2024年9月 茨城県議会第3回定例会 江尻かな議員の最終日討論(要旨)

日本共産党の江尻加那です。採決に入る前に、反対する議案等のうち6件について討論いたします。

第125号議案 令和6年度一般会計補正予算(第2号)77億6500万円のうち、指定難病及び小児慢性特定疾病の医療費補助において、マイナンバーカードを受給者証として利用できるよう、病院に患者の登録情報を提供するシステム改修経費(1,400万円)に反対です。県内25の難病医療協力病院のうち14病院に補助する見込みですが、マイナンバーカードの利用を医療に持ち込むことは国民皆保険制度の崩壊につながるとして、県民の理解や信頼は得られていません。

第136号議案は県有財産の売却処分です。鹿島都市開発株式会社が所有するセントラルビルとその敷地の県有地を、計22億円で民間売却するうち、土地代が3億7180万円です。私も調査特別委員会の委員であり、売却に異議はありませんが、その売却先が公募で決まったフォートレス・インベストメント・グループ・ジャパンではなく、ペーパーカンパニーの八重桜合同会社とされ、さらにその合同会社がフォートレス社の子会社に信託受益権を譲渡し、またその子会社から別の投資法人に譲渡するというスキームは、当初の説明から異なる複雑な資金管理形態となるもので、運営責任の所在が不明朗になると考えます。

また、ホテル新館建設の当時、県の鹿島都市開発への115億円もの貸し付けは不適切だと反対した日本共産党として、今回の売却にあたり残る57億円の返済計画が提示されていないことも問題であり、同意できません。

第141号議案 工事請負契約の締結は、県が日立市に建設を始めた産業廃棄物最終処分場のための新規搬入道路のうち、(仮称)大久保町第2トンネル本体工事を53億7190万円で代表者安藤ハザマの共同企業体に請け負わせるものです。

常任委員会の質疑で明らかにしたのは、入札参加4者は金額がすべて同額。評価点も3者同点で、それよりわずか0.6点上回った安藤ハザマは、東海第二原発の防潮堤で欠陥工事を起こしたゼネコンです。なぜ技術力が高評価なのか不明瞭であり、官製談合の疑念がぬぐえません。よって契約締結に反対です。

第143号議案 権利の放棄は、県が石岡台地土地改良区に貸し付けた残金15億6千万円のうち、半額の7億8千万円の返済を免除するものです。国営土地改良事業が計画通り進まなかったから、やむを得ない債権放棄ではすまされません。畑は計画の6%しか達成されず、県民の税金で貸し付けたお金が返済されない事態であるのに、県の反省や責任がみえません。
同様に、国営那珂川沿岸農業水利事業も、開始から30年以上、事業費は2倍に膨らんでいます。農家負担はどうなるのか。事業見直しを求めます。

議第12号 防災・減災、国土強靭化対策の更なる推進を求める意見書については、「防災・減災」であれば賛成ですが、5か年加速化対策の終了にあたり政府が制定した改正国土強靭化基本法では、事前防災や首都機能の維持などを口実に、リニア中央新幹線や新東名、新名神高速道などの大型開発が追加されるなど、地方が求める防災・減災・老朽化対策とは相いれない中身に変質しています。

よって、意見書にある政府要望5項目のうち、「1」「3」「4」「5」には賛成ですが、国土強靭化基本法に基づく中期計画を前提とする項目「2」に同意できません。不要不急の大型開発に予算を投入しているいとまもなく、襲いくる自然災害への対策、ライフラインの耐震化、被災者生活再建支援に予算を重点化すべきです。

最後に、6年第3号 所得税法第56条廃止を求める意見書採択に関する請願を、またしても不採択とすることに反対です。56条の規定によって、事業主の家族の所得は、事業主の所得から控除される額、配偶者なら年86万円、子どもなら50万円しか税法上評価されません。こんな税制は先進国で日本だけです。女性の低賃金・低年金を招いています。OECD諸国で、男女賃金格差が日本はワースト2位。その日本の中で本県はワースト2位です。このままでいいはずがありません。前近代的な税制の見直しを国に求める意見書に議員各位の賛同を求め、討論を終わります。

以上

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