1.水戸市地域防災計画(原子力災害対策計画編)の見直しについて


(1)福島の教訓をどう生かすのか
はじめに、地域防災計画のうち、水戸市が現在、段階的に見直している原子力災害対策計画について質問します。
3・11巨大地震と大津波、その後の東京電力福島第一原発の爆発は、過去の日本で起きたことのない、世界でも例を見ない複合大災害となって日本を襲いました。原子力災害対策見直しの中心点は、福島の教訓を生かしきることです。東海第二原発で大事故が起きた時、どう対処するのか。市長は、27万人市民の生命、健康、財産、仕事、家族、地域コミュニティなど、あらゆる市民生活と産業を守るため、どのような防災計画を作ろうとしているのか伺います。

私は今月4日、つくば市で避難生活を続ける元福島県楢葉町の職員の方の案内で、楢葉町と富岡町を視察しました。20km圏内にある2つの町は、放射能に汚染され、町民が誰一人暮らしていない町で除染作業が続けられています。

津波に襲われた富岡駅

津波に襲われた富岡駅

楢葉町で続けられる除染作業

楢葉町で続けられる除染作業


やっと除染が終わったというご自宅で、どのようにして避難したのか話を伺いました。3・11の翌日、12日の朝、財布と免許証をもって、いわき市に避難しろという役場の指示があった。妻と母親を車に乗せて向かったが、道はどこも大渋滞。普段なら車で40分で行けるいわき市の小学校なのに、車がまったく進まず、あきらめて途中の親戚宅で一晩を過ごす。次の日に避難先の小学校に着いたものの、冬の校舎は寒く、年取った母親の体を思って自主避難を決心。14日に、茨城県阿見町にいる弟の家まで国道6号で約8時間。ガソリンが何とかもって助かったと。その後、つくば市に移り住んだが、町にいつ帰れるのか、実際にどれだけの町民が帰ってくるのかと、無念の思いを語ってくれました。

案内者自宅の庭

案内者自宅の庭

汚染堆積物を詰めた黒い大型土嚢袋

汚染堆積物を詰めた黒い大型土嚢袋

福島第一原発が立地する双葉町では、井戸川前町長が震災翌日の朝、バスを待つより避難が先だと、マイカーに相乗りして逃げるよう町民に指示。北西に43km離れた川俣町の町長に直接電話して、受け入れを要請しました。「遠くの自治体と協定を結んでおくべきだった。これまでの防災計画は役に立たなかった」と悔しがり、「福島の教訓を歴史に刻み、次の防災に生かしてほしい」と語っています。
被災現場が発する生の声は貴重な警鐘です。国の指針や県の計画に従うだけの見直しではなく、福島の教訓を生かすべく、現地への視察・調査を水戸市はどのように行ってきたのか。市の防災計画にどう生かそうとしているのか伺います。

【市民環境部長 答弁】
江尻議員の一般質問のうち,水戸市地域防災計画(原子力災害対策計画編)の見直しについてお答えいたします。
「福島の教訓を生かす」ことにつきましては,原子力規制委員会が,福島の原発事故を検証した原子力災害対策指針の改定を進めており,本市の地域防災計画は,この指針に基づき,段階的に修正しているところであります。併せて,福島県での事故時の住民避難や災害対応などの実態を把握するため,広く情報を収集し,本市の防災対策に生かしていきたいと考えております。

(2)住民の広域避難計画について
ア.実効性について

2点目に、住民の広域避難計画の実効性について質問します。
茨城県知事は昨年3月の県議会で、東海第二原発30km圏内市町村の全人口は106万人と極めて多いことから、県内にあるバスを総動員しても、1回に24万人しか搬送できないため、一斉避難は不可能と述べました。県内のバス約7,000台すべてを動かすという「机上の数字」をもってしても、一斉避難はできないという知事の見解ですが、高橋市長はどうお考えでしょうか。市長は私の質問に「実効性ある広域的避難計画を策定する」と答弁されましたが、27万人の市民を安全に30km圏外に避難させることができるのか。かつ、市役所機能も移転を余儀なくされるのです。実効可能と考えているのか、その根拠を示していただきたいと思います。

【市民環境部長 答弁】
実効性のある避難につきましては,今後の国の原子力災害対策指針や県の地域防災計画の改定などを踏まえ,具体的な対応策を検討していくことになります。そのうえで,日頃から,市民の方々に,避難や屋内退避などの原子力災害に関する情報の周知を徹底してまいります。
また,原子力事故発生時には,迅速かつ的確な避難を行うために,事故の経過,放射性物質の放出状況,緊急モニタリングの実施結果などの情報をもとに,必要に応じて,国が避難指示を発令する前から,避難の準備に取りかかることとしております。
さらに,県,原子力事業者,住民などと協力し,実践的な訓練を行うとともに,訓練後にはその評価を行い,原子力災害対策に反映してまいります。この訓練,評価,反映のサイクルを繰り返して行うことで,原子力防災体制を充実させ,原子力災害に備えてまいります。

イ.茨城県の避難シミュレーションについて
茨城県は昨年度、「原子力災害に係る住民避難計画関連技術調査業務」を、東京にあるユーデック株式会社に委託し、今年3月に報告書が提出されています。報告書には、県が指示した36パターンのシナリオに基づいて、避難指示を受けた住民が30km圏の外まで移動するのにどれだけ時間がかかるか、さらに、避難方向や避難経路が示されます。現在、県は報告書の検証作業を続け、終われば市町村に説明したいとしています。
そこで、私は6月7日、大内久美子県議とともに県原子力安全対策課にヒアリングを行いました。以下、問題だと感じた点を述べますと、避難する手段はすべて自家用車とされ、1台に平均2.5人が乗り、原発に近い東海村から順々に避難を開始。水戸市民は指示がでるまで屋内退避というシナリオです。しかし、現実には一刻も早く避難しようとする住民、自家用車、さらには緊急車両で、混乱、大渋滞は避けられません。また、原発事故が単独で発生したという想定であり、地震や津波による道路や橋の陥没、信号機停止の想定がない。さらに、入院患者や介護施設入所者など自家用車での避難が困難な人をどうするのか想定がなく、現実味がないと感じました。
今後、水戸市は、県から示されるシミュレーションを受けて、どのような段取りで避難計画を作るのかお示しください。

【市民環境部長 答弁】
県の避難シミュレーションにつきましては,本市の避難計画を具体的に定めていくうえで,避難所までの所要時間,道路の渋滞状況,自主避難者の人数などの情報が重要と考えております。
また,本市の避難計画策定上の課題につきましては,事故の経過や気象条件などによって,避難先や避難経路が大きく変わるため,複数の避難パターンを準備することが不可欠となります。そのため,国の基準を踏まえ,どのタイミングで,どこへ,どのような輸送手段で避難するのかなどの課題を整理していくことが必要であると考えております。

ウ.SPEEDI及び放射線量モニタリングについて  次に、避難指示を出す基準について伺います。国は、空間線量が20マイクロシーベルトになったら1週間以内に住民を避難させるとしていますが、20マイクロシーベルトと言えば通常時の400倍であり、市民の理解は得られないのではないか。
また、福島原発事故で情報隠しが大問題となったSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)は、茨城県では的確な運用方法が確認、訓練され、市町村にきちんと情報が提供されるのでしょうか。
県は、震災2年目の今年3月11日に、原子力防災訓練を実施しています。訓練のために、県が(財)原子力安全技術センターに作成依頼したSPEEDI図形を拡大したものがこちらです。(※パネルを提示)
東海第二原発で事故が発生し、朝9時に放射性物質が放出開始。風は、北東の風、風速3.5mという実際の気象データです。北東の風と言えば、ちょうど東海村から水戸市の方角です。大気中の放射性ヨウ素は10時、11時、12時と、時間とともに水戸市を含む30km圏の赤い線を越えて拡散しています。「風向きに対して直角に逃げろ」と言われますが、水戸市では、原子力事故を想定した住民の避難訓練は一度も行っていません。今後、実施する考えはあるのかお聞きします。
放射性物質の拡散は、風向きや雨の降り方に大きく左右され、その汚染状況を測定するのがモニタリングポストです。ところが、3・11東日本大震災の時、茨城県内各所のモニタリングポストは、地震による停電で、丸2日間データが測定できない事態に陥りました。詳しい実態はどうだったのか。また、その後も停電時の対策が改善されていないと聞いています。放射線量データの測定という基本中の基本が保障されていません。県に改善を働きかけるよう強く求めるものです。

【市民環境部長 答弁】
続きまして,国の避難指示や屋内退避の発令に関しましては,まず,国,県において各地区で緊急モニタリングを実施し,SPEEDIによる放射性物質の拡散予測を参考にしながら,対策を講ずることとなっております。
的確かつ迅速な避難のため,SPEEDIは必要な情報でありますので,市町村への提供について要請してまいります。
次に,県で設置しているモニタリングポストは,停電時にも測定できるよう非常用のバッテリーを備えておりますが,東日本大震災時には,本市内に設置してある3箇所のモニタリングポストは,3月12日の午前2時頃には測定ができなくなり,石川局は,翌13日の午後1時頃,吉沢局と大場局は,3月14日の午前1時頃測定再開となりました。
空間放射線量の測定値は,原子力防護対策に必要不可欠な情報であることから,今後,県に停電対策の改善について求めていきたいと考えております。


2.東海第二原発について


(1)事故時の通報連絡体制について
先日のJ-PARC事故でも問題になりましたが、3・11の際、日本原電から東海第二原発の非常事態を伝える水戸市への通報はどうだったのか。地域安全課に事情を尋ねたところ、混乱の中で、日本原電からファックスはまともに送られてこず、電話連絡のみ。受ける水戸市側も、ファックス受信機は被災した市役所の中に残したまま、地域安全課は、地震・津波の情報収集や避難所の開設、支援物資の手配など、初動態勢の整備に全職員が奔走しており、原発の非常事態には十分対応できなかったと言わざるを得ません。現在、どう改善されたのか伺います。

【市民環境部長 答弁】
東日本大震災時の東海第二発電所からの通報連絡につきましては,震災当初は,停電のためFAXは受信できませんでしたが,電話により,随時,事業所の対応状況などについて連絡がありました。
震災後の水戸市の体制につきましては,平成24年度から地域安全課に新たに危機管理室を設置するとともに,職員を増員し,防災係と危機管理係の職務を明確にいたしました。さらに,災害対策本部の事務局機能を充実させるために,本部事務局内に総括班,放射線班,住民班,情報班,広報班,運営支援班を設置いたしました。

(2)廃炉促進について
事故収束も、廃炉のプロセスにも解決できていない課題が山積です。そのような下で、福島県内の避難指示区域の面積は、水戸市全域の5倍もの広さで、そこは今、人が住めません。15万人以上の人々が故郷や自宅を追われ、代わりに降り注いだ大量の放射性物質が居座っています。原発は絶対に受け入れられるものではありません。世論調査でも原発再稼働反対が賛成を大きく上回っています。
福島県の佐藤雄平知事は「過去40年の恩恵を上回る被害をもたらした」と、今月12日、県民の総意として福島県の10基すべての原発廃止を安倍総理大臣に要望しました。ところが、安倍内閣は成長戦略の中で、原発再稼働に向けて「政府一丸となって最大限取り組む」と明記し、「原発ゼロ」を願う世論に真っ向から挑戦するものとなっています。国の原子力規制委員会は、今日にも新たな規制基準を決定し、7月以降、再稼働の申請があった原発の適合判断を行い、その上で立地自治体の同意を得て、最終的には政府がゴーサインをだすという流れが強まっています。
橋本県知事は東海第二原発の再稼働について、昨年3月県議会でこう述べています。「運転開始から33年経過していること、30km圏内に94万人が居住していること、首都東京にきわめて近いことなど、置かれている状況を十分に勘案していく必要がある」とした上で、「地元自治体と協議していく」と述べています。
したがって、94万人のうち27万人を占める市民の水戸市の高橋市長が、東海村や日立市、ひたちなか市などの首長と一緒になって、再稼働は認めない、「NO」と表明するよう求めます。昨日の田中まさき議員の質問に「厳しい判断をしていく」と答えましたが、いつ判断されるのか伺います。

【市民環境部長 答弁】
東海第二発電所の再稼働につきましては,原子力施設は,安全が最優先であり,東日本大震災を上回る地震,津波に対しても二重,三重の安全対策が講じられ,万全であると確認されることが大前提になると考えております。
今後示される過酷事故や地震,津波対策を盛り込んだ新しい原子力発電所の規制基準,東海第二発電所の安全対策を踏まえ,多くの市民の声を十分考慮しながら,本市として,判断していくこととしています。


【再質問】
初めに、住民の避難計画についてです。計画を策定するにあたって、どのようなことが課題なのか答弁がありましたが、今後、避難計画を個々具体化すればするほど、茨城県においては約100万人、水戸市で27万人の市民を、安全に被ばくさせずに避難させることはできないという矛盾に突き当たるのではないかと私は思います。これほど大規模な避難計画は前例がありません。実効性がない避難計画は作るべきではありません。結果として、避難計画は作れないという結論もあり得るのか、考えをお聞かせ下さい。
次に、東海第二原発についてです。水戸市にとって、東海第二原発を再稼働させる必要があるとお考えでしょうか。少なくとも、東海第二原発が電力を供給している東京電力管内において、電力不足は生じていません。国の動向や、安全性とは違う観点で、再稼働の必要性について、水戸市にとって再稼働させる必要があるのか伺い、再質問といたします。

【市民環境部長 答弁】
避難計画につきましては、国の基準を踏まえ、かつ、さまざまな課題を整理し、実効性ある避難計画を策定してまいります。
また、エネルギー政策につきましては、国のほうで責任をもって対応していただくものと考えております。