2024年12月 茨城県議会第4回定例会 江尻かな議員の最終日討論(要旨)
日本共産党の江尻加那です。
本定例会に提案された議案及び請願・合わせて49件に対して35件に賛成、14件に反対し、そのうち6点について討論いたします。
はじめに、第157号議案 茨城県自然観察施設の設置及び管理に関する条例の一部改正条例です。県植物園のリニューアルには賛成であり、入園料が無料になることも歓迎です。
一方、30億円の改修事業の目玉であるコテージやグランピングは、宿泊料が1泊1人23,100円~37,400円と、県民が気軽に利用できる設定ではありません。
また、指定管理者も変更されます。「植物園」「きのこ博士館」「県民の森」「森のカルチャーセンター」の4施設を、現在の農林振興公社から(株)ボタラシアンリゾートに変更し、来年度以降20年間の長期指定です。
宿泊や温浴、アクティビティ施設などの利用料で年間8億7千万円の収益を見込み、県は6年目から指定管理料をゼロにします。県有地と施設を使って民間が儲かる仕組みの導入は、もはや植物園というよりレジャー施設への様変わりです。本来、住民福祉の増進を図る目的の公の施設を、次々と民間の儲けに供することに賛同できません。
次に、第182号議案 職員の給与に関する条例等の一部改正条例です。県の一般職員と会計年度職員の給与及び期末手当を引き上げることには賛成です。しかし、それに自動的に連動して、特別職の知事並びに副知事と公営企業管理者や病院事業管理及び県議会議員の期末手当まで引き上げることは適切でなく、据え置くべきと考えます。よって改正条例に反対です。
議第14号は、公共交通及び物流に関する対策の充実・強化を求める意見書です。県民の移動手段である鉄道やバス、デマンドタクシーなど公共交通の充実・強化や、トラック輸送などインフラの維持確保という意見書の主旨には大いに賛同いたします。
しかし、国に要望する「別記事項」24項目の中に、TX土浦延伸や港湾・高速道路網の整備のほか、茨城空港について将来の在り方検討における拡充構想が入っています。いずれも多額の税金投入が必至となる一方、必要性はありません。
TX延伸に関する調査結果(2023年3月公表)によると、直線距離で8.4km、概算事業費は1,400億円。1日平均利用はわずか7,800人で、採算性は年間3億円の赤字とあります。TXにおいては、現在の混雑緩和や定期代引き下げ、精神障害者運賃割引の実施が利用者の願いです。
また、茨城空港の在り方検討会で出された新たな平行誘導路の確保策は、民間需要を大きく描きながら過大予測をして、結局、自衛隊の基地強化で軍事利用に供されるものと考えます。よって、意見書に賛同できません。
最後に、教育に関わる請願3件について、いずれも切実な県民の願いであり、不採択とすることに反対です。
第5号・6号は、私学助成の拡充を求める請願です。私立高校の就学支援金等拡充などで授業料や入学金の負担を軽減し、子どもたちの進路選択の保障を求める教員関係者らが呼びかける茨城県連絡会議の請願について、私学協会や保護者会連合会提出の同趣旨の請願と同じように採択することを求めます。
第7号から10号の請願は、教育格差をなくし、子どもたちにゆきとどいた教育を求めるもので、教員を増やして小中校で30人以下学級を実現すること、特別支援学校や定時制高校の充実すること、学校給食費の無償化といった請願項目は多くの県民の願いです。採択を求めます。
請願第11号から14号は、日本民主青年同盟茨城県委員会が提出した来年度から6つの県立学校の授業料値上げを撤回して欲しいという請願です。学校の電気代が上がったものを、受益者負担で生徒に求めるべきではありません。本県の医療、看護、農業、陶芸、産業及びIT短大は、これからの茨城を担う若者を、人材を育成する場であり、電気代を含む学校経費は県の予算で保障すべきです。
県が実施した「子ども計画」策定のための基礎調査でも、保護者は教育に係る金銭面が一番の負担と答えているのに、県や議会が簡単に授業料値上げを決めてしまっていいのでしょうか。10月の総選挙でも、全ての政党が学費無償化をめざすと公約に掲げたところです。本請願を不採択とすることに反対し、以上で討論を終わります。
以上