2017年3月茨城県議会 上野高志県議の一般質問

上野高志県議の一般質問

2017年3月6日(月) 第1回定例会本会議

〈質問事項〉

  1. 予算編成と知事の政治姿勢について
    (1)子育て支援・少子化対策
    (2)公的医療機関の役割と地域医療の課題
    (3)国民健康保険の都道府県化
    (4)農業の振興
    (5)水道行政
    (6)東海第2原発の廃炉
  2. 教育行政について
    (1)少人数学級の拡充
    (2)欠員補充講師の正職員化

項目

1. 予算編成と知事の政治姿勢

日本共産党の上野高志です。

最初に、予算編成と知事の政治姿勢についてうかがいます。
知事は、「陸・海・空・広域交通の整備を進め、企業を誘致し、経済や産業が成長した」と所信表明で述べています。しかし、開発した用地は、その売れ残り対策にこの10年間で2,100億円も税金を投入しましたが、いまだに1,000ヘクタールもの土地と2,252億円の借金をかかえています。

一方、知事は6期24年で、県職員を2,039名、教職員は3,483名も減らし、現場は疲弊していますが「スリム化日本一」と誇りにしています。
県民要望の強い福祉や医療は全国最下位クラスです。県民を犠牲にしてきた大型開発は見直さなければなりません。県政運営を、企業呼び込み型から、暮らし、福祉、教育、農業など、県民生活支援に切り替えることを求め質問します。

(1)子育て支援・少子化対策

第1に、子育て支援・少子化対策についてです。

私は保健福祉委員として、「少子化対策の充実」について議論を重ねてきました。今年度、保健福祉部に子ども政策局が設置されましたが、少子化の根底にある若者の非正規・長時間労働の課題は商工労働観光部、子どもの貧困対策である就学援助や高校奨学金は教育庁、さらに一人親家庭や低所得世帯への公営住宅は土木部と、所管が分かれていては効果的に取り組めません。少子化対策や子どもの貧困問題に本気で取り組むのであれば、部局を横断した総合的な、問題を解決する部門が必要です。こうした組織を新設する考えがあるか、知事の所見を伺います。

子育て支援の一つとして、子どもの医療費を高校卒業まで無料にすることについてお聞きします。
本県は、外来は小学6年生まで、入院は中学3年生まで、所得制限と窓口払いを残し子どもの医療費助成制度を実施しています。

しかし他県を見ると、福島県と鳥取県は高校卒業まで拡充し、栃木県、群馬県を含めた17府県には所得制限はなく、8県では窓口払いを無料としています。県内では市町村が努力して、所得制限をなくしているのは33自治体です。
「せめて医療費は無料にしてほしい」が子育て世代の声です。

高校卒業まで、通院・入院とも、所得制限も窓口一部負担もなく、医療費を無料にするためにかかる費用はあと25億円です。子育て安心の茨城県へ、今こそ決断すべきと考えますがお答えください。

もう1つは保育所の待機児童の解消です。
取手市や龍ヶ崎市など茨城県南でも、待機児童が増えていますが、その根本に「保育士不足」があります。保育士は専門職であるにもかかわらず、全職種の平均給与と比べ、民間保育士は月額10万円以上の差があり改善が必要です。東京都は新年度予算で保育士の給与を44,000円、国の制度に上乗せする計画です。

本県でも、国の処遇改善に加え、県の上乗せが必要と考えますが、知事の答弁を求めます。

〔知事〕

上野高志議員のご質問にお答えいたします。

初めに、予算編成と知事の政治姿勢についてお尋ねをいただきました。
まず、子育て支援・少子化対策のうち、少子化に関する複合的な問題解決部門の設置についてでございます。議員ご指摘のとおり、少子化対策には部局を横断した総合的な対応が必要であります。そのため県では平成13年度に少子化対策室を設置して対策の強化を図りますとともに、関係部局長で構成する少子化対策推進本部を設置し、全庁一丸となって少子化対策に取り組んでまいりました。

また、今年度から、少子化対策や子どもの貧困対策により積極的に取り組むため、保健福祉部に子ども政策局を設置し、関連する施策の立案・推進、並びに庁内の関係部局の総合調整機能等の強化を図る体制を構築したところであります。
さらに、少子化対策を部局横断的に推進するため、県の総合計画「いばらき未来共創プラン」の重点プロジェクトとして「ストップ少子化・移住促進プロジェクト」を立ち上げ、子ども政策局長がその取りまとめにあたっているところであります。

このプロジェクトや少子化対策推進本部において、労働・教育・住宅といった分野も含め、総合的な対策について議論をすすめているところでございますので、新たに部局横断の総合的な問題解決部門を設置することは、当面は考えていないところでございます。

次に、子どもの医療費無料化についてお答えいたします。

子どもの医療費助成制度、いわゆる小児マル福制度につきましては、各県が競って拡充を図っているような状況にあり、全国知事会の議論において、国の制度として全国一律に実施すべきではないかとの意見が出されております。
こうした中ではありますが、本県では、少子化対策推進の観点から、マル福制度の拡充に積極的に取り組み、昨年10月に所得制限を大幅に緩和したところであります。その結果、対象年齢児における該当率は約7割から9割へと増加し、新たに約7万人が対象となりました。

また、全国の状況を対象年齡でみますと、通院・入院ともに高校3年生までがご指摘のとおり2県、中学3年生までが7都府県となっており、本県は、その次に位置し比較的上位の水準にあるものと考えております。
本県よりも対象年齢が上位の都府県では、群馬県を除いては、所得制限や自己負担を設けている状況にございます。
対象年齢を高校卒業まで拡大し、所得制限と自己負担の両方を撤廃する場合、新たに毎年約25億円の予算が必要となり、マル福制度全体の年間所要額は100億円を上回りますことから、現在の財政状況を考慮すると、そこまでの拡充は非常に困難であると考えております。

一方、本県では少子化対策として妊産婦の医療費助成にも取り組んでいるところですが、これは全国でも4県のみが実施している制度であります。
今後、さらなる制度の拡充につきまして、財政見通しや、国、他県、市町村の動向等を注視しながら検討してまいりたいと存じます。

次に、保育士確保のための処遇改善についてでございます。
保育士の給与は、他産業と比較し低い水準にありますことから、国では段階的な処遇改善を行っており、それに伴う県負担について、本県でも確実な財源の確保に努めているところであります。

本県の保育士の給与水準につきましては、東京圏よりも低い傾向にありますが、これは公定価格の単価が、大都市では地域手当の影響などにより高く設定されていることが大きく影響しております。

このような給与水準の格差は保育士のみならず、地方公務員や教員など他の職種にも共通する問題であり、県が保育士のみ、処遇の上乗せをすることでその格差を是正していくことは、適当ではないと考えております。
地域手当といった発想を取り入れている以上、大都市の給与と地方の給与の間に出てくる構造的な格差であり、人口の東京一極集中を是正し、地方への人の流れをつくる地方創生を実現するためには、是正すべき大きな課題であると考えており、国に対し、その是正を要望しているところであり、今後も引き続き、国に対し働きかけてまいります。

(2)公的医療機関の役割と地域医療の課題

第2に、公的医療機関の役割と地域医療の課題です。

県民要望の第3位は、医療体制の充実です。いのちと健康を支える公的病院は、地域住民の命綱となっています。
ところが今、本県の地域医療体制の崩壊を招きかねない深刻な事態が進行しています。
公的病院である茨城県厚生農業協同組合連合会が運営する、土浦協同病院の移転・新築費用の増大による経営悪化を理由に、新しい経営陣が、医師・看護師らの年末一時金カットなど人件費抑制策を打ち出したため、退職者が例年より増加する状況とも言われています。

近県でも、2013年に栃木県厚生連が、16年に埼玉県厚生連が解散、民間に売却されるなどの事態がおこりました。
厚生連病院は戦後、まともに医療を受けられなかった農村で、農協がつくった医療機関です。その出発の時から、農業県である茨城の医療を担ってきました。現在は、医療法にもとづく公的医療機関として地域医療の中核を担っています。
土浦協同病院は、本県の周産期医療を担う3病院の1つです。その総合周産期母子医療センターへの搬送数は県内の25%、分娩数は990件で県内一です。小児救急医療でも、中核病院の役割を果たし、患者を最も多く受け入れています。

ところが県内では、この4月から高萩協同病院で小児科の外来診療が休止される事態です。また、JAとりで総合医療センターでは、小児科医が減り、24時間救急の診療体制が維持できるか、という事態となっています。JAとりでの小児夜間救急は、年間5,400人を超える子どもを受け入れており、県内の夜間救急の6割も担っています。
診療体制の後退など、運営基盤を揺るがしかねない事態は一刻も早い解決が求められます。

厚生連病院など、公的医療機関が果たしている重要な役割と、地域医療の課題にどう支援していくのか、知事の所見を伺います。

〔知事〕

厚生連をはじめとした公的医療機関は、地域において必要な医療のうち、過疎地等における一般医療、救急・小児などの不採算・特殊部門に関わる医療、高度・先進医療などの、いわゆる政策医療の提供や研修の実施等を含む医師派遣の拠点として重要な役割を担っております。

政策医療の一つである小児医療の提供体制について、県では、保健医療計画を策定し、患者の重症度や緊急度に応じて適切に小児救急医療が提供できるよう、地域の実情に応じ、集約化や重点化を進めますとともに、公的医療機関の協力も得ながら、医師不足地域においても円滑に小児医療を受けられる環境の確保に鋭意努力しているところであります。

ご指摘の高萩協同病院では、常勤の小児科医師が高齢を理由に退職することになりました。これに対し、病院は、来月以降新たな常勤医師の確保ができないことから、小児科診療を休止し、日製日立総合病院等に患者の受け入れ先を確保したと聞いております。

また、JAとりで総合医療センターでは、来月から、大学からの常勤の小児科医師の派遣が減少することとなりました。このため、深夜帯における診療体制を縮小し、救急搬送される重症患者のみを受け入れ、その他の患者については、土浦協同病院など広域での連携により対応することとしております。

県としましては、地域住民への影響を最小限とするため、病院や地元市など関係機関との調整を図ってきたところであります。
これらの背景には、医師不足や地域偏在、診療科の偏りといった地域医療の課題があり、特に、小児科については顕著であります。

その課題解決に向け、県では、寄附講座の設置や小児科等への従事を条件とした地域枠の設置、修学生医師の適正な配置などを行ってまいりました。
来年度からは医師修学資金の貸与月額を引き上げますとともに、海外の医科大学の学生を対象に修学資金等の貸与制度を新たに設けるなど、医師の確保や定着に向けた制度の拡充を図ってまいります。

さらに、本年度補正予算において、新たに医師確保に向けた基金を造成し、医師修学資金の貸与や地域医療支援センターの体制整備など今後の財政需要に備えたいと考えております。

また、平成29年度に行う次期保健医療計画の策定作業において、集約化や機能分担など小児医療の提供体制の充実に向け、議論を進めてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても県としては、今後とも地域医療の充実に向けて全力で取り組んでまいります。

(3)国民健康保険の都道府県化

第3に、国民健康保険の都道府県化についてです。

政府は、地域医療構想と一体に、医療給付費の削減を迫っています。本県でも、ベッド数の削減が掲げられ、2018年度からの国保の都道府県化に向けて、市町村との協議を29回行っていますが、内容は一切公表されておりません。
本県の協議内容や経過を公表することについて、知事の所見を伺います。

埼玉県は、協議内容を公表し、国保税の試算結果として、市町村の法定外繰入を除いた場合、平均で3割、最大で7割も値上げになるとしています。
高すぎる国保税を引き下げるために、市町村は一般会計から国保会計に法定外繰入れを行い、その総額は2014年度で80億円でした。本来なら、繰入なしで国保会計が成り立つよう国庫負担を大幅に増やすことです。全国知事会も1兆円の増額を求めましたが、国は3,400億円に留めています。

しかも、国のガイドラインにおいて、市町村の「法定外繰入は解消すべき」と示したのです。「これでは国保税の値上げになる」との強い批判を受け、「あくまで助言であり、禁止するものではない」と国会で答弁しています。

そこで知事に伺います。今後策定する本県の国保運営方針において、法定外繰入を禁止すべきではないと考えますが、お答えください。
国保は県内48万世帯、88万人が加入する本県最大の医療保険であり、皆保険制度の根幹です。

しかし、高すぎて払えない世帯が約2割にものぼり、都道府県化によってさらに値上げすることは、絶対に避けるべきと考えます。知事も、ほかの健康保険に比べて、国保の税負担が大きいと述べています。ならば、知事が10年前に廃止した県補助を復活することです。

市町村だけに負担を強いるのではなく、県として応分の財政措置をおこない、国保税を引き下げることを強く求めます。知事の所見を伺います。

〔知事〕

まず、茨城県市町村国保広域化等連携会議の公開についてでございます。

連携会議は、本県における国保事業の広域化などについて、県と市町村、国保連合会が協力連携して検討するため、平成22年度に設置いたしました。

さらに平成27年度には、国保制度移行への対応のため、連携会議に4つの検討部会を設け、市町村等との協議を行っているところであります。

これまでに、国保運営方針や、市町村が県に納付することとなる国保事業費納付金の算定方法などについて、県と市町村の考え方の摺り合わせなど、事務的な整理を行ってまいりました。
現時点での協議は、まだ意思形成過程の段階であり、率直な意見交換の妨げにならないよう、協議内容の公開は控えてきたところでありますが、今後、会議の内容を公開するかどうか、公開する場合にはどういう形にするか、構成員と協議のうえ、適切に対応してまいります。

なお、今月下旬に、県の運営協議会の前身となる外部有識者による会議を設置することとしており、この会議の中で、これまでの市町村との協議結果を明らかにし、その内容を公開する予定としております。

次に、国保運営方針における一般会計繰入に関する記載についてでございます。
改正国保法により、県は、平成30年度以降の国民健康保険の安定的な財政運営並びに国保事業の広域的及び効率的な運営の推進を図るため、運営方針を定めることとされております。
国は地方自治法に基づく技術的助言として、運営方針策定要領を示しており、この中で、法定外繰入のうち、決算補填等を目的とした一般会計繰入については、国保特別会計の収支均衡の観点から、計画的・段階的な解消を図るよう求めてきているところであります。

県におきましては、これまで、この策定要領に沿って、国保運営方針について市町村と意見の交換を行ってきております。
今後は、市町村からいただいた意見を基に、外部有識者のご意見を伺いながら、決算補填等を目的とした一般会計繰入に関する記載も含め、運営方針についての検討を進めてまいります。

次に、国保へ県の補助金を設けるべきとのご質問についてでございます。
平成27年度より、低所得者の多い保険者の財政基盤の強化を図るため1,700億円の公費が拡充され、本県の市町村国保特別会計においては、保険者支援制度分の収入額が、前年度と比べ約35億円増加したところであります。

その一方で、1人当たり医療費の上昇により、市町村国保全体の保険給付費が、約49億円増加しており、保険者支援制度の増収額を上回っております。

このため、市町村においては、前年度からの繰越金や基金の取り崩しなどでの対応を余儀なくされているところであり、保険税を引き下げられる状況にはないものと考えております。

今回の改革は、小規模自治体による医療保険制度の運営は限界に来ていることなどから、都道府県が財政運営の責任主体となるものでありますが、都道府県としては、今般の制度改革の検討における国と地方の協議の場において、都道府県に新たな負担が生ずることのないよう、国に強く求めてきたものであります。

また、国民健康保険制度は保険制度でありますから、本来、保険税と法定の公費をもって運営されるべきものと考えております。
そのため、国保財政の健全な運営を図りつつ、国保税を引き下げるためには、県が一般財源を投入して行うのではなく、国において、更なる財政基盤の強化を含む制度の設計を考えていくべきではないかと考えております。

(4)農業振興

第4に、農業の振興についてお聞きします。

農業は、「安全で美味しい食べものを生み出す」だけに留まらない、国の食糧主権を守る役割を果たしています。
茨城県の農業算出額は8年連続で全国第2位ですが、一方、コメの生産額を見ると、2003年の1,204億円から、昨年は762億円と、3割以上も落ち込んでしまいました。
農水省は、コメ1俵をつくる生産費を15,390円と試算していますが、昨年のコメの販売価格は約13,000円と、「作れば作るほど赤字」というのが実態です。

さらに高齢化もすすんでいます。本県農家の3人に2人は65才以上、耕作放棄地も年々増えています。
この原因は、農業の大規模化と、輸出拡大など国際競争力を農業者に押し付け、それに対応できない農家は切り捨てるという政府の方針にあります。
本県の99%は家族経営体です。茨城県の農業再生について、次の2つのことに踏み切るべき、と考えます。

1つは、「暮らしていける農業」への改革です。
2013年度までは、コメや麦、大豆などの主要農産物に対し、生産に要する費用と、販売価格との差額を基本に交付する、農業者戸別所得補償がとられ、稲作農家の再生産を支えていました。
2014年度からは経営所得安定対策に切り替わり、コメの交付金については10アールあたり15,000円から7,500円へと引き下げられ、その後、稲作農家の離農が加速しました。しかも来年度産米からは、それも廃止されようとしています。
県として所得補償・価格保障を行うべきだと考えますが、お答えください。

2つ目は、新規就農者支援事業の充実です。
県は39才以下の若い就農者の目標人数を250名に設定しましたが、2014年達成は190名で、しかも実際に国の青年就農給付金を受けたのはわずか43名です。
新規就農者を確保するために、受給者を増やす施策を強力に進めるべきと考えますが、合わせて知事の所見を伺います。

〔知事〕

農業従事者の減少や高齢化が進む中、本県農業をさらに発展させていくためには、法人・家族経営等の様々な経営形態を含めた多様な担い手の確保・育成が必要であり、特に、稲作農家の経営安定を図ることは本県農業にとっても大変重要な課題であると認識しております。

しかしながら、小規模な稲作農家のために県独自の価格や所得の補償措置を講じることにつきましては、主食用米の生産意欲を高め、全国の需給バランスを崩し、ひいては、米価下落を引き起こすという悪循環を招く恐れがありますこと、また、昨年の本県産コシヒカリを例にしますと、60キロ当たりの平均生産費15,390円と概算金11,600円との差額約3,700円を、生産費が概算金を上回る、つまり赤字の生産者に対して補償する場合について、単純に試算しますと約190億円もの財源が必要となり、県として実施することは難しいものと考えております。

このため、農家の経営安定策につきましては、現在、国において、セーフティーネットとして、収入減少を補てんする、いわゆるナラシ対策が措置されておりますほか、品目の枠にとらわれずに、農業経営者ごとの収入全体を見て総合的に対応しうる収入保険制度の導入も予定されているところであります。

また、県内では、比較的小規模であっても、例えば、「ななかいの里コシヒカリ」のように、米のブランド化による有利販売の取組や、JA稲敷のように、稲作経営にネギやブロッコリーなどの園芸作物を導入した複合経営による所得向上の取組などもございますので、県といたしましては、こうした経営安定に向けた国の制度の活用や所得向上の取組を支援することにより、小規模な家族経営でも営農が継続できるよう努めてまいります。

次に、新規就農者の確保対策についてでございますが、県では、茨城農業改革大綱において、雇用就農を含む45歳未満の平成32年度の新規就農者数の目標を400人に設定しております。
平成27年度の実績は、当初の見込みどおり300人となっており、集計方法が変わったことから、平成26年度以前の実績とは単純に比較できませんが、目標達成に向け、引き続き、様々な就農支援策に取り組んでまいりたいと考えております。

具体的には、まず、ワンストップ窓口である新規就農相談センターにおいて、きめ細かな相談対応や、県内外での就農相談会を通じて、就農希望者の確保に努めてまいりますとともに、平成28年度からは「茨城農業担い手育成応援事業」により、産地自らが新規就農者を育成する取組を支援しているところであります。

さらに、税理士などの専門家派遣、法人設立経費の助成などにより、雇用就農の受け皿となる法人化を推進してまいります。
県といたしましては、これらの取組とともに、来年度から農業次世代人材投資資金に名称が変わります青年就農給付金を活用しながら、引き続き、新規就農者の確保に努めてまいります。

(5)水道行政

第5に水道行政についてです。

県民のつよい願いは、水道行政にも表れています。
高い水道料金の原因は何か、どうすれば安くすることができるか、これは、議会・執行部を上げて究明しなければならない大きな課題です。私は再三にわたって、上水道事業の経営を圧迫しているのは、過大な八ッ場ダムや霞ケ浦導水事業など、水源施設の建設費負担にあると指摘してきました。

しかし、知事は本県の水需要はさらに増大し、水源開発には莫大な費用がかかる、ダムや導水を前提にして暫定的に水利権を得ている、という趣旨の答弁を繰り返しています。県民の負担軽減に心をくだくのではなく、国の水源開発を促進する立場を貫いてきました。これでは、各家庭の料金を引き下げることはできません。

一方、工業用水はどうか。給水量も料金収入も減少しているなかで、昨年すべての工業用水の料金を値下げしました。毎年の、値下げ総額は13億円です。
それならば何故、業績の安定している県南をはじめ、上水道事業は値下げをしないのか、工業用水優遇ではないかと多くの県民から疑問の声があがりました。

知事は半年前、私の質問にたいし、上水道の黒字分、約165億円について、「一時的に利益が生じたからといって、直ちに値下げ出来るわけではない」と答弁しました。
しかし、今定例会に突如、中央広域水道の基本料金の値下げを提出しました。これによる値下げ総額は、わずか3億円です。
「なぜ中央広域水道だけなのか」「我々も同じ県民だ」と、県南・県西・鹿行地域の住民から怒りをかうのは必至です。

そこでお尋ねします。工業用水は全事業いっせいに値下げしたのに、上水道はなぜ中央広域水道だけに限ったのか。その理由をお聞かせください。

日本の人口は有史以来、はじめて長期減少傾向の時代に入りました。
元総理をふくむ各党議員などで構成する「水の安全保障戦略機構」でさえも、「我が国では人口減少社会が本格的に到来」「人口減少により、供給水量と料金収入が低迷していく」と予想しました。
その推計結果を見ると、人口は2040年には、取手市をふくむ県南水道企業団は16%減、つくばみらい市は21%減、湖北水道企業団は27%減と、県全体でも驚くべき減少が示されています。

知事自身も3月2日、民進党の代表質問にこたえ「就任以降、将来の人口減少社会の到来を見据え」て県政運営をしてきたと述べています。
であれば、高度経済成長期の過大な想定のもとに計画された八ッ場ダムや霞ケ浦導水事業は、即刻国に中止をもとめるべきではないでしょうか。お答えください。

知事の心配は、導水やダムの中止によって、いま認められている暫定水利権が奪われてしまうことのようです。しかし、これまで建設計画が中止されたダム事業は全国で300カ所。そのうち、水の需要が減少したことや、巨額の負担から撤退する事業者が相次いだため、中止となったダムは 191件を数えます。

そこで知事におたずねします。国交省のダムが中止された場合、暫定水利権はそのまま認められているのか、そうではなく、奪われた事例があるのであれば、お聞かせください。

〔知事〕

まず、水道料金の値下げについてでございます。

水道料金は、水道法などの規程に基づき、定期的に見直しを行っており、今年度は4つの広域水道用水供給事業すべてにおいて、平成29年度からの料金の見直しを実施しました。料金設定に当たりましては、ダムなどの水源費や施設整備のための借入金の償還金、維持管理費及び今後の施設改築等の費用を考慮しながら、長期的展望に立って決定しているところであります。今回の見直しに当たっては、企業局の経営の指針である「企業局経営戦略」も踏まえ、平成38年度までの10年間の収支を見込んで設定したところであります。

その結果、県南広域水道につきましては、黒字経営が見込まれますものの、これまで行ってきた改築による減価償却費の増加、また、八ッ場ダムの完成による管理負担金や減価償却費の発生により毎年度の純利益が年々減少してまいりますとともに、霞ヶ浦浄水場の改築をはじめとした建設改良に今後10年間で約427億円の投資が必要となるため、料金を据え置くことといたしました。

鹿行広域水道につきましては、平成33年度以降は黒字経営に転じることが見込まれますものの、平成29年度以降4年間、赤字経営が見込まれるため、今回は料金を据え置くことといたしました。

県西広域水道につきましては、黒字経営が見込ますものの、東日本大震災や関東東北豪雨災害を踏まえ、管路の耐震化や緊急連絡管の布設等の建設改良に今後十年間で約241億円の投資が必要でありますとともに、毎年度の純利益も年々減少していくと見込まれますため、料金を据え置くことといたしました。

次に、県中央広域水道の料金を値下げした理由でございます。県中央広域水道については、主な水源としております霞ヶ浦導水事業の計画が「企業局経営戦略」策定後の平成28年3月に変更され、完成予定が平成35年度まで延長されましたことにより、管理負担金や減価償却費の発生が先送りとなったことが理由の一つであります。

また、県中央広域は他の広域に比べ県水の受水率が低い状況にありますが、受水市町村からの料金値下げの要望時に、料金が下がれば自己水源から県水への転換を図りたいとの意向が示され、このことにより収入が増えれば、将来の料金の値上げを回避できる見込みが立ちますことから、これらを踏まえ、収支を精査した結果、400円の値下げをすることといたしました。

今後とも、維持管理費の抑制や浄水場の運転管理の見直しなどによる経費節減など、経営戦略に基づく経営努力を引き続き行い、適切な料金を設定してまいりたいと考えております。

次に、八ッ場ダム建設事業、霞ヶ浦導水事業の中止についてお答えいたします。
企業局が、現在、完成済みの水資源開発施設で確保している水量は、県南広域水道用水供給事業の利根川給水系において、需要の4割程度、県中央広域水道用水供給事業の水戸給水系において、需要のわずか2割弱程度しか満たすことができない状況にございます。

このため、現在開発中の八ッ場ダムや霞ヶ浦導水の完成を前提に暫定水利権を取得し、県南広域水道利根川給水系においては日量約44,000トン、県中央広域水道水戸給水系においては、日量約29,000トンを安定水利権に上乗せして給水している状況にあります。

このように、不足している水量を暫定水利権でまかなっている状況に加え、引き続き、水道普及率の向上や、地下水から県広域水道用水供給事業への転換を図る必要がありますことなどから、八ッ場ダムや霞ヶ浦導水による水源開発は必要不可欠であります。

さらに、八ッ場ダムにおいては利根川の洪水対策として、また、霞ヶ浦導水においては、霞ヶ浦、千波湖の水質浄化や、那珂川、利根川の渇水対策としても必要な事業であり、中止すべきではないと考えております。

次に、暫定水利権についてお答えいたします。
暫定水利権につきましては、水資源開発施設の建設事業に参画していることを条件に、河川管理者から、建設事業の期間中、暫定的に許可される権利であります。

本県では、水需要を満たすだけの安定した水利権を確保できていない地域において、八ッ場ダムや霞ヶ浦導水の完成を前提に暫定水利権を取得し、既に、多くの県民や企業に水を供給しているところであります。

ダム事業の中止により、暫定水利権がなくなった事例についてでございますが、水資源機構が事業者であった群馬県の戸倉ダムが平成15年に中止になった際には、暫定水利権により取水していた利水者が、八ッ場ダムの暫定水利権に振り替えたり、奈良俣ダム等の水利権を買い取るなど、代替となる水源確保した上で、戸倉ダムの暫定水利権の解消を図ったことなどを国から聞いているところであります。

(6)東海第二原発の廃炉

第6に、東海第二原発の廃炉についてうかがいます。

福島原発事故から6年。この間、放射能を無害化する術もなく、避難はしたが戻れないという福島の現実を前にして、知事は東海第二原発の再稼働について、一度も態度表明をしてきませんでした。
国の安全宣言や世論の鎮静化を待っているのか、本当に判断材料を持たないのか。
いずれにしても、この決断の遅れは、事故時に指揮をとるリーダーの資格が問われる事態です。

これまでも知事は、動燃再処理施設の火災爆発事故のとき、7日間も現地に入らず批判をあびました。JCO臨界事故のときは住民避難さえ指示できず、村長まかせになってしまいました。

そして、福島原発事故では、適切な屋内退避や、「乳児は水道の水は飲まないでください」という飲用停止の決断の遅れで、無用な被曝をまねきました。
日本の原子力災害史上、最大の3つの事故に対し、これだけ県民を危険にさらしても、知事は「原発はやめよ」と言えないのでしょうか。

それでなくとも、東海第二原発は首都東京にもっとも近く、世界一の人口密集地に設置され、加えて日本の沸騰水型原発では、一番古く、来年40年の寿命をむかえる原発です。
トラブル発生件数が一番多い事業所は日本原電であり、原発としては東海第二原発だということも、運転差し止め裁判の口頭弁論で明らかにされました。

そんな事業所に対して、知事は延長運転の申請には「とやかく言えない」と応え、なりゆきにまかせています。
これだけの問題をかかえた原発であれば、国の判断を待つまでもなく再稼働には不同意とするのが本県知事のとるべき態度です。
「審査に合格すれば安全だ」という国と、「安全でないから避難計画をつくれ」という国と、この矛盾に知事はどうして気づかないのでしょうか。

そのうえ地震や津波などの自然災害と、集中している他の核施設の事故との複合災害は、いまだ想定・計画さえできないのです。

昨年12月の予算特別委員会で、山中委員が「100万人の避難者をどう支援するのか、財政的試算はしているのか」と質問したのに対し、知事は「試算はおこなっていない」と応えました。
「逃げる先を決めておけば、あとはどうなるかわからない」。これが県の避難計画であることを、知事自身が証明したようなものです。
知事でさえ試算ができない原子力の事故被害にたいして、それを上まわる再稼働の利益・必要性が本県にあるのかどうか。あるとするなら、どのようものかお答えください。

知事は以前、「減原発」、原発を減らしていくというのが自分の考えだ、と述べていました。本県の原発はただ一つです。減らすというのなら、原発ゼロ、廃炉以外にありません。
ならば、知事は「原発のない茨城の将来像」を描かなければなりません。
知事の描く将来像はどのようなものか、所見を伺います。

〔知事〕

まず、東海第二発電所を稼働させるリスクを上回る利益や必要性があるのか、あるとするならどのようなものを考えているのかについてでございます。
福島第一原子力発電所の事故を受けて、県民の皆様の中に原子力発電所の再稼働について不安の声があることは十分に承知しております。

一方で、低廉かつ環境負荷の少ないエネルギー・電力の安定供給は、資源小国の我が国の健全な経済発展にとって重要であり、原子力については、平成26年4月に国が取りまとめたエネルギー基本計画において、「安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置づけられているところであります。

このように、原子力発電所については、電力の安定供給といったエネルギー政策、地球温暖化といった環境問題などの全国的な課題を踏まえて、施設の安全性を前提に、まずは国が必要性を判断すべきものと考えております。

その上で、国から再稼働の協力要請があった場合は、雇用や税収の確保といった地域経済への影響や、地域の安全・安心を確保するための体制の整備などを考慮しながら、県民の代表である県議会でのご議論やご意見を十分に踏まえますとともに、各界の有識者で構成される県原子力審議会や地元市町村のご意見などを十分に伺った上で、東海第二発電所の必要性について総合的に判断してまいりたいと考えております。

また、議員から、原発のない茨城の将来像についてお尋ねをいただきました。
東海第二発電所につきましては、東日本大震災を契機として、国の原子力安全規制が強化されたことに伴い、現在、国の原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査が行われているところであり、東海第二発電所の今後の取扱いにつきましても、現時点において、国から何らの方針も示されていない状況にございます。
このような中、東海第二発電所の廃炉を前提とした地域の将来像を具体的に申し上げることは適切ではないものと考えております。

なお、私か減原発と言いましたのは、私ども茨城県だけを考えたわけではなくて、国全体としての方向性として申し上げたものでございますので、ご理解をいただきたいと思います。

2. 教育行政について

(1)少人数学級の拡充を

最後に、教育行政について教育長にお尋ねします。
子どもの悩みやトラブルに、教師がていねいに対応するうえでも、子どもの発言の機会がふえ、豊かな授業をおこなう上でも、少人数学級は重要な教育条件です。

今定例会の代表質問に対し知事は、「全国に先駆けて少人数学級とティーム・ティーチングを組み合わせた独自の少人数教育を実施し」ていると答弁しました。しかし「独自の教育」と言っても、1学年で3クラス以上あれば35人学級になりますが、1クラス、2クラスでは40人学級です。これによって小学校で323クラスが、中学校では583クラスが40人学級のままになっています。
次年度を待たずに来年度から、中学3年生まで、一気に学年を引き上げるべきではなかったでしょうか。

そして根本的には、すべての小中学校のすべてのクラスで35人以下学級を実施することです。
必要な予算は18億円です。私は踏み切るべきだと考えますが、お答えください。

〔教育長〕

教育行政について、お答えいたします。
まず、少人数学級の拡充についてでございます。

県では、これまで、少人数学級とティーム・ティーチングを組み合わせた独自の少人数教育を、平成14年度から段階的に拡充し、現在は、小学校全学年及び中学校1年生で実施し、楽しい授業づくりや、児童生徒に寄り添ったきめ細かな指導の充実に努めております。
こうした取組により、学力の面では、全国学力学習状況調査におきまして、本年度は小中学校の全8分野中7分野で全国20位以内となり、特に、中学校の国語では、「知識」・「活用」両分野とも全国7位となっております。また、生徒指導の面におきましても、いじめの解消率が全国平均を上回るなど、いじめの早期発見・早期対応の面でも効果が表れてきております。

近年、教員の多忙化や、児童生徒の問題行動が課題となるなかで、次期学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善が求められ、きめ細かな指導の充実が一層必要となっております。
こうした状況をふまえますと、議員からも一気に全学年に拡大を、との話がございましたが、本県独自の少人数教育を、小中学校全学年で実施することがより望ましいと考えております。

一方で、中学校への拡充につきましては、教科担任制をとっておりますことから、一学年当たりの教員数が小学校に比べ多く必要となってまいりますので、国の加配措置の状況や教員の配置などを考慮し、来年度は中学2年生まで拡充することとしたところでございます。今後、再来年度の中学校全学年実施に向けて、引き続き検討してまいります。

また、議員から35人以下学級の完全実施について、言及がございました。県ではこれまで、義務教育の学級編制は、国の責任において実施すべきとの考えのもと、様々な機会を通して、国に対し35人以下学級を小中学校全学年に拡充するための定数改善を要望してまいりました。
来年度の国の予算におきましては、個別の課題に対応するための加配定数の一部が基礎定数化されたものの、残念ながら、定数改善は見送られましたので、引き続き国に対しまして、強く要望してまいります。

いずれにいたしましても、来年度から茨城方式での少人数教育を中学校二年生に拡大するわけでございますので、これにしっかりと取り組み、一人一人に寄り添った指導を行うことで、学力の向上やいじめなどの問題行動、不登校などの未然防止や解消に努めてまいります。

(2)定数内の欠員補充講師の正職員化

次に、定数内の欠員補充講師の正職員化についてです。
定数に必要な教員を臨時教員として配置している欠員補充講師は、小・中・高・特別支援学校合わせて、教員数の1割を超える1,863人。専門職でありながら、1年ごとの雇用で処遇は劣悪です。

教育長は、2015年・第3回定例会の私の質問に、「欠員補充講師の割合を下げたい」と答弁しました。しかし、現状は5年前と同じ水準です。新年度は、さらに教員を100人も削減する予定です。
学校現場では、いじめ、不登校など、さまざまな問題を抱え、教員の多忙化は深刻です。
子どもに寄り添い、向き合っていくためにも、教員を増やし、欠員補充講師を早急に解消すべきではないでしょうか。

〔教育長〕

現在、各学校に配置されております欠員補充講師の数は、全体としましては、平成26年度をピークに減少しているところでございます。これは、平成27年度に教員の採用枠を全体で前年度に比べ175名増、率で約3割増と大幅に拡充し、これを3年間継続していることの成果でございます。

一方で、欠員補充講師につきましては、児童生徒の増減により学級数が不確定であることや、国から加配される教員数が毎年度変動することなどにより、正規職員を配置することが難しいため、やむを得ず、一定数を欠員補充講師として配置する必要がございます。

また、平成18年度以降、国による新たな教員定数改善計画が策定されておらず、中長期的な視点に立った計画的な採用ができにくいといった状況もございます。

特に、特別支援学校におきましては、数年来、児童生徒の増加が続いておりますことや、一学級あたりの児童生徒数が少ないため、児童生徒数の増減による学級数の変化が、当該年度の必要教員数に大きく影響しますことから、小中学校などよりも、講師比率が高くなっております。

そのため、特別支援学校におきましても、教員採用人数をそれまでの40人程度から、平成27年度より70人と大幅に増やし、欠員補充率の改善に向けて、取り組んでいるところでございます。

なお、今後の教員採用につきましては、近年、教員の大量退職により、再任用の教員の数も大幅に増加していることなど、様々な状況を勘案する必要がございます。

現在、平成30年度の教員選考の実施方針について、改善点等の協議を進めており、その中で、採用者数等について決定してまいります。
教員が継続的に子どもと関わっていくためにも、教員の正職員化を図っていくことは、私もとても大切なことだと認識しております。

県といたしましては、今後の再任用者数の推移や、国の定数改善計画などの動向を踏まえまして、中長期的な視点で、できる限り正職員化に努めてまいります。

再質問

2点について再質問します。

知事は、中央広域水道の値下げについての私の質問に「霞ケ浦導水事業の延期によるもの」と答弁しました。延期によって、3億円の値下げができるなら、八ッ場ダムや霞ケ浦導水からの撤退、または中止となればさらに値下げができるはずです。
国に中止を求め、県南、鹿行、県西広域水道も値下げすべきですがいかがですか。

もう一つは原発についてです。
知事の答弁を聞きますと、やはり、再稼動について態度を表明できないようです。何も語らないのであれば、知事選挙への出馬の資格さえないと言わざるを得ません。
たとえ国が安全と言おうと、どんなメリットがあろうとも、それがいったい県民の命と財産とを上回る価値があるのでしょうか。

「原発事業所の都合を優先するのか」
「何よりも県民の利益を優先するのか」
これがいま知事に問われていることです。

知事選挙を前に、知事が態度表明できる時間はあとわずかです。
答えは「同意」か「不同意」か、2つに1つしかありません。
再稼動には不同意だとキッパリ決断を下すべきですがお答えください。

以上で再質問を終わります。

〔知事〕

再質問にお答えいたします。

まず、県広域中央水道の料金の値下げについて、霞ヶ浦導水事業の計画が変更されたことによって、完成予定が平成35年度まで延長されたことによって、この料金の引き下げが可能になったということでございます。
これは一時的なものでございまして、供用開始、完成すれば、当然、管理負担金や減価償却費が発生してまいります。従いまして、その時点で当然、何らかの対応というものが必要になってくるわけでございます。

一方で料金を下げておくことによって今、受水率が低い状況にある所が県の水道を使ってくれれば、売上げが増えるということで、全体として何とかやっていけるのではないかという計算をした上でこういった対応に踏み切らさせていただいたところでございます。

東海第二原発について態度表明をということでございますが、今、広域避難計画その他色々と作成に取り組んでいるところであります。
そういったことを含めて、国の方で原発がある地域については、そういう体制の整備をしなさいと言ってきているわけでございます。そういった中で国がやる、やらないをはっきりさせないうちに県として受ける、受けないを言っても、また、結局受け入れないと言っても広域避難計画その他なども作っていかなければいけないわけでございます。
そういったことを考えると、今の段階で判断すべき材料というものが揃っているとは私は考えておりませんので、態度は表明させてもらっていないところでございます。

再々質問

水道料金について再々質問をいたします。
つまり、中央広域水道の値下げについては平成35年度までのもので、一時的なものと知事はいま述べられましたが、それならその後は値上げするという事なのでしょうか。
やはり私たちは導水事業、そして八ッ場ダムからの撤退を求めて、そして、上水道の県南鹿行、県西地域を含めて値下げすべきと考えますが、再度お答えください。

〔知事〕

県央広域水道につきまして、値上げが必要になるかということにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、供給水量が増加していくことによって、揚合によれば値上げをしなくても済むかもしれませんし、その辺の状況につきましては、今後、各市町村が自分のところで水を確保するよりも、県水を使ったほうが安いと判断してくれるかどうかということにかかってくると思います。

それから、今八ッ場あるいは霞ヶ浦導水をやめたらどうかということにつきましては、それは治水、利水、各方面での効果というものも考えた上での対応でございますから、この、料金云々ということだけですぐ判断できるものではないと思っておりますし、必要性は変わっていないと思っております。

今、暫定水利権でやっと確保している水につきましては、いろいろと、それぞれの家庭で使ってもらっている、あるいはまた、有力な企業で使ってもらっている、大変な需要が現在生じているところでございますので、それを今切られてしまったのでは、社会経済情勢上、大変大きな混乱が生じてくるわけでございますので、そういったことにつきましては、県としてはとるべき方向ではないと思っております。

以上

動画はこちらから

上野高志県議の一般質問(PDF)

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