2013年9月議会一般質問 ―開放学級・障害児保育、原子力防災、ゴミ処理施設―

2013年9月議会一般質問 日本共産党水戸市議団 江尻加那 2013.9.12

日本共産党水戸市議団の江尻加那です。通告に従い一般質問を行います。


項目

1、保育行政・子育て支援について


はじめに、学童保育のさらなる充実を求めて質問します。
小学生を対象にした学童保育は、親が仕事で家にいない子ども達が放課後や夏休みを過ごす毎日の大切な生活の場です。働く親の子育て支援として、必要性も重要性も保育所と同等でありながら、水戸市ではまだまだ学童保育の位置づけが弱いと感じます。各小学校で行っている水戸市開放学級や、その他民間の学童クラブについて、この間の児童数や施設数、内容の経過や解決すべき課題など、現状に対する市の考えを伺います。

(1)水戸市開放学級について
ア.6年生までの利用拡大に向けた取り組み状況

今年の夏休み、何人もの保護者から開放学級に対する相談が寄せられました。一番多い相談は、やはり、小学6年生までの利用を望む声です。水戸市では今年度から、ようやく夏・冬・春の長期休みのみ、4年生が利用できるようになりましたが、初めてとなった今年の夏休みの利用状況をお答えください。
学童保育の対象児童については、政府が昨年8月に児童福祉法を改定し、小学3年生から6年生に拡大しました。2015年度がスタートです。当然水戸市でも実施が望まれます。施設や指導員の確保等の課題を解決し、6年生まで拡大していく考えに水戸市がしっかりと立っているのか、お伺いします。
イ.「生活の場」として施設等の改善
2番目に多かった要望は、子どもの生活の場にふさわしい施設への改善です。緑岡小学校の3つの開放学級のうち、1つが実施されている体育館ロビーには、いつエアコンが設置されるのか。本来なら、体育館ロビーは学童保育に適切な場所とは言えず、改善が必要です。また、見川小学校は仮設プレハブ校舎の図工室を使って開放学級を行っていますが、定員いっぱいで、優先されるべき1年生も入れず待機児童が生まれています。見川小学校の新しい校舎が整備されるまでには、あと4、5年かかります。
今ある学校の建物や敷地の中で解決するには限界があります。ならば、学校近くで学童保育に適した民間の建物を借りたり、築38年の緑岡市民センターを今後建て替え、開放学級の施設を一体的に整備するなど、これまでの枠を超えた拡充策が必要です。そして、水戸市が補助を行っている民間学童クラブは11カ所しかなく、各小学校区に思い切って民間学童クラブを増やすことです。見解を伺います。

【答弁 教育次長】
江尻議員の一般質問のうち,保育・子育て支援についてお答えいたします。
はじめに,開放学級につきましては,子どもたちを,健やかに,安心して育てることができる環境づくりのために,放課後児童対策は特に重要な施策の一つであると認識しております。
開放学級の現在までの状況についてですが,条例で位置付け運用を始めた平成17年度当初は,28小学校30学級で利用児童数は1,049人であり,現在は,全ての小学校33校51学級に拡充し,利用児童数は2,100人に増加しております。
さらに,土曜日の開設や,平成24年度からは専用棟で運営している学校の中からモデル校を6校選定し,終了時間を午後6時から30分延長したところでございます。
今年度から新たに実施した4年生までの長期休業期間中の利用児童数は307人となっております。しかしながら,4年生を受け入れたことにより,利用児童数が多い学校におきましては,子どもたちが安全に生活するための実施場所や指導員の確保等の課題が生じました。
6年生まで利用を拡大した場合,開放学級は,学校の余裕教室等を利用することを基本としているため,現在よりもさらに実施場所の確保等が困難となります。
そのため,今後予定される子ども・子育て支援事業計画策定に向けたニーズ調査や計画策定等を通じ,関係各課と調整を図りながら民間学童クラブの拡充も視野に入れ,検討してまいりたいと考えております。
次に,開放学級の環境改善につきましては,エアコン設置を平成19年度から年次的に進め,来年度中には全ての開放学級に設置できる見込みでございます。専用室の確保につきましては,難しい状況ではございますが,今後とも各学校の実情に応じて,できる限り適正な環境での実施に努めてまいります。

(2)障がい児保育の拡充について
次に、障害児保育の拡充を求めて質問します。
障害をもつ子どもや、特別な支援が必要な子どもの保育の受け皿が足りません。発達障害や自閉症、ダウン症、脳性マヒ、肢体不自由児など、困難を抱える子どもたちへの保育は、今、水戸市でどのように実施されているのか。ただでさえ認可保育園は定員一杯で入れない中、保育が保障されているのでしょうか。
障害児保育において、大きな役割を果たしている認可外の保育所があることを市はご存知でしょうか。30人いる子どものうち10人が障害をもっていて、所長はじめ一人ひとりの保育士が、障害児への専門性と経験を積みながら、マンツーマン保育が必要な重度障害の子どももしっかり受け入れています。
また、酒門町にある児童発達支援センター「あゆみ園」にも、たくさんの子ども達が通っています。50人の定員に対し、60人が入所。そのうち年長児が22人いて、多くは来春に特別支援学校に入学予定です。親子で通える親子教室のニーズも高いのですが、市の障害福祉課で発行される受給者証が必要です。受給者証なしで利用できれば、もっと多くの親子が気軽に通えるようになります。水戸市の支援策が必要です。
市は今年度予算で、民間保育園2ヶ所の新設を予定し、9月中にも事業者を選ぶ選定委員会を開く予定です。選定にあたっては、昨日市長が答弁で述べていた休日保育に加え、障害児保育や病児保育、学童保育等も選定に反映することを提案します。市長が第6次総合計画素案に掲げた水戸市療育センターの機能充実策を柱にして、障害児保育を拡充することは水戸市全体の保育の質の向上につながり、子育ての安心感を大いに高めるものになると期待し、見解を伺います。

【答弁 教育次長】
次に,障がい児保育の拡充についてお答えいたします。
保育所は,保護者が仕事や病気などのため,家庭で保育できないとき,毎日一定の時間保護者にかわって保育する役割を担っており,障害がある児童や支援を要する児童についても,保育所の集団保育が可能な限りできるだけ保育所に受け入れ,障害児保育を推進することが重要であると認識しております。
そのため,本市においても,市立,民間保育所ともに,集団保育が可能で,かつ日々通所できる,中程度までの障害を持つ児童の受け入れを常時行っております。平成24年度においては,身体障害者手帳及び療育手帳が交付されている児童について,市立保育所では5か所で11人,民間保育所では4か所で5人を受け入れております。
さらに,市立保育所におきましては,障害がある児童や支援を要する児童が安全に過ごせるように,入所児童の状況に応じて対応するための嘱託保育士を配置しております。具体的には,9月1日現在,市立保育所12か所で,27人を配置し,障害児に対する支援の充実を図っております。
一方,民間保育所に対しては,市単独に,「水戸市民間保育所障害児保育事業補助金交付要項」に基づき,障害児保育に要する人件費及び備品購入費の補助を行っております。
今後も,本市の障害児保育に当たっては,総合教育研究所や療育センターと連携を密にし,十分な配慮のもとに保育を行うとともに,障害児保育にかかる研修を充実し,保育の質の向上に努めてまいります。


2.原子力防災について


(1)住民避難計画について
次に、原子力防災のうち、住民避難計画について質問します。私は前回、6月議会の一般質問で、福島第一原発事故の教訓を生かすならば、東海第二原発の過酷事故から水戸市民27万人を安全に避難させることは到底不可能であり、実効性ある住民避難計画はつくれない。第二原発30km圏内14市町村で具体的な避難計画ができているところは未だ一つもなく、原発を再稼働しないことが一番の安全対策だと質問しました。
ところが、日本原電(株)の濱田社長は7月11日、東海第二原発を再稼働させたいとの方針を表明。現在、高さ17mの防潮堤やフィルター付ベントの工事を進めています。日本原電のこうした動きは、市民、県民の意思と安全をおきざりにした不誠実極まりない企業の体質があらわになっています。
高橋市長は昨日の中庭議員への答弁で、実効性ある住民避難計画がつくられることが再稼働の大前提だと述べました。私は、避難計画ができれば再稼働していいとは決して考えませんが、少なくとも市長の見解は当然であり、国や日本原電に対して避難計画なしの再稼働はありえないとの認識に立つよう求めていくべきと考えます。
と言うのも、原子力規制委員会の田中委員長は、「避難計画がなければ再稼働できないということではない」との見解を示しています。さらに、日本原電は「避難計画は市町村がつくるもの。計画ができていなくても再稼働申請できる」と言っています。これは、私ども日本共産党が、日本原電の再稼働表明に抗議申し入れを行った際に原電側が述べたものです。そのやり取り中、原電は「運転年数40年の規制があるが、プラス20年延長できる」と発言し、老朽化原発を60年運転させることまで考えています。市町村に形だけの避難計画をつくらせ、それを前提に再稼働することになりはしないか。そんな安全軽視は絶対に許されません。
避難計画については、県が7月26日に「避難時間推計シミュレーション結果」を公表し、県内すべての市町村を集めた説明会を開きました。シミュレーションによると、東海第2原発から5km圏内8万人が5kmの外へ避難に要する時間は15時間。水戸市を含む30km圏内98万人が30kmの外へ避難に要する時間は32.5時間との結果です。これらシミュレーション結果や県の説明を水戸市はどう受け止めたのか。また、現在、どのように広域避難計画の策定をすすめているのか、お示しください。

【答弁 市民環境部長】
江尻議員の一般質問のうち,原子力防災についてお答えいたします。
原子力災害時,市民に対する放射線の影響を最小限度に抑える防護措置を確実なものにするためには,広域避難計画を策定することが重要であります。
広域避難計画につきましては,茨城県において,今月4日に,第1回目の県内市町村及び防災関係機関との勉強会を開催したところです。県では,全体的な構想としての広域避難計画の年度内策定を目指し,9月から本格的な検討を始めております。本市においても,県の計画に基づき,広域避難計画の策定を進めてまいります。
避難時間推計シミュレーションにつきましては,県から,本年7月に,原子力災害時の避難時間や避難時に想定される交通混雑などを分析した結果が,東海第二発電所から30km圏内(UPZ)の市町村に示されました。
本市においては,主に南方面に常磐自動車道や国道6号などを利用し,避難することが予想され,避難指示直後から長時間にわたって大規模な渋滞が見込まれております。効果的な避難方法,交通渋滞の対策,避難先との連携,災害時要援護者の対応などの課題につきましては,広域避難計画を策定する中で検討してまいります。

(2)災害時要援護者への対応について
地域防災における行政の重要な役割は、正しい情報を広く市民に伝えることと合わせて、自力避難が困難な災害時要援護者への対策です。在宅介護の高齢者、福祉施設の入所者、病院の入院患者、車を持たない市民、障害者、子ども、妊婦などです。市民27万人のうち、原発災害におけるこれら要援護者は何人にのぼるのか。病院や施設など具体的に把握できているのか、それぞれお答えください。
東日本大震災の時、水戸市でも協同病院はじめ、多くの病院が患者の避難を余儀なくされました。市内のある病院では水道が止まり、人工透析患者40人を介護ワゴン車や職員の自家用車など約10台を使って、3日がかりで県内はもちろん、東京、埼玉、神奈川などの病院に避難させました。
また、福島第一原発事故を調査した国会の事故調査報告書には、次のように記されています。1)当時、20km圏内の大熊町や双葉町など5つの自治体に7つの病院があり、約850人の患者が入院していたが、事故があった3月末までに死亡者数は少なくとも60人に上ったこと。2)福島県や市町村は病院の重篤患者の避難に対して積極的な支援を行わず、病院は十分な情報もない中、自力で全患者の避難手配を行わなければならず、結果として多くの犠牲者を生んだこと。3)7病院中6病院は、福島県の地域防災計画で病院が自力で患者の避難を行わなければならないと定められていることを知らず、唯一、避難マニュアルを用意していた病院でも、全患者の避難や複合災害は想定していなかったと報告しています。
水戸市の防災計画も福島県と同じです。水戸市地域防災計画の27ページには、病院や社会福祉施設の管理者は、避難所、避難経路、誘導方法、必要な資機材の確保など避難計画を作成するものと規定していますが、施設まかせであってはなりません。医療機関や福祉施設等とどのような意見・情報交換を行って、水戸市は災害時要援護者の避難計画を具体化しているのか伺います。
原発事故に対し、市民の避難計画を具体化していく作業は重要ですが、結果として、実効性ある避難計画は立てられず、東海第二原発の再稼働は認められないと水戸市長が表明することです。原発が居座り続け、人間が住み家を追われるような選択に未来はありません。

【答弁 市民環境部長】
次に,災害時要援護者への対応についてお答えします。
本市の災害時要援護者の対象者は,介護保険の要介護2以上の方6,473名,身体障害者手帳1級及び2級所持者4,255名,療育手帳マルA及びA所持者857名,精神保健福祉手帳1級所持者176名,65歳以上のひとり暮らしの高齢者6,252名となっておりますが,重複している方もいますので,総数としては,約1万3千人であります。本市では,本年3月と5月に防災会議を開催し,地域防災計画を改定したところであります。防災会議の構成メンバーには,水戸市医師会,茨城県看護協会,水戸市社会福祉協議会などの団体の代表の方も含まれており,御意見を伺っております。
地域防災計画では,病院や社会福祉施設などの管理者が,避難経路,避難方法,必要資機材の確保などを盛り込んだ避難計画を作成するものとしたことから,今後,市が策定する広域避難計画に基づき,各施設がより実効性のある避難計画を定められるよう支援してまいりたいと考えております。
東海第二発電所の再稼働につきましては,原子力施設は,安全が最優先であり,東日本大震災を上回る地震,津波に対しても二重,三重の安全対策が講じられ,万全であると確認されることや実効性のある広域避難計画が策定されることが大前提になると考えております。
原子力規制委員会の新規制基準,東海第二発電所の安全対策を踏まえ,多くの市民の声を十分考慮しながら,本市として,判断していくこととしています。


3.新ごみ処理施設整備計画について


(1)焼却施設規模(370t/日)の見直しを
最後に、水戸市下入野町に建設予定のごみ処理施設についてです。今年2月に、議会の新ごみ処理施設整備調査特別委員会で、静岡県静岡市と磐田市を視察したことを踏まえ、以下、2点について質問します。
1点目は、水戸市が新たにつくる処理施設の規模を日量370トンとしていることです。ごみ処理施設の建設費用は、1トンあたり約4~5千万円とされ、1トン違えば5千万円、規模を20トン縮小できれば10億円の建設費が節約できます。その後の維持経費の縮減にもつながります。
現在の小吹清掃工場は日量390トンであり、370トンという計画はそれより小さいので、過大ではないと言えるでしょうか。370トンという規模は、水戸・常澄・内原の3地区合わせた年間約10万トンの今のごみ量を前提として、それを処理するのに施設を年間280日運転するする計算です。そこで、現状のごみ量10万トンを前提とせず、新施設完成までの後5年の間に、ごみ減量化をしっかりとすすめることです。さらに、新施設では容器リサイクル法に基づくプラスチックは燃やさないとしているのであり、これだけでも1割から2割のごみを減らせます。前提とするごみ量を減らし、370トンの規模を縮小すべきではないでしょうか。
さらに、なぜ年間の稼働日数を280日とするのか。1年のうち85日運転しない前提です。老朽化した小吹清掃工場でさえ、現在約280日稼働しています。新しい施設になれば、より効率的に運転し稼働日数を増やすことが可能ではないか。
ごみ量を多く見積もり、稼働日数を少なくすれば、当然施設規模は大きくなります。370トンは適正なのか。再度、精査、縮小すべきではないか。市の見解を伺います。

【答弁 市民環境部長】
次に、新ごみ処理施設整備計画についてお答えいたします。
はじめに、焼却施設の規模算定についてのご質問でございますが、施設規模の算定は、国の補助要綱に示された算定式により行ったものでございます。算定式における年間稼働日数につきましては、補修整備、点検期間や施設の起動、停止に要する日数といたしまして、年間停止日数を85日とすることが示されております。したがいまして、年間稼働日数を280日と設定いたしました。

(2)溶融炉の導入は撤回を
最後に、新ごみ処理施設に溶融炉を導入する計画について伺います。市は、1300度以上の高温でごみをそのまま溶融する方式か、または、小吹清掃工場と同じストーカ炉で一旦ごみを燃やし、できた灰を溶融する二段階の方式か、いずれにしても溶融炉をつくる計画です。
ごみを高温の溶融炉で溶かし、これを冷たい空気や水で冷やして固い粒状にしたものをスラグと言いますが、このスラグを道路の舗装等に再利用することで、灰の埋め立てをなくし、最終処分場を小さくできるというのが市の考えです。
しかし、2月に視察した静岡市も磐田市も、溶融施設の運転には大きな課題を抱えていました。静岡市は日量500トンの大規模な溶融炉ですが、高温を維持するためのコークスなど燃料資材のコストがかさみ、運転管理の委託料は年間11億円に上ります。スラグは、静岡市の道路建設など公共工事で活用するとし、請負業者にスラグ活用を義務付けています。
磐田市は、スラグを市の水道管の周りに埋める材料等に活用してきましたが処理しきれず、灰溶融炉の稼働2年目で早くも運転をストップ。灰は最終処分場に埋め立てているとのことでした。スラグの活用は、言葉で言うほど簡単なことではありません。
私は京都市の事例も調べました。総額175億円をかけて建設された灰溶融炉を試運転していましたが、排水から基準値の42倍ものダイオキシン類の検出、耐火レンガ損傷や亀裂など、重大なトラブルが相次いでも原因究明や改善がなされず、先月8月5日、京都市長はついいに住友重工に契約解除を通告。灰溶融炉は本格稼働されないまま、今後、解体されるというとんでもない事態となっています。
また、水戸市の隣り、ひたちなか市と東海村共同のクリーンセンターで昨年8月から灰溶融炉を稼働してします。スラグの処理状況を伺いました。昨年度は2,762トンのスラグが生成されましが、原発事故の放射能の影響を受け、スラグの7割は国のセシウム基準値100Bqを超えたために再利用できず、最終処分場に埋め立て。残り3割は、舗装・土木会社のNIPPOに売却したとのことでした。1300度を超す高温で溶融しても放射性物質は残ることを再認識させられました。
ごみを溶融してスラグにし、再利用して埋め立て量を減らせるというメリットだけの市の説明は、机上の空論にならないか。スラグの問題を軽視すれば、後になってツケが回ってきます。溶融によって埋め立て量を減らす考えより、ごみそのものを減らすという根本に立った方針と施策が重要です。溶融炉を導入せず、水戸市で運転実績のあるストーカ炉を採用することを再度検討すべきと考えます。過大な建設費と維持費に苦しんでいる自治体は現にたくさんあり、計画段階における市の姿勢が問われます。これまで、どのような具体的検討を行ってきたのか伺い、1回目の質問を終わります。

【答弁 市民環境部長】
次に、溶融炉についてのご質問でございますが、焼却施設の整備にあたっては、主灰を高温で溶融し、ガラス状のスラグにして、建設資材として有効利用を図り、最終処分場の削減に努めることとしております。スラグについては、コンクリート用・道路用資材に関するJIS規格が定められ、民間調査では、一時的なストックも含め有効活用される割合は9割を超えております。また、県内の事例といたしましては、さしま環境管理事務組合のごみ焼却施設で生成したスラグについて、近隣のアスファルト合材メーカーに、全量有償で引き取られております。このような実績から溶融スラグの生成につきましては、最終処分場の削減には極めて有効であると判断しております。
ごみの減量につきましては、引き続き、市民、事業者への啓発に努めてまいりますととみに、新ごみ処理施設の整備に併せて、これまで燃えるごみとしていたプラスチック製容器類を資源物として回収するなど、一層の資源化を図ってまいります。


再質問


それぞれ答弁をもらいましたが、1点のみ再質問しました。
災害時要援護者の対策について、私は質問で「在宅介護の高齢者、福祉施設の入所者、病院の入院患者、車を持たない市民、障害者、子ども、妊婦など」の把握と対策を聞きましたが、答弁があったのは「要介護認定者数、障害者手帳保持者数、一人暮らし高齢者数で合わせて約13,000人」というだけでした。水戸市内にある病院数や入院ベッド床数、福祉施設数や入所定員数は、どのように把握しているのか答弁がありませんでした。 水戸市が、災害時要援護者は13,000人という認識でいるとすると、あまりにもとらえ方が狭すぎ、少なすぎます。
水戸市が今年5月に改定した「地域防災計画原子力災害対策編」の27ページには、「原子力防災の特殊性に留意し、放射線の影響を受けやすい乳幼児等については、十分配慮するものとする」と規定しています。どのような配慮がなされるのか。配慮すべき子どもは何人と考えているのか。具体的な答弁を再度求めました。
これに対し、市民環境部長は「今後の広域避難計画の策定作業の中で、具体化を進めていく考えです」というものでした。

後記

Part1.
万が一の災害(自然災害も原子力事故も)で避難を余儀なくされる状況に迫られた時、「行政に頼っていたたら安全は守れない。日頃から自分や家族を守る方法を考えておかないと」という声が聞こえます。東日本大震災や福島原発事故の経験から、政府や自治体、企業が信頼できないと不信感を持つのは当然かもしれません。
しかし、頼りにされていないからと言って、防災計画をなおざりにはできません。さらに言えば、行政を頼らざるを得ない人も大勢いるのが現実です。それが「災害弱者」と言われる人たちであり、自力での避難が困難な人への対策が強く求められると考えます。

Part2.
それにしても、ごみ処理施設規模の算定方法についての答弁は答弁になっていません。確かに、国の「廃棄物処理施設整備費国庫補助金交付要綱」に「年間停止日数については、85日を上限とする」とあります。あくまでも「上限」です。ということは、365日-85日=280日となる年間稼働日数は「下限」です。最低限の基準を280日稼働としているのです。最低限ということは300日稼働でも補助金は交付されるのです。しかし、全国の多くの自治体が、水戸市と同様に横並びで最低限の280日を算定基礎にしています。そこには、ごみの減量化をしっかりと取り組み、少しでも施設規模を小さくして建設費を節約するという考えが抜け落ちてしまっている、抜け落ちる仕組みになっていると言わざるを得ません。

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