2010年3月議会最終日に反対討論 議案52件のうち14件に反対

2010年3月定例水戸市議会は、3月19日に本会議を開き閉会しました。議案の採決に先立ち、反対討論を行いました。討論の内容は次の通りです。


江尻加那です。日本共産党水戸市議団を代表して反対討論を行います。本議会に提案された議案52件のうち、議案第6号、第9号、第11号、第23号、第25号、第26号、第27号、第34号、第36号、第37号、第39号、第40号、第43号、第51号の以上14件について反対いたします。

後期高齢者医療制度
反対理由の第1は、後期高齢者医療制度が来年度も継続されます。政府は後期高齢者医療制度を2012年度末まで継続するとし、75歳以上の高齢者を差別して重い負担を強いる現行制度が続きます。「保険料をこれ以上値上げするな」という8千名を越す署名を受け、茨城県では来年度の保険料が据え置かれましたが、無年金者や月15,000円以下の年金でくらす高齢者への県および市独自の保険料減免もなく、高い保険料が年金から天引きされます。一方で、受診抑制がおきており、健康診断の受診率も水戸市で18%と低い状況です。誰もが必要な医療や健診を安心して受けられるためにも、後期高齢者医療制度は即時廃止しかありません。

国民健康保険
第2に、国民健康保険の加入世帯に正規保険証を郵送交付することを求め、資格証明書や短期保険証の発行と窓口留め置きに反対します。市は昨年4月、国保税を5期以上未納となっている世帯に短期保険証を交付すると決め、7,210世帯を短期保険証としたうえに、市役所窓口に留め置きました。そして、この4月の切り替え時においても同様の基準で多数の短期保険証を交付し、窓口留め置きによる徴税強化をすすめるとしています。年所得200万円の4人世帯で270,400円にもなる高い国保税がくらしに重くのしかかり、引き続く雇用悪化と経済不況のもとで、国保税を納められない市民が増え続けています。命を守るための国民健康保険において、滞納を理由に子どもの分まで保険証を取り上げ、病院にかかれなくすることはやめるべきです。

介護保険
第3に、介護保険利用料について水戸市独自の減免制度を廃止することに反対します。現在、約1,500人の高齢者がこの減免制度を受けており、たとえば利用料が月1万円かかる介護を受けている方の場合、6,000円に減免されています。これが廃止されれば、社会福祉法人による負担軽減制度を活用しても7,200円になり、法人以外の場合は8,000円に値上げとなるもので、介護サービスの利用を控える高齢者が出てしまいます。

市営住宅
第4に、低所得者のための市営住宅において、一部の入居者の収入実態が不明のまま通常の約3倍の最高家賃を科し、払いたくても払えない滞納者を生み出しています。いま水戸市が行うべきことは、生活実態に即した家賃に減免するとともに、支払い可能な分割納入を認めることです。滞納者に対し住宅返還届と、かぎ交換および遺留物所有権放棄を迫る同意書をとることや、住宅明け渡し裁判は行うべきでありません。

水道・公共下水道事業
第5に、水道事業における水道料金の徴収強化と給水停止、および茨城県中央広域水道用水供給事業からの必要のない受水に反対いたします。来年度,茨城県からの受水費として1億9,343万円が予算化されておりますが、無駄遣いであり中止を求めます。また、下水道の受益者負担金については、水戸第3負担区は1m²あたり320円と高く、さらに同じ水戸市でありながら内原第1負担区は550円であり値下げすべきです。また、認可外区域において、下水道に接続する場合の分担金も1m²あたり320円が課せられることになります。

再開発事業
第6に、大工町1丁目再開発事業の中止・見直しをもとめます。この2年間、事業は全く進まず頓挫しており、広大な空き地はそのままで、商店街やまちづくりの形成に大きな打撃をもたらしています。市民や商店の意見、要望に耳を傾け、高級ホテルや分譲マンションをつくる現計画を見直すことです。事業の進捗や採算の見通しがたたない再開発事業を進めるための予算に反対するとともに、39億円を超える補助については税金投入を中止すべきです。泉町1丁目北地区再開発事業についても中止を認めます。

区画整理事業
第7に、東前第2区画整理事業は減歩率32.83%であり、住民の同意が得られません。今年度は1区画も売れず、長期にわたって事業が暗礁に乗り上げています。区画整理事業ではなく単純買収方式によって道路や公園等を建設すべきです。また、内原駅北土地区画整理事業は、イオンなど大型店を誘致した事業となっており、その結果、中心市街地の空洞化に拍車をかけています。17,000㎡もある特別保留地は売れ残ったままであり、このままでは新たな財政負担が懸念されます。

農業
第8に、農家への米の戸別所得補償モデル事業が始まる一方、麦や大豆など転作作物への補助減額に反対します。来年度は10アールあたりの補助が、水戸市区では麦か大豆に転作する場合62,000円から60,000円へ、内原地区の集団地区では麦と大豆に転作する場合73,000円から70,000円へ、それぞれ引き下げられます。計画転作推進経費は今年度と比べ約4,000万円も削減されており、これを農家支援に回すべきです。

那珂川沿岸農業水利事業
第9に、御前山ダムを水源とした那珂川沿岸農業水利事業の推進に反対いたします。市は国とともに計画変更のための農家説明会をしていますが、計画変更すると事業費は当初の495億円から782億円まで膨らみ,水戸市は6,502万円を来年度も負担し,負担総額は約16億円に倍増します。しかし,農業用水開発の必要はなく,土地改良区を組み込んだ計画変更は事業破綻のあらわれです。農家負担は13億7,300万円とされ、将来の管理費も含め重い負担をもたらす那珂川沿岸農業水利事業は中止し,農産物の価格補償など農家への直接支援に転換することです。

屋外広告物条例
第10に、水戸市屋外広告物条例に関し、規制地区(御茶園通りなど)とされる地域住民に対する説明会は1度も開かれておらず、住民合意がありません。これまで、茨城県条例に基づいて認められていた病院や企業の看板などが水戸市の条例により違反とされ、撤去しなければ最高で100万円の罰金を科すものです。一方、国道50号バイパス沿線にある広告物のうち、県条例に違反し撤去勧告が出されている公告物のうち、水戸市の今回の条例によって9本が違反ではなくなります。景観や町並みをどのように守り、形成していくのかという問題は、市民と協働で取り組むべきことであり、行政が条例を制定して、一方では規制強化、他方では規制緩和というやり方では、住民の納得は得られません。

職員定数削減と非正規職員化
第11に、職員定数の24名削減に反対します。市は、2007年度からの5年間で職員削減の目標を214人とし、この3年間で137人減らしました。一方で、非正規職員を増やし続けています。来年度、臨時職員を4人,嘱託員を17人増やし、職員全体の4人に1人が非正規職員となります。嘱託として働く図書館司書や市民センター職員、および臨時の給食調理員等の賃金は手取り10万円前後であり、昇給やボーナスもありません。嘱託職員は社会保険も未加入です。求められる市民サービスや業務量は確実に増えている中で、正職員を減らして賃金の安い臨時、嘱託職員に置き換えることは、市役所自らワーキングプアをつくり、正職員の加重負担をもたらし、住民サービスの低下を招きます。合わせて、保育所や清掃事務所などで働く職員の特別勤務手当の日額化や廃止に反対します。

公費による海外視察
最後に、全国市議会議長会によるヨーロッパ海外視察への参加費として、2人分で160万円予算化されていますが、公費による議員の海外視察を取りやめている自治体が増えており、水戸市でも中止すべきです。
以上で、反対討論を終わります。


採決にあたり、以上の理由で日本共産党は反対しましたが、その他のすべての議員が賛成し全議案が可決されました。

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