県民投票条例案 採決前の総括意見(2020年6月18日・県議会連合審査会)

県民投票条例案 採決前の総括意見

2020.6.18
(会派ごと約6分)

県民投票条例案を採決した防災環境産業委員会で、賛成に挙手する江尻議員と無所属の中村はやと議員

県民投票条例案を採決した防災環境産業委員会で、賛成に挙手する江尻議員と無所属の中村はやと議員=6月18日、茨城県議会

日本共産党の江尻加那です。
日本共産党として意見を述べさせていただきます。

県民投票条例案が採決に至れば賛成する立場ではありますが、今議会では「継続審査」とすることを提案させていただきたいと思います。

その理由は、議論を尽くすのが議会の務めであるということを、今日一日の審査会でも改めて実感しました。県民の声を聴く方法について「慎重に検討する必要がある」と言いました知事とともに、今後も検討を続けていけるよう「継続審査」とすることを提案致します。

東海第二原発の再稼働の賛否を問う県民投票について、当初、様々な意見が私共にも寄せられました。例えば「県民投票をしなくても、多数の声は再稼働反対であり、知事と議会は再稼働を認めないと早く決断してほしい」というものや、「市民団体が、5万筆もの必要署名数をわずか2ヶ月で集めきれるのか」といったものもありました。

私たちは何度も議論を重ね、県民投票の会の皆さんとも意見交換し、地域での県民投票カフェにも参加したり、実際に県民の中に入ってみれば、「県民の声を聞いてほしい」「県民投票を実施してほしい」と求める声が多く、それが9万筆近い署名となって積み上げられたのだと思います。

それは、議員や首長に対する不信感というよりも、「茨城県に住む全ての人の命や生活に関わる重大な問題について、より多くの県民が向き合い、考え、自分も決定に参加したい」という主体者、当事者としての思いと受け止めました。

また、中高生の子どもたちからも「今回の決断で、わたしたちの未来を切り拓くことができるよう、県民投票の推進を願っています」と直筆の手紙もわたくしに届きました。

「判断が大きく分かれる難しいテーマを、議会での本格的な議論が行われていない現段階で、住民の賛否を委ねることは無責任ではないか」という主張もありましたが、私は思うことがありました。安全性の検証や避難計画の策定が進んでいないことを理由にして、それはそのまま県議会での論議がこれまで積極的に行われてこなかったことこそ問われるのであり、原発の再稼働について議員や首長がいまだ賛否を明確にしていないことが問われているのだと思います。

県民は福島第一原発事故を間近で経験しました。県民は専門家や政治家とは違った視点を持って自ら正しい判断を行うと、私は県民を信頼しております。だからこそ、県民投票実施に日本共産党は賛成することと致しました。

請求代表者の徳田太郎さんは、開会日の意見陳述で「地方自治の実践は民主主義の学校」と述べました。私も同じ思いです。さらに徳田さんは、党派に偏ることなく、徹底した議論により知恵を集め、それを力としてほしいと議会に期待を託されました。問われるのは、議員一人一人の判断と意見表明を尊重できるかという県議会そのものの民主主義だと私は思います。

そして、茨城県でやったことのない全県対象の県民投票を初めて実施する、実施できるとなれば、いつ実施するのがいいのか、実施するには何が必要か。知事はどんな情報を判断材料として出せばいいのか。また、県内44市町村での懇談会等も必要ではないか。さきほど東海村では、住民が原発について「自分のこと」として話し合おうという企画も出ております。

また水戸市では万単位の市民アンケートをやろうと言っています。さらに県が毎年行っている県政世論調査で、原発の項目に入れるのもいいと思います。エネルギーや新規制基準について勉強会や意見交換も広く必要です。県議会では、東海村や那珂市議会のように原子力問題の特別委員会を県議会に設けて日頃から議論し、事業所である日本原電から説明聴取を受けることも必要だと思います。

こうして、あらゆる県民参加のプロセスの先に県民投票が実施できるよう、最善を尽くす決意を述べて日本共産党としての意見と致します。

以上

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