード対策だけでなく、県民の防災意識の向上を図る対策に取り組むことも大変重要であり、流域全体であらゆる関係者が協働して治水対策を行う「流域治水」においても、減災に向けたさらなるソフト面の取り組みを推進しているところです。

具体的には、市町村のハザードマップ等の作成に必要となる洪水浸水想定区域図を、中小河川を含めた全ての河川において策定を進め、洪水によるリスク情報の発信を拡充するとともに、洪水ハザード内にお住まいの住民のマイ・タイムライン作成と避難訓練に市町村と連携して取り組み、避難意識の向上を図ってまいります。

また、河川監視カメラを町内会で設置するなど、活発な自主防災活動に取り組んでいるところもあり、こうした住民の主体的な取り組みについて、市町村と連携し支援してまいります。

このように、流域住民に対して適切に情報提供するとともに、様々な意見をいただきながら、ハード・ソフト両面からの対策を総合的に進めることとしておりますが、時に方向性が異なる個々の意見を全て反映することは難しいので、地元市町村と連携しながらしっかりとベストな対策を選んでいきたいと考えております。

県といたしましては、頻発化・激甚化する災害から身を守るため、国や市町村と連携して、ハード・ソフト対策が一体となった流域治水対策に取り組んでまいります。

3. 学校給食への地場産物・有機農産物の活用と給食費無償化の取組について

【江尻】

次に、学校給食への地場産物や有機農産物の活用と、給食費の無償化を求めて伺います。

いま、韓国で給食は民主主義の決定版と位置づけられ、健康と環境、生態的な関係を最優先に考慮し、すべての食材について生産・加工・流通過程で安全な給食をめざし、必要経費すべてを国と自治体が負担することとしています。 ソウル市では「残留農薬・抗生剤・化学合成添加物・遺伝子組み換え・放射能なし」の「5つ無し」を定め、子どもの幸福と健康を目指しています。

その根拠になっているのが、「義務教育は無償にする」という韓国の憲法です。日本国憲法第26条でも「義務教育は、これを無償とする」としながら、どうしてこうも違うのかと思わずにいられません。

本県でも城里町、大子町、潮来市、河内町、北茨城市、神栖市で無償化が取り組まれています。また、地場産物の活用では、米やソフト麺、豚肉や牛乳が100%県産である一方、野菜や魚、加工・冷凍食品は割合が低く、とくにパン用小麦は8割が外国産です。そうした中、県西地区では県産小麦「ゆめかおり」のパンが提供されており、ぜひ各地に広げていただきたいと思います。

千葉県いすみ市では、有機米を学校給食利用に特化し、有機農業の産地づくりを広げるとともに、千葉県の熊谷知事は選挙公約の給食費無償化を、まずは第3子以降から実施するとしました。

いま学校給食は、大きな転換点を迎えています。食の貧困、自給率の低迷、物価高やコロナによる生活困窮にどう対応するのか。子ども2人なら年間給食費は約10万円にもなります。大井川知事も一度は公約に無償化を掲げました。

ぜひ、本県でも地場産物や有機農産物を積極的に活用するとともに、給食費を市町村と県の双方で負担するなどして無償化を広げることを強く要望し、教育長の所見を伺います。

【教育長】

学校給食への地場産物・有機農産物の活用と給食費無償化の取り組みについてお答えいたします。

地場産物や有機農産物を学校給食に活用することは、児童生徒が本県の農林水産物への理解を深め、地域の自然や文化、産業等に関心を持ち、生産者の努力や食に対する感謝の念を育むとともに、望ましい食習慣を形成する上で大変重要であると認識しております。

県では、「第3次健康いばらき21プラン」におきまして、いばらきをたべようウィーク期間中における、学校給食の地場産物活用率が50%を超える市町村の割合について、令和5年度までに100%にすることを目標に、地場産物の活用を推進しております。

これまで、県教育委員会や学校給食会など関係機関が協力して「つくろう料理コンテスト」を実施し、入賞した作品のレシピを県内スーパーで配布したり、県内ホテルのメニューとして提供するなど、地場産物の活用に向けた啓発に取り組んでおります。

また、給食の時間における指導や総合的な学習の時間において、食の専門家による授業を実施するほか、日常の食事に地域の農林水産物が使われ、提供されるまでに多くの産業が関連していることについて理解を深められるよう取り組んでまいりました。

その結果、いばらきをたべようウィーク期間中において、学校給食での地場産物活用率が50%を超える市町村の割合が、プラン作成時の平成30年度に79.1%だったものが、令和3年度には90.7%になるなど、学校現場の意識が向上しておりますことから、引き続き、食に対する取り組みを強化してまいります。

一方で、学校給食で使用する食材は、低廉な価格での安定した供給と、迅速な調理が求められるため、同一規格の食材を大量に確保する必要があります。また、時季によっては品薄もしくは割高なため、一部の地場産物や有機農産物は使用が難しいという現状もございます。

このため、農林水産部と情報交換し、各地域における有機農産物の生産者の情報を市町村に提供するなど、学校給食における地場産物・有機農産物の活用に向けて取り組んでまいります。

また、給食費についてでございますが、保護者から徴収する給食費は、食材費としていただいております。
議員のご質問にありました通り、県内では4つの市と町が給食費の無償化を実施しているところですが、都道府県が市町村に財政支援し、全県的に学校給食費を無償化するのは財政的に多額の支出を伴うことから、慎重な対応が必要と考えております。

県といたしましては、政策としての優先度、財政状況や支援すべき対象範囲などを踏まえつつ、引き続き、学校給食に対する支援のあり方を研究してまいります。

4. 聴覚障害児や視覚障害者への支援について

【江尻】

次に、聴覚障害児や視覚障害者への支援についてです。

先日、生まれつき聞こえが不自由な男の子とその母親と一緒に、県に要望を伝え改善を求めました。

1歳5か月で人工内耳の手術を受け、体内と体外の装置を通してお母さんの声を聞き、覚え始めた片言で元気に応えていました。難聴と診断された時のショックや不安、その後の苦労や悩みを乗り越えながら、子どもの一生が豊かなものであって欲しい、耳が不自由でも幸せに生きられる社会にしたいとの思いがひしひしと伝わってきました。

今年2月、厚生労働省は難聴児の早期発見・早期療育のための基本方針を示し、すべての都道府県で対策協議会を設置することとしましたが、本県ではいまだ設置されていません。ここでも耳鼻咽喉科医師が全国四十何位と少ない(2014年全国44位)ことが影響しているのでしょうか。

また、原則自己負担の人工内耳の電池や充電器に補助を実施しているのは、県内で日立市、那珂市、水戸市、北茨城市、笠間市、常陸太田市の6市だけです。県内どこに住んでいても支援が受けられるよう、市町村格差の是正には県の役割が重要です。

そこで、聴覚障害児に関わるこれらの課題に、県はどう取り組んでいくのか、福祉部長の所見を伺います。

視覚障害者については、社会参加を支援する盲導犬やガイドヘルパーの同行支援がありますが、本県で盲導犬を利用したいと希望する場合、県の給付基準では原則「視覚障害1級」に限られています。そのため、水戸市内で1人暮らしする女性は、「2級」のため受け付けが叶いませんでした。

しかし、日本盲導犬協会では、盲導犬貸与の条件として、そもそも身体障害者手帳は必須ではないとしています。盲導犬と積極的に外出したいという意志があり、4週間の訓練を受けて適切に飼育できる人なら貸与可能としています。

また、厚労省に問い合わせたところ、給付要件は各県が決めて、県が認めれば国は盲導犬飼育費用を助成しているとのことです。

北海道や宮城県など2級まで給付している県もあります。本県においても要件の見直しなどきめ細かな支援を求め、福祉部長の所見を伺います。

「県民が日本一幸せな県」をめざすというなら、こうした取り組みこそ大切ではないでしょうか。

【福祉部長】

聴覚障害児や視覚障害者への支援についてお答えいたします。

まず、聴覚障害者への支援につきましては、令和4年2月、国から「難聴児の早期発見・早期支援推進のための基本方針」として、支援の基本的考え方や具体的な方策などが示されており、地域における支援体制として、新生児聴覚検査から診断、治療、療育、教育に至るまでの流れ等を共有する協議会の設置が求められております。

既に、本県では、新生児聴覚検査を推進する協議会が設置済みであるため、現在、新生児期以降の療育や教育に対応する新たな協議会の設置を進めております。

新たな協議会では、より効果的な支援を行うため、既存の新生児聴覚検査に係る協議会との医療や療育、教育面での情報共有に加え、委員の重複も想定されますので、合同での協議会開催なども念頭に、年度内に2回程度開催し、支援の充実に努めてまいります。

また、聴覚障害者が必要とする補聴器などの補装具や日常生活用具等の給付については、国の制度に基づき、市町村が地域の実情等を踏まえ、独自に給付品目や助成内容を定めておりますので、品目や助成額など、一部に差が生じております。

この給付制度は、一義的には事業主体ある市町村の判断によるものがありますが、聴覚障害児に対するさらなる支援の充実に向けて、今後、市町村の意見を丁寧に伺いながら、地域格差の是正が図られるよう、働きかけてもらいたいと考えております。

次に、視覚障害者への支援についてでございます。

視覚障害者の自立した日常生活や社会参加を支援するため、盲導犬給付の制度がございますが、道路交通法令では「目が見えない方又はこれに準ずる方が道路を通行する時は、白色又は黄色の杖を携行するか、盲導犬を連れていなければならない」と規定されております。

これを踏まえ、本県では「身体障害者手帳の視覚障害1級を所持する方、又はこれに準ずる方として医師の診断において1級と同等とされた方」を対象に盲導犬の給付を決定した上で、国指定の訓練施設に育成を委託し、一定の訓練期間を経たのちに給付する仕組みとしております。

また、障害等級以外にも自己所有の家屋または持ち主の許可を得た住居にお住まいであることなど、盲導犬を適切に利用し、飼育できる環境が整っていることを条件としており、本県で盲導犬の給付を受けている方は、盲導犬を更新される方が多い現状にあります。

一方、盲導犬の訓練を担う国指定法人は国内に11ありますが、各法人が独自に給付の対象となる方を定めており、障害1級に限定している場合もあれば、1級及び2級を対象している場合もあります。

このため、まずは、県内の視覚障害者の方々の盲導犬へのニーズや、国指定の訓練施設における盲導犬の育成可能頭数などの把握を行ってまいります。

5. 原子力・エネルギー行政について

(1)東海第二原発の再稼働問題

【江尻】

最後に、原子力とエネルギー行政について、知事に質問します。

一昨年6月、茨城県議会は、東海第2原発の再稼働の是非を問う県民投票条例案を否決しました。共産党県議団は、知事や県議会の判断に県民の民意を反映するうえでも重要な取り組みであると条例案の可決を強く主張しました。

あれから2年。知事が県民の声を聞く3要件、(1)県独自の安全性検証も、(2)実効性ある避難計画の策定も、(3)県民への十分な情報提供も進んでいません。

にも関わらず、岸田首相は8月24日のGX実行会議で、東海第2原発を含む原発の再稼動や運転期間の延長、さらに次世代革新炉の新設や建て替えの検討など、原発推進方針を明確化に示しました。

そこで伺います。

第一に、県民の声を聞く手段として、県民投票の実施はいまも選択肢の一つであると知事は考えているのでしょうか。

第二に、岸田首相は「政府が前面に立つ」と発言しましたが、何をやるのか説明はなく、県は国に内容を確認したのでしょうか。「前面に立つ」ということが、県や地元の事前了解ではなく、政府が判断を下すという方針転換であるなら、決して認める訳にはいきません。

老朽原発の東海第2を全国一の人口密集地で再稼動せよと言ってはばからない政府が、いくら次世代炉だ小型炉だと言っても、その責任も能力も信頼もありません。知事は「地元同意は必要」との考えを堅持するのか伺います。

岸田首相の発言後も、知事は「安全性検証と避難計画の策定について、スケジュールありきではない」と述べています。

では、これらの課題について伺います。

安全面で県民が心配する1つが地震による事故です。原発周辺で発生する地震が、東海第2原発が全国の原発の中で一番多いと共産党県議団は調査・指摘してきましたが、日本原電の地震観測データさえ県に提出されていません。水戸地裁での裁判で原告が求めた際にも、「提出する必要はない」と突っぱねたようです。知事はどう対応し、地震に対する安全性を検証するのか、お答えください。

また、避難計画に関わる県の資料開示もまったく不十分です。例えば、避難所の収容床面積にトイレや倉庫、ステージなど避難スペースに使えない面積まで入っている不備を共産党県議団が指摘したのを受け、県は市町村に見直しを求めて改善できたと言うだけで、どの市町村で間違いがあり、何人分の避難スペースが足りなくなって、何施設避難施設を増やさなければならないのか、これらを示す資料も出てきません。

そもそも作っていないのか、適切に保管されていないのか。水戸地裁判決もまさに避難計画と体制不備が焦点でした。明確にするよう知事の答弁を求めます。

私は、たとえ避難できたとしても元の暮らしに戻れないのが原発事故であり、二度と放射能の危険に子どもや豊かな農地、自然を侵されたくないとの思いで8年間、県議会で取り組んできました。

原発は、人々の安全より目先の企業利益が優先されます。地方に危険が押し付けられ、未来に核のゴミを押し付けます。私が昨年議会で告発した原発工事作業員の電離健康診断書を偽造した会社社長が先日起訴されましたが、原発は被曝労働を押し付けるものです。

そして、戦争、有事となれば攻撃、占拠されることが現実に起きています。また今朝方には、東海第2の屋外変圧器で火災が発生したとの速報も流れてきたばかりです。すべてが老朽化しているからではないでしょうか。

知事が東海第2原発の再稼働に反対する決断を求めて、所見を伺います。

【大井川知事】

次に、原子力・エネルギー行政についてお答えいたします。

まず、東海第二原発の再稼働問題のうち、県民意見の聴取についてでございます。
県民の皆様のご意見を聴く方法につきましては、県民投票含め様々な方法があると考えておりますが、その前提として、まずは安全性や避難計画について十分にご理解をいただく必要があると認識しております。

安全性の検証や避難計画の内容は多岐にわたることから、どのような情報を提供し、ご理解いただく必要があるのかも十分に考慮しながら、最適な方法について慎重に検討した上で、その見通しがついてきた段階で、最適な方法を選択してまいりたいと考えております。

次に、東海第二発電所の再稼働に係わる地元同意についてでございます。
今回、国の有識者会議が公表した「原子力政策の今後の進め方」の中でも、東海第二発電所については、地元の理解確保に向けた取り組みとして、国が前面に立って対応していくこととされており、当然のことながら地元が了解することが前提になるものと認識しております。

次に、東海第二発電所周辺を震源とする地震の発生状況についてでございます。

東海第二発電所周辺の地震につきましては、これまでも本年2月に開催した東海第二発電所安全性検討ワーキングチームにおいて、東北地方太平洋沖地震以降に発電所の半径10km以内で発生した最大震度4以上の地震の発生回数や発生メカニズムなどについて、日本原電から説明がなされているところでございます。

今後はさらに、敷地周辺の活断層の有無についても、根拠となるデータを明らかにした上で、審議していくこととしております。
県といたしましては、東海第二発電所の地震対策の検証結果につきましては、こうした基礎データも含め、県民にわかりやすく示してまいりたいと考えております。

次に、避難所の収容人数の再調査結果についてでございます。

今回の調査では、県及び避難元市町村が、避難所の建築図面等を用いて、居住面積をそれぞれ精査し、収容人数の確認を行ったものでございます。

その結果、避難所の居住面積を1人当たり2平方メートルで換算した場合の収容人数は、いずれの避難元市町村においても、予定している避難者数分を確保できていることを確認しております。

しかしながら、感染症対策やプライバシー確保等の観点から避難所面積の拡充を図っていくこととしており、その際、避難所面積が不足することが見込まれておりますことから、今後、新たな避難所の確保に向け、関係県や市町村と協議を進めていく必要がると認識しております。

次に、東海第二発電所の再稼働についてでございます。

東海第二発電所を巡っては、先般、国の有識者会議において、再稼働済である10基の稼働確保に加え、東海第二発電所を含む7基の設置変更許可済の原子力発電所の再稼働に向け、国が前面に立って対応していくとされたところであります。

こうした方針が打ち出された背景には、今般のウクライナ情勢等を踏まえた原油、 LNG価格の世界的な高騰や、この冬にも懸念される国内電力需給の逼迫、ドイツ、ベルギー、米国において廃止予定原発などの稼働期間延長が検討されるなど、先進各国で進む原子力政策の見直し、さらには、各種世論調査等において原子力発電所の再稼働に関する賛否が、拮抗あるいは賛成が反対を上回るなど、原子力発電に関する国民世論の変化など、昨今の我が国のエネルギー情勢を巡る大きな変化があるものと認識しております。

今回の国の方針は、こうした状況を総合的に勘案し、将来にわたって安定的なエネルギー供給体制の確保に万全を期す観点から、今後の原子力政策の方向性を示したものと受け止めております。

しかしながら、東海第二発電所の再稼働につきましては、引き続き、安全性の検証と実効性ある避難計画の策定に取り組み、その結果を県民の皆様に情報提供した上で、県民や避難計画を策定する市町村、並びに県議会のご意見を伺いながら判断していく姿勢に変わりはございません。

(2)再生可能エネルギーの普及拡大に必要な対策

【江尻】

最後に、再生可能エネルギーの普及拡大に必要な対策についてです。
県内にある各種発電所の総発電量は県内消費量の1.5倍を超え、その一翼を担う太陽光発電の設備導入容量は、本県は全国1位で400万kw(原発4基分)を超えました。政府も、日本における再エネの発電潜在量は、現在の電力需要の5倍あるとの試算を発表しています。

今後のさらなる普及拡大には、再エネによる電力を優先的に利用する原則の確立や送電網および蓄電システムなどのインフラ整備、また、発電効率の向上や乱開発に罰則強化する法整備と再エネ導入エリアのゾーニング設定など、様々な課題を克服していくことが持続可能な社会の発展につながると確信しています。

再エネは導入が進むほど価格が下がり、新設の発電コストを比較すると、石炭火力は太陽光発電の3倍、原発は4倍もかかる時代になりました。

そこで、本県の再生可能エネルギーを電力の安定供給に生かすための課題にどう取り組むのか、知事の所見を伺います。

以上で質問を終わりますが、答弁により再質問いたします。

【大井川知事】

次に再生可能エネルギーの普及拡大に必要な対策についてでございます。

本県は、太陽光発電を中心に、全国で最も再生可能エネルギーの導入が進んでいるところでございますが、カーボンニュートラルの実現や、エネルギーの安全保障の観点からも、更なる再生可能エネルギーの導入は重要であると考えております。

そのため、本年3月に策定した第2次茨城県総合計画においては、野心的とされる国の目標を5ポイント上回る「2025年度における導入目標34パーセント」を新たに掲げたところでございます。

再生可能エネルギーの中でも、太陽光発電は、地産地消型の再生可能エネルギーとして自家消費が容易であるほか、発電コストの低減が進んでおり、最も取り組みやすいことから、太陽光発電を中心に、導入を促進していくことが有効であると考えております。

一方、景観や生活環境、土砂災害などへの安全に対する課題が生じたため、県では、本県独自の太陽光ガイドラインを策定し、設置に適さないエリアなどを定め、適正導入を進めてきたところでございます。

さらに、今年度、改正地球温暖化対策推進法において、県は、防災上の観点などから、再生可能エネルギーの導入を「抑制すべきエリア」を設定できる一方、市町村は、再生可能エネルギーの導入を進める「促進区域」を設定できる制度が創設されたことから、こうした新たな制度も活用しつつ、適正導入を図ってまいります。

私は、太陽光発電の導入にあたっては、周辺環境への影響が極めて少なく、電力系統への接続などの制約も受けないほか、エネルギーコストの低減にもつながる、事業所の敷地内や屋根の上などへの、自家消費型の太陽光発電の導入が最も適切であると考えております

そこで、私は本年6月に県内全ての事業者を対象に、自家消費型の太陽光発電・蓄電池の導入を支援する「エネルギーシフト促進事業」を補正予算で計上し、事業化いたしました。

この事業は、応募状況が大変好調であることから、今回、予算の増額を提案しているところでございます
加えて、太陽光発電の効率的なエネルギー利用や災害時にも活用できる蓄電池の導入を促進することも重要であります。

このため、「エネルギーシフト促進事業」では、蓄電池も導入支援の対象としているほか、家庭向けにも、市町村を通じて蓄電池の導入支援を実施してるところであります。実施市町村の数は年々増加してるところですが、引き続き実施拡大に向けて働きかけを行ってまいります。

県といたしましては、今後も、新たな施策に積極的にチャレンジしながら、地域との共生の観点から、自家消費型の太陽光発電の普及拡大を進めてまいります。

【再質問:江尻】

2点、知事に簡潔に再質問いたします。

県産廃処分場予定地下流の鮎川は重要ではないというのでしょうか。令和7年度まで区域を指定しないというのでしょうか。危機感が無さすぎる、スピード感が全くないと言わざるを得ません。

令和7年度では処分場の開始の方が先になる。これで本当に下流域の住民や洪水対策安全を測れるのか。なぜ水防法は千年に一度なのに処分場は30年に一度なのか。この矛盾をどう考えているのか、併せてお答え下さい。

2点目に、原発問題でGX実行会議の発言を受け、今月中に資源エネルギー庁が本県の関係自治体に個別に説明にくると聞きました。

当然県には真っ先に説明にくると考えますけれども、いずれにしても、その際、知事は「事前了解権をこれまでどおり堅持し、安全性検証や避難計画ができない限り再稼働の議論はない」と国に対してもはっきりと表明する必要があると考えますが、知事の所見を伺います。

【再答弁:大井川知事】

再質問にお答えいたします。

鮎川、桜川の指定スケジュールの前倒しという件でございますが、一級河川は流域面積が大きく、いざ災害が発生すると、二級河川と比較してより甚大な浸水被害が想定されることから、早期に本川・支川で一体的に水害リスク情報を提供する必要があるため、優先して指定を進めていくこととしております。

このため、二級河川である鮎川及び桜川を前倒しする予定はございません。

また、議員がご懸念の、千年に一度の雨が降った場合の新処分場の安全性でございます。新処分場の設計につきましては、安全面を考慮して、廃棄物処理法等で定められる技術上の基準として、環境省が示している「廃棄物最終処分場整備の計画・設計・管理要領」に定める基準を上回る、過去30年間の日立市における最大年間降雨量を踏まえ、浸出水処理施設の処理能力や調整槽容量を設定しております。

なお、千年に一度の降雨に対する備えが十分なのかという問題ですが、国土交通省が定める浸水想定に関する基準によると、想定しうる最大規模の降雨量、いわゆる千年に一度の降雨量については、日立市が属する関東地域など、それぞれの地域において過去に観測された最大の降雨量をもとに設定されております。

また、新処分場近傍の河川の浸水想定においては、24時間雨が降り続けた際の雨量を採用していることから、これらを踏まえ、降雨量を算定すると24時間で690ミリの雨量となります。仮にこの降雨量が新処分場の埋め立て地に降ったとすると、約42,000m³の浸水が発生することになりますが、この施設においては、30,300m³の調整槽や下水道放流に加え、緊急避難的な埋め立て地内部での貯留により十分に対応可能であります。

最後に原発についてですが、これまでの私の考え方をいささかも変更することはございません。以上です。

【再々質問:江尻】

1点ですけれども、一級河川より鮎川をやれと言っているのではなく、一級河川と同じく来年度でもできるはずです。是非やっていただきたいと思います。再度答弁求めます。

※時間が過ぎているため答弁は求めないとの副議長判断により、再々質問に対しての答弁はなし。

以上

動画はこちらから

2022年9月茨城県議会 江尻かな議員の一般質問と答弁(大要、PDF)

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