2021年1月茨城県議会臨時会 江尻加那議員の討論(大要)

江尻加那議員の質問と答弁(大要)

2021年1月22日(金) 茨城県議会 1月臨時会

質問を行う江尻議員

質問を行う江尻議員=1月22日、茨城県議会

日本共産党の江尻加那です。
はじめに、営業・外出自粛等の影響を受ける事業者への支援拡充について伺います。

政府は、命と経済を天秤にかけてGoToイートの大キャンペーンを繰り広げて混乱を招き、一転、今度は飲食店での会食が感染を拡大させていると、何の反省もなく、逆に要請に応じなければ罰則を科すなど論外です。

感染症対策は国民の納得と協力、そしてなによりも十分な補償があって進むものであり、罰則による強制は恐怖や差別、社会の分断をまねき、実効ある感染抑止に逆行するものと考えます。

政府は、世論の批判を受け、納入業者や生産者に一時金を実施する方向ですが、本県はいまだ対象外です。県として国に準じた協力金だけではなく、売上や従業員数など各事業規模に応じた上乗せを独自に行うことが求められるのではないでしょうか。
県独自の緊急事態宣言による自粛は、様々な事業者に影響を与えています。

例えば、県立施設の休館により、県民文化センターで上映会を予定していた映画会社は、3月までの上映をすべて延期とする判断。販売済チケットの取扱いに加え、取り戻しつつあった収益事業がなくなり、先の見通しがまったく立ちません。現に昨年4月・5月の支援は、もっと幅広い業種が対象でした。

そこで、協力金の大幅な増額とともに、飲食店以外にも直接・間接に影響を受けるすべての事業者を対象にすること。
さらに、協力金に留まらず、減収に対する補償に切り替えていかなければ、廃業・倒産、解雇に追い打ちをかけると考えますが、知事の所見を伺います。

次に、医療、介護、児童福祉施設従事者等への支援について伺います。

昨年実施された慰労金は、春の感染拡大第1波に対するものとして、医療従事者や高齢者・障害者福祉施設の職員への給付です。
しかし、昨年夏の第2波、そして今回の深刻な第3波に対して、国も県も慰労金の支給を検討しようとしていません。

日本共産党は他の野党と共同で、2度目の慰労金を支給する法案を今の国会に提出しましたが、県として国待ちにならず2度目の給付が必要ではないでしょうか。

その際、1回目の対象から外された保育所や学童保育など児童福祉施設の職員や、薬局で働く薬剤師等にも支給すべきです。

昨年、政府が突然、全国一斉休校にしたときも、保育所や学童保育は一時も休まず子どもを預かりました。国も県も休業を要請しなかったのは、それなしには多くの女性が働く医療や介護の現場が成り立たないからです。にもかかわらず、慰労金の対象から保育を外したのです。

これを受け、山形県では、感染の不安の中でも、必死に保育を継続し、子ども達の居場所確保に尽力いただいたと、いち早く保育士等への慰労金を決めて実施しました。

この間、市場原理の下で、福祉や医療からゆとりが奪われ、保健所を削減、弱体化したことが今の深刻な事態を招いています。
厚労省によると、今月18日までに全国で確認されたクラスターは4,238件。一番多いのは福祉施設であり本県も同様です。

医療や介護等従事者への2度目の慰労金給付とともに、子どもの成長を日々支え続ける児童福祉施設の従事者等への慰労金実施を求めて、知事の所見を伺います。

以上で質疑といたします。

【大井川知事】

江尻加那議員の御質問にお答えいたします。

初めに、営業外出自粛等の影響を受ける事業者への支援拡充についてお尋ねをいただきました。
感染症への対応が長期化し、また多岐にわたる対応が求められる中で、県として引き続き事業者への着実な支援を継続していくためには、本県の財政状況や、感染症の影響による税収減などを総合的に勘案し、国の支援を十分に得ながら施策を講じていく必要がございます。

そのため県では、国の制度に基づき、飲食店に対して、最大限の支援を講じるとともに、幅広い業種に対しても必要な支援を得られるよう、国に働きかけを継続してまいります。

現在、国では緊急事態宣言地域を対象として飲食店と取引を行う事業者や、外出自粛の影響を受ける事業者への一時金などが検討されております事から、同等の感染対策を行う本県でも同様の支援が得られるよう、今月19日に私から梶山経済産業大臣に要請したところであります。

また、全国知事会を通じて飲食店への協力金を6万円に引き上げることや、持続化給付金の売上減少要件の緩和と再度の支給、さらには地方創生臨時交付金の増額などを求めており、今後とも国に対して本県の実情を伝えると共に、幅広い業種を対象とした支援の拡充を要請してまいります。

次に飲食店への協力金の支給額につきましては、現在国から緊急事態宣言地域では1店舗あたり一律で最大6万円、それ以外の地域では最大4万円を支給する方針が示されております事から、こうした制度を上限まで活用し、一律で4万円の迅速な支給に努めてまいります。

議員ご指摘の売上や、事業規模に応じた協力金の支給額の上乗せにつきましては、国が制度上認めておらず、また感染拡大が進むまさに緊急事態において、事業者に1日でも早く協力金を支給し、営業時間短縮に協力を得る必要がある中で、審査に多くの時間や人員が必要となります事から、望ましい処方ではないと考えております。

また、協力金の枠を超えた補償措置につきましても、事業者の損失額を具体的に把握することは困難であることや、県独自の支援には財政上の限界があることから考えておりませんが、あらゆる手段を活用し、事業者の負担軽減を図ってまいります。
県といたしましては、こうした取り組みに加え、情報発信や申請手続き支援も決定し、引き続き事業者支援に全力を挙げて参ります。

次に、医療介護児童福祉施設従事者等への支援についてお答えいたします。

医療介護従事者に対する慰労金につきましては、医療機関等に勤務し、患者と接する医療従事者や職員及び介護施設事業所に勤務する職員を給付対象とした、国による全国一律の制度であり、現在、県においてすみやかに給付作業を進めているところでございます。

そのような中、今般国会において、日本共産党など野党4党から、保育所等の職員や薬局の薬剤師等も支給対象とした、2回目の給付を行うための法案が共同提出されたことは承知しております。

議員からのこうした方々について、本県独自で慰労金の対象に含めるようを拡大すべきとのご意見を頂いたところですが、国の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援金支援交付金の慰労金は、感染した場合に重症化するリスクが高い患者と患者等との接触を伴うことや、施設における集団感染の発生状況を勘案し、国から対象施設が示されたところであり、その対象は医療機関等とされております。

一方、保育所等には医療従事者や介護従事者等の勤務体制を確保するため、緊急事態宣言下においても感染防止対策を講じながら運営継続に協力いただいてきたところです。

このため、医療従事者等を支えるこれらの施設職員の役割の重要性につきましては、県においても強く認識しているところであり、県や全国知事会におきまして、国に対して保育所等の児童福祉施設や、薬局の職員への対象拡大を要望してきたところであります。

今後、国の議論の動向を注視していく必要がありますが、対象を拡大したあらたな慰労金制度が整備された場合には、速やかに給付を開始できるよう対応してまいります。

県といたしましては、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、医療・介護、児童福祉施設等の現場で日々重要な業務に従事していただいている皆様の支援に、引き続き全力で取り組んで参ります。

以上

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