2019年3月茨城県議会 山中たい子議員の一般質問と答弁(大要)

山中たい子議員の一般質問と答弁(2019年3月7日、大要)

一般質問を行う山中議員=2019年3月7日、茨城県議会

【質問事項】

1. 知事の政治姿勢と予算編成について
(1)消費税増税と県民生活への影響
(2)東海第二原発の再稼働
(3)農業の振興
(4)中高一貫校設置
(5)福祉医療行政
・国民健康保険税の引き下げ
・なめがた地域医療センターの医療体制
・医療的ケア児等への支援
(6)県営住宅条例の見直し
2. 教育行政について
(1)教員の多忙化解消と定数改善
(2)TX沿線・学園地区の教育環境整備

項目

1. 知事の政治姿勢と予算編成について

(1)消費税増税と県民生活への影響

日本共産党の山中たい子です。
いま県政運営に問われていることは、政府が消費税増税や原発再稼働を強引にすすめ、負担と不安を押し付けるもとで、県民生活をどう守るかということです。

提案説明の中で、知事は、鹿島開発以降のビッグプロジェクトを列挙し、「先見の明」と讃えました。
しかし、この巨大開発がゼネコン汚職を生み、竹内知事逮捕につながりました。その後の長期橋本県政のもとでも、陸海空の大型開発が最優先され、5千億円だった借金は2兆円にまでふくれあがりました。

大規模につくり、大規模に売れ残った保有土地は、すべて県民にツケが回され、2,300億円の税金が投入されたのです。企業立地のために減税・免除と大型補助金を注ぎ込んできましたが、安定雇用の創出や人口減少の歯止めにはつながりませんでした。

この失政への「批判と反省」もなく、「礼賛」したのでは、県民をさらに苦しめることになるでしょう。
そのことが、予算編成にも現れているのではないでしょうか。

常陸那珂港の港湾建設に213億円、企業やホテル誘致に60億円、売れ残り土地の破たん処理に87億円。そして霞ヶ浦導水事業や八ッ場ダムの負担金は35億円が計上されています。その一方で、保健所の統廃合をすすめ、あすなろの郷の建て替えは先送り、18歳までのマル福外来も実現されていません。そのうえ、消費税の増税です。

日本共産党は、賃上げと年金保障で個人消費を底上げし、巨額の利益を上げている大手企業と富裕層に応分の負担を求める経済対策を提起しています。
知事は、消費税増税による県民生活や地域経済への影響をどのように考えるのか、所見を伺います。

【知事答弁】

山中たい子議員のご質問にお答えいたします。
初めに、知事の政治姿勢と予算編成についてお尋ねをいただきました。

まず、消費税増税と県民生活への影響についてでございます。
少子高齢化が急速に進行する中で、本県の社会保障施策に要する経費は、増加の一途をたどっており、10年前の平成21年度には967億円であったものが、平成31年度当初予算では、1,524億円まで増大しております。

消費税及び地方消費税の税率引上げによる増収額は、全額を社会保障施策の財源に充てることとされており、本年10月1日から、税率が10%に引き上げられますと、地方消費税については、税率が1.7%から2.2%となり、平年度ベースで、140億円程度の増収を見込んでいるところでございます。

こうしたことから、これまでも、全国知事会等と連携して、税率の引上げを確実に行うよう要望してきたところであり、税率の引上げによる増収額については、本県にとりましても、貴重な財源であると認識しております。

本県におきましては、これまで、平成26年4月の8%への引上げに係る増収額について、国民健康保険や後期高齢者医療、介護保険、子ども・子育て支援、障害者の自立支援等、県民生活に欠くことのできない施策の財源として活用してまいりました。

本年10月の税率引上げによる増収額についても、幼児教育・保育の無償化や、介護人材の処遇改善などの社会保障施策の財源として活用してまいります。

地域経済への影響につきましては、国において、税率引上げによる経済への影響を平準化するための臨時・特別の措置として、中小小売業等に関する消費者へのポイント還元や、低所得者・子育て世帯向けのプレミアム付き商品券、住宅の購入者等に対する、すまい給付金、防災・減災、国土強靭化のための緊急対策など、様々な対応を予定しております。

県といたしましても、国の防災・減災、国土強靭化のための緊急対策を受け、県民の安心安全のために必要となる防災・減災対策等を中心に公共事業費を増額するなど、国と歩調を合わせて、消費税率引上げに伴う県民生活や地域経済への影響を軽減させるとともに、県民の社会保障の充実や安心安全の確保に努めてまいります。

(2)東海第2原発の再稼働

次に、東海第2原発の再稼働について伺います。

この間、原発をめぐる事態は急変しました。
日本原子力発電は先月22日、「再稼働をめざす」との意向を初めて正式に表明しました。1,740億円と見積もっていた安全対策の工事費は、3,000億円に膨らむことも明らかになりました。

県は、20年ぶりに地震被害想定を大幅に見直し、政府の地震調査委員会も本県沖の日本海溝を震源とする大地震が80%の高い確率で発生すると警告しました。

いまや原発は、「安全神話」だけでなく、「経済神話」も崩壊しました。安倍政権が成長戦略に掲げた原発輸出は、イギリスをはじめ7ヵ国のすべてでとん挫し、安全対策に費用がかさむ原発は、ビジネスとしても成り立たなくなっています。

さらに、廃炉と核廃棄物の最終処分には、途方もない時間と費用が必要です。
再稼働を前提とした対策にムダな支出をさせるより、原電と国には、廃炉作業を一刻も早く進めていけるよう、専門的技術者や廃炉事業費の確保こそ求めるべきです。

そこで、知事に伺います。
まず、日本原電の再稼働意向表明に際し、知事は村松社長に対して「若干不快感を感じざるを得ない」と発言されました。しかし、これだけ県や市町村がないがしろにされながら、「若干」などと言っている場合でしょうか。

また、県は本年1月から2月にかけて、新規制基準適合性審査の結果に係る説明会を6回にわたって開催しましたが、規制委員会は「基準を満たしても安全性が確保できるわけではない」と無責任な回答を繰り返しました。質問時間も打ち切られ、とても県民の意見を聞いたとは言えません。知事は今回の説明会の結果をどのように受け止めているのか、伺います。

再稼働について、知事は繰り返し、「県民の意見を聞いて判断する」と言いますが、裏を返せば、いまだに聞いていないということを露呈したものです。この期に及んでも、態度表明しない知事のチャレンジとは、いったい何なのでしょうか。

日本原電が、再稼働に向けた防潮堤やフィルタベント工事の本格着工中止と再稼働を断念するよう求めるべきです。知事の決断を伺います。

【知事答弁】

次に、東海第二原発の再稼働についてお答えいたします。
初めに、再稼働表明に対する所感についてでございます。

先月22日、日本原子力発電株式会社の村松社長から再稼働を目指すとの表明があったことに対し、私は、「若干不快感を感じざるを得ない」と申し上げましたが、その真意についてお尋ねをいただきました。

東海第二発電所の再稼働は、安全の確保が何よりも重要でありますことから、私は、国の安全審査に合格するだけでなく、県が独自に行っている原子力安全対策委員会の審議において安全性が検証されることが、日本原電として再稼働を目指す上で最低限必要なことではないかと考えております。

県の原子力安全対策委員会の審議におきましては、これまで委員から数々の意見が出されているところでありますが、これらの意見に対する日本原電の対応方針については、その多くが今後示される予定となっております。
また、今回の住民説明会で出された意見や現在募集している県民意見を踏まえた安全性の検証は、今後しっかりと審議していく必要がございます。

このように県の委員会の審議が十分に尽くされていない今の段階で再稼働を目指すとの表明があったことに対し、委員会の議論を軽視することなく、しっかりと対応していただきたいという趣旨で申し上げたところでございます。

次に、住民説明会の結果への受け止めについてでございます。
今回の住民説明会は、東海第二発電所の安全性に関する県民の関心が高まっていることを踏まえ、国の新規制基準適合性審査及び運転期間延長認可に関する審査の内容について、県民の皆様が直接説明を聞き、質問したり意見を述べる機会とするため開催したものでございます。

説明会には、延べ753名の皆様にご参加をいただき、原子力規制庁による説明に対し、多くの質問や意見が出され、東海第二発電所の安全性に対する関心の高さを改めて実感したところでございます。

県といたしましては、住民説明会で出されました意見や、参加した皆様からいただいたアンケートの内容、また、現在県民の皆様から募集している安全対策に関する意見を、県原子力安全対策委員会における審議に適切に反映し、県民目線に立った東海第二発電所の安全対策にしっかりと取り組んでまいります。

次に、県民意見の聴取についてでございます。

東海第二発電所の再稼働につきましては、県民の生活に密接に関わる問題でありますことから、県民の安心・安全の観点から、慎重に判断していくことが大変重要であると認識しております。

そのため、まずは、東海第二発電所の安全性について、県独自の立場から検証を進めるとともに、万一に備えた実効性ある原子力防災体制を構築し、これらの検討結果を県民の皆様に十分にご理解いただけるよう、広く情報提供してまいります。

そのうえで、県民の皆様から再稼動問題に対するご意見を頂き、慎重に判断してまいりたいと考えておりますが、その方法につきましては、まずは安全性の検証や実効性ある原子力防災体制の構築を行った上で、しかるべき時期に打ち出せるよう、慎重に検討しているところでございます。

次に、再稼働に対する所見についてでございます。

東海第二発電所の安全対策工事は、福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえて策定された国の新規制基準に適合させるためのものであり、安全性の向上に資すると考えられることから、その実施について、県としてあえて反対する理由はないものと考えております。

そのうえで、原子力安全協定に基づく県の事前了解がない段階では、「当該設備を使用しての原子炉の運転は認められない」旨を日本原電に通知し、安全対策工事の進捗が直ちに再稼動につながるものではないことを明確にしております。

先日の村松社長との面会の際にも、「県民の理解が得られるかどうかが再稼働の必須の条件である」旨を直接お伝えしているところであります。

東海第二発電所の再稼働問題につきましては、安全性の検証に加え、万一に備えた実効性のある原子力防災体制の構築を図った上で、県民の声にしっかりと耳を傾け、県民の安心・安全の観点から、慎重に判断してまいります。

(3)農業の振興

こうしたなか、知事が原発再稼働に同意するようなことがあれば、茨城の魅力度も茨城への移住希望者も、もちろん、日本一幸せな県など望むべくもありません。

「移住したい希望地」を調査しているふるさと回帰支援センター(東京)によれば10年前、茨城は上位にランクされていましたが、4年前からランク外になったということです。

この支援センターへの相談件数は、昨年4万1518件にのぼり、10年前にくらべ10倍以上に急増しています。都会を離れ田舎で暮らしたいという要望が大きな流れになってきました。
人口減少に強い危機感を抱く知事が、この流れをなぜ活かそうとしないのでしょうか。

そこで、農業の振興についておたずねします。
農業改良協会の発行する「農業いばらき」では大子町の青年が、「産地や地域が守れなくなることに危機感を感じ、新しく農業に取り組もうとする人への支援に積極的に取り組んでいる」と語っています。
また、同じくつくばみらい市の若い就農者は、「まずは地元の農業を盛り上げることが重要、そのためには、新規就農者の育成が必要」と述べています。

こうした若者の努力にどう応えるか、知事の振興策が問われています。
国連総会は、2018年から10年間を「家族農業の10年」と定め、日本でも98%を占める家族農業の重要性に光をあてました。同時に大規模化による均一化や汚染から環境と生物多様性を保全するうえでの役割を強調しています。

そして昨年は、「農民の権利宣言」を採択しました。土地、水、種子にたいする農民の権利をうたったものです。ところがこの「宣言」に対して、アメリカは反対し、日本政府はこれに追随し棄権しました。

つまり、家族農業を時代遅れと決めつけ、農業を大規模化、工業化、企業化し、農薬と化学肥料、石油を多用する生産がアメリカの農業です。アメリカと日本の農業基盤がまったく違うことを考慮せず、いたずらに大規模化をめざす、これまでの施策を見直し、本県農業を支える小規模の家族農業や、新規参入者に対してどのように支援していくのか、知事の所見を伺います。

【知事答弁】

農業の振興についてでございます。

県総合計画の重点施策に掲げる「儲かる農業」を実現するためには、経営規模の大小や、経験の有無にかかわらず、農業者自身が経営者マインドを持ち、農業所得の向上に意欲的に取り組んでいくことが、何よりも重要と考えております。

そのため、「いばらき農業アカデミー」において、経営管理や生産技術に関する知識習得を支援するとともに、昨年、初めて若手農業者が「儲かる農業」を考える契機として「ヤングファーマーズミーティング」を開催したところであり、更に内容を充実させ、経営者マインドの醸成に努めてまいります。

また、農業者が経営規模の拡大によらず、小規模な経営で所得向上を図るためには、ブランド力強化や6次産業化、さらには差別化販売が期待できる有機農業等により、農産物の付加価値を高めるとともに、それらを品質に見合った価格で販売できるよう、新たな販路を開拓する取組などが必要であります。

そのため、消費者目線に立ち、パッケージやデザインにもこだわったオリジナル商品の開発や、贈答用向けの加工品開発など、農業者自らが創意工夫ある取組をソフト・ハード両面から支援するとともに、大手食品宅配業者と連携したネット販売など、多様な流通経路の開拓に取り組み、意欲ある農業者の所得向上を支援してまいります。

次に、新規参入者に対する支援についてでございます。

チャレンジ精神を持った意欲ある新規参入者には、新たな視点で本県農業を切り拓いていくことが期待される一方、生産技術や経営ノウハウの習得、農業経営に必要な機械や施設の導入のための資金の確保が課題となっております。

そのため、就農前の研修が充実したものとなるよう、研修先にふさわしい技術力、経営力を備えた先進農家・先進農業法人を選定するとともに、国が新規就農者向けに用意している無利子の長期資金を借りるために必要となる事業計画の作成に対して、アドバイスを行っております。

また、就農後においては、農業改良普及センターが地元の農業者等と連携して、技術指導や販路開拓への支援を行っているところです。
県といたしましては、こうした取組により、意欲ある農業者をしっかりと支援し、儲かる農業の実現を目指してまいります。

(4)中高一貫校設置

次に、中高一貫校の設置について伺います。

この2月に、県の「高校教育改革プラン」が発表されました。高校審議会は、当初2年の予定が1年で打ち切られ、一貫校設置に向けた準備期間はわずか1年と限られました。 小学校・中学校にも多大な影響を与える方針であるにもかかわらず、地元の学校や市町村の教育関係者、及び県民・保護者はほとんど議論に参加していません。
結論だけ与えられ、10校でスタートすることになりました。

拙速とも言える政策決定は、知事の意向であるのか、所見を伺います。
県立高校10校で中高一貫教育が実施されたとしても、それ以外の大多数の生徒の教育環境はどう底上げされるのでしょうか。

また、中高一貫で高校受験がない一方、中学に入るために「適応検査」という受験を小学6年生に広げることになり、競争の激化や早期化が懸念されます。
児童生徒数のさらなる減少に危機感を持って対応するというなら、県立高校での35人学級を全国に先駆けて実施し、個々人に応じた指導の充実に努めるべきです。

2017年第2回定例会で私どもの質問に、当時の小野寺教育長は、高等学校への少人数教育の拡充は「大変意義あること」として、「積極的に取り組む」と答えています。
これらの課題に対し、知事はどのように考えるのか伺います。

教育カリキュラムについて、知事のトップダウンは厳に戒めるべきです。
教育は「産業」ではありません。効率化やスピード感よりも、じっくりと生徒に向き合うことが求められており、いたずらに仕組みを変更すれば必ず歪みが生じます。

【知事答弁】

中高一貫校設置についてでございます。

中高一貫教育校については現在4校設置しており、これまでその成果検証を行ってまいりましたが、6年を見通した教育により、学業のみならず、探究活動、部活動などの各方面において、優れた成果を出しているところであります。

そこで、新たに策定した県総合計画には、新しい茨城づくり調査特別委員会からの提言も踏まえ、中高一貫教育校の設置の推進を盛り込んだところであります。

また、教育委員会では、スピード感のある改革が求められている現状を踏まえ、昨年1月から12月まで開催していた茨城県高等学校審議会の答申を受け、県立高等学校改革プランの基本プランを策定し、実施プランI期の第1部において、2020年度から3年間で、中高一貫教育校を新たに10校設置することとしたところであります。

また、受験競争の早期化については、県立中学校・中等教育学校の入学者選抜では、思考力や判断力に加え、課題を発見し解決する力などをみる適性検査及び学習への意欲や6年間一貫の学校生活への適性などをみる面接により選抜いたしますので、学力だけに偏った、知識のみを問う、早期の受験競争は招かないものと考えております。

私立学校との関係については、中高一貫教育校の設置形態、募集学級数の決定の際に、市町村立学校への影響も含め配慮しております。

さらに、私立・公立を含め、オール茨城で本県の人財を育成するとの考え方はどの学校でも同じであることから、学習活動やキャリア教育など様々な形での連携を考え、切磋琢磨してまいりたいと考えております。

そして、実施プランI期の第2部では、学校のビジョンや地域の実情等を踏まえ、普通科においても専門科目などを取り入れた新しいコースの設置や、学科の構成変更などを予定しております。これにより、中高一貫教育校を含め、県全体で、地域の人財を育てる特色ある教育活動を推進してまいります。

なお、高校段階の学級編制につきましては、「公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律」により1学級40人が標準とされており、これに基づいて学級を編制しております。

しかし、多くの高校におきましては、学科や教科などの特性に応じ、個に応じた習熟度別の授業や選択科目の授業が行われ、きめ細やかな指導を行っていたところであり、その充実に努めてまいります。

また、新設する中高一貫教育校の開校に向け、教育委員会と各学校の校長・教員等で構成する開設準備委員会で特色ある取組等を検討してまいります。

併せて、新設校同士のネットワークを生かしながら、社会に役に立つ人財とはどのような人財であるかを学校全体で考え、各校がそれぞれ特色ある中高一貫教育を推進してまいります。

県といたしましては、公立の中高一貫教育校を県内各地域に設置することで、中学校から高校段階における教育の多様化を推進するとともに、全ての高校が特色ある教育を展開することで、時代の変化に対応した活力と魅力ある高校教育を推進してまいります。

(5)福祉医療行政

(ア)国民健康保険税の引き下げ

次に国民健康保険税の引き下げについてです。

国保税が高すぎて払いきれないと悲鳴があがっています。
最大の要因は、加入者の多くが年金暮らしや非正規労働者などで、「所得は低いのに保険料は一番高い」という「国保の構造問題」があるためです。

全国知事会などは、「国庫負担の大幅な引き上げ」と「被用者保険との格差を縮小する抜本的な財政基盤の強化」を訴えています。さらに、国保税を協会けんぽ並みに引き下げるために1兆円程度の公費負担の拡充を求めています。

つくば市の場合、年収400万円の4人世帯が協会けんぽに加入した場合、保険料の本人負担分は年19万8000円。同じ年収・家族構成の世帯が国保税加入だと、保険料は年44万6300円で2.3倍の格差があります。
国保税が高くなるのは、均等割・平等割の保険料算定があるためです。均等割は所得がなくても世帯の人数によって課せられる、まさに人頭税です。平等割は各世帯に定額でかかります。

知事会は、子育て支援にも少子化対策にも逆行する子どもの均等割廃止を求めています。取手市や埼玉県ふじみ野市など各地で独自軽減する動きが広がっています。

知事は国に対し、子どもの均等割廃止を求めること、また、県が子どもの均等割を軽減することについて、合わせてお答えください。

多くの市町村は高い国保税軽減のため、一般会計から独自に繰り入れています。ところが国や県は、市町村に段階的な削減・解消計画の策定を提出するよう通知しました。国の公費負担が不十分な段階で、独自繰り入れの削減・解消を市町村に迫ることは、国保税の引き上げに直結します。知事はその認識がおありでしょうか。

住民福祉の向上をめざす自治体の、独自の政策判断に口を挟むべきではありません。知事の所見を伺います。

【知事答弁】

福祉医療行政についてお答えいたします。

まず、国民健康保険税の引き下げについてでございます。
国民保険におきましては、加入者が全て、等しく保険給付等のサービスを受けられるものでありますことから、そのサービスに応じた加入者の負担も等しいものとする、応益負担の考え方が基本であると思料しております。
このため、国保の保険税は、世帯の加入者数に応じた均等割額や、世帯ごとの平等割額により負担を求めることとされております。

しかしながら一方で、均等割額や平等割額のみで加入者に負担を求めますと、所得の低い方にとって、その所得に比べて過度の負担となる恐れがあることから、所得や資産といった負担能力に応じた所得割額や資産割額による負担も取り入れられているものと考えております。

さらに、所得の低い方に対しては、世帯の所得や加入者数に応じて、均等割額と平等割額の合計額の7割又は5割、2割が軽減される仕組みが設けられており、より負担が軽減される仕組みになっていると認識しております。

子どもの均等割額につきましても、子どもを含む全ての加入者が同じサービスを受けるため、等しく負担を求めているものでありますが、市町村によっては、子どものいる世帯の負担に配慮し、独自に軽減を行っているところもございます。

県といたしましても、子育て支援の観点から、子どもの均等割額の軽減措置の導入につきまして、全国知事会とも連携して、国に対し引き続き要望してまいります。

一方、軽減に必要となる財源を県が負担すべきとのご提案につきましては、そもそも国民健康保険は保険料と法定の公費により運営されるべき制度でありますので、県が負担すべきものではなく、それに必要な財源措置も含めて、国が制度として行うべきものと考えております。

また、市町村における一般会計からの法定外繰入につきましては、国保財政の赤字補填のため、実施している市町村もあるというのが現状でございます。

法定外繰入は、市町村が独自に、国保以外の方の税金を、国保の保険税を軽減するために活用する側面もあることから、公平性の観点から問題があるものと考えられており、そのため、赤字の市町村は、その削減・解消に向けた計画を策定することとされております。

しかしながら、議員ご指摘のとおり、法定外繰入は、一義的には市町村が判断するものでございます。
県といたしましては、本県国保が、保険制度の原則にのっとり、安定した運営が確保されるように努めてまいります。

(イ)なめがた地域医療センターの医療体制

次に、なめがた地域医療センターの医療体制について伺います。
土浦協同病院なめがた地域医療センターは、鹿行地域住民の強い要請に応え、県も財政支援を行い、2000年6月に設立されました。県は、鹿行地域で唯一、重篤な救急患者に対応する「地域救命センター」に指定しました。

ところが、この4月から入院4病棟を1病棟に減らし、夜間救急の受け入れを中止する計画が進められて、18人の医師が半分になると聞いています。医師数が全国最下位クラスの鹿行地域における縮小計画に、住民は大きな衝撃を受けています。

「自宅から土浦協同病院まで2時間もかかる」
「夜間に救急車を要請しても、助かる命が助からないのではないか」
この緊急事態を受けて、地域住民や病院職員などが、わずかの間に1万3000筆を超える縮小やめよの署名を集めています。

2月20日に救急業務を担う管理者・岸田一夫鉾田市長から、救急体制の存続を求める要望書が、翌21日には鈴木周也行方市長から現体制の存続を求める要望書が知事に提出されました。

2017年の私どもの質問に、県は、「厚生連をはじめとした公的医療機関は、過疎地等における一般医療、救急・小児などの不採算部門の医療に重要な役割を担っている」と答えました。

2018年3月改定の第7次県保健医療計画にも、「鹿行地域の病院へ筑波大学などから医師を受け入れる体制を整備する」とあり、今回の事態はこの計画に反するものです。

知事は、県厚生連に対して鹿行地域の医療体制の縮小・廃止を見直すこと、また、筑波大学病院に対して医師派遣の引き上げを撤回するよう、要請すべきですが、所見を伺います。

【知事答弁】

なめがた地域医療センターの医療体制についてお答えいたします。
土浦協同病院なめがた地域医療センターは地域救命センターとして、平成29年には救急搬送約1,600件、救急患者約5,000人を受け入れるなど、鹿行地域において重要な役割を果たしている病院であります。

これまで、県では、当センターの建設にあたり30億円を超える補助金を拠出したほか、自治医科大学卒業医師の派遣や寄附講座の設置、救急告示医療機関運営助成等を行うなど支援してまいりました。

こうした中、先月、厚生連が診療体制の縮小を検討しているとの新聞報道がなされたため、厚生連に事実確認を行ったところ、行方市周辺地域の人口減少や水戸・土浦地域への患者の流出により、平成30年度の赤字は約5億円、累積赤字は60億円を超える見込みとなり、病院経営を縮小せざるを得ない状況にあるとの報告がありました。

このため、県からは、救急や入院医療の診療体制を早期に示し、関係する市や地元医療機関などとよく協議をするよう要請いたしました。

それを受け、先週開催された鹿行医療圏地域医療構想調整会議において、この4月から、外来は従来の体制を維持し、入院機能は40床程度で継続する意向が示され、休日夜間の救急車の受入れについては、土浦協同病院との連携強化のほか、地元医療機関等と協議を進めていくとの説明があったところであります。

今後は、地域医療、特に救急の受け皿の確保に向けて、鹿行医療圏内外の医療機関や地元市などと早急に協議を進める必要があると認識しており、県におきましても、地元関係者間の協議を踏まえ、地域に必要な医療機能が確保されるよう必要な調整を図ってまいります。

なお、筑波大学附属病院からの医師派遣の方向性につきましては、詳細は承知しておりませんが、医療資源の不足が著しい鹿行地域の医療提供体制の確保に対する理解と協力を引き続き得られるよう、働きかけてまいります。

県といたしましては、今後とも県民の安心安全を守るため、地域の医療提供体制の確保に向けて、関係機関と連携しながら取り組んでまいります。

(ウ)医療的ケア児等への支援

次に、医療的なケアを必要とする子ども等の支援拡充を求めて伺います。
当事者の切実な要望を受け、県は医療的ケア児等の受け入れを支援し、医療機関の協力を得て、実態調査を行いました。

こうしたなか、昨年12月、家族会は、家庭や障害福祉事業所、福祉避難所等の発電機購入費用の助成を求める請願をつくば市議会に提出し、全会一致で採択されました。これをうけて市は19年度に予算を計上しました。

医療的ケア児の中には、人工呼吸器や酸素濃縮器、吸引器等の医療機器類を常に必要とする子どもも少なくありません。医療機器のバッテリー駆動時間は2~3時間と短く、災害時など長時間の停電は命の危険につながります。

現に、昨年9月の台風で自宅が10時間も停電した方は酸素ボンベを手配し、人工呼吸器の使用を調整しながら、復旧を待ったとのことです。

県は市町村と連携し、発電機購入費用の助成を実施すべきです。
知事の所見を伺います。

【知事答弁】

医療的ケア児等への支援についてお答えします。
在宅で医療的ケア児等を常時介護しているご家族にとりまして、災害等による停電については、電気を必要とする機器が使用できなくなり、生命の危機に直面するため、その対策を日頃から備えておくことが重要であると認識しております。

このような中、県内の他市町村に先駆けて、つくば市において、災害時の停電対策として、在宅で医療的ケア児等を介護する家庭を対象に、発電機購入費の一部を助成する予算が計上されたところであります。

このつくば市の助成は、既存の「日常生活用具給付等事業」を活用し、発電機を補助の対象品目に追加して対応するものと聞いております。

市が活用する事業の仕組みは、補助した事業費のうち、国が2分の1、県が4分の1、市町村が4分の1を負担し、補助対象の選定は市町村の裁量で可能でありますので、他市町村にも情報提供し、検討するよう助言してまいります。

また、重症心身障害児を主たる対象とする障害福祉事業所への発電機購入の助成については、今年度から、県において、医療的ケア児等が利用する通所事業所等を開設、増設する際の設備、備品等の購入費補助として、発電機も対象としておりますので、今後も活用いただくよう周知してまいります。

次に、福祉避難所に指定されている事業所への発電機整備についてですが、県では、「茨城県避難行動要支援者対策推進のための指針」を定め、災害対策基本法に基づき、福祉避難所を指定する市町村に対し、福祉避難所において必要となる機材として「小型発電機」等を確保しておくよう、働きかけを行っております。

今後とも、市町村の防災担当部局・福祉担当部局を集めた会議等において、指針に基づき、福祉避難所の指定や運営、必要となる機材等についての周知を図ってまいります。

県といたしましては、引き続き、市町村と連携し、災害時も医療的ケアを維持できるよう、日頃からの十分な備えを進め、医療的ケア児及びご家族等が地域で安心して生活できるよう、支援してまいります。

(6)県営住宅条例の見直し

次に県営住宅条例の見直しについてです。

地震、台風、豪雨など大規模災害が相次ぎ、災害に備える公営住宅の確保と整備が求められています。ところが、茨城県はこの10年間で、住宅管理予算を3億8千万円も削減しました。入居者の6割が母子・父子家庭や高齢者、障がい者などの要援護者です。

国交省は昨年3月、民法改正や単身者等の増加を踏まえ、「公営住宅管理標準条例(案)」を改正しました。
第1に、入居手続きにおける保証人規定を削除し、保証人がいなくても入居の申し込みを可能にしました。第2に、家賃の減免と民生部局との十分な連携、第3に、入居者資格や入居条件の見直しなども行われました。いずれも県の条例の改正が必要です。
切実な要望である修繕費用の負担区分について、県条例21条では畳、ふすまの表替えなどを入居者負担としています。

しかし、改定された「賃貸住宅標準契約書」では、これらを家主負担とし、入居者負担はヒューズの取替えや蛇口のパッキンなど、「費用が軽微な修繕」と改善されました。

公営住宅は、国と自治体が協力し、住宅困窮者に低廉な住宅を供給する制度です。その役割に照らして、必要な条例の見直しを求めます。合わせて、知事の所見を伺います。

【知事答弁】

県営住宅条例の見直しについてお答えいたします。

まず、入居時の保証人についてでございます。
保証人は、家賃支払いの確実な履行を促すとともに、増加する単身高齢者の病気の際の緊急連絡先や、入居者が亡くなった場合の財産管理の観点から、必要な制度と認識しており、県営住宅への入居に際し、連帯保証人を立てることを入居の条件としております。

一方で、どうしても保証人の確保が難しい状況もありますことから、本県ではそのような場合には、高齢者や障害者などについては、一定の条件で保証人を免除するなど、きめ細かな対応を、既に行っているところであります。

この保証人制度を含め、県営住宅の詳細な運用については、国からひな形として公表された公営住宅に関する標準条例案を参考に各自治体が条例を定めるなど、各自治体の判断に委ねられております。

昨年度、この標準条例案が改正され、保証人について義務付けが削除されたことを受け、現在、それぞれの自治体において保証人制度についての検討がされているところであります。

このような中、本県においては、家賃支払いの確実な履行などの観点から、連帯保証人を入居の条件としているところでありますが、保証人を立てることが困難な方への対応として、入居希望者の諸事情を踏まえた更なるきめ細やかな対応、民間の保証機関の活用による効果的な制度の導入など、様々な角度から条例改正の必要性を検討してまいります。

次に畳、ふすまの表替え等の小規模な修繕に関する入居者負担についてでございます。

県営住宅を良好な状態に維持するためには定期的な屋上防水や外壁塗装に加え、畳の表替え等の小規模な修繕も必要であり、その費用については、大部分の都道府県と同様、本県におきましても、入居者にご説明したうえで、入居時にいただいた敷金から、退去時にその費用を徴収して対応させていただいているところであります。

このような取扱いに関しましては、県営住宅は、民間賃貸住宅より低廉な家賃とすることが義務付けられており、限られた家賃収入の中で、県営住宅を適切かつ永続的に維持管理していくために必要なものであります。

従いまして、県といたしましては、コスト縮減など必要な改善を図りながら、小規模な修繕の費用をこれまで入居いただいていた方にご負担いただいている現行制度を継続し、この制度について、今後も入居者に対して丁寧に説明し、引き続き、ご理解を得てまいりたいと考えております。

2. 教育行政

(1)教員の多忙化解消と定数改善

次に、教育行政について、教育長に伺います。

教員の多忙化解消と定数の改善についてです。
学校現場の長時間労働は、大きな社会問題です。本県の調査結果でも、1日の勤務時間が小学校で11時間39分、中学校で12時間15分といずれも全国平均を上回り、過労死ラインを超えています。子どもが学ぶ教育条件としても、教員の働き方としても極めて深刻です。

中央教育審議会が打ち出した1年単位の変形労働制導入は、夏休み中等の業務を減らし、その分、学期中の勤務時間を延長するものです。また、文科省策定のガイドラインは、時間外勤務の上限を月45時間、繁忙期等は月100時間まで認めるものです。いずれも多忙化解消に程遠く、批判の声が上がっています。

教員の受け持つ授業数は長い間、1日4コマ、週24コマでした。ところが、1992年の学校週5日制実施にあたって、土曜日の授業時間を平日に付け替え、教員1人あたりの授業負担を増やしてしまいました。

異常な長時間労働は、一番必要な授業準備と子どもと向き合う時間を、教員から奪っているのです。
抜本的な改革のためには、教員1人あたりが受け持つ授業数の上限を「1日4コマ」と国が定め、そのための定数改善を計画的にすすめることが必要です。

本県における正規教員定数の枠内で欠員を補充するために配置された臨時講師は、小中学校・高校・特別支援学校の合計が1,723人で、5年前と同規模です。しかも、その欠員補充の講師すら確保できない状態が続いています。

そこで、教員の多忙化解消に向けた定数改善と欠員補充の解消について、教育長の所見を伺います。

【教育長答弁】

教育行政についてお答えいたします。

まず、教員の多忙化解消と定数改善についてでございます。
文部科学省の教員勤務実態調査から、教員の長時間勤務の実態か明らかになっており、本県における勤務状況調査の結果からも同様の傾向がみられております。

教員が心身ともに健康で意欲と高い専門性を持って教育活動に専念できるよう、教員の多忙化の解消を図ることが喫緊の課題であると認識しております。

そのためには、教員の意識改革と業務の見直しが必要でございますので、まずは、所属長である校長を対象にタイムレコーダー等を活用した勤務時間の把握をはじめとしたマネジメント力を養成する研修を実施してまいりました。

また、勤務時間の是正、会議の効率化、事務処理時間の確保などの取組をまとめた『業務改善のための取組事例集』を作成し、継続的に各学校の取組を支援してきたところでございます。

このような中、昨年度は8市町村でしか実施しておりませんでした、小中学校での夏季休業中などにおける学校閉庁日の取組は、今年度は全ての市町村で実施するなど、業務改善の取組が広がってきたと考えております。
こうした取組に加えまして、教員が本来担うべき業務に専念できるよう、業務の縮減を進めることが何より重要だと考えております。

このため、本年度から「学校業務アウトソーシング促進事業」を実施し、校内の業務を見直して、集約化や提携化などできる業務、さらにはホームページの管理、調査集計など、外部に委託できる業務の洗い出しを行っているところでございます。

また、業務の縮減に効果が期待できます外部人材の活用といたしましては、教員と同様に単独で部活動の指導を担うことが出来る部活動指導員を派遣するなど、外部人材の活用を積極的に進めることで、教員の業務の縮減に努めています。

そして、さらなる業務の縮減を図るためには、これまでにない新しい発想による取組を進めることが重要であると考えております。

例えば、過日の新聞報道等にもありましたが、小学校のプールの授業を民間に委託する例とか、あるいは、中学校で固定担任制を廃止した例とか、さらには一部の他県で行っておりますが、午前中に5コマ授業の導入を行うなど、各地で進む様々な新しい視点での取組について、これからも研究してまいります。

定数改善につきましては、教員が子どもたちと向き合う時間を確保するため、という観点から、これまでも、文部科学省への中央要望や全国都道府県教育長協議会及び全国都道府県教育委員協議会による「国の施策並びに予算に関する要望」などを通して、国に対して要望してまいりました。

その結果、国では、複雑化・困難化する教育課題への対応として、通級指導や日本語指導教育及び初任者研修体制の充実を図るため、これまでの加配措置であった教育数を基礎定数化するなどの進展がみられてきております。

県におきましては、国の制度を活用して、教員を効果的に配置してまいりますとともに、今後も、引き続き定数改善を要求してまいります。

次に、教員の欠員補充の解消でございます。

正規の教員を配置できない場合に任用する、いわゆる欠員補充の講師の割合は、平成30年度で、小・中・高・特別支援学校等にあわせまして、約8%でございます。

これまでも、再任用者数の推移や国の定数改善計画などの動向を踏まえながら、段階的に正式採用の教員数を増やしてまいりましたが、今後も中長期的な視点から採用計画を立て、欠員補充の解消に努めてまいります。

なお、欠員補充講師が補充できない状態が続くことは子供達の教育環境を考えるうえで望ましくないことでございます。

このため、欠員補充講師を速やかに確保できるよう、各教育事務所が連携し、講師志願者の情報共有を進めるとともに、定年退職者への講師としての任用を呼びかけるなど、講師の確保に努めてまいります。

さらに、今後は、教職に就いていないものの、教員免許状を有している方々を対象にホームページで呼びかけるなど、講師希望者の掘り起こしを行ってまいります。

県といたしましては、これらの取組を通して教員の多忙化の解消を図るとともに、国に対して、引き続き定数改善を要望するほか、欠員補充の解消を進めるなど、教育環境の改善に努めてまいります。

(2)TX沿線・学園地区の教育環境整備

次にTX沿線・学園地区の教育環境整備についてです。

TX沿線開発等により、つくば市内の4駅周辺で人口が急増しています。昨年4月、学園の森地域とみどりの地域に義務教育学校2校が開校しました。しかし、早くも校舎を増築するという事態です。その1つ、学園の森義務教育学校は、学校1校分に相当する30教室の増築で2,000名を超える過大規模校になります。また、みどりの義務教育学校は、20年度に15教室を増築予定です。その他、島名小は2度に渡り13教室を増築、葛城小も6教室以上の増築を予定するなど過密状況が続いています。

学園地区は公務員宿舎跡地が順次売却され、再開発による人口増がすすみました。竹園地域ではマンション2棟で560戸の建設が相次ぎ、小中学校とも増築を予定するなど過密状態に拍車がかかっています。
教育長は、この現状をどのように受け止めているでしょうか。

国と県は、TX沿線開発を最優先し、学校や公共施設などの整備を後回しにしてきました。その結果、住宅開発による児童生徒数の増加に、学校施設の整備が追いつかないという深刻な事態を招いています。

国は学校の適正規模を示しています。適切な教育条件の整備は行政の最優先課題です。区画整理地区内、及び地区外で必要な学校用地を確保し施設整備を急ぐこと、大規模校の解消にどのように取り組むのか、教育長の所見を伺います。

【教育長答弁】

TX沿線・学園地区の教育環境整備についてでございます。
議員ご指摘のTX沿線や学園地区におきましては、都市整備が進んでいることに伴い、児童生徒数が増加していることから、国で示す標準規模を上回る学校もございます。

平成27年に文部科学省が策定した「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引き」において、一般的な大規模校の課題といたしまして、子どもたち一人一人が活躍する機会が少なくなることや、教員が一人一人を把握してきめ細やかな指導を行うことが難しくなること、あるいは児童生徒一人あたりの校舎面積が狭くなり、教育活動の展開に支障が生じるといった例が示されております。

また、同じ手引きの中で、これらの課題を解決するために、教頭を複数配置することや、ミドルリーダーの役割を果たす教員を配置するといった工夫のほか、学区の見直し、または学校施設の増築等の例が示されております。

大規模校におきましては、このような子どもたちの教育環境を高めるために、2学年での交流活動を活発に行うことで、多様な人間関係を創出する取組みを行ったり、大規模校の特色を活かして、教員が多いことから教科担任制、あるいは習熟度別など積極的に取組んでいると伺っております。

こうした中、学校の大規模化をどのように解消していくかについては、設置者である市町村が地域の実情に応じで、総合的に判断していただく必要があるものと考えております。

市町村が、学校の分離新設や学校施設の増築などの学校環境整備を行う場合には、国の支援制度がございます。
例えば、校舎の新増築にあたっては2分の1の負担金、改築や大規模改造あるいは屋外教育環境整備等にあたっては3分の1の交付金の国庫補助制度がございます。

県におきましては、これらの財政措置を各市町村が十分に活用できるように、国に対して予算額の拡充について要望を行うとともに、財政支援に関する情報を市町村へ積極的に周知してまいります。

県といたしましては、なによりも子どもたちの教育に支障がでることのないよう、市町村に働きかけるとともに、分離新設を考える市町村に対しましては、国の補助制度等の情報提供を積極的に行ったり、相談に応じたりすることで、子どもたちにとってより良い教育環境を整備することができるよう、引き続き市町村を支援してまいります。

【再質問】

それぞれご答弁いただきました。
県民の命にかかわる問題で2点、知事に再質問いたします。

「なめがた地域医療センター」は赤字なら仕方がないと知事はお考えなのか伺います。

もうひとつ、原発再稼働。
口では県民の意見を聞いてと言いながら、再稼働の為の工事は県民の意見も聞かず認めてしまうのでしょうか。
ただちに工事を中止させ、再稼働の動きを止めていただきたい。
知事の答弁をもとめて再質問をおわります。

【知事再質問答弁】

山中たい子議員の再質問についてお答えいたします。

なめがた地域医療センターの件でございますが、なめがた地域医療センターは厚生連において、救命・救急患者の受け入れ体制等について地元市や関係医療機関等との協議を進めていくと聞いております。それを踏まえて、県としましても必要な対策を検討していきたいと考えております。

次に、東海第二原発の再稼働についても引き続き、前に答弁しましたとおり、工事の進捗が直ちに再稼働につながるというものではないということは明言しておりますので、その旨申し添えたいと思います。

以上

動画はこちらから

2019年3月茨城県議会 山中たい子議員の一般質問と答弁(大要、PDF)

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