2021年12月茨城県議会 江尻加那議員の最終日討論(要旨)

日本共産党の江尻加那です。議案、認定、請願、意見書のうち7件について討論します。

はじめに、第143号議案は、茨城県森林湖沼環境税を令和9年度まで5年間延長する条例改正です。
4年ないし5年ごとに見直す税収では安定財源になり得ず、森林や湖沼の環境保全が本当に重要だと考えるなら、一般財源での予算措置が原則です。ところが林政課・林業課の予算額は、10年前の107億円から昨年度は57億円へと半減してしまいました。

湖沼関係では、霞ヶ浦の浄化対策に予算が集中されてきましたが、CODの値が6.8mg/Lまで下がったのは過去50年で2回だけです。水環境の専門家は、県の意見聴取に対し「同様の対策を継続しても大きな水質浄化効果は期待できない」としています。
この際、県民に税負担させるのではなく、一般財源による林業予算、湖沼予算の拡充を求め、議案に反対します。

次に、第160号議案は、小・中・高校に「主幹教諭」と「指導教諭」を配置する条例改正です。
主幹教諭が全国で導入され始めて10年以上経ちますが、校長、副校長、教頭の下におく新たな管理職の必要性について、十分に議論されているとは言えません。問題なのは、教頭の業務が現状でも多い上に、クラス担任や教科担任の長期療養や産休に対する代替教員が十分に補充されず、教頭がその業務までこなしている実態です。また、いじめや不登校の対応、ICT教育や少人数教育のためにも現場教員の増員が必要ですが、主幹教諭・指導教諭の配置は教員定数の増に直結するものでなく、同意できません。

次に、認定第1号・第2号の令和2年度公営企業会計、一般会計、特別会計決算の認定に反対いたします。
消費税10%への増税により、本県歳入の地方消費税収が大幅に増えました。社会保障や福祉の拡充が期待されましたが、75歳以上後期高齢者医療保険料が平均9,500円も値上げされる一方、県は財政安定化基金を1円も取り崩しませんでした。 18歳までの子どもマル福外来医療費の助成や給食費無償化の願いも実現していません。

一方で、本社機能誘致やホテル誘致に60億円の補助金積み立て、石炭灰を埋め立てる常陸那珂港区建設に約50億円、売れ残り土地の破たん処理に87億円、さらに霞ヶ浦導水事業費に対する本県負担を187億円増やす国の計画変更に同意してしまいました。県の新産廃処分場建設では、地元日立市民から多くの懸念や反対意見が出されており、新たな搬入道路の概算事業費は非公開のままです。

水道事業では、実態とかけ離れた市町村との過大な契約水量を見直す姿勢がなく、繰り返し要望される県水の料金引き下げにこたえていません。
地方自治の本旨を発揮し、県民本位の財政確立を求め、決算認定に反対いたします。

次に、請願第5号・県南地域における特別支援学校の新設に関する請願を不採択とすることに反対です。つくば特別支援学校は、教室が55室も不足するなど、過密化・大規模化が深刻です。困難を抱える子どもたちへの支援と教育を保障するには、校舎の増築だけでは全く不十分です。新たな学校を新設するとともに、肢体不自由児のための学校設置は切実な願いです。

請願第7号は、私立の幼稚園・学校への私学助成を拡充して父母の教育費を軽減し、すべての子どもたちにゆきとどいた教育を求める請願であり、採択すべきです。

なお、このあと議題となる議第24号は、百里基地での日米共同訓練の中止を求める意見書です。13日から実施される共同訓練は、日本の専守防衛を踏み越えるもので、アジアに緊張をもたらすことが強く懸念されます。

今月、米軍三沢基地所属の戦闘機が飛行中にエンジントラブルに陥り、燃料タンク2つを住宅地のわずか20メートル先に投棄する重大事故が起きました。繰り返される米軍事故に強く抗議すると同時に、日本の警察捜査が及ばない日米地位協定の抜本改正こそ求められます。百里基地で9回目となる日米共同訓練の中止を要請する意見書の採択を求め、討論を終わります。

以上

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