2016年6月定例県議会最終日 江尻かな県議が討論

項目

放射性廃液漏れ・東海第2原発は廃炉に
2016年6月定例会 江尻かな県議が討論

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6月県議会で、山中議員が10日の本会議一般質問に立ち、21日の最終日に江尻議員が討論を行いました。
討論の全文は以下の通りです。

日本共産党の江尻加那です。通告に従い、討論をおこないます。

保育士要件の規制緩和ではなく処遇改善を

第95号議案は、認定子ども園で働く職員の資格要件を緩和するものであり、反対です。

保育行政には、0歳からの乳幼児の特性にそって成長を促し、安全な保育を保障することが求められています。政府は待機児童緊急対策として、「小学校教諭の資格を持つ人」や「一定の研修を受ければ無資格者でもよい」とさまざまな規制緩和をすすめていますが、これは保育現場をまったく理解せず、子どもにたいしても無責任というものです。全国には保育士の資格を持ちながら、働いていない潜在保育士が76万人もいます。低賃金と長時間・過密労働が問題です。
いま、国がとるべき施策は、規制緩和ではなく保育士賃金の大幅引き上げと、職員の配置基準是正ではないでしょうか。

県下水道事務所の民間委託で公の責任後退

第97号議案は、霞ヶ浦常南流域下水道など、6つの流域下水道に指定管理者制度を導入するものです。これで県内すべての流域下水道が指定管理者になってしまいます。非常時・緊急時に対応する公的責任を果たすためにも、知識と経験をいかした県職員が不可欠です。よってこの議案には同意できません。

石炭灰を埋め立て続ける常陸那珂港建設は中止を

第101号、102号議案は、東京電力常陸那珂火力発電所の石炭灰の廃棄物最終処分の二期事業として、総事業費830億円のうち、本議案は97億円余の工事請負契約であり、反対です。現在、北埠頭で1号機、2号機が稼働中ですが、東京電力は中部電力と共同で新たに3号機を建設し、2019年度稼働の計画です。火力発電所の増設は、CO2削減、脱石炭の世界の流れに逆行するものであり、環境省も懸念を示していました。発電により、長期的に、大量に石炭灰が発生し、石炭灰の種類によって重金属の有害物質も検出されています。海を、企業が我が物顔で廃棄物を埋立て、県は港建設のためとして事業を進めているのです。二期処分場の埋立量は1,000立方メートルであり、これほど大規模な石炭灰埋立は全国に例がありません。環境破壊とムダ使いの事業は中止すべきです。

ストップ格差拡大!赤字企業への課税強化やめよ

報告第2号は、地方自治法に基づく専決処分ですが、そのうち県税条例等の一部を改正する条例に反対します。法人事業税について、資本金1億円を超える企業の所得割を引き下げ、外形標準課税を引き上げる改定です。一般的に稼ぐ力のある企業は減税となる一方、赤字企業は増税になる可能性があります。利益に応じた応能負担の原則に逆行するものであり、格差を広げたアベノミクスを加速させる税制改定は認めらません。

沖縄・原発・消費税―日本共産党が意見書提出

なお、このあと議題となる議第8号、9号、10号の意見書について、可決を求めます。

議第8号は、沖縄県で、元海兵隊員の凶悪な犯罪により、20歳の女性の命が無残にも奪われました。平和に生きたいという願いを踏みにじる蛮行に、強く抗議する意見書です。米軍基地があるがゆえに繰り返された犯罪事件は5,910件となり、県民の怒りと悲しみは限界を超えました。19日、沖縄県那覇市で、被害者を追悼し、沖縄県民大会が6万5千人の参加で開かれ、海兵隊の撤退を求める決議が挙げられました。日本政府の断固たる対応を求めるものです。

議第9号は、東海第二原発の廃炉を求める意見書です。昨日、原子力規制委員会は、高浜原発1・2号機の20年延長を認可してしまいました。東海第二原発も、間もなく40年の運転期限を迎える老朽原発です。かつ、東日本大震災でM9の地震と津波の被害を受けて被災しました。今月2日の放射性廃液漏えい事故は、いまだ原因特定さえできていません。安全を保障できない無謀な再稼働や運転延長はやめるべきです。

議第10号は、消費税の10%への増税は先送りでなく中止し、応能負担の原則立った税制への改革を求める意見書であり、可決を求めて討論を終わります。

以上

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日本共産党提出の3つの意見書

沖縄県における元海兵隊の米軍属による凶悪事件に関する意見書(案)

4月28日から行方不明となっていた沖縄県の20歳の女性が、5月19日に遺体となって発見された。沖縄県警は同日、死体遺棄の容疑で嘉手納基地で働く元海兵隊員で米軍の男を緊急逮捕した。

我が国はこれまでも、米軍人・軍属等による事件・事故が発生するたびに綱紀粛正、再発防止及び関係者への教育等を徹底するよう米軍等に申し入れてきたところである。この事件に続く6月4日夜にも、海軍兵が飲酒運転による自動車事故を起こし、沖縄県民が重傷を負う等の事件が発生するなど、米軍基地があるがゆえの事件・事故の再発に激しい憤りを禁じ得ない。

よって、本県議会は、今回の事件に対し厳しく抗議するとともに、政府に対し下記の事項が速やかに実現されるよう強く求めるものである。

  1. 米軍人・軍属等の犯罪を根絶するための対応を速やかに米政府と協議すること。
  2. 国民の生命・財産・人権を守る立場から、日米地位協定の本的改定を行うとともに、沖縄県の基地負担の軽減を図ること。
  3. 沖縄県民の願いである普天間基地の移設は断念し撤去するとともに、米軍基地の大幅な整理・縮小を図ること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

東海第二原発の廃炉を求める意見書(案)

日本原子力発電東海第二原発所内の廃棄物処理施設で6月2日、750リットルの放射性廃液が漏洩する事故が発生した。現在に至るも、漏洩箇所についてもその原因についても特定できていない状態である。

今回漏れ出た廃液には、コバルト60等の放射性物質が1リットル当たり37万ベクレル含まれ、配管金属の腐食や疲労が原因ではないかと疑われる。原子炉や配管などのステンレス鋼材は、中性子が当たり続けることによって劣化し、亀裂が入りやすくなる。これは避けがたい法則であり、原発の運転期間は原則40年とされた。関西電力伊方原発でも一昨年、配管からコバルト60等の放射性物質が漏洩し、その配管が32年間一度も交換されていなかったことが明らかとなっている。

問題は、県への通報連絡が漏洩発見の14時55分から2時間以上も経った17時7分であったこと。事業者は、漏洩物質の特定等に時間を要したなどと説明しているが、その初動対応にこそ、事業者の安全軽視の体質が示されている。

日本原電は、たび重なる事故通報の遅れを反省し、2005年通報連絡の3原則(1.徴候を確認した時点で通報連絡。2.要否の判断に迷ったときは必ず連絡。3.情報収集に時間を要する場合、まず一報)を社内規定に明記した。この、みずから決めた三原則も守れず、どうして住民の安全が守れるのか、事業者の姿勢が厳しく問われる。

東海第二原発は、間もなく40年の運転期限を迎える老朽原発である。かつ、東日本大震災でM9の地震と津波の被害を受けた被災原発であり、ただちに廃炉を強く求める。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

「応能負担」の原則に立った税制への改革を求める意見書(案)

内閣府が発表した2015年度の実質国内総生産(GDP)の中で、個人消費は前年度比0.3%減となり、2014年度に続いて、戦後初めて2年連続のマイナスとなった。個人消費はGDPの6割を占める日本経済の中核である。一昨年の消費税8%への増税が国民の購買力を奪い、消費の落ち込みをもたらした結果であり、いまや日本経済は深刻な「増税不況」に陥っていると言わざるをえない。

安倍政権は国民には消費税増税を押し付ける一方で、大企業には法人税を連続的に引き下げ、2000年当時、30%だった法人税基本税率は、今年度は23.4%に、2018年には23.2%まで引き下げようとしている。さらに研究開発減税をはじめとした多くの優遇税制によって減税のバラマキが行われてきた。その結果、消費税創設以来、28年間の消費税収の累計額は327兆円にも達するが、法人3税は累計で270兆円も減収となっている。消費税の大半が法人税減収の穴埋めに消えてしまった勘定となる。

この間、富裕層への減税も繰り返されてきた。所得税・住民税、相続税・贈与税の最高税率の引き下げや、11年間続けられた証券優遇税制などによって減税の大判振る舞いが行われてきた。
税は能力に応じて負担する「応能負担」が原則である。所得課税では高所得者には高い負担、低所得者には低い負担を課す、利子・配当・不動産などの高額な資産所得を得ている富裕層にも応分の負担を課す、さらに最低生活費を侵す課税は許さないというのが憲法上から導き出される負担公平の原則である。

よって政府において、「応能負担」の原則に立った公正で民主的な税制へと転換するため、以下の点を強く求めるものである。

  1. 最悪の不公平税制である、消費税の10%への増税は、先送りではなく中止すること。
  2. 大企業優遇税制を抜本的に見直すこと。
  3. 所得税の最高税率を引き上げ、高額な株取引や配当への適正な課税を行うなど、富裕層への課税を強化すること。

以上、地方自治法99条の規定により意見書を提出する。

日本共産党茨城県議団ニュース2016年6・7月号(PDF)

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