水戸市がごみ処理施設の整備に関する調査班を設置 新施設の建設にむけて始動(2007年10月)

2007年10月11日の総務環境委員会で、ごみ処理施設の整備に関する調査班を庁内に設置することが報告されました。


○ 設置の目的
水戸市第5次総合計画に掲げる環境負荷の少ない循環型社会構築に向け、今後、より一層、ごみの資源化・減量化を図るとともに、ごみを適正かつ効率的に処理するための新たな処理施設については、水戸市下入野町地内を有力な建設候補地とし、その諸課題について全庁的に調査、検討する。

○ 班の名称 「ごみ処理施設の整備等に関する課題対策調査班」

○ 調査・検討課題 
総合的なごみ処理施設(リサイクルプラザ、新清掃工場、最終処分場)の整備及び施設立地について、
1. 新技術を導入したごみ処理方式及び事例
2. 都市計画決定に向けた諸手続き
3. 交通アクセスや汚水・雨水排水処理等の基盤施設整備
4. 既存の処理施設(小吹町)及び余熱利用施設(植物園、温水プール、農業用ハウス等)の将来の運営と在り方、埋蔵文化財に係る調査

○ 調査班の設置期間 2007年10月から2008年3月まで

○ 整備に向けた基本的な手続き
課題対策調査班 ― 処理方式、関係法令手続き、基盤施設、既存施設等の調査
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循環型社会形成推進地域計画 ― 施設整備の計画概要及び国交付金を財源とする概算資金計画
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ごみ処理施設整備基本計画 ― 具体的なごみ処理方式、施設規模、収集体制
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事業手法の検討 ― PFI導入の可能性、資金計画、入札・契約の検討
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中間処理施設整備基本設計
最終処分場整備基本設計
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環境影響評価 ― 大気、水質、臭気、騒音などの環境アセスメント
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都市計画決定 ― 施設の位置決定
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実施設計
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建設工事


水戸市は昨年、2006年5月に加藤浩一市長のもとで「水戸市新ごみ処理基本計画」(2006年度から2019年度まで)を策定しました。
この中で、焼却炉やリサイクル施設、最終処分場等の施設について以下のような考えが示されています。
(1)現在の小吹清掃工場の焼却炉(390t/日)は、1984年(昭和59年)度から稼働し約20年経過しているが、今後とも可能な限り活用できるよう適正な運転維持管理を行うとともに、新たな清掃工場の整備を急ぐ必要がある。
(2)小吹清掃工場内にある粗大ごみ処理施設は1975年(昭和50年)度から約30年を、不燃物再資源化処理施設(リサイクルセンター)は1994年(平成6年)度の稼働から約10年経過しているため、早めに施設の補修・整備を行うことが必要であるとともに、リサイクルプラザの建設を急ぐ必要がある。
(3)現在の第2最終処分場(酒門町)は、1994年(平成6年)度から埋立てを開始し、本計画期間中(2019年度まで)には埋立完了が予想されることから、ごみの資源化・減量化を進めるとともに、新たな最終処分場用地の確保について計画的に進める必要がある。

現在の清掃工場がある小吹町では、当時より「小吹町環境整備促進協議会」が組織されています。地元住民と水戸市との間に交わされた協定書では「ごみ処理施設は絶対に新増設を行わない」とあり、現在の施設の耐用年数がきた際には、既存処理施設を解体撤去し、別の場所に移転する約束が取り交わされています。

今回、水戸市が調査班を設置して新施設の整備にむけて始動することになりました。私は、「減量化を進めてごみを減らし、焼却能力も縮小する」ことが基本だと思います。
埼玉県大井町では、新施設の整備にあたって住民参加の検討委員会をつくり、コンサルタント会社に計画づくりを任せず、自分たちで各地の施設を見て回り、大きな炉を作った挙句に借金返済に追われたり、焼却能力を持て余したりしている自治体の実情をつぶさに見学して、自分たちの計画に役立てています。

自治体では国への補助金申請の手続きと並行して、焼却炉の機種選定、施設設備の決定を行いますが、専門家を入れた選定委員会に委託したり、庁内に検討組織を作ったりします。その際、多くの自治体がコンサルタント会社にその検討作業の基礎的データの作成を委託したり、委員会の取りまとめを任せていますが、コンサルタント会社の多くは特定の焼却炉メーカーとつながりがあり、最初から特定メーカー1社を選んで契約を結ぶ随意契約では、コンサルタント会社が大きな影響力を持っているとも言われています。

水戸市が巨額な予算を必要とする処理施設を造ることは一大事業です。例えば、焼却炉の建設費は、処理能力1トンあたりの平均単価は3千万円から5千万円と言われています。水戸市は1トンあたり4012万円の試算で焼却処理施設の事業費は約140億円、リサイクルプラザ17億円、最終処分場83億円の概算費を基本計画で示しています。これだけを足しても事業費は240億円です。その他の関連施設や周辺整備を合わせれば事業費はさらにふくらみます。

焼却施設等の建設には国からの補助金や地方交付税の措置があり、自治体は総建設費用の20~30%の負担で建設することができますが、十分な吟味もせずにコンサルタント会社やメーカーに勧められるまま巨大施設を造ってしまっては、借金となって住民負担に跳ね返ってきます。
私は、ごみ行政の基本は情報公開と市民参加が大切だと考えます。さらに、ごみ処理費用負担の責任を事業者や企業に移す拡大生産者責任を強めていくことが必要です。

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