2015年11月臨時会 山中たい子議員の会派代表質疑、江尻加那議員の賛成討論(大要)
茨城県議会の臨時会は11月16日に行われ、閉会しました。
山中たい子議員が会派代表質疑、江尻加那議員が賛成討論を行いました。討論全文は次の通りです。
(*知事答弁は議会事務局の速記によるもの)
茨城県議会 11月臨時会 会派代表質疑(大要)
2015.11.16 山中たい子
日本共産党の山中たい子です。
豪雨災害から66日、亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げ、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
半壊世帯支援金や住宅応急修理の所得制限撤廃、中小企業の補助などが予算計上されました。
オール常総の声に一部応えたものです。
7人家族の男性は、住宅の応急修理制度が利用できることになり、「家を直すのに困っていたが、頑張ってみようという気持ちになれた」と喜んでいます。
大規模半壊の床屋さんは、廃業する千葉の同業者から道具類を譲り受け、今月5日に再開しました。
自営業にも50万円まで出ると伝えると涙を浮かべました。
被災者の住まいと生業など、生活基盤の再建が課題です。
第1は避難所。
「朝食に5日間、ランチパックが出た」、2ヶ月避難生活する男性の訴えです。
10月に常総市が行った避難所アンケートで、半数は退去の見通しがありません。ホテル・旅館を借り上げ、直ちに2次避難所を開設すべきです。
(知事答弁)
避難生活の長期化によって避難者の健康が悪化しないように、発災から1か月が経過した10月中旬から常総市に対して、ホテルや旅館などを二次避難所として確保し、避難者の生活環境を改善するよう、助言してまいりました。
常総市では、10月下旬に避難所に避難している世帯を対象として、今後の住まいについて調査したアンケート結果をもとに、12月初旬を目途に、二次避難所の開設準備を進めているところであります。
県といたしましては、二次避難所が災害救助法の適用となるよう国と調整を進めており、常総市が速やかに二次避難所を開設し、避難者にとって良好な生活環境を提供できるよう引き続き支援してまいります。
第2は災害ゴミ、修理などで剥がした床や壁などの処理です。
住宅再建の重大な障害となっています。処理費用は被災者の負担をなくし、国県が全額負担すべきです。
(知事答弁)
災害廃棄物対策についてお答えいたします。
住宅の浸水により破損した床や壁などで、個人やボランティアが剥がしたものは、災害廃棄物として、国の災害等廃棄物処理事業費補助金の対象となりますので、市がこれらの廃棄物の処理を行えば、その費用について、国庫補助と特別交付税措置がございます。
さらに、今回の災害が激甚災害に指定されましたことから、災害対策債を発行することができ、その場合、常総市の災害廃棄物処理費の負担額については、処理費の約4パーセントとなっております。
したがいまして、災害廃棄物の処理に係る常総市の負担は大きく軽減されることになりますが、それでも財政規模の小さい常総市にとってかなりの負担となることが予想されますので、県といたしましては、処理に必要な費用の全額を支援するよう、国に対して強く要望してまいります。
第3は住宅。
常総市は判明しただけで、世帯の3割、6千世帯が浸水しました。
床上1メートル以下でも畳を捨て、壁も床板も剥がして乾かすなどは同じです。断熱材使用の場合、床下から壁伝いに浸水しました。半壊も床上・床下も大規模半壊と同等に支援すべきです。
住宅の応急修理も増額すること。修理代金をすでに支払った人も領収書添付で可とし、遡って支給すべきです。
(知事答弁)
住宅の再建でございます。
水害における家屋の被害認定につきましては、被災者の被害実態に即した支援ができるように、今後、被害区分や被害認定の基準について改正を検討するよう国に要望してまいりたいと存じます。
また、今回提案しております県単独の住宅の応急修理制度につきましては、県の新しい制度で修理代金を精算済みの方まで支援の対象とすると、所得の高い方は精算済みであっても支援を受けられ、所得の低い方は国の制度によるため、精算済みの分の支援を受けられないという不均衡が生じることとなってまいります。
このため、国の制度との均衡を図り、修理代金を精算済みの方を対象外としたところであり、限度額を引き上げることについても難しいと考えております。
第4は農業・商工業。
平町に住む3町歩の稲作農家は、収穫後の米がすべて水没し、トラクターやコンバイン、田植え機など被害が3千万円です。
機械類の6割支援を伝えると、「よかった」と両手で顔をおおい涙を流しました。
「農業を続けるか、やめてしまうことも考えた。息子も後を継ぐと言ってくれた」と語っています。農業県を支える農家に希望を与えたのです。さらに増額を求めます。
収穫前の米は共済補償に、国県が2割程度補助を上乗せし、9割程度にすべきです。
収穫後の米は常総市で1,092トン、収穫前の米同様、9割程度の補償がどうしても必要です。中小企業の被害は198億円、なお調査中です。
廃業やむなしという豆腐屋さんは、ボイラーなどを揃え直したら700万円。「50万円ではどうしようもない」と話します。
少なくとも被害額の3割程度の補助に引き上げるべきです。
(知事答弁)
農業・商工業の再建についてお答えいたします。
まず、農業についてでありますが、農業共済については、現在、約9割の農家で最大7割が補償される種類に加入している状況にありますが、加入の種類によって9割までの補償割合が選択できるようになっておりますことから、農業共済組合等とも連携して、農家への制度の周知に努めてまいります。
また収穫後に被害にあった米の支援につきましては、国から必要な措置を講じる旨の方針が示されたところですが、今後、具体的な支援内容が示され次第、早急に対応してまいります。
次に、「被災中小企業事業継続支援事業」の補助上限額についてであります。
今回の補助金額につきましては、早期の事業の再開と継続を図るために必要な額として、国や他府県の補助金額などを考慮して設定したものでありますが、今後、より大規模な災害が発生した場合に、必要となる財源を確保できないことも考えられますので、当面助成額を拡充することは困難と考えております。
第5は県の総力をあげたとりくみです。
補正は、浸水被害の大きさや被災者の負担から見れば、不十分です。
政府への要請とともに、20億円以上残る繰越金はもとより、基金など活用した最大限の財政出動で被災者を支援すべきです。
基金は、こういう時にこそ使うべきです。
以上の5項目について、知事の見解を伺います。
(知事答弁)
県の総力をあげたとりくみについてお答えいたします。
今回提出した補正予算においては、各会派や関連自治体、被災者の皆様をはじめとする県民各位の幅広いご要望を踏まえ、国の対応が十分でない事項などについて、県と市町が協調して支援を行うこととし、思い切った対策を盛り込んだところであります。
予算のご議決が得られれば、市町と連携し、迅速かつ的確にこの予算を執行し、被災者の支援を行ってまいります。
また、義援金につきましても、年内には住家被害にあった被災者の方々にお渡しできるよう、現在、準備を進めているところであります。
また今後、国に対し、災害救助法における所得制限の撤廃や被災者生活再建支援法の対象範囲の拡大、中小企業への支援など、まだ十分な国としての対応を頂いていない事項について、引き続き粘り強く要望してまいります。
次に河川改修。
鬼怒川の本県堤防整備率はわずか17%です。この極端な遅れが甚大な被害をもたらした最大の要因であり、まさに「人災」です。国はダム建設に巨費を投じながら、堤防整備を後回しにしてきました。
「ダムより堤防を」の立場で、堤防整備や河道掘削など国県の河川改修予算を大幅に増額し、早急に整備すべきですが、知事の見解を伺います。
最後に、常総市の復興には国県の総力をあげたとりくみが必要です。
県民の生命、財産を守る、本県の役割の発揮を強く求めて質問を終わります。
(知事答弁)
河川改修の促進についてお答えいたします。
県が管理している河川の改修につきましては、国の補助で行う事業が7割を占めておりますことから、防災安全交付金などの予算の確保について、国に対し、これまで以上に強く働きかけてまいりますとともに、特に被害の大きかった八間掘川については、国の災害関連の補助制度を活用して重点的に河川改修を推進してまいります。
また、国が管理している鬼怒川につきましては、概ね5年間で行う河川激甚災害対策特別緊急事業を適用して緊急的・集中的に河川改修を進めるよう、国に対し、強く要望しているところであります。
以上
茨城県議会 11月臨時会 賛成討論(大要)
2015.11.16 江尻加那
日本共産党の江尻加那です。
今臨時会に提案された第140号ないし142号議案、および報告第6号は、いずれも関東・東北豪雨災害の被災者支援と災害復旧の予算措置であり賛成いたします。
今回の豪雨災害は、河川の決壊がなければ、これほどまでに被害が広がることはありませんでした。
鬼怒川上流の4つの大規模ダムの洪水調節では防げなかった決壊であり、近年増えるゲリラ豪雨に対して、堤防強化と内水氾濫対策を基本に据えるべきです。
とくに堤防整備率が本県17%にとどまっている鬼怒川は、若宮戸から三坂地区にかかる部分的な堤防整備にとどまらず、流域全体の治水を向上させるよう、激特事業による特段の整備を進めることです。
いま、全国からのボランティアは引き上げ始め、今後地元ボランティアとともに、国・県・市町の長期的、継続的な支援が求められます。
被災者にとって厳しい冬を迎えます。
いまなお避難所には240人余の方が2ヶ月近くの避難生活を余儀なくされており、ホテルや旅館を使った2次避難を早急に進めることです。
また、在宅避難者で、親類や縁者宅に身を寄せる方や、自宅の2階や納屋などで暮らしている方が多数います。
畳がないことはもちろん、壁や床板をはがして補修が始まっています。
1階にあったすべてのものを失い、半壊であっても数百万から1千万円を超える修理費を要します。
今回の特例措置により半壊世帯に25万円の支給が計上されたことは、全国初の取組みとして歓迎される一方、被害の大きさと、再建に必要な額から見ればわずかであり、見通しがもてずに途方にくれている被災者も少なくありません。
農業や中小事業所などの再建も厳しく、その深刻さゆえに、県と常総市は従来の壁を突破して、農機具等への補助率を国の3割から6割に引き上げ、中小企業支援は50万円を補助することとしました。
しかし、常総市内では飲食店が20店以上廃業という情報もあります。
さらに、市外へとやむを得ず転居する人も増加しています。
災害による、その後の人口減少と産業の衰退という2次的被害を最小限にとどめることが、地方創生の優先課題ではないでしょうか。
今回の補正予算に賛成するにあたり、日本共産党として今後のさらなる予算措置を求めます。
住宅再建では支援金の額と対象を拡大すること、農業再建では農家の自己負担なしで農業設備や農地を復旧すること、中小事業所への再建補助を拡大するなどです。
県管理の河川改修予算も拡充が必要です。
自然災害によって住まいや農畜産物、生業を失うことは、個人には何の責任もありません。
まして、今回は国・県管理の河川決壊によってもたらされた「人災」です。
憲法で保障された生存権に基づき、従来の制度や法律の不十分さを大本から見直し、被災者の実態に沿ったものに創り上げていくことです。
そうした視点からも、請願27年第18号「豪雨等による浸水被害世帯に対する独自の支援制度の創設等を求める請願」に賛成いたします。
以上で討論を終わります。