2019年11月茨城県議会臨時会 江尻加那議員の質問と答弁(大要)

江尻加那議員の質問と答弁(大要)

2019年11月19日(水) 茨城県議会 11月臨時会 会派代表質疑

【質問事項】

  1. 生活再建支援制度の拡充と、災害救助法に基づく生活必需品について
  2. 水郡線の早期全線開通と鉄道の災害対策強化について
  3. 樋管や県管理ダムの治水対策の課題について
  4. 堤防整備と河川改修について
質問する江尻議員

質問する江尻議員=11月19日、茨城県議会

【江尻】

日本共産党の江尻加那です。
台風豪雨で被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。被災者の一日も早い生活再建を願い、災害を防ぐ取り組みを求めて知事に質問いたします。

補正予算354億円のうち、145億円が河川復旧等の事業費です。那珂川の本県堤防整備率は50%、久慈川は27%。149箇所にのぼる被害の発生自体、治水対策の遅れが人命、財産、生業をいかに奪うことになるか物語っています。

自宅が被災した男性は、「8年前の地震で半壊になり600万円の修理ができないまま、床上浸水60センチでまたもや半壊。床や壁を張り替えるお金がないと」と訴えていました。

また、常陸太田市の久慈川と浅川の合流点に住む方は、「13日朝9時には久慈川の水位が下がり始めたので、樋管を開けて内水を流してくれと市役所に言いに行ったが、結局開けに来たのは昼過ぎで、あの時開けていてくれれば」と悔しがっていました。

被災した住宅再建支援等の予算は25億円。県独自の半壊世帯への支給は25万円で、関東東北豪雨のときから前進がありません。「公営住宅の入居が決まっても家財道具も家電製品も全滅で引っ越せない」と生活必需品を失った実態が寄せられました。自宅の2階や親戚宅に避難する在宅避難者の把握と支援も求められます。

さらに、農業支援に31億円、中小企業者には新たな制度として109億円が計上されましたが、大きな自己負担が残ります。
とりわけ町の被害額が50億円を超える大子町は深刻であり、水郡線の1日も早い全線開通が生命線です。崩落した第6久慈川橋梁の撤去作業が始まりましたが、私どもの現地調査で、コンクリート製の橋脚部分に鉄筋が1本も入っていないことがわかりました。93年前の構造のままです。

倒壊したコンクリート製の橋脚

倒壊したコンクリート製の橋脚=2019年10月、大子町

JRは水郡線に大小222箇所の橋があるとしていますが、ブロック塀にも鉄筋を入れなければならない今日、鉄道がこうした状況であることについて、知事として国とJRに原因究明を求めるべきです。

崩落した第6久慈川橋梁

崩落した第6久慈川橋梁=2019年10月、大子町

さらに今回の台風で、県管理7つのダムも検証が迫られています。県のダム操作規則では、洪水期を10月10日までと規定し、11日からは水位を上げ始めるとなっています。規則通りに水をためるのか緊急放流に踏み切るのか、現場の職員は緊迫する状況の中で厳しい判断と責任を迫られました。

ダム操作規則の見直しや、洪水調節のための事前放流を可能とする体制整備が必要であり、知事の権限責任であります。

あわせて、浸水想定区域の都市計画や土地利用の見直しや、堤防強化と河道掘削を重点的に進めること。さらに、堤防計画がない水戸市国田の無堤防地区で那珂川が溢れました。日本共産党が地元住民と繰り返し整備を求めてきた箇所です。国交省は「堤防は必要ない。大丈夫」としてきましたが、何の根拠もありませんでした。

以上をふまえ、4点について伺います。

第1に、生活再建支援のさらなる拡充と、災害救助法に基づく生活必需品の品目や支援のあり方を改善すること。

第2に、県北地域の背骨である水郡線の早期全線開通と沿線地域への支援策とともに、鉄道の改修補強など災害対策の強化を国とJRに求めること。

第3に、樋管や水門県管理ダムの運用課題を検証し、次なる災害を防ぐこと。

第4に、堤防整備のスピードを上げるとともに、計画のない無堤防地区を再度検証すること。河道掘削や護岸強化などの予算を増額することです。

以上4点、県の取組について知事の所見を伺い質疑とします。

【知事】

江尻加那議員のご質問にお答えいたします。

初めに、生活再建支援制度の拡充と災害救助法に基づく生活必需品についてお尋ねをいただきました。

まず、被災者生活再建支援補助事業の拡充についてでございます。
半壊世帯につきましては、被災者生活再建支援法の対象となっておりませんが、床や家財道具等への被害など、被災者の負担は大きいことから、県として独自に25万円の支援を行うこととしたところです。

しかしながら、本来は、半壊世帯に対する支援につきましても、国が実施すべきものであると考えていることから、先月21日に私自ら国に対し、制度改正を行うよう緊急要望を行ったところであり、今後とも、半壊世帯に限らず、全壊世帯等についても支援額が増額されるよう、国に対し強く要望してまいりたいと考えております。

次に、災害救助法に基づく生活必需品の給与についてでございます。
県では、発災直後から、市町村と連携し、避難所に避難した方々に対する物資の提供に取り組んできたところであります。

現在は、応急仮設住宅の提供等を進めているところであり、今後、入居に際して、被災者から寝具等の生活必需品の要望も出てくるものと考えられます。

このため、県といたしましては、災害救助法に基づく生活必需品の給与を活用いただけるよう、改めて市町村に対し制度を周知するとともに、被災者が申請しやすいよう提供できる生活必需品のリストを配布するなど、市町村と連携して取り組んでまいります。

次に、水郡線の早期全線開通と鉄道の災害対策強化についてお答えいたします。

水郡線の早期全線開通は、沿線地域の復旧復興のためにも、大変重要な課題であると認識しております。
このため、私は、水郡線の早期復旧について、鉄橋流失直後から、JR東日本水戸支社長や、直接深澤社長にお願いするとともに、赤羽国土交通大臣に対しても要望を行ってきたところであります。

一方、不通区間の交通手段については、当初、JRが朝夕のみ4往復の臨時バスを運行しておりましたが、県では、車両の確保に積極的に協力するとともに、地元からの声を受け、先月21日から県が独自に、日中時間帯に4往復の臨時バスを増便したところであります。

今月1日からは、常陸大宮―西金駅間が運転を再開し、不通区間は代行バスが運行されておりますが、利用者からは一日も早い運転再開を望む声を聞いているところであります。

水郡線の復旧については、JRから「相当の期間を要する」と伺っているところでありますが、県としては、引き続き、JRに対し一日も早い復旧を強く要望してまいりますとともに、復旧までの間、地域住民の生活に支障のないよう、交通手段の確保に努めてまいります。

また、鉄道の災害対策については、今回の台風被害をはじめ、近年、大規模な自然災害により鉄道施設が被災し、住民生活に影響を及ぼす事例が増えてきていることから、鉄道行政を所管する国や、施設を管理する鉄道会社に対し、鉄道施設等の防災・減災対策の検討を求めてまいります。

次に、樋管や県管理ダムの治水対策の課題についてお答えいたします。

まず、樋管の操作要領についてでございます。
県が管理している樋管・樋門につきましては、30箇所あり、その管理及び操作については、市町及び土地改良区に委託しているところであります。

委託にあたっては、すべての樋管等で操作の手順や記録、保守、点検等について要領を定め、それに基づく操作を行っていただいてきたところであります。

次に、県管理ダムの操作規則についてでございます。
県で管理する7つのダムそれぞれにおいて、ダムの操作規則を定め、県自ら操作を行っております。

ダムの放流にあたっては、操作規則に基づき、あらかじめ、地元自治体等への通知を行い、サイレンによる警報の発出により、沿川住民の安心安全の確保に努めてきたところであります。

これらの運用について、今回の台風19号では、急激な水位上昇により情報伝達に時間的余裕がなかったこと、夜間の出水により現地での状況把握が困難であったことなど、いくつかの課題があったと認識しております。
これらの課題について、検証・改善策の検討を行ってまいります。

次に、堤防整備と河川改修についてお答えいたします。

本県におきましては、堤防整備や河道の掘削などの河川改修は、守るべき家屋の状況や過去の浸水被害の規模・頻度等を踏まえ、優先度の高い箇所から事業を進めてきたところでございます。
今後、この台風第19号による被害の原因の把握に努め、必要に応じて無堤防地区を含めた河川の改修計画について見直しを行ってまいりたいと考えます。

併せて、治水安全度を向上させるためにも、河川に堆積した土砂の撤去についても、取り組んでまいります。
県といたしましては、沿川住民の安心安全のため堤防整備と河川改修について、計画的に取り組んでまいります。

以上

2019年11月茨城県議会臨時会 江尻加那議員の質問と答弁(大要、PDF)

動画はこちらから

2019年11月茨城県議会臨時会 山中たい子議員の討論(要旨)

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