2021年3月茨城県議会 江尻加那議員の最終日討論(要旨)

日本共産党の江尻加那です。通告により討論を行います。

第1号議案・2021年度一般会計予算及び第23号議案・行政組織条例の一部改正に反対いたします。
新型コロナウイルス感染症は、いまなお下げ止まりの状態であり、感染再拡大の危険性をはらんでいます。県内の感染者はこれまで6,400人を超え、亡くなられた方は124人にのぼります。

今年1月~2月、まさに感染拡大第3波の真っただ中に実施された、県のネットアンケートによる「県政世論調査」で、県民要望のトップは「地域医療・福祉の充実」でした。
県政に求められるのは、県民の命と健康、雇用と生業を守る「公助」の役割を大いに発揮することではないでしょうか。

とくに、コロナで減収となった医療機関への抜本的な財政支援が急務です。JA茨城県厚生連は、経営悪化を理由になめがた地域医療センターの入院病棟を閉鎖するとし、これにより入院病床がすべてなくなります。県がこれをやむを得ないと了承したことも責任が問われます。国と一体に、機能再編の名で病床を削減する方針は転換すべきです。

また、県立医療大学と付属病院を2年後に独立行政法人化させようとしていますが、全国の先行事例では運営費交付金が段階的に削減されています。教職員の身分は非公務員に移行され、給与や処遇の水準が維持されるのか懸念されます。

5億円が予算化されているオリンピック・パラリンピックの感染症対策のために、多数の医療従事者を現場から引き離して、五輪に振り向けるのは現実的ではありません。国は開催の是非をゼロベースから協議すべきと考えます。
県民が一日も早く日常生活や経済活動を取り戻せるよう、十分な補償と医療・検査体制を強化することが最優先です。

ところが、大井川知事の1期目最後の予算案の目玉は、22年ぶりに県施行の土地開発に踏み出し、組織体制においても「立地推進部」をあらたに独立設置します。造成用地は総事業費200億円で70ヘクタールですが、他方で売れ残り用地は900ヘクタール以上にのぼり、その破たん処理のために今後300億円以上の公費を投入する見込みです。

さらに、県が新たな産業廃棄物最終処分場を整備する計画に6億円が計上されました。
日立市民は、住環境や自然環境を悪化させるとして、1万3千筆の反対署名を市に提出しています。県は、候補地の選定評価で交通問題を軽視し、今になって大幅なルート変更と事業費の増大を招いています。さらに、日立セメント太平田鉱山跡地を候補地に選ぶ過程で、社会通念上の疑義があることを私どもは指摘しました。結論ありきの計画は撤回すべきです。

東海第2原発の再稼働について3月18日、水戸地裁は94万人の避難計画と実行体制が整っておらず、人格権侵害の危険があるとして、運転差止を命じる画期的な判決を下しました。県は今後も計画策定を進める姿勢ですが、知事は判決を重く受け止めて再稼働に反対し、廃炉を求めるべきです。

県民が原発事故に怯えることなく、幸せに暮らせる茨城県をつくるために、県民の声にこたえる県政に転換しなければなりません。

次に、第31号議案は、県内唯一の大型児童センターである「こどもの城」を3月末で廃止するものであり、同意できません。大洗海岸に面した大自然の中で、こどもの体験学習や健全育成施設として存続させることが望まれます。

なお、このあと議題となる意見書・議第3号は、新型コロナウイルスの感染を封じ込める大規模検査の実施を求めるものです。無症状者を含む感染者を把握・保護するためにPCR検査を抜本的に拡充すること。接触者の追跡を専門に行う保健師などの職員を大幅に増やして保健所体制を拡充すること。さらに、変異株の検査や解析を行う体制を整備することなど、国が責任をもって実行することを求める意見書であり、可決を求めます。

以上で討論を終わります。

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