2012年6月26日、6月定例水戸市議会の最終日に、市民から提出された5件の東海第2原発の再稼働中止や廃炉を求める請願・陳情が全会一致で趣旨採択されました。日本共産党水戸市議団(田中真己、中庭次男、江尻加那)は、その趣旨を尊重した独自の意見書(下記参照)を、地方自治法121条の議案提出権にそって提出しましたが、自民・公明・民主・社民・無所属の各議員は本会議への上程を不当にも認めませんでした。一方で陳情請願の趣旨を反映しない「安全で持続可能なエネルギー政策の確立を求める意見書」(下記参照)を上程し、共産党以外の賛成多数で可決しました。このことについて日本共産党水戸市議団は声明を発表しました。声明の全文は以下のとおりです。


  東海第二原発の再稼働中止・廃炉に関する意見書についての声明

日本共産党水戸市議団
田中真己 中庭次男 江尻加那

 本日(26日)開かれた、6月定例水戸市議会最終日、東海第二原子力発電所の再稼働中止、廃炉実現などを求める5つの請願、陳情が全会一致で趣旨採択された。これは請願・陳情にそえられた17,000名を超える市民の署名が議会を動かしたものである。
請願・陳情は、政府や県に対し東海第二原子力発電所の再稼働中止や廃炉を求める意見書提出を求めたもので、水戸市議会はその趣旨を尊重した意見書を提出すべきであった。
ところが、請願陳情を全会一致で趣旨採択しながら、本日採択された「安全で持続可能なエネルギー政策の確立を求める意見書」は、再稼働中止、廃炉実現の願いを反映せず、以下の2点で重大な問題を持っており、日本共産党水戸市議団は反対した。
同意見書は、(1)東海第二原子力発電所については「安易な再稼働を行うことなく、より明確で客観的な安全基準を策定したうえで安全性の確認を行うこと」として、安全基準が策定され安全性が確認されれば、再稼働を容認する可能性を含んでいる。これは再稼働中止を求めるものではなく、廃炉実現に一言もふれていない。政府が関西電力大飯原発は安全が確認されたとして再稼働を決めたことからも、「安全性の確認」が再稼働中止の歯止めになりえず、住民の安全を担保するものになっていない。(2)また、同意見書は「エネルギー政策基本法に示されているように、安定的なエネルギー供給を確保することが国の責務」としている。エネルギー政策基本法により閣議決定された「エネルギー基本計画」では、原子力を2030年までに電源の70%にする、そのため14基以上の原子力発電所の新増設を行うとしており、原子力発電を推進するものである。
日本共産党水戸市議団は以上の2点の削除と修正を求めたが、実現されなかったため今回の意見書に反対した。そこで水戸市議会議長に新たに「東海第二原発の再稼働中止、廃炉を実現し、自然エネルギーへの転換をもとめる意見書」(別紙)を提出した。これは、陳情請願に寄せられた思いを体現したものである。
日本共産党水戸市議団は地方自治法121条で規定された議案提出権の要件(3名以上の議員による提案)を満たしており、本会議に上程し採決すべきと主張したが、議会運営委員会は地方自治法に違反して、本会議に上程しなかった。
日本共産党水戸市議団は強く抗議するととともに、今後も東海第二原発の再稼働中止、廃炉実現、自然エネルギーへの転換にむけて全力をあげるものである。

以上


【日本共産党水戸市議団の意見書案】

「東海第二原発の再稼働中止、廃炉を実現し、自然エネルギーへの転換を求める意見書」

昨年3月11日に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故から1年3カ月が経過したが、原子力発電所の事故は、国や電力会社がこれまで唱えてきた原子力発電に対する安全神話を根底から覆した。ひとたび原子力事故が起これば、放射能問題で周辺地域に多大な被害を与え、莫大な経済的損失を与えるばかりでなく、住民の生活や雇用、コミュニティーや地域文化なども奪うことがはっきりした。
子どもを持つ親は放射能の低線量被爆や食物を介しての内部被爆からいかに子どもを守れるか悩み、子どもの将来を思うと不安が募る一方である。「原子力事故はどんなことがあっても2度と起こしてはならない」これは市民の強い願いである。
とくに東海第二原子力発電所は、33年経って老朽化が進み、今回の東日本大震災でも、3台の非常用電源装置のうち一台が津波で使用ができず、残り2台でかろうじて炉心を冷却し、危機一髪の状況であった。
また東海第二原発の30㎞圏内には水戸市を含む約100万人が住んでおり、事故の危険性を考えると、住民の暮らし、安全を第一にしなくてはならない。
政府においては、脱原発依存との考えはしめされたものの、具体的に方針や施策、安全対策等についての論議と取り組みは極めて不十分である。
原発事故の深刻な影響を考えると、原子力に依存しない社会への移行に本格的に取り組むべきである。そのためにも再生可能な自然エネルギーへの転換に国を挙げて取り組むことが求められている。
よって政府においては、下記の事項の実現を強く要望する。

1 二度と原発事故を引き起こさないためにも福島第一原発事故の徹底究明と検証を行うため、事故調査・検証委員会において事故の構造的な要因を徹底的に洗いだすこと。

2 原子力規制の強化のため、独立性の高い原子力安全規制組織を設置すること。

3 東海第二原子力発電所の再稼働は行わず、廃炉を実現すること。

4 原子力発電に依存するエネルギー政策から脱却し、再生可能な自然エネルギーへの転換に全力をあげて取り組むこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。



【水戸市議会で採択された意見書】

「安全で持続可能なエネルギー政策の確立を求める意見書」

昨年3月11日に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故から1年3カ月余りが経過したが、依然として原子力発電に対する国民の不安、不信が取り除かれているとは言えない状況が続いている。そうした中、電力会社や政府における原子力発電所の再稼働に向けた動きもあり、多くの国民からもその性急な動向を懸念する声が上がっている。
一方で、国の電力供給の3分の1を担ってきた原子力発電がすべて停止したことによる発電コストの上昇などから、企業に平均17%、一般家庭にも約10%の電気料金値上げが求められるなど、今後の経済活動、国民生活に対する多大な影響も心配されているところである。
政府においては、事故後の国のエネルギー政策の方向性としては脱原発依存との考えは示されたものの、具体的な方針や施策、安全対策等についての十分な議論と取り組みがされてきたとは言えず、そのことも国民の不信を招く大きな要因となっていることは否めない。
このたびの原発事故の深刻な影響を考えると、原子力に依存しない社会への移行に今こそ本格的に取り組むべきであるが、同時に、エネルギー政策基本法に示されているように安定的なエネルギー供給を確保していくことが国の責務であり、より具体的で現実的な対応が求められる。そのためにも、十分な安全性の確保と説明責任の履行、何よりも国民の理解を図ることが重要であると考える。
よって、政府においては、安全で持続可能なエネルギー政策の確立に向け、下記の事項について、十分な環境整備を図るよう強く要望する。

1 福島第一原子力発電所の事故について原因の徹底究明と検証を行い、その教訓を生かした施設の防災対策を十分に行うこと。また、東海第二原子力発電所については、設置からすでに33年が経過し、老朽化が進んでいることから、安易な再稼働を行うことなく、より明確で客観的な安全基準を策定した上で安全性の確認を行うこと。さらに、原子力規制強化のために独立性の高い原子力安全規制組織を設置すること。

2 UPZ(緊急時防護借置基準区域)の見直しに伴う30キロメートル圏内における住民の安全確保のため、原子力安全協定の見直しと住民の避難体制の確立、原子力防災情報伝達体制や防災拠点、避難道路等の整備を完了させること。

3 原子力に依存しない社会への移行を目指し、原子力発電への依存を減らすための代替エネルギーの確保と、再生可能エネルギー等の新エネルギー導入促進のために必要な施策をより積極的に推進すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。