2021年6月茨城県議会 予算特別委員会 江尻加那議員の質問と答弁(大要)

江尻加那議員の予算特別委員会質問と答弁(大要)

2021年6月15日(火) 茨城県議会 第2回定例会

【質問事項】

  1. 新型コロナ感染症対策について
    ・東京五輪開催の本県におけるリスク
    ・迅速で安全なワクチン接種とPCR検査の拡充、観光事業者への支援
  2. 東海第二原発の広域避難計画について
    ・人格権の保障と実効性
    ・避難所収容人数の過大算定
  3. 新産業廃棄物最終処分場の整備計画について
パネルを前に質問する江尻議員

パネルを前に質問する江尻議員=6月15日、茨城県議会

項目

1. 新型コロナ感染症対策について

(1)東京五輪開催の本県におけるリスク

日本共産党の江尻加那です。
コロナ対策や原発問題、産廃処分場計画について知事に質問いたします。宜しくお願い致します。

この3点はどれも、安全や命に関わる問題ですが、知事が仰っていることとやっていることに違いがないか、専門家や県民の意見が反映されているのかについて伺います。

はじめに、東京五輪開催の本県におけるリスクについてです。このまま開催されれば、感染拡大による第5波の襲来、インドからのデルタ株のまん延などがどのように本県に影響をもたらすのか、その評価、対策が取られているのかお示しください。

知事はオリンピックの警備に当たる警察官にはワクチンの接種を始めました。それでは、1千人を超えるというボランティアや、バスやタクシー運転手など大会に関係する方々へのワクチン接種はどうなのか。何の手立てもなく、これで安心・安全とは言えません。

そもそも全世界のアスリートがフェアに競い合える条件にはなく、現状ではコロナ対策と五輪開催が両立できないことは明らかです。夢や希望より、今は不安や疑念が広がる東京五輪の中止について、政府や東京都に要請するお考えはないのか、知事の所見をお伺いします。

【大井川知事】

お答えいたします。
東京オリンピック開催の本県におけるリスクの評価とのお尋ねですけども、リスクについては、徹底した感染症対策を講じることにより、低減させることができると考えております。感染症対策は、国等における感染症対策調整会議や、組織委員会による専門家ラウンドテーブルにおいて検討されておりまして、選手、関係者に対する徹底した水際対策や検査の実施、厳格な行動管理などが柱となっております。

選手、関係者に対する水際対策及び検査についてでございますが、入国前の2回の検査や入国時の検査に加え、入国後には、選手は毎日の検査、大会関係者は選手との接触度合いに応じた頻度により徹底した検査を行うこととしております。

次に、行動管理については、用務先を競技会場や宿舎などに限定したうえで、事前に活動計画を定め、計画以外の場所には立ち寄ることができないなど、厳しい行動管理を課しております。また、これらのルールの遵守を担保するため、重大な違反と認められた場合には、大会参加資格を剥奪するなど、厳格な措置を講ずることとしております。

さらに、本県の新型コロナの感染状況は、今月7日から茨城版コロナNEXTの全体ステージをステージ2に移行したところでございます。このような状況を考えますと、本県においては、サッカー競技等を開催することは十分可能と考えております。

ボランティアの皆様などの関係者へのワクチン接種でございますが、今般、国や組織委員会において、接種対象をボランティアの方等へ拡大することを検討していると聞いておりますが、どこまで拡大するかなど詳細は、検討中と聞いております。

県といたしましては、国や組織委員会と連携を図りながら、ボランティアの方々など関係者の皆様が安心安全に活動いただけるよう、活動環境を整備してまいりたいと考えております。

また、大会中止の要請という話でございますが、いずれにいたしましても、東京オリンピックにつきましては、開催県として安全安心な大会が開催できるよう、準備をしっかりと進めてまいるということに尽きるかと思います。

【江尻】

ボランティアのワクチン接種を今から検討中で、ほんとうに間に合うのでしょうか。

(2)迅速で安全なワクチン接種とPCR検査の拡充、観光事業者への支援

医療従事者がようやく今月中に接種を終えるとのことです。その医療現場を支えている方々はどうかといえば、県の衛生研究所や民間の検査機関、さらには病院に輸血用製剤を供給する血液センターが、本県ではその職員、臨床検査技師が、どうして接種から除外されているのか。他県では、重要なこれら任務を担う方々には独自の判断で接種しておりますが、本県でも迅速な対応を求めます。

また、本県で未だに無症状者をいち早く発見、保護する大規模なPCR検査を実施していません。感染拡大した大洗町で、県が行った検査は3千円の自己負担が徴収されました。非正規で働く母親から、「その3千円が大きな負担だというのを行政はわかっていない。無料にして欲しい」との声が寄せられました。感染拡大してからの後追い検査ではなく、無料で大規模な行政検査を求めて合わせて所見を伺います。

【大井川知事】

新型コロナウイルス感染症対策において、ワクチン接種は感染収束の最大の切り札となることから、私はかつて経験したことのない一大事業を成功させるという強い使命感をもって対応に当たっております。

ワクチン接種につきましては、医療従事者向け接種ののち、高齢者、基礎疾患を有する方など、重症化リスクに基づく優先順位が国から示されておりますが、大多数の県民が接種対象となる一般向け接種に当たっては、迅速かつ円滑に接種が進むことが大変重要になってまいります。

そのため、まもなく始まる一般向け接種に向けては、専門家から意見を聞きながら、社会生活基盤の維持に関わる業務に従事する方々など、優先して接種を受けることが望ましいと考えられる方々のリストを作成し、市町村にお示ししたところであります。

また、ワクチンを1本たりとも無駄にせず、接種を希望する方に一人でも多くワクチンを行き渡らせることが極めて重要であることから、高齢者等の枠にとらわれることなく、優先接種のリストを参考にしながら、現場において一般接種枠の方々も並行して接種が勧められるよう、保健福祉部に指示をしたところです。

いずれにしましても、接種の優先順位に過度に縛られて、接種そのものが滞ることは本末転倒であり、一番大事なことは、早期に集団免疫を獲得することであります。
県といたしましては、大規模接種会場の設置や現場での柔軟な判断などにより、接種枠を空けることなく接種機会の拡大を図ることで、希望する県民の方への一日でも早く接種を進めてまいります。

次に、検査につきましては、予防的観点で平時より実施する検査は行政検査として認められておらず、その費用全額を県が負担することは、財政的に非常に難しいと考えております。

なお、先日実施した大洗町での住民検査につきましては、感染症法に基づく濃厚接触者等への行政検査とは異なり、県民の安心獲得と感染者の早期探知を図るため、陽性者との接触度合いにかかわらず受検いただいたところであり、本来は全額自己負担であるところ、県が一部費用を負担しているものであります。

県といたしましては、こうした検査を積極的に実施し、感染者の早期発見に努めるなど、一日も早い感染収束に向けて、新型コロナウイルス感染症対策に全力で取り組んでまいります。

【江尻】

明後日以降、県内の感染拡大市町村の指定がすべて解除される見込みです。しかし、来月になって聖火リレー、オリンピック、さらに「いば旅あんしん割」での県の旅行も開始となれば、夏休みやお盆の時期とも重なり多くの人が移動し接触します。また感染拡大と自粛要請を繰り返すことは絶対に避けなければなりません。

私は、「いば旅あんしん割」は、ワクチンが普及し、皆が安心して旅行を楽しむことができる状況で始めるべきと考えます。今やれば、恩恵を受けられるのは一部の事業者に限られ、特にバスやタクシーの利用は限定的です。観光バスの廃業・倒産は過去最多と聞きました。よって、あんしん割事業とは別に、早急に観光関連事業者への追加支援策が必要と考えますが、所見を伺います。

【大井川知事】

「いば旅あんしん割事業」の開始時期についてでございますが、6月7日に県内の感染状況が県全体でステージ2以下となり、また、感染拡大市町村の指定も6月16日をもって解除する予定としておりますことから、慎重かつ速やかに実施し、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図ってまいりたいと考えております。

なお事業開始後においても、感染状況等を常に注視し、県全体でステージ3に近い状況になるなど、感染拡大の兆候が現れてきた場合には、速やかに事業を停止いたします。

また、県におきましては、バス・タクシー等を含む幅広い県内事業者を支援するため、これまでに6,200億円を超える資金需要に対応してまいったほか、県の外出自粛要請等の影響を受けた事業者に対する一時期につきましては、新たに売上減少要件を緩和の上、支給することとし、今定例会に補正予算を提案させて頂いております。

さらに、裾野が広い観光産業を支援するため、旅行需要と地域消費を喚起する予算も提案させて頂いております。なかでも、「いば旅あんしん割事業」につきましては、実施期間を延長するほか、旅行事業者を対象に加えることで県内の貸切バス需要を創出するとともに、タクシーや土産物店などで使える地域クーポンを発行することにより、地域消費の拡大につなげてまいります。

加えて、インターネットによる県産品の販売促進キャンペーンの実施や、宿泊事業者の感染拡大防止対策に要する費用の補助などにより、観光関連事業者への支援を強化してまいります。

このように、これまで、考え得る最善の対策をスピーディーに講じてまいりましたことから、現時点で追加の対策は考えておりませんが、今後も感染状況等しっかりと見定めながら、必要に応じた対策を躊躇することなく講じてまいります。

【江尻】

感染状況の見定めが大変重要になってくると思いますけれども、専門家や医療現場の意見がどのように反映されているのでしょうか。
県のコロナ感染症対策本部は、知事の記者会見前に15分~20分程度の資料の説明。医療対策の協議会は、4月に開催して以降、次は今月末と聞きました。第4波の到来時に開催せず、何を議論していたのでしょうか。

さらに、 県が公衆衛生対策として設置した「感染症対策専門家会議」、これには政府感染症分科会会長の尾身茂氏も入っていますが、昨年5月に開催したきり1年以上開いていません。これについては、常井議長も「有名無実化している。知事の独断で物事を決めるべきではない」と言及しておりますけれども、専門家による会議で県民に見えるようにしていく、そういう考えはないのか改めて伺います。

【大井川知事】

専門家会議、専門家の意見の聴取については適時適切スピーディーな対応にできるように行っております。引き続き県民に対する最善の対策ができるように引き続き専門家のご意見をしっかりとお聞きしながら、対策をスピーディーに講じてまいりたいと考えております。

【江尻】

まだまだ続くこの対応について、やはり専門家や現場の意見を聞いて、県民に見えるようにしていただきたいと取り組みを求めて次の質問に移ります。

2. 東海第2原発の広域避難計画について

(1)人格権の保障と実効性

2点目に、東海第2原発の広域避難計画について伺います。

3月の水戸地裁判決で、避難計画や実行体制が講じられておらず、(中略)人格権侵害の具体的危険があるとして、原子炉の運転差し止めが命じられました。

人格権とは、個人の人格的利益、すなわち生命・身体・自由・名誉・プライバシーなどを擁護する権利です。
県の避難計画は、こうした人格権を保障できるのか、いくつかの点で伺います。

まず、30km圏内で避難計画の策定が求められる医療機関は119のうち、策定済は30のみと聞きました。しかし、出来たと言われる計画の中身を、県は見もせず、検証していません。

では県立3病院はどうかと伺いますと、県立中央病院は避難先が6つに分散される。こころの医療センターは三十数か所に分かれて避難しなければならない。そしてこども病院は、集中治療室に入る新生児など危険な命を抱え困難を極め、まだ策定できていないと伺いました。簡単に出来るものではないと思います。

そこで、医療機関のほか、多くの高齢者・障害者施設に入所する方々の命をどう守れるのか。また、30キロ圏内94万人の避難について、県は1人当たりの避難所面積をわずか2m²とする基準で本当に人格権が保障できるのか、所見を伺います。

【大井川知事】

お答えいたします。

国の防災基本計画や原子力災害対策指針に基づき、茨城県地域防災計画において、東海第2発電所から30キロ圏内の医療機関などは、あらかじめ避難計画を策定することとされており、県は策定支援をしております。

これまで県では、医療機関が避難計画を策定するにあたり大きな課題となります避難先確保について、医師会などの関係団体や栃木県、福島県とも調整し、医療機関に対し、具体的な避難先の案を提示してまいりましたが、現在、県立こども病院を含む7割強の医療機関で避難計画が未策定となっております。

理由としましては、こども病院につきましては、NICU患者の移送など避難時の移動手段の確保や、適切な療養環境の提供に向けた避難先との個別調整が困難であるということでございます。

また、その他の医療機関につきましては、令和2年3月に計画策定を促すとともに、策定状況を調査したところ、こども病院と同様に、避難時の移動手段の確保や避難先との個別調整が困難であるとのことでした。

なお、その後は新型コロナウイルス感染症の対応に追われ、多くの医療機関が計画策定に至っていない状況にあります。

今後、こども病院については、移動時等の放射線による子どもの身体への影響を踏まえるとともに、他県小児病院との協力体制の構築を図るなど、計画策定に向け検討を続けてまいります。

その他の未策定の医療機関に対しましては、改めて、より丁寧に課題を聞き取り、その結果を踏まえた勉強会や個別支援の実施など、計画策定に向け、引き続き必要な支援に取り組んでまいります。

また、医療機関においては、計画の実効性の担保に向けた移動の手段の確保が重要となってまいります。このため、バスや福祉車両の確保に向け、交通事業者等の十分な理解と協力が得られるよう、協議を進めるとともに、バス等の円滑な配車に向け、配車オペレーションシステムの開発を進めており、今後も医療機関や交通事業者等に参加いただく訓練を行い、改善点の意見等を頂きながら、システムの改良を図っていくこととしております。

加えて、早期の避難が困難な入院患者等が一時的に屋内退避できるよう、現在は東海第2発電所から概ね10km圏内に所在する医療機関に対して、気密性向上などの放射線防護対策を実施してるところであります。これらの取り組みを着実に進めていくことにより、医療機関における避難計画の実効性の確保に努めてまいります。

次に、避難所の1人当たりの面積についてであります。避難計画の策定にあたっては、何よりもまず、住民の方々の生命や身体を保護することが第一の目的であることは申し上げるまでもなく、避難先を予め定めているのも、福島第一原子力発電所の事故においては、避難先が転々とすることで、避難する方々が心身の負担を強いられたことなどを踏まえたものであります。

その上で、避難所面積につきましては、一人当たりの面積を2m²としておりますが、可能な限り長距離の避難とならないように、避難する方の負担を考慮したものであります。

また、避難所での生活による、避難住民の心身の機能の低下などを考慮し、滞在期間を可能な限り短くすることも必要と考えており、国や市町村と連携し、ホテルや旅館等への移動、応急仮設住宅の提供、公営住宅、賃貸住宅等の活用などを図っていくこととしております。

【江尻】

避難所についてもう少し伺います。
資料をご覧ください。右上に資料1とあるものです。これは県が昨年9月に市町村に示したコロナ感染症を踏まえた避難所レイアウトの参考図です。これに避難者を書き込んでみたのがパネルの資料2です。

資料1

資料2

面積720m²の体育館で140人収容の想定になります。
ところがです。資料3をご覧ください。県の原発事故を想定した広域避難計画はまったく違います。これが今、知事が言った、1人2m²の避難所の実態です。居住スペースを機械的に2m²で割って、面積720m²なら360人。こんな基準で94万人の計画を作ろうとしています。どうやってトイレに行くのか。人の頭をまたいでいく、足の踏み場もない、あり得ない光景です。これで約1ヶ月も生活するというのが県の計画です。

内閣府と一緒にこんな計画を作りながら、「実効性ある避難計画」などというのは、県民に対する背信行為ではないでしょうか。
「1人2m²」は見直す必要があると思いますが、再度伺います。

【大井川知事】

最初に示しいただきましたパネルにある「総面積720m²、収容可能人数140人」の図でございますけれども、県が新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた避難所運営マニュアルの作成指針において、あくまで一例として示させていただきました。

県といたしましては、今後感染症対策に有効な避難所のレイアウト等について、有識者の意見を聞きながら検討を行ってまいりたいと考えております。

一方で、2平米での避難所面積の考え方でございますが、感染症対策などの新たな要因も加わってきております。現在、県内外の自治体において、自然災害時の「感染症対策を踏まえた避難所運営」の検討が進められているものと承知しております。

内閣府では、「避難所における感染症対策については、基本的に、自然災害の場合と原子力災害の場合とで異なることはない」としておりますことから、原子力災害時の避難においても、各自治体の「感染症対策を踏まえた避難所運営」に沿って、受け入れていただくことになると考えております。

感染症流行下では、避難者を十分に受けられないことも想定されますので、どのくらいの人数で受け入れる事が出来るのか、避難先の市町村と協議したうえで、避難元市町村とともに第一の避難先となる避難先市町村の拡充を含め、検討を進めていきたいと考えております。合わせて、感染症対策を踏まえた避難所レイアウト等の在り方につきましても検討を行ってまいりたいと考えております。

【江尻】

そうすると、自然災害と原子力災害に違いがないように、それを踏まえて原子力災害の広域避難計画についても見直す必要があるという知事のご認識でよろしいですね。

【大井川知事】

状況に合わせて不断に改善の努力をしてきたいと考えております。

【江尻】

改善を求めて、これからの推移、県民が自分たちの身に降りかかってくることだというふうに見ております。

(2)避難所収容人数の過大算定

しかし、この1人2m²の計画、まさに数合わせの机上の空論となっていますけれども、現状ではその数合わせさえできていないことが明らかです。知事は4月の記者会見で、避難所収容人数に過大算定があったことを認めました。

なぜこのようなことになったのか、故意か過失か検証もせず、市町村とやりとりした過去の資料は廃棄したか記録がない。2018年の再調査結果は未だに非公開です。こんな状態で、実効性など保障されません。

そこで、これまでの避難計画策定にかかわる意思決定過程について、外部有識者も入った県原子力災害対策検討部会に洗いざらい出して検証し、その結果をまず県民に公開すべきと考えますが、いかがでしょうか。

【大井川知事】

お答えいたします。
県では、平成25年に調査した県内市町村の避難所面積をもとに、平成26年に避難元市町村と避難先市町村の割り当て案を示し、公表しております。それを踏まえて、市町村間での協議のうえ、自治会などの避難単位ごとに避難先市町村の割り振りを市町村が公表してきたところであります。

これまでも、市町村間の協議の過程などにおきまして、非居住面積が入っていた場合などには、まずは当該市町村内における避難所の追加や、他の避難予定先市町村に受け入れていただく検討を行い、それでも困難な場合は、県が避難予定先市町村を追加することで対応してまいりました。

平成30年には、他の市町村においても、非居住面積が含まれているとの指摘があったことから、県において、県内市町村の避難所の面積の再調査を実施し、その結果を踏まえて、市町村間において避難所を追加するなどの対応を取ってきたところであります。

平成30年の調査の際には、再度、居住スペースを基に算定するよう依頼したところありますが、それにもかかわらず、非居住面積を算入していた市町村があったことが判明いたしました。

このため、これまでの確認方法では十分ではないと判断し、私から担当部局に対し、避難先市町村すべての避難所の面積を図面で確認するよう指示したところであります。先月までに、県と避難元市町村との合同で、全ての避難先市町村へのヒアリングを行い、現在は、ヒアリング時に再確認が必要とされた施設の点検を、県と避難元及び避難先の市町村の3者において行なっているところでございます。

また、県外避難先につきましても、県内避難先市町村と同様に、図面等で避難所の面積を確認する必要があると考え、確認の具体的な進め方について、避難先県や避難元市町村と協議を行ってまいりましたが、概ね合意が得られたことから、今後図面等による確認を進めてまいります。

今後とも、避難元・避難先市町村間において避難所の情報をしっかりと共有できるよう、今回の図面等を用いた確認作業で得られた避難所面積の算定に係るノウハウなどをまとめ、市町村に対し定期的に避難所面積の確認を促していくなど、市町村の避難所面積の適正管理を支援してまいります。

避難所案の確保にあたりましては、これまでも、平成26年の避難元と避難先の市町村の割り当てや、平成28年、平成31年に避難先の割り振りの変更や追加について、協議が整った段階などで公表等を行ってきたところであります。

このほか、これまで避難退域時検査場所や、第二の避難先の候補地など、関係機関との協議、調整が進んだ事項についても、随時、県議会への報告やマスコミへの資料提供、また県ホームページ等での公表を行ってきたところであり、今後とも関係機関の理解が得られた段階で公表等を行ってまいりたいと考えております。

【江尻】

ですから、そういうひとつひとつの作業を県庁の内部でただやっているのではなく、どうして専門家も入った検討部会に出さないのか、そうしなければ県民がその資料を見たい、どんな避難所面積でやっているのか知りたいと思っても全く資料が公開されておりません。

いま国会でも、そして今定例県議会の質問でも、避難所計画策定は加速化すべき、早く作れという声が一部から強まっておりますが、課題は山積です。やればやるほど実効性から遠のいていきます。

知事は昨年12月のこの委員会で、こうした避難計画がない段階では再稼働も試運転もないとはっきり答えられました。梶山経済産業大臣は国会答弁でより具体的に「核燃料を装着するには、しっかりとした避難計画がなければならない」としております。そこで最後確認ですが、避難計画なしには原子炉への核燃料装荷も試運転もないということでよろしいでしょうか。再度確認です。

【大井川知事】

ご質問、東海第2原発の話だと思うんですが、東海第2原発の再稼働の判断にあたりましては、安全性の確認、それから実行性のある避難計画の策定を経た上で、県民の皆様のご意見をお聞きしながら判断してきたいというふうに考えております。

【江尻】

避難計画がない段階で、原子炉に燃料を装荷するということもありえないということですね。

【大井川知事】

安全性の確認、それから実効性ある避難計画の策定後、県民の皆様のご意見をお聞きしながら判断してきたいと考えております。

【江尻】

判断していく時期というのは原子炉に燃料を入れる前ということでよろしいですか。

【大井川知事】

安全性の確認、それから実効性のある避難計画の策定をした上で、県民の皆様のご意見をしっかりと伺って判断してきたいというふうに考えています。

【江尻】

どうしてそこ、ハッキリ言えないのでしょうか。

【大井川知事】

言う必要がないと思っています。

【江尻】

県民に対して言う必要がないということですか。

【大井川知事】

判断の時期については、安全性の確認及び実効性のある避難計画の策定した後、県民の皆様のご意見をして判断をしていきたいというふうに申し上げているので、それ以上でもそれ以下でもございません。

【江尻】

しつこいようですけれども、県のそうした計画や判断がない段階で、日本原電が原子炉に燃料を装着する、入れ込むということを認めるのですか。

【大井川知事】

安全性の確認、それから実効性のある避難計画の策定をした後、県民の皆様のご意見を伺った上で判断をしていきます。

【江尻】

今時期が大事な時点になってきていると思います。どんどん工事が進められ、県の避難計画や判断がないまま、原子炉に燃料装荷される、これはまさに再稼働に直結する、繋がるものではないかと思いますし、そもそも避難などしなくてもすむように、東海第2原発は廃炉にするということが、知事の決断として求められると思います。

この点については以上です。

3. 新産業廃棄物最終処分場の整備計画について

最後に、日立セメント太平田鉱山跡地を候補地とした産廃処分場の整備計画について伺います。前回の委員会で、私は候補地を選ぶ検討会メンバーに日立セメントの役員が入っており、これでは選ぶ側と選ばれる側が一緒で、利益誘導にはならないかと質しました。

これに対し、知事は「単なる偶然だ」と述べるとともに、県産業資源循環協会会長として、この役員の方に1回目・2回目の審議に入っていただいた。株木建設および日立セメントの関係者に就任してもらったが、3回目以降は変わった。全くの言いがかりだと答弁されましたが、こういう言いがかりは事実を明らかに、選考過程を明らかにして言っていただきたいと思います。

とくに、いまの課題である新規搬入道路も同様です。概算事業費も示さなければ、財源の説明も一切ありません。これで、「住民からは一定の理解が得られた」と県は言うのでしょうか。

今県議会に地元住民から出された請願は、「道路予定地は中学校に近接し、団地に通じる道路と交差する。安全性を危惧するもので、道路と橋梁建設に強く反対し、撤回を求める」と訴えておられます。

また、処分場整備そのものに反対する市民団体の署名は1万5千筆を超え、地元商店街の方からは「処分場が必要なのは分かるが、なぜあの場所なんだ」と疑問が寄せられています。住民理解には程遠い現状ではないでしょうか。知事の所見を伺います。

【大井川知事】

新産業廃棄物最終処分場についての日立市、地元との調整状況でございますが、現在、日立市議会新産業廃棄物最終処分場整備調査特別委員会において、継続して審議を行っていただいている状況であります。

これまで、県の担当部長等が出席し、住民説明会の状況や処分場施設の整備方針、周辺の交通安全対策、地質調査の結果など、処分場整備に向けた県の考え方や取り組みについて報告、説明し、質疑応答を行っているところであります。委員の皆様には熱心に審議を重ねていただいていると聞いております。明日も特別委員会が開催され、県も出席する予定となっております。

また、日立市に対しましても、特別委員会への報告と同様に、新処分場整備に向けた県の考え方や取り組みについて随時報告、説明させていただいております。日立市民の皆様に対しましては、これまで説明を重ね、新設道路の整備方針や地質等の各種調査結果など、現時点でお答えできるものについては可能な限りお示しをしており、一定の理解を得たと考えているところであります。

さらに、フォローアップ説明会でお示しした県の対応策に対していただいたご意見に対する県の考えをまとめたものを、コミュニティに配布するとともに、ホームページでも公表しております。今後も事業の進捗に応じて、住民への説明を丁寧に実施していきたいと考えております。

新処分場の整備につきましては、今後、市議会の判断を経て日立市長が最終的に受け入れの是非を判断し、回答をいただけるものと考えております。日立市から受諾をいただいた後には、速やかに基本計画の策定に入っていきたいと考えております。日立市にも参画いただいた中で、地域との共生を目指した基本計画を策定してまいります。

【江尻】

では、新規搬入道路の概算事業費はいくらなのか伺います。これまでの県の説明では処分場本体は約208億円。内訳で言いますと、処分場・排水施設・下水道工事で194億円。日立セメントからの用地買収が約14億円と聞きましたけれども、新規道路はいくらになるのか、概算と財源をお聞かせください。

【大井川知事】

担当部長に答えさせます。

【江尻】

知事はご存じないということですか。

【県民生活部長】

お答えいたします。新産業廃棄物処分場の搬入道路につきましては、住民説明会において交通渋滞や交通安全…

(【江尻】すみません、整備費、概算事業費と財源です。)

市街地を回避する搬入ルートにつきましては、6つのルートにつきまして、整備期間や整備コスト、周辺環境への影響等についてに検討を重ねました。整備費用でございますが、コストを比較するために、既存の地形図や都市計画図を用いながら標高差や地形を勘案し、試算したものです。比較するために試算したものでありまして、この時点では具体的な数字は申し上げられません。

このあと、整備の方法、それから具体的な工法、コース等を踏まえまして、詳細な設計を行ってまいります。その中で整備費等というものは出るものと考えております。

【江尻】

今回のルートを選ぶために県の中で出した試算ですね。概算事業費はおおよそでもいいですけれども知事はご存知ですよね当然。

【大井川知事】

試算の内容は承知しております。

【江尻】

もちろん額もお聞きになってると思いますが、相手先の日立市には伝えておられるのでしょうか。

【大井川知事】

担当部長に答えさせます。

【県民生活部長】

お答えします。
先ほど申し上げましたとおり、比較するための数字でございまして、それが独り歩きすると、いろいろなところに波及・影響がでてきますので、具体的な数字については現在公表しておりません。以上です。

【江尻】

いまの時点で日立市に何も説明しないというのは、道路の整備費については市には1円も負担を求めない、全部県のお金でやるということでよろしいですね。

【県民生活部長】

お答えします。
県がする道路でございますので、県の財源、それから補助金、交付金等を考えながら検討したいと思っております

【江尻】

市には1円も負担を求めないということですか。
それでいいんですね。

【県民生活部長】

現在、そこまでは詰め切っておりません。県が整備するものでありますので、県の財源の中からやっていくと思いますが、道路ですので、公共的な部分もありますから、場合によってはそういう可能性もありますが、現時点では県で整備しようと考えております。

【江尻】

なにを聞いても現時点ではということですけれども、こういう基本的なことについて担当課にこれまで何度聞いても示しませんので、私はちょうど2ヶ月前の4月15日に、処分場整備に伴う交通問題対策協議会、これは県民生活環境部と土木部、農林水産部による合同会議が計15回開かれたということでしたので、この会議資料を請求しました。

条例では請求から15日間で開示決定されるはずですけれども、情報量が膨大で、開示・不開示の判断に日数を要するとの理由でさらに45日間延長されました。その提出開示期限がちょうど昨日でした。どれだけ大量の資料が来るのかと思っておりましたが、開示資料はたった5枚。

その他一部分は開示できるというのが52枚ですけれども、その52枚は今からあちこち黒塗り・マスキングするのでそれが終わるまでは出せないということです。一体何を隠しているのか。概算事業費を示さない公共事業などあるのでしょうか。

知事は3月の委員会答弁で、私の質問にわざわざ深沢さんという個人の名前まで出して株木建設と日立セメント2つがグループ企業だとしましたけれども、株木建設は県内最大手。これまで、県でも8つの県発注ダムのうち7つが株木建設。さらにエコフロンティアかさまの処分場工事など、あらゆる産廃処分場の建設に株木は参入しております。

今回はどうなるのかと公共工事にはとりわけ透明性が担保されなければなりませんが、そうでなければ業者との結託を疑われても仕方がありません。公正な情報公開、徹底した説明責任を果たそうとしない姿勢は許されるものではないと思います。

この処分場整備については今月の10日、日立市民5人の方が県監査委員会に住民監査請求を出しました。その請求理由の第一に、新たな搬入道路の建設は大きな計画変更であり、当初計画自体に重大な欠陥が存在したことは明白であるとしております。まさにその通りです。計画の撤回を求めて知事に伺います。

【大井川知事】

お答えいたします。
新産業廃棄物処分場につきましては、日立市及び日立市議会、日立市民の皆様に幾度となく丁寧に説明を行っております。粛々と丁寧にご理解を得ながら、しっかりと進めていきたいというふうに思います。

【江尻】

明日、急遽日立市の市議会で特別委員会が開催されると聞きましたが、道路の概算事業費、明日きちんと市に説明するのでしょうか。最後一点お伺いして終わります。

【大井川知事】

担当部長に答えさせます。

【生活環境部長】

お答えします。
現時点での予定ございません。

【江尻】

あまりに説明不足です。以上で質問を終わります。

以上

動画(冒頭から)はこちらから

2021年6月茨城県議会 江尻加那議員の一般質問と答弁(大要、PDF)

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