2021年10月茨城県議会 江尻加那議員の一般質問と答弁(大要)

江尻加那議員の一般質問と答弁(大要)

2021年10月12日(火) 茨城県議会 第3回定例会

【質問事項】

  1. 命と暮らしを守るための知事の政治姿勢について(答弁・知事)
    (1)コロナ病床確保と自宅療養者対策
    (2)米農家の経営支援と農業担い手確保の拡充
    (3)気候危機打開に向けたCO²削減の取組
    (4)東海第2原発の再稼働問題
  2. 脳脊髄液減少症患者への医療提供と支援について(答弁・保健福祉部長)
  3. 特別支援学校設置基準の公布と県の対応について(答弁・教育長)
  4. えん罪布川事件国賠裁判高裁判決について(答弁・警察本部長)
質問する江尻加那議員

質問する江尻加那議員=10月12日、茨城県議会

1. 命と暮らしを守るための知事の政治姿勢について

【江尻】

日本共産党の江尻加那です。2期目にあたる知事の政治姿勢について、コロナ対策や農業、気候危機、原発の問題を伺います。

これはどれも、県民の命と暮らしに直結する問題であり、先の知事選挙でも命の危機と疲弊した県民の暮らしをどう立て直すのかが問われました。

知事は1期目の4年間で、感染症や薬事衛生を担う保健所を3カ所廃止し、原発再稼働の是非を問う県民投票は実施されず、CO²排出ゼロ宣言はできないとしています。農業では大規模経営に特化し、米価暴落に直面する農家への直接支援がありません。

これまでの県のコロナ対策予算は総額5,600億円。そのうち県の一般財源が使われたのはわずか3%です。予算の4割は融資貸付であり、その借金返済が重く県民にのしかかります。

(1)コロナ病床確保と自宅療養者対策

【江尻】

知事は、コロナ対策について、先手先手で措置を講じてきたと述べられました。しかし、第5波のピークだった8月、県のPCR検査能力に対し、実際の検査数は約半分にとどまり、陽性率が過去最高の16%に達したことは検査不足の証であり、後手後手になったと言わざるを得ません。次の感染拡大を抑え込むには変異株ごとの科学的検証と、大規模検査がどうしても必要と考えます。

第5波について、知事は記者会見で、2点、反省点を挙げました。

ひとつは、確保病床不足の危機に直面したことです。
政府は8月に突如、コロナ患者の「原則自宅療養」を打ち出しました。これに対し、本県では入院と宿泊療養が原則で、自宅療養は例外、やむを得ない措置と説明してきました。しかし、8月までの陽性者およそ2万3千人のうち、入院が約5千人、宿泊療養も約5千人に対し、自宅療養はその2倍を上回る1万3千人にのぼりました。もはや例外とは言えません。

全国的にも病床確保が迫られた最中、政府は国会で、高度急性期と急性期病床を中心に全国で約20万床の削減を進める法案を通してしまいました。本県では約5千床の削減計画です。地域医療構想がスタートした2015年度と比較しても、すでに本県の高度急性期と急性期ベッドは1,367床も減っており、鹿行地域に高度急性期病床は1つもありません。病床削減は医師や看護師の体制後退にもつながるものです。感染症を踏まえて必要は病床数を再度検証し、地域医療構想は見直す必要があると考えますが、知事の所見を伺います。

2つ目の知事の反省点は、県職員の過重労働を招いたことです。疫学調査や自宅療養者の健康観察がその一因です。共産党県議団はかねてから、自宅療養者の情報を市町村と共有し、支援につなげるよう要請してまいりましたが、県は個人情報保護を理由に実行していません。結果、8月末までの自宅療養者約1万3千人に対して食糧を配達できたのはわずか600件、20人に1人にとどまっています。

笠間市などが独自支援を始めていますが、市町村はどこに自宅療養者がいるのか分かりません。患者情報の取扱いについて市町村と早急に覚書を交わし、支援の役割分担と連携が必要です。知事の所見を伺います。

【大井川知事】

江尻加那議員の質問にお答えいたします。
命と暮らしを守るための知事の政治姿勢についてお尋ねをいただきました。

まず、コロナ病床確保と自宅療養者対策についてでございます。
本県では、感染者が適切な医療の提供を受けられず、自宅で亡くなることは決してあってはならないとの強い決意のもと、病床や宿泊療養施設を拡充するとともに、やむを得ず自宅療養される方のフォローアップを強化してまいりました。

病床については、先般の第5波で814床を確保したところですが、確保にあたっては、受け入れ病院の拡大と医療従事者の確保が課題であると認識しております。このため県では、次の感染拡大に備え、870床程度での更なる拡大に向けて県医師会と協議を進め、必要な医療の提供に万全を期してまいります。

また、地域医療構想については、人口減少・高齢化に対応した効率的な医療提供体制を構築するため、引き続き急性期病床から回復期病床への転換等を進めてまいります。

一方、感染症への対応については、転換等によって減少してもなお多く存在する急性期病床の中から、確保する受け入れ病床をあらかじめ想定しておくなどの事前の備えを進め、感染状況に応じて機動的に対応してまいります。

次に自宅療養者対策についてですが、本県では、直ちに入院加療を必要としない方は、容態の急変や家庭内感染のリスクを考慮し、宿泊療養施設での療養を原則としております。

こうしたなか、第5波における感染拡大に伴い、特に自宅での療養者が増加しましたことから、宿泊療養施設を計7施設1,020室まで速やかに整備したところであります。

また、様々な事情により自宅で療養される方には、毎日の健康観察のほか、近隣で受診できる医療機関の確保、必要に応じた食料品や生活必需品のパッケージの発送などにより支援してまいりました。
これらの対応により、過去最大規模の感染拡大となった第5波においても、自宅で亡くなるという事態を起こすことなく乗り切ることができたところであります。

お尋ねの市町村との情報共有ですが、災害発生時には感染防止対策を徹底のうえ、迅速に災害応急ができることが重要であり、特に自宅療養者の避難誘導にあたっては、市町村との連携が不可欠であるため、災害対応のための情報共有はすでに実施しております。

また、生活支援のための情報共有につきましても、感染症法や国通知などで、県が自宅療養者等に対し、食事の提供などの生活支援を行う際は、市町村との連携が求められていることを踏まえ、市町村の個人情報の取り扱いなどを確認しながら対応してまいります。

県といたしましては、引き続き、自宅療養者が安心して療養に専念できる環境の整備に全力で取り組んでまいります。

(2)米農家の経営支援と農業担い手確保の拡充

【江尻】

コロナ危機は、県政のさまざまな問題を浮き彫りにしました。十分な補償もない自粛と宣言の繰り返しで、非正規雇用の人たちが真っ先に仕事を失い、中小業者、個人事業主、文化・芸術・イベント関係者、そして農業者も追い詰められています。

とくに米農家は、米価の下落で大規模経営ほど大幅な減収です。人口減少やコロナの影響で米の消費が減る。これらはどれも農家に責任はないのに、自己責任にされようとしています。県の関連事業所への支援一時金も、農家は対象外とされています。これでは、茨城の米作りは必要ないというのでしょうか。

食料の外国頼みをやめ、自給率を先ずは50%に引き上げること。価格保障・所得補償を実行し農業経営を成り立たせること。大規模化一辺倒を見直し、多様な担い手を支援し、若者の就農を増やすことが打開策の第一歩です。

そこで、今般の米価下落に対し、米農家の経営をどう支援するのか。関連事業者支援一時金の対象とする考えはないのか。また、来年度の国の新規就農者育成総合対策の拡大に向けた積極的な県の取り組みについて、知事の所見を伺います。

【大井川知事】

米農家の経営支援と農業担い手確保の拡充についてでございます。

まず、米農家の経営支援についてであります。
米の消費量は少子高齢化や食生活の多様化などにより、毎年10万トン程度のペースで減少し続けており、米農家の経営安定のためには、国全体で需要に応じた米生産に取り組み、主食用米の価格を安定させることが重要でございます。

こうしたなか、今回の米価下落は、毎年の消費量の減少に加え、新型コロナウイルス感染症の影響で中食・外食の需要が大きく落ち込み、国内の在庫量が積み上がっていることによるものと認識しております。

一方、こうした国内の在庫状況は、国や全国の集荷団体を通じて各都道府県にも事前に情報提供されていたことから、本県においても厳しい需給状況と米価下落の危険性について、昨年秋から県内各地での説明会や新聞広告などの広報媒体を通じて、米農家に広く周知を図ってまいりました。

併せて国の交付金を活用して、大きな需要が見込める飼料用米の作付けに対し、令和2年産の主食用米と同程度の収入が確保できるよう支援策を講じ、主食用米からの転換を働きかけてきたところであります。

その結果、本県の飼料用米の作付け面積は、前年産の1.5倍に当たる約1万2千ヘクタールと過去最大となる見込みであり、提供された需給等の情報に基づき、自らの経営判断で作付け計画を立てて取り組んだ米農家については、米価の下落による経営の影響は緩和されているものと考えております。

一方、今回の新型コロナウイルス感染症の影響など、社会・経済状況の急な変化や自然災害による収入減少に備え、日頃からリスク回避策を講じておくことも大切でございます。

このため、県では関係団体とともに、「米・畑作物の収入減少影響緩和交付金」、いわゆるナラシ対策や、収入保険などのセーフティネットへの加入を促進してきたところであり、セーフティネットに加入している令和3年度の米農家の数は、昨年度に比べて増加しております。

なお、議員ご質問の「営業時間短縮要請等関連事業支援一時金」については、県からの営業時間の短縮要請に協力した飲食店と直接取引があり、その影響により売り上げが減少した事業者に対し、一時金を支給しようとするものであり、米農家の支援としては適用が困難と考えております。

県といたしましては、意欲ある米農家が安心して営農を継続できるよう引き続き支援するとともに、更なる所得向上のため、規模拡大による生産性の向上や輸出などの販路拡大、園芸作物など高収益作物への転換を積極的に推進し、儲かる農業への実現を図ってまいります。

次に、農業担い手確保についてであります。

私は、本県農業を持続的に発展させていくためには、収益性の向上と投資による事業の発展の追求という農業の成長産業化が不可欠であり、農業の担い手については、個々の農業者が生産性や付加価値の向上、販路の開拓に取り組むことが重要であると考え、各種の施策を展開してまいりました。

その結果、100ヘクタールを超える大規模稲作経営体の育成や、積極的に輸出に取り組む農業者の増加、さらには需要が増大しているかんしょについて、2年間で300ヘクタール以上の栽培面積の拡大を実現するなど、着実に成果が表れております。

今後も、こうした取り組みを実践できる人材を育成・確保するため、就農希望者や意欲ある農業者に対し、経営の発展段階に応じた知識・技能の習得支援に一層注力してまいります。

具体的には、就農希望者が農業生産の実態をよく理解した上で、将来の経営の方向をイメージし、担い手となる意思を固められるよう、今年度から新たに、就農前にインターンシップを受けられる機会を設けるとともに、国の「農業次世代人材投資事業」の研修実施機関として、先進農家等を追加し、より効果的な研修体制を整えたところであります。

さらに、こうした就農前研修の充実に加え、引き続き若手農業者を対象にした「ヤングファーマーズ・ミーティング」や、農業経営者に対する「リーダー農業経営者育成講座」等を実施するとともに、来月本県において、オンライン形式で開催される「全国農業担い手サミット in 茨城」を通じて、より一層の経営者マインドの醸成を図ってまいります。

このようななか、令和4年度の国の予算概算要求において、これまで全額国費負担で実施してまいりました「農業次世代人材投資事業」や「農の雇用事業」について、交付額の増額や交付期間の延長など、農業者への支援内容が拡充される一方で、新規就農者への支援は国と地方が一体となって行うべきとの考えから、地方公共団体に対して、1/2の費用負担を求める案が示されているところであります。

しかしながら、この案につきましては、事前に十分な説明がないまま、地方負担が唐突に盛り込まれたことから、先日、全国知事会の農林商工常任委員会委員長名で国に対し、仮に地方公共団体の負担が生じる場合は、その財政力によって支援に差が生じることが懸念されるため、これまでと同様、全額を国費で措置するよう申し入れたところであり、今後も機会をとらえて国に要望してまいります。

今後、こうした申し入れも踏まえながら、具体的な内容が改めて示されるものと考えておりますが、県といたしましては、引き続き国の動向を注視するとともに、現在、県で実施している支援策についても絶えず見直しを行いながら、より実効性の高い農業の担い手の確保策を講じてまいります。

(3)気候危機打開に向けたCO²削減の取組

【江尻】

次に、気候危機打開に向けたCO²削減の取り組みについてです。
先日、地球温暖化予測につながる研究を切り開いた真鍋淑郎氏が、ノーベル物理学賞に決まりました。気候変動に関する国連政府間パネル(IPCC)が、「人間の影響が温暖化させてきたのは、もはや疑う余地はない」という明言するにあたった科学的な基礎を築き、「気温上昇を抑える数値目標や、CO²排出実質ゼロの目標が導かれたのは真鍋氏の予測モデルがあってこそだ」と賞賛が寄せられました。

言うまでもなく、世界各地での異常な豪雨、猛暑、森林火災、海面上昇などが連日報道されています。今議会でも「脱炭素」や「カーボンニュートラル」について多くの質問がありました。しかし、知事の答弁は、CO²をどうゼロにしていくのか、目標をどう達成するのか、どのようにして企業活動につなげるかというばかりで、脱炭素も儲かるかどうかなのでしょうか。

本県の「地球温暖化対策実行計画」における削減目標は、他の先進国に比べて低く設定された日本政府の目標にさえ達していません。家庭部門が39%、業務部門40%、運輸部門は28%にとどまり、さらに一番CO²を出している産業部門はたった9%の削減目標であり、早急に見直すべきです。

本県に石炭火発を有するJERA(東京電力と中部電力の合弁会社)も、石炭高炉をもつ日本製鉄も、2050年カーボンニュートラルを掲げました。これら大量排出企業は、県の財政支援に依らなくても自らの資本と技術で構造転換することが社会的使命と考えます。水素やアンモニアの活用といった実用化のめどが立っていない技術に頼り、石炭火発を今後も温存することになれば目標達成は先送りになってしまいます。

「既存の省エネ・再エネの技術だけでもCO²を93%削減できる」との研究提言もあります。中小企業や住民の発電事業にたいする支援や、メガソーラー乱開発に対する規制。そして省エネ設備への更新を支援し、効率的なエネルギー消費でコストも環境負荷も低減することです。

そこで、本県の産業部門でのCO²削減を大胆にすすめ、目標を引き上げて次の県総合計画で着実に実行するよう求めますが、知事の所見を伺います。

【大井川知事】

次に、気候危機打開に向けたCO²削減の取り組みについてでございます。
県では、平成29年3月に改定した「地球温暖化対策実行計画」に基づき、産業など4つの部門において、二酸化炭素の排出削減目標を定め、県民、事業者、行政などがそれぞれの役割に応じた排出削減策に取り組んでおり、産業部門における2018年度の二酸化炭素の排出量は、2013年度比7.9%減と着実に削減が進んでいる状況であります。

一方、カーボンニュートラルの実現に向けた動きが世界的に加速化しており、我が国においても、2050年のカーボンニュートラル達成という極めて高い目標が設定されたことから、更なる対策の強化が必要であると考えております。

その中でも、特に、大規模事業所が数多く立地し、県内事業所の二酸化炭素排出量の約9割を占める臨海部での大幅削減が重要であることから、私は、臨海部におけるカーボンニュートラルへの対応を戦略的に推進するため、今年5月に「いばらきカーボンニュートラル産業拠点創出プロジェクト」を立ち上げたところであります。

現在、国・企業との連携のもと、茨城港と鹿島港におけるカーボンニュートラルポートの形成に向けた取り組みを進め、本県臨海部に集積する石炭火力発電所や製鉄、石油化学プラント等の脱酸素化に必要となる、水素やアンモニアなど新エネルギーの需要と供給を一体的に創出するための取り組みを検討しているところでございます。

このプロジェクトを通じて、高い競争力を持つ産業拠点を創出することともに、二酸化炭素の大幅な排出削減を図ってまいります。

また、中小規模事業所の省エネへの取り組み支援につきましては、ノウハウが少ない事業所に対して無料でエネルギーの専門家を派遣し、設備の運用改善等の提案を行う「省エネルギー診断」の実施や、省エネ設備導入に必要となる経費を補助するなどの施策を推進してきており、今年度は診断件数を拡大したところであります。

さらに、環境に配慮した取り組みを積極的に実践している事業所を県が格付けする本県独自の環境マネジメントシステムである「茨城エコ事業所登録制度」を運営し、登録された事業所を、環境に優しい取り組みを行う事業所として県のホームページで広く県民に紹介するなど、 PRの面からも中小規模事業者の取り組みを支援しているところでございます。

県といたしましては、二酸化炭素を多く排出している臨海部をカーボンニュートラル社会に相応しい形に変貌される取り組みに官民連携して取り組むとともに、引き続き、中小規模事業者への支援を進めることなどにより、産業部門への二酸化炭素の排出削減を図ってまいります。

(4)東海第2原発再稼働問題

【江尻】

次に、東海第二原発の再稼働問題について伺います。

エネルギー問題に大きな関心が寄せられているとき、東海第二原発は、再稼働に向けた工事が来年12月の完成をめざして急ピッチで進められています。知事は安全性検証と避難計画、県民の意見聴取が判断の条件だと県知事選挙で繰り返しましたが、果たしてその取り組みは県民の納得のいくものになっているでしょうか。

そこで、3点伺います。
第一に、避難計画についてです。私は6月の予算特別委員会で、避難所面積を1人2m²にするという県計画は、県民の命と人格権を侵害するものだと知事に見直しを求めました。

国際的な「スフィア基準」は1人3.5m²以上。政府の「避難所運営ガイドライン」もこれを推奨し、千葉県は運営の手引きで4m²に見直しました。そして、松戸市が水戸市民の避難を受け入れるにあたり、茨城県から言われた2m²ではなく4m²に見直し、結果、予定人数の半分しか受入れできないと水戸市と県に通知しております。松戸市だけでなく、6自治体からも2m²としない回答があったとのこと。私ども共産党の調査でも埼玉県でも春日部市が3m²での想定です。

また、本県で真っ先に計画をつくった常陸太田市は、市長が議会答弁で「4m²を前提として、本市計画を見直していく」と明言しています。

2m²と言えば畳1帖です。これがいかに非人間的か。例えば、刑務所の雑居房(共同室)でさえ、12帖に6人、つまり1人畳2帖なのに、それより劣悪な条件でも良いと知事は言うのでしょうか。

知事は私の質問に、面積を広くすると避難所が多く必要で、より遠くまで避難することになるとし、「生命や身体の保護が目的であり、避難者の負担を考慮した」と答えました。県民の生命や負担を考えると本気で言うなら、この避難計画こそ成り立たないものです。たとえ避難できたとしても元の暮らしには戻れない、それが原発事故です。

廃炉にして、使用済み核燃料をすべて乾式キャスクに保管すれば、避難計画そのものが必要ないとの定めです。再稼働をやめ、廃炉後の対策や地域づくりにこそ県の役割発揮が求められると考えます。避難計画について知事の所見を伺います。

第2に、安全性の検証に関して、県民の大きな心配は大規模地震です。全国の原発で東海第2原発周辺の地震発生回数が最も多いことを私どもは明らかにし、知事に検証を求めてまいりました。しかし、原電に説明を求めるとして以降、1年経っても未だに実行されていないのは何故なのかお答えください。

日本原電は福井県の敦賀原発2号機の新規制基準審査で、活断層の存在の核心部分であるデータを改ざんしました。原電は改ざんではなく、書き換えだと言っていますが、地盤のボーリング調査で断層が動いた可能性を示す「未固結」を「固結」とまったく逆にするなど、まさに改ざん以外のなにものでもありません。その書類を作成した担当グループが東海第二原発の地層書類も作成したとのことですから、県の検証が重要です。

3点目は、再稼働のための工事をすぐにやめることです。私が工事現場を視察したのは今年1月ですが、コロナ禍のもと千数百人以上の作業員が下請け、孫請け、そのまた下請けも含め作業にあたっていました。

コロナ陽性者は、原電発表だけでも24人を数えますが、末端の作業員の感染まで把握されているのでしょうか。

私のところに寄せられた作業員からの訴えでは、「産業医に聞かれたら、薬も飲んでいないし、体調も問題ないと言え」、「体調が悪いというと、もう仕事やらないってなる」と元請けの所長や自分の会社の社長に言われたといいます。

さらに、別の作業員は、「危険な業務にあたるときに義務付けられている特別教育を受けていないのに、自分の修了証が偽造されているようだ」とか、「放射線管理区域に入るために必要な電離放射線健診を受けていない」など、原子力の現場で、こんなことがまかり通っています。

これまでも、匿名での相談や告発は多々ありました。しかし、今回は実名を出して労基署にも警察にも訴え、明日は弁護士同席で記者会見するようです。

作業員を人間扱いしない現場を放置すれば、不満や不安が募るだけでなく、原発の安全さえ脅かされると考えます。県は原電に対し、どのように安全管理を調査、指導しているのでしょうか。安全を軽視した県民への背信行為とも言える再稼働工事は即時中止すべきと考えますが、以上3点について知事に伺います。

【大井川知事】

東海第二原発の再稼働問題についてでございます。

まず広域避難計画における避難所面積の見直しについてであります。
以前にも答弁したとおり、原子力災害時の防護措置と新型コロナウイルス感染症対策との両立は困難なテーマだと認識しており、特に避難所における感染症対策は、重要な課題の一つと捉えております。

避難計画の策定にあたっては、何よりもまず、避難者の生命や身体を保護することが第一の目的であることは申し上げるまでもなく、あらかじめ避難先や避難所を定めておくのも、福島第一原子力発電所の事故において、避難先が転々とすることで、避難者が心身の負担を強いられることなどを踏まえたものであります。

そのうえで、可能な限り長距離の避難とならないよう避難者の負担を考慮し、一人あたり2平方メートルを避難所面積の目安として確保を測ってきたところでございます。

避難所の面積に関しましては、これまでに県内の避難先について、避難元市町村とともに図面を用いて確認作業を行い、また県外の避難先についても、現在、関係市町村のご協力をいただきながら、同様に作業を進めているところでございます。

こうしたなか、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として、県内外の自治体では、自然災害時における感染症対策を踏まえた避難所運営の検討が進められており、本県におきましても、今般、県の避難所運営マニュアルを改定し、感染症対策やプライバシー確保の観点から、避難所面積を広げることを含めた新たな避難所レイアウト例を示し、県内市町村に周知を図ったところでございます。

原子力災害時における避難所の感染症対策につきましては、内閣府から「基本的に自然災害の場合と原子力災害の場合とで異なることはない」とされておりますことから、県といたしましては、今般、新たな避難所レイアウト例を参考に、一人当たりの避難所面積を広げることも含めて、第一の避難先となる避難所の拡充について、避難元の市町村とともに、県内市町村や他県との協議を開始したところでございます。

避難所の拡充にあたっては、避難先自治体のご理解・ご協力が大前提であり、また、具体的な避難所面積についても、パーティションテントなどの資機材の確保等への対応も含めて、慎重に検討していく必要があることから、国や避難元市町村とも緊密に連携しながら、丁寧な協議を進めてまいりたいと考えております。

県といたしましては、引き続き、国、市町村、関係機関と共に課題を共有し、意見交換を重ねながら課題の解決に努め、「実効性ある避難計画」の策定にしっかりと取り組んでまいります。

次に断層・地震のリスクの検証についてでございます。

東海第二発電所の敷地内の活断層の有無につきましては、日本原電が、敷地内の複数箇所で実施したボーリング調査の結果において、敷地直下の岩盤中に、概ね水平な火山灰層が広がっており、断層の存在を示唆する不連続な地形は認められなかったことに加え、文献調査や空中写真の判読の結果などから、敷地内に将来活動する可能性のある断層等は認められないとの評価がなされております。

この結果をもとに、国の原子力規制委員会において、新規制基準に適合しているとして、平成30年に原子炉設置変更の許可がなされたと承知しております。

県といたしましても、平成31年に開催した国の審査結果に関する住民説明会等を通じて、県民からいただいたご意見などを踏まえ、「敷地及びその周辺における活断層の有無の判断根拠」などを重要な論点として、今後、東海第二発電所安全性検討ワーキングチームにおいて、活断層に関する専門家にもご参画いただき、日本原電の評価結果等について、必要な審議を行っていくこととしております。

また、日本原電敦賀発電所2号機に係る国の審査資料において、敷地内の断層に関し、目視による観察結果の一部が削除され、顕微鏡による観察結果に基づく記載に書き換えられたことが明らかになったことを受け、県では、先月24日に開催したワーキングチームにおいて、本件に係る東海第二発電所への影響について、日本原電から説明を聴取したところでございます。

日本原電からは、ボーリングデータなどの一次データは、調査会社から提出された報告書などから加工することなくそのまま転記して国に提出していることなどから、信頼性は確保されている旨の説明があったところであります。

これに対して、ワーキングチーム委員からは「国の審査資料に関わる問題であり、原子力規制委員会の見解も確認すべき」とのご意見があったことから、次回以降のワーキングチームにおいて、引き続き、審議を行っていくこととしております。

このほか、発電所敷地周辺も含めた地震のリスクにつきましては、国が審査対象とした地震に加え、東海第二発電所の真下など太平洋プレート内に震源を置いた場合や、県の地震被害想定で用いた地震などについても、追加の評価を求めてきたほか、県民意見も踏まえて抽出した様々な論点について、詳細な説明を日本原電から聴取するなど、県独自の視点から審議を継続しているところであります。

地震対策につきましては、県民の関心も高いことから、県といたしましては、引き続きどのような地震に対応できるようになるのかといった視点から、安全性の検証をしっかりと進め、その結果を県民に具体的に示してまいりたいと考えております。

次に、安全性向上対策工事現場における作業員の安全管理についてでございます。

まず、工事現場での作業員の安全管理につきましては、労働安全衛生法に基づき、事業者は快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて、労働者の安全と健康を確保していくことが責務とされており、法令を所管する国においてその指導監督が行われているものと認識しております。

その上で、原子力施設内での放射線に係る安全管理につきましては、原子炉等規制法に基づき、国の原子力規制委員会による原子力規制検査等により確認が行われております。

加えて、県においても原子力安全協定に基づき、被ばく状況や被ばく管理に係る教育訓練の実施状況等について定期的に報告を受けるとともに、平常時立ち入り調査などを通じて管理区域内における作業計画書や作業内容の掲示など、現場における安全管理体制の確認を行っているところでございます。

また、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策を含めた健康管理につきましては、日本原電では、国や自治体からの要請に側した対策を講じるとともに、昨年9月から実施している県外から新たに東海第二発電所に入所する作業員等に対してのPCR検査に加え、本年8月からの緊急事態宣言下においては、県外往来者への抗原検査を実施するなど、感染拡大防止の強化を図ってきたところであります。

さらに、東海第二発電所の運転員については、従前から交代勤務の採用に加えて、他の社員や協力会社作業員との徹底した動線分離を行うなどの対策を講じております。

県では、こうした日本原電における感染症拡大防止対策について周辺住民に広く周知することにより、住民の不安の解消に努めるよう要請してきたところであります。

これを受け、日本原電では、東海第二発電所内で陽性者が判明した場合には、社員のみならず協力会社作業員についてもホームページへの掲載や周辺自治体の説明等を通じて県民に対する情報提供を行っているところと承知しておりますが、引き続き日本原電の対応を注視してまいります。

県といたしましては、今後とも放射線作業に関わる安全管理の徹底を求めていくことはもちろんのこと、原子力施設内における一般労働安全についても、県民の目が向けられていることから、日本原電に対して、工事現場等における安全管理を徹底し、事故トラブルの未然防止を図っていくことにより、県民の原子力施設に対する信頼を損なうことのないよう強く働きかけてまいります。

2. 脳脊髄液減少症患者への医療提供と支援について

【江尻】

次に、脳脊髄液減少症患者への医療提供と支援について保健福祉部長に伺います。

交通事故や部活動・スポーツでの衝突、落下事故や暴力による衝撃などで、脳の硬膜に穴が開き、慢性的に髄液が漏れ続ける病気です。激しい頭痛やめまい、吐き気、睡眠障害、極端な倦怠感やうつ症状等を複合的に発症する疾患は、特殊なものではなく、誰がいつなってもおかしくありません。それは、全国で数十万人に及ぶといわれる患者数にもあらわれています。

県議会では2005年第3回定例会において、「脳脊髄液減少症の治療推進を求める意見書」が全会一致で採択されました。その前に開かれた患者会と県保健福祉部共催の勉強会には、多くの議員・マスコミ関係者参加のもと、第一人者である篠永正道医師が講演し、理解と支援を呼びかけました。

それから16年。意見書に盛り込まれた国への3要望のうち、治療法の確立と治療に対する保険適用の2つが前進、実現しています。残るは1つ、患者の実態調査と相談、援助体制の確立です。そして、一番の問題は、どんなに治療法が確立し保険適用になっても、それを行う医療機関が本県にはありません。筑波大学病院でも県立中央病院でも受けられないのです。

県西地区に住むKさんは、息子さんが高校への自転車通学時に車と衝突し、5カ月後に脳脊髄液減少症の疑いがあると診断されました。県内に治療できる病院が見つからず、先ほど紹介した篠永先生の元、静岡県熱海市にまで17年間通い続けました。ブラッドパッチの手術を8回受けたほか、人工髄液の注入など治療を繰り返していますが未だ改善せず、現在32歳になりました。頼りの篠永先生もご高齢となって第一線を退かれ、いよいよ患者や家族にとって、医療体制と医師確保は命に関わる切実な願いです。

そこで、本県の脳脊髄液減少症患者の実態把握、及び医療提供と支援について、どのように取り組んでいくのか現状と課題を保健福祉部長に伺います。

【保健福祉部長】

脳脊髄液減少症患者への医療提供と支援についてお答えします。

脳脊髄液減少症は、脳を浮かべている脳脊髄液が減ることで、頭痛やめまい、倦怠感などの様々な症状が出る病気です。平成19年度から厚生労働省の研究班による研究が進められましたが、診断基準については作成に至っておらず、現在も研究が続けられているところです。

患者数につきましては、国も把握しておらず、本県におきましても指定難病に指定されていないことから、医療費助成などの申請制度がなく、把握が困難な状況となっております。

議員ご指摘のとおり、本疾患の原因には、交通事故やスポーツによる外傷、日常生活での転倒などのほか、明らかな原因が不明な場合もあり、同じような症状を呈するほかの病気と診断されたり、朝、頭痛で起き上がることができず、立ちくらみや、めまいの症状が出ることから、心因性や怠けていると誤解されることもあると指摘されております。

そのため県では、発症後、早期に正しい診断を受け、適切な治療が受けられるよう、平成20年度から県のホームページにおいて脳脊髄液減少症の診療が可能な、県内の医療機関一覧を公表しております。

平成28年度には、患者や家族が医療機関を適切に選択できるよう、医療機関から報告された情報を公表する「いばらき医療機関情報ネット」に本疾患の項目を追加いたしました。以後、毎年度、医療機関がデータを更新することにより、患者や家族等に新たな情報を提供しているところです。

さらに、近県の診療可能な医療機関や厚生労働省、患者団体等にリンクを張るなど、広く情報提供に努めております。今年度は、多くの県民に本疾患について理解してもらえるよう、原因や症状についても追加したところでございます。

また、本疾患に関する患者や家族等からの相談につきましては、茨城県難病相談支援センターや県保健所において、保健師等が相談に応じ、必要に応じて、診療可能な医療機関を案内することとしております。記憶障害や注意障害などの高次脳機能障害も疑われる方につきましては、茨城県高次脳機能障害支援センターにおいて相談に応じております。

今年5月に設立されました「日本脳脊髄液漏出症学会」において脳脊髄液減少症の研究も行うこととされ、今後さらに、病態の解明と診療の発展、診療可能な医療機関の増加が進むものと期待されております。

県といたしましては、今後の学会や研究班の動向に注視しながら、引き続き、最新の知見等を積極的に情報発信するとともに、患者の方に寄り添った丁寧な対応に努めてまいります。

3. 特別支援学校設置基準の公布と県の対応について

【江尻】

次に、先月公布された特別支援学校設置基準への対応について教育長に伺います。

保護者や教職員、教育研究者、市民団体など、十数年にわたり教育条件の改善を求めた共同の取組が実を結び、9月24日に文部科学省が初めて設置基準を公布しました。校舎や運動場の面積基準、職員配置、備えるべき施設等が明示され、今ある既存校についても「可能な限り速やかに基準を満たす努力義務」が課せられました。

そこで、本県の県立特別支援学校23校のうち、現時点で基準に満たない学校はどれくらいあるのか。また、県として基準達成にどう取り組んでいくのか。

一方、設置基準には児童生徒数の上限規定がないため、鹿島特別支援やつくば特別支援など大規模・過密校を解消するには特別の手立てが必要です。また、通学時間の上限もないため、神栖市の子どもが2時間近くかかる通学条件も改善されません。そこで、県として大規模校に教員を手厚く加配すること。また、鹿行地域とつくば市周辺は、校舎の増築だけでは問題解消に繋がりません。新たな学校の設置が必要であり、今の「いばとくプラン」の見直しを求めるものです。

以上を踏まえ、教育長の所見を伺います。

【教育長】

特別支援学校設置基準の公布と県の対応についてお答えいたします。

特別支援学校は障害種に対応した施設や設備等が様々であるため、これまでは設置者が地域の事情などに応じて柔軟に対応ができるよう、国による一律の設置基準は設けられておりませんでしたが、児童生徒数の増加により、全国的に教室不足が確認されるなど、教育環境の改善の必要性がこれまでになく高まってきたことから、先月、文部科学省より設置基準が公布されました。

この設置基準では、1学級の児童生徒数や学級編成制、障害種や児童生徒数に応じた校舎や運動場の必要面積、さらには校舎に備えるべき施設などについて、令和5年4月から施行されることとなっております。

今回定められた基準は、施行後に特別支援学校を新設する場合や、校舎を増築する場合に適用されるものであり、施行前に着工した施設整備については、従前の例によることができるとされております。

また、校舎や運動場の必要面積などの基準は、現に存する特別支援学校については当分の間、設置基準によらないことができるとされておりますが、一方で、設置者には既存の学校の教育環境の向上に努める義務が課せられたところであります。

県ではこれまで、児童生徒数の増加に伴い、平成27年に常陸太田特別支援学校を、31年には石岡特別支援学校を新設したほか、美浦特別支援学校や伊奈特別支援学校では校舎を増築するなど、計画的に学校施設の整備を進めてまいりました。
また、大規模校につきましては、学校運営を円滑にするため、教頭を複数配置するなど、配慮してまいりました。

こうした取り組みを進めてきたところですが、学校によっては児童生徒数の増加が著しく、普通教室が不足する状況にあったため、令和2年に「いばとくプラン」を策定し、計画的に校舎増築等を進めているところであります。

具体的には、内原特別支援学校及び鹿島特別支援学校について、来年4月の供用開始に向け、現在、校舎の増築工事を進めているほか、つくば特別支援学校については、令和5年4月からの供用に向け、校舎の増築について関係機関と調整しております。 このプランで計画している整備につきましては、令和4年度中に全ての工事が完了する計画でありますので、今般の設置基準は適用外となっております。

しかしながら、プラン策定時に比べ、想定以上に児童生徒数が増加している学校もありますので、親校の設置を含め、今後の県全体の特別支援学校のあり方を検討する際には、中長期的な児童生徒数の推移をしっかりと見極めるとともに、関係市町村などの意向を丁寧に把握してまいります。

県といたしましては、「いばとくプラン」の成果と課題を検証し、引き続き、特別支援学校に通う児童生徒が安心・安全に学習できる教育環境の整備に努めてまいります。

4.えん罪布川事件国賠裁判高裁判決について

最後に、えん罪布川事件国家賠償請求裁判について、警察本部長に答弁を求めます。

本年8月27日、東京高裁は、警察や検察の違法捜査や偽証、証拠隠しがえん罪を招いたことを認め、桜井昌司氏に対して賠償金を支払うよう命じました。国と茨城県は上告せず判決が確定し、すでに賠償金は支払われましたが、県警は謝罪していません。

桜井氏はえん罪によって、29年間も服役で自由を奪われ、仮出獄後に無罪を勝ち取るまで戦後最長の44年間も犯人扱いされました。

桜井氏は逮捕当時、どんなにやっていないと否定しても、警察はお前が犯人だと決めつけ、自白しなければ死刑になると脅かし、嘘の自白に追い込まれました。再審時に検察が初めて証拠に出した自白の録音テープは、警察が当初「録音はしていない」と隠ぺいしたうえに、提出されたテープは13カ所も改ざんされていました。毛髪鑑定書では、現場に残されたものが本人とはまったく違う別人のものであり、目撃証言の供述調書も警察によってねじ曲げられたという恐るべきものでした。

私は先日、桜井氏にお話を聞き、ご本人の著書(『俺の上には空がある 広い空が』)を読みました。そこには、無実の罪を着せられた絶望やえん罪との闘いとともに、警察についてこう記しています。

「警察や検察という司法組織は、社会の正義と安全を守り、個人の生きる権利と命を守るために存在する。えん罪は絶対に許されないはずだ」、「間違うことを責めるのではない。間違えたのに、それを認めようとしないことに怒りを覚えている」と記しています。

獄中にいる間に母親を、そして父親も失った桜井氏は、『母ちゃん、もう一度昌司と呼んでほしい』という歌をつくり、その後『父ちゃん、ごめんな』という詩を綴りました。親の死に目に会えなかった、この胸中を警察は察することができないのでしょうか。

取り調べと捜査に当たった茨城の警察は、冤罪を生み、真犯人を逃がした重大な責任があります。「判決を真摯に受け止め、適正な捜査を進める」というなら、まずは桜井氏本人への謝罪が必要です。警察本部長の見解をお聞かせください。

そして、取り調べの全面可視化と弁護士の立ち合い、証拠の全面開示など、二度とえん罪を生まない刑事司法改革にどう取り組むのかお答えください。

以上で質問を終わります。答弁によっては再質問いたします。

【警察本部長】

布川事件国家賠償控訴審判決につきまして、お答え申し上げます。

同判決につきましては、本年8月27日、東京高等裁判所から国及び茨城県に対し、賠償金の支払いを命じる判決が言い渡され、9月11日に同判決が確定をいたしたところでございます。
県警察といたしましては、判決の結果を真摯に受け止め、引き続き緻密かつ適正な捜査の推進に努めてまいります。

具体的には、まず、客観証拠の収集とそれに基づく捜査を引き続き徹底してまいります。事件発生時の初動捜査におきましては、現場周辺の防犯カメラ画像の収集・解析や指掌紋やDNA等、犯人特定に結びつく鑑識資料の採取・鑑定を徹底するなどして、今後も、客観証拠に基づく緻密な捜査を尽くしてまいります。

また、取り調べの適正化につきましても、引き続き取り組みを徹底しています。殺人等の裁判員裁判対象事件等におきましては、取り調べの全過程を録音・録画して取り調べの任意性を担保し、その他の犯罪の取り調べにおきましても、捜査部門以外に所属する警察官に取り調べ状況の監督を行わせるなどによりまして、適正な取り調べを徹底してまいります。

さらに、警察では、一人一人の警察官に対する適性捜査に係る意識付けを徹底しております。具体的には、警察学校におきまして、全ての部門の学生を対象とする基本課程で客観証拠の収集を含む適正捜査に係る指導を充実させるとともに、捜査員を任用する専門課程において実践的な教育訓練を推進しております。

また警察署等の職場におきましても、警察本部から取り調べの高度化・適正化の推進を職務とする取り調べ指導官を派遣し、第一線の警察官に対して繰り返し実践的な教育訓練を実施しております。今後も、適正捜査を担保するために学校・職場、双方で教育訓練を徹底してまいります。

いずれにいたしましても、県警察といたしましては、平成23年の布川事件の再審無罪判決、そしてこの度の国家賠償控訴審判決の結果を厳粛に受け止め、引き続き緻密かつ適正な捜査を徹底し、県民の皆様の期待と信頼に応えていく所存でございます。

【再質問】

ご答弁をいただきましたが、まず、布川事件について警察本部長から真摯に受け止めるという言葉はありましたが、桜井氏本人への直接の謝罪の言葉がありませんでした。残念であり、これで警察の信頼が得られるでしょうか。

そこで要望一点、そして再質問一点伺います。

まず要望は、脳脊髄液減少症についてです。県内に診断ができる病院はあっても、保険がきちんと適用されて、施設基準を満たして安心して継続的に治療を受けられる病院がない。これが患者家族の皆さんの切実な悩みです。是非県内において医療体制の整備、そして専門医の確保に向けてどうか尽力をいただきたいと思います。

再質問は東海第二原発の安全管理について知事に伺います。

先ほどの作業員の告発では、放射線管理区域に従事させるために必要な電離健診に、ある病院の印鑑まで偽造して元請け会社に報告されているとのことです。

今回、作業員の方たちが勇気を出して実名で告発に踏み切ろうとしているのは、決して自分の問題だけではない、理不尽な扱いを受けて誇りを持てないような現場でいいものができるはずはないと、原発の再稼働に不安を覚え、これからの作業にあたる労働者、仲間を考えてのことです。

県は原電との間で安全協定を交わし、その第7条で、原電が業務を委託する時には、受けた者に対して安全管理の教育訓練を徹底して、指導監督を十分に行うことが明記されています。

にもかかわらず、いま現場において違法行為が行われている。そしてそれが見逃されているということについて、知事は管理体制のどこに問題があると考えているのか。そして県としてどういう対応が必要だと考えているのか。再度お答え頂きたいと思います。以上です。

【大井川知事】

再質問に対してお答えいたします。
安全性向上対策工事現場での作業員の安全管理につきましては、労働安全衛生法に基づき、法令を所管する国において適切な指導監督が行われているものと認識しております。
その上で、原子力施設内での放射線に係る安全管理につきましては、県においても原子力安全協定に基づき、安全管理体制の確認に努めてまいります 。

以上

動画はこちらから

2021年10月茨城県議会 江尻加那議員の一般質問と答弁(大要、PDF)

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