2020年7月茨城県議会臨時会 山中たい子議員の質問と答弁(大要)

山中たい子議員の質問と答弁(大要)

2020年7月28日(火) 茨城県議会 7月臨時会 会派代表質疑

【質問事項】

  1. 医療機関への財政支援
  2. 地方創生臨時交付金の活用
質問を行う山中たい子議員

質問を行う山中たい子議員(左上)=7月28日、茨城県議会

項目

1. 医療機関への財政支援

日本共産党の山中たい子です。

今回の補正予算459億円余は、その大半が政府の第2次補正を受けたものです。とくに医療従事者等への慰労金支給はあまりに遅く、1回限りの予算化です。

東京都をはじめ全国で感染が再拡大しているなか、本県は決して油断できる状況ではありません。感染者数は全国13番目、本日(7月28日)、水戸市で新たに5人の感染者が出たと発表されました。

厚労省は15日通知で、これまでの行政検査の方針を改め、特定の地域や介護施設などの集団、会社や事業所など組織に属する人、全員を検査対象にすることを可能にしました。

私も23日、知事が出演したテレビ番組を拝見しました。
知事は東京都に向かって、「今はGOTOトラベルではなく、GOTO PCRだ」と批判しました。その通りです。
検査体制の拡大強化、医療提供体制の整備は一刻を争う課題です。

しかし、東京の不作為を指摘するのであれば、本県の検査体制は万全なのか、全国に誇れる対応なのかが問われます。

県は22日、感染ピーク時を想定して最大500床の病床確保を決めましたが、この実現も並大抵ではありません。
医療機関は深刻な経営危機に直面しています。事実、医療機関としては初のコロナ倒産も発生しました。

コロナ患者受け入れ病院は、空床補償が1床5万2千円に拡充されたものの、一般診療の縮小、手術延期で減収となる一方、医師・看護師の特別配置、病棟・病室改修などで支出は増大しています。そのことは知事も十分承知しているはずです。
県立中央病院も昨年同月比で4月は2億1千万円、5月は3億1千万円の減収です。

関係団体は、このままでは資金不足や倒産が起こるとして、国に抜本的な財政投入を要望し、緊急的には過去の診療実績に基づいて減収を補填する「診療報酬の概算払い」を求めています。

政府は空床補助や診療報酬増額を決めながら、減収補填には背を向けています。

いま地域の郡市医師会は市町村と連携し、地域外来・検査センター15カ所の設置をめざし、6カ所が動き出しました。開業医が輪番制で担っています。

この医師や医療機関の献身的な活動を、なぜ積極的に支えることができないのでしょうか。
医療機関への財政支援、減収補填について、改めて知事の所見を伺います。

【知事】

山中たい子議員のご質問にお答えいたします。

初めに、医療機関への財政支援についてお尋ねをいただきました。
県ではこれまでも、国に先駆けて独自に創設した「茨城県新型コロナウイルス感染症対策医療従事者応援金」により最前線で奮闘している医療従事者への支援を行うとともに、不足する医療機器・感染防護資機材の供給などを行ってきたところですが、さらに、今回提出した補正予算案において、国の第2次補正予算に連動した形で、速やかに医療機関に対する支援を行うことといたしました。

具体的には、病院のみならず診療所や薬局、訪問看護ステーション等における感染拡大防止対策や、救急・周産期・小児医療機関への診療体制の確保にかかる費用を補助いたします。

また、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れ医療機関による病床確保に対する補助も大幅に拡充してまいります。
県といたしましては、まずはこのような国のスキームを最大限活用し、医療機関を支援してまいります。

今回の経営悪化は、主に患者数の減少によるところが大きく、感染症指定医療機関からクリニックに至るまで、全国の医療機関に共通する課題となっております。このため、支援策については、国が主体となって積極的に打ち出すべきものと認識しており、県医師会等からも、医療機関への財政支援などについて、国に働きかけるよう要望をいただいているところであります。

これを受け、今月16日に本県から国に対して、経営状況の厳しい医療機関への支援の追加等に関する緊急要望書を提出したほか、19日には全国知事会から政府に対して、医療機関の経営悪化への対処等を求める緊急提言を行ったところであります。

県といたしましては、今後も県内医療機関の経営状況などを注視しながら、全国知事会とも連携し、国に対して支援策の拡充を強く要望してまいります。

2. 地方創生臨時交付金の活用

【山中】

次に、地方創生臨時交付金の活用について、知事に伺います。

地方創生臨時交付金は、自治体の新型コロナ対策を支援するため、全国知事会が飛躍的な増額を提言し、2次補正で2兆円増額されました。内閣府は、コロナ対応の取り組みである限り、自治体が必要と判断した対策であれば、「原則として使途に制限は設けない」としています。

本県は264億円の交付限度額が示され、休業要請をした事業者への協力金や県独自の融資制度など、125億円余を予算化しました。残る138億円余について、感染拡大で打撃を受ける事業者や住民への支援拡大など適切に予算化することを求め、3点提案いたします。

第1は、国の慰労金支給対象外の保育士等について、県独自の慰労金制度を創設することです。
保育や学童保育は「3密」を避けることが困難です。感染対策をすすめながら、子どもたちの心身のケアと成長を支え、自分自身が感染源にならないよう細心の注意を払っています。

緊急事態宣言中も保育所を開け、社会生活と経済活動の基盤を支える役割を果たしてきたにもかかわらず、保育士等の賃金や処遇が低いことが問題なのです。保育士等の役割を正当に評価し、山形県のように県独自の慰労金を支給してはいかがでしょうか。

第2は、学校において教員、その他の人員を確保することです。

感染が再拡大し、教員や子ども達の感染事例が出ています。
もともとの長時間労働に加え、消毒などの負担や常時マスク着用が重なり、教員の長期にわたる緊張状態は保育現場と同じです。

国の2次補正による教員加配は、「地域の感染状況に応じて、学級を2つに分けるなど分散登校等を行う場合」とされ、本県は6月から通常登校にしたため対象外となりました。しかし、守谷市のように専科教員など独自配置の例もあります。

また、教員が授業に専念できるよう、学習指導員やスクール・サポート・スタッフ、スクールカウンセラーをさらに増員すべきです。

第3は、苦境に立つ事業者へのさらなる支援策です。

緊急事態宣言下の休業要請に応じた協力金を45億円予算化しましたが、支給は20億円でした。見込み違いが問われますが、残る25億円を事業者支援に振り向けることが必要です。
休業要請に応じた協力金を増額すること、また日常生活に必要であるとして休業要請の対象外となった理美容店や鍼灸・マッサージ等の事業者や個人への支援制度を創設すべきと考えます。

以上、併せて知事の所見を伺います。

【知事】

次に、地方創生臨時交付金の活用についてお答えいたします。

まず、保育士等に対する慰労金についてでございます。
地方創生臨時交付金は、新型コロナウイルスの感染拡大防止や、地域経済及び住民生活の支援の為、地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施できるよう創設されたものであります。

本県においては、これまで補正予算に計上した休業要請協力金や、医療用資材購入などに充当したほか、経済活動の回復に向けた本県独自の対策などに、有効に活用できるよう検討しているところです。

今般の医療・福祉従事者等に対する慰労金は、国の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金を活用することにより、感染防止対策を講じながら医療機関や介護・障害福祉施設等において患者や利用者と接する業務に従事している職員に給付するものであり、保育所や放課後児童クラブの保育士等は対象としておりません。

地方創生臨時交付金を活用して保育士等を本県独自に慰労金の対象とすべきとのご意見を頂いたところですが、今般の慰労金は、感染した場合に重症化するリスクが高い患者等との接触を伴うことや施設における集団感染の発生状況を勘案し、国から対象施設が示されたところであります。

県といたしましては、対象施設に保育所等を含めるよう、全国知事会を通して国に要望しているところでありますので、今後とも引き続き要望活動を続けたいと考えております。

次に、学校教育における新たな人員の配置についてでございます。

現在、学校では机の間隔を開けたり、対面での話し合いを極力避けたりするなど、県が示した学校再開ガイドラインを参考に、感染拡大の防止を徹底しながら通常授業をおこなっており、今後も引き続き、こうした対策をとりながら児童生徒の学習をしっかり保障していく必要があると考えております。

このため、教員にとりましては、授業や生徒指導などの通常の業務に加え、消毒作業など、新たな生活様式に対応するための業務が増加しているところであり、教員の業務負担を軽減することも課題となっております。

県では、これまでも、35人を超える学級に非常勤講師を配置するなどして、少人数教育を実施しておりますが、今般、児童生徒の学びの保障の為、臨時休業中にできなかった授業を、夏休み期間を短縮して実施することから、これまで勤務の対象となっていなかった期間も、非常勤講師が指導できるよう、必要な予算措置を行ったところでございます。

また、児童生徒一人ひとりへのきめ細かな指導を行うとともに、教員の業務負担の軽減を図るため、新たに、すべての市町村立小・中学校に、非常勤講師を増員することとし、この7月から、順次配置を進めております。

さらに、コロナ禍において不安やストレスを抱える児童生徒の心のケアも大切でありますことから、学級担任や養護教諭等による健康相談などに加え、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった、外部の専門家による支援についても、学校からの要望に応じて、相談日数を増やすなど、より柔軟な対応を進めております。

県といたしましては、今後の感染拡大時の学習保障への備えをはじめ、保護者への連絡業務、児童生徒の健康管理、消毒作業など、教員の業務負担の状況を勘案しながら、スピード感を持って、臨機応変に必要な対策を講じてまいります。

次に、休業要請協力金対象事業者への追加給付金及び対象外事業者への支援についてお答えいたします。
本県の財政状況は、一時期の危機的な状況は脱したものの、社会保障関係経費の増大が見込まれるなど、予断を許さない状況が続いております。

こうした中で感染症への対応を継続していくためには、本県産業の現状をしっかりと踏まえるとともに、昨今頻発する自然災害への対応や、今後税収が落ち込む可能性等を総合的に勘案しながら、施策を講じていくことが不可欠であります。

お尋ねの休業要請協力金につきましては、国の緊急事態宣言のもとで、感染拡大防止のために県が休業要請を行った事業者を対象とした協力金であり、補償的な観点から支給しているものではないことから、上乗せ等の追加支給は考えておりません。

これまで、県では、資金繰り確保が極めて重要との認識のもと、4月の臨時会において、融資枠5,600億円の無利子・無担保の融資制度と、最大200万円の県による直接の貸付制度を創設し、今月中旬までに2,800億円を超える資金需要に対応しており、今後とも中小企業の資金繰りをしっかりと支援してまいります。

さらに、今回の臨時会において、県の財源が限られている中にあっても、地域経済の回復に向けた施策が効果的に講じられるよう、市町村が地域の実情に応じて実施する支援策に対して、県がその費用の2分の1を助成する予算案を提出しております。

一部の市町村では既に、プレミアム商品券の発行や、家賃の助成等に取り組む動きが出てきておりますことから、県といたしましても、広く市町村における制度設計が円滑に進むよう、積極的な情報提供等に努め、関係者が一体となって、地域経済を強力に下支えしてまいります。

また、国におきましては、家賃支援給付金の支給開始や、持続化給付金の支給対象の範囲拡大など、新たな支援措置が講じられておりますことから、県といたしましても、情報発信や申請手続きの支援等にしっかりと取り組み、広く県内における施策の有効活用を促進してまいります。

県といたしましては、引き続き、詳細な経営実態の把握と、感染防止策の浸透に努め、必要な施策は果断に実行することにより、本県経済の着実な回復を図ってまいります。

以上


2020年7月茨城県議会臨時会 山中たい子議員の質問と答弁(大要、PDF)

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