2016年12月定例県議会最終日 上野たかし県議が討論

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「暮らしあたためる予算こそ必要」
12月定例議会速報 上野たかし県議が最終日討論

 
日本共産党の上野高志です。通告に従い討論を行います。

◇「経済対策」の名で茨城空港「利活用」と新たな道路建設

第130号議案「一般会計補正予算」について、187億円の増額のうち、道路直轄事業負担金と、地方道路整備事業に30億4千万円を使うものです。国体やオリンピックに向けて、茨城空港と常磐自動車道を結ぶ道路建設に、総事業費162億円、今補正で6億円です。空港の利用促進のために、どれだけ巨額の県税投入を続けるのでしょうか。よって反対です。

政府の補正予算は、過去最高の28兆円の経済対策を打ち出しました。これ自体が、消費税の増税や、年金、医療、介護、福祉などの改悪により、国民生活が立ち行かなくなっていることの証明です。戦後初の2年連続で個人消費がマイナスとなっている時期に、何よりも暮らしを温める予算こそ必要です。ところが、国はリニア新幹線建設、県は新たな道路整備優先の補正予算となっています。

第136号議案、職員給与の一部改定については、配偶者手当を13,000円から6,500円へと半減し、特別職の期末・勤勉手当を0.1カ月分引上げ、55歳を超える職員の昇給の停止、手当や昇給への成果主義導入であり反対です。

◇過大な水道施設計画を見直し高い水道料金の引き下げを

認定第1号のうち、水道事業会計決算については同意できません。平成27年度は収益的収支で32億円の純利益となったほか、企業債残高も21億円減少するなど経営改善が図られる一方、市町村からの料金値下げ要望には依然応えていません。県は八ッ場ダム等の新たな水源開発や、過大な水道施設計画を見直すとともに、料金引き下げに踏みきるべきです。

◇圏央道や常陸那珂港、霞ケ浦導水事業等への税金投入やめよ

認定第2号、一般会計・特別会計決算に反対です。
27年度は介護保険料が全市町村で平均15%も値上げされ、私どもは軽減策として県補助を求めましたが実施されていません。県債残高は303億円増え、2兆4,154億円と過去最高。うち通常県債約1.2兆円の7割が、土木や農林の公共事業費です。国直轄事業への県負担は272億円余で、圏央道や常陸那珂港、霞ヶ浦導水事業等への税金投入の見直しを求めます。土地開発の破たん処理に38億円、10年間で2,120億円という巨額の県費が投入されました。子育て、教育、若者支援への予算こそ増やすべきです。

請願・第5号、6号の私学助成の増額を求める請願の不採択に反対です。文部科学省の調査結果を見ると、私立高校の入学金・授業料・施設整備費の合計は、本県が82万円と、全国平均の71万円と比べ高額です。高校生の3割、幼稚園児の7割が学ぶ私学への助成を抜本的に増額すべきです。

◇家庭教育の名で、親に「義務」押しつけ

議第18号「茨城県家庭教育を支援するための条例」は、公権力が保護者に対し、「子どもの教育につい」て、「第一義的責任」の「自覚」や、「愛情をもって接すること」を求めていますが、条例によって子育てのあり方や、保護者の義務を規定することに同意できません。さらに、障がいのある子ども、問題行動を起こす子どもを持つ親などを追い詰め、「すべて親が悪いから」という風潮を生みかねません。
子どもや家庭を支援するというなら、教育や子育ての経済的負担軽減をすすめ、貧困をなくし、親の働き方を改善するなど、豊かな家庭生活を送れるよう支援を拡充すべきです。

◇これ以上の議員定数削減に反対

議第19号は、県議会議員の定数を削減する条例です。政令市のある都道府県を除き、人口当たりの議員定数が全国一少ない本県の、定数をさらに減らすことに反対です。

議第20号は議員報酬を、今より月額5万円増やすものであり、とうてい県民の理解は得られません。よって反対です。
意見書第24号は、後期高齢者医療保険料の「特例軽減」継続を国に要望するものであり、採択を求めます。現在、本県では特例軽減により、26万3千人の後期高齢者が保険料を軽減されていますが、国は来年度に打ち切ろうとしています。これにより保険料が2倍から10倍に跳ね上がり、低所得の高齢者に大幅な負担増となります。

以上で討論を終わります。

茨城県議会は毎年、正・副議長や議会常任委員会の委員が変わります。日本共産党3名の新しい所属委員会は次の通りです。

  • 山中たい子(総務企画委員会、情報委員会)
  • 江尻かな(防災環境商工委員会、議会運営委員会、予算特別委員会)
  • 上野たかし(保健福祉委員会)

県民の願い受け日本共産党が意見書を提案

日本共産党が提案した意見書は、議会最終日に自民・公明・民主などの反対で、残念ながら否決されました。

後期高齢者の保険料軽減特例の継続を求める意見書(案)

後期高齢者の保険料軽減特例は、制度の円滑な運営を図る観点から政令本則に規定された軽減に加えて導入されました。2008年度以降、国の予算措置により継続されていますが、8年を経過し制度としてすでに定着しています。本県の後期高齢者医療広域連合の2016年度予算では、低所得者約23万6千人、元被扶養者約2万7千人が特例の対象者となっています。

国においては、2015年1月13日に開催された社会保障制度改革推進本部において、医療保険制度改革骨子が決定され、「後期高齢者の保険料軽減特例(予算措置)の見直し」が盛り込まれました。その中で、保険料軽減特例については「段階的に縮小」し、「平成29年度(2017年度)から原則的に本則に戻す」ことが示されました。

今回の保険料軽減特例の見直しは、低所得者における保険料負担の大幅な増加につながるものであり、年金の段階的引き下げや、生活必需品の値上がりなどにより、後期高齢者を取り巻く環境が極めて厳しい状況であることを考え合わせると、安心して医療を受けるためには保険料軽減特例を継続することが必要です。
よって政府において、後期高齢者の保険料軽減特例の見直しを行わず、国による財源確保のうえ、恒久的な制度とするよう求めます。

MV22オスプレイの飛行中止と配備撤回を求める意見書(案)

今月13日夜、沖縄県米海兵隊普天間基地(宜野湾市)配備の垂直離着陸機MV22オスプレイ1機が、名護市安部(あぶ)の沿岸部に墜落しました。防衛省は「不時着」と発表しましたが、岩礁でバラバラに大破した機体を見れば、墜落であることは明白です。さらに同基地所属の別のオスプレイ1機も、同日夜に基地に胴体着陸していたことも分かっています。
沖縄県内全41市町村の首長と議会議長、県議らは2013年1月、「オスプレイ配備の撤回」を求め、日本政府に「建白書」を手渡していましたが、オスプレイの危険性が現実のものとなりました。

ここで看過できない問題は、墜落原因の究明もないまま事故からわずか6日目に飛行が再開されたことです。さらに米軍のこの決定に稲田防衛大臣が「理解できる」としたことは、到底容認できるものではありません。安倍首相も「飛行の安全確保が大前提だ」と述べるだけで、オスプレイ配備容認の姿勢を変えようとしていません。

普天間基地配備のオスプレイは、横田基地(東京都)、厚木基地(神奈川県)、キャンプ富士(静岡県)、岩国基地(山口県)などにも飛来し訓練を繰り返しています。本県にある航空自衛隊百里基地でも、航空観閲式にオスプレイが飛来・展示されたことに県民から抗議の声があがりました。今回の墜落事故は、全国各地の住民の安全にも関わる大問題です。
よって、オスプレイの飛行中止と配備撤回を強く求めます。

南スーダンPKOから自衛隊の即時撤退を求める意見書(案)

政府は2016年11月15日、南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派遣している自衛隊に対し、安保法制の本格的な運用に基づく「駆け付け警護」「宿営地共同防護」の新任務付与を閣議決定しました。これをうけ、同任務は12月12日から実行に移されています。

南スーダンでは、2013年12月以降、大統領派と前副大統領派の内戦が全土に広がり、2016年7月の首都ジュバでの大規模な戦闘では数百人が死亡し、国連施設も政府軍から攻撃・襲撃を受けています。国連人権理事会専門化委員会委員長は今月14日、理事会特別会合で演説し、「南スーダンは全面的な民族間の内戦に陥る危機に直面している。地域全体を不安定化させかねない」と警鐘を鳴らしています。

任務遂行のための武器使用も認められた自衛隊が「駆けつけ警護」を行えば、政府軍との交戦の可能性も生じます。まさに、自衛隊創設以来、初めて戦闘によって自衛隊員が命を落とす、あるいは、相手の命を奪うという事態になりかねません。海外での武力行使を禁じた憲法9条を蹂躪する安保法制の具体化は到底容認できるものではありません。

11月に公表された国連特別調査報告書では、今年7月の戦闘によって、大統領と前副大統領との「和平合意」は「崩壊」したと断定していることは重大です。もはや「PKO参加5原則」の停戦合意の破綻は明瞭となっています。にもかかわらず、政府は「衝突は起こっているが戦闘ではない」などと詭弁を弄していますが、このような言い分は国際社会で通用するものではないと言わざるを得ません。

いま政府がやるべきことは、紛争解決への外交努力、非軍事の人道支援、民生支援の抜本的強化に努めることです。
よって、政府において、南スーダンPKO部隊への新任務付与を直ちに撤回し、即時撤退させることを強く求めます。

以上

2017年も日本共産党県議団は、引き続きみなさんの声を県はもちろん、国や市町村に届けがんばります。

日本共産党茨城県議団ニュース2017年1月号(PDF)

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