2019年12月茨城県議会 江尻加那議員の最終日討論(要旨)

日本共産党の江尻加那です。採決にあたり、反対討論を行います。

第142号議案 職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例については、7つの条例をまとめた一括議案のなかで賛成するものもありますが、人事院勧告に基づく若年層職員の月例給改定では、平均381円の引上げであり、消費税増税を考えれば実質的な賃金は下がる一方です。また、人事院勧告の対象は一般職のみであるのに、知事はじめ特別職まで期末手当を約4万~9万円引上げることに同意できません。

第155号議案 茨城県県営住宅条例の一部を改正する条例は、県外居住者でも入居を申し込めるという改正の一方、入居者に連帯保証人の義務付けを存続させようとするものです。東京都や神奈川県、福岡県などが廃止を決めています。保証人に関する民法が改正され、国土交通省も一人暮らし高齢者や低所得者が保証人を見つけられず、入居できないケースが増えていることを認め、昨年3月、保証人要件を外すよう通達を出しました。

廃止を決めた県では、保証人がいるからといって家賃の徴収率が大きく上がるわけではないことや、入居が少なく空き室が増えていることなどから、緊急連絡人の登録で入居を認めています。本県でも保証人は廃止すべきであり、この議案に同意できません。

第163号ないし167号議案はすべて、茨城港常陸那珂港区中央ふ頭における石炭灰処分場の工事請負契約です。現在進行中の中央ふ頭は、隣接する北ふ頭の東京電力・中部電力の石炭火力発電所で燃やした石炭灰を海に埋め立てて建設しています。日本共産党県議団は、石炭火発の新増設に知事が同意する際、温室効果ガス削減に逆行するものだと反対しました。
世界の流れが「脱炭素」に向かう中、石炭灰埋め立てによる大企業の専用港湾と化している常陸那珂港区の事業は見直すべきであり反対です。

次に、認定第1号・第2号は、平成30年度公営企業会計、一般会計、特別会計決算の認定です。

30年度は国民健康保険制度が都道府県化され、市町村が独自に行ってきた税負担軽減のための法定外繰り入れをやめるよう迫りました。一方、県独自の国保税引下げは1円も計上されていません。

公営企業会計は黒字が続いており、市町村からの要望にそって広域水道料金を引き下げるべきであり、霞ケ浦導水事業など水源開発は中止・見直しを求めます。

一般会計では、企業誘致に補助金50億円、ホテル誘致に10億円の基金までつくって儲かる茨城とイメージアップをめざす一方で、保健所やあすなろの郷の縮小が検討され、県民要望である精神障害者医療費助成の手帳2級までの拡大や学校給食への補助等は実現されていません。県有地の大幅値下げなど企業には大盤振る舞いで、県民生活予算は縮減という決算に反対いたします。

最後に、この後議題となる議第19号 茨城県いじめの根絶を目指す条例についてです。深刻ないじめに多くの県民が心を痛め、その解決が望まれるとき、県条例制定にあたっては各会派との議論や、常任委員会での徹底した審議が必要と考えます。

条文で、「いじめを行ってはならない」と禁止することが解決につながるでしょうか。子どもは、人間関係や自己表現が熟しておらず、衝突を起こすことは避けられません。だからそこ、学校には子どもに目を向けるゆとりや、寄りそう教員の集団力が求められます。教員を増やし、質を高め、少人数学級を拡大していくことがどうしても必要です。何より、「どんないじめがあったのか」、「なぜ我が子が死ななければならなかったのか」という思いに向き合わない、学校や教育委員会の事実の隠ぺいこそなくさなければなりません。

条例において、子どもにいじめの禁止を義務付け、出席停止などの厳罰で取り締まり、道徳教育や家庭への規範意識を課すことについて同意することはできません。当事者や遺族の「知る権利」を保障する文書の取得や記録の作成及び保管と、情報開示についての義務を明確にすべきです。

以上で討論を終わります。

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