2016年9月茨城県議会 上野高志県議の一般質問
〈質問事項〉
- 安全で安心して暮らせる社会づくりについて(答弁・知事)
(1)障がい者福祉の充実
(2)障がい児保育と公立保育所の拡充
(3)子どもの貧困と就学援助制度(答弁・知事/教育長)
(4)生活道路整備の拡充
(5)県営取手競輪場の廃止とまちづくり - 水行政について(答弁・知事)
(1)八ッ場ダム事業の増額不同意と撤退
(2)水道料金値下げ - 原子力行政について(答弁・知事)
(1)東海第二原発の再稼働中止
(2)避難計画
項目
1. 安全で安心して暮らせる社会づくりについて
日本共産党の上野高志です。
昨年9月の関東東北豪雨災害から1年を迎えました。先月は岩手県や北海道で、河川氾濫による甚大な被害が発生しました。心よりご冥福とお見舞いを申し上げます。熊本地震による被害も、いまだに大きく爪痕を残し、5年半が経過する東日本大震災と福島原発事故では、なお9万人を超える方々が自宅に帰れずにいます。
相次ぐ自然災害と、最悪の原発事故が突き付けた教訓を謙虚に受け止め、安全で安心して暮らせる社会づくりについて伺います。
(1)障害者福祉の充実
まず、障害者福祉の充実についてです。
神奈川県で起きた県立障害者施設やまゆり園での殺傷事件は、私たちに大きな衝撃を与えました。
今回の事件を受け、障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会・副会長の新井たかねさんは、次のように述べています。
「人間は人権や尊厳を学びながら優生思想を克服する努力を重ねてきた。いま、政府から自立自助や自己責任が強調され、困難を抱える人たちに対する差別や排除が強まっている。障害のある人もない人も、公的保障のもとで多様な生き方を認め合う社会を実現することが、政治と行政のもっとも根本的な責務ではないか」。
これに対し、昨年11月に問題となった、本県教育委員の発言は、「生まれてからでは大変。妊娠初期にわかればいい。減らしていける方向になったらいい」というものでした。知事は当初、「問題ない」と批判をあびました。
橋本知事の6期23年は、強い大企業を応援し、国言いなりの県政でした。一方で、高齢者、子どもたち、障害者の予算を減らし、特別支援学校の一人当たり教育予算は、全国下から2番目です。弱い立場の人々をないがしろにし、予算を削減し続けてきました。これは優生思想につながるものではないでしょうか。
「生まれて来なければ良かった」という命など、この世の中には一つもないはずです。知事は今回の神奈川県の事件を、どのように受け止めておられるでしょうか。
本県にも県立の障害者入所施設「あすなろの郷」が水戸市にあります。
私は先日、施設を訪ね、指定管理者の社会福祉事業団の所長などから話を伺いました。500名近い入所者が12の寮に分かれて生活していますが、古い7つの寮は、当時の面積基準のままで1人あたり3.3m²と、現行基準の3分の1という狭さです。そして、職員379名が働いていますが、約4割が嘱託・臨時職員で、民間施設よりも高い比率です。県が10年間で10億円もの人件費を削ってしまったためです。
私どもはこれまでも、施設の老朽化や狭隘化、人件費の削減を問題とし、改善を求めてきました。あすなろの郷の早急な改築と、職員を正職員として処遇改善すべきです。
「親亡き後」のわが子を心配する声は切実です。親が高齢になり、家の近くにわが子の入所施設を望んでいます。県内には民間施設など80カ所の障害者入所施設がありますが、地域的に大きな偏りがあります。取手・龍ケ崎障害福祉圏域は4施設と、一番少なく、定員は160名です。水戸圏域と比べ、人口10万人当たり6分の1しかありません。障害福祉圏域ごとに、必要とされる障害者入所施設を整備していく県の計画が必要です。
以上4点について、合わせて知事の所見を伺います。
〔知事答弁〕
上野高志議員のご質問にお答えいたします。
初めに、安全で安心して暮らせる社会づくりについてご質問いただきました。
まず、障がい者福祉の充実についてでございます。
神奈川県立津久井やまゆり園の事件につきましては、その報に接した時、大きな衝撃を受けました。大変痛ましく、被害に遭われ亡くなられた方々に心よりご冥福をお祈りいたしますとともに、負傷された方々の1日も早い回復をお祈り申し上げます。
報道等によりますと、事件の容疑者は、障害のある人の命や尊厳を否定するような供述をしていると伝えられておりますが、このような考えは、到底許すことはできません。
このような事件が再び起きないよう、障がい者への誤解、偏見などを解消するための取組を推進しますとともに、県内の入所施設等の利用者の安全確保に引き続き努めてまいります。
次に、県立あすなろの郷についてです。
まず、老朽化等の課題に対しましては、建て替えを視野に入れながら、今後のあり方について検討を行うため、外部有識者などで構成される「県立あすなろの郷検討委員会」を設置したところです。
今月1日に開催した第1回目の委員会では、あすなろの郷が持つべき役割や機能、運営面の課題などについて議論が行われました。今後、国や他県の動向も見据えながら更に検討を進めてまいります。
また、非正規職員についてお尋ねをいただきました。
事業団においては、嘱託職員等非正規職員の全体に占める割合を他県の類似施設と同程度の水準にしているところであります。これは、サービスの質を確保しつつ、経営の効率化を図る観点から、やむを得ないものと考えておりますが、事業団では、毎年、勤務成績を勘案して正職員に登用するよう努力しているところでありますので、ご理解を頂きたいと思います。
次に、障害福祉圏域ごとに必要とされる障がい者入所施設の整備についてでございます。水戸圏域と取手・龍ケ崎圏域の人口当たりの入所定員の比が6分の1の差とのご指摘ですが、県立あすなろの郷やリハビリテーションセンターが立地しているという特別の事情がある水戸圏域と、取手・龍ケ崎圏域及びつくば圏域を除いた6つの圏域では、人口当たりの入所定員数は大きな開きはございません。
一方、両圏域において、人口当たりの定員数が低い理由を調べたのですけれどもなかなか明確ではありません。人口増に施設整備が追い付かないことや、入所施設を整備するための土地の手配が困難なことなども一因ではないかと推測しているところであります。
近年、入所施設については、民間施設として整備が進められる例が多く、牛久市や龍ケ崎市においても、民間の入所施設が新たに整備されております。
民間による施設整備については、運営の持続可能性など検討をすべき課題も多く、運営主体の判断を尊重せざるを得ない状況にありますが、今後、地域の実情や広域での利用調整状況を踏まえ、入所施設の新設や定員増について、社会福祉法人等と話し合いを進めてまいりたいと考えております。
(2)障がい児保育と、公立保育所の拡充
次に、障がい児保育と公立保育所の拡充についてお聞きします。
障害手帳、療育手帳を持っている子どもや、特別な配慮を必要とする子どもがどれくらい保育所に入所しているか、県はその実態を把握しておりません。さらに、障がい児を受け入れた場合の、公立保育所での保育士加配や、民間保育園への補助状況についても、つかんでおりませんでした。これでは、県の役割が果たせるはずがありません。
日本共産党県議団は本年4月に、市町村の保育実態を調査しました。そこで明らかになったのは、市町村間に大きな格差があることです。障がい児を受け入れる民間保育園に、つくば市は保育士加算月9万円、ひたちなか市は子ども一人当たり8万円を補助する一方、約4割の市町村には独自の補助がありません。国の療育加算ではまったく不十分です。県内すべての市町村で、公立、民間を問わず、障がい児保育が保障されるよう、県制度としての補助実施を求めます。
さらに、公立保育所が、民間保育園の4倍から5倍の割合で、障がい児を受け入れています。ところが、公立保育所が廃止・民営化され、本県で10年間に36カ所もなくなっています。公立保育所に対する国庫補助の廃止が原因です。そこで、公立保育所の民営化や統廃合をやめるよう市町村への支援を求めます。
以上、知事の所見を伺います。
〔知事答弁〕
障がい児保育に対する支援につきましては、子ども・子育て支援新制度の施行に伴い、保育所が障がい児を受け入れ、地域住民等の子どもの療育支援に取り組む場合に、新たに「療育支援加算」として運営費に上乗せされ、対象となる施設には一律に加算されることとなりました。
また、障がい児の在籍数に応じて、障がい児保育を担当する保育士加配のための市町村単独の補助事業につきましては、療育支援加算の開始に伴い廃止又は休止した市町村もあると聞いております。
わたくしは、療育支援加算制度が創設され、今後ともこの制度により対応していくのであれば必要額が賄えるように、実情にあわせてその加算額の引上げを求めていくのが本筋ではないかなと考えております。
また、市町村が行う障がい児保育に係る補助事業につきましては、その財源が地方交付税で措置されているところでありますので、保育の実施主体である市町村が補助するかどうかを判断していくべきものであると考えております。
次に、公立保育所につきましては、統廃合や、施設の建て替え等に伴い、その運営を新たに民間に移譲する事例等も見受けられます。
保育所の運営形態を、公立として運営するか、あるいは民間として運営するかの選択は、保育の実施主体である市町村が保育ニーズや地域の実情に応じて判断することが適当であります。
民間の保育所でも、通常の保育時間を超えた延長保育や休日保育の実施施設も多く、また、専門の講師による英語や音楽、体操教室を取り入れた保育など、公立以上に良い保育を行っているところも多く、一律に民営化を抑制すべきであると考えることは適切ではなく抑制するための市町村への支援は考えておりません。
なお、保育所における障がい児保育をはじめとする保育は、保育所保育指針や県が定める保育所の設備及び運営に関する基準に基づき、民間保育所も公立保育所と同様に実施され、設置主体を問わず、保育の質が確保されなければならないこととされております。この保育内容につきましては、保育所への定期的な指導監査により適切な運営を確認しますとともに、各市町村においても、子どもの状況に応じた保育の提供に取り組んでいるところでございます。
県といたしましては、県内の保育関係団体との意見交換会などを通じて現場の実情の把握に努めますとともに、今後も引き続き保育士に対する研修会などを積極的に開催し、公立や民間ともに適切な障がい児保育が実施できるよう支援してまいります。
(3)子どもの貧困と就学援助制度
次に、子どもの貧困と就学援助制度についてです。
2012年の全国子どもの相対的貧困率は16.3%、約6人に1人となっています。しかし、本県は調査しておらず、その実態が把握されていません。こうした中、沖縄県が初めて県内調査を実施しました。毎日の食事や学校生活、友達との関係や自己肯定感など、子どもの状況を広くつかもうと工夫されています。また、保護者に対しては、就学援助の利用や進学に対する意識、自らの子ども時代の困窮・経験などが調査されています。本県でも、子どもの貧困の調査を実施すべきです。知事の所見を伺います。
次に、教育長に対し、小中学校の就学援助について伺います。本県の就学援助率は7.1%で、全国平均の半分以下となっています。
加えて、市町村間で、世帯の収入基準や援助費目、周知方法や申請などに大きな差が生まれています。7年前から中学生の部活動費が援助対象にされましたが、支給している市町村はわずか4分の1です。
また、小・中学校の新入学時の援助額はわずか2万円程度で、多くの市町村は支給時期が7月となっています。しかし、制服やランドセル、学校指定の学用品の購入には10万円程度かかります。ある制服販売店は「保護者から『支払い時期を待ってほしい』と頼まれることも少なくない」と話しています。支給時期を2月、3月に早め、援助額を引き上げることが必要です。
市町村における就学援助の取り組みを促進することについて、県の対応を教育長に伺います。
〔知事答弁〕
まず、子どもの相対的貧困率についてでございます。
子どもの相対的貧困率については、「国民生活基礎調査」を基に推計されておりますが、実施主体の国からは、都道府県別の元データの提供や、都道府県別の推計算出が困難であるとの回答を得ております。
地方自治体単独での調査につきましては、平成27年度に沖縄県が調査した例がございますが、国と同様の調査方法で実施した場合多額の費用がかかるため、国とは異った独自の方法で実施したものと聞いております。
子どもの相対的貧困率のデータを有効に活用するためには、各県のデータが比較可能となるよう、全ての都道府県が同じ方法で調査を実施することが望ましく、国が直接調査を実施するか、あるいは全国的に統一された方法を国が示し、各都道府県が調査を実施すべきであると考えております。
県単独で多額の経費をかけて実施しましても、全国平均との比較しか出来ず、費用対効果という面でも得策ではないと考えております。
なお、報道によれば、山形大の准教授の調査として、相対的貧困率は、本県は、低い方から3番目となっているところであります。
いずれにいたしましても、御質問の趣旨を踏まえながら、国に対して子どもの貧困の実態を都道府県別に算出する調査の実施について、要望してまいりたいと考えております。
なお、本年3月に策定した、「茨城県子どもの貧困対策に関する計画」については、生活保護世帯数やひとり親家庭数の推移、大学や高校の進学率等子どもの貧困問題に関係するデータを用いて現状の把握及び課題の整理を行い、策定をしたところであります。
〔教育長答弁〕
この就学援助制度のうち、準要保護の認定基準は市町村が決定しておりますが、平成25年度の生活扶助基準の見直し後、国の通知を受け、県では就学援助の対象者に影響が及ばないよう再三に渡り対応を求めてまいりました。
こうした中、市町村では、単純に生活扶助のこの基準だけではなく、生活の実情を踏まえ、幅広い視点から認定が行われております。
また、平成27年度の国の調査におきましても、本県では全市町村において影響が生じていないという結果になっており、適切な認定が行われているものと考えております。
また、準要保護者に対する援助費目につきましては、市町村のよって異なる状況があり、ご指摘のように、部活動費等の支給に差が生じております。
これにつきましては、この援助費が、国の地方交付税措置の対象になっていることを勘案し、今後こうした財源措置があることを前提に、市町村に対し就学援助にかかる内容の更なる充実について働きかけてまいりたいと考えております。
また、制度の周知につきましては、毎年、市町村に対しまして、援助が必要な児童生徒の保護者にきめ細かな広報等を行うよう通知をしており、市町村では、入学前等に説明を行ったり、進学時に就学援助の書類を配布したりするなど、周知に努めているところでございます。
今後は、市町村の効果的な周知の取組事例などを紹介し、さらなる周知の充実を働きかけてまいります。
また、援助費、特に新入学学用品費の支給時期につきましては、学期末となる7月に支給している市町村が多く、この場合、保護者が一時的に立て替えて支払うこととなり、負担が大きくなっております。
支払い時期を早めることにつきましては、入学前の援助対象者を、どう把握し認定するかといったことなど手続き上、難しい問題もございますが、全国的には実施事例もございますので、県としましてはこうした情報を把握し、市町村に提供しますとともに、必要な時期に必要な支給が行われるよう働きかけてまいります。
さらに、新入学学用品費の援助額の引き上げについてでございます。この援助額につきましては、市町村において国の要保護児童生徒援助費補助金の補助単価を参考に決定しておりますが、この補助単価について、国の来年度予算の概算要求におきまして実勢価格等を踏まえた改定が盛り込まれておりますので、その動向を注視してまいりたいと存じます。
県としましては、子どもたちの将来が生まれ育った環境に左右されることなく、安心して学ぶことができるよう支援していくことが重要と考えておりますので、今後とも、就学援助制度の充実について市町村に働きかけてまいります。
(4)生活道路整備の拡充
次に、生活道路整備の拡充について知事に質問します。
安心安全の道路整備への要求が多くの方々から寄せられています。
「県道の草が伸びていて走ってくる車が見えづらい」
「高齢になって自転車にしたが、歩道には土砂が溜まり走れない。車道に出れば後ろから来る車にひかれそうだ」
「中央分離帯や停止線が消えていて、雨の日や夜の運転がこわい」。との声をうかがいました。
除草を行う道路維持修繕事業費は、10年前と比べ4,500万円も減らされています。舗装・補修費は、ピーク時の4分の1にまで激減しています。
工事事務所は「除草を年2回から1回に、刈り取り幅を1メートルから70センチにして何とか維持している」と話しています。
舗装・補修と、道路除草予算を増やすべきだと考えますが、知事の所見を伺います。
〔知事答弁〕
県におきましては、約4,200kmの国道及び県道を管理しており、道路利用者や沿道の住民の方から安全性や快適性が強く求められている中、日々、適切な維持管理に取り組んでいるところであります。
まず、舗装補修につきましては、車両の大型化や土地利用の変化に伴う交通量の増大などにより、舗装の劣化、損傷が進行し、補修を必要とする区間が増加しますとともに、管理瑕疵による事故件数も増加傾向にあります。
このため、昨年度、学識経験者などによる検討委員会を設置し、従来の「壊れたら直す」という対応から「計画的な維持管理」へ転換することを目指し、舗装維持修繕計画を策定したところであります。
この計画では、大型車の交通量や地域特性により5グループに分類し、そのグループ毎に舗装の劣化度合いに応じた修繕工法を定め、これに基づいた維持補修を実施しますとともに、定期的な追跡調査や修繕工法の妥当性の検証などを行うことにより、メンテナンスサイクルを構築し、ライフサイクルコストの縮減を図っていくこととしております。
また、今年度は、従来の舗装修繕事業と併せて、新たに創設した県単独事業の「道路緊急修繕事業」を活用することにより、舗装維持修繕計画に沿って、重点的かつ効率的な維持管理に努めております。
次に、道路除草につきましては、道路の路肩や中央分離帯などにおいて、夏と秋の年2回を基本としておりますが、近年の労務単価や諸経費の増加に伴い除草単価が上昇したことから、除草の刈り巾や回数を減らした区間がありますものの、見通しの悪い箇所や交差点などにおいては、必要に応じて適宜対応している状況にございます。
こういったことから、今年度は、除草を行う事業費を増額いたしますとともに、本定例会において、さらに増額補正するための議案を提出しているところであります。
また、地域住民の方と協働で道路の美化活動に取り組む「道路里親」や「道路除草ボランティア」制度を活用し、多くの皆様の協力を頂きながら、道路の除草に努めているところであります。
今後とも、道路の安全性・快適性が確保できるよう、適正な舗装補修や道路除草に取組んでまいります。
(5)県営取手競輪場の廃止と街づくり
次に、県営取手競輪場の廃止と街づくりについてお聞きします。
取手競輪場は、JR取手駅から徒歩10分の公営ギャンブル場です。1950年に、戦後復興事業として、東京ドーム2つ分の広さを有する競輪場が、市の中心地に開設されました。以来、地域住民は生活環境の悪化に苦しめられてきました。
日本共産党がおこなった市民アンケートには、「公園に転用してほしい」「市民の憩いの場に」などの意見が寄せられました。
競輪事業の現状を見ると、本場入場者数はピーク時に年間116万人でした。昨年度はその1割に満たない10万5千人にまで減少しています。車券売り上げもピーク時の2割程度です。
昨年度の県の一般会計への繰り出しは1億円にすぎません。財源確保を公営ギャンブルに依存することは、もう見直す時期に来ています。
首都圏では、神奈川県は累積赤字が自治体負担になっているため、昨年3月に競輪組合の解散を決めました。千葉市も、今後の赤字を予想して、来年度末をもって廃止する方針を打ち出しています。
取手競輪場については、赤字が懸念されることから廃止にするとともに、県民の意見を聞く機会を設け、新たな県有施設として活用がはかれないか、知事の見解を伺います。
〔知事答弁〕
取手競輪は、昭和25年の開設以来、県をはじめとする施行自治体の一般会計に累計で905億円を繰出しており、貴重な自主財源として県や関係市の財政に大きく貢献してきております。
また、競輪の売上の一部は、公益財団法人JKAを通じ福祉や工業復興のための補助事業に活用されております。
さらに、競輪開催時には、車券発売や警備、清掃、売店などで約450人の方々が働いており、雇用の確保、地域経済の活性化に寄与しているところです。
現在、競輪事業については、景気の低迷やレジャーの多様化などにより全国的に厳しい経営状況にはございますが、取手競輪場においては、平成25年度までに、耐震補強を含めたリニューアル工事による快適な観戦環境を整備しますとともに、施設のコンパクト化や人員の適正配置などによる経費の削減に努めており、継続的に黒字を確保し、本年度も1億円を一般会計に繰出すこととしております。
また、将来的な施設改修に備え、基金積み立てを行うなど長期的視点に立った経営に当たっているところであります。
このような中、来年2月には取手競輪場で初のGIレース「全日本選抜競輪」を開催することとなっており、地元ファンのみならず全国から注目を集めております。
なお、競輪場につきましては、電話・インターネット投票の普及などにより、実際の来場数が減少したといたしましても、競技場として必要な施設でございます。競輪開催以外にも県内唯一の自転車競技施設として、県民総合体育大会などアマチュア大会の開催や地元高校の自転車部の練習場所として利用されており、2019年の茨城国体の自転車競技の会場としても利用されることになっております。
このようなことから、県といたしましては、競輪場は、自主財源や雇用の確保、スポーツ振興の観点から必要なものと考えており、現時点で廃止することは考えておりません。
なお、「住民の意見を聞く場」につきましては、地元自治体から競輪場に対する要望や今後のあり方を含め、全般的に意見をいただく意見交換会を平成13年度より継続的に実施しているところであります。
2. 水行政について
(1)八ッ場ダム事業の増額不同意と撤退
次に、水行政についてうかがいます。
まず、八ッ場ダム事業の増額不同意と撤退についてです。
8月12日、国土交通省は八ッ場ダムの事業費を約5,320億円にする計画変更案を発表しました。720億円の増額です。そもそも八ッ場ダムは、無駄な公共事業として国民の批判を浴びてきたもので、今回の増額が、いかにズサンな計画であるかを、改めて浮き彫りにしたものです。
八ッ場ダム構想を国が発表したのは、60年以上も前の1952年です。それから34年後の当初事業費は2,110億円でしたが、2004年時点で約4,600億円に膨れ上がりました。
民主党政権下で一時建設が中断されましたが、その後安倍政権のもとで本体工事がはじまり、わずか1年半でまたも今回、事業費を増やし、当初の2.5倍以上にまで、肥大化させるものです。
知事は8月30日の記者会見で「もうこれ以上は絶対増やしてほしくない」と述べる一方、「上げざるを得ない」と容認してしまいました。
翌日の「上毛新聞」では、「6都県の中で、増額同意の意思を明らかにするのは初めて」と、知事が他県に先がけて同意したと報じています。同意の理由は、労務単価、資材費の上昇、消費税のアップ、その他としておりますが、これでは、政府のインフレ政策のもと、増額への歯止めをはずしてしまったも同然です。
さらに記者会見で知事が触れなかった地滑り対策、地質調査等に、計356億円の増額にいたっては、これまで60年間、国はいったい何を調査してきたのかと迫るべき問題です。
ましてや、工期延長した2013年の「現地調査報告書」には、はっきりと「総事業費について変更しなければならない情報は得られていない」と記されています。これに反しての総事業費の増額は、認める訳にはいきません。
事業の目的の一つである治水についてはどうでしょうか。八ッ場ダム予定地点は利根川の最上流にあり、ダムの下流に降った雨は一滴も貯めることはできません。関東東北豪雨災害における鬼怒川の堤防溢水、決壊がなによりの証明です。国は茨城の堤防整備率を17%台におさえこみ、湯西川ダムに1727億円もかけ、本県にも治水負担をおしつけてきました。これを堤防整備にまわしていたら、整備率を飛躍的に伸ばし、あのような大災害は防げたはずです。
利水の効果も同様です。八ッ場ダムによる本県の水利権は日量約9万トンです。今でも 46万トン余っており、撤退してもなんの支障もありません。
720億円に及ぶ事業費増額に同意せず、八ッ場ダム事業から撤退すべきです。知事の所見を伺います。
〔知事答弁〕
八ッ場ダムにつきましては、事業が終盤を迎えたことを踏まえ、国ではコストを精査した結果、事業費を増額する基本計画の変更を行おうとしたところであります。
今回の計画変更にあたっては、国の説明を鵜呑みにすることなく、関係都県合同で調査を実施することとし、その結果、当初国から提示された800億円の増額が、720億円にまで圧縮されたところであります。
本事業の必要性でございますが、八ッ場ダムは県南西地域における水道用水の重要な水源となっており、すでにダム完成を前提に、暫定水利権を取得して、8市2町に給水しているところであります。
また、今年は近年にない早い時期から取水制限が実施されましたが、国では過去の渇水に対する八ッ場ダムの効果についてシミュレーションを実施しており、冬と夏をあわせ117日間にも及ぶ取水制限が実施された平成8年を例にとりますと、八ッ場ダムが完成すれば、取水制限日数が100日減少し17日間になると試算されるなど、渇水に対する効果が期待されるとこであります。
一方、治水につきまして、八ッ場ダムでは、単独で既設の利根川上流ダム群の約6割に相当する洪水調節容量を有しており、利根川における洪水被害の軽減に大きな役割を果たすものでございます。
このように、八ッ場ダムは本県にとって治水・利水の両面から必要不可欠な事業であり、県としても早期完成を求めてきたことから、今回の基本計画変更はやむを得ないものと判断し、徹底したコスト縮減を図ること、早期完成に向けて工期短縮に努めることという条件を付けて同意することとし、撤退することは考えておりません。
なお、意見表明が一番早くなったというお話でございますが、本県は議会の日程が各県と比べまして早いものですから、議会に提案する必要上、一番早くなったところでございます。
(2)水道料金値下げ
1968年にはじまった霞ヶ浦開発事業によって、県南・県西地域の水道用水は37万トン、工業用水は127万トン、合計164万トンという莫大な水が開発されました。
ところが、事業完成の直後、工業用水が30万トンもあまることがあきらかになりました。緊急に水・土地計画課が事務局となって、有効活用等調査委員会が設置され、翌年には上水道への転用が提案されています。
さらに問題なのは、工業用水の水余りには、国・県が即座に対策をたてたことに比べ、県民が利用する上水道に対しては、予測の誤りも、過大な先行投資も、責任はすべて市町村、住民に負わせていることです。
こうした水行政をあらためるうえで、まず八ッ場ダムや霞ヶ浦導水事業など、大規模な水開発から撤退し、県内の市町村からあがっている料金値下げの要望にこたえるべきです。
それでなくとも4つの広域水道は、2015年度では32億円もの黒字が見込まれています。
黒字を理由に工業用水を値下げした以上、県の水道も値下げにふみきる時と考えますが、知事の答弁を求めます。
〔知事答弁〕
安全で安心な水を供給するためには長期的に安定した水道事業の経営が必要であります。
そのため、企業局では経営・財務状況を的確に把握し、将来においても安定的に事業を継続していけるよう考慮し、計画期間を10年間とする、企業局経営戦略を平成27年度に策定いたしました。
この中で、水道料金については、ダムなどの水源費や施設整備のための借入金の償還金、維持管理費及び今後の施設改築等の費用を考慮しながら、長期的な展望に立って、それぞれの広域事業ごとの収支状況に応じて見直し作業を行うこととしております。
なお、平成27年度決算において約32億円の発生が見込まれる利益剰余金は、平成27年度末残高で約510億円にのぼる水道事業の企業積の償還や、霞ヶ浦浄水場など、老朽化が進む浄水場の大規模な改修や管路の耐震化などを進めるため、経営戦略期間中に計画している約705億円の建設改良投資に充てることとしており、一時的に利益が生じたからといって、直ちに料金の値下げが出来るわけではございません。
料金の見直しの検討については、今年度4つの広域水道用供給事業全てにおいて行うこととしておりますが、内容を精査し、それぞれの広域事業ごとに丁寧に検討を進めてまいります。
八ッ場ダムは、県南及び県西広域事業の重要な水源となっており、完成を前提に暫定水利権を取得しているため、撤退するわけにはいきませんが、今後、維持管理費の抑制や効率的な浄水場の運転管理の見直しなどによる経費節減を進め、経営戦略に基づく経営努力を引き続き行いながら、できるだけ料金に転嫁しないよう努めてまいります。
3. 原子力行政について
(1)東海第2原発の再稼働中止
次に原子力行政について質問します。
本年4月の熊本地震は、震度7の前震と、その2日後に、より大きな本震が発生し、その後も余震が途切れることなく続きました。全国には2,000もの活断層があるなか、いつどこで大地震が起きてもおかしくありません。
三反園訓鹿児島県知事は8月26日、9月7日と連続して、運転中の九州電力川内原発1、2号機の一時停止と、安全性などの再点検を申し入れました。熊本地震を受け、「本当に原発は安全なのか」との県民の不安の声を受けとめ、「一番重要なのは住民の命。二度と原発事故を起こしてはならない」という知事の強い要請です。
橋本知事は、定例記者会見で、鹿児島県知事の要請について問われ、「個々の事情が発電所によって異なっているのでコメントすべきものでもない」と答えました。しかし、個々の事情というなら、県内、特に県南部を震源とする地震が、3・11以降、頻発していることを見るべきです。「今後30年以内に首都直下地震が発生する確率は70%」。「茨城県南地震はその一つの前触れ」と、地震の専門家は指摘しています。
30km圏内の、周辺人口が96万人と、世界一多い東海第2原発の立地県である、知事の地震対策についての所見を伺います。
運転開始から38年目の東海第2原発は、東日本大震災で被災した原発です。
にもかかわらず一昨年5月、日本原電が再稼働の前提となる新規制基準の適合性審査を申請しました。原子力規制委員会は、これまで26回の審査会を開催し、8月24日に現地を視察。その後の記者会見で、今後の論点として、海抜20メートルの防潮堤を越えた場合の、津波対策や、総延長2千キロメートルに及ぶ電気ケーブルの難燃性への取り替えをあげました。
再稼働、そして運転延長のためには来年8月28日からの3ヶ月の間に申請が必要です。
地元紙の7月の世論調査を見ても、再稼働「反対」は多数にのぼり、運転延長に反対する市民団体は、茨城県、東海村などに要請し、県民運動を広げています。
東海第2原発の再稼働中止を原電に求めるべきです。知事の所見を伺います。
〔知事答弁〕
原子力発電所の地震対策につきましては、福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、原子力規制委員会が策定した新規制基準において大幅に強化され、活断層評価の厳格な実施や地下構造の精密な調査などが事業者に義務づけられているところであります。
これを受け、日本原電は、これまでの陸域、海域における活断層の調査結果に加え、東北地方太平洋沖地震以降の地震の発生状況や新たに実施した敷地周辺における地質調査の結果など最新の知見なども取り入れながら、東海第二発電所において想定すべき水平方向の基準地震動を震災前の600ガルから901ガルに大きく引き上げるなどの地震評価を行った上で、平成26年5月に新規制基準適合性審査を申請したところであります。
現在、国の原子力規制委員会において厳格な審査が進められており、今後、基準地震動の設定の妥当性が確認された場合には、日本原電において必要な耐震対策が講じられるものと認識しております。
また、県といたしましても、東海第二発電所の安全性を検証するため、県の原子力安全対策委員会の下に「東海第二発電所安全性検討ワーキングチーム」を設置し、地震動評価や建築構造工学の専門家にもご参画をいただき、東海第二発電所の地震対策についてご審議いただいているところであり、これらの結果を踏まえ、日本原電に対し、必要な対策を求めてまいりたいと考えております。
東海第二発電所の安全性を確保する上で、地震対策は重要な課題であると認識しておりますので、引き続き、国の審査の動向や日本原電の対応状況について、十分に注視してまいりたいと考えております。
また、東海第二発電所の再稼働につきましては、これまでも申し上げておりますとおり、国の原子力規制委員会の適合性審査が終了し、国から再稼働に関する具体的な方針が示された段階で、県の原子力安全対策委員会における検証結果を踏まえた上で、県原子力審議会における審議、県議会や地元自治体との十分な協議をさせていただきながら、県としての対応方針を決定してまいりたいと考えております。
(2)避難計画
最後に、避難計画について質問します。
原子力災害対策指針の中に「放射線の影響を最小限に抑える防護措置」とありますが、これは「必ず被爆はする」ことを前提にしています。国も原子力規制委員会も、原発事故の避難計画は審査対象にせず、自治体まかせです。
本県は昨年3月「原子力災害に備えた茨城県広域避難計画」を策定しました。これにもとづき、水戸市や東海村が計画案を作成し、住民説明会や避難先自治体との協議を進めています。
取手市は東海村から2万4千人を受け入れることになっています。しかし、福島原発事故当時、約200キロメートル離れていたにも関わらず、県内で一番高い放射能のホットスポットとなりました。東海第2原発からは80キロ。これでは受け入れるどころか、市民自身が避難しなければなりません。
地震や津波などの複合災害を想定すれば、そもそも策定中の避難計画は成り立ちません。特に心配される子どもや妊婦を一切被爆させない、との考えには立たないのか。再稼動中止、廃炉も決断した上で、廃炉した場合に即した避難計画に切り替えるべきです。知事の所見をお答えください。答弁によっては再質問致します。
〔知事答弁〕
平成27年3月に県が策定した「原子力災害に備えた茨城県広域避難計画」においては、避難対象者約96万人のうち県外へ避難しなければならない約56万人の避難先の確保のほか、緊急時におけるスクリーニング体制や安定ヨウ素剤の配布体制、複合災害への対応などが課題となっております。
その中で、複合災害への対応といたしましては、避難先が被災した場合の第二の避難先の確保や、避難道路が被災した場合の代替経路の設定、さらにはこれらの情報提供手段など具体的な対応策の検討が必要であります。
現在、原子力発電所のみの単独災害を想定した県外避難先の調整を優先的に進めているところでありますが、隣接各県に対しては第二の避難先の確保の必要性についても説明をしているところであり、今後、専門家からもご意見を伺い、第二の避難先を予め確保すべき地域の範囲や、代替移送手段の確保など複合災害時における具体的な対応策の検討を進めてまいります。
次に、原子力災害時の妊婦や子どもの被ばくについてでございますが、本県の避難計画については、国の原子力災害対策指針に基づき策定をしているところであり、原子力発電所から概ね5kmのPAZ圏内においては、原子力施設が全面緊急事態に至ったときには、放射性物質が放出される前に直ちに避難を実施することとしており、妊婦や乳幼児等の特に配慮が必要な住民については、一般の住民より早い段階の施設敷地緊急事態に至ったときに避難することとしております。
また、UPZ圏内においては、全面緊急事態の段階で屋内退避を行い、放射性物質の放出という状況となった場合には、空間放射線量率の測定結果に基づき区域を特定し段階的に避難を行うこととしていりますが、妊婦や乳幼児等の特に配慮が必要な住民については、あらかじめ全面緊急事態の段階において、避難先及び輸送手段を確保するなど早めに避難準備を開始することとしております。
議員から廃炉を決断した上でそれに即した避難計画を策定すべきではないかとのご質問もいただきました。
廃止措置中の発電用原子炉施設に係る原子力災害対策の在り方については、現在、原子力規制委員会において検討がなされており、その検討状況を見ますと、運転中の発電用原子炉施設について適用される原子力災害対策の基本的枠組みを基礎としていくことや、原子力災害対策を重点的に実施すべき区域の範囲についても現状の30kmと比較してはるかに小さな範囲となる考え方が示されております。
まだ国の考え方や東海第二発電所の今後の方針が決定されておらず、また、現在の避難計画で対応できますことから、改めて廃炉に即した避難計画を策定する必要はないものと考えておりますが、引き続き、国の動向を十分に注視してまいります。
再質問
それぞれご答弁をいただきました。2点知事に再質問します。
まず、取手・龍ケ崎障害福祉圏域に入所施設を増やすことについてです。
先程知事の方から、水戸圏域あすなろの郷が定員500名近いことからそれと比べることはどうなのか、というお答えがありました。
それから県南の人口増に追いつかない問題もだされました。しかし取手・龍ケ崎圏域は人口10万人当たり34人という少なさです。
ここで保護者の声を紹介します。
◇自宅で娘を見ている81才の母親は、「私が2週間入院した時、娘をあずけられる施設がなくて、大変困りました。自宅の近くに入所施設がほしい」
もう一人は、
◇70才の父親は、「取手から、息子がいる大洗の施設まで、週に一回通っています。息子にあと何回会えるのか、そんなことばかり考えてしまう」
こうお話しをうかがいました。
この取手・竜ヶ崎圏域の少なさの状況は本当に深刻だと考えます。
県南から、千葉や東京の施設に入っている方も少なくありません。取手・龍ケ崎圏域に入所施設を増やす計画についてはっきり計画するということについて再度お答えください。
2点目は、東海第2原発の再稼働中止についてです。
先程知事から東日本大震災後、地震対策について科学的に調査して行っているとう答弁がありました。
しかし知事は、2011年3月11日以降、茨城県内で発生する地震の状況が大きく変わっていることをご存知でしょうか。
県・防災危機管理課よりいただいた資料によりますと、本県のマグニチュード5以上の地震回数は、震災前の3年間では19回でしたが、震災後はなんと153回を数えています。しかも、震災後に全国で起きた地震の4分の1が、本県に集中しているのです。
知事は「安全性については国が決めるもの」だと繰り返し述べていますが、これほどの地殻変動が起こっているいま、国任せでは県民の命は守れません。あまりにも無責任です。
東海第2原発の再稼働中止を決断すべです。再度お答えください。以上です。
◆マグニチュード5.0以上の地震回数 | (2016.9.12現在) | ||
全国 | そのうち 震央が茨城県 | 本県の割合 | |
東日本大震災以前3年間 2008.3.11~2011.3.10 | 317回 | 19回 | 6% |
東日本大震災以降5年半 2011.3.11~2016.9.11 | 638回 | 153回 | 24% |
年間平均回数の増加率 | 1.1倍 | 4.4倍 | 4倍 |
〔知事答弁〕
県立によって障がい者福祉施設をつくるべきではないかというご質問をいただきました。
確かにこの取手、龍ケ崎圏域は大変低い状況にございまして、取手市は人口10万人越しているわけですけれども、ゼロでございます。そういったことなどを踏まえますと是非欲しいところではございますけれども、近年、こういった施設につきましては、どちらかというと公立を民営化する。新しくつくる時にも民間にやってもらうという方向が主流でございまして、私どももそういったことを踏まえながら、先程申し上げましたように、できるだけ社会福祉等々の話を進めて入所施設の新設、定員増についてここでできないかということを話をしてまいりたいと思っておりますが、公立でつくるということにつきましては現在のところ考えておりません。
茨城県で地震がこれまでと全く違う状況で発生しているのだから、再稼働は止めたらどうかというご質問をいただいたところでございます。
3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震によって、東海村では震度6弱の地震が観測されたことをうけまして、日本原電では、東海第二発電所内での地震観測記録を用いて、安全上重要な建物や機器、配管等に対する影響評価を実施し、原子炉施設の健全性に問題はないと評価しており、これについては国の「建築物・構造に関する意見聴取会」や県の原子力安全対策委員会においても確認がなされているところであります。
その後、先程お話がございましたように、3月12日以降に東海村で震度4以上を観測した地震が24回発生しておりますが、日本原電では、その都度、施設の点検を行っており、地震に伴う新たな異常はこれまで確認されていないところでございます。
また、原子力規制委員会におきまして、基準地震動の策定も大変大きな課題として取り組まれているところであり、現在までに既に14回の審議が行われておりますので、そこで慎重な検討がなされていくものと考えております。
県といたしましても、県の原子力安全対策委員会の下に設置いたしました「東海第二発電所安全性検討ワーキングチーム」において、これらの地震による施設、設備の影響も含め、東海第二発電所の地震対策について幅広い観点からご審議いただくなど、東海第二発電所の安全性についてはしっかりと検証してまいりたいと考えております。
従いまして、先程も申し上げましたが、東海第二発電所の再稼働につきましては、今後、様々な状況を踏まえながら判断してまいりたいと思っておりますので、ご了承のほどをお願い申し上げます。
以上