2020年12月茨城県議会 予算特別委員会 山中たい子議員の質問と答弁(大要)

山中たい子議員の予算特別委員会質問と答弁(大要)

2020年12月10日(木) 茨城県議会 第4回定例会

【質問事項】

  1. 新型コロナ感染症対策について
    ▽医療機関、介護施設等への検査拡充
    ▽医療機関の支援
  2. 不登校の子ども達への支援について
    ▽相談体制と実態把握
    ▽子どもの居場所等への支援
  3. 霞ヶ浦導水事業の計画変更について
  4. 東海第二原発の再稼働について
パネルを前に質問する山中たい子議員

パネルを前に質問する山中たい子議員=12月10日、茨城県議会

1. 新型コロナ感染症対策について

(1)医療機関、介護施設等への検査拡充

日本共産党の山中たい子です。
最初に、新型コロナ感染症対策について、知事に伺います。

感染の第3波が急拡大し、極めて深刻な事態です。旭川では、通常業務が全くできず、医療崩壊におちいっているとの報道もなされています。

本県では、11月から県南・県西を中心に市中感染が広がり、繁華街、高齢者等の福祉施設、事業所や多人数の会食によるクラスターが20件発生しています。

感染抑止のために何が必要か。無症状の陽性者を早く把握し保護するため、検査をすることです。病院・診療所などの医療機関、介護・福祉施設、保育園、幼稚園、学校、学童クラブなど、クラスターが発生すれば大きな影響が出る施設に一斉・定期的な社会的検査を行うこと。知事の所見を伺います。

【大井川知事】

お答えいたします。
本県では、11月に入り、これまでにないスピードで新規要請者患者が増加し、11月の1ヵ月で800人近い陽性患者を確認したところであり、県南、県西地区において複数のクラスターも発生したところでございます。

クラスターの発生は、地域や家族に感染を伝播させ、医療提供体制のひっ迫につながることから、感染者の早期探知と早期封じ込めが極めて重要であると認識しております。

このため、本県におきましては、土浦市内の接待を伴う飲食店におけるクラスターが発生したことを踏まえ、土浦市桜町1丁目及び2丁目の飲食店等の従事者と利用者を対象とした集中検査を実施するとともに、重症化リスクが高い方の感染を防いで、地域の医療提供体制を維持するため、11月下旬から市内の高齢者福祉施設等に勤務する方を対象とした緊急検査を実施しているところであります。

また、保育所や学校等で陽性者を確認した際には、これまでも検査対象を濃厚接触者に限定せず、学年単位など幅広く検査を実施しているところでございます。

県といたしましては、地域ごとの感染状況や医療提供体制、更には対象施設利用者の重症化リスクや感染の伝播のしやすさなどの環境要因を総合的に勘案しながら、感染拡大地域での一斉・定期的な検査の実施を検討してまいります。

【山中】

県は、土浦やつくばなど感染が拡大している12市町の住民に、今月13日まで不要不急の外出自粛と、事業者には営業時間の短縮を要請しました。

しかし、政府感染症対策分科会の尾身茂会長は、「個人の努力だけに頼るステージは過ぎた」と述べています。
知事は11月の会見で、8月の政府対策本部の決定を示し、「クラスターを防ぐ意味で、定期的な検査を都道府県が行うべしとあるので,感染が広がっている福祉施設従事者の緊急検査を実施する」と述べています。

すでに東京千代田区は、8月から介護施設職員に検査を行い、2巡目に入りました。年4回、3ヶ月毎に行う予定です。クラスターが出れば多くの命が危険にさらされ、現場の不安も大きいためとしています。社会的検査を実施すべきです。改めてご答弁ください。

【大井川知事】

お答えいたします。
限りある医療資源を有効に、効果的に活用していくために、今後、県内全体や地域ごとの感染状況やその増減、さらには医療提供体制のひっ迫度合い等を総合的に勘案しながら、緊急検査の実施エリアや対象施設、検査実施期間などを早急に検討し、感染者の早期の把握により、施設内でのクラスター発生を防止していきたいと考えております。

【山中】

病院、それから高齢者施設などへの働く人の検査は、かなり早くから知事はやると言ってきました。調べてみました。5月でした。5月からかかって土浦市内1か所というのはあまりにも少ない。第3波が始まっている、いまこそやるべき時だと思います。宜しくお願いします。

(2)医療機関の支援

次に、発熱患者が地域で適切に診療・検査、相談を受けられるよう厚労省方針の下で、県が指定した「診療・検査医療機関」への支援についてです。

指定医療機関は661件、3要件(▽かかりつけ患者以外も受け入れ▽自院で検査を実施▽医療機関名公表)を満たした167件には、応援協力金を定額100万円補助するとしています。
本県の地域医療をぎりぎりの状態で支えている現場の努力に応え、支援を強化すべきです。

そこで、以下3点を求めます。第1に、3要件を緩和し、指定した医療機関に広く応援協力金を補助すること。第2に、指定した医療機関の医師が感染した場合の休業補償や看護師等の危険手当を創設すること。第3に、医療機関の負担を軽減するため、診療予約を代行する「県発熱等診療予約センター」を設置すること。知事の所見を伺います。

【大井川知事】

お答えいたします。
診療・検査医療機関への支援につきましては、ガウンなどの感染予防資機材の無償配布や、発熱患者等の受入れ体制確保に対する補助金が国から受けられることに加え、感染防御対策に必要な設備整備に対する県の補助制度の活用が可能となっております。

そのような中、県では、患者の利便性を考えた際に、かかりつけ患者以外の患者も受け入れていただくこと、相談から診療・検査体制までの一連の対応が可能なこと、施設名を公表いただくことが大変重要であると考え、それら3要件を満たした医療機関には100万円の応援・協力金を支給させていいただくことといたしました。

こうした財政支援に加え、検体採取時の感染の不安などに対し、県医師会の協力を得て、安全に検体を採取いただくための動画を作成するなど、医療機関の不安払拭等の支援にも努めているところであり、県といたしましては、現場の医療機関の声を丁寧に吸い上げ、必要な支援策を検討してまいります。

また、診療・検査医療機関における医師等の従事者に対する保険や補償などについては、一義的には各施設で加入いただくものと考えておりますが、日本医師会における休業補償制度など、国の補助金を活用できるものもありますので、引き続き、医師会と連携し、安全に、安心して診療や検査ができるよう、医療機関や従事者に関わる支援制度の情報提供に努めてまいります。

さらに、委員ご案内の、神奈川県の「発熱等診療予約センター」については、発熱などの症状のある方が、かかりつけ医で受診できない場合、代わりにセンター職員が診察可能な医療機関の予約調整を行っておりますが、日々変わる医療機関の患者受入状況の把握が難しく、受信調整に時間がかかることもあると聞いております。

本県では、発熱患者に対し、地元の受診・相談センターから地域の医療資源を踏まえた丁寧な対応が行えるよう、県庁内及び保健所に設置した受診・相談センターと、県内7か所の医療機関において、身近な診療・検査医療機関を紹介できる相談体制を整えたところです。

県といたしましては、発熱患者等が身近な地域で円滑に診療や検査が受けられるよう、しっかりと体制を確保してまいります。

【山中】

減収補填への支援がないなか、医療従事者は感染リスクを抱えながら、発熱患者に対応しています。「医療従事者に補償がない」「風評被害が心配」などの声を聞くべきです。

診療予約のための県の窓口設置を提案しておりますけれども、医療機関の負担軽減のためです。県立中央病院は、電話対応のため看護師1人を配置しています。発熱外来を支える医療機関への支援策について、改めてお答えください。

【大井川知事】

お答えいたします。
新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの流行拡大を見据え、新たな体制を早急に整備するために、11月中旬までに体制を整えていただいた医療機関に対し、人件費や施設の整備などに幅広く使える応援・協力金として支給させていただいているところであります。

当初、県が求める3要件を満たした医療機関は83施設ですが、県医師会とも連携し、しっかりとご案内させていただき、167医療機関まで増加させることができました。

早期の体制整備に向けての御案内であり、その他の国の補助金もあることから、県としての支援金の交付は考えておらず、今後は県医師会とも連携してその他の支援策について検討してまいります。

【山中】

発熱外来の診療体制を確保した医療機関に対し、体制確保補助金がありますが、コロナ検査の患者負担分を保険請求すると、患者数に応じて補助金が減額され、医療機関が補助申請で想定した患者以上に来院すれば補助金はゼロになります。医師からは配慮が足りない、定額給付にとの要望が出ています。改善を国に強く求めていただきたいと思います。これは要望です。

2. 不登校の子ども達への支援について

(1)相談体制と実態把握

次に、不登校の子ども達への支援について、教育長に質問します。

19年度の不登校児童生徒数が公表されました。小学生が4年連続、中学生が7年連続で増加し、全国で18万人を超えました。本県でも4,200人にのぼります。
学校が子どもにとっていかに息苦しい場所となっているかを改めて示しました。

すべての子どもにとって、学校を安心できる場所にするため、学校と行政の役割が問われています。どの子にも起こりうることとしてとらえ、当事者への理解を深め支援していくことです。しかし、そのための条件整備はあまりに不十分です。養護教諭の複数配置や、教職員の増員、教員の授業持ち時間数を減らし、不登校の子どもとふれ合い家庭訪問ができる時間、関係者と打ち合わせできる時間を保障すべきです。その意味で、少人数学級は大切な条件整備です。

県は関係機関と連携し、教育支援センター(51カ所)やスクールカウンセラー(162人)・スクールソーシャルワーカー(20人)等による相談支援体制をつくっています。教育機会確保法施行からまもなく4年。スクールカウンセラーの年間相談件数3万4千件のうち、不登校の相談が約8千件にのぼります。一方、フリースクール等の実態把握や情報交換は始まったばかりです。

相談員の増員など相談体制を拡充するとともに、学校以外の学びの場、居場所の実態把握を進め、親の会等との連携と自治体による支援の強化は急務です。教育長の所見を伺います。

【小泉教育長】

お答えいたします。
本県の不登校児童生徒数は、文部科学省が毎年行う全国調査によりますと、直近の令和元年度で、小学校1,325人、中学校2,917人と、過去最高となっております。

不登校となる主な要因といたしましては、「不安や気力」によるものが44.1%と一番多く、次いで「友人関係」や「親子関係」などといった状況でございます。

このような中、県教育委員会といたしましては、不登校児童生徒への支援の状況などをより詳細に把握するために、独自の調査を行っておりまして、その結果を学校と共有することによりまして、不登校児童生徒一人一人に応じた、きめ細やかな支援につなげているところでございます。

また、フリースクールの実態でありますが、県が把握しているものといたしましては、32施設ありまして、そのうち17施設が県内に所在しております。こうしたフリースクールに通所する本県の児童生徒数は68名、そのうち58名が県内のフリースクールに通っております。
※後ほど答弁(数字)の訂正があります

これらのフリースクールに対しましては、県教育委員会の職員が施設を訪問しまして、児童生徒の活動の様子や経営実態などを確認しているところでありますが、不登校対策連絡協議会に、フリースクール関係者にもご参加いただいて情報交換を行うなどして、官民連携による支援にも努めているところでございます。

さらに、こうした中にありまして、不登校児童生徒一人一人の状況に応じた支援を進めていくためには、相談体制の充実、これを進める必要があると考えております。

現在、24時間の電話で対応する「子どもホットライン」やSNSを活用した相談窓口などによりまして、不登校児童生徒の不安や悩みに寄り添った対応をしているところでありますが、特に、このSNS相談につきましては、今年度、通年に近い形で実施しておりまして、来年度に向けましても、万全の体制をとるよう、検討を進めているところでございます。

また、これまで、すべての公立小中学校にスクールカウンセラーを配置するほか、教員だけでは対応が困難なケースにつきましては、スクールソーシャルワーカーを学校へ派遣しまして、専門的知見から家庭に直接働きかけを行うなどしてまいりました。

今後も、スクールカウンセラーが講師となりまして、相談活動における教職員の対応力向上にむけ、校内研修の充実を図りますとともに、派遣要請が増加傾向にありますスクールソーシャルワーカーにつきましては、派遣回数の充実などを検討してまいります。

(2)子どもの居場所への支援

【山中】

本県の不登校の子ども達が通っているフリースクール等の状況について先程答弁がありました。子ども達にとって、不登校が否定されずに認められること。フリースクール等は、子ども達が孤立しないでいられる大事な場所です。

しかし、居場所への通所手段と経済的な負担は大きな課題です。1人ひとりの学びを保障するため、負担の軽減を検討していただきたい。
つくば市は、教育支援センターとは別に、小中学生を対象にした不登校児童生徒学習支援事業をスタートさせました。ゆっくりしたいフリースペースと学習支援の場に分け、体験通所も可能です。定員は15人程度で、利用料金は無料です。こうした場が各地に必要ですが、所見を伺います。

【小泉教育長】

すみません、今の質問にお答えする前に、一点訂正させていただきます。先程答弁させていただきました、フリースクールに通っている子どもの数ですが、児童生徒数全体で68名のうち、県内のフリースクールに通っている子どもたちが51名ということでございます。申し訳ありませんでした。

それでは、ただいまの質問でございますが、不登校児童生徒一人一人の状況に応じた支援を適切に進めていくためには、公的機関による支援だけではなくて、民間のフリースクールなど、多様な受け皿との連携を強化していく必要があると考えております。

一方で、フリースクールを運営する民間団体は、経営基盤が脆弱であるために、円滑な運営が困難な状況になっている団体があるということも承知をしております。

このため、フリースクールに対しましては、関係法令の趣旨や当事者の利用状況などをふまえながら、財政的な支援も含めまして、必要な支援策を丁寧に検討してまいります。

また、フリースクールへの支援に加えまして、そこに通所する不登校児童生徒に対する支援にも目を向けることが重要であります。特に、生活困窮世帯の児童生徒につきましては、経済的な支援を含め、どのような支援が効果的かを十分に検討してまいりたいと考えております。

また、フリースクールに通所している県内の児童生徒は68人というのが現状であります。不登校児童生徒の全体の1.6%にとどまっておりますので、まずは、不登校児童生徒やその家庭がフリースクールについて十分な情報を得られるように、施設ごとの具体的な活動内容や利用料金などをまとめて、周知をしてまいります。

また、ICTを活用したオンライン学習などは、不登校児童生徒の学習の保障に大変有効でありますので、積極的に活用してまいりますとともに、文化祭などの学校行事をリアルタイムで動画配信することにも取り組んでまいります。

なお、一定の条件のもとに行われるオンライン学習は、学校長の判断によりまして、出席扱いできるとされておりますので、こうした制度につきましても活用が図られますよう、市町村に働きかけてまいります。

県といたしましては、民間のフリースクールなど、多様な受け皿との連携を強化することによりまして、不登校児童生徒をしっかりと支援してまいりたいと考えております。

【山中】

一人一人の学びを補償し、居場所を確保する、そのための最大限の支援を宜しくお願い致します。

3. 霞ヶ浦導水事業の計画変更について

次に、霞ヶ浦導水事業の計画変更について、知事に伺います。

またしても工期延長と事業費増額、これで5回目です。
今回は7年延長、495億円の増額で、本県負担額は1,038億円までふくれあがりました。

当初は平成5年、今から27年前に完成するはずでした。それが、あと10年後の2030年に延期されました。県は工期短縮、コスト削減を国に要望しながら無視され、逆に、国は工期延長とコストの増大を求めてきました。

こんな理不尽な契約変更に対し、国から意見を求められた知事は、議会の議決はいらないからと、わずか一週間で「同意する」と回答しました。

埼玉県は全面撤退、千葉県等も縮小・撤退という決断を下しているなかで、この茨城の同意は異常ともいえる、「国策追随」が際立ちます。

パネル1をご覧ください。
土浦トンネルはまったく手がついていません。石岡トンネルもやっと3割です。これであと10年以内に完成するのか、その根拠と見通しをお聞きします。

パネル1 霞ヶ浦導水の事業費増額と工期延長

パネル1 霞ヶ浦導水の事業費増額と工期延長

【大井川知事】

お答えいたします。
今回の工期の延長につきましては、国からは、地元関係者や地権者等との調整状況や工事の状況を踏まえ、工程を精査した結果、事業期間の延長が必要になった、と聞いております。

変更後の事業費及び工期については、現時点で判明している社会経済状況の変化などを踏まえ、今回十分な精査を行い、変更された計画通り、令和12年度までに完成すると聞いております。

県といたしましては、引き続き工期の短縮と事業費の縮減について、国に要望してまいります。

【山中】

知事は「工期中に完成すると聞いている」といま答弁しましたが、私は11月19日、江尻議員とともに国交省と交渉しました。そのさい、国交省は次のように回答しました。

「土浦トンネル区間における詳細な用地等の調査は実施していません」。
着工どころか、地権者も用地の調査も何もしていない、これが国の回答でした。

知事はこの報告を受けていたのですか。知っていながら、同意したのですか。こんな状態で、工期中に完成すると本気で考えているのですか。お答えください。

【大井川知事】

お答えいたします。
国において、本年11月に学識経験者で構成される関東地方整備局事業評価監視委員会が開催され、増額内容も含めた説明、質疑が行われ、そのうえで、継続との方針が了承されております。

県においては、そのような事業計画変更案を精査し、その妥当性を主体的に調査・検証いたしました。
したがって、その工期延長について、同意すると回答しております。

【山中】

今の答えでは精査した内容というのが全く触れられていないということです。
トンネル工事には今後、地上権の設定が必要ですが、折も折、東京外環道トンネルのルート上で陥没事故が起き、地権者には不安と不信感が増幅しています。水戸トンネルでも鋼管が押しつぶされ、復旧を余儀なくされた経緯もあります。これまでより、さらに困難な壁が立ちはだかっています。

もう一度パネルをご覧ください。

総事業費2,395億円のうち、本県は1,038億円です。直轄事業であるにもかかわらず、なぜ国よりも本県の負担が大きいのか。
そもそも、増額する理由は、(1)詳細設計をしたら増えた、(2)工期が延びて設備管理費が増えた、(3)差止裁判和解による調査や試験が増えた。この3点はすべて国の責任です。なぜ県が負担を押し付けられるのか。

国は導水によって、西浦のCOD改善は0.4mg/Lしか期待できない、とせいぜい誤差の範囲であることを認めました。人口減で水需要が増えないことは勿論、渇水や塩害対策など、導水がなくても乗り越えてきたし、別の方策があることを私どもは示してきました。

水需要の虚偽報告や錯誤の場合、実績も調査せずにそれを認めているとしたら、国も県も河川法23条に違反する行為です。
虚偽や錯誤による契約について、民法第540条は契約解除、取消を定めていますが、その場合、違約金を払う必要はなく、すでに払った負担金返還を要求できるのです。

今年と来年は、本県水利権見直しの年。こういう重大な時期に、唯々諾々と国に従うのは、知事の言う行政の縦割りや前例主義の打破に反するのではないでしょうか。国に何の条件も付けず、請求もせず、同意していいのか。再度お答えください。

【大井川知事】

お答えいたします。
今夏の事業計画変更は、これまで国に対し早期完成及びコスト縮減や工期短縮などを強く求めていたところであり、大変遺憾ではございますが、高浜機場の上屋の省略といった、必要最低限の施設とするコスト縮減の努力がみられました。

大きな増額と長い工期延長ではありますが、本事業は治水・利水の両面から必要不可欠なものであり、今回の計画変更はやむを得ないと判断し、徹底したコスト縮減を図ること、早期完成に向けて工期短縮に努めること、という意見を託して計画変更に同意する旨を回答しております。
改めて撤回する必要はないと考えております。

【山中】

県民が新型コロナ感染症の不安とたたかい、命と生業をかけて頑張っているとき、こんな事業に県の予算をつかっている場合ではありません。
同意を撤回し、国に事業の中止を求めるべきです。 改めて強調したいと思います。

4. 東海第二原発の再稼働について

最後に、東海第二原発の再稼働問題について、知事に伺います。

12月4日、大阪地裁は関西電力大飯原発について、原子力規制委員会が出した設置許可は違法だとして、取消命令を下しました。
理由は、関電が算定した地震の揺れ・基準地震動が、規模の大きな地震を検討していなかった。それどころか、審査した規制委員会が許可を与えたことは「看過できない過誤、欠落がある」と断罪したのです。

これは大飯原発だけの問題ではありません。なぜなら、東海第二をはじめ、同じ計算式ではじかれた地震動を基に、耐震補強や安全対策工事が進められているからです。

そこで、県は独自の安全性検証を続けていますが、日本原電が想定した基準地震動1,009ガルについて、県は安全の担保を認めているのか。それとも、検証の必要があると考えているのか、知事の所見を伺います。

【大井川知事】

お答えいたします。
原子力規制委員会は、新規制基準について、「福島第一原子力発電所事故の教訓等を踏まえて強化しているが、どのような異常事態が生じても放射性物質が環境に放出されることは絶対にないといった安全性を要求しているものではない」としております。

一方で、東海第二発電所の国の審査結果に対しては、県民の皆様から、安全性を懸念する声が、数多く寄せられたところであります。

県では、平成26年から、東海第二発電所安全性検討ワーキングチームにおいて、同発電所の安全性の検証を行っており、昨年6月に、県民の皆様から寄せられたご意見も踏まえた安全性の論点を整理したうえで、本年2月から、基準地震動も含む200を超える論点について、検証をおこなっているところであります。

ワーキングチームにおける検証を踏まえ、県民の皆様に、「安全対策により、どのような事故・災害にどの程度まで対応できるのか」を示してまいります。

なお、大飯発電所3、4号機に関し、原子力規制委員会の審査における基準地震動の検討が、審査ガイドに照らすと不十分であったとして、許可を取り消す判決が出されたことにつきましては、県として、まずは、今後の国の対応を注視してまいりたいと考えております。

また、原子力規制委員会における規制基準適合性審査においては、発電所ごとに最新の科学的技術的知見に基づき、複数の基準地震動を策定したうえで、全ての基準地震動を上回るよう施設整備の耐震設計を行うこととされております。

東海第二発電所安全性検討ワーキングチームにおいて、論点とする新設する構築物等を含めた安全裕度評価とは施設整備の耐震設計がどの程度基準地震動を上回る裕度をもつことになるのか、明らかにしようとするものであります。

またワーキングチームにおいて地震に関する論点を審議する際には、当該地震による地震動が国の審査を受けた基準地震動の範囲内に収まるのか、また基準地震動を超える場合であっても、耐震設計上の裕度の範囲内に収まるものか検証していくこととしております。

【山中】

という事は、県として安全性の検証を担保されたものとして認めるということではなく、検証するということですよね。

【大井川知事】

繰り返しになりますが、県のワーキングチームにおいて様々な論点として検討しております。

【山中】

1,000ガルを上回る地震が、測定開始後の2000年以降、日本で16回も起きています。ですから、ハウスメーカーは耐震基準を2,000ガル、3,000ガルにして実験しているのに、より高い安全性が求められる原発が低い基準でいいのか。

危機管理の基本は、リスクとそれによる影響を予測して経営を守る、いわゆるリスクマネジメントが重要なことは、民間企業出身の知事ならお分かりのはずです。

パネル2をご覧ください。

パネル2 東海第2原発に緊急事態が起きたら首都圏は?

パネル2 東海第2原発に緊急事態が起きたら首都圏は?

これは、環境経済研究所代表の上岡直見氏が、東海第二原発を稼働した場合と、過酷事故が起きた場合について、本県産業関連データにより試算したものです。

まず、稼働した場合、GDPは660億円、雇用は3,700人増えるとしています。一方、過酷事故が起きた場合、30km圏内に限定してもGDPが6兆5220億円、これは県内の年間GDPの約半分が失われる計算です。雇用は67万人の減です。

試算を30km圏外まで広げれば、経済的影響をはじめ、放射能による人体や環境への影響は計り知れません。

そこで、再稼働した場合・しなかった場合のメリットとデメリット、過酷事故が起きた場合の被害想定等について試算し、県民に情報提供すべきと考えますが、知事の所見を伺います。

【大井川知事】

被害想定については様々な前提をおかなければなりませんので、国の試算を超えて県が試算することは予定しておりません。
(山中議員:「いまの答弁ちょっとわからないんですけれど」 )
ご質問の主旨をもう一度お願いしてよろしいですか。

【山中】

再稼働した場合としなかった場合のメリットとデメリット、過酷事故が起きた場合の被害想定などについて試算をして、県民に情報提供をするべきじゃないかと質問したのですが。

【大井川知事】

お答えいたします。
まず、原子力発電所が再稼働した場合のメリットと、しなかった場合のデメリットについてです。
原子力について、国はエネルギー基本計画において、「運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提に、長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源である」と位置付けています。

また、他の原発立地地域においては、再稼働について、地域経済の活性化や雇用確保などの面から議論されることが多いものと認識しております。
このような点が、メリットやデメリットの観点として挙げられるものと考えております。

次に、事故が起きた場合の被害額については、どのような条件の下で試算するかによって、大きく異なってくるため、国においても、「試算するためのルールがない」と聞いており、県が試算することは困難と考えております。

【山中】

県として県民に示す情報提供の材料としても、再稼働した場合しなかった場合のメリットデメリット、過酷事故がおきた場合の被害想定をすべきだと申し上げたわけですけども、県としては「しない」という答弁があったと思います。

県が避難計画を作ろうと言うのであれば、地域産業や雇用、県民の命や暮らしにどんな影響があるのかも当然考えるべきであり、やればできるはずです。

私どもは再三、国に試算を求めてきましたが、原子力規制庁は「自分たちがやることではない」と言い、内閣府原子力防災は「世界最高水準の規制基準で安全対策を講じるので、試算を行う考えはない」と、命や暮らしへの責任をまったく考えてないと無責任な態度をとっています。

そもそも原発は、非居住地域・低密度人口地帯が立地条件というのが国の指針でした。東海第二の設置当時、東海村の人口は1万9千人。それが今は2倍になり、30km圏内94万人の避難計画が必要とされる状況に大きく様変わりしました。いまや全国一人口密集地にある東海第二は、再稼働すべき原発ではないと改めて強調したいと思います。

では、試運転についてはどうですか。梶山経済産業大臣は11月の衆院経産委員会で、「核燃料を装着するには、しっかりとした避難計画がなければならない」と答えました。10年近く止めた原子炉の再起動時が、リスクが一番高いと指摘する専門家もいます。そうであるなら、再稼働前の試運転であっても避難計画がない段階ではあり得ないという考えでよろしいですか。これは確認です。

【大井川知事】

お答えいたします。
東海第二原発も含めて、試運転については、まずその前提として再稼働するかしないかの判断があったうえでのことでございますので、その判断の前に試運転をすることはないと考えておりますので、試運転について議論する必要はないと考えております。

【山中】

避難計画がない段階ではありえないということで、それを確認したいのですがいいですか。

【大井川知事】

お答えいたします。
もちろん避難計画がない段階で再稼働を決定することはありえませんので、当然試運転について議論することはないというふうに認識しております。

【山中】

本来なら、原発の運転期間は40年がルールです。それを、事業者の要求に応じて40年ルールを骨抜きにしたのです。解釈を変えてルールを反故にする。こんな国の原子力政策では、国民の信頼は到底得られません。以上で終わります。

以上

2020年12月茨城県議会 予算特別委員会 山中たい子議員の質問と答弁(大要、PDF)

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