2019年9月茨城県議会 江尻加那議員の一般質問と答弁(大要)

江尻加那議員の一般質問と答弁(大要)

2019年9月11日(水) 茨城県議会 第3回定例会

【質問事項】

  1. 最低賃金の大幅引き上げを実現する取り組みについて
  2. 安心して学び、子育てできる環境整備について
    (1)保育料無償化の課題と保育士の処遇改善
    (2)いじめ自死調査報告書と教育行政
    (3)不登校児童生徒に対する支援と教育保障
    (4)私学助成の拡充と「私学の自主性」の尊重
  3. 県立あすなろの郷の再編整備について
  4. ジェンダー平等、個人の尊厳について
    (1)選択的夫婦別姓と旧姓使用
    (2)性暴力被害支援の拡充
  5. 東海第二原発の再稼働問題について
一般質問を行う江尻議員

一般質問を行う江尻議員=2019年9月11日、茨城県議会

1. 最低賃金の大幅引き上げを実現する取り組みについて

【江尻】

日本共産党の江尻加那です。通告に従い一般質問を行います。

県政の役割は、「県民が安心や希望を持てる社会をめざして、税をどのように集め、どう使うのか」が、大きな役割だと思い活動してまいりました。
税収で言えば、安倍政権が昨年度の国の一般会計税収が1990年度を上回って過去最大になったと発表しました。

しかし、中身はどうでしょうか。90年度は税収の7割を所得税と法人税が占めていましたが、今は5割までに減少し、代わりに消費税が1割弱から3割までにふくれあがっています。さらなる増税で、家計や消費が冷え込むのは必至です。10%への増税はいまからでも中止すべきです。

内閣府の調査でも、「今後どのようなことがあれば、消費を増やすか」という問いに、「給与所得の増加」が69%で他を大きく引き離しました。

上げるべきは消費税ではなく、賃金です。
大企業の内部留保が449兆円に増え、利益を人件費に回す労働分配率は下がり続けています。

そこで、最低賃金について知事に伺います。
10月からの本県の最低賃金が時給849円に決まりました。東京都は1,013円です。年収に換算すると約33万円もの差となります。

この最低賃金について、全国知事会は昨年初めて「地域間格差につながっているランク制度を廃止して、全国一律最低賃金の実現」を提言しました。本県でも、産業戦略部長名で、茨城労働局と最低賃金審議会に対して、本県の最低賃金を上げるよう2年連続で要請。しかし、今年も東京・千葉・埼玉との差はさらに広がり、栃木県より4円低い状況は変わりません。

そこで、知事会の提言内容を踏まえて、大井川知事自ら、本県最低賃金の引き上げに向けて取り組んで頂きたい。その際あわせて、最低賃金を引き上げるために中小事業所への支援策がどうしても必要です。知事の所見を伺います。

【知事】

江尻加那議員のご質問にお答えいたします。

初めに、最低賃金の引き上げと中小事業所支援についてお尋ねをいただきました。
本県がさらなる発展を遂げていくためには、最低賃金の引き上げをはじめ、県外への人材流出を防ぐための対策に積極的に取り組むことが重要であり、全国知事会において、全国一律の最低賃金の実現などの提言が取りまとめられたことは、こうした観点から有意義であったと認識しております。

県におきましても、本県の経済実態が適切に最低賃金額に反映され、近隣県との格差が是正されますよう、今年度、最低賃金額の決定を担う茨城労働局長などに対して、産業戦略部長名での要望書を提出するとともに、関係者に対し、要望の趣向をご理解いただけますよう、個別に説明を行ってまいりました。

しかし、残念ながら、前月公表された本県の最低賃金の引き上げ額は、中央から示された引き上げ目安額への上乗せはなく、27円の引き上げとなったところであります。この結果を踏まえ、今後は、関係者への働きかけのさらなる強化にとどまらず、県内の経営者に対しまして、広く理解を求めることが必要であると認識しております。

このため、私自ら、経済団体の総会など、経営者が集まる様々な機会をとらえ、本県の最低賃金の引き上げの必要性について、ねばり強く理解を求めてまいります。

次に、中小企業に対する支援のあり方についてでございます。
県といたしましては、中小企業自らがIoTの活用などにより、新たな製品開発や、生産コストの低減に積極的に取り組むことで収益を拡大し、賃上げや人材確保へと繋げていくことが重要であると考えております。

このため、産業技術イノベーションセンターに「IoT・AI等協創スペース」を新たに創設し、新技術を活用したデータ分析や業務効率化を行う人材を育成するとともに、顧客ニーズを踏まえたビジネスプランづくりから事業展開までをワンストップで支援する体制を構築したところであります。

また、柔軟な働き方に高い意欲を有する中小・小規模企業を10社選定し、専門家によるコンサルティングと、業務効率化のためのICT導入支援を一体的に実施しているところであり、得られた成果は、モデルケースとして広く県内企業に波及させてまいります。

さらに、国におきましては、事業所内の最低賃金の引き上げに併せ、設備投資などに取り組んだ企業に対する助成制度を設けておりますので、県内企業の利用が促進されますよう、茨城労働局などと連携し、周知を図ってまいります。

県といたしましては、こうした取組により、最低賃金の引き上げに向けた公労使の共通認識の醸成を図り、本県の経済実態が適切に最低賃金額に反映されますよう、しっかりと取り組んでまいります。

2. 安心して学び、子育てできる環境整備について

(1)保育料無償化の課題と保育士の処遇改善

【江尻】

次に、来月から実施される保育料無償化についてです。
高すぎる保護者負担の無償化は当然すすめるべきです。しかし、消費税の増税分を財源とすること、無償となるのは3歳以上の保育料のみで、0~2歳児は住民税非課税世帯のみに限られます。その上、給食費は実費負担となります。

これに対して、市町村が独自の上乗せや負担軽減に努力をしています。

そこで、以下3点について伺います。

第一に、0~2歳児の保育料や給食費の減免に取り組む市町村の状況を把握して、財政面を含めた県の支援策をすすめること。

第二に、無償化となる認可外保育施設について、5年間は国の指導監督基準を満たさなくてもよいとしています。しかし、保育士が少ないなど不十分な保育環境が放置されないよう、早急な改善を県が指導すべきです。

第三に、無償化の恩恵をそもそも受けられない待機児童をなくすためには、保育士不足が最大の課題です。

本県では約1千人保育士が足りない、賃金が全労働者平均より月額にして11万円低くなっていると示しておりましたが、改善されているのでしょうか。

また、子どもの人数に対する保育士の配置基準を、国はいまだに見直していません。県として基準に上乗せし、保育現場の負担軽減にどう取り組むのか。以上3点について、福祉担当部長に伺います。

【保健福祉部福祉担当部長】

保育料無償化の課題と保育士の処遇改善についてお答えいたします。

まず、保育料無償化の課題についてでございます。
今般の無償化において、3歳未満児の保育料につきましては、住民税非課税世帯のみが対象とされておりますが、従来から保育料の完全無償化を実施している大子町をはじめ、県内全ての市町村におきまして、保育料を国の定める基準額未満に軽減する措置が講じられており、さらに、今般の無償化に合わせて、水戸市及び日立市において、更なる軽減措置を予定していると聞いております。

また、県が国の制度に上乗せして実施しております「多子世帯保育料軽減事業」についても、全ての市町村で年度内に実施される見込みであります。

一方、給食費のうち、無償化に伴い原則実費徴収となる保育を必要とする3~5歳児の副食費につきましても、大子町では完全無償化するとともに、下妻市ほか7市町で軽減措置を予定していると聞いており、各市町村において、それぞれの実情に応じて、子育て世帯に対する経済的負担の軽減措置が図られているところであります。

また、認可外保育施設の「質の確保」は、無償化にあたっての重要な課題であると考えております。
このため、引き続き、市町村と連携して児童福祉法等に基づく立ち入り調査等を実施するとともに、新たに保育内容の充実や児童の安全確保等に関する巡回支援指導を実施するなど、国が定める指導監督基準の遵守を徹底してまいります。

次に、保育士の処遇改善についてであります。
国では、保育人材の確保や質の高い教育・保育を安定的に提供するため、処遇改善等加算を行っており、こうした取り組みにより、例えば、水戸市の処遇改善等加算を実施している保育所における保育士の賃金は、基準年度である平成24年度と直近の平成29年度実績を比較しますと、月額で常勤保育士が約5万円、非常勤保育士は約1万9千円、それぞれ改善されております。

県といたしましては、引き続き、全ての施設で処遇改善等加算が実施されるよう、制度周知のための研修会の開催や、給付の主体である市町村において賃金改善状況を適切に確認するよう指導・助言を行うなど、保育士の処遇改善に努めてまいります。

また、保育士の配置基準につきましては、県内の多くの保育所等で配置基準を上回る保育士が配置されていることから、3歳児を担当する職員配置の改善に対する国の加算のほか、本県独自で1歳児の職員配置の改善に対する補助を行っております。

一方、4、5歳児等については、子ども・子育て支援新制度により予定されていた国の職員配置改善加算が未だ実施されていないことから、国に対して必要な財源の確保を要望しているところでございます。

県といたしましては、今後とも、今般の幼児教育・保育の無償化の円滑な実施を含め、子育てに係る保護者の経済的負担の軽減を図るとともに、保育士等の処遇改善などにより、保育人材の確保と保育の質の確保・向上に努め、安心して子どもを産み育てやすい環境整備に努めてまいります。

(2)いじめ自死調査報告書と教育行政

【江尻】

次に、「取手市立中学校の生徒の自殺事案に係る調査報告書」と教育行政について伺います。
今年3月に提出された報告書は全文85ページに及び、いじめと教員の不適切な指導によって生徒が命を絶った経過を克明にたどっております。そして、学校及び教員の問題性と取手市教育委員会の対応の違法性について認定しています。

ご両親は、当初から自死の公表を求め、発見した日記やメモからいじめを疑い、第三者委員会による事実の解明を求めていました。

ところが、市教委は県南教育事務所と相談の上、自死を伏せて「思いがけない突然の死」としたこと。不十分なアンケートや聞き取りをもとに、いじめはなかったと結論付け、「重大事態に該当しない」と議決したことなど、二重、三重の違法行為は文科省の指導によって正されました。報告書は取手市教育委員会に対して、「猛省」を強く求めています。

「なぜ我が子が死ななければならなかったのか」というご遺族の痛恨の思いを、市教委は事実の隠ぺいによって根本から踏みにじったのです。

そして県も、初動から本人の日記等を確認して重大事態としており、取手市教育委員会の誤りを正す機会がありながら正せなかった責任は免れません。

昨年第3回定例会で質問した際、教育長は「法制度の理解不足や県と市の連携不足があった」と答弁されました。そうであるなら、今回の調査報告書の中身こそ、「子どもの人権と命を守る最大の教訓」その姿勢で今の教育現場に生かされているのでしょうか。

私は、何人かの先生にこの間お話を伺いました。
「校内研修で生徒指導教員から調査報告書が口頭で報告された。話を聞いて心が苦しくなり、教師の責任の重さと同時に怖さも感じた。子どもの変化を見逃さないよう観察して、毎日現場で仕事をしている。たくさんの目で子どもを見る学校のチーム力が何より大事」だと話してくださいました。

知事も教育長も、「再発防止に全力で取り組む」としていますが、今年4月には、高萩市立中学校で生徒が自死しました。利根町でも重大事態とするいじめの原因調査が進められております。

社会全体に「いじめ」とも言える競争や格差が広がる中で、子どもたちの孤独感や絶望感の裏側には、「自分らしくありたい」、「生きづらさを受けとめてほしい」そういう叫びがあります。この思いを前向きに引き出すことが教育ではないでしょうか。

いじめ自死調査報告をどのように受け止め、徹底し、今後に生かすのか、教育長にお伺いいたします。

【教育長】

いじめ自死調査報告書と教育行政についてお答えいたします。
初めに、亡くなられた生徒さんのご冥福をお祈りするとともに、ご遺族に心からお悔やみ申し上げます。
いじめは、絶対に許されないものであり、とりわけ、いじめを苦に子どもが自死するということは、二度とあってはならないことでございます。

本年3月20日に公表された調査報告書には、専門家の視点による踏み込んだ内容となっておりますが、議員ご指摘のとおり、子どもの気持ちをいかに受け止めるかなど、再発防止に向けて極めて重要な内容が盛り込まれており、私ども県自身の問題として大変重く受け止めております。

そして調査報告書における調査内容・評価結果については、県教育委員会としても、同じ認識に立ち、再発防止に全力で取り組む必要があると考えております。

このため県では、調査報告書が県のホームページに掲載されていることを周知するとともに、調査報告書の内容を踏まえ、学級編成に際しては、友人関係等を考慮し、特定の児童生徒が孤立しないよう十分に配慮することや特定の生徒の座席を指導困難な生徒の隣に固定化することを行わないことなど、具体的に学校が取り組むべき対応について平成31年3月26日付で文書を発出し、新学期を含む学校の対応について通知したところでございます。

また、全ての学校で、この調査報告書を活かして、いじめのない学校づくりに取り組んでいくため、4月に校長や教頭が参加する研修会等において、調査報告書で指摘のあったそれぞれの問題点について説明を行い、調査報告書の内容を踏まえて学校経営に取り組むよう求めたところでございます。

さらに、調査報告書を再発防止に活かしていくためには、教職員一人一人がしっかりと読み込み、自分の今までの指導を振り返り、見直すことが何より重要でございます。

このため、小中学校では地区ごとに、参加者が調査報告書を持参のうえ、教員が誰一人としていじめに気が付けなかった原因や、担任教諭の行った指導の問題性、あるいは組織的に対応できなかった要因など、問題ごとに報告書を活用した研修を実施しているところでございます。

また、県立学校におきましても、「いじめ未然防止教員研修」において、調査報告書の内容をもとに、どうすればいじめを防ぐことができるかなどについて協議を行っているところでございます。

今後も、引き続き、管理職研修会、初任者研修会、生徒指導担当教員研修会等の場において、調査報告書を読み込みながら、指摘されたそれぞれの問題ごとに、一人一人が自分のこととして捉え、少人数で話し合い発表するなどの研修に取り組んでまいります。

なお、これらの研修は今年度に限らず、来年度以降も引き続き継続して実施してまいります。

さらに、教育委員や教育委員会職員においても、いじめ問題への理解を深めることは大切でございますので、市町村教育委員会連合会が来月開催する研修会においても、調査報告書を活用した研修を実施してまいります。

その際、併せて、県と市の連携不足の反省のもとに本年1月に作成した「いじめの重大事態対応マニュアル」についても説明を行い、教育委員の方々の理解を深めてまいります。

県といたしましては、学校の教職員や教育委員会職員など、教育に携わる者全てが調査報告書の内容を理解し、再発防止に向けた一人一人の資質向上に努めるとともに、学校においては、校長のリーダーシップのもと、いじめ問題に適切に対応できる体制を構築することで、再発防止にしっかりと取り組むことができるよう、調査報告書の内容をもとに、今後ともいじめの防止、さらにはいじめによる自死の防止に全力で取り組んでまいります。

(3)不登校児童生徒に対する支援と教育保障

【江尻】

次に、増え続ける不登校児童生徒への支援と教育保障についてです。

公立小中学校の不登校が全国で14万人を超えて過去最多となり、本県では、小学生が850人、中学生は2.500人を超えて長期欠席になっているとお聞きしました。

さらに、学校には来ているけれども、毎日「行きたくない」と苦痛な思いを押し殺して登校する子どもや、保健室など別室で時間を過ごす子どもも大勢います。中学生の中では4人に1人がこうした隠れ不登校状態にあるとNHKが調査・報道し、衝撃を与えました。

新学期が近づくと、「学校より命を優先」というメッセージが報道されるようになりました。

しかし、学校とは別に、子どもの居場所や教育がどれだけ保障されているでしょうか。文部科学省は「教育機会確保法」において、不登校の子どもに対する教育機会の確保について自治体の重要な責務を6項目規定しました。本県でどれだけ実践されているでしょうか。

その中でも第一に、学校への復帰を前提としない公的な支援、居場所をつくることです。県内市町村が設置する55ヶ所の「適応指導教室」、いわゆる教育支援センターには、不登校生徒の約1割しか通っていません。学校に適応させようとする指導のあり方ではなく、心休まる場所としての役割も重要です。児童心理司等を含め、相談員の体制拡充が求められます。

第二に、様々な学びの場としてフリースクールやNPO法人、親の会などがありますが、県は活動状況を把握していません。連携も全く不十分です。関係者は、「なぜ登校できないかの要因を探り、その子なりの学びの場をつくることを実践してきた」と述べています。

そこで県が実態を把握して積極的に保護者や学校・市町村に情報を提供し、協力関係を築くこと。その際、経済的な負担軽減措置も必要です。

以上を踏まえ、不登校児童生徒への支援と教育保障について、教育長に伺います。

【教育長】

不登校児童生徒に対する支援と教育保障についてお答えいたします。
本県における不登校児童生徒数は増加傾向にあり、その対応は喫緊の課題であると認識しております。

こうした中、不登校の子どもたち一人一人に、それぞれの状況に応じた必要な支援を行うことなどを規定した、いわゆる「教育機会確保法」が平成29年度に施行されました

この法律において、国及び地方公共団体には、不登校の子どもたちの学校復帰を支援し、社会において自律的に生きる力を培うことを目的とした、教育支援センターを整備することが求められております。

現在、教育支援センターでは、個別の学習支援のほか、子どもたちや保護者を対象とした相談、さらには、学校や家庭を直接訪問する訪問型支援等を行っており、職員の多くは、教員経験者でございますが、子どもたちのカウンセリングなどを充実させるため、心理の専門職員を配置するなど、支援の充実を図っているセンターもございます。

また、毎年、県が開催している教育支援センターネットワーク会議では、各センターにおける不登校支援の事例発表や、子どもたち一人一人に作成している支援シートの活用例を協議するなど、子どもたちへのより良い支援に向け、職員の資質の向上に努めているところでございます。

さらに県では、毎年、5か所のセンターに年間を通して教員一人ずつを派遣し、不登校の子どもたちへの学習支援の方法などについて研究を続けておりますが、その研究成果は、不登校支援担当教員や教育支援センターの職員が一堂に会する協議会等において、共有することで、子どもたちへのより良い支援を行えるよう取り組んでいるところでございます。

くわえて、教育支援センターに通う子どもたちの学びを支援するため、センターにおいて、子どもたちが在籍する学校の授業を配信する遠隔教育の導入について、5月に開催された市町村教育委員会教育長会議において働きかけたところでございますが、現在、いくつかの市町村で検討が進んでいると伺っております。

一方、不登校児童生徒への支援は、学校に登校するということのみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉え、社会的に自立することを目指すことが重要であることから、まずは、子どもや保護者の思いをよく聞き、なにがその子どもにとって最良の学習内容なのか、どこがその子どもにとって最良の学びの場であるのかということについて、学校が共に考えていくことも大切でございます。

このため、不登校の子どもたちに多様な学びの機会を提供しているフリースクールと学校との連携も重要であると考えております。

そこで、県では、昨年度からフリースクールを訪問するなどして、その活動実態把握に努めているところでございますが、今年度は、6月に開催した「第1回生徒指導関係合同連絡協議会」に、県が把握しているフリースクールに参加を呼びかけたところ、半数以上から職員の参加があり、県教育委員会の担当者と情報交換を行ったところでございます。

今後は、1月に行われる第2回の連絡協議会において、フリースクールの職員から活動状況や支援のあり方を学校からの参加者に紹介していただくなどして、学校とフリースクールの職員が、お互いの取り組みを理解し、子どもたちにとってどういう学びの場がよいのか考えていくとともに、県においても引き続きフリースクール等を訪問し、実態把握や情報交換などを行ってまいりたいと考えております。

そのなかで得られたフリースクール等の活動内容に関する情報については、法の趣旨に基づき、今後、不登校の子どもをもつ保護者等のニーズに応じ、適切に発信してまいります。

県といたしましては、心理などの専門的人材の配置や遠隔教育の導入などにより、不登校の子どもたちの状況に応じたきめ細やかな支援ができるよう、教育支援センターの充実を市町村に働きかけるとともに、子どもたちに対する教育の保証を最優先に考え、フリースクール等関係機関と学校がどのような連携を図ることが一番良いのかなどについて、引き続き検討してまいります。

(4)私学助成の拡充と「私学の自主性」の尊重

【江尻】

次に、私学助成の拡充と「私学の自主性」について伺います。

まず、私立高校の保護者負担の軽減です。「お金の心配なく学びたい」こうした生徒や保護者、教職員の運動が政府を動かし、来年度、国の就学支援金制度が年収約590万円未満の世帯まで拡充されることになりました。
これにより、現在県独自の上乗せで授業料減免を行ってきた年間約2億5千万円の予算が国によってカバーされます。

そこで、この予算をひき続き、私学助成の拡充に活かしていただきたい。
特に本県の学校施設費保護者負担は全国2番目に高く、年額約29万円で全国平均より12万円も多くなっているのです。この施設費の軽減について、知事に伺います。

もう一つは、私立高校の運営に対する県補助金についてです。

私は今年3月の予算特別委員会で、県が各学校を50項目で点数化して、補助金に差をつけるようなやり方は、「私学教育への介入」ではないかとただしました。

知事は「頑張っている学校への応援だ」と答えましたが、このわずか半年で算定方法を変更するなど、客観性も根拠もあいまいであることが明らかです。
それでも今後、各学校を点数化するというのでしょうか。

私学それぞれの建学の精神・自主性を尊重し、教育条件の維持向上を応援することこそ私学助成の目的です。
過度に競争的な教育環境がいじめや不登校や自殺を助長している可能性があると、国連から再三、指摘されているのが日本の教育です。

成果主義で競争を駆り立てるような県補助金の評価配分はすみやかに見直すよう強く求め、知事の所見を伺います。

【知事】

安心して学び、子育てできる環境整備についてのうち、私学助成の拡充と「私学の自主性」の尊重についてお答えいたします。

まず、私学助成の拡充による、私立高校における保護者の施設費負担の軽減についてでございます。

本県では、所得の低い世帯においても、経済的理由に関わらず就学の機会を確保するため、授業料及び入学金の減免事業を実施しておりますが、施設費負担の軽減については実施しておりません。

これは、私立学校の施設は、学校設置者が独自の建学の精神に基づく教育を実現するため、学校経営や教育環境を考慮して整備されたものであり、それぞれの施設に応じて保護者が負担する施設整備費の額も異なっていることなどを理由とするものであります。

議員ご案内のとおり、今般、国におきまして、来年4月から、就学支援金制度を拡充し、年収約590万円未満世帯を対象とした授業料の実質無償化が実施されることにより、県による上乗せ支援の対象となる世帯に対しても、国による実質無償化が図られることとなりました。

これにより、県単独の上乗せ支援のための予算額が、国費に置き換わることになりますが、私立高校における保護者の施設費負担に対する県の考え方は従前同様であり、当該財源を活用した施設整備費を軽減することについては、考えておりません。

県といたしましては、今後とも、国の財源も活用しつつ、本県の財政状況や社会経済情勢などを総合的に勘案しながら、私学教育の振興のために、必要な支援策について検討してまいります。

次に、私学の自主性の尊重についてでございます。
経常費補助金の算定方法についてご質問いただきました。
全日制高校に対する経常費補助については、生徒数や教員数等に応じて配分する一般分と、教育の質の向上や医療・科学技術を担う人材育成など特色ある教育の取組みに応じて配分する特別分により行っております。

県内では少子化の進行により、中学校卒業者が20年前に比べ約3割減少し、2万9千人を割る状況ですが、今後20年をみても同様の状況が予想されることから、人材の育成は益々重要な課題となっております。

このため、今年度から、それぞれの建学の精神の下、頑張っている学校を応援していくという基本的な考えに基づき、人材育成に資する特色ある教育に応じた配分割合を高めるとともに、その配分項目を50項目設定したところであります。

この50項目の設定につきましては、各学校にアンケートを実施し、ご意見をいただいたうえで設定したものであり、その内容については24校全校を個別に訪問して説明を尽くしております。

特別分の具体的な算定方法につきましては、配分項目に係る取組状況のわかる資料を各学校から提出していただき、内容を精査し算定するとともに、算定結果についても、各学校と相互に内容確認のうえ、補助金総額だけでなく詳細も通知する予定です。

なお、県といたしましては、今回設定した配分項目等については、各学校の取組状況などを踏まえ、さらなる特色ある教育を推進できるよう、随時見直しを図ってまいりたいと考えております。

3. 県立あすなろの郷の再編整備について

【江尻】

次に、知的障害・重度障害者の中核的施設である県立あすなろの郷の再編整備について伺います。
45年経って老朽化した施設を、入所者の高齢化や重度化に対応し、建て替えるための測量調査費が補正予算に計上されました。

しかし、同時に示された再編整備後のあすなろの郷入所施設は、現在の定員462名から200名に半分以下にする計画が示されています。

これは、入所者を県立あすなろの郷から追い出すことに他なりません。本人やご家族の希望を聞かずに県の事前評価で定員を決めていいのでしょうか。国の目標に沿って、年間20名近くを退所させ、地域での生活に移す計画には無理があると思います。この6年間をみても、地域移行した方は一人もいません。

その上、入所を希望される待機者が157名に増えております。県外に出ていった方もいます。説明会で多くの質問や意見、不安や心配の声が出されたと聞きました。

民間施設では、県立ほど手厚く職員を配置することが難しく、とくに夜間の宿直体制が困難です。公的役割が求められていますが、県から社会福祉事業団への指定管理料は10億円も減らされ、嘱託職員が4割にまで増えています。

県はこれまでも、県立こども福祉医療センターや県立リハビリテーションセンターなどを次々と廃止してきました。

本来なら、県内9つある障害福祉圏域ごとに、公的な入所施設を整備して、生活訓練や相談支援を受けられる拠点をつくり、ショートステイ施設や重度障害に対応できる医療機関が県内どこでも地域ごとにあることが望まれます。

こうした体制も拡充方針もないまま、県内唯一の県立施設を縮小することには同意できません。
老朽化が進むあすなろの郷の一日も早い建て替えを望みますが、定員削減は見直すべきです。知事の所見を伺います。

【知事】

県立あすなろの郷の再編整備についてお答えいたします。

県が整備するセーフティネット棟の定員について、お尋ねをいただきました。
県立あすなろの郷は、施設の老朽化や入所者の重度化・高齢化が進んでいることから、「あすなろの郷検討委員会」において、これらの課題に対応した施設整備のあり方について検討してまいりました。

この委員会では、強度行動障害者など民間施設では処遇が困難な方への支援を目的としたセーフティネット機能や、生活自立のための訓練機能など、障がいの程度に応じた機能を有する施設が提示されたところであります。

これを受けて、昨年度、県社会福祉士会に委託して、現在の入所者全員を対象に、各施設の対象者数を把握するためアセスメントを行ったところ、197名の方がセーフティネットの対象との結果となりました。

これらの結果を踏まえ、本年2月から、整備する施設の機能、規模、整備スケジュールに加え、官民の役割分担について検討するため、家族会や障がい者施設の代表者などによる「あすなろの郷整備調整会議」を開催しております。

これまでの4回の会議により、セーフティネット機能を担う施設は、定員200名規模で県が責任をもって整備し、入所者の生活行動の改善による他施設への移行を目指しつつ、在宅障害者の受入れを進める施設とすること、生活訓練などの機能を担う施設は民間の社会福祉法人が整備することにより、現入所者定員を県立施設と民間施設で確保するとの基本的な方向性が整備されたところであります。

また、調整会議における検討内容については、家族会の役員や会報等を通じ、その都度お知らせしており、先月には保護者の方を対象とした3日間にわたる説明会において、担当部局から、県立施設と民間施設の役割分担、それぞれの定員などを丁寧に説明するなど、ご理解いいだけるよう努めております。

私自身も、6月に家族会の代表者など7名とお会いし、ご意見を伺うとともに、より良いサポートを実施するために民間活力を導入すること、今の入所者の方が困らないよう支援していくことなどをご説明したところ、家族会の方から、「直接自分の気持ちを伝えることができ、安心しました」などのご意見をいただきました。

今回のあすなろの郷の建て替えにあたっては、入所者に加え、在宅の障害者に対しても、一人一人の状況に応じ、官と民が連携し、適切なサービスが提供できる体制を構築することにより、誰一人取り残さない社会づくりを目指してまいります。

4. ジェンダー平等、個人の尊厳ついて

(1)選択的夫婦別姓と旧姓使用

【江尻】

次に、ジェンダー平等と個人の尊厳を尊重する立場から、まず夫婦別姓について伺います。
日本では、「結婚すれば名字が変わる、変えるのは女性」という通念を当然のように捉える傾向があり、戸籍法でも別姓は認められておりません。

別姓を望む意見に対して、「家族の解体を招く」とか「子どもの姓はどうなるのか」そういう意見も聞かれます。しかし、親と子で姓が違うことは現在でもあることです。
今や、戸籍上で夫婦同姓を義務付けているのは世界で日本だけです。

これに対して、県は旧姓使用の取扱要領を定めています。「職員が互いに個性を尊重し、能力を発揮しやすい職場環境の整備を図るため」、結婚後も旧姓を文書等に使用することができるとしております。これにより人事課への旧姓使用届けは、男性12名、女性179名とのことで、やはり女性が多いことが分かります。

そこで、病院局や水道局などを含め、県全体ではどういう状況なのか。また、市町村ではどのような取扱になっているのか。併せて、同姓か別姓かを選択できる法整備の必要性について、知事にお伺いいたします。

【知事】

ジェンダー平等、個人の尊厳についてお答えいたします。

まず、選択的夫婦別姓と旧姓使用についてでございます。
県では、平成13年10月に、国において旧姓使用が開始されたことを受け、職員が互いに個性を尊重し、能力を発揮しやすい職場環境の整備を図るため、「茨城県職員旧姓使用取扱要領」を策定し、平成14年1月から、人事発令通知書や身分証明書などを除き、届出により、旧姓の使用を認めてまいりました。

令和元年9月1日時点で旧姓を使用する職員は、教育長及び警察職員を除いて、231名となっており、内訳は、知事部局で194名、病院局で32名などとなっております。

一方、県内市町村におきましては、15市町村におきまして旧姓使用制度を導入しておりますが、女性職員の活躍を推進する観点からも、市町村における更なる自主的、主体的な取り組みの進展が期待されるところであります。

県ではこれまで、職員が旧姓を使用しやすい職場環境づくりの推進や、旧姓使用に係る規定の明文化、職員への周知の充実等について通知を発出し、市町村の取組みを促してきたところであり、徐々に導入市町村が増加している状況にございます。

県といたしましては、引き続き、国や県の取組状況等について情報提供を行うとともに、旧姓使用に係る規定の策定等について助言を行うなど、市町村職員が旧姓を使用しやすい職場環境づくりに向け、働きかけを行ってまいりたいと考えております。

また、選択的夫婦別氏制度についてでございますが、加速する女性の社会進出や家族形態の変化などを背景に、選択的夫婦別氏制度導入への要請が、今後ますます高まることが想定されます。

平成29年に実施した国の世論調査によりますと、選択的夫婦別氏制度を導入するために、法律を変えても構わないと答えた方の割合が42.5%と最も高く、5年前の調査からも大きく増えている状況でございます。

また、国際的にみても、婚姻後の夫婦同姓を義務化している国は、日本のみと聞いており、国連の女子差別撤廃委員会からは再三にわたり、夫婦同姓を定めた民法の改正を行うよう、勧告を受けているところであります。

このようなことも踏まえ、私としては、現在の社会の変化や、将来を見据えた時に、選択的夫婦別氏制度の導入は避けられないものであると考えております。

いずれにいたしましても今後、国において、国民意識の動向を分析するとともに、国連の女子差別撤廃委員会の勧告も考慮しつつ、対応を検討していくと聞いておりますので、その動向を見守ってまいりたいと考えております。

(2)性暴力被害支援の拡充

【江尻】

次に、性暴力の被害を受けた方々への支援についてです。

私は今年3月の常任委員会で、「性暴力犯罪被害者サポートネットワークいばらき」の取り組みについて質問しました。医療面のケアを含めた相談支援を行っていますが、私が求めたのは医療費の県費負担です。

警察は医療費負担を行っていますが、内閣府の調査でも警察に連絡・相談した被害者はわずか4.3%しかいません。警察以外に医療費の県費負担制度がないのは本県含めて全国で3県のみです。ぜひ実施すべきです。

先日、サポートネットワークを訪ねた際にも、「医療費負担をしてあげられなかった事例があった」と伺いました。

また、相談員や支援員の人材確保にさらなる「県の支援を」との要望もいただきました。

そして、相手の気持ちに反して行われる性暴力は、決して被害者は悪くないということを広く社会へ周知していくこと。誰にも知られたくないという被害者に安心して相談できる窓口があることを広報していくことも大事です。

以上を踏まえ、性暴力被害への支援について、県民生活環境部長に伺います。

【県民生活環境部長】

性暴力被害者支援の拡充についてお答えいたします。

性暴力は、本人の気持ちに反して、同意なしに行われる性的な行為であり、被害者にとって、身体的だけでなく、精神的にもダメージが大きい極めて悪質な犯罪です。

そして、その被害を打ち明けること自体が、大きな心理的負担であり、性暴力被害者の約6割が誰にも相談できなかったという調査結果もあるなど、一人で苦しんでいる方も多く、被害者支援は、社会全体で取り組まなければならない課題であると認識しております。

本県におきましては、平成27年度に、性暴力の被害者を支援するため、いばらき被害者支援センター、産婦人科医会、警察などを中心に、「性暴力被害者サポートネットワーク茨城」が発足いたしました。

これにより、県内各地の病院との連携のもとに、被害者の相談窓口の一元化が図られ、被害にあわれた方が安心して相談でき、医療面のケアを含めて必要な支援が速やかに受けられる体制が整ったところでございます。

ご質問の被害者への医療費支援を行う「医療費県費負担制度」の実施につきましては、先般、関係機関との調整が整いましたので、産婦人科の処置費用や検査費用これに伴う投薬費用など医療費の助成が受けられるよう、制度の運用を開始いたしました。現在この制度の利用促進のため、制度の周知を図っているところでございます。

次に、支援員の人材確保に係る県の支援についてお答えいたします。
支援員には、心身ともに傷ついた被害者からの相談に温かく対応し、安全で安心できる支援をきめ細やかにコーディネートできる能力が求められております。

このため今後、いばらき被害者支援センターをはじめとした関係機関と協議しながら支援員の育成と人材確保のための支援策について検討を進めてまいります。

また、性暴力被害への理解促進と相談窓口の周知については、「性暴力被害者サポートネットワーク茨城」を紹介するリーフレットを学校や病院などに配布するとともに、県ホームページや県広報誌「ひばり」への掲載、ラジオ放送などにより、広く県民への啓発や周知をしているところです。

県といたしましては、今後とも性暴力にあわれた方々の気持ちを大切にし、寄り添いサポートに努めてまいります。

5. 東海第二原発の再稼働問題について

【江尻】

最後に、再稼働のための工事が進められている東海第二原発についてです。

私は、今年3月と6月の予算特別委員会で、東海第二原発周辺で起こる地震のリスクについてお尋ねしました。
その際、日本列島を縦断する世界第一級の断層・中央構造線が本県を横切って日本海溝にまで延びていること。

さらに、福島県から本県に延びる横ずれ大断層・棚倉構造線がともに東海第二原発周辺を通っているという、世界の中でも地震の危険が高い地域であることを示しました。
それを裏付けるように、私の予特質問の3日前・今年の6月17日に東海第二原発の真下を震源とする地震が発生しました。

わたしの質問に対し、知事は「原発の真下に起こる地震について、日本原電に評価するよう求めている」と答えましたが、その後、事実と評価についてどのような聴取をしたのでしょうか。また、県の原子力安全対策委員会で検証中とのことですが、現在までにどのような地震の評価を独自に行っているのか、知事に伺います。

折しも、福島第一原発の原子炉崩壊は、津波の前に地震によるものだったと事故原因を究明する専門家も現れております。原子力規制委員会も原因を再調査するとしております。さらに「未知の地震や新たな活断層」による新たな知見を反映させるとするなど、地震への対応が一段と高まっております。

さらに、原子炉建屋の最上部プールには、いまだ冷却され続けている核燃料棒が2,202本も残されており、冷却ポンプの停止や配管の断裂などが起きれば、メルトダウンの危険があります。

昨年2月に県が実施した防災訓練では、まさにその危険性を想定したものでした。「水戸市やひたちなか市などで震度6強の地震が発生。東海第二原発で使用済み燃料プールの水位が下がり、冷却機能の恐れがあるとして、県庁災害対策室では被害状況の把握や関係機関との連絡調整にあたった」これが訓練の内容です。

県自らその危険と被害を想定するのであれば、すぐさま核燃料棒をプールから引き上げ、とりあえず遮へい機能、臨界防止機能、徐熱機能を備えるキャスクに移し替えるべきではないでしょうか。日本原電にはすでに数十年の乾式キャスク保管の実績があります。

県として、現状の核燃料のプール保管とキャスク保管について、それぞれどのような課題があると認識しているのか。また、日本原電に対しどのように働きかけるのか、知事に伺います。

私は先日、原子力規制委員会へヒアリング調査と要望をしてまいりました。その際、国が原発にテロ対策を義務付けていることに関して、「原発がテロの標的になることを公然と認めるのか」とただしました。すると、規制庁職員は「テロの標的になる可能性があるということです」とはっきり答えました。

こんなリスクは到底受け入れられません。地震や津波などの危険とテロなどの人的リスクから県民の安全を守るには「廃炉」しかありません。知事も、そしてわたしたち県議会も決断が必要と考えます。廃炉に向けた知事の所見をお伺いいたします。

以上で質問を終わります。

【知事】

東海第二原発の再稼働問題についてお答えいたします。

初めに、地震の評価についてでございます。
東海第二発電所の地震対策につきましては、県原子力安全対策委員会、東海第二発電所安全性検討ワーキングチームにおいて、日本原電から、国の審査状況を聴取のうえ、審議しております。

地震学の専門家などからは、国が審査対象とした地震に加えて、「東海第二発電所の真下など太平洋プレート内で起きる地震」や、「県の地震被害想定の見直しにおいて県独自に想定した地震」が原子炉施設に与える影響などの評価も行うべきとの意見が出ているところであります。

また、住民説明会や意見募集において、県民からも、同様の意見や国の地震調査研究推進本部が本年2月に、新しい知見を取り入れて発表した、「日本海溝沿いで発生する大地震の規模の見直し」等を踏まえ、改めて評価すべきなどの意見をいただいております。

このため、県では、日本原電に対し、これらの地震を踏まえた評価を行うよう求めているところであり、ワーキングチームにおいて、日本原電による評価を聴取のうえ、東海第二発電所における地震対策について検証し、どのような地震に対応できるようになるのかを具体的に県民に示していきたいと考えております。

次に、使用済燃料の保管についてでございます。
原子力発電所で使い終わった核燃料、いわゆる使用済燃料については、まずは、原子炉建屋内にある貯蔵プールにおいて冷却され、その後そのままプールに貯蔵されるか、乾式キャスクと呼ばれる特殊な容器の中で保管されることになります。

貯蔵プールでの保管については、地震や津波等により電源が失われた場合には冷却機能が喪失する恐れがありますことから、東海第二発電所では、福島第一原子力発電所の事故後に、ポンプ車や電源車の配置などの対策が講じられたところであります。

さらに、追加の安全対策として、新たな冷却機能の増設も計画されております。
また、乾式キャスクによる保管については、空気の自然対流により冷却されることから、管理の容易性や経済性に優れていると言われております。

東海第二発電所の使用済燃料については、キャスクに収納後、当面は、「敷地内の貯蔵施設と、青森県むつ市に建設中の中間貯蔵施設の2か所において保管」されることとなっており、将来的には、「増設が予定されている中間貯蔵施設に、すべての使用済燃料が搬出」される計画となっております。

県といたしましては、東海第二発電所の使用済燃料が敷地内の貯蔵施設において長期の保管とならず、計画どおり搬出されるよう、国や事業所に働きかけてまいります。

次に、廃炉の決断についてでございます。

原子炉から取り出された燃料については、貯蔵プールに継続して保管されることとなりますが、先程も申し上げましたとおり、貯蔵プールについては、安全対策が強化されましたほか、今後新たに冷却機能の追加が計画されており、県としては、引き続き、それらの対策の実施状況を立入調査等により確認してまいります。

いずれにいたしましても、東海第二発電所の再稼働については、安全性の検証と実行性ある避難計画の策定に取り組み、これらの情報を県民の皆様に提供し、意見を伺ったうえで、判断してまいります。

再質問

【江尻】

知事のご答弁に対して東海第二原発真下でおこる地震評価について再度伺います。

原電に説明を求めなくても、この間の地震発生状況は県が調べれば分かることです。例えば2012年12月以降、原発の立地する県で地震が多かったトップ3は茨城・福島・宮城でした。宮城は1,258回、福島は1,377回、本県はそれを上回る1,659回です。さらに原発直下で起きている地震についても、気象庁の公表データをもとにこれまでの4年半、合計12,633回の地震を調べてまいりました。

例えば活断層が指摘されている浜岡原発直下は17回、福島第一は6回、福島第二は38回。では東海第二原発はというと、4年半でなんと125回。桁違いの多さでこれも全国最多です。

たとえ小さな地震でも地盤が破壊され無数の断層ができている。これは原発の立地存立と安全に係る重大事態です。これらの事実を知事はご承知なのか、それとも把握しないまま安全性を検証しているのか、端的にお答えください。直ちに県としてこのことを確認調査し、公表していただきたいと思います。以上伺います。

【知事】

再質問にお答えいたします。

東海第二発電所における地震や耐震の評価につきましては、まずは当事者である日本原電が評価すべきものであると考えております。県としては原子力安全対策委員会、東海第二発電所安全性検討ワーキングチームにおきまして日本原電から評価結果を聴取のうえ、地震学や建築構造地震工学などの専門家などにより審議を行ってまいります。

以上

動画はこちらから

2019年9月茨城県議会 江尻加那議員の一般質問と答弁(大要、PDF)

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