2007年12月議会 代表質問に立ちました(質問・答弁内容掲載)

2007年第4回水戸市議会定例会(12月議会)代表質問   2007.12.10
20071210

日本共産党水戸市議団 江尻加那



 日本共産党水戸市議団の江尻加那です。ただいまより通告に従い加藤市長への代表質問を行います。

1.来年度の予算編成について


(1)住民負担を軽減し、くらしを支える市政への転換を


最初に,来年度の予算編成について伺います。
私ども日本共産党水戸市議団は、去る11月20日、「2008年度水戸市予算にたいする重点要望書」を提出いたしました。112項目にわたる重点要望は,市民アンケート等を含め,市民の切実な願いを取り入れたものです。予算編成に当たって実現されるよう強く求めるものです。
この間、自民党・公明党政権は、高齢者に対する増税や、すべての納税者に影響する定率減税廃止など、容赦ない庶民大増税を連続しました。昨年に続く今年6月の大幅な住民税増税では、市役所に2,674件もの苦情・問い合わせが殺到したほどです。
住民税増税の中でも、県民税が2倍になったことが大きな要因でしたが、茨城県は県民税の徴収率が低い市町村に対し、2009年度分県単独補助金を最大25%カットする制裁措置を打ち出しました。しかし、県補助金は事業目的に応じ支出されるべきもので税の徴収とは本来無関係であり、県民税を値上げして徴収事務は市町村に行わせ、徴収率が低ければ補助金カットというのは県の役割を投げ捨てた筋違いのやり方であり、市として方針撤回を求めて抗議すべきと考えますが、市長の見解を伺います。
加藤市長は昨年度、住民税増税にあえぐ市民に、介護保険料や下水道料金の値上げ、家庭ごみの有料化などで、総額27億円の市民負担増を実施しました。地方自治体の本来の役割は「住民の福祉とくらしを守る」ことであり、いまこそ住民の負担を軽減し、くらしを支える市政への転換が求められていますが、市長の考えを伺います。

[市長答弁]
日本共産党水戸市議団を代表されましての江尻議員のご質問にお答えいたします。
まず、個人県民税の徴収率に基づく県単補助金の削減につきましては、県からその実施案が示されたところでありますが、19年度の個人県民税の徴収率が90%以下の市町村に対し、21年度の県単補助金について25%の削減を行うとのことであります。対象としては、合併及び原子力地域関係の補助金や、医療福祉費助成、在宅障害児福祉手当等を除き、原則としてすべての県単補助金が対象となっております。
私としては、このような制度は取り入れるべきではないと申し入れたところであり、補助金削減になれば、県補助事業の実施が難しくなることも考えられますので、今後の県の動向に十分留意しながら、適時適切に対応してまいりたいと考えております。


(2)後期高齢者医療制度の保険料減免の実施を求める


日本共産党が今年行った市民アンケートでは、水戸市に望むことの第1は「高齢者福祉」、第2に「公共料金の値下げ」、第3が「子育て支援」、第4に「安全・防犯対策」、第5が「道路・下排水対策」でした。
そこで、高齢者福祉について,今大きな怒りが広がっている後期高齢者医療制度について、保険料に対する水戸市独自の減免実施を求めて質問いたします。
来年4月実施の後期高齢者医療制度は、過酷な保険料と差別医療を高齢者に押し付けるものです。
去る11月29日、茨城県後期高齢者医療広域連合議会が開かれ、来年度の茨城県の保険料は1人平均年69,355円、月額5,780円と決定しました。介護保険料と合わせ月1万円のも保険料が年金から天引きされた上、受けられる医療は制限されます。戦争の時代を生き抜き、現代の社会を築いた功労者である方達に、保険料が払えなければ保険証を交付しないなど、なんと無慈悲な制度でしょうか。
「年寄りは長生きするなということか」と全国で怒りが広がり、水戸市議会を含め295の地方議会が制度の抜本的見直し・中止を求める意見書を決議しています。自民党・公明党政府は一部凍結するとしていますが、制度そのものはあくまで実施するとしています。
無年金の高齢者であっても、生活保護基準以下すなわち年80万円以下の低所得者であっても、保険料11,200円という負担はあまりにも過酷です。
11月29日の茨城県広域連合議会において、日本共産党の中庭次男議員と佐藤文雄かすみがうら市議2名は、生活保護基準以下の収入しかない高齢者の保険料を全額免除する修正案を提出しました。村上達也東海村村長も「高齢者の命と健康にかかわる問題だ」と修正案に賛成しましたが、賛成少数で否決されました。
県の広域連合が独自の減免策を行わない中、水戸市長としてできることは、市独自に保険料を減免することです。市町村が単独事業として保険料を軽減することは、後期高齢者医療制度について定めた「高齢者の医療の確保に関する法律」の第103条で法的に可能であり、県の広域連合が定めた条例第18条でも「保険料を減免することができる」とされています。
私は、無年金、または生活保護以下の低所得者の保険料は全額免除する措置を、来年度から速やかに実施するよう強く求めますが、市長の見解を伺います。

[市長答弁]
次に、後期高齢者医療制度の保険料に対する市独自の減免実施についてお答えいたします。
去る11月29日の茨城県後期高齢者医療広域連合議会において、所得割率は7.6%、均等割額が37,462円と決定されたところであります。
茨城県を全国平均から見ますと、所得割率、均等割額ともに下回っており、妥当な水準であると考えております。(その要因については、一人あたりの平均所得金額が全国の一人当たりの所得金額に比べて低いこと、さらに医療費が全国平均より低い水準にあることによるものであります。)
また、高齢者の医療の確保に関する法律第103条では、後期高齢者医療に要する費用に対し、補助金を交付し、又は貸付金を貸し付けることができると規定されておりますが、本市独自の軽減策は、他市町村とのバランスの問題等もあり、実施は困難であると考えております。なお、低所得者の保険料については、広域連合条例において、世帯の所得水準に応じて、均等割額を7割、5割、2割軽減する措置が実施されることとなります。


(3)乳幼児医療費助成と妊産婦検診助成の拡大について


第4に、乳幼児医療費助成と妊産婦検診助成について伺います。子どもをもつ世帯や、これからまさに出産を迎える家庭では、どうしても医療費が多くなります。市は一部補助を行っていますが、対象を拡大してほしいとの願いに応えることです。
子どもの医療費助成の対象年齢を小学校卒業までに引き上げるにはあと3億5千万円でできると、今年の3月議会で保健福祉部長が答弁していますが、これは一般会計のわずか0.4%です。ぜひ対象年齢を小学校卒業までに拡大し、子育て支援を大きく前進させるよう願います。
また、厚生労働省が14回の受診が適正としている妊産婦検診は全額無料をめざし、当面、現行2回の公費助成を最低5回以上に増やすよう求めます。

[市長答弁]
次に、乳幼児医療費助成についてお答えいたします。
乳幼児への医療福祉費支給については、県の補助事業として実施しており、その補助対象は平成17年11月から3歳未満児から未就学児まで拡大しております。対象年齢を小学校卒業まで拡大することは、さらなる財政負担等を伴うことから難しいものと考えております。
次に、妊婦検診の助成拡大についてお答えいたします。
健康な妊娠、安心な出産を迎えるうえで、妊娠中の定期検診は重要であり、その必要性について周知を図っているところであります。
現在、検診費用の助成については、妊娠前期及び妊娠後期に各1回ずつ、合わせて2回の公費負担を実施しております。
本年1月、国において、妊婦検診の公費負担の望ましいあり方として、検診の時期、内容等、さらに回数については5回程度という考えが示されましたので、今後検討してまいりたいと考えております。


(4)公共施設の禁煙化について


次に、公共施設の禁煙化ついて伺います。2003年施行の健康増進法第25条に基づき、水戸市も受動喫煙を防止する対策として、204の市公共施設のうち、全体の92%にあたる188施設で敷地内禁煙または建物禁煙を実施しています。
これに対し、残り16の施設-市役所庁舎や芸術館、内原・常澄庁舎などでは建物内に喫煙所が設けられタバコが吸えます。私は、これらの施設でも喫煙所を廃止して完全禁煙にすべきと考えますが、見解を伺います。

[市長答弁]
次に、公共施設の禁煙化についてのご質問にお答えいたします。
「健康増進法」の施行に伴い、本市におきましても、平成15年8月に策定いたしました「市施設における受動喫煙防止対策に関する指針」に基づき、各施設において実施方針を定め、内原地区の施設も含めたほぼすべての施設において、全面禁煙又は完全分煙を実施しております。
また、受動喫煙防止対策の徹底に向け、ポスターの掲示や文書などにより、来庁者や職員に対する啓発に努めて参りました。
本庁舎をはじめ、現在、完全分煙としている施設について、議員御提言の建物内を全面禁煙化することにつきましては、様々な来庁者に対しましても配慮しながら、他の自治体の状況も踏まえ、今後の課題としてまいりたいと考えております。


(5)大工町再開発事業について


次に,大工町1丁目市街地再開発事業の問題点について質問いたします。
この事業が現在、様々な問題をかかえ行き詰まっていることは、誰もが認めざるを得ない状況です。
 ア.建築物工事入札の予定価格と応札価格について
一つに、2回にわたり入札が流れ,建築工事の業者が決まらない前代未聞の事態です。総事業費138億円のうち、建物工事は約108億円。入札では20億円もの開きがあったと言われていますが、多額の補助金を交付する事業にもかかわらず不透明な点が多すぎます。市長は事業の経過を市民に説明する責任があり、これまでの入札予定価格と応札価格を明らかにして下さい。
 イ.再開発組合との確約書について
さらに、市長は10月16日、再開発組合理事長の西野一郎氏-水戸信用金庫代表らを市役所に呼び、「確約書」を結んで現状打開を促す異例の対応を行いましたが、確約書で何を約束させたのか、その内容をお聞きします。
 ウ.建築物の設計変更と補助金額について
すでに、補助金39億2,100万円のうち約12億円が投入されましたが、今になって建物内容が変更されました。11階建だったホテルは9階建となり、客室は101から80に減りました。駐車場も347台が320台になりました。さらに、設備や仕上材のグレードも落とされるようです。当然、積算に基づく補助金も減額になると考えますが、市はあくまで当初の予定通りの補助金額を投入するのか、市の対応を伺います。
 エ.(株)フロンティア水戸(保留床管理法人)への貸付けについて
さらに、再開発組合の主なメンバーが資本金1千万円を出資し合ってつくった保留床管理法人―(株)フロンティア水戸に対し、市は無利子で10年据え置き,25年返済という破格の条件で、2億6千万円を貸し付けます。
フロンティア水戸は、58億円分の保留床を譲り受け、商業テナントの賃貸や駐車場運営、ホテルオークラの運営委託を行うとしていますが、いったい事業が成り立つのでしょうか。採算が取れず、借り手がいなければ破たんは免れません。そうなれば、資本金わずか1千万円のフロンティア水戸への貸付金は回収不能とる危険が非常に高いと言わざるを得ず、融資した根拠と返済の見込みについて市長の考えをお聞きします。採算や事業成立の見通しが立たない大工町再開発への税金投入は中止するよう求めます。

[市長答弁]
次に、大工町1丁目地区市街地再開発事業のご質問にお答えいたします。
はじめに、本年1月及び3月に実施致しました施設建築物工事の入札は、結果として落札に至らなかったところであります。その予定価格など入札に関する事項の公表につきましては、国の関係省庁の取扱指針に基づき行っております。
当該事業におきましては、今後、再入札の公告を行い契約締結する予定にありますので、契約を締結した後、遅滞なく公表してまいります。
次に、現在、市街地再開発組合においては、去る6月20日に建築基準法が改正されたことを受け、新たな構造基準に適合するよう作業を進めているところであります。
市といたしましても、本事業の早期実現が図られるよう、市街地再開発組合に対し指導を行ったところ、確認申請など必要な手続きを迅速に進め、平成20年7月までに施設建築物工事の契約を締結し、確実に事業を完遂することを記した確約書の提出があったところであり、今後の事業の実効性が担保されたものと考えております。
また、組合では、建築物の設計や、設計金額についても見直すこととしており、この見直しと合わせ、市といたしましても補助金額等を精査するとともに、早期の工事発注に向けて適切な指導・助言を行ってまいります。
次に、無利子貸付につきましては、再開発ビル完成後の初期段階における管理運営会社の円滑な経営に資するため、国の制度を活用し、必要な資金の一部を貸し付けるものであり、市といたしましては、引き続き、計画的な貸付の実施とともに、償還計画に基づく返済についても適切な管理を行ってまいります。


(6)地域公共交通の活性化について


 ア.5水総での施策内容と、バス路線の増減状況
次に、公共交通について質問いたします。多くの市民から、「これまで乗っていたバスがなくなってしまった」「出かけて行っても帰ってくるバスがない」「病院や買い物にも行けず困っている」という声が寄せられています。
政府がバス路線の廃止規制を許可制から届出制に緩和した2002年以降の、水戸市内バス路線の増減状況を伺うとともに、公共交通の在り方に対する市長の考えをお答え下さい。
 イ.乗合タクシーの運行について
車を持たない高齢者や児童・生徒の交通手段を確保することはまちづくりにとっても重要な課題です。とくに、高齢者が安い料金で便利に利用できる乗合タクシーへの要望が年々高まっており、タクシー事業所や送迎サービスを行うNPO等の機能を生かし、一日も早い乗合タクシーの運行実現を求めます。
 ウ.山根小学校に通う児童生徒の交通手段確保について
また、来年春、山根小学校前を通るバス路線が廃止の予定です。学校への登下校にこのバスを利用していた全生徒の半数が、4km近くある学校への足がなくなってしまします。双葉台中学校へのスクールバスを増便して対応するなど、何らかの対策を求めますが、市長の考えを伺います。

[市長答弁]
次に、地域公共交通の活性化に関するご質問にお答えいたします。
本市では、地域の生活に密着した交通手段として、路線バスが重要な役割を果たしておりますが、自動車社会の進展などの影響により、利用者は減少傾向にあります。
バス事業者においては、中心市街地循環バスや水戸医療センター行きのバスなど、新たな利用者の確保に向けて系統の新設等を行ってきたところでございますが、(平成14年2月に改正道路運送法が施行され、乗合バス事業の参入・撤退が自由化されたことに伴い、)不採算のどの理由により、市内の21系統、約34キロの路線が廃止となるなど、地域の方々の移動手段の確保が課題となっております。
このような中、本市では、第5次総合計画に基づき、市民の移動手段の確保を図るため、バス路線廃止の対応策について検討を進めるとともに、バリアフリー環境の充実に向け、ノンステップバスを導入する事業者に対し、事業費の一部を補助しているところでございます。
公共交通を維持し、市民の移動手段を確保していくためには、何よりも多くの方々に利用していただくことが重要でありますので、引き続き、利用環境の向上や効率的な運行等について、関係機関との連携を図りながら検討を進めてまいります。
また、本格的な少子・高齢社会が進行する中、暮らしやすい地域づくりとともに、環境保全などの観点からも、公共交通の必要性はこれまで以上に高まっておりますので、路線バスを始め、御提案のありました乗合タクシーも含めた、本市における公共交通のあり方等について、今後、都市交通の円滑化に向けた総合的な研究を行う中で、調査・検討を進めてまいりたいと考えております。

[教育長答弁]
江尻議員の代表質問のうち、山根小学校に通う児童・生徒の交通手段確保についてお答えいたします。
山根小学校に通学する児童のうち、木葉下地区や谷津地区などの児童16名は、双葉台中学校へ通学するために市が委託して運行しているスクールバスや、路線バスを利用しております。
路線バスの存続については、これまでも関係機関を通じて要望してきたところですが、将来的には存続が難しい状況にあります。
このような状況のなか、児童の通学に支障をきたさないよう、現中学校スクールバスの拡充などの検討を進めてまいります。

2.桜川・千波湖の水質改善と霞ヶ浦導水事業について


(1)下水道整備による河川汚濁の減少について


次に、河川の水質改善と霞ヶ浦導水事業について質問いたします。
市長は、桜川・千波湖の水質浄化は、霞ヶ浦導水事業による那珂川からの導水以外に方法はないとしています。
しかし、那珂川の漁業協同組合は取水口建設に絶対反対を表明し、「千波湖や桜川の浄化は、周辺の下排水整備こそが最も有効な対策である」と指摘していますが、まさにその通りであります。
市が毎年作成する「水戸市の環境」という資料でも、「近年、公共下水道の普及率が向上し、水の汚れ具合を示すBODの値が、桜川ではどの地点でも基準値5.0mg/lを達成して3.4mg/lに改善され、逆川、沢渡川は未達成であるが下水道普及に伴い、年を経るごとにBOD値は減少傾向にある」と示しています。
今後、下排水処理の整備が進めば、客観的には那珂川からの導水に頼らなくても浄化は可能ではないでしょうか。現状と市長の考えを伺います。

[市長答弁]
次に、桜川・千波湖の水質改善と霞ヶ浦導水事業についてお答えいたします。
本市の豊かな水と緑は、かけがえのない大切な財産であります。
私は、この貴重な自然環境の保全と再生に努めているところであり、特に、「水の都・水戸」を象徴する千波湖の水質浄化を実現し、透明感あふれる美しい湖面を復元したいと考えております。
千波湖は、水深が浅くフラットな湖底で成り立っていることや流入河川の状況など、その自然形態から湖水の水循環が緩やかで汚濁の進みやすい閉鎖性の湖沼でありますので、下水道の整備による流入河川の水質改善はもとより、霞ヶ浦導水事業を活用してきれいな那珂川の水を定量的に千波湖に導水し水循環を促すことが水質浄化に最も効果的であると考えております。
ご質問のうち、まず、下水道整備による河川汚濁の減少についてでありますが、河川の水質は、下水道整備の推進に伴い改善が図られつつあります。各河川流域における下水道整備の状況は、平成18年度末の整備率で桜川流域44.1%、沢渡川流域49.6%、逆川流域44.4%となっておりますが、これに対し河川の水質の状況では、水質の指標となるBOD量を平成8年度に対する平成18年度の削減率でみると、桜川47%、沢渡川66%、逆川50%となっており、明らかに水質が改善されつつあります。 今後も、平成20年度市街化区域内完成を目標に下水道整備を推進し、生活環境の改善とともに、河川の水質汚濁防止に努めてまいります。


(2)那珂川の取水口建設について


国交省は今年9月、茨城、栃木県内7つの漁協との漁業権交渉が決着してない中、那珂川の取水口建設工事を来年3月着工すると突然通告しました。これに対し、那珂川漁協は「取水口建設反対」を決議し、工事と事業の中止を求める13,636人分の署名を集めて11月30日、国交省に陳情を行いました。
茨城県のアユ生産量は全国1位で、那珂川は「天然アユがのぼる全国100名川」のひとつです。かたや、霞ヶ浦導水事業は、21世紀環境委員会の「ムダな公共事業100選」のひとつに選ばれ、市長としてどちらを推進すべきか問われます。
国は、「現地での実物大施設により、対策効果を実際に確認していただく」と言っていますが、約15億円かけて建設するのは実物大施設ではなく、まさに“本物”です。取水口は幅50m、この本会議場の幅が15mと聞きましたので、この3倍以上もの幅の巨大な口が、那珂川の水を一気に吸い込んでいくのです。そして、取水口より上流10kmの間に天然アユの産卵場があるのです。
漁業関係者が、生態系の違う霞ヶ浦の水を流し込んで那珂川の清流を台無しにし、代わりにアユやサケなど貴重な自然を育む那珂川の水を持っていくなどとは、とんでもない環境破壊だとして取水口建設に同意しないのは当然です。
取水口予定地のわずか150m川上には水戸市の水道取水口があり、直近に霞ヶ浦の水が送水されれば、市の水源水質に与える悪影響ははかりしれません。
霞ヶ浦導水事業は、総事業費1,900億円で1984年に着工して以来23年、すでに事業費の75%が投入されましたが、トンネル工事の進捗率は32%。全く先の見えない事業であるばかりか、人口減少・水余りで都市用水の確保という最大の目的がすでに失われています。
導水事業をすすめる突破口となる取水口の建設を強行することは許されません。国・県に工事着工中止を申し入れるよう求めますが、見解を伺います。

[市長答弁]
次に、霞ヶ浦導水事業による千波湖の水質浄化についてでございますが、本市では、これまでも、千波湖の水質浄化に向けた各種施策に取り組んできたところでございます。これまで以上に千波湖への通水を可能とする霞ヶ浦導水事業の完成を大いに期待しているところであり、これまでも国に対し早期完成を強く要望してきたところでございます。
しかしながら、霞ヶ浦導水事業につきましては、那珂川の水産資源への影響や河川環境への影響などを懸念されている関係者の方々もおられますので、国においては、現地での実物大施設による迷水防止対策を実施することとしております。
また、外部の専門家による委員会を設置し、迷入防止対策の結果について評価をいただき、見直しが必要となった場合には追加対策を行い、委員会による迷入防止対策などの効果が確認されるまでは、本格運用には入らないと伺っております。
いずれにいたしましても、霞ヶ浦導水事業は、桜川や千波湖の水質浄化に加え、水の安定的な供給を確保するためにも重要な事業でありますので、国においては、引き続き、取水口建設工事についてご理解が得られるよう努めていただくとともに、実際に対策の効果を確認いただきながら、関係者の方々のご心配やご不安を払拭した上で事業の推進に努めていただきたいと考えております。
本市におきましては、既に水戸トンネルが完成しておりますので、那珂川の取水口が完成することにより、最大で毎秒3トンの水を桜川へ通水することが可能となり、計算上では千波湖の水が3日で入れ替わることとなり、これまで以上に桜川や千波湖の水質浄化が図られるものと大いに期待しているところでありますので、引き続き、那珂川の取水口の早期着工及び霞ヶ浦導水事業の完成に向けた予算の確保について、国に対し要望してまいりたいと考えております。
そして、霞ヶ浦導水事業をはじめとした清流ルネッサンスⅡに基づく事業を通じて、千波湖の美しい湖面の再生に努めるとともに、子どもたちが水遊びができるような親水空間の創出に努めてまりいます。

3.清掃行政について


(1)新ごみ処理施設の整備検討について


最後に、清掃行政について質問いたします。10月11日の市議会総務環境委員会で、市は新ごみ処理施設の整備にむけ、下入野町を候補地として、小吹清掃工場の移転と新たな最終処分場やリサイクルプラザの整備について、来年3月まで調査すると報告しましたが、その内容について4点にわたり伺います。
 ア.ごみの減量化
第1に、施設規模に深く関与するごみ量の見込みについてでありますが、「水戸市新ごみ処理基本計画」では、2010年までにごみ排出量を20%減らす大目標を打ち出しています。しかし、現在のゴミ量がいくらで、どれだけ減らすのか、そのために何をするのかについて、多くの市民は知らされていません。減量化に向けた積極策が必要と考えますが、市の具体策を伺います。
 イ.プラスチックのリサイクルについて
第2に、新たにリサイクルプラザの整備が検討されていますが、現在、水戸市では燃やしているプラスチックを、容器包装リサイクル法に沿って分別収集し、再資源化すべきと考えますが、見解を伺います。
 ウ.整備事業費について
第3に、新ごみ処理施設の事業費についてです。市の概算では、最大で焼却施設が約140億円、リサイクルプラザが約17億円、最終処分場が約83億円と、3つの主な建物で計240億円。さらに用地代や周辺整備を含めると倍近くの予算が推測されますが、事業費計画の検討状況を伺います。
 エ.小吹町の既存施設撤去について
第4に、既存施設の在り方についてですが、小吹町の施設の解体・撤去は考慮されていくのでしょうか。と言うのも、新しい焼却施設を造った自治体で、解体の予算がなく古い施設をそのまま放置している自治体が多数あるのです。環境省の調査によると2004年時点で、全国で661カ所の停止した焼却施設のうち、314カ所が解体されず放置されたままです。
小吹町では、建設当時より住民による「環境整備促進協議会」が組織され、「耐用年数がきた場合には既存施設を解体し、別の場所に移転すること」を強く要望していますが、市長の考えをお聞かせ下さい。

[市長答弁]
続きまして、清掃行政に関するご質問にお答えいたします。
まず、ごみ減量化目標値20%につきましては、環境省の示す「循環型社会形成推進計画」に準拠して、「平成22年度のごみ量を平成12年度比で20%減量する」と、新ごみ処理基本計画に位置づけたものであります。この減量化目標につきましては、ホームページへの新ごみ処理基本計画の掲載や、各種説明会などで情報提供を行っているところでございます。また、今後のごみ減量施策といたしましては、家庭ごみの更なる減量や事業系ごみ減量のための取り組みを、より一層進めてまいりたいと考えております。
次に、現在、焼却処理しておりますビニール袋などの「その他のプラスチック製容器包装」などのプラスチック類につきましては、新たなごみ処理施設の整備を検討する中で、容器包装リサイクル法に沿った対応を考えてまいります
また、新たなごみ処理施設整備の事業費及び既存施設の撤去についてでありますが、現在「課題対策調査班」の中で調査・検討を進めている段階であり、詳細な資金計画の立案までには至っておりません。また、既存施設につきましては、今後、検討を進めてまいりたいと考えております。


(2)ごみ袋料金の値下げについて


そして、ごみ袋が有料化されたにもかかわらず、集積所のカラス対策や不法投棄のごみがいっこうに改善されないとの声が寄せられています。対策を進めるとともに、1枚30円という、内原地区や茨城町と比べても高い水戸地区のごみ袋を、当面20円に引き下げるよう求めます。ごみ袋料金の3分の1-額にして1億9,804万円が余剰金となっており、20円への値下げは十分可能です。
以上で質問を終わりますが、答弁によりましては再度質問いたします。

[市長答弁]
また、家庭ごみ有料化に伴う指定袋の価格につきましては、ごみの減量に実効性があることや、将来の施設整備のための一般廃棄物手数料として議決されたものですので、ご理解願います。なお、基金の使途につきましては、引き続き市民に情報提供してまいります。

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