2015年3月茨城県議会 予算特別委員会 江尻加那県議の質問

茨城県議会予算特別委員会 2015.3.19

日本共産党茨城県議団 江尻加那


1. 子育て支援の推進について

(1) 子ども医療費助成制度の拡充

江尻委員 日本共産党の江尻加那です。どうぞよろしくお願いいたします。

初めに、子どもの医療費助成制度のさらなる拡充について、保健福祉部長に伺います。

昨年10月、県が補助を拡大したとき、子育て世代から、なぜ、外来も入院と同じように、中学校3年生まで対象にならないのかという声や厳し過ぎる所得制限をなくしてほしいという願いが寄せられました。これに応えるために必要な予算額と、今後、どのような方向で拡充できるのか、所見を伺います。

○藤島委員長 森戸保健福祉部長。

○森戸保健福祉部長 お答えいたします。

中学3年生の外来まで対象者を拡大した場合の県追加所要額でございます。約3億3000万円となると試算しております。

さらに、所得制限も撤廃した場合でございますが、さらに7億9000万円増になりまして、合計で11億2000万円の増になると試算しております。

今後の制度拡大の方向でございますけれども、県では、昨年10月に、対象年齢を引き上げる形で拡大を図ったところでございまして、拡大に当たりましては、他県や市長村の動向を踏まえながら、対象年齢や所得制限、自己負担を見直した場合の試算、外来・入院別の受診や医療費の状況など、さまざまな観点から検討いたしまして判断をしたところでございます。

今後の制度拡大につきましては、県の財政状況等踏まえながら、さまざまな観点から検討して判断してまいりたいと考えてございます。

江尻委員 中学校3年生まで拡大する場合は3.3億円、所得制限をなくすのに7億9000万円、両方やっても11億2000万円とのことです。実現できます。というのも、今回、平成26年度一般会計の補正予算で、保健福祉の関係費だけで約60億円も減額の補正となっています。当初予算の中で精査し、十分措置できると思います。子どもたちのために使っていただきたい。

今、市町村は本当に努力しています。高校生まで対象にする自治体や、古河市のように、二十まで広げるところも出ております。

そして、所得制限は、県内32自治体が既に廃止。ただ、それ以外は、県と同様の厳しい所得制限が残っており、市町村間で大きな差が出ています。

私は、子どもの命や健康に直結するこの格差をなくすために、さらに、県が市町村と協力して、今度は高校卒業までの無料化を目指すときが来たと考えておりますが、いかがでしょうか。

○森戸保健福祉部長 昨年10月に県が制度の拡大を行いましてから、各市町村単独で対象拡大が進んでおりまして、本年10月までには、県内全ての市町村で、中学生の外来も対象になる見込みというふうに承知しております。県が支援を拡大することによりまして、このように、市町村の取り組みがさらに進んでいるという連帯効果によりまして、県全体のマル福制度の充実が図れているものと、県といたしましては認識しております。

一方、ご質問の高校生までの完全無料化でございますが、都道府県の助成制度として、高校生を対象としておりますのは、原発事故による健康不安等への対応として実施している福島県1県のみでございまして、本県の厳しい財政状況を踏まえますと、実施は困難であることをご理解いただきたいと存じます。

委員御指摘のとおり、子どもの命や健康にかかわる医療費助成制度は、県や市町村独自の取り組みに任せるのではなく、社会保障のために消費税を充てるということになったわけでございますが、また、国を挙げて少子化対策に取り組んでいる最中でございますので、まずは、国が統一的に実施すべきであり、これまでも国に制度創設を要望してきたところでございます。

今後とも、他県等と連携いたしまして、さらに強く働きかけてまいりたいと考えてございます。

江尻委員 医療費の補助は、本当に子育ての大きな安心につながります。これからもしっかりと求めていきたいと思っておりますので、よろしくお願い致します。


2. 税務行政について

(1) 滞納処分の実態

江尻委員 税務行政について、知事に伺います。

市県民税や国民健康保険などの微収において、行き過ぎと思われる滞納処分が本県で頻発しています。その背景には、年金や実質賃金が下がり続けるもとで、低所得者、そして高齢者世帯にとりわけ住民税の大増税や、国保税、介護保険料の相次ぐ値上げが行われ、さらに、消費税増税で、小規模・零細事業者の経営が圧迫されている現実があります。納税は国民の義務ですが、今のこの重い税負担は政治の責任だと私は思います。

土浦市で電気工業を営むAさんは、2014年12月に茨城租税債権管理機構から差押調書が送られ、取引先の売掛金85万8000円が差し押さえられました。売掛金は、外注費や材料代の支払いにどうしても必要な資金であり、事業の維持に支障となる差し押さえは国税徴収法でも留意すべきとされています。問答無用の差し押さえは問題です。

さらに、県南地域の開業医が、租税債務管理機構の診療報酬差し押さえ等の非人間的な徴収に、最後は精神的に追い詰められ、今年1月、自ら命を絶ちました。遺書には「税金を払うだけの人生はむなしい」と書かれてあったそうです。徴収によって自殺者を生むようなことはあってはならないと思いますが、本県の滞納処分の実態、差し押さえ件数の推移をお伺いいたします。

○藤島委員長 橋本知事。

○橋本知事 まず初めに、滞納処分の実態についてお答えいたします。

平成21年度から平成25年度までの5年間の差し押さえ件数についてでありますけれども、県におきましては、平成21年度が6221件、22年度が7605件、23年度が6374件、24年度が7516件、25年度が7294件となっており、昨年度、おおむね6000件ないし8000件の差し押さえを行っております。

市町村におきましては、平成21年度が1万3108件、22年度が1万3114件、23年度が1万3420件、24年度が1万5423件、25年度が1万6292件となっており、毎年、差し押さえ件数が増加している状況にございます。

こうした状況を踏まえて、全市町村が構成団体となって、市町村税等の滞納額の縮減を図るため、茨城租税債権管理機構が設立されたところでありますけれども、市町村から大口滞納事案や徴収困難事案を引き受け、滞納整理を行っているところであります。

先程、自殺者が発生したとのお話がございましたけれども、私も、そういったことはあってはならないことであると考えております。

県は、この管理機構における徴収実績や差し押さえ件数などの状況につきましては、管理機構から報告を受けて把握しておるところでございます。

一方、管理機構は、県内全市町村が構成団体である一部事務組合であり、管理機構職員にも地方税法に基づく守秘義務があります。また、茨城租税債権管理機構は、個人情報の保護に関する条例による情報提供の制限もあるところであります。したがって、滞納者の個人情報や滞納整理の状況等については、県として調査をしていない状況にございます。

管理機構における滞納整理の実態についてでありますけれども、移管された事案について、滞納者の生活状況等を十分に把握した上で、財産の差し押さえや差し押さえ財産の公売などの滞納処分を厳正に行います一方、生活困窮者に対しては、納税相談を丁寧に行い、納税の猶予や滞納処分の執行停止の判断など、個々の実情に応じた取り扱いを行っているものと聞いております。

滞納者につきましては、税の公平性の観点から、厳正に対処することが基本であると考えておりますが、一方で、滞納者の生活状況等を十分に把握し、適切な対応をしていく必要があると考えております。

(2) 茨城租税債権管理機構のあり方

江尻委員 知事も、徴収によって自殺者を生むようなことはあってはならないと述べられましたが、そのあってはならないことがなぜ起こってしまったのか。

県が支援して立ち上げた管理機構、そこに派遣される県職員は当初4名から今8名にふえ、県補助金は年1700万円。知事は、県財政に寄与したと感謝状も贈っておられます。

公的な徴税業務はどのような姿勢で行われるべきか。国税徴収法制度の責任者であります我妻栄東大名誉教授はこう言っています。行政に与えられている強権力と裁量権は、大多数の一般納税者に対して、決して濫用してはならないと指摘しております。

しかし、管理機構は、言うまでもなく、滞納整理の専門組織です。市町村でやるよりも住民の顔が見えづらくなる。生活実態もわかりづらくなる。容赦なく取り立てるという傾向に陥りがちです。本来、徴収業務は市町村の業務。市町村に戻して、管理機構は廃止すること。そして、市町村において、滞納者の実情を十分に聴取して、調査・相談できる体制を拡充することで、最終的に、しっかりと自主納付と生活再建をフォローできる行政づくりこそ大事だと私は考えますが、知事の所見を伺います。

○橋本知事 納税者の権利保障につきましては、お話のとおり、地方税法では、滞納者処分について、国税徴収法の例により行うこととされておるところでございますけれども、滞納者にとって生活上欠くことができない財産や社会保障制度に基づく受給権などに対しては、差し押さえ等の滞納処分を行うことはできないものとされており、当然のことながら、それらの規定を遵守することは極めて大切なことであると考えております。

また、滞納者の中には、病気や失業などの理由により、一括して納税できない方もおられます。

管理機構におきましては、生活の実態などをお伺いしながら、地方税法における徴収猶予のなどの徴収緩和制度を説明するなど、納税相談を丁寧に行い、適切な対応を心掛けていると聞いております。

市町村税の滞納整理は、市町村において行うべきであるとの御意見ですが、管理機構は、徴収率が全国下位に低迷している市町村税等の滞納額の縮減に取り組むため、平成13年度に、全市町村が構成団体となって設立したものであり、設立時から、市町村からの依頼に基づき、大口滞納事案や徴収困難事案を引き受け、滞納整理を行ってまいりました。

顔が見えないといったことだけではなくて、小さい市町村ですと、税の専門職員などもなかなか育っていない。そういったことも考えながら、この機構が設立されたものと聞いております。

その件数は、設立当初1096件でありましたが、平成19年度には1200件を超え、平成25年度には1447件と増加しております。

また、徴収実績につきましても、設立初年度は4億5000万円でしたが、平成20度以降、毎年10億円を上回る徴収額を確保しており、さらに、平成24年度に住民税対策課を新設して、徴収対策を強化したことにより、平成25年度については、設立以来初めて20億円を上回ったところであります。

このように着実に滞納整理を進め、構成市町村の期待に応えているものと考えておりますが、県内市町村の平成25年度滞納税額は、個人市町村民税の140億円を初め、総額で352億円と大変多額に上っており、徴収率も92.4%、全国数値が公表されている平成24年度では91.3%で、全国第42位となっているところであります。

本県及び県内市町村の財政状況は依然として大変厳しい状況が続いており、歳出削減の取り組みが限界に近づく中で、徴収率の向上及び滞納額の縮減は大変重要な課題でありますので、きちんと納税していただいている方々の税負担の公平性の確保の観点からも、管理機構の役割は極めて大きいものとなっております。

いずれにいたしましても、廃止すべきかどうかについては、県が指示すべきことではなくて、構成市町村が判断していくべきものと考えております。

江尻委員 県が支援してつくった管理機構、先程知事もおっしゃいましたように、平成25年度、管理機構が強権力や裁量権を使って徴税した額は20億円を初めて超えました。本税が15億円、延滞金が5億円です。一方で、県が呼び込んだ企業には同じ15億円を免除しています。

私は滞納がふえている背景には、重い税金の負担があると考えます。滞納でいいと言っているのではありません。徴収業務は本当に大変な仕事ではありますけれども、市民の暮らし向きが見える大事な市町村の業務であり、転換を求めて、次の質問に移ります。


3. 水道行政について

(1) 県中央広域水道の料金値下げ

江尻委員 次に、水道行政について、知事に伺います。

県中央広域水道の料金が全国の中で一番高く、これが構成市町村の水道事業会計を圧迫し、水戸市やひたちなか市、かすみがうら市など関係11市町村から再三、値下げが要望されております。

これに対して、企業局が応じられないと回答したときの資料が、知事、これです。この6ページ目にある収支見通しを、きょう、皆さんにわかりやすくしてお配りしていますので、ごらんください。

これを見ますと、もう水の需要の伸びは見込めないこと、そして、霞ヶ浦導水事業が完成すると、管理費約4.1億円と企業局は試算していますが、この管理費が発生し、赤字になると示しております。

事実、水需要では、大震災を契機に、市町村の考えも政策も大きく変わり始めました。ひたちなか市は、県の水より市でつくったほうが安い、20年間で250億円安くなると試算し、今、表流水と地下水を有効活用する事業に着手しています。また、水戸市では、常澄地区と内原地区がわずかに県水を受水していたものの、震災後に自前の送水管を整備いたしました。これで水戸市は一滴も県水が必要ありません。

こういう状況を把握しながら、知事は導水の早期完成を国に要望しています。これでは、市町村に、今よりもさらに過大な水の買い取りと料金の値上げを押し付けることになるのではないか。これは深刻です。知事は、導水事業継続を決めた国に従い、市町村と県民の要望には背を向けるのでしょうか。

中央広域水道の料金値下げと契約水量の見直しの要請に対して、どう県として対処するのか、所見をお伺いいたします。

○橋本知事 安全で安心な水を供給するためには、長期的な安定した水道事業の経営が必要であります。このため、水道料金は、ダムなどの水源費や施設整備のための借入金の償還金、維持管理費及び今後の施設改築等の費用を考慮しながら、長期的な展望に立って設定しているところであります。

ただいま、契約水量の見直しその他のお話もございました。ただいま申し上げましたように、水の確保ということにつきまして、大変長い時間がかかります。したがいまして、市町村からきちんと約束をしてもらって、その分については、将来も買いますよという形で事業を始めないと、これはやっていけないことになります。

そういったことを踏まえて今の事業があるわけでございますので、それについて、途中で、買いません、使わなくなりましたということになれば、結局、その分はほかの市町村の負担になっていくということになるわけでございまして、そこについては、御理解をいただかなければいけないのだろうと思っております。

また、平成25年度決算において、約8900万円の利益剰余金が発生しておりますけれども、これは、平成25年度末残高で、企業債の高が約73億円に上がっておりますので、その償還に充てさせていただいているところでございます。

県中央広域水道用水供給事業につきましては、平成25年度に、平成26年度からの3年間の料金について見直しを行ったところであります。今後10年間で約80億円に上る設備更新事業や管路の耐震化事業を進めることとしており、その財源を確保する必要がありましたことから、水道料金の値下げができる状況にはないと判断したところでございます。

霞ヶ浦導水事業の完成が延びている、かなり遅れるとみられるところから、減価償却や管理負担金の発生も先送りになると考えておりますけれども、一方で、事業期間が延びることによりまして、こういった費用の将来負担額が増えることも懸念されているところであります。

次回の料金見直しに当たりましても、設備更新や耐震化に多額の費用がかかる状況に変化はなく、このような将来負担の懸念もありますことから、直ちに料金値下げができる状況にはならないと考えております。

(2) 霞ヶ浦導水事業の中止

江尻委員 これからの水需要は、伸びは見込めない。そして、霞ヶ浦導水事業が完成すると、そこから新たな管理費が発生する。それがなければ、県中央広域水道の収支見直しは黒字も維持でき、値下げ要望にも応えられるのではないかということが、水道企業局の資料からもわかると私は思います。

導水事業は、いつも知事は暫定水利権だとおっしゃいますけれども、暫定水利権が認められるのは、緊急性があって、かつ、川の水量が正常流量より多いときだと定められております。

私は、那珂川の流量年表、国土交通省が毎日の流量を数値・グラフ化したものを見ました。

例えば、広域水道の給水が開始された翌年、平成8年、渇水期の4月と5月は、その半分以上の32日間、正常流量を下回っておりました。つまり、河川法上、川の水量が少なくて、暫定水利権を行使できない、取水できない流量でした。それでも、この間、中央広域水道は何の支障もなく取水していた、できたということにもなっております。国土交通省は、こういうことを全てわかった上で、暫定水利権を許可しているのか、それとも県が河川法に違反して取水しているのか。私は、どちらにしても、導水事業を進めるために恣意的につくられた暫定水利権というもののごまかしではないかと考えます。実際には、霞ヶ浦導水事業と関係なく、今、中央広域水道は支障なく取水できております。

先ほど知事はおっしゃいました。しかし、それは、高度経済成長につくられた過大な人口想定、水量です。この計画を根本から見直すときではないかと私は考えますが、知事の所見を伺います。

千葉市は、この霞ヶ浦導水事業から撤退を決断したことを知事も御承知だと思います。市長はこう言っております。工事が完了すれば、新たに維持費用を今後も負担し続けなければならない。これは本県も同じです。甘い見通しによって税金投入してしまったことは反省し、少なくともこれ以上の税金投入を抑えることはできたと千葉市長は理由を述べています。

本県も、導水事業そのものの中止を国に求めるか、もしくは事業からの撤退を決断すべきではないでしょうか。知事の所見を伺います。

○橋本知事 まず、那珂川における渇水被害でございますけれども、春の田植えの時期には、塩水遡上による農業用水の取水障害が起きるなど、毎年のように被害が生じておるところであります。このような塩水遡上に対しましては、霞ヶ浦導水事業による効果が期待されるところでありまして、例えば、取水制限が実施された平成8年春の渇水時には、県中央広域水道の取水口より上流となる河口から19.5キロメートルまで塩水が遡上いたしましたが、霞ヶ浦導水による送水を行った場合に、国では、河口から約14キロメートル地点まで塩水遡上を抑制し、安定した都市用水の取水が可能になると試算をしているところであります。

また、県央地域におきましては、水需要を満たすだけの安定した水利権を確保できておりませんでしたことから、霞ヶ浦導水事業の完成を前提に暫定水利権を取得し、既に水道用水として10市町村の約70万人に、工業用水として日立製作所や常陸那珂火力発電所など23事業所に給水しているところであります。

こういったことから、本事業が中止になれば、こうした給水が困難となってくるわけであります。

暫定水利権について、どう考えるかということにつきましては、私ども、法制度上そうなっているということであれば、それを前提に、地方行政としては運営していかざるを得ないわけでありますので、国の場において、いろいろな議論をしていただければありがたいと思っております。

さらに、霞ヶ浦におきましては、 平成23年に、13年ぶりとなるアオコの大量発生が見られるなど、深刻な悪臭被害が発生しているところでもあります。桜川、千波湖におきましても、渡里用水を活用した浄化対策を実施しておりますが、これはあくまでも暫定的な導水によるものでございます。

このように、霞ヶ浦導水事業は、那珂川、利根川の渇水対策や新規都市用水の確保、霞ヶ浦、千波湖の水質浄化に必要不可欠な事業でございます。

国におきましては、平成22年から事業継続の可否についての検証作業を進めた結果、昨年8月に国土交通大臣が事業継続を決定したところであり、中止することはあり得ないと聞いておるところであります。

千葉市が述べたことにつきましては、私どもとしては、それによる影響がほかの参加団体に及ばないように、きちんと対応していただくことを前提にして抜けられたのではないかと思っております。

江尻委員 那珂川の田植えの時期に塩水遡上があって大変だと。でも、今は、霞ヶ浦からの導水は全く那珂川に入っていません。それでも、上流からの振りかえ取水や塩水を避けた潮見運転、こういういろいろな技術や知恵で、今、きちんと水が確保できています。それなのに1900億円もかけて、なぜ必要なのか。

暫定水利権そのものも、知事は、よくわからない、国がそう言っていると今おっしゃいました。

一方で、これ以上、水の需要は必要ないと思っているのでありませんか。私は先月、県中央水道事務所を訪ねました。すると、水道施設を拡張するはずの場所に、1000キロワットの太陽光メガソーラーがありました。知事は完成式にも出席して、発電開始のボタンを押したということですが、この設備は元を取るのに16年、耐用年数30年。この時期は、導水による施設拡張はないと知事は判断したのではないですか。国には導水事業をとにかく早期完成してくれと言い、こちらでは水道施設の一部を用途変更してしまう。私は、どう考えても矛盾していると思います。今の現状とかい離した水源開発はやめていただきたい。中止していただきたい。強く求めて、最後の質問に移ります。


4. 原子力災害対策について

(1) 広域避難計画の実効性

江尻委員 原子力災害に係る県の広域避難計画案について伺います。

福島原発事故後、国は、原発から半径30キロメートル圏の自治体に住民の避難計画策定を義務づけました。本県の対象住民は全国最多の96万人。県内14市町村が含まれ、水戸市もすっぽり入ります。

知事は、今月24日の防災会議で避難計画を決定しようとしていますが、44万人は県内避難、しかし、残る52万人の県外避難先はいまだ未定のままです。どこに逃げたらいいのか、30キロメートル圏内にいる約1万8000人もの入院患者や福祉施設の入居者を避難させられるのかと、県民の関心が大きく高まっているにもかかわらず、この避難計画について、県はこの間、説明会や県民の意見聴取会を開かず、パブリックコメントさえ行っておりません。あとは市町村で具体化して、そのとき、住民の意見を聞けばいいというのは余りにも無責任ではないでしょうか。今月24日の防災会議で報告できるような条件にないと私は思います。県民の理解や納得は得られておりません。防災会議会長でもある知事の所見を伺います。

○橋本知事 原子力災害における避難計画につきましては、国の防災基本計画に基づき、原子力発電所から30キロメートルの範囲、いわゆるUPZ内の市町村が策定することになっております。

しかしながら、各市町村がそれぞれ独自に避難計画を策定した場合、避難先が特定の地域に集中したり、避難経路が錯綜するなど、円滑な避難に支障を生ずるおそれがあります。

本県では、各市町村の避難先や基本的な避難経路など、各市町村がそれぞれの避難計画を策定するに当たって必要となる基本計画事項を定めることにより、市町村の計画策定を支援するため、あらかじめ広域避難計画を策定することといたしました。

この広域避難計画は、県地域防災計画(原子力災害対策計画編)を踏まえ、避難等に関する専門的・技術的事項を定めるものでありますことから、上位計画である地域防災計画改定の際に、既にパブリックコメントを実施していることなども勘案し、県地域防災計画改定委員会の原子力災害対策検討部会において、専門家から御意見を伺って策定することといたしました。

今後は、各市町村が、広域避難計画に基づき、地域の実情に応じた避難計画の算定を進めていくことになりますので、各市町村の計画づくりの中で、住民の方々の参加方策を講じ、意見を反映していくことが望ましいのではないかなと考えております。

また、委員から、パブリックコメントを市町村—-あ、これはいい。おしまいです。

江尻委員 そうなのです。パブリックコメントをぜひやっていただきたいということなのです。去年の8月に県が初めて広域避難計画を発表した後はパブコメをやっていない。そのまま防災会議にかけようとしているというところに、県民の意見をもっと聞いてほしいという声が寄せられています。これからどうやって市町村に説明して、具体的避難計画をつくれというのでしょうか。

水戸市の担当者は、例えば、市民に聞かれたときに、まだ決まっていないでは理解されないと言っています。つくば市では、福島から500人受け入れるのがあれほど大変だったのに、水戸市民3万人の受け入れは想像すらできないと報道されました。石岡市は、複合災害の場合、石岡市民優先の対応となり、避難者受け入れをお断りすることも想定していると。当然の声だと思います。

県の広域避難計画案の一番の問題は、地震や津波との複合災害を想定していないことだと思います。風向きも全く考慮されていません。私たちは既に4年前、あれだけの複合災害を経験しました。高速道路は使用不可。東日本全体、2310キロメートルに及ぶ高速道路が地震発生と同時に即閉鎖されました。それなのに県の案は、とにかく自家用車で、高速道路で避難するという計画です。

また、あの大震災時、長期間、停電が起き、本県でもモニタリングポストでの空間放射量が測定不能という事態に陥りました。今、自家発電の設置など、県は改善されたのでしょうか。

原発事故の単独事故ではない、この複合災害にどう対応するのか、知事の所見を伺います。

○橋本知事 市町村で対応するのは困難だ、例えば避難計画をうまくつくれない。住民に説明できないというお話がありましたけれども、これは、国の防災基本計画に基づいて、市町村が策定しなくてはいけないことになっております。ですから、わからないでは困ってしまうのです。ちゃんと勉強してもらわないと。ですから、そういう点で、市町村が必ずしも答えられないものがあるのではないかというようなことについては、我々としても徹底して、この広域避難計画について説明してまいります。問い合わせがあれば、それに対して答えてもまいります。説明に行っても構いません。それはいろいろやりますけれども、わからないから、それで困ってしまうというのでは大変なことになりますので、市町村が避難計画を立てるときは、自分で責任を持ってやっていただきたいと思っております。

それから、複合災害に係る対応でございますけれども、今おっしゃられたように、複合災害のときにどうするか、あわせて地震が起きたときにどうするかといった課題はもちろんあるわけでございまして、高速道路がストップしたときにどうするか、あるいはまた、災害時要支援者に対しての対応が十分できていないのではないかとか、まだまだいろいろな課題はございます。

しかし、そういったことにつきましては、市町村に計画策定をできるだけ早くやっていただだはなくてはいけない。そのために、途中ではあるけれども、出していこうということで、今回、この策定をしようとしているところでございまして、単独災害を想定しての計画策定になっているということについては間違いございません。

ただ、先程も申し上げましたけれども、高速道路が使用不可になった場合等については、これからもちろん、高速道路の被災状況や代替経路等を住民へ情報提供するシステムなどを考えていかなくてはいけないことは当然であります。これから、そういったことについては改めて議論していく。今の段階でできるところについてはやっていただこうというものでございますので、その点については御理解をいただければと思います。

それから、モニタリングステーションの話がございました。東日本大震災の際、県が設置した41局のモニタリングステーションにおきまして、バッテリーは設置してありましたが、長時間にわたり停電が続いたことから、放射線量率等のデーターの収集が一時的に不能となってしまったところであります。

これを受けまして、県では、東海地区環境放射線監視委員会での御意見も踏まえ、電源・通信設備の強化を図ることとし、震災後、新たに設置したモニタリングステーション22局を含めた全63局のうち、各地区を代表する31局について、平成25年度から3カ年計画で、自家発電や可搬型発電機の設置のほか、衛星回線の整備をすすめているところでございまして、平成27年度には、すべての整備が完了する見込みとなっております。

江尻委員 複合災害を想定した場合に、どうしたらいいのか、県もいろいろわからない。

なおさら市町村もわからない。市町村に責任を押し付けてはならない。県の大事な広域的行政の役割があると私は思います。

今、知事のお話を聞けば聞くほど、避難計画を具体的に検証すればするほど、実効性に多くの問題と解決できない課題が浮き彫りになってきます。国や原発事業所は、避難計画はとくかく自治体任せで、再稼働に前のめりです。では、避難計画をつくったとき、その実効性は誰がどのようの検証するのでしょうか。知事、少なくとも実効性ある避難計画かできない限り、原発の再稼働の議論はあり得ないということを明確に示していただきたい。知事の所見を伺います。

○橋本知事 避難計画の実効性の検証あるいはまた再稼働等々について御質問をいただいたところでございますけれども、原子力規制委員会の田中委員長は、避難計画により住民の方が安心できなければ、なかなかその稼働には結びつかないだろうと言っておられるところであります。ただ、住民が安心できるレベルの計画をいうのはどのようなものを指すのか、法的に何ら決まっていないのが現状でございます。

このため、私は、原子力発電関係団体協議会を通じまして、原子力発電所の再稼働に係る手続きを具体的に明示するとともに、住民の安全を守るための避難計画について、どの程度まで計画に詳細に規定するのか、ガイドラインを示すよう、国に対し、要望をしてきているところであります。今のところ、そういったことについての回答は、国のほうからなされていない状況にございます。

避難計画を誰がどのように検証するかとの御質問ですが、従来は、県地域防災計画(原子力災害対策計画編)の改定の際には、国への協議が必要とされていたところでありますけれども、この協議制度は平成23年度から廃止されており、現在は、地域防災計画や避難計画を事前に検証する制度はございません。

なお、川内原子力発電所の例では、避難計画を含めた緊急時対応が具体的かつ合理的であることを、県と関係市町、関係省庁で構成するワーキングチームが確認し、昨年9月に開催された国の原子力防災会議において了承されたところでありますが、国においては、今後、協議会的なものを設置し、他の地域についてもこうした対応をとっていくと聞いておるところであります。

江尻委員 これからの避難計画の策定作業には、県においても、市町村においても、そこの地域で暮らす住民の意見反映、住民参加型のプロセスが決定的だと私は感じています。

さらに、地域防災計画の一番のかなめは、災害の発生防止にあると、県の地域防災計画の一番最初にも当然書かれております。たとしたら、発生源である原発をなくすこと。地震や津波はとめられませんが、原発はなくせます。そのプロセスに向けて、ぜひ県行政の知恵と力を発揮していただきたい。

知事には再稼働についての同意権も付されています。その権限が知事には与えられております。県民から託された大事な、大きな権限であると思っております。

福島第一原発事故のあの悲惨な教訓をしっかりと踏まえて、本県でも原発ゼロを目指していただきたい。

以上で質問を終わります。

 

 

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