2016年9月茨城県議会 予算特別委員会 山中たい子県議の質問と答弁
項目
山中たい子県議の予算特別委員会質問
2016年9月27日(火)
- 土砂等の埋め立てについて(答弁・知事)
(1)市町村との連携
(2)県条例の改正 - 国民健康保険について(答弁・知事)
(1)都道府県化
(2)国保税の引き下げ
(3)滞納世帯への対応 - 特別支援教育について
(1)不足教室の解消 (答弁・教育長)
(2)特別支援学校の増設 (答弁・教育長)
(3)特別支援教育予算 (答弁・知事)
1. 土砂等の埋め立てについて
(1) 市町村との連携
最初に、土砂等の埋め立てについて質問します。
土砂等の埋め立てについての規制と指導、監視は、条例に基づき5千m²以上を県が、それ以下を市町村が行っています。
県条例は平成16年に施行され、その後、12年が経過しましたが、市町村では様々な矛盾や問題点が出ています。
取手市米ノ井字下タ田(シタダ)では、面積3万3千m²、期間が2年間の残土埋め立てが県の許可で行われました。水田農家から、「道路のかさ上げで田んぼまで急勾配となり、耕作機械が入れられない」「田んぼに流れ込んだ砕石で稲の生育に影響が出た」と苦情が寄せられました。雨が降れば、埋め立てた土砂から真っ黒い水が出て「何を埋めたか心配」の声もあがりました。
県と市・地元住民・事業者が4者で協議し、田んぼに入った土砂の除去や市道の修復など、事業者の責任で行うことを確認したのですが、未だ原状回復されていません。
もう1カ所の事例も取手市下高井字天神谷津です。パネルをご覧下さい。
この埋め立ては合計1万4700m²で、本来なら県の許可事業です。しかし、県の許可面積5,000m²未満の「こま切れ申請」を繰り返して面積を拡大してきました。3カ所とも県条例の許可面積以下で埋め立てを進めてきました。埋め立て期間はそれぞれ1年ですが、期間も埋立地も重なっており、明らかに一体的な埋め立てです。事業者は1期・2期とも同じ業者です。このような手法を認めていたら、県条例は全くザル法になってしまうのではないでしょうか。
近隣住民や保育所・小中学校関係者やPTAなどから、「通学路をダンプが行き来するのは危険」「搬入される土砂は安全か、排水も心配」と不安の声があがっています。
分割して市町村に許可申請する、こうした行為を未然に防ぐためにも、事業の一体性は県が判断し、県の許可とするよう市町村とも連携協力し、厳しく対応すべきだと思いますが、知事の所見を伺います。
土砂等の埋め立てについて市町村との連携をすべきではないかとの質問でございました。
県の残土条例に基づく埋め立て等の許可にあたりましては、埋め立て等が行われる市町村に対する意見照会により、地元の意見を取り入れるようにしており、事業者に対しては、地元への説明や関係法令等で必要な手続を取ることを指導し、それらの手続きをしたことを確認した後に埋め立て等の許可をすべきか判断しているところでございます。
許可後に、県の残土条例のほか、埋め立て等に関係する農地法などの関係法令において支障が生じた場合には、県も市町村等と連携して、それらの支障を除くよう事業者に対し指導を行っているところであります。
また、5,000m²未満の土地の埋め立て等は、市町村の条例が適用されますが、条例の解釈に疑義が生じたり、市町村単独では対応が困難な事案もございますので、県も連携して対応していく必要があると考えております。
例えば、事業者が、近接する土地を5,000m²未満ずつで埋め立てるというような事業の一体性の判断が難しい事案などにつきましては、市町村と十分に協議しながら、その把握に努め、実質的に一体的なものと認められる場合、県が対応してまいります。
この他にも、市町村の事案対応力の向上を図るため、市町村職員を対象とした残土条例に関する研修会や市町村の担当課長を対象とした残土条例に関する情報提供の会議の開催をしてまいりました。
また、早期対応が極めて重要でありますことから、県側から積極的に市町村を個別訪問して、事案の早期把握に努めますとともに、市町村の求めに応じ、5,000m²未満の事業であっても、県と市町村の共同による事業者への指導などの具体的助言を行ってまいりました。
県といたしましては、市町村としっかりと連携して、土地の埋め立て等が適正に行われるよう努めてまいりたいと考えております。
下高井の事例を示しましたけれど、これを見ると1期・2期・3期重なっている工事の期間も一緒ということで、文字通り一体的な埋め立て工事だと判断できると思います。
ですから、これについても知事として、取手市、特に事業者に対してきちっと指導すべきだということを言っておきたいと思います。
(2)県条例の改正
次に県条例の改正の問題ですけれども、県条例の許可面積は5,000m²以上となっています。パネルをご覧になればわかりますが、土砂の埋め立てで問題の起きている18県のうち、15県が許可面積を3,000m²、兵庫県は1,000m²に規制を強化しました。茨城は全国一規制が甘い県になっています。県の規制が甘いため、その大きな負担が市町村にのしかかっています。
市町村残土条例の許可は平成27年度で119件。うち32%が3,000m²以上の案件です。
水戸・つくばなど8市は、県外の土砂持ち込みを認めないと条例や規則に明記しています。こうした市町村の努力に応え、県の役割の発揮が強く求められます。
条例を改正し、許可面積を引き下げること、合わせて県外からの土砂持ち込みを認めないことについて、知事の所見を伺います。
只今の取手市下高井地区での土砂の埋め立てにつきましては、県の方で把握したのが8月でございまして、今、具体的にどういうふうな状況かについて調査をしておるところでございまして、市町村の方と十分に連携しながら、実質的に一体なものであるということになれば、しかるべく対応してまいりたいと考えております。
それから、県の役割を発揮するために県の残土条例の適用面積を引き下げるべきとのご提案をいただきました。
土地の埋め立て等については、地域の実情に精通し、きめ細かな対応ができる市町村において規制することが適切であり、効果的であると考えて、平成3年以来、県では条例準則を示しまして、それを参考に市町村が条例を制定して、規制してきたところであります。
しかしながら、大規模な埋め立て等については、土砂等の発生場所が複数県にまたがることが多いことや、土砂の崩落や流出などについてより慎重な安全対策が求められることなどから、平成15年に県条例を策定し、県が規制を行うこととしたところであります。
この適用面積につきましては、当時、「茨城県宅地開発事業の適正化に関する条例」において、都市計画区域外の開発許可面積を5,000m²以上としておりましたことから、同様に5,000m²以上としたところであります。
なお、本県はすべての市町村が残土条例を制定しておりますので、県の残土条例と併せ、小規模な埋め立てから大規模な埋め立てまで全てが対象となってまいるわけでございます。
さらに、市町村の残土条例が適用される5,000m²未満の埋め立て等であっても、不適切な事案が発生した場合などには、市町村と県が連携して、事業者の指導を行うなど県としての役割をはたしているところであり、対象面積の引き下げについては、現在のところ考えておりません。
次に、県外からの土砂による埋め立てを認めないようにすべきとのご提案でございます。
本県条例に基づいて許可申請があった事業のうち5割が県外の土砂も埋め立てに使用しているという実態がございます。これまでにもショッピングモールや特別養護老人ホーム、宅地の造成などに県外の土砂を使用している例などもありますので、県内の土砂のみに限った場合には、埋め立て等に必要な土砂の確保が困難となり、このような事業が実施できなくなってしまうことなども懸念されるところでありますし、特に県境の市町村などについては、そういったところが心配されることであります。
したがって、また、残土条例を制定している他の府県のすべてが、県外の土砂による埋め立てを認めておりますことから、県といたしましては、条例で禁止することは難しいと考えております。
今ほど、知事が作られた経過等について述べていただきましたけれど、結局、残土と称して廃棄物を不当に投棄する事例が見受けられると。それから、残土の発生場所は、複数県にまたがると。土砂の崩落や流出の安全対策が必要となるということで、条例が作られたというふうに思います。
いま、市町村が非常に困っているなか努力をしているのが、規制対象面積のところにも表れていると思います。
44市町村のうち33市町村は、規制対象の下限値が300m²であったり、500m²ということになっておりますが、下限値を撤廃しているところが11市町村あります。
隣接地の埋め立てを繰り返し申請し、結果的に対象面積を超えることを防ぐために条例を改正して、下限値を撤廃している。
こういうことで、市町村は努力をしているし、そして様々な問題で悩み苦しんでいる。そういう努力をした末に、県外持ち込みの規制というのも現在8市町村で行っています。
ですから、このことをきっちりと受け止めていただきたいし、市町村の努力に応えるべきだと思います。そして、知事自身ご存じだと思いますけれども、茨城県の不法投棄件数が4年連続ワースト1位です。この点でも県条例を厳格に進めていくと同時に面積を引き下げる。そして、県外からの土砂の持ち込み、これを認めない。そういう強い知事の決意が必要だというふうに思います。知事の所見を改めて伺います。
面積をどうするかということにつきましては、どちらが担当したらいいか。これはいろいろ判断が分かれるところだと思います。
私どもとしては、身近に接しているところが見るのが一番いいのでないかと思いますし、それを抜け道的な方法を取っているということについては、これは絶対に許されないことと思いますので、これは別の観点からきちんとした規制を行っていく。
そのために、県としても市町村と連携をとりながら、一体のものかどうかということについて、取手市の今の件も含めて対応してまいりたいと思います。
また、先程も申し上げましたけれども、県外がダメということにつきましては、県境の市町村で事業などを行う場合、どうしても県外から入ってくることも多いわけであります。
ですので、一律にダメとするわけにはいかないんではないかなと思っております。
抜け道を許さないという手立てを検討するということでしたので、取手市の例も含めてしっかりと対応していただきたいと思います。
2. 国民健康保険について
次に、国民健康保険について質問いたします。
88万人が加入する国保は、県内最大の健康保険であり、その高すぎる国保税が全県どこでも大問題となっています。所得300万円、4人家族の国保税はつくば市で409,700円となるなど、所得の1割を超える過酷な負担となっています。滞納世帯は、全加入者の2割を超えています。国保税が払えずに無保険状態になったり、正規の保険証を取り上げられるなどして、医療機関への受診が遅れたため死亡したとみられる事例も全国で広がっています。
さらに、生活苦や経営難のなかで分割納付している人に、“滞納分を全額払わないと財産を差し押さえる”という督促状が突き付けられ、市町村や茨城租税債権管理機構による差し押さえが増加しています。
(1)都道府県化
市町村が運営する国保は、平成30年度から都道府県が財政運営の責任主体とされ、国は国保運営方針の策定要領や市町村から徴収する納付金の算定ガイドラインを示しました。しかし、国保制度の課題である高齢化と低所得者層の増加、医療費の増大などを解決するために必要な財政支援は年3,400億円とされ、まったく不十分と言わざるを得ません。
国庫負担の更なる増額を要望するとともに、本県の国保運営方針や運営協議会の設置、及び市町村納付金と標準保険料率の算定などについて、県はどのように対応していくのか、知事の所見を伺います。
平成30年度からの国保の新制度開始に向け、県は、市町村が県に納付する国保事業費納付金や保険料を決める際に参考とする標準保険料率の算定方法を決定しますほか、県内統一的な方針となる国保運営方針を算定することが求められております。
これらはいずれも、市町村の国保運営に大きな影響をもたらすものであり、検討を行っていく上では、市町村との合意の形成が大変重要となってまいります。
このため本県では、昨年8月、市町村国保の事業運営や税制運営の広域的取組などを検討するために設置している「茨城県市町村国保広域化等連携会議」の下に、4つの作業部会を設置いたしました。
具体的には、「国保事業費納付金の算定方法」「標準保険料率の算定方法」「国保事務の標準化・広域化」「国が開発する電算システムへの対応」といった制度移行の主な検討テーマごとの作業部会を設置し、県内の全ての市町村が参画して、これまでに、延べ20回を超える協議を重ねてきているところでございます。
来月には、国から納付金と標準保険料率の算定を支援する電算システムが配布されますので、具体的な納付金の額等を試算しながら算定方法の協議を開始する予定としております。
また、国保運営方針につきましても、引き続き市町村と記載内容の協議を進めますとともに、有識者の意見もお伺いしながら策定してまいりたいと考えております。
県といたしましては、新制度への円滑な移行に向けて、現在も行われている国と地方の協議の進渉状況を的確に捉えながら、市町村との協議を丁寧に進めてまいりたいと思います。
また、今、議員からのご指摘がございました、国の支援金の充実につきましては、私どもも強くそれを国の方に要求しているところでございまして、今後とも国保の安定のためにですね、都道府県化したから安定する訳ではございませんので、国一体としての対応などを求めていきたいと思っております。
(2)国保税の引き下げ
国保運営方針の柱には、今の高すぎる国保税をどう軽減していくのか、市町村と連携した方針を据えるべきです。市町村は、保険税を抑えるために一般会計から国保会計に毎年合わせて約100億円を繰り入れてきました。ところが、昨年度の国の公費負担の拡充は、本県で約34億円です。さらに、県独自補助はなし。そのため、県内市町村で国保税を引き下げた自治体は一つもありません。
都道府県化されれば、今度は県にも国保の特別会計ができます。そこに県が繰り入れを行い、市町村が県に納める納付金額を抑え、国保税を引き下げることができます。
知事は、所得の1割をはるかに超えるような今の高い国保税を引き下げていく考えがあるのか、所見を伺います。
国保税の引き下げについてお答えいたします。
市町村国保につきましては、保険税収納率は近年少しずつ上昇しておりますものの、未だ全国平均よりは低い水準にあります。また、高齢化の進展により医療費が増加しておりますことに加え、加入者には、年金生活者や非正規労働者など、低所得者層が多いため保険税収入が相対的に少ないことなどにより、国保の財政運営は非常に厳しい状況にあります。
こうした中、平成27年度より、低所得者の多い保険者の財政基盤の強化を図るため1,700億円の公費が拡充されたところであります。
これにより、お話にございましたように、本県の市町村国保特別会計においては、保険者支援制度分の収入額が、前年度と比べ約35億円増加したところでありますが、一方で、1人当たり医療費が5パーセント上昇しており、市町村国保全体の保険給付費が、約49億円増えていることなどから、市町村において保険税を引き下げる状況にはないものと考えております。
平成30年度からの国保制度改革により、県は特別会計を設置し、財政運営を担うこととなりますが、国民健康保険制度は、あくまで保険制度でありますから、本来、保険税と法定の公費をもって運営されるべきものと考えております。
そのため、国保財政の健全な運営を図りつつ、国保税を引き下げるためには、県や市町村が一般財源を投入して行うのではなく、国において、更なる財政基盤の強化を含む制度の設計を考えていくべきではないかと考えております。
それだけでは不十分だということで、国に対して要望していただくというのは当然のことながら、県としての繰入も必要だと思います。
先程つくば市の例を申しましたけれど1割を遥かに超えています。例えば母子世帯、これもつくば市ですけれど所得200万円の場合、国保税は285,200円。40代のお母さんと子ども2人、大変過酷な負担になっているということを知事は全く分からないかのような発言だというふうに受け止めました。
(3)滞納世帯への対応
本県の税の収納率は、住民税が92.6%、固定資産税が92.5%に対し、国保税は68.4%です。高すぎて払いきれない国保税の実態が収納率からも明らかです。
生活困窮者に対する機械的な短期保険証や資格証明書の発行をやめ、住民の医療保障を最優先にすることを求めます。
また、市町村や茨城租税債権管理機構において、国保税の滞納処分として厳しい差押えが行われています。滞納世帯数に対する差押え件数の割合は、全国平均8.2%に対し、本県は11.1%と高いのです。
知事は、「生活費まで差押えるような法違反の差押さえはしていないと考えている」としてきました。そこで、国税徴収法第75条等の差押え禁止財産等の規定について、知事の認識を伺います。
国民健康保険は、先程も申し上げましたけれども、保険税と公費をもって運営される制度でありますので、保険税を適切に支払っていただくことが制度を持続的に存続させるための基本であり、また、公平・公正な運営のためにも不可欠であると考えております。
このため、市町村におきましては、滞納世帯に対して短期被保険者証や資格証明書を交付し、滞納世帯と接触する機会を確保し、事業の休廃止や病気など、滞納している特別な事情の把握と、きめ細かな納付相談等を行っているところであります。
それでもなお、保険税を納付いただけない場合は、地方税法の規定に基づき、差し押さえ等の滞納処分を実施しているところであります。
県としては、市町村に対し、滞納処分の実施に当たっては、支払い能力があるのに納付しない世帯や理由もなく納税相談に応じない悪質な滞納者に対して差し押さえ等の滞納処分を行い、一方では、滞納処分をすることができる財産がないときや滞納処分をすることによって、その生活を著しく窮迫させるおそれがある世帯に対しては、滞納処分の執行停止をするなど、個別の案件に応じた適切な対応をするよう助言をしているところであります。
市町村が差し押さえを実施する場合には、国税微収法に基づく差し押さえ禁止条項に抵触することなく行うよう、市町村に対し、今後とも助言指導してまいりたいと考えております。
給与や年金については、払うべき所得税や住民税、社会保険料に加え、最低限の生活費として1人10万円と生計を一にする扶養家族1人につき4万5千円を加算した額については差押えが禁止されています。しかし、これが遵守されず、差し押さえられています。
一つ事例を紹介します。ある男性は、月額の手取り給与19万円のうち、租税債権管理機構によって14万円の差押え通告を受けました。これでは手元に残るのは月5万円であり、差押え禁止要件に反しています。
こうした法令違反の差押えを知事はどう考えるのか、その場合は差押えは解除されるのか、所見を伺います。
具体例の事例を承知しておりませんので詳しいことはお答えしかねますけれども、いずれにしても国税微収法違反と言うことであれば、それは無効なものとなってくると思いますので、しっかりと主張をしていただければと思います。
しっかりと主張していただきたいという事ですが、実際には主張してもそれをなかなか受けとめてもらえないと。
租税債権管理機構や市町村が差押するという状況があり、その件数は平成26年度に9,742件で、この5年の間に実に1.5倍にも増えているのです。高すぎて払いきれないというのは悪質とは違うし、5万円で生活をしていけるのか。
その点で差押禁止要件に反しているということであれば、すぐさま解除する等、知事として、きちんと市町村・租税債権管理機構に徹底すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
私は、租税債権管理機構が法律違反をしているということは、ちょっと想像しがたいものですから、お答えしようがございません。そしてまた、いま、おっしゃられたように国保税が高すぎるというようなことであれば、県ということではなくて、国が全体として調整をして、しかるべき制度にしていくべきではないかと考えております。
高すぎるのであればという事で、先程事例を紹介した所でも、知事は国保税が高いというふうに全く思ってらっしゃらない。ということを改めて今の答弁で感じました。つくば市の状況をみますと、8割が所得200万円の世帯です。そういう状況で大変な苦労をされている。そういう中で払えなければ差押さえるという、国税徴収法違反ともみられるような事例があるということをきちんと受け止め、この差押えの禁止要件については徹底していくことを約束していただきたいのですが、いかがでしょう。
国保税が高いかどうかということにつきましては、私ども被用者保険との関係でみれば安くはないなとは思っております。それをどうするか、という事につきましては、将来的に私としては、今回の国保改革に限らず、すべての医療保険制度について全国レベルで一元化していかないと、もたないと思っております。そういったところも含めて、国の方で制度設計をどうしていくのか、今後ともずっと未来に向けて持続可能な制度を作っていくことが大事であろうと思っております。
そして、その過程で今度、都道府県化が行われていくわけですけれども、これにつきましては、私どもとしては大変反対してまいりました。中途半端な改革になるということで。今後それですから、さらなる一元化に向けて被用者保険などと比べて今後は高くなったり、そういった状況も是非できるような改革というものをしていくことが必要ではないかと思っております。
今のこの国税微収法違反ということについては、私は租税債権管理機構の職員が法律違反を行っているとは思いませんので、そのことについては、お答えは控えさせていただきたい。
高い国保税の状況という事を考えれば、県としても繰入をしていくという事でやっていくことも非常に重要。市町村がいまその努力をしています。
国保が生活苦に追い打ちをかけ、人権や命を脅かすことなどあってはなりません。
次の質問に移ります。
3. 特別支援教育について
(1)不足教室の解消
特別支援教育についてです。
本県における特別支援学校の児童生徒数は、この10年間で946人増加しました。しかし、この増加数に学校施設の整備が追いついていません。そのため、普通教室の不足数は毎年150室程度もあり、特別教室を普通教室に転用したり、1つの教室を仕切って2学級にするなどしています。また、特別支援学校における児童生徒数が200人を超える学校は、全22校中10校に上ります。
パネルをご覧下さい。
平成28年度の「公立学校施設の実態調査」によると、本県の実際の保有面積は55%。必要とされる校舎面積が確保されていません。全国平均の66%と比べても大きく下回っています。学校数に応じて校舎を増築するなら、必要面積までの国庫負担補助を受けられる。財政的には国が措置することになっています。国が国庫補助の対象となります。
不足教室の解消に向けてどのように取り組むのか、教育長の決意をうかがいます。
お答えいたします。
特別支援学校の多くは開校当時と比較しますと、学級数あるいは生徒数が増加しておりますため、これまで増築等により対応してまいりましたが、現時点では、敷地面積に余裕がないため、対応が困難な学校がほとんどとなっております。
こうした状況に対応しますため、県では、県立特別支援学校整備計画を策定いたしまして、これまで平成24年度に境特別支援学校、そして平成27年度には常陸太田特別支援学校を新設してまいりました。今後も平成31年度に県南特別支援学校を新設しますとともに、美浦特別支援学校、あるいは伊奈特別支援学校では、校舎の増築を進めております。併せまして、通学区域の変更に努めているところでありまして、これら様々な対応を複合的に講じることによりまして、不足教室の解消を図ってまいりたいと考えております。
小中学校・高校、大学、各種学校は、学校教育法第3条によって、学校を設置する者は、「設備、編成、その他に関する設置基準に従い、これを設置しなければならない」と定められています。設置基準によって、学級の編成から校舎や運動場の面積等が定められ、校舎に備えるべき施設も明記しています。
その設置基準が特別支援学校だけにないため、学校規模の2倍、3倍の子どもたちが詰め込まれています。
学校教育法にのっとり、特別支援学校における設置基準を早急に定めるよう国に求めることについて、教育長に伺います。
設置基準につきましては、国におきましては、特別支援学校は、対象となる障がい種に応じた多様な施設設備の整備が必要とされる事などから、設置者の責任において、児童生徒の状況や、地域の実情を配慮した上で、適切に判断すべきものであるため、設置についての基準は設けていないとしております。
県といたしましても、こうした国の方向を踏まえまして、第2期県立特別支援学校整備計画におきまして、児童生徒の状況や地域の実情等を考慮しながら、学校の整備を進めているところでございまして、今後におきましても、学校の実態にしっかりと対応し、十分に留意しながら進めていきたいと思っております。
なお、この設置基準につきましては、私も全く必要ないと申し上げるつもりはございません。ただ、現状では基準という形で画一的に示すことは、特別支援学校の現状を踏まえますと、難しいものと考えております。これにつきましては、かつて、全国都道府県教育長協議会の中で、国に要望してはどうかという議論もありましたが、結果的に実現しないでおります。今後も、関係者と様々な意見の交換をいたしまして、考えてまいります。
(2)特別支援学校の増設
つくば特別支援の過密解消は、平成31年の石岡新設校設置方針が出され、分離後も過密は解消されないことはこれまで指摘しました。
障がい児にとって環境の変化は大きなストレス要因です。わが子の通学区域の変更を迫られているお母さんは、「うちの子は慣れるのに1年はかかる」と不安の声をあげております。
石岡新設校の設置前に、つくば特別支援の増設計画を持つことについて、教育長に伺います。
つくば市内への新校設置でございますが、つくば特別支援学校は、開校以来、児童生徒数が増加し、過密状態にありましたことから、第2期県立特別支援学校整備計画に基づき、県南地区特別支援学校の設置及び通学区域の変更を計画するところでございます。
これらの対応によりまして、現在の状況からは、相当程度の改善が図られるところでございますが、完全な過密解消には至らないと考えております。
この対応後においても残る不足教室につきましては、今後通学区域の変更などによりまして、児童生徒数が減少し、現在よりも余裕ができた段階で、教室配置の見直しや施設の改修などを実施し、引き続き、不足教室の削減に努めてまいりたいと考えております。
こうした状況でございますので、現時点では県南地区特別支援学校の整備を進めますととに、併せまして通学区域の変更について、保護者の皆様の御理解を得られるよう丁寧に説明し進めていきたいと考えております。
(3)特別支援教育予算
最後に、特別支援教育予算について、知事に質問します。
本県の1人あたりの特別支援教育予算は、平成26年度が585万円余で全国46位です。全国1、2位の島根県や北海道は、1人あたりの予算が1千万円を超えています。全国平均でも725万円で、その差は140万円にもなります。
本県の特別支援教育予算がこれほど少ない実態について、知事の所見を伺います。
児童生徒1人当たりの教育費の順位が低いことは事実でありますが、教育費の80%から90%が人件費となっており、教職員の数は、学級数に応じて配置されることなどから、小規模校のように1学年が1学級で、かつ、定員に満たないような学校の多い都道府県が上位になる傾向がございます。
そのような中で本県の特別支援学校における教育費でございますが、総額を見ますと、平成26年度の地方教育費調査において、約228億円で全国第11位となっており、本県の財政規模から見てほぼ比例しているものではないかと思っております。
ただ、特別支援学校につきましては、先程来、様々なお話がございましたが、県南地区の特別支援学校の新設や友部特別支援学校の増改築等により、さらに施設の整備を進めますとともに、例えば、今年度もスクールバスを8台増車し、長時間乗車して通学する児童生徒の負担軽減を図ったり、あるいは、県南の学校に大学教授や臨床心理士等の専門家を派遣し、障がいのある子どもたちへの専門的かつきめ細やかな支援を行うことができるようにしたなど、力を入れているところでございますので、今後とも議員の御指示も踏まえて、しっかりと対応してまいりたいと考えております。
児童生徒数が増えているにもかかわらず、学校の施設整備は10年間でわずか3校です。新設はつくば特別支援だけで、その後開校した境特別支援と常陸太田特別支援はいずれも廃校となった校舎の再利用です。小中学校の廃校利用では給食施設がありません。
また、特別支援学校において臨時教員が2割を占めていることも、特別支援教育費が低く抑えられている要因です。
特別支援学校の1人あたり教育予算が全国46位、この遅れた状態をいつまで放置するのか、全国平均に引き上げるには52億円が必要です。本県の予算規模は1兆1200億円、そのわずか0.46%です。全国8位の財政力があります。
特別支援教育予算を全国水準まで引き上げるため、予算の抜本的増額を求め、知事の所見を伺います。
例えば、臨時教員が多いという問題につきましては、昨年度から本採職員の採用数を25人大幅に増やしたところでございまして、ここ10数年で最大の70人とするなど、教育環境の改善に努めているところでございますので、そういった形で今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
以上
山中たい子県議の予算特別委員会質問・答弁(PDF)