2020年4月茨城県議会臨時会 江尻加那議員の討論(要旨)
日本共産党の江尻加那です。第87号議案・一般会計補正予算および報告第2号専決処分について討論いたします。
はじめに、新型コロナ対策をすすめる963億3300万円の補正予算に賛成し、その速やかな実施のために、早急に休業協力金や中小企業貸付などの実施要綱を策定して申請受付を開始し、決定、執行するよう求めます。
あわせて、休業協力金の増額や継続的な支給、及び対象施設・業種の拡大などが必要です。
その上で、共産党の考え、提起を述べさせていただきます。
県に問われるのは、「融資による借金」ではなく、「助成による補償」を思い切ってすすめることです。とくに、家賃や固定費への補助が切実です。
雇用調整助成金への上乗せについても、国より厳しい要件をわざわざ課す県の制度設計は改めるべきです。
そして、重要課題は、感染爆発と医療崩壊を止める緊急の医療整備です。
補正予算で、医療体制整備費は20億6600万円・全体の2%であり、「発熱外来・PCRセンター」の設置予算はゼロです。
安倍首相は「センターをつくって、かかりつけ医が必要だと判断したら直接センターに行き、検査できるようにする。1日2万件の検査をめざす」と言い、センター設置に国と地方が2分の1ずつ出すとしました。ところが、いまだに予算がなく、検査は1日8千件にとどまっています。
発熱や咳が続いても検査を受けられない。保健所が検査を決めても、検査は数日後。それは、保健所を通すルートに限っているからです。これでは、いくら保健所が頑張っても必要な検査が進みません。
どうしても新たな検査体制をつくる必要があります。検査を絞るやり方ではなく、大量検査に切り替える段階にきています。
PCR検査センターにどれだけ経費がかかるでしょうか。埼玉県は当面10月までのセンター設置に4億円を予算化。新宿区では、1カ所月5千万円の委託費とし、東京都医師会は、都内47カ所にセンターを増やそうとしています。本県でも、9つの医療圏ごとにセンターをつくるには、9ヵ所で4億5千万円。
国も、あの「アベノマスク」経費466億円で、全国にPCRセンターを増やせるのです。
感染患者の受入れ病院も必要です。受診抑制によってただでさえ病院経営が苦しいところに、感染患者を受け入れるとさらに厳しくなる。ベッドを空け、コロナ対応の医師や看護師をつけておく。病室や病棟も分けなければならない。一般診療を縮小し、手術の延期も迫られる。病院は深刻な収入減に陥っています。
杉並区では4つの基幹病院に対して、1病院当たり月1億円から3億円の減収を補てんします。本県でも、病院への思い切った財政支援を行わなければ受け入れもできず、ベッドも空きません。追加策を求めます。
そして、学校が休校となった子どもたちへの支援です。今回の補正予算で教育支援は5億円ですが、現場の教員が工夫をかさねて作っているスライドや動画授業を見られるように必要な児童生徒すべてにタブレットを支給し、家庭のネット環境の整備を支援すること。
あわせて、「学校」という場で保障される人間と人間との豊な教育の営みを、どうすれば補えるのか。教育の専門性と独立性を発揮することが重要です。
以上、各分野での緊急対策の拡充を求めます。
次に、専決処分のうち、電気供給事業者の法人事業税の見直しに反対です。収入に課税する現行制度から、所得への課税に移行して企業の税負担を減らそうという経済団体からの要求です。これに対し全国知事会は、総括原価方式が維持されている電気事業の現行課税制度を堅持すべきと提言しました。今回は双方を折衷した形となりましたが、今後、所得への課税に全面移行される懸念があり同意できません。
以上で討論を終わります。
以上