2024年11月 茨城県議会第4回定例会 江尻かな議員の開会日討論(要旨)

日本共産党の江尻加那です。
令和5年度公営企業会計ならびに一般会計・特別会計の決算認定第1号・第2号および議案第148号利益の処分について、主な反対理由を述べて討論いたします。

本県の予算規模は全国12位、財政力指数は全国8位、そして1人当たり県民所得(※雇用者報酬と企業所得の合計)は3位と、経済面で恵まれた環境にある一方、人口当たりの保育所や老人ホーム、病院や診療所の数が全国平均に届かないほか、医師(46位)・看護師(43位)・保健師(39位)数は全国平均を大きく下回っています。また、県民から寄せられる公害苦情件数は12年連続で全国一(2011年度以降)多くなっており、本県の財政力にふさわしい生活環境整備や医療・福祉の向上が県民の切実な願いです。

とくに、令和5年度一般会計における県税収入は4,288億円に上り、過去最高を更新しました。さらに、黒字決算の剰余金を積み立てた財政調整基金も682億円となり、こちらも過去最高額に達しました。

これら税収と基金を県民に還元すべきです。県道の草は伸び放題、信号機や歩道の設置要望は予算がないと先送りされています。学校給食の無償化や水道インフラの耐震化に県独自の補助がありません。子ども医療費助成も6年間まったく拡大されないままです。また、健康長寿日本一をめざしてはいても、高齢者の外出を支援する市町村のデマンドタクシーやコミュニティバスの運行に直接の財政支援はなく、高齢者の補聴器購入を支援する補助もありません。

一方、不用額は、福祉費、保健医療費、教育費の順に多く、この3つだけで105億6,671万円もの予算が使い残しです。これだけあれば、医療的ケア児や難病、障害者への支援、教育現場の人員拡充や少人数学級の拡大、不登校の子どもへの支援を大幅に拡充するなどできます。来年度の予算編成において、積極的に精査すべきです。

また、各種基金の在り方も見直すべきではないでしょうか。35に上る基金が設けられていますが、例えば公営ギャンブルである競輪事業基金は廃止して、オリンピック種目でもある競輪を、健全で純粋なスポーツ競技として発展させていくことです。さらに、介護保険財政安定化基金は約18億円、国民健康保険財政安定化基金は16億円も積み立てられています。重い負担となっている介護保険料や国保税の軽減に活用すべきです。

とくに、後期高齢者医療財政安定化基金は、上限規定の50億円を超えて51億4千万円も残高があります。にもかかわらず、基金の活用を渋り、高齢者の保険料が大幅値上げされました。こうした不適切な基金の現状は容認できません。

次に、水道企業会計をみると、市町村に水を供給する水道用水事業は当年度純利益が約15億円の黒字、未処分利益を含む剰余金は40億円になりましたが、令和5年度の3年に一度の水道料金改定において値下げせず、据え置かれたままです。市町村からの値下げ要望に応えるべきです。

これら県民要望に背を向ける一方で、霞ヶ浦導水事業(総事業費2,395億円)に15億6千万円が投入されました。石岡トンネル工事(全長24.7km/うち11.2km完成)が進められる一方、土浦トンネル(11.6km)は着工の目途すら立たず、2030年の完成は現実性がありません。

自民党からは、西浦に加え「北浦の水質浄化も」として堅倉立坑(小美玉市)から北浦に新たな通水工事を求める声が上がったり、国民民主党からは「土浦トンネルができなくても、石岡トンネルが完成すれば試験通水を開始すべき」などの声があるのは、当初計画がもはや破綻していることの現われではないでしょうか。日本共産党は、導水事業からの一日も早い撤退を求めます。

環境破壊の開発と言えば、石炭火力発電所から出た石炭灰を埋め立てる常陸那珂港区整備に45億2千万円を投入。また、住民から反対意見があがる日立セメント太平田鉱山跡地への産廃処分場建設と新規搬入道路の整備に7億8千万円が執行されました。いずれの事業も中止、見直しを強く求めます。

また、原子力行政において、東海第二原発の再稼働工事で令和5年10月、防潮堤基礎工事に重大な欠陥不良が発覚しました。設計変更作業及び審査は滞っています。老朽原発の再稼働に県は反対し、廃炉を求めるべきです。
以上の立場から令和5年度の決算認定に反対し、討論を終わります。

以上

Follow me!