2009年9月議会で一般質問(自転車の交通安全対策、介護保険、薬物問題)

2009年9月水戸市議会定例会 一般質問  2009年9月11日

日本共産党水戸市議団の江尻加那です。通告に従い一般質問を行います。


1.自転車の交通安全対策と通行環境整備について


(1)交通安全教室について

はじめに、自転車の交通安全対策について質問いたします。
近年、CO2排出量の削減や渋滞緩和、健康増進策のためとして、車の利用を控えて自転車の利用促進をと言われますが、自転車で安全に快適にまちの中を走れるかというとそうはなっていません。事実、交通事故全体の発生件数が減少している中、自転車事故の割合は増加し、20年度は21.2%と5件に1件は自転車による事故です。歩道か車道のどちらかを走るしかなく、自転車は常に歩行者や車と接触する危険にさらされています。自転車の安全な乗り方を啓発するソフト面と、安全な通行環境を整備するハード面の両面において、市の取り組み強化が求められます。
そこで、市の交通安全教室の中で、小学校低学年の児童に対する自転車の安全な乗り方講習を実施する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
交通安全教室は幼稚園、小学校、中学校、高齢者などを対象に、市の交通指導員が学校等に出向いて実地指導しています。自転車の講習は中学校で実施され、小学生には横断歩道の渡り方など徒歩による交通安全が主な内容です。
保護者や学校の先生から、小学校でも自転車の乗り方を指導してほしいという声が寄せられました。何事も初めが肝心といいますが、多くの子どもたちは、三輪車から補助輪つき自転車になり、小学校に入学する頃には補助輪も外して、子どもたちだけで乗る機会も増えて危険が増します。
体の大きさにあった自転車の選び方や、子どもにヘルメットを着用させるのは親の義務だということなど、基本的な自転車の交通安全を小学校でも実施していただきたいと考えますが、見解を伺います。

【市民環境部長 答弁】
江尻議員の一般質問のうち、交通安全対策についてお答えします。
はじめに、交通安全教室については、本市の交通安全指導員が市立の全幼稚園・小中学校を訪問し開催しているところであります。安全教室の指導内容につきましては、各小中学校、幼稚園の希望等を踏まえたものとしており、小学校低学年生を対象とした自転車の安全な乗り方指導についても、今後各学校等の意見を聞き、進めてまいりたいと考えております。
次に、ヘルメット着用につきましては、交通安全教室や学校生活の中で指導しておりますとともに、水戸市のホームページにも掲載し周知しております。さらに児童生徒のヘルメット着用を徹底していくために、頭部への怪我を減らす効果を説明し、着用することの大切さを継続的に指導していくとともに、保護者に対しても様々な機会を捉え、ヘルメット着用について啓発を行ってまいります。

(2)3人乗り自転車の普及促進策について
次に、3人乗り自転車の普及策について質問します。ご存じのように、子どもを自転車の前と後ろに乗せて走る3人乗りが、いったん禁止案が出されたものの、今年7月から、安全基準を満たした自転車に限定して許可されました。
新基準の自転車の価格を見ますと、前後の子ども用シートを合わせると6万円から10万円で、通常のいわゆるママチャリ自転車よりもかなり高い値段が、普及の大きなネックになっています。
前橋市は子育て支援の一環として、4万円を上限に購入費の半額を補助する制度を始めました。県内でも古河市が3人乗り自転車の貸し出しを始め、注目を集めています。古河市がユニークなのは『市民元気アップ経済対策』として、市内の自転車組合と連携して取り組んでいることです。貸出料金は月500円から800円。お母さんたちから「3人乗りが必要な期間は短いので、買うよりも借りるほうが助かる」と喜ばれています。水戸市でも、幼稚園児がいる家庭などで3人乗り自転車のニーズが高いと考えます。
以前、市では車のチャイルドシートの貸し出し事業を行っていましたが、今回、自転車の交通安全対策として、3人乗り自転車の貸し出しや購入費補助等の普及策を、ぜひ実施していただきたいと考えますが、見解を伺います。

【市民環境部長 答弁】
幼児2人同乗用自転車の普及促進については、一部自治体において購入費用の補助や貸出制度を創設していることは承知しており、他市の実施状況を調査するとともに、本市における需要を勘案するなど、検討してまいりたいと考えております。

(3)自転車通行環境整備事業について
3点目に、県庁周辺の広い歩道の一部を青くカラー舗装して、自転車専用レーンにした事業の効果について、市がどのように検証されているのかお示し下さい。これは、国の自転車通行環境整備事業のモデル地区98箇所のうちの1つに選ばれたものですが、2キロ前後の区間を青く塗っただけでは効果も見えにくく、利便性も限定的ではないかと思われます。ネットワーク化ができてこその自転車道であり、まち全体で自転車の活用を考えた道路整備に発展させていくことが必要です。
その点で、国が新たに示した「自転車重点都市」制度を活用して、自転車専用レーンや駐輪場の整備などを計画的に進めてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。

(4)道路整備における自転車通行空間の考え方について
水戸市内の幹線道路を見ても、自転車も通行可能な広い歩道が整備されている道路はありますが、車道と歩道との間に専用の自転車レーンが整備されている道路はありません。車優先社会の中で、歩行者や自転車の安全を確保できる道路をどう整備するのか、道路整備基本計画や自転車の利用促進計画等を策定して方針化すべきと考えますが、所見を伺います。


2.介護保険行政について


次に、介護保険について質問いたします。社会保障費の毎年2,200億円抑制により、介護保険制度も改悪が続き、利用者の負担が増して介護サービスの利用を諦めざるを得ない、特養ホームは不足し待機者が全国で38万人、介護現場は労働条件の悪化と人材不足など、制度の抜本的な改善が求められています。

(1)新介護認定基準について
介護認定基準の問題もその1つです。要支援1から要介護5までの介護度を決める基準が今年4月に改定されましたが、寝たきりの人は体を移動させる必要はないから移動介護はなしで「自立」とされるなど、実態に合わないひどい内容です。
日本共産党の小池晃参議院議員が4月2日、新しい「要介護認定方式は給付費を484億円から384億円削減できる」と明記した厚生労働省の内部文書を明らかにしました。これは「給付費抑制の意図はない」とする厚労省の説明を根底から覆すもので、新認定方式は介護度を低く抑えて財政抑制するものであることが明白になりました。
多くの批判が沸き起こり、4月の新方式導入とともに見直しを余儀なくされ、以降これまでの間は、軽度と判定されても本人の希望により従来の介護度のまま介護が受けられる経過措置が取られています。
水戸市においても、5月21日から6月30日までの期間に認定を更新した高齢者764人のうち、以前より軽度と判定された人が221人と全体の29%、3人に1人もいます。本当に身体の状態が良くなったというなら喜べますが、新認定方式により軽度判定が多く出でいます。そこで、この221人の方が本人の希望により従来通りの基準で介護が受けられているのか、その状況についてお答えください。あわせて、10月から新たに修正されたテキストによる認定が始まるとされていますが、その内容とスタートに向けた準備状況を伺います。

【保健福祉部長 答弁】
江尻議員の一般質問のうち、はじめに介護保険行政について答えいたします。
まず、新介護認定基準についてでございますが、新基準の対象となった6月末までの更新申請764件のうち、介護認定審査会判定で、前回と比較し軽度に判定されたものは221件、28.9%でしたが、経過措置による希望調書に基づき軽度となったものは36件、4.7%となっております。
また、10月から実施される認定基準の修正に伴う認定調査員への周知につきましては、国や県主催の研修会へ参加するとともに、市独自の研修会を行うなど、要介護認定申請者への適切な対応に努めてまいります

(2)療養病床について
次に、療養病床について質問します。療養病床は医療型と介護型の2種類あり、長期間の治療や介護を必要とする方のための入院ベッドです。政府は医療費抑制の一環として、医療型は4割削減、介護型は全部なくすことを2006年2月に決めました。
私は、同年9月議会で、退院を余儀なくされた人の多くが行き場を失ってしまうのではないかと質問しました。当時、市内には医療型が312床、介護型が131床あるとのお答えでしたが、現在はどうなっているのか伺います。
国は2年後の2011年度までに削減及び廃止する方針ですが、水戸市では逆に医療型の療養ベッドは増えていると聞きます。水戸市の現状からみても、療養病床の廃止や削減は「医療難民」「介護難民」と生み出すものであり、国に廃止・削減の中止を求めるべきと考えますが、見解を伺います。

【保健福祉部長 答弁】
療養病床についてでございますが、平成20年に県が実施したアンケート調査によりますと、市内の医療療養病床は12病院470床、介護療養病床は3病院101床となっております。現在のところ、他の施設等に転換した例は報告されておりません。
療養病床の転換については、様々な選択肢があり、それぞれ支援措置が講じられていることから、今後の動向を見守ってまいります。

(3)特別養護老人ホームの整備について
次に、特別養護老人ホームの整備についてです。水戸市の特養ホーム待機者は今年3月末で344人に上り、前年に比べ103人も増えました。今後さらに増加が見込まれますが、市の計画では本年度からの3年間で180床増やし981床にするというもので不十分です。目標の引き上げと実施の前倒しを求めます。
その際、個室ユニット型だけでなく、4人部屋などの多床室の整備も必要と考えます。食費や居住費が全額自己負担になり、料金の高いユニット型の利用が大変困難です。安く入れる多床室の希望が増え、中には1人だと不安なので多床室がいいという方もいます。個人の尊厳やプライバシーに配慮するとの理由で個室化が進められ、今年度、市内に整備される80床はすべて個室です。多床室の整備に県が補助を認めないことが大きなネックとなっており、その改善を県に強く求めるべきと考えますが、市の見解を伺います。

【保健福祉部長 答弁】
特別養護老人ホームの整備につきましては、水戸市の今年度整備を含む特別養護老人ホーム881床のうち、多床室を含めた従来型居室については431床、ユニット型居室については450床となっております。
なお、多床室の整備につきましては、利用者の経済状況などから必要性があると思われますので、そのあり方について県と協議してまいりたいと考えております。

(4)介護報酬改定による介護労働者の処遇改善の実態について
4点目に、介護報酬の改定により、介護現場で働く労働者の処遇改善が図られたのか、その実態について伺います。介護報酬は03年と06年の2回、合わせて4.7%と大幅に下げられ、今年度ようやく3%上がりました。仕事にやりがいを感じながらも給与が低くて働き続けられない、募集しても集まらない、養成学校にも新入生が来ない、事業所も経営が続けられないなど状況は深刻です。
政府は、介護報酬の3%アップ等により賃金を2万円引き上げるとしましたが、報酬アップが利用料の値上げにつながってサービスの利用が減ったり、適用条件が厳しくて報酬が上乗せにならない施設があります。賃金アップや人材確保にきちんとつながっていないのではないかと考えますが、市はどのように実態を把握しているのか伺います。

【保健福祉部長 答弁】
介護報酬フプラス3%改定による介護労働者の処遇改善の実態についてですが、今回の介護報酬改定内容は、サービスの特性に応じた業務負担、介護従事者のキャリア等に着目した事業所の体制に対する加算などであり、それぞれの事業所により異なるものと考えられます。


3.薬物問題に対する取り組みについて


(1)水戸市における実態の把握について
次に、薬物問題について質問いたします。芸能人の覚せい剤や麻薬取締法違反事件の以前から、相撲力士や大学生など、大麻や覚せい剤、MDMAなどの合成麻薬による逮捕者の報道が後を絶ちません。一方で、これら違法薬物の乱用の恐ろしさや、国の取り組みの遅れを伝える報道はどれだけあるでしょうか。
今年2月の茨城新聞・県民の声欄に、市内の県立高校3年生の声が掲載されました。『薬物汚染が拡大している背景には、薬物の悪影響や怖さが若者に十分に知られていないことがあると思う。学校ばかりでなく、テレビや新聞でも薬物中毒の怖さを伝えてほしい。ただ、何より薬物の誘いがあってもきっぱり拒否できる勇気と意思を一人一人が身に付けることが大切だと思う。』という内容です。今まさに、社会がこの声に答えなければならないと考えます。
そこで、水戸市における薬物使用の実態を知るために、県の精神保健福祉センターの薬物相談の実態や、薬物専門病院への入院・通院の状況、覚せい剤や大麻・麻薬事犯の検挙数の推移などについてお答えください。
茨城県警薬物銃器対策課の統計によると、大麻や麻薬による昨年の検挙人数が、県全体で前年より12人多い50人。うち20代、30代が41人で全体の82%に上ります。10代の検挙も3人あり、若者を中心に拡大しています。
こうした状況を知るにつけ、一昨年に機会あって講演を聞いた茨城ダルク施設長の岩井喜代仁(きよひと)さんの話を思い起こします。ダルクとは薬物依存者のための社会復帰施設です。自らも覚せい剤で心身ぼろぼろになり、逮捕と自殺未遂を経てダルクに出会い、救う側に変わりました。以来、シンナーや薬物依存に苦しむ人を1,700人以上預かり、小学校から高校まで2,000校以上の学校で講演を行って身近にある薬物の危険を訴え、活動を続けています。
薬物依存は病気であること。使ったらどうなるか。使わないためには、誘いを断るにはどうするか。もし、使った場合はどこに相談に行けばいいか。あまりにもリアルな岩井さんの話に、私自身、薬物がこんなに怖いものだということを心底思い知らされた講演でした。

【保健福祉部長 答弁】
薬物問題に対する取り組みについてお答えいたします。
はじめに、水戸市における実態の把握についてでございますが、茨城県警察本部によりますと、本県における薬物事犯検挙人数は、覚せい剤事犯で平成15年420人、平成20年328人と減少を示しており、大麻・麻薬事犯では平成15年20人、平成20年50人と増加しております。
また、茨城県精神保健福祉センターによりますと、水戸市における精神科への通院受診者数は、平成19年度が27人、平成20年度が34人、相談件数は、平成19年度が9件、平成20年度が1件となっております。

(2)薬物による精神障害者の支援事業の位置づけと現状について
現在、茨城県には結城市と神栖市にダルクがあり、県の精神保健福祉センターや県立友部病院、薬物依存者の家族会等と連携を図りながら、回復支援事業に取り組んでいます。友部病院には今年4月1日から薬物問題専門外来も開設されました。
こうした中、水戸市を含めた多くの市町村では薬物依存症に対する理解や支援が必ずしも十分とは言えません。薬物依存者はWHOはじめ国際的には精神障害者と認められておりますが、その支援事業は水戸市の障害福祉計画にどのように位置づけられているのか。また、その現状についてお答えください。

【保健福祉部長 答弁】
薬物による精神障害者への事業の位置づけと現状についてでありますが、障害者自立支援法に基づく障害福祉サービスの提供については、精神障害者となった原因によって判断されるものではありません。従いまして、薬物によるか否かといった障害原因別の精神障害者数及びサービス提供者数の統計は取っておりません。

(3)社会教育や家庭教育における薬物乱用防止の取り組みについて
私は、市民にいちばん身近な市町村の役割として最も大事なことは、社会教育や学校教育において、薬物の正しい知識と乱用の恐ろしさ、薬物への誘いを断るには何が大切かなど、子どもにも親にも伝え続けることだと考えます。
茨城ダルクの岩井さんは、「薬物の入り口はタバコからだ」ということを何度も強調していました。薬物依存者1,000人にアンケート調査をしたら、96%がタバコから入り、吸い始めは小学校6年生が一番多くて64%。親の吸い殻を好奇心で吸ってみるのがほとんどだそうです。次に子どもが手を出すのがシンナーで、最初に吸った経験で多いのは14歳の時。家にあるライター用ガスやスプレー式塗料を試すことから始まると言っています。子どもに身近な薬物は、家の中にあるということを大人は自覚しなければなりません。
水戸市において、小学校でタバコや飲酒について、中学校でシンナーや薬物について乱用防止教育を実施していることは大変重要なことだと思います。私も息子が通う小学校で開かれた講演会に参加し、友部病院の天貝賢二医師の話、『逃げる・変える・だまされない、タバコの害から身を守る』という講演を聞きましたが、すべての小・中学校でこのような教育が行われているのか。地域における社会教育を含めた市の取り組みについてお答えください。
「夜回り先生」として知られる水谷修氏はこう書いています。『薬物問題の専門家は、日本の10代の子どもたちの2人に1人が、これからの人生で身近に薬物について見聞きし、4人に1人が誘われるだろうと推定している。薬物問題は、今そこにある危機だ。』と警告しています。子どもを薬物から守る事業やネットワークに、水戸市が積極的に係わり取り組んでいくことを強く求めて、1回目の質問を終わります。答弁によっては再度質問いたします。

【教育次長 答弁】
社会教育や学校教育における薬物乱用防止の取り組みについてお答えいたします。
薬物乱用防止の取り組みにつきましては、昨年度、地域の青少年育成者による薬物乱用防止活動が積極的に推進されるよう、市青少年育成推進会議の環境・非行対策事業の中で、タバコの影響をテーマにした研修会を開催したほか、県や関係期間・団体と共に、水戸駅での薬物乱用防止街頭キャンペーンや未成年者喫煙防止街頭キャンペーン等により、広く啓発活動を行っております。
また、昨年度、各中学校におきましては、警察職員や学校薬剤師等を講師に招き、薬物乱用防止教室を16校全校で実施いたしました。小学校におきましては、薬物乱用のきっかけとなる飲酒や喫煙の防止教室を34校全校で行い、さらに24校において薬物乱用防止教室を実施いたしました。
議員ご指摘のとおり、薬物の乱用防止につきましては、正しい知識を得ることが大切であることから、引き続き、県や関係機関・団体との連携を図り、その啓発活動を積極的に推進してまいります。

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