2021年3月茨城県議会 山中たい子議員の一般質問と答弁(大要)

山中たい子議員の一般質問と答弁(大要)

2021年3月9日(火) 茨城県議会 第1回定例会

【質問事項】

  1. 知事の政治姿勢と新年度予算について
    (1)新型コロナウイルス感染症対策
    (2)なめがた地域医療センターと地域医療構想
    (3)県立医療大学及び付属病院の独立行政法人化の課題
    (4)農業の担い手確保
    (5)土地開発行政の課題
  2. 教育行政について
    (1)教員の長時間勤務の改善
    (2)少人数学級の前進
  3. 原子力行政について
    (1)東海第二原発の避難計画
    (2)原発の汚染水対策
質問する山中議員

質問する山中議員=2021年3月9日、茨城県議会

1. 知事の政治姿勢と新年度予算について

日本共産党の山中たい子です。

大井川知事の1期目最後の予算案が示されました。
前回知事選の最大の争点は、東海第2原発の再稼働問題と多選禁止条例です。この2つの争点に対し、知事は、どんな施策よりもスピードと決断に欠く態度に終始しました。

それに加え、昨年から今年にかけて新型コロナウイルス感染症対策というかつてない問題に直面しています。
県内の感染者は6千人を超え、亡くなられた方は118人にのぼります。改めて亡くなられた方のご冥福と闘病中の皆さまにお見舞いを申し上げ、日夜を問わず介護や治療にあたる従事者の皆さまにお礼と感謝の意を表します。

そのうえで、本県の感染症対策がいかに遅れた現状にあるか、順次、知事にお尋ねします。

(1)新型コロナウイルス感染症対策

▽検査体制の拡大

最初に、検査体制についてです。
いま1日当たりの陽性者が県判断指標の60人を下回っており、この時こそ検査件数を拡大・強化して、次の感染を抑えることが重要、かつ必要ではありませんか。

ところが、検査件数は、第3波ピークの1月が5万1千件でしたが、2月は3万5千件と減らしてしまいました。
リスクの高い高齢者・障害者の入所施設職員3万人の検査も、1回だけでなく、定期的に実施する体制はあるのか。さらに、無症状者の発見、保護につなげるうえでも通所施設利用者や職員、保育所、学校などにも定期検査を拡大する戦略はあるのでしょうか。お聞きします。

【大井川知事】

山中たい子議員のご質問にお答えいたします。
初めに、私の政治姿勢と新年度予算についてお尋ねをいただきました。

まず、新型コロナウイルス感染症対策のうち、検査体制の拡充についてでございます。
今後、春先にかけて人の動きが活発化するとともに、他県では既に変異株の市中感染が確認された例もあることから、第4波への強い警戒感を抱いております。

私は、感染拡大を防止するためには、積極的な検査による早期探知に加え、適切な行動制限とクラスター対策が重要であると考え、本県では、濃厚接触者に限らない幅広い検査の実施や、独自の緊急事態宣言の発令など、迅速に対策を講じてまいりました。

特に検査につきましては、私は、地域や施設種別などを問わず、より多くの方に受けていただくことが効果的であり、県民の皆様の安心にもつながると考えております。

しかしながら、国の通知によりますと、感染者が多数発生している地域における医療機関や高齢者施設等の入所者や従事者に対する検査は行政検査として明示されておりますが、それ以外は自治体の判断に委ねられ、結果的に行政検査として国に認められなかった場合、その費用全額を県が負うことになり、財政的に非常に大きな負担となります。

このため、本県ではクラスターが多数発生し、施設内で感染が拡大すれば入院患者や重症者の増加、医療提供体制のひっ迫につながりかねない高齢者・障害者施設につきまして、優先して検査を実施しているところであります。

他方で、1日当たり約2,500件の検査能力に加え、更なる検査能力の拡充に取り組んでおりますが、なおその件数には限りがございます。

また、高齢者・障害者の入所系施設、延べ731箇所の約4万人以上の従事者に対して検査を実施してまいりましたが、検査精度への懸念や、検査に対する人員確保の困難さなどの声が上がっております。

私といたしましては、ワクチンが行き渡るまでは、検査が大規模クラスターの発生防止に非常に効果的な手段と考えており、医療機関や高齢者施設等に対し、検査の実施を強く促して参ります。

さらに、私が早くから導入を主張してきた、複数の検体を混合し同時に検査する「プール検査」につきましては、1月下旬に、医療機関や福祉施設等でのスクリーニング検査が行政検査として認められたことから、従来よりも多くの方々を対象とした検査が実施できることとなりました。

現時点では、精度管理上の留意点も指摘されておりますが、今後の本格導入に向けて、検査の進め方などにつきまして、民間検査機関と協議を進めているところであります。
県といたしましては、引き続き検査体制の拡充を一層進めるとともに、重症化リスクや感染伝播のしやすさなどの環境要因を総合的に勘案しながら、効果的・効率的な検査を実施することにより、感染拡大の防止に全力を挙げてまいります。

▽医療機関への支援

【山中】

県政世論調査において、去年から調査方法が変えられましたが、変わらず、県政への要望のトップは医療や福祉の充実でした。

医療現場の献身的な奮闘でかろうじて保たれている通常医療、そこにコロナ対策、今後はさらにワクチン接種が始まります。市町村によっては個別接種と集団接種に分かれ、開業医を含む医療関係者の負担は限度を超える厳しさを迎えるでしょう。

このうえ、オリンピックのコロナ感染対策のため医療従事者を現場から引き離すことは、さらなる困難と混乱を招くことになります。

本県の遅れは、医療機関と医療従事者の確保を充実させるどころか、むしろ切り捨てる方向に向かいました。この遅れを取り戻すためにも当面、確実で迅速な診療報酬の概算払いでの減収補填が急務です。これらの施策にどう取り組むのか、お答えください。

【大井川知事】

医療機関への支援についてでございます。
新型コロナウイルス感染症の影響により、全国の医療機関において、患者の受診控えや不急な手術の延期などによる減収が生じており、改善傾向にあるものの、医業利益は前年を下回る状況となっております。

日本病院会等が行った全国の病院経営状況に関する調査によれば、対象となった全病院の平均値で、昨年4月から12月までの外来・入院患者数や手術件数は、いずれも前年比で10%前後の減少、医業利益は約2億円の減少、医業利益率は4.6%の減少となっております。

このような中、新型コロナウイルス感染症に対応するための体制を確保しつつ、その他の疾患に対する医療も維持していくためには、医療機関に対する支援が重要であり、県では様々な財政支援を行っているところであります。

まず、新型コロナウイルス感染症患者の入院受け入れ医療機関に対しましては、国の予算を最大限活用して病床確保に対する補助を行っており、これまでに総額で約170億円が交付済みとなっております。

加えて、県独自の支援策として、病床確保料の補助等を受けても、なお減収となる医療機関に対し、陽性患者の入院1日につき20万円を支給することとしております。

また、新型コロナウイルス感染症患者の入院受け入れを行っていない医療機関につきましても、身近なかかりつけ医などの診療・検査医療機関に対しては、施設名の公表等の要件を満たせば100万円の応援協力金を支給して発熱患者の受け入れ体制の整備を支援したほか、感染防止対策に取り組む病院や診療所等に対しては、設備整備費用を補助しております。

一方で、医療機関の経営悪化は、主に患者数の減少によるところが大きく、全国のあらゆる医療機関に共通する課題であり、長期化も予想される中、県の限られた財源だけで公平かつ十分な財政支援を行うことは困難であることから、まずは国が主体となって全国的な支援策を講ずべきものと認識しております。

全国知事会におきましても、先月27日にとりまとめた緊急提言において、国に対して、医療機関の経営悪化への歯止めをかけるよう、診療報酬のあり方も含め戦略的かつ継続的に対処することを求めており、今後も全国知事会と連携して要望してまいります。

県といたしましては、今後も県内医療機関の経営状況などを注視しながら、直接・間接を問わず、あらゆる方法によって支援を図り、新型コロナウイルス感染症とそれ以外の疾患に対する医療を両立した体制の確保に努めてまいります。

▽保健所・衛生研究所の体制強化

【山中】

さらに、追い打ちをかけたのは保健所と衛生研究所の弱体化です。
本県は、90年代に18カ所あった保健所を次々削減し、2019年11月には9カ所にしてしまいました。職員も20年間で78名、2割減らしました。

先日、県立高校の生徒が感染したことを受け、濃厚接触者の検査に保健所の人手が足りず、教員に依頼したと報道されました。県は不適切な対応を認め、保健所に注意喚起しましたが、これこそ本末転倒。保健所を減らしてきた県の責任を棚上げし、現場に転嫁するなどあってはならないことです。

保健師数は人口10万人あたり全国39位の少なさです。
しかも、竜ケ崎保健所の管内人口は46万人、つくば保健所管内は35万人余。いずれも人口増加地域を抱えています。
保健所はせめて人口20万人に1カ所の設置をめざすべきですが、所見を伺います。

【大井川知事】

保健所及び衛生研究所の体制強化についてでございます。
まず、保健所につきましては、一昨年の再編では、本県の多くの保健所が、小規模で所長が兼務の状態となっており、新たな感染症や大規模災害等への対応が十分にできないという深刻な状況にあったことから、住民サービスの水準を維持した上で、抜本的な再編を行ったものであります。

仮に、この再編がなければ、今般の新型コロナウイルス感染症の対応は、極めて困難であったものと認識しております。

しかしながら、今般の感染症の発生により、保健所の業務が大幅に増加し、職員の負担が過重になる状況もあったことから、今年度については応援職員の派遣や退職保健師の雇用、市町村保健師の応援要請、看護師の人材派遣など、保健所機能の維持と職員の負担軽減に努めてまいりました。

来年度も、引き続き応援体制を維持するほか、保健所に配置する保健師の増員により、さらなる体制強化を図ることとしたところでございます。さらに、国の地方財政計画では、保健所において感染症対応業務に従事する保健師を、令和4年度までの2年間で1.5倍に増員することが位置づけられたことから、より一層の保健師の増員について、臨機応変に対応してまいります。

【山中】

衛生研究所も公衆衛生に大きな役割をはたしています。感染拡大が顕在化してきた昨年1月からPCR検査の分析拠点として、現在は変異株についても蔓延防止の観点から陽性者の検体を詳細に検査しています。

厚生事務次官通知では、「地方衛生研究所設置要領」で設置が定められ、調査研究、試験検査、研修指導及び公衆衛生情報等の収集・解析・提供を行うとされています。しかし、研究所の法的根拠や職員配置は自治体まかせ。人口あたりの職員数は栃木県や群馬県と比較しても少なすぎます。それなら、なぜチャンスとして強化・拡大しないのでしょうか。保健所と衛生研究所の体制強化について、知事の取り組みをおきかせください。

【大井川知事】

衛生研究所につきましては、新型コロナウイルス感染症の発生以降、検査体制の強化を図るため、従来よりも迅速な結果判定が可能な「リアルタイムPCR装置」2台、検査時の感染を防御する「安全キャビネット」1台を新たに整備し、1日あたり250件のPCR検査の体制を確保してまいりました。

これにより、これまでに、2万件を超えるPCR検査を実施するとともに、感染経路の特定に向けたコロナウイルスの遺伝子解析を行うほか、最近問題となっている変異株の検査に注力するなど、本県における科学的・技術的な中核機関として、新型コロナウイルス感染症対策に、大きな役割を果たしてまいりました。

衛生研究所では、地方衛生研究所設置要綱により設置されたものですが、県といたしましては、設置根拠の如何にかかわらず、その時々の、感染症対策をはじめとする業務動向等を勘案し、適切な予算措置や人員配置を行ってまいりました。

昨年の12月補正予算においては、国の交付金を活用し、衛生研究所内施設の改修等により検査室を増設することとしたほか、来年度は、再任用職員を含め、3人程度の検査担当職員を増員する予定としており、検査体制の充実を図ることとしております。

県と致しましては、新型コロナウイルス感染症対策の一層の充実を図るため、引き続き保健所および衛生研究所の更なる体制強化に努めてまいります。

(2)なめがた地域医療センターと地域医療構想

【山中】

そうした折も折、なめがた地域医療センターは、経営母体のJA茨城県厚生連が経営悪化を理由に、またもや、診療体制を縮小し、49床の入院病棟を4月から閉鎖すると発表しました。わずか2年前に、厚生連は入院4病棟を1病棟に減らし、夜間救急の受け入れを中止しました。

地元自治体はいち早く診療体制の維持継続を求め、地域住民は2万人の署名を集めて要望したにもかかわらず、強行しました。

昨年1月に就任した清水純一院長は、急激な診療体制の縮小を地域住民に詫びるとともに、入院から退院後まで切れ目ない医療を提供することや、「鹿行地域は全国でも類をみない医師不足地域」のため、「なめがた地域医療センターあり方検討会」で診療体制を検討すると約束しました。

ところが、県も入った「あり方検討会」は全くの非公開。一体何を議論したというのでしょうか。知事は、病棟閉鎖をやむをえないと了承したのですか。お答えください。

もう一つは、県主催の鹿行保健医療圏地域医療構想調整会議についてです。
県地域医療構想は、2025年までに過剰な急性期病床を減らすものです。新年度は新規補助をつけて病床の削減をさらに加速させる計画です。

昨年12月、コロナ禍の真っ只中、県は鹿行医療圏第2回調整会議を開き、あり方検討会の結論に沿って、なめがた地域医療センターの病棟廃止を追認しました。救急を担う石田神栖市長は入院機能がなくなるのは大問題と発言しています。

地域医療に責任を持つのは茨城県です。知事は、今後の鹿行医療圏の医療体制に、どのように責任を持つのか、お聞きします。

【大井川知事】

なめがた地域医療センターと地域医療構想についてでございます。

なめがた地域医療センターの今後のあり方につきましては、地元関係者間で十分な検討や協議が必要なため、一昨年4月の大幅な診療体制縮小以降、厚生連が主催する「なめがた地域医療センターあり方検討会議」において、地元行方市をはじめとする鹿行5市や地元医療機関、地元消防や医師会などの間で、今後の方向性等について議論が重ねられてきました。

その結果、来年度から、外来診療に特化した運営形態にすることとし、移行にあたっては、現在の健診センターなどを含めた外来診療機能を維持することや初期救急患者の受け入れ継続などの方向性が示されたところです。

また、入院が必要となる患者の近隣医療機関への受け入れなど、地域への影響を最小限にするための話し合いが進められ、地元関係者間で合意に至ったものと認識しております。

この間、県といたしましても、あり方検討会議の議論を注視しながら、診療体制の見直しが、地域の医療に与える影響等を検証してまいりました。

特に、従前なめがた地域医療センターが受け入れていた救急患者につきましては、既に土浦協同病院や鹿行医療圏内の他の医療機関での受け入れが進んでおり、また救急搬送時間についても、一昨年の診療体制縮小前後で大きな変化がないことを確認しております。

また、あり方検討会議における議論の結果を踏まえ、保健所が主催する「鹿行保健医療圏地域医療構想調整会議」においても、地域の救急医療体制や入院医療等を審議し、今回の見直しが地域医療に影響を与えるものではないことを確認するとともに、引き続き今後の地域の医療体制について検討を進めております。

一方、医療資源が乏しい鹿行地域の医療提供体制を確保する上で、県が果たす役割は極めて重要であると認識しております。

とりわけ、医師数については、人口10万人当たりで全国平均の半分にも満たない状況にあることから、政策医療を担う地域の拠点病院の医師を確保することは何より重要と考え、先般、公表した最優先で医師確保に取り組む医療機関・診療科の第2次目標では、4医療機関のうち2医療機関を鹿行医療圏から選定し、医師確保を強力に推進していくこととしております。

その中でも、救急医療や災害医療等、より質の高い急性期医療の提供が期待されている神栖済生会病院につきましては、鹿島労災病院との統合の段階から県も積極的に参画し、本年2月には「神栖済生会新病院整備基本計画」が策定されたところであり、県では、引き続き、地元神栖市と連携し、施設・整備に要する経費を助成するなど、必要な支援を行ってまいります。

県といたしましては、今後とも、地元鹿行地域の医療を支える関係者とともに、地域医療構想の実現に向けて、地域の実情に応じた医療提供体制の構築に取り組んでまいります。

(3)県立医療大学及び付属病院の独立行政法人化の課題

【山中】

次に、県立医療大学及び付属病院を、地方独立行政法人法にもとづき、2年後に法人化させると表明したことについてです。
県立医療大と付属病院は、医療・リハビリテーション分野の人材育成と研究、そして専門病院として中核的役割を担い、小児リハは27床の病床をもつ拠点施設です。

法人化について、これまで継続的で組織的な検討が行われたのか。検討経過を示すよう担当課に求めましたが、文書は存在しないとの回答でした。

県職員は、法人化移行の日から非公務員型組織の一員となりますが、処遇が県職員に準拠するのか、定かではありません。
先行事例では、行政から法人に支出する運営費交付金が段階的に削減されています。運営交付金を法人化当初と比較すると、減額分は青森県立保健大学が年間3億円、神奈川県立病院機構は年間30億円です。

教育機関とケア労働者が担う医療は、知事が言う効率化のモノサシではかるべきでありません。それが、コロナ禍の教訓ではありませんか。
そこで、法人化の検討経過とその理由について、また法人化後の運営と課題について、知事の所見を伺います。

【大井川知事】

県立医療大学及び付属病院の独立行政法人化の課題についてでございます。

まず、法人化の検討経過と決定理由についてであります。
法人化の是非については、平成23年度の包括外部監査における「法人化を進めるべき」との指摘を契機として、平成24年度以降、他大学調査や検討会の開催など、医療大学内において継続的に検証を進めてまいりました。

また、学外の有識者で構成する「茨城県立医療大学運営協議会」等において、出席委員から「大学のさらなる機能強化・魅力創出に向けて、法人化を進めるべき」との提言もいただいておりました。

こうしたなか、昨年度の学内検討会において、法人化した公立大学と、法人化していない公立大学を現地視察し、その運営状況などを比較検証した結果、「法人化には各種メリットがある」との結論に至りました。

加えて、本年度から、国立大学の法人化経験があり、県立医療大学の法人化に熱意を持つ新学長が就任し、学長自ら、主要教員、幹部職員全員へのヒアリングを行うとともに、全教職員向け研修会を開催いたしました。その結果、学内における法人化への気運が高まり、私も直接、学長から法人化の要望を受けたところであります。

私としては、法人化を通じて、効率的で柔軟な大学運営が可能となり、高度な医療人材の育成やリハビリテーション医療の充実へと繋がるものと判断し、この度、法人化に向けた準備を開始することを決断いたしました。

次に法人化後の大学及び付属病院の運営と課題についてであります。

まず、法人化後の大学及び付属病院の教職員の身分についてですが、法令上、法人化により非公務員とはなりますが、他県の事例などを見ますと、多くは、教職員の給与等の処遇は法人化前と同じ水準とし、非公務員への身分移行が円滑に進んだと伺っておりますので、本県においても、教職員の皆様にきちんと説明しながら、丁寧に対応してまいります。

また、この度の法人化は、より発展的な大学運営を目指すものでございますが、現状の教育研究および医療サービス維持にも努めてまいります。

できる限り学生の学費負担を増やさずに充実した教育研究環境を提供したり、難病患者や重度医療的ケア児へのリハビリテーション等の政策医療を継続するなど、県立の大学及び付属病院としての役割については、法人化後も引き続き果たしていく必要があると認識しております。この点も踏まえまして、今後も必要に応じた財政的支援を行ってまいります。

県といたしましては、法人化により、大学及び付属病院が自主性を発揮し、県民のニーズや社会情勢の変化に迅速・的確に対応できる、特色ある大学づくりを進めてまいります。

(4)農業の担い手確保

【山中】

次に、農業の担い手確保です。
新型コロナの感染拡大は、農業にも大打撃を与えています。とくに米価は1俵60キロで前年より2千円から3千円も下落しています。こうした時こそ、備蓄米買い入れを大幅に増やし、コロナ禍で苦しむ学生や子ども食堂などに供給する仕組みをつくらなければなりません。

20年農業センサスの結果概要では、県内の農家総数は1万6千戸減る一方、法人経営は9%増えました。国と県が経営規模の拡大や法人化を推進した結果です。

しかし、農業の中心的な担い手である「基幹的農業従事者」は前回から2万人も減り、5万7千人です。担い手の高齢化も止まりません。
県の新規就農相談に年間約1千人が参加していると聞いています。意欲のある若者を担い手として育てるために、研修制度の充実や就農開始時の環境整備などの改善が求められます。

新規就農者や農業経営士の方と懇談し、率直な要望が寄せられました。研修制度について、全額国補事業の「農の雇用事業」は受け入れ農家へのインセンテイブや提出書類の簡素化が必要です。農業次世代人材投資事業の受け入れ先として、222人の農業経営士や175人の青年農業士等との連携が求められます。さらに、就農開始時には住まいと農地の確保も大きな課題としています。

こうした状況を踏まえ、担い手確保の取り組みについて、知事の所見を伺います。

【大井川知事】

農業の担い手確保についてでございます。

本県は農業産出額全国第3位の農業県でありながら、販売農家1戸あたりの生産農業所得は11位にとどまっており、収益性の向上と投資による事業の発展の追求という農業の成長産業化に必要な取り組みが、県内の農業者に十分浸透していない結果、後継者の確保にも不足をきたしてると受け止めております。

私は、この状況を変え、本県農業を持続的に発展させていくため、単に農業経営体や新規就農者の数を増やすといったことではなく、個々の農業者の所得向上にこだわり、生産性や付加価値の向上、販路の開拓に取り組んでまいりました。

その結果、100ヘクタールを超える大規模稲作経営体の育成や、積極的に輸出に取り組む農業者の増加など着実に成果が表れております。

一方、農業の成長産業化の担い手となるべき優れた人材を育成・確保するため、就農希望者や既存の農業者に対し、経営の発展段階に応じた知識や技能の習得を支援してこととしております。

具体的には、就農希望者が将来の経営の方向性をイメージできるよう、「農の雇用事業」や「農業次世代人材投資事業」により、実務研修を行うほか、若手農業者に対しては、「ヤングファーマーズ・ミーティング」の開催、農業大学校や「いばらき農業アカデミー」の講座により、経営管理能力の向上を支援してまいります。

さらに、成長段階の経営者に対しては、「リーダー農業経営者育成講座」において取得向上を目指すためのビジネスモデルの作成を支援してまいります。

その上で、こうした取り組みを進めるにあたっては、経営感覚に優れた農業者の協力が不可欠であることから、議員御指摘の「農業次世代人材投資事業」を活用する研修受け入れ先に、現在の市町村やJA等のほか、県の農業経営士などを追加してまいります。

また、県でデータベース化してる市町村の農地情報や、空き家バンクの登録情報を就農希望者に提供することなどにより、就農環境の整備にも努めてまいります。

なお、「農の雇用事業」の申請手続きにつきましては、研修の的確な実施と良好な雇用環境の確保に必要であることから、簡素化は必ずしも適当ではないと考えております。

県といたしましては、経営者マインドを持ち、自身が目指す農業経営を実現する知識や技術を有する担い手を確保し、本県農業の持続的な発展を進めてまいります。

(5)土地開発行政の課題

【山中】

次に、土地開発行政の課題についてです。

知事は新年度、70ヘクタールの産業用地を総事業費200億円で開発するとしました。かつて、本県は大規模な土地開発によって大規模な売れ残りを抱え、現在も分譲できていない土地は944ヘクタール、今回開発用地の13倍以上にのぼります。知事は、就任直後に在庫処分とばかりに値下げしましたが、売却できたのは一部です。「売れた、売れた」とPRしますが、売れ残った土地も全国トップクラスではありませんか。

今回は場所が違うと言っても、900ヘクタール以上も残っているのに、新たに70ヘクタールを開発することに県民の理解は得られるでしょうか。

しかも、本県は保有土地の破たん処理のために15年間で実に2,454億円もの税金を投入して借金返済にあて、県民にツケを回してきました。まだ終わっておらず、今後も300億円以上投入する見込みです。これは本来、県民の暮らしのために全額使えるものです。

知事は、今回の開発は「緊急的な措置」としていますが、一旦始まれば、あそこもここもと、拡大の可能性は否定できません。土地も補助金も県が準備し、税金も免除して企業を呼び込むことが、知事の「選択と集中」なのでしょうか。

しかし、今まさにコロナ禍で苦境を強いられている地元事業所や医療機関等への集中的な財政支援こそ選択すべきと考えます。

そこで、新たな用地開発を進める一方で、大規模に売れ残っている保有地の処分、県税投入による破たん処理について、知事はどのように認識しているのか所見を伺います。

【大井川知事】

土地開発行政の課題についてでございます。

県等の保有土地につきましては、県議会での議論を受けて、平成22年度から将来負担への対策を計画的に講じるとともに、公共工業団地などの主な事業は、令和11年度までの完売を目指して目標面積を定めた改革工程表fを作成し、早期処分に取り組んでいるところであり、令和元年度までに、目標と同程度の735ヘクタールを処分してまいりました。

特に、公共工業団地に関しては、私が知事就任後すぐに、競争力のある価格に見直したことにより、見直し以前の分譲面積は、年間平均4.6ヘクタール程度であったところ、ここ3年で約70ヘクタールとなっております。
引き続き、改革工程表に基づき、残る保有土地の早期処分に、全力で取り組んでまいります。

一方で、本件の活力向上に資する最も重要な取り組みである企業誘致を進めるためには、受け皿となる産業用地を企業の立地ニーズに応じて、適切に確保してることが必要であります。

県では、これまで新規事業を原則凍結し、市町村や民間事業者による開発計画を支援することにより、産業用地の確保に努めてまいりました。

しかしながら、圏央道の4車線化の順次供用が見込まれるなか、県南・県西地域では、平成28年度以降、8団地が一気に完売するなど企業立地が急速に進み、分譲可能面積は、今年度当初で、約70ヘクタールとなり、これまでの分譲実績を踏まえると、早ければ、2、3年後には、企業に紹介できる用地がなくなることが見込まれる状況です。

さらに、圏央道周辺においては、市町村等による開発だけでは供給が間に合わず、この機に開発を行わなければ、近隣県との企業誘致の競争に負けるだけでなく、拡張計画のある県内企業の県外への移転につながりかねない状況にございます。

今般、来年度予算案において、事業費を計上したつくばみらい市福岡地区につきましては、企業の立地ニーズ、平坦な地形、地権者の同意状況などから、確実に事業の採算が確保でき、迅速に造成事業が進められることから、緊急的な措置として約20年ぶりに、県施行により産業用地を開発することとしたものでございます。

今後、県といたしましては、公共工業団地等の保有土地の早期処分を進めるとともに、企業誘致の機会を逸することがないよう、県施行による開発も含めて、企業の立地ニーズに応じて、産業用地の確保に取り組んでまいります。

2. 教育行政について

(1)教員の長時間勤務の改善

【山中】

次に、教育行政について、教育長に伺います。

教員の長時間勤務が社会問題となってもなお、根本的な解決が進んでいません。「生徒のためなら長時間も仕方がない」という現実の中で、教員が疲れ果てていくのは、子どものためになりません。教員自身の日々の生活や教職人生にゆとりがあってこそ、豊かな教育活動ができると考えます。

文部科学省は、働き方改革の選択肢として、学校における1年単位の変形労働時間制を導入しました。夏休みなど長期休業中に休みをまとめて取ることで、リフレッシュ時間の確保が期待できるとする一方、制度導入が業務や勤務時間を縮減するものではないとしています。そもそも、制度の前提である1か月あたり超過勤務が42時間以内という条件を満たしている教員が、どれだけいるでしょうか。

県教育庁が2017年に行った調査によると、1日の平均勤務が小学校教員は11時間39分、中学校は12時間15分と、過労死ラインを超える実態が明らかです。

教員を増やし、一人ひとりの授業持ち時間を減らすことが必須だと、私どもは一昨年、県教育委員会と懇談しました。来年度、県教委は変形時間労働制の導入を見送ったとお聞きしています。

そこで、教員の長時間勤務時間の実態及び解消にどう取り組むのか。また、今回、制度の導入を見送った理由についても、合わせてお聞きします。

【教育長】

教育行政についてお答えいたします。

まず、教員の長時間勤務の改善についてであります。
教員が心身ともに健康で、意欲と高い専門性をもって教育活動に専念できるよう、教員の負担軽減を行い、長時間勤務の改善を図ることは、極めて重要であります。

まず、本県教員の長時間勤務の実態でありますが、令和元年7月の文部科学省調査では、1か月あたりの超過勤務時間が、上限とされる45時間を超える教員は、小学校で教員総数8,926名の64%に当たる5,704名、中学校では同じく5,939名のうち、81%にあたる4,799名となっております。

また県立高校につきましては、昨年10月の本県独自調査において、教員総数4,702名のうち、39%に当たる1,813名などとなっております。

超過勤務の主な要因は、授業の準備、部活動の指導のほか、担任する児童生徒の家庭との連絡、各種行事の準備などの校務分掌業務などであります。

県ではこれまで、こうした時間外勤務の縮減に向け、校内ネットワークなどを活用した教材の共有化や、部活動顧問に代わって単独で指導・引率ができる部活動指導員の配置、児童生徒や保護者からの心理相談業務に従事するスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの外部人材の活用など、教員の負担軽減に努めてまいりました。引き続き、こうした対策を強化してまいります。

また、今般のコロナ禍に際しては、小・中学校に、感染症対策として学校施設の消毒業務などを担う学校サポーターを配置し、教員の負担軽減に効果を上げておりますので、来年度に向け体制を強化してまいります。

また、昨年9月からは、県内の小・中・高校・特別支援学校から12校を働き方改革のモデル校に指定し、超過勤務の縮減に向けて、小学校では専科指導教員の配置、中学校では複数顧問の配置による部活動指導の負担軽減、高校と特別支援学校では時差出勤の導入などを中心に実践的な取り組みを進めてまいりました。

今後はモデル校での取り組み成果を検証し、「働き方改革ガイドライン」を作成して、効果的な対策を具体的に示すことにより、県内すべての学校に横展開してまいります。

なお、教員の変形労働時間制の導入につきましては、学校における働き方改革を総合的に進める一つの選択肢ではありますが、まずは長時間勤務の縮減に向けた取り組みを推進し、その成果を上げることが先決であると考えておりますので、当面、見合わせることとしております。

県といたしましては、こうした取り組みにより、教員の働き方改革をより一層推進し、長時間勤務の改善と負担軽減を図ってまいります。

(2)少人数教育の前進

【山中】

次に、少人数教育の前進についてです。
国は、小学校の学級編成を5年間かけて35人に引き下げることを決めました。一律引き下げは実に40年ぶりです。

長い間、多くの国民が少人数学級を求め、コロナ禍のもとで「子どもたちにゆき届いた教育を」、「3密が解消できる学校を」と、署名は短期間に20万人分近く集まり、全国各地の運動がつくりだした重要な前進です。
同時に、小学校だけ35人というのはあまりに不十分です。文科省も当初は30人学級を求めていました。欧米をみれば、20人程度が常識です。

日本もコロナ禍の分散登校で一時的に20人以下の学級となり、子ども同士も先生との関係も、ゆったりしたものになりました。不登校の子どもが教室に顔を見せたと喜ぶ声もありました。子どものケアという点でも急がれます。
そこで、本県において、小中学校で30人学級をめざして取り組みを前進させるとともに、高校でも国に先駆けて少人数学級に移行すべきと考えますが、所見を伺います。

【教育長】

少人数学級の前進についてであります。
今般の義務教育標準法の改正により、令和7年度には小学校全学年で完全35人学級編成が実現いたします。
国の試算によりますと、全国で約1万人の教員が必要になる見込みであり、学習環境の基礎となる教室の確保とともに、教員の養成、採用を計画的に進めることが求められております。

本県では、全国に先駆け、小・中学校において、少人数学級とティーム・ティーチングを組み合わせた「いばらき方式」により、少人数教育を実施し、児童生徒一人一人に寄り添ったきめ細かな指導の充実に取り組んでまいりました。

今後、国の方針により、完全35人学級が実現しますと、教員の確保が課題となりますが、計画的に採用数を増やすことに加え、採用制度の見直しなどにより、正規教員の確保に努めてまいります。

一方、過度の少人数学級は、人間関係につまづいた時に、新しい関係を築きにくいことや、子供同士が切磋琢磨する機会の喪失につながることなどが危惧されているところであります。

このため、現状においては、これまでの取り組みを推進し、法律改正による小学校の完全35人学級編制に、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

また、中学校につきましては、今回、法律改正の対象とはなっておりませんので、中央要望や知事会など、様々な機会を通して、引き続き、国による対応を要望してまいります。

なお、高校につきましては、小中学校が行なっているクラス単位を基礎とした授業形態と異なり、学科や教科などの特性に応じ、多くの学校で習熟度別授業や、選択科目の授業が行われ、きめ細かな指導を行っているところでありますので、現時点では、小・中学校と同様に35人学級とする必要はないものと考えております。

県といたしましては、個に応じた指導の充実を図るとともに、多様な他者と協働して学ぶことで、異なる考えが組み合わさり、より良い学びを生み出すことができるよう、必要な体制を整えてまいります。

3. 原子力行政について

(1)東海第二原発の避難計画

【山中】

次に、原子力行政について、知事に伺います。
福島原発の事故から10年。知事は、福島の現状を目の当たりにして、本県の原子力行政をどう進めてきたでしょうか。
まず、東海第二原発の避難計画についてです。

昨年第2回定例会の予算特別委員会で、私は、原発災害と感染症の対策は相反しており、東海第二の再稼働は止めるべきだとただしました。
国の方針は、被ばく防止のためには窓を閉めろといい、感染防止のためには窓を開けて換気しろというものです。
さすがに、知事も「指摘のとおり、両立は困難」と答えました。

今年1月には毎日新聞が、東海第二原発の避難先の受け入れ人数が1万8千人も足りないと報じ、今月4日には読売新聞が「実効性のある避難計画は一つもない」と県幹部の意見を報じました。

それを裏付けるように、県が初めて発行した原子力広報紙には、避難計画について「新型コロナウイルス感染症対策について対応を検討中」と、いまだに方策がないことを記しています。
そこで、「両立は困難」との認識は今も変わらないのか。また、課題解決のためにどのような協議、対策を進めているのか伺います。

全世界が感染症対策に総力をあげているなか、原発の避難計画には例外として密閉、密着、密集で構わないなどは許されることではありません。

私は、広域避難先になっている栃木県と千葉県の対応をお聞きしました。
栃木県知事は、「避難計画に不都合がないかなど確認を行っていく」、「茨城県側との協議も必要になってくる」と、先日の本会議で答弁しました。
千葉県は、避難所面積を1人4m²を原則に協議を進めています。1人2m²に限定する本県より、はるかに誠実な対応だと思います。

また、福島県も避難先になっていますが、先月13日の大きな余震でさえ、核燃料プールの冷却水が漏れ、処理水の大型タンクがずれたほどです。福島第一と東海第二で同時災害が起これば、どうなるのか検討したのでしょうか。

22年前に起こった東海村のJCO事故を思い起こしてください。わずかバケツ7杯で臨界に達し、10km圏内10万世帯(31万人)の屋内退避、換気装置の停止、現場周辺の常磐道、国道、県道の閉鎖、常磐線、水郡線の停止措置が取られたのです。これでは福島へ避難することは不可能です。

一刻も早い廃炉の決断を求めて、知事の所見を伺います。

【大井川知事】

次に、原子力行政についてお答えいたします。
まず、東海第二原発の避難計画についてでございます。

以前にも答弁したとおり、原子力災害時の防護措置と、感染症対策との両立は困難なテーマだと認識しております。
例えば、感染症流行下における避難所や避難車両の確保などが課題として挙げられます。
これらの課題の検討状況ですが、避難所における感染症対策については、現在、県内外の自治体において、自然災害時の「感染症対策を踏まえた避難所運営」の検討が進められているものと承知しております。

内閣府では、「避難所における感染症対策については、基本的に、自然災害の場合と原子力災害の場合とで異なることはない」としておりますことから、原子力災害時の避難においても、各自治体の「感染症対策を踏まえた避難所運営」に沿って、受け入れていただくことになるものと考えておりますが、感染症流行下では、避難者を十分に受け入れられないことが想定されます。

このため、現在、自然災害等により当初予定している避難先の避難所が使用できない場合に備えて、第二の避難先として協力いただけるよう協議を行っている複数の県に対して、感染症流行下においても受け入れていただけるよう、お願いをしているところであります。

また、バス等の避難車両においては、密集を避け、極力分散して避難するなどの対応が必要になります。
このため、他の原発立地地域では、追加車両の準備やピストン輸送などの対策をとることとしているところです。

本県においても、これらを参考に、本県バス協会や避難先県のバス協会と、追加車両の確保のための協議を行っているところであります。
引き続き、国・県・14市町村・関係機関と連携して、課題の解決に努め、感染症流行下においても防護措置の実効性が確保できるよう取り組んでまいります。

(2)汚染水対策

【山中】

最後に原発の汚染水対策についてです。

福島第一原発の汚染水をどうするか。国は多核種除去設備(アルプス)で放射性物質を除去し、海洋放出する方針ですが、強い反対にあって結論を出せずにいます。

知事は当初「容認できない。反対だ」と固い意思を表明しましたが、次第に「風評被害対策を示せば」など条件をつけて容認の方向に傾きました。ついには「無人島での放出」という奇策まで提案しました。

菅首相は今月6日、福島を訪ねて処理水の処分は先送りせずに決めたいと述べています。知事は国が言うことなら漁民との約束を裏切っても唯々諾々と受け入れるのでしょうか。お答えください。

私が汚染水にこだわるのは、東海原発と第二原発の排水処理にはアルプスが使われておらず、トリチウム以外の除去はどのようにしているのかと疑問をもったからです。

昨年9月、江尻議員の一般質問に知事は意外な答弁をしました。
1つは、東海第二原発は停止中もトリチウムを排水していること。もう1つは、その量が年間47億ベクレルにおよび、再稼働すれば停止中の180倍、8,600億ベクレルが放出されることです。いずれも基準値を下回っており、問題ないとしましたが、加えて知事は、直近10年間はトリチウム以外排出してないと答弁しました。

しかし、その後の私の調査では、2007年から14年まで、つまり、7年前まで東海第二原発はトリチウム以外の廃液を放出していることがわかりました。

これでも知事は風評被害対策があればいい、基準値以下なら流してもいいというのでしょうか。東海第二原発の排水対策は、国任せで済ませることはできません。県自らが再稼働しないと決断し、排水対策を提示すべきだと考えますが、知事の答弁を求めて質問を終わります。

答弁によっては再質問いたします。

【大井川知事】

次に、原発の汚染水対策についてでございます。
福島第一原子力発電所のALPS処理水につきましては、国の委員会において、「水蒸気放出又は海洋放出した場合の影響は、仮に全ての処理水を1年で処分した場合でも、1年間に自然界から受ける放射線量の1000分の1以下と十分に小さい」とされており、従来から、安全性に問題があるとは認識しておりません。

しかしながら、本県におきましては、同発電所の事故の影響により、今なお一部の国・地域において輸入規制を行われるなど風評被害が続いてることから、処理水の処分によって更なる風評への影響が懸念されます。

このため、昨年2月に、水蒸気放出または海洋放出を現実的な選択肢とする国の委員会の報告書案が公表された際に、「結論ありきの取りまとめではなく、より影響の出ない方法はないか、さらなる検討を求める」旨のコメントを出したところであります。

また、同年9月に開かれた「処理水の取扱いに係る関係者のご意見を伺う場」におきましては、「処分方法の決定に当たっては、関係者への納得のいく説明と具体的な風評対策の早急な提示が必要」である旨、国に直接意見を申し上げたところであります。

つまり、国がどのような処分方法を選択するとしても、それは国が関係者に対し、様々な検討をした上でこれが最良の処分方法だということを説明し、しっかりと風評対策も行っていくことで納得を得ることが前提であり、漁業関係者の期待に反して海洋放出を認める方向に向かっているということは決してございません。

一方、東海第二発電所につきましては、茨城県東海地区環境放射線監視委員会において、排水中の放射性物質濃度が法令値以下であることや、周辺住民への放射線の影響が法令で定めている基準値を大きく下回り安全であることを確認しております。

同委員会での確認結果につきましては、毎年度、詳細な測定データとともに公表してきておりますが、現在はもちろんのこと、東海第二発電所が運転中であった当時も、風評被害が発生しているとは認識しておりません。

福島第一原子力発電所の処理水については、風評への影響の観点から意見を申し上げたものであり、これらの対応が矛盾するとのご指摘は当たらないものと考えております。

従いまして、東海第二発電所の再稼働の是非につきましては、このような観点からではなく、安全性を検証するとともに、実効性ある避難計画の策定に取り組んだうえで、県民の皆様に情報提供し、県民や、避難計画を策定する市町村、並びに県議会の皆様のご意見を伺いながら判断していくこととしております。

【再質問】

それぞれご答弁いただきました。
2点、知事に再質問します。

1点目、「なめがた地域医療センター」についてです。経営母体の厚生連は、当初から、感染症指定病院としてコロナ患者を受け入れ、「とりで総合医療センター」ではクラスターに見舞われるなどで、大幅な減収に陥っているとお聞きしました。

一方、知事は日本製鉄の高炉休止に対して、最大100億円規模の県補助金を提示したと報道されましたが、1兆円もの内部留保金をもつ大企業に財政支援するのに、なぜ医療機関には減収補填を行わず、地域の貴重な入院病棟閉鎖を認めてしまうのでしょうか。

国の緊急包括支援交付金も活用して、なめがた地域医療センターの入院病棟存続のために支援すべきです。県は何の手立ても行わないのか、お答えください。

2点目は、東海第二原発について、排水に含まれる放射性物質はトリチウムのみと知事は昨年の本会議で答弁しましたが、日本原電が公表するデータを見れば、トリチウム以外が排水されています。ご存じなかったのか、虚偽の答弁だったのかお答えください。

そして、これがストロンチウムなどであれば問題ではないでしょうか。

なぜ知事答弁と日本原電のデータで違いがあるのか。原電からは詳しいデータ内容が示されていません。県として調べて公表するとともに、問題があれば打開策を示していただきたいと思います。ご答弁ください。

【大井川知事】

再質問についてお答えいたします。

まずはなめがた地域医療センターへの財政的支援ということでございますが、これまで地元関係者における協議を踏まえれば、今回の診療体制の見直しに係る救急医療の体制、あるいは入院体制等への影響は厚生連の土浦協同病院をはじめとする近隣の医療機関等との連携でカバーできるものと認識しており、県として支援をすることは考えておりません。

次に東海第二原発からの汚染水の件でございます。

東海第二発電所の敷地内には東海発電所と東海第二発電所の廃棄物を処理する共用施設設備があり、この設備の廃止については東海第二発電所の敷地にある排水溝から放置されております。その排水からは放射線の塩素36が検出されておりますが、東海発電所の廃棄物に由来するものであり、なおこのことについては茨城県東海地区環境放射線監視員会で公表している広報紙にも明記しております。

以上

動画はこちらから

2021年3月茨城県議会 山中たい子議員の一般質問と答弁(大要、PDF)

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