2016年3月茨城県議会 予算特別委員会 山中たい子県議の質問と答弁

予算特別委員会質問・答弁 2016年3月22日(火)

<質問項目>

  1. 原子力行政について(答弁・知事)
    (1)東海第2原発廃炉
    (2)子どもの健康調査
  2. 太陽光発電対策について(答弁・知事)
  3. 豪雨災害対策と支援策について(答弁・教育長)
  4. 教育行政について (答弁・知事)
    (1)少人数学級の推進
    (2)小中一貫教育

項目

1. 原子力行政について

(1)東海第2原発廃炉

日本共産党の山中たい子です。

はじめに、原子力行政について知事に伺います。私の故郷、福島県は、原発事故によって耐え難い苦しみと被害を受けました。原発の安全神話は完全にくつがえり、核物質による危険をさらけ出しました。しかし、この5年間は、原発がなくても電力供給に何の支障もないことを明らかにしました。

今月9日、大津地方裁判所は、福井県にある関西電力高浜原発3・4号機の運転差止を命じる仮処分を決定し、稼働中の原発がはじめて停止においこまれました。
地裁の決定は、新規制基準に適合したとしても、国民の生命と財産を守るには不十分だとする、公平かつ賢明な判断です。この決定について、知事の見解を伺います。

【知事】
ただいまお尋ねをいただきました、大津地方裁判所の仮処分決定に関する受け止めということでございますけれども、去る3月14日に関西電力から保全異議申し立てがなされている状況にありますので、私の立場からは、個別の司法判断に対して具体的な意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと考えております。

ただ、今回の決定では、新規制基準に基づく適合性審査の妥当性や事故発生時の避難計画のあり方などに関する指摘がなされているなど、原子力発電所の再稼働とも密接に関係する内容が含まれているところでありますので、本県といたしましても、原子力発電所の立地県の立場から、事業者や国における今後の対応を注視してまいりたいと考えております。

【山中】
決定は何より住民の不安をうけとめたものであり、規制委員の審査にも疑問を示したものです。
東海第二原発は、高浜原発3・4号機よりも古く、あと1年8ヶ月で40年です。40年の長期間、原子炉の中を中性子が飛び交い、鋼材にあたり続けることによって、心臓部の圧力容器が劣化し、壊れやすくなることは避けがたい物理の法則です。
新規制基準の審査では、こうした高経年化や長期停止によるマイナス影響は審査されません。重大な問題です。
老朽原発は今すぐ廃炉を求める、知事の決断について伺います。

【知事】
極めて専門的な見地から規制委員会の方で判断しているところでございますので、私どもとして、それだけ、言えるだけの知見を持ち合わせておりませんので、国の方で判断をしていただきたいと考えております。

【山中】
答弁はこれまでの繰り返しで本当に残念です。
知事は、旧動燃の再処理工場の爆発事故を経験し、さらに、JCO臨界事故で2人の作業員が犠牲となり、多くの東海村民が被ばくする事態も経験しました。そして、福島原発事故で、私たち茨城県民も被ばくしました。これほどの事故があって、なお、国や事業者に対して、なぜ「廃炉」を主張できないのですか。すでに、本県では、東海第二原発以上の太陽光発電が導入されています。知事の姿勢が問われています。
次の質問に移ります。

(2)子どもの健康調査

原発事故の1年後、本県議会は、「福島原発事故による放射線被ばくの健康影響に関する意見書」を全会一致で採択しました。
意見書からすでに4年です。知事の決断で、放射線・低線量被曝から子どもたちの健康を守っていただきたい。原発事故当時、18才以下の全ての子どもの甲状腺検査を行うよう強く求めます。

「低線量被爆」の影響については、今年2月発表の福島県・県民健康調査の先行調査結果からも明らかです。113名の甲状腺がん、またはがんの疑いが見つかりました。
本県でも9市町村が甲状腺検査を実施しました。北茨城市は事故当時、18才以下の全児童の検査に踏み切りました。
民間でも、医師や団体・市民が立ち上げた「関東子ども健康調査・支援基金」が水戸やつくば、取手などで甲状腺エコー検査を行っています。
県民の不安や願いにこたえ、市町村や民間機関も動いています。子どもたちの未来と命を守るために甲状腺検査の実施について、知事の決断を求めます。

【知事】
子どもの健康調査についてお答えいたします。
私どもといたしましても、子どもの健康を守ることは大変重要なことと考えております。従いまして、本県におきましては、放射線の健康影響に係る専門家による意見交換会を開催し、特に健康調査を実施する必要がないとの専門家の意見等を踏まえて、現時点では実施していないところであります。

また、国の「事故に伴う住民の健康管理の在り方に関する専門家会議」の中間報告におきましても、福島近隣県については、まずは福島県の健康調査の状況を見守る必要があるとされております。
福島県「県民健康調査」で行われている甲状腺検査においては、罹患統計などから推定される有病数に比べて、数十倍のオーダーで多い甲状腺がんが発見されているところであります。

しかしながら、この甲状腺がんにつきましては、今年の2月に福島県で取りまとめた「県民健康調査における中間とりまとめ(最終案)」によりますと、将来的に臨床診断されたり、死に結びついたりすることがないがん、すなわち、生涯にわたって病状が無く発見されないであろうがんや、寿命に影響を与えないであろうがんを多数診断している可能性があると指摘されているところであります。

また、被ばく線量がチェルノブイリ事故と比べてはるかに少ないこと、被ばくからがん発見までの期間が概ね1年から4年と短いこと、事故当時5歳以下の子どもからの発見はないこと、福島県内各地域のがん発見率に大きな差がないことなどから、放射線の影響とは考えにくいと評価されております。

さらに、平成24年度に環境省で実施された福島県から遠く離れた3つの異なる地域(青森、山梨、長崎)での18歳以下の子供を対照とした甲状腺検査におきましても、4,365人に検査を実施したところ、20ミリを超える嚢胞や5ミリを超える結節が44人に発見され、うち1人が甲状腺がんと診断されておりますが、これは、福島県の甲状腺検査と似たような結果となっているところであります。

県といたしましては、福島県の調査がまだ中間取りまとめの段階であることから、今後とも国や福島県の検討結果を注視しますとともに、不安をお持ちの方には、保健所等において個別の相談に応じ、その中で、甲状腺検査や内部被ばく検査を希望される方には、専門の医療機関を紹介するなど、県民の放射線による健康不安の解消に努めているところであります。

【山中】
9市町村が実施した健康調査の検査費用は、国の、震災復興・特別交付金の対象となっています。北茨城市には2ヵ年で3,700万円が措置されました。県が決断すれば、すべての市町村が交付税対象になるのです。ぜひ決断していただきたい。

2. 太陽光発電対策について

次に、太陽光発電対策についてです。太陽光など再生可能エネルギーの導入・普及は、温暖化抑制に向けて推進すべきです。しかし、自然や景観を壊す設置が、問題になっています。住民の健康や安全にもかかわる重大問題です。
常総市では、太陽光パネルを設置した、その場所から鬼怒川が溢水し、甚大な洪水被害を発生させました。

また、国定公園である筑波山における4カ所の太陽光発電施設については、筑波山麓区長会や筑波山神社、宮前振興会、温泉旅館協同組合が反対署名を集め、市議会は反対決議をあげました。ところが、国定公園外は、森林伐採面積が1ヘクタール未満のため、市への届け出のみで工事が強行されました。
つくば市は、筑波山と宝篋山、土砂災害警戒区域などへの設置を規制する条例制定に取り組んでいます。笠間市や土浦市も同様の動きを見せています。

知事は、太陽光発電施設に関してガイドラインを策定する方針を今定例会で示しました。災害を防止する地域や1ヘクタール未満の森林伐採も規制すべきです。景観や観光、生活環境を守る地域などを明記し、地元への説明や同意を得ることも重要です。
こうした内容について、知事の所見を伺います。

【知事】
議員ご指摘の1ヘクタール未満の林地の場合には、開発して太陽光発電施設を設置する場合などに、現状では、事業者情報や事業内容が住民や自治体に全く知らされないまま事業が進められ、土地災害や景観に与える影響を懸念する地域住民とのトラブルが多く発生している状況にあります。

県ではこれまで、住民とのトラブルを防ぐため、固定価格買取制度の見直しを国に要望してきたところであり、国においては現在、改正法案が国会で審議されております。
しかしながら、本県が要望していた安全性を確保するための設計基準等が改正法に盛り込まれなかったことなど不十分な面もありますので、引き続き国に要望してまいります。

さらに、改正法の施行時期が来年4月となっており、それまでの間の対応も必要なことなどから、1ヘクタール以下の小規模な施設や法律上の許認可を必要としない施設にも対応できる県独自のガイドラインを策定していくこととしております。
盛り込む内容につきましては、今後検討してまいりますが、立地を避けるべきエリア等の指定や地元自治体や地元住民への説明の実施、安全な施工管理や整備後の維持管理など、景観や観光面、防災など様々な問題に対応できるものとしてまいりたいと考えております。

【山中】
パネルをご覧ください。
ここは知事指定の土砂災害警戒区域です。地元の人たちは土砂の流失などを大変心配しています。
事業者は、地元に対し安全対策を約束しました。この社長は、知事が任命した「いばらき大使」です。茨城の魅力や良さを県外にPRする役割を持っている方です。地元との約束を果たすよう、知事は社長に申し入れるべきではありませんか。所見を伺います。

【知事】
今回、筑波山周辺で進められている太陽光発電施設の設置場所は、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域内に位置しているのが事実であります。
警戒区域については、開発行為の許可や建築物の構造規制などの規制はかかりませんので、太陽光発電施設設置に関して、警戒区域であることを根拠に開発の制限や事業者への安全対策の要請はできないのもと考えております。

しかしながら、これまでの大雨の時に土砂が流れ出た経験などを踏まえ、地元住民からは大変不安な声があがっておりますので、土砂の流出対策などが十分に講じられるよう、市などと協力しながら事業者に対し強く申入れるなどの対応をしてまいりたいと考えております。
なお、今度の事業者につきましては、既に職員を派遣して、申し入れはしているところでございますし、また、相手方からは、いばらき大使については辞退したい旨の意思表示も受けているところでございます。

【山中】
本県の太陽光発電導入容量は全国1位ですが、メガソーラーなど大規模施設がほとんどで、10ヘクタール以下は1割です。事業者規制は野放しで、一方、住宅用太陽光発電への助成は、わずか2年で廃止してしまいました。蓄電池導入への補助も含めて、住宅用太陽光発電への補助実施について、所見を伺います。

【知事】
事業者規制は野放しというお話がございましけれども、我々もやりたいはやりたいわけでして、ただ、法制度はそうできていない。国の方でそれをきちんとしたものにしてほしいということで申し入れを行っているところでございますし、また、県独自のガイドラインもこれから策定していきたいと考えておりますので、そこにつきましては十分ご理解をいただきたいと思います。

それから、住宅用の太陽光発電施設への後押しでございますけれども、今の国の固定価格買取制度によりますと、十分採算がとれる仕組みになっております。また、導入に対する県民の理解が進んでいること、昨年11月末時点で国が認定した10キロワット未満の太陽光発電件数は約35,000件で全国10位と設置が進んでいることなどから、改めて補助制度を創設することは考えていないところであります。

3. 豪雨災害対策と支援策について

【山中】
次に、豪雨災害対策の質問に移ります。
常総市水害・被害者の会の皆さんは、「河川の決壊は人災」との立場から、これまでに政府要請を3回、県要請は5回以上行い、私どもも同席してきました。被害者の訴えに、知事はどう応えるのか。要求とかけ離れた今の支援策の改善を求め、3点伺います。

第一に、被災住宅の認定についてです。現行基準では、床上1m以上で大規模半壊、1m以下で半壊と判定されます。大規模半壊では最大300万円、しかし、半壊では県が特例的に実施した25万円の支援だけです。約3,700件が半壊と認定されてしまいました。しかし、半壊であっても、何日も何日も水に浸かり、壁の断熱材を伝って天井まで水が達し、何度拭いてもカビで覆われてしまいます。
多くの住宅で、1階の床、壁、家電製品、トイレやお風呂、給湯器などが全部ダメになりました。やむを得ず、2階に住んでいる高齢者もいます。未だにまともな住宅に住めない人が大勢いることを、知事もご存知のはずです。
国交省は、「被害認定は何度やってもよく、個々の評価は自治体で」と言っていますが、国の基準が被害の実態に合わないのです。床上浸水は、すべて大規模半壊と改正するよう働きかけるべきです。

第二は、支援策の拡充です。被災者生活再建支援法による限度額を、最高300万円から500万円に引き上げるよう国に求めること。そして、半壊世帯への25万円の支援金や、応急修理の特例措置は、県として制度化することです。被害者の会が調査した77世帯の住宅再建費用は、車や農業機械を除いても平均で1,300万円。現在の支援金額では、あまりにも少なすぎます。

第三に、収穫後の保管米に対する支援です。政府がようやく示した支援策は、10アールあたり上限7万円の支援ですが、営農を再開する農家に限られています。しかし、被害にあった540戸のうち、保管米116トンが農業を断念せざるを得ないと聞きました。「住む家を再建するのに手一杯で、農業再開までまわらない」と、泣く泣く離農を決断しています。先祖代々、田んぼを耕作してきたすべての農家に対し、県が支援すべきではないでしょうか。以上、まとめて所見を伺います。

【知事】
床上浸水の場合については大規模半壊と判定すべきであるということにつきましては、私共も、被害の実態に鑑みまして、昨年11月に、国に要望してきたところであります。

しかしながら、国の方では、「床上浸水以上を大規模半壊と認定すると、被災者生活再建支援金の支給額などが増大するため、難しい」との回答でありました。
支援金の財源が全都道府県の拠出による基金であることから、この改正は、災害の規模が大きい場合、都道府県にとって極めて大きな負担となるため、他の件では実は要望を行っていないところでございまして、実現することは大変厳しい状況にありますが、県といたしましては、引き続き、国に対して要望を続けてまいりたいと思っております。

また、被災者生活再建支援金の限度額を引き上げることでございますけれども、500万円まで引き上げた場合には、今回の豪雨災害でも支給総額が約49億円増加する、あるいは、東日本大震災と同様の災害が発生すると、本県だけでも支給総額が約190億円増加すると試算され、こちらも各都道府県の負担が大変大きくなってまいります。

しかしながら、平成16年に限度額300万円に改正されて以来、据え置かれているところでありますので、当時と比べ、住宅建設費用等が増加していることなども考慮して、支給額の引き上げについて、これも要望してまいりました。

これに対し、国からは先程も申し上げたことと同様に、「財源等の問題から難しい」との見解が示されましたが、県といたしましては、被災者の生活再建を少しでも支援するため、引き続き粘り強く国へ働きかけてまいりたいと存じます。

次に、保管米の被害についてでございます。
保管米の被害については、基本的には、農業者自らが民間の保険に加入するなどして、対応すべきものとされております。
しかしながら、今回の場合には、県内でも有数のコメ産地であることから、県としても、国に対し対策を強力に要望した結果、産地を維持するための営農再開を条件として、国として特例的に認められたものであります。従いまして、営農を再開しない場合は、事業の対象とすることは難しいものと考えております。

なお、この事業の実施にあたっては、今後は、保管米について民間保険への加入を促すよう、国からの指導もなされているところでありますので、県としても農業者への周知に努めてまいりたいと考えております。

【山中】
水害は農家には何の責任もありません。被害者です。
県に寄せられた義援金は、まだ6億7千万円残っています。国の支援策を受けられない被害者の方々を含めて、一刻も早く義援金を活用すべきです。

4. 教育行政について

(1)少人数学級の推進

次に教育行政についてです。少人数学級は、保護者、教育関係者、国民・県民の長年にわたる強い願いです。
国の35人学級は2011年3月、国会において全会一致で法律に盛り込まれましたが、実施は小学1年だけです。多くのデータや教育現場の実践によって、少人数学級の効果は検証されています。
本県は県民要求に応え、小学2年から中学1年まで実施しており、中学2年・3年への拡大を急ぐべきです。県教委の試算で約16億円で実施可能です。教育長の所見を伺います。

【教育長】
お答えいたします。
本県では、全国に先駆けまして、少人数学級とティーム・ティーチングを組み合わせた茨城方式という形で少人数教育を実施してまいりました。
委員ご指摘のように、少人数教育の効果でありますけれども、これは、学力、生徒指導の面はもとより、学校教育全体の質の向上を図る上で極めて有効なものであると考えております。

県といたしましても、これまで、順次、拡大をしてまいりましたが、中学校2年、3年と拡大することになりますと、中学校は小学校と異なりまして教科担任制をとっておりますことから、教員1人あたりの授業時数が増え、また、小学校に比べ1学年あたりの教員の数が必要になるといった事情もございます。
こうしたことから、少人数教育を進めていくうえで、まずは、学級編成の標準を35人以下とすることとし、その増加した学級数をもとに基礎定数の改善を図ることが基本であると認識しておりまして、このことから、国に対して、これまでも強く働きかけを行ってきているところでございます。

残念ながら、現時点では、国におきましても、基礎定数の改善はここ数年見送られておりますけれども、今後とも私ども現場の方から、現場の実態をしっかりと国にも伝え、国の方からは科学的根拠を出せないということも言われておりますけれども、なかなか数値で表せない部分を含めて、しっかりと現場の声を国に届け、教員の定数改善を実現し、その上で本県の少人数教育の更なる充実に取り組んでまいりたいと考えております。
少人数教育については、先程も申し上げましたように基本的に学級編成の弾力化でありますので、国が義務教育全体を見据えて検討すべきものであると考えております。

県といたしましても、これまで茨城方式という形で県単で進めてきた経緯もございます。これから中学2年、3年が残るわけですけれども、これをどうするかについては、これからの国の動向、あるいは全国的な動き、市町村の動向なども十分に見据え、また、県の財政状況を十分見極めたうえで、総合的な視点で検討していく必要があると認識しております。

(2)小中一貫教育

【山中】
学校教育法改正で、現行の小学校と中学校に加え、小中一貫の9年間の義務教育学校が制度化されました。施設一体型と分離型、併設型の3つに分かれます。
今回、問題にするのは、つくば市における施設一体型の大規模校についてです。
文科省は、25学級以上を大規模校、31学級以上を過大規模校としています。

パネルをご覧ください。
オレンジ色は現在の学校、紺色は今後の予定です。市の資料で作成しました。
4年前開校した春日学園は、人口急増の研究学園地区に隣接し、48学級・1,641人。県内1のマンモス校です。葛城北部学校が新設されても、春日学園は1,224人。葛城北部は33学級・1,054人で、どちらも過大規模校です。

また、今後新設される みどりの学園は、開校当初600人。4年後は28学級1,000人の見込みです。
一方、旧筑波町に計画される秀峰筑波義務教育学校は、2つの中学校と7つの小学校を統廃合するものです。各学校の児童生徒数の合計は1,212人で、統合するとやはり大規模校となります。

こうした大規模校の課題について、教育長の所見を伺います。

【教育長】
学校の規模につきましては、基本的に設置者であります市町村が判断することになります。
一般的に大規模校のメリット、デメリットはそれぞれあるわけですけれども、課題といたしましては、大規模になり過ぎますと、例えば学校行事などで子ども達のリーダーとして活躍する場や機会が少なくなってくるといった問題、あるいは、全教職員による児童生徒1人ひとりの把握が難しくなってくる面、さらには施設の面でも、例えば体育館・プールなどの利用の面から、多すぎますと一定の制約が生じるといったことになると思います。

【山中】
つくば市の適正配置計画の学校規模は、施設一体型が1学年、最大5学級。9学年で45学級の過大規模校です。
春日学園は児童生徒の増加で、校舎を増築し、職員駐車場も児童クラブも増設した結果、低学年用グランドが狭くなってしまいました。市は「想定外」と議会答弁しましたが、教育に想定外があってはなりません。
TX沿線開発地には、小・中学校用地があと6カ所確保されています。教育条件の整備と大規模校の解消について、教育長の所見を伺います。

【教育長】
先程も申し上げましたが、学校の規模そのものをどうするかについては、基本的には設置者である市町村が決めることであります。
ただ、国の方でも一定の標準規模を定め、委員のご指摘にもありますように、大規模校・過大規模校というラインも作っております。

春日学園につきましては、現状では間違いなく過大規模校になってきます。ただ、これは今までの小・中学校の基準で申し上げた場合の過大規模校でありまして、義務教育学校の過大規模校が何クラス、どれぐらいの規模を過大校にするかというのはまだ国の方でも決まっておりませんので、その辺はこれから見極めていきたいと思いますが、いずれにしましても、かなり大きな学校になることは間違いございません。

これまでも、小学校の段階で既に過大規模校となっておりましたので、わたしどもとしましては、市の方とも、その解消に向けて協議を進めてまいりました。
その結果、平成30年に分離新設校を建設するという計画にもなってきたわけです。
ただ、これをやったとしてもさらにまた過大になる見込みとなっておりますので、引き続きまして、課題解消に向け、そして、施設の対応も含めて、引き続き、つくば市とは協議していきたいという風に思っております。

【山中】
教育条件の整備は、教育長にも責任があります。
昨年6月の参議院文教・科学委員会で、下村文科大臣は、過大規模校について、こう述べています。「きめ細かな指導を行いにくくなる可能性があるということから、問題行動が発生しやすくなる場合もある」と答弁しています。
つくばでの学校の大規模化を招いた原因は、国と県が行った無謀なTX沿線開発の結果です。若い世代が移り住んでも、街の核となるべき学校整備は後回しにされ、ようやく、つくられる学校も大規模校ばかりです。
開発地の民間売却を優先し、子どもや住民をないがしろにしてきた国と県の責任は重大です。このことを指摘して、質問を終わります。

以上

質問・答弁全文(PDF)

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