2026年3月茨城県議会 江尻かな議員の一般質問と答弁(大要)

江尻かな議員の一般質問と答弁(大要)

2026年3月6日(金) 茨城県議会 第1回定例会

【質問事項】

  1. 労働行政について(答弁・知事)
    (1)茨城県の労働分配率が低い要因および中小企業等賃上げ支援の拡充について
    (2)外国人雇用における「不法就労通報報奨金制度」の撤回を
  2. 国民健康保険料の負担軽減としての子ども均等割減免の拡充について(保健医療部長)
  3. 教育行政について(教育長)
    (1)給食無償化について小学生への確実な実施と中学生への拡充を
    (2)不登校児童生徒の支援と校内フリースクールのさらなる拡充を
  4. 県営住宅の入居環境の改善について(土木部長)
  5. 霞ヶ浦導水事業の課題に対する県の姿勢について(知事)
  6. 東海第二原発の地震・津波対策の信頼性と再稼働問題について(知事)
  7. 自衛隊百里基地の機能強化に関する住民への情報提供等について(知事)
質問する江尻議員

質問する江尻議員=3月6日、県議会

質問する江尻議員と議場

質問する江尻議員と議場=3月6日、県議会

項目

1. 労働行政について

(1)茨城県の労働分配率が低い要因および中小企業等賃上げ支援の拡充について

日本共産党の江尻加那です。通告に従い、一般質問いたします。

過去最大の県税収入をもとに過去最大1兆3599億円の一般会計予算案等が提案されました。財政力指数も全国8位という豊かな県財政が、県民の日々の暮らしに安心や平和をもたらしているかという視点に立ち、一括して質問します。

初めに、茨城県の労働分配率がなぜこんなに低いのかということです。分配率とは、会社の利益がどれだけ人件費に還元されたかの割合です。全国平均70%台に対し、本県は常に60%台と大きく下回っています。知事が誘致した企業はどうなのか。働く人が生み出した富が、働く人に還元されないというのは、言い換えれば「搾取」の割合が高いということです。労働分配率が低い要因について、まず知事の認識を伺います。

そして、本県独自の中小企業等賃上げ支援金についてです。2025年度初めて15億円が予算措置されましたが、対象が狭かったのか、執行率は予算の3割以下です。一方、岩手県は8割、9割活用されており、大きな違いは1社あたりの支援金上限額が岩手県は300万円に対し、本県は50万円でした。

そこで、今年度活用が伸びなかった原因、及び、来年度25億円に予算が増やされますが、補助対象や上限額の拡大を求め知事に所見を伺います。

【大井川知事答弁】

江尻加那議員の御質問にお答えいたします。

初めに、労働行政についてお尋ねをいただきました。まず、茨城県の労働分配率が低い要因及び中小企業等賃上げ支援の拡充についてでございます。

最初に、県民所得に占める雇用者報酬の割合である労働分配率につきましては、都道府県ごとの産業構造や雇用状況、人口の年齢構成など様々な要素が絡んでおり、それぞれの寄与度を明確に分析したものはございませんが、一般的に、製造業など資本集約型の産業が集積する地域では、雇用者報酬が多くても、分母となる付加価値も大きいため、労働分配率は低くなる傾向がございます。

また、農業や自営業など個人事業主の報酬は、計算上、雇用者報酬には含まれないため、個人事業主の多い地域も労働分配率は低くなる傾向がございます。このため、本県においては、製造業や農業が盛んであることが、労働分配率が全国平均よりも低いことの要因の一つになっているものと認識しております。

次に、賃上げ支援についてでございます。
本県の持続的な経済成長のためには、企業収益を労働者に適正に配分することにより、物価上昇を上回る賃金の上昇、消費の拡大を促し、さらなる設備投資につなげる「経済の好循環」を生み出すことが重要であります。

また、最低賃金の引き上げは、最低限の生活保障というセーフティネットや近隣他県からの人材確保といった観点に加え、労働者の賃金の底上げを図るためにも極めて重要な課題であると認識しております。

そのため、昨年6月に、「最低賃金額を、本県の経済実態に見合う全国9位相当額との乖離を5年から7年かけて解消する」という中長期的な目標について、県・労働団体・経済団体の三者間で合意を得ました。

県としましても、三者合意の目標達成のため、中小企業などに対し、最低賃金の地方上乗せ分の一部を補助する「地域賃上げ加算支援事業」を新たに立ち上げるなど、持続的な賃上げの促進を図っているところであります。

しかしながら、「地域賃上げ加算支援事業」については、補助対象となる人数が少なく支援金の支給額が小さい場合、申請にまで至らないケースがあったこと、事業実施までの期間が短く、周知が必ずしも十分ではなかったことなどの課題も見えてまいりました。

こうした点を踏まえ、来年度は、最低賃金の中央引上げ目安分にも一部を補助することで、支給額を大幅に増やすとともに、年度当初から早期の周知を図るなど、より申請しやすい制度となるよう取り組んでまいります。

県といたしましては、今後とも、私が先頭に立ち、賃上げについて関係機関への働きかけを一層強化するとともに、賃上げに取り組む中小企業に対しては、事業者の目線に立った必要な支援策を展開してまいります。

(2)外国人雇用における不法就労通報報奨金制度創設の撤回を

【江尻】

次に、外国人の雇用において、県がいわゆる「不法就労」の情報を募り、県警の摘発等につながった場合に謝礼を払う報奨金制度を始めようとしていることについてです。

知事は「差別や排外主義につながるものではない」としていますが、制度の創設について法務省入管庁や県警など取締機関とは事前に情報共有した一方、県弁護士会や外国人支援団体、人権団体等の意見を聞かなかったのは何故でしょうか。多くの団体から反対や撤回を求める意見書・声明が出されています。

県はこれまでの取組報告書に「農業において不法就労が多い理由として、農業は繁閑(はんかん)の差が激しく、植え付けや収穫など繁忙期だけ作業を依頼しやすい不法就労者に頼ってしまうケースが多い」と示しています。

確かに、本県の基幹的農業従事者42,598人に対し外国人就農者は2割(12,247人)を超え、それでも人手が足りず「不法就労」とされた就農者(約2,600人)も合わせれば3割を超えます。小規模農家が多い本県の実態をみれば、日本人でも外国人でも適正に雇用してまともな賃金を払い、それで経営が成り立つ価格保障・所得補償等を実現しなければ問題解決につながらず、県にはその責任があります。

そもそも、なぜこうした現状が生まれるのか。第一に、ブローカーの斡旋などでビザを持たずに就労するもの。第二に、人身売買の被害者として就労させられているもの。第三に、技能実習などの正規資格をもって働いていたが、賃金未払いや労災、いじめ等の問題などで失踪し滞在資格を失うものなどです。

これら人権侵害が多発し、国際社会からも批判を浴びる日本の入管難民法や技能実習制度が生み出す構造的問題の解決こそ、取り組むべき課題です。

入管や警察が行う取締りを県職員が肩代わりしたり、今度は一般市民にその役割を担わせ報奨金を払うような制度は取り止めていただきたい。排外的な空気が広がる中、お金で監視や通報を助長する報奨金制度の撤回を強く求め、知事に伺います。

【大井川知事答弁】

外国人雇用における不法就労通報報奨金制度の撤回についてでございます。

本県が持続的に成長を続けていくためには、優秀な外国人材が安心して働くことができる環境を整えることが大変重要であります。そのような中、本県の不法就労者数は3年連続で全国最多であるとともに、2021年から2025年の5年間における外国人の摘発人数は、ピーク時である2001年から2005年に比べ、全国では4割減少する一方で、本県では45パーセント増えている状況にあり、県民からは不法就労が治安の悪化の温床となっているのではないかと、不安の声も寄せられております。

また、不断の経営努力を重ねながら、外国人を適正に雇用している事業者などからは、「法を犯して安易に不法就労者を雇う事業者に対する不満や不公平感」、「違法行為をしている事業者がいることで、業界全体が社会的信用を失うことへの不安」などの声が届いております。

そのため県では、不法就労の防止に向けた事業者の理解促進を図るため、事業者などによる自主的な「外国人材適正雇用推進宣言制度」を創設したほか、不法就労者が多い農業分野を中心に、事業者への巡回啓発・指導や、県警察本部や東京出入国在留管理局との連携によるキャンペーンを実施しております。

そうした取り組みとあわせて、不法就労者に代わる人材確保を支援するため、農家と特定技能外国人の派遣事業者とのマッチングの場の提供などにも力を入れております。さらに県では、地域における不法就労の実態把握に努めており、職員が事業者訪問などを通じて、不法就労を助長している事業者の情報を入手した場合は、県警をはじめとする取締りなどの権限を有する関係機関に提供しており、その中から県警から検察庁への書類送致に繋がった事案も出ております。

今回提案する通報報奨金制度につきましては、不法就労を助長している事業者に関する情報収集の強化と違法行為の抑止を図るために、広く一般の方から御協力をいただこうとするものであり、議員御指摘の、県警や出入国在留管理庁の任務である取締りを県が肩代わりするものではございません。

また、報奨金を支払うのは、最終的に事業者の逮捕に繋がるなど、より具体的で根拠のある有益な情報を持っている方からの提供に対して、その謝礼としてお支払するものであり、地域で暮らしている外国人に対する監視や通報を助長するものでもございません。
そのため、通報報奨金制度の実施にあたりましては、制度の趣旨についてしっかりと周知し、外国人を含む一般の皆様に対して、御理解と御協力をいただきながら、運営していくこととしております。

さらに、私は、この制度をはじめとする不法就労対策は、単に治安の確保のみならず、適正に働く外国人労働者の人権を守るという重要な視点もありますことから、今後健全な共生社会を築くためには避けて通れないものと認識しております。
そのため、私自身、自ら先頭に立って、通報報奨金制度をはじめとする不法就労対策に取り組み、外国人が安心して働くことができる環境づくりを進めてまいります。

2. 国民健康保険料の負担軽減としての子ども均等割減免の拡充について

【江尻】

次に、国民健康保険料についてです。

他県の議員が「国保逃れ」を行い、大きな批判が湧きました。本来国保料を払うべき議員が一般社団法人等の理事になり社会保険に加入することで、高い国保料の支払いを逃れるという脱法行為です。県議の報酬なら年109万円の保険料を私も払っていますが、茨城県議会はどうなのか目が向けられています。

そして、全体でみれば圧倒的に所得の少ない人が多い国保の高すぎる保険料を軽減するには、国庫負担を抜本的に増やすべきであり、子ども・子育て支援金を保険料に上乗せして徴収するのもおかしなやり方です。

国保料の額は市町村が決めます。しかし、本県はその算定方式を「所得割」と「均等割」の2方式で計算するよう求め、すべての市町村が実施しています。私は2方式導入前の2021年県議会で、「これでは子どもが多い世帯ほど値上げになる。対策が必要だ」と質問し、知事から「負担軽減を図る」と答弁があり、県支援金から毎年5億円が市町村に交付されています。

しかし、子どもの均等割保険料の軽減が未だ実施されていない市町村が5つあり(北茨城市、鉾田市、阿見町、城里町、五霞町)、すべてで実施されるよう求めますがいかがでしょうか。

合わせて、国もようやく2年後(2027年度)に、子ども均等割軽減を現在の未就学児から高校生世代に拡充する方針です。これに今の県交付金を合わせれば、今度は全額免除、ゼロにできると考えますが、保健医療部長の所見を伺います。

【丸山保健医療部長答弁】

国民健康保険料の負担軽減としての子ども均等割減免の拡充についてお答えいたします。

まず、国民健康保険料の均等割とは、世帯の被保険者数に応じて納めていただく賦課方式でございます。均等割の特性といたしまして、所得に関わらず被保険者数に応じて算定されることから、例えば多子世帯の負担が大きくなるという現状がございます。

国においても、こうした現状を認識しており、子育て世帯の負担軽減の必要性から、国の制度として、国民健康保険料の均等割のうち未就学児均等割保険料を5割軽減する制度を令和4年度から開始しており、本県の令和6年度時点の軽減対象者数は、約1万3千人となってございます。

昨年の11月に開催されました国の社会保障審議会医療保険部会の資料によりますと、現在、国において、この軽減措置の対象を高校生年代まで拡充することを検討しており、報道ベースではございますが、令和9年4月からの実施を目指し、関連法案を国会へ提出する予定であると把握をしております。

県といたしましては、これまで中央要望や全国知事会の場を通じまして、国民健康保険に加入する子育て世帯の負担軽減という制度の趣旨に則り、対象年齢の拡充などを継続して求めてきたところであり、今回の国の制度拡充は、これらの要望に沿ったものであると認識をしております。

一方、令和4年度に県内市町村の国民健康保険料の賦課方式を統一した際、保険料総額に占める均等割の割合が大きくなり、被保険者数が多い世帯の負担が増加することが想定されました。そこで、県では国の負担軽減制度とは別に、子育て世帯の負担軽減策を実施する市町村を支援する観点から、市町村独自の取組や災害などの特殊な財政事情を反映する目的で交付しております県の「国民健康保険給付費等交付金特別交付金」、この配分を基に、20歳未満の被保険者数を追加いたしました。

この追加によりまして、これまで別の形で配分していたものがあるわけでございますが、令和4年度から、県の特別交付金のうち5億円をこの20歳未満の被保険者数に応じて按分して市町村に配分しているところでございます。

令和6年度における、当該配分基準の対象となる20歳未満の被保険者数は、県内約5万3千人であり、この県の特別交付金の配分等を活用しながら、39の市町村で独自に子育て世帯への保険料減免を行っていると承知しております。

議員も御承知と存じますが、国民健康保険料の独自減免の実施は市町村の裁量でございますので、県としては、各市町村の判断を尊重すべきと考えております。なお、今後の県の特別交付金につきましては、市町村の取り組みを後押しするものでありますから、これにつきまして、市町村等の意見を聞きながら、適切に配分してまいります。

3. 教育行政について(教育長)

(1)給食無償化について小学生への確実な実施と中学生への拡充を

【江尻】

次に、教育行政のうち、4月から始まる給食無償化についてです。

給食は教育の一環であり、義務教育は無償という憲法の本旨にそった世論と運動がついに国を動かしました。県内すべての公立小学校等で13万人が対象となり、「今度はうちの町でも無料になって助かる」と喜ばれています。

そこで、これまでは市町村が独自に実施してきた無償化の取り組み状況について教育長に伺います。
4月以降、国から食材費1人月5,200円が県を通して市町村に交付されます。しかし、水戸市の食材予算は月6,400円、ひたちなか市は5,760円、東海村は5,900円など、国の額では足りないため、その分を一般財源で賄ったり、守谷市だけは保護者から徴収するとしています。

そこで、国は金額を毎年見直すとしていますので、県が市町村の状況を速やかにつかんで国に増額を求めること。また、県としても、地場農産物や有機野菜の活用、郷土料理や季節の献立、デザートなど豊かな給食にがんばる市町村に財政支援していただきたい。

そして、国はいつ中学生を無償にするのか示しておらず、まず県として無償化実施を求めます。栃木県は来年度から中学生に半額補助を始めますが、本県は後手後手です。ぜひ教育長と知事にも考えて頂きたいと思いますが、教育長に所見を伺います。

【柳橋教育長答弁】

教育行政についてお答えいたします。

まず、給食無償化について小学生への確実な実施と中学生への拡充を、についてでございます。
本県における学校給食費の無償化については、学校設置者である市町村の判断によりここ数年で急速に取り組みが進んでおります。今年度は20市町が小・中学校ともに無償化を実施しているほか、10市町が中学校のみや第三子以降等の無償化をしております。無償化を実施していない市町村でも、物価高騰分の補助などを実施しており、県内すべての市町村が何らかの形で公費負担を行っている状況でございます。

こうした中、全国知事会等の要望もあり、国から、子育て支援に取り組む自治体を後押しする観点より、学校給食の負担軽減のための「給食費負担軽減交付金」を創設し、都道府県を通じて市町村を支援する枠組みが示されました。

県では、本年4月からのいわゆる給食無償化の実現に向け、国が示す制度設計を踏まえ、県内のすべての公立小学校等を対象に、食材費相当額を支援する「学校給食負担軽減事業」の実施を予定しております。

また、議員ご指摘の、市町村に対する給食費の調査につきましては、毎年度、国の「学校給食実施状況調査」に基づき、5月1日時点の市町村の食材費相当額や保護者負担額など、学校給食費の実態の的確な把握に努めているところでございます。
一方で、国の新たな事業は、給食費の全国一律の基準額に基づき、市町村の負担軽減を図る仕組みが示されておりますが、基準額を超える市町村に対し、県として独自補助をすることについては、公平性の観点から課題があると考えております。

このため、県として基準額を超える部分への独自補助を行う考えはございませんが、引き続き、市町村の実情を把握しつつ、必要に応じて国の制度改善の要望につなげてまいります。

次に、中学校段階の給食無償化についてでございます。国は、中学校給食について、小・中学校の実施状況の違いなどの課題を整理したうえで検討するとしており、今後、国で議論が進められるものと理解しております。子育て世帯の負担軽減は重要な政策課題であり、県としても、全国知事会等を通じて、中学校段階への無償化について国の責任で早期に実現するよう、引き続き強く求めてまいります。

県といたしましては、本年4月からの小学校給食無償化が円滑に始まるよう、国の動向を踏まえつつ、市町村と密に連携して取り組んでまいりますとともに、中学生への早期拡大についても、国に対し継続して働きかけてまいります。

(2)不登校児童生徒の支援と校内フリースクールのさらなる拡充を

【江尻】

次に、不登校児童生徒の支援と校内フリースクールの拡充についてです。
3年前(2022年度)、本県の不登校児童生徒の割合が全国で最も多くなりました。私は「不登校の理由について、教員の認識と子どもの受け止めに大きな隔たりがある」ことを、子どもたちの声や国のアンケート結果を示して質問しました。

その後、学校内にいつでも子どもが行ける校内フリースクールが次々設置。現在43市町村(五霞町を除く)に約200校開設され、8千人近い不登校児童生徒のうち約2千人が通っています。「良い支援員の先生と出会えて、子どもが学校生活に戻ることができた」と感謝の声も聞きます。さらなる拡充に向けて、国庫補助による設置促進事業や、県費による支援員をもっと増やして欲しいと考えます。

また、民間のフリースクール(約400人)や市町村教育支援センター(約960人)に通う子どももいますが、そうした場につながっていない4千人を超える子どもたちへの支援や相談はどうなっているでしょうか。ある児童心療内科の医師は、“今日も元気に不登校!”というメッセージを子どもに贈り、学校に行けなくても大丈夫と心を支えています。

働く教員にもゆとりが必要です。競争教育、画一教育、ICTデジタル教育も見直しましょう。臨時教員を正規採用していく県の方針を歓迎しつつ、今後の不登校対策について教育長に所見を伺います。

【柳橋教育長答弁】

次に、不登校児童生徒の支援と校内フリースクールのさらなる拡充を、についてでございます。

不登校は、問題行動ではなく、児童生徒の学びの選択肢の1つであり、学校という枠組みだけに縛られることなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉え、社会的に自立するために、それぞれのニーズに合った多様な学びを保障し、支援することが重要であると考えております。

議員ご案内のとおり、本県の不登校児童生徒数は全国で唯一、2年連続で減少しており、これまでの本県の様々な不登校対策に取り組んできた成果であると認識しております。

その取り組みとして、まず、2021年度から、全国に先駆けて民間フリースクールの運営費補助と、経済的に事情のある家庭に対する利用料補助を開始したところ、利用者数は年々増加し、昨年度は、61施設に400人の児童生徒が通い、のびのびと自分の興味関心に合わせて学んだり、自信を取り戻して、学校に復帰したり、希望する上級学校へ進学したりするなどの成果が出ております。

校内フリースクールについてでございますが、学校内の学びの場として、2024年度から設置を促進し、昨年度末には159校に設置され、1,739人の児童生徒が利用しており、今年度は約200校に増加し、利用した児童生徒数も増加する見込みでございます。校内フリースクールは、児童生徒が自力で通学できることや保護者の費用負担がないというメリットがあり、不登校の未然防止や早期対応の成果が報告されております。

なお、校内フリースクールを利用した児童生徒からは、「登校する不安が減った」「人と話をすることが楽になった」といった声があり、安心して過ごせる場があることで、学校生活への不安が減り、改善が見られております。

次に、民間フリースクール、校内フリースクール等に通うことができていない児童生徒への支援についてでございますが、まずは、学校からのオンライン授業により学習の機会を確保するよう努めているところでございます。

しかしながら、不登校となる要因は一人一人異なることから、丁寧なアセスメントをもとに、適切な専門家、専門機関の相談・指導につなげることが重要であると考えております。

そのため、県では、2023年から、不登校傾向となった児童生徒について、早期に専門家や専門機関につなぎ、ケース会議を実施するなどの支援をするよう、徹底を図っており、その結果、不登校児童生徒が心理や医療、福祉の専門機関とつながっている割合は、全国平均の60%のところ、本県では90%以上となっており、新たに不登校となる児童生徒数が減少いたしました。

引き続き、児童生徒への支援が充実するために、校内フリースクールの運営や学習支援の好事例を広め、設置を促進するとともに、専門家、専門機関の相談・指導につなげることによる未然防止の効果を周知し、取り組みを徹底してまいります。

県といたしましては、不登校児童生徒一人一人の状況に寄り添った支援が行われるよう、民間フリースクールや校内フリースクールといった多様な学びの場の確保に努めてまいります。

4. 県営住宅の入居環境の改善について(土木部長)

【江尻】

次に、住宅セーフティーネットの中核である県営住宅についてです。

公営住宅は、国と地方自治体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、住宅に困窮する低所得者に低い家賃で賃貸することが目的です。
私はこれまでも入居者の生活実態に寄り添った改善を求めてきましたが、今回は3点について伺います。

まず、古い県営住宅に風呂釜や浴槽が付いていない問題です。年50戸程度ずつ設置され、県内約1万3千戸のうち半数に設置済で、設置済住戸の入居率は8割、未設置は6割ですので、効果は確実です。しかし、年50戸では100年以上かかります。予算を増やすとともに、入居者が自前で設置した風呂釜で新しいものは撤去せず利活用する取り組みについても伺います。

2点目は、60歳未満の単身入居です。これまで「同居親族が必要」という要件が壁となり、高齢者や障害者以外は一人暮らしできませんでした。しかし、県が条例を変えて、若い人も単身入居できるようになったことについて、実績や効果を伺います。

3点目に、連帯保証人制度です。保証人を確保しづらい方々にとって、入居のハードルになりかねません。国は8年前(2018年)に保証人廃止を打ち出し、すでに25都道府県、半数以上が保証人を求めていません。そこで、現在、本県の連帯保証人免除や法人保証制度導入の取り組みについてお答えください。

以上、入居環境の一層の改善を求め、土木部長に伺います。

【和賀土木部長答弁】

県営住宅の入居環境の改善についてお答えいたします。
県営住宅は、生活に困窮する低所得者に対し、健康で文化的な生活を営むための住宅を提供することで、生活の安定と福祉の増進に寄与することを目的として建設された住宅です。県営住宅は「住宅セーフティネット」の中核として、これら住宅の確保に配慮を要する世帯に対しまして、的確に住宅を提供していく機能が求められているところです。

そのため居住環境の改善や、必要とする方が入居できない事態が生じないよう、入居要件などを適切に見直していくことが重要だと認識しております。なお、2025年9月現在、県内28市町村・154団地、1万3013戸に対して9,042戸の方に入居いただいている状況で、入居率は約7割となっている状況でます。

まず、風呂釜・浴槽の設置についてでございます。昭和の時代に建設した県営住宅につきましては、国が定めた基準に浴室の規定はあるものの風呂釜・浴槽に関する規定がないことから、これらにつきましては入居者のご負担で設置していただくこととしておりました。
その後、国の基準が見直されたことから、新たに設置する県営住宅の各住戸に、風呂釜・浴槽の設置を進めてまいりました。

また、未設置の住戸につきましても、入居時の負担軽減の観点から、2016年度以降、年50戸程度の風呂釜・浴槽の設置を継続して実施しているところです。これによりまして、2025年9月現在でございますけれども、1万3013戸の管理住戸に対しまして、風呂釜ありが6,313戸、約5割弱の設置状況となっています。

他方、退去時に個人で設置した風呂釜撤去に関する取り扱いにつきましては、使用可能な風呂釜・浴槽は残置を認める運用としておりまして、2019年4月から2026年1月までに25件の実績です。今後も応募が多い団地、その低層階などから、風呂釜・浴槽の設置を進め、居住環境の改善に努めてまいります。

次に、60歳未満の単身世帯に対する入居要件の見直しについてです。
近年、60歳未満を含む単身世帯が増加し、県では60歳未満の単身世帯で県営住宅を必要とする人が入居できるよう、同居親族要件を廃止する条例改正を行いました。2024年4月から運用しているところです。60歳未満単身者のこれまでの入居実績は、今年1月末現在で74件であり、県内で増加する単身世帯に対して、住宅セーフティネットとしての機能を発揮し始めたところです。

最後に、連帯保証人制度の柔軟な運用についてです。
本制度は、家賃の確実な納付や、緊急時の連絡体制の確保に意義がある一方で、連帯保証人確保が困難な入居希望者も見受けられます。そのため、県といたしましては、連帯保証人の確保が困難な高齢者や単身者に対しましては、連帯保証人がいなくても入居を認める運用をしてきたところでございます。2020年度には、連帯保証人の代替手段として、法人保証制度を導入したところです。

しかしながら、法人保証制度の活用も難しい高齢者や単身者などに対しましては、引き続き連帯保証人なしでも入居を認めているところです。なお、法人保証制度の運用につきましては、利用者に不利益が生じないように、一定の要件を満たした保証会社と協定を締結のうえ、運用をしてきたところです。

具体的には、国土交通省の「家賃債務保証業者登録制度」に登録している保証法人を対象としまして、例えば、消費者契約法第9条に関する一般的な水準より高額な違約金をあらかじめ設定するなどの事態が生じないように配慮しているところです。
引き続き、連帯保証人の確保が難しいことを理由に入居が妨げられることがないよう取り組んでまいります。

なお、これらの取り組みにつきましては、住宅の確保に配慮が必要な方々に情報がしっかりと行き渡るよう、県ホームページ、SNS、広報誌などにより情報発信の充実を図り、県や市町村の福祉部局と連携して周知を強化しているところです。
今後とも県といたしましては、県営住宅を必要とする方々が適切に入居できるよう、入居要件を不断に見直し、住宅セーフティネットとしての機能が適切に発揮されるよう努めてまいります。

5. 霞ヶ浦導水事業の課題に対する県の姿勢について(知事)

【江尻】

次に、霞ヶ浦導水事業に対する県の姿勢を問いたいと思います。
計画着手(1976年)から今年で50年。那珂川と霞ヶ浦と利根川を地下50m・総延長45.6kmのトンネルで結び、水を行き来させるという世界で例のない無謀な開発に延々と税金が投入されています。総事業費は1,600億から1千億円以上増額され、2,625億円に膨張です。

貯水量約8.5億m³を有する霞ヶ浦に直径3.5mのトンネルで水を送るというのは、25mプールにストローで水を入れるようなもので、知事は本当に霞ヶ浦が浄化されるとお考えでしょうか。逆に、霞ヶ浦の水を川に流してどれだけ渇水対策になるのか、実証実験もありません。すべて机上の計算です。

ついに国交省も計画の無謀さを認めたのか、延長11.6kmの手付かずの土浦トンネルを、昨年、事業費からこっそり除きました。仮に土浦トンネルを作ればいくらかかるのか。私の試算では300億円以上かかり、総事業費は3千億円を突破します。国も莫大な事業費を想定し、もう作らない腹づもりではないでしょうか。

国は石岡トンネルが完了すれば試験通水を行うとしていますが、現在、石岡市に建設中の高浜機場ができなければ、通水は不可能ではないですか?そして、その高浜機場周辺で、工事の影響により大規模に田んぼが地盤沈下し、去年も今年も田植えができず、農家に大きな損害を与えています。工事ばかり優先することがないよう、知事は補償も含めて対策を国に求めているのかお答えください。

さらに、土浦トンネルを作るか・作らないか国任せにせず、工事中止を求めるべきと考えますが、知事の所見を伺います。

【大井川知事答弁】

霞ヶ浦導水事業の課題に対する県の姿勢についてお答えいたします。

まず、通水についてです。利根川と霞ヶ浦をつなぐ利根導水路は既に完成しており、現在は、那珂川と霞ヶ浦をつなぐ石岡トンネルや高浜機場などの整備が進められているところであり、来年度の完成が予定されております。霞ヶ浦と利根川、那珂川の通水につきましては、高浜機場を含めた施設が完成した後に実施される予定であり、来年度以降、「水質浄化」、「渇水対策」、「新規都市用水の確保」といった、事業効果が発現されることになります。

次に、高浜機場周辺の地盤沈下への対応についてです。高浜機場周辺では、ろ過設備など地下構造物の整備のため、地下水の汲み上げを行ったところ、水田の沈下や、井戸の水位低下などの影響が確認されました。このため、事業主体である国において、水田の整地、給水タンクの設置、農道の段差解消などの応急対策を行うとともに、複数回にわたって地権者や耕作者への説明会を開催するなど、地元の理解を得ながら対応を進めているところであります。

県においても、地元説明会に参加するとともに、国と情報共有を図りながら状況の把握に努めてきたところでありますが、昨年9月には私自ら現地を視察し、地域の方々の話を聞きながら、被害状況を確認してまいりました。この現地視察を踏まえ、私から国土交通省関東地方整備局長に対し、地元に寄り添いながら、しっかりと対応を行うよう、直接申し入れを行ったところでございます。現在は、田植えに影響の生じた農地などを国が借地し、地下水を地中に戻す対策が行われております。

今後は高浜機場の工事進捗に伴い、地下水の汲み上げも減少していくため、地盤沈下は収束に向かう見通しであることから、国からは計画どおりに整備を進めていくと聞いております。引き続き地元の理解を得ながら工事を進められるよう、国の対応状況を注視してまいります。

次に、土浦トンネルについてです。
未着手となっている土浦トンネルにつきましては、石岡トンネルの供用後の水質状況をモニタリングし、その結果を踏まえて整備を判断するとされており、現時点では整備費も計上されておりません。土浦トンネルの整備に関しては、国が実施するモニタリング結果など事業効果を見極めたうえで、県としても判断していく必要があるため、今後も国の検討状況を確認してまいります。

県といたしましては、引き続き、コスト縮減及び早期効果発現に万全を期すよう、国に働きかけを行ってまいります。

6. 東海第二原発の地震・津波対策の信頼性と再稼働問題について(知事)

【江尻】

次に、東海第二原発の再稼働問題についてです。
福島第一原発事故から15年。今なお、福島県外に避難する人は約2万人、うち2,170人の方々が本県で暮らしています。茨城でも放射能汚染や被ばくが心配だと、他県に転居した県民もいます。ふるさとの喪失や社会の分断を招いた事故は今も収束していません。地震列島の日本でいかに原発が脆弱か。「もう大きな事故は起きないだろう」と安全神話に回帰することは絶対にあってはなりません。

知事は議会初日の所信表明で、原子力について一言も触れませんでした。東海第二の再稼働工事が、「今年12月の完了は厳しい」と日本原電が先延ばししたことで、県政の重要課題でないと考えたのでしょうか。

国や原発事業者は、「地元の理解と安全確保が最優先」と言いますが、その最優先事項が吹っ飛ぶ事態が起き続けています。

まず、中部電力の基準地震動データのねつ造です。浜岡原発で1,200ガルとした基準地震動は、データを意図的に不正に過小評価していました。これを原子力規制委員会が「外部通報がなければ見抜けなかった」としたことも重大問題です。

中部電力はデータ算出をコンサルタントに委託していました。どこの会社か明らかにしていませんが、共産党国会議員団が過去の資料から調べ上げ、そのうち「ダイヤコンサルタント」と「総合地質調査」の2社は、東海第二も請け負っていたことが分かりました。

東海第二の基準地震動は1,009ガル。全国で2,000ガルを超える大地震が繰り返し起きているのに、「想定が小さすぎないか」というこれまでの不安の上に、さらに「データねつ造はないのか」と疑念は増します。

これに対して原電は、自主的に確認を行って「不正はなかった」と報告したようですが、それをもって県として十分に確認できたと言えるのか、知事の所見を伺うとともに、原子力規制員会に中部電力以外の原発も調査するよう求めるべきですが、いかがでしょうか。

東海第二の再稼働工事でも同じようなことが起きました。2年半前の23年9月、原発を津波から守る防潮堤の基礎に重大な欠陥不良があることが、現場作業員から日本共産党に通報がありました。

原電はそれより3か月前に施工不良を確認していたにもかかわらず、その後の周辺自治体首長の視察時にも説明せず、共産党が記者会見で公表するその日になって慌てて原子力規制委員会に報告。規制委の現地検査官も現場にいたのに施工不良を是正する動きがないため、作業員は居てもたってもいられず共産党に告発を寄せました。原電は公表した時でさえ、補修すれば済むと簡単に考えていたようですが、状態が余りに酷く、基礎の構造変更を余儀なくされています。

ところが知事は、原電が県に報告していなかったことについて、当時「問題ない」としました。今でもそう考えているのでしょうか。原電も原子力規制委も、そして県も、3者3様に信頼性が問われます。再稼働などありえません。

防潮堤の施工不良について、日本原電の工事管理や公表の在り方、また国や県の関与の在り方について、一体何が問題だったと考えるのか、知事の所見を伺います。

【大井川知事答弁】

東海第二原発の地震・津波対策の信頼性と再稼働問題についてお答えいたします。

まず、中部電力における不正行為を踏まえた県の対応についてでございます。中部電力浜岡原子力発電所の新規制基準適合性審査において基準地震動の策定に係る不正行為があったことを受け、国の原子力規制委員会は、本年1月に、中部電力に対し、不正行為に関する事実関係及び原因などの詳細な調査を行うための報告徴収命令を発出したほか、原子力規制検査を開始したところであります。

また、原子力規制委員会は、中部電力以外の原子力発電所を有する事業者などについては、これまで多層の許認可の審査を行ってきた中で同様の兆候が見られていないことや、原子力規制検査を実施する中で安全文化の劣化が認められていないことなどから、同月、注意喚起を行ったところと承知しております。

このような中、日本原電を含む、中部電力以外の原子力発電所を有する事業者などは、本件を踏まえた確認を自主的に行っており、その結果として、「中部電力と同様の不正は確認されなかった」ことが、原子力事業者などで構成される原子力エネルギー協議会から、1月19日に公表されたところと認識しております。

一方、原子力規制委員会の山中委員長は、1月の定例記者会見において、中部電力について、「全社的に徹底的に検査をするよう指示した」とのことであり、今後、国において厳格な検査が行われるとともに、その結果を踏まえて規制上の措置などを決定していくところと認識しております。

中部電力の不正行為を踏まえた日本原電の自主的な確認につきましては、現時点で中部電力が公表した内容に基づいて行われているものと認識しておりますが、最終的には、国の検査などの結果を踏まえ、日本原電において追加確認の必要性が検討されるものと考えておりますことから、まずは今後の国や日本原電の対応を注視してまいります。

次に、防潮堤の施工不備に対する対応についてでございます。防潮堤の施工不備につきましては、「原子力安全協定上の報告義務がある事故・故障等」に該当するものではなく、県としては、任意に報告を受けたところでございます。

また、原子力規制委員会の現地の検査官に対して、日本原電から、随時、施工不備に関する情報を報告・共有するなどの対応がとられており、国の検査官は、こうした報告を受けた場合、原子力規制検査において、事業者の是正処置などの安全活動について確認するとともに、検査指摘事項に該当した場合などには、原子力規制委員会において公表されるものと認識しております。

私といたしましては、こうした対応がとられている中で、さらに、どのように情報公開を行うかについては、原子力事業者としての信頼感や安心感の醸成の観点から、日本原電自身が判断すべきことと考えております。

日本原電においては、このような観点から、2025年1月以降、これまで公表対象としていなかった不具合などの情報についても、原子力安全に影響を及ぼす可能性がある場合などは情報公開するよう運用を見直したと聞いており、引き続き、同社の取組状況を注視してまいりたいと考えております。

7. 自衛隊百里基地の機能強化に関する住民への情報提供等について(知事)

【江尻】

最後に、自衛隊百里基地の機能強化についてです。
知事は所信表明の冒頭、「法の支配に基づく国際秩序が揺らぎ、むき出しの力による理念なき大国家間競争時代の幕開けを経験しつつある」との認識を示しました。

まさにその2日後、アメリカとイスラエルがイランを爆撃。学校も標的となり多くの子どもも犠牲になり、今なおミサイル攻撃が続いています。国際法をものともせず、圧倒的軍事力を盾にした武力による支配に対し、高市内閣は一言も批判しないばかりか、日本も軍備拡大と軍需産業の強化で追随しようとしています。

2014年の秘密保護法、翌15年安保法制により集団的自衛権の行使を容認。市民を監視する共謀罪を17年につくり、21年の重要土地規制法で百里基地周辺など土地売買に規制をかけ、22年安保3文書で防衛費倍増と敵基地攻撃能力の保有を明記。その後も防衛産業基盤強化法、殺傷能力のある武器輸出も可能としました。そして今、改憲への動きが強まっています。

国民が知らないうちに、知らされないうちに後戻りできない状況がつくられているのではないか、県民の不安の声を知事は聞いているでしょうか。

百里基地にこれまでなかった敵基地攻撃能力をもつ長射程ミサイルを、国は配備するとしました。有事になれば標的となるミサイル基地化について、周辺住民は何も知らされていません。昨年8月のF2戦闘機の墜落や、今年1月の救難機かく座事故についても説明ないままです。

私は昨年10月予算特別委員会で、基地強靱化に反対すべきと質問しました。知事は「国会でやれ」と私に野次を飛ばしましたが、国には何も言わないのですか?大分や沖縄では、自治体が国に要請して少なくとも住民説明会が行われています。なぜ知事は説明会の実施さえ求めないのでしょうか、お答えください。

百地基地で他国軍の訓練が拡大され、これも騒音被害や不安を広げています。アメリカ軍の基地使用は日米安保条約第6条に基づく地位協定が根拠とされてきました。しかし、3年前から始まったオーストラリア、ドイツ、インド、カナダ、イギリス、フランス軍の訓練は何を根拠に百里基地を使用しているのか。昨年、防衛省職員は私の質問に答えられませんでした。法的根拠もない、なし崩しの軍事訓練に抗議すべきです。知事の所見を伺います。

以上、一括して質問しましたが、残り時間が35分ですのでおよそ30分で答弁いただき、答弁によっては再質問いたします。

【大井川知事答弁】

自衛隊百里基地の機能強化に関する住民への情報提供等についてお答えいたします。
近年、国際社会は、ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢など、国際秩序の根幹を揺るがす深刻な事態が続いており、日本を取り巻く安全保障環境は戦後最も厳しく複雑な状況に直面していると認識しております。

このようにますます厳しくなっている安全保障環境を踏まえ、国においては国領を守るため、我が国への武力攻撃に対する抑止を向上させることが必要との考えから、スタンド・オフ防衛能力を抜本的に強化するとし、今年度から順次、スタンド・オフ・ミサイルを配備する予定としており、国のホームページや動画サイトにおいて公表しています。

スタンド・オフ・ミサイルの配備については、2022年12月に閣議決定された「国家安全保障戦略」及び「国家防衛戦略」において、「スタンド・オフ・防衛能力等を活用した反撃能力」を保有する必要があること、また、この反撃能力は、憲法及び国際法の範囲内で、専守防衛の考え方を変更するものでないと明記されているものと承知しております。

百里基地については、基地所属のF-2戦闘機にスタンド・オフ・ミサイルを搭載するため、2026年度までに機体の改修を行い、2027年度から配備する予定であるとのことでございます。また、昨年8月上旬の百里基地所属のF-2戦闘機の緊急脱出事案及び、今年1月下旬の同基地で発生したU-125救難機のかく座についてでございますが、これまでに国に対して、詳細は調査中とのことを確認しております。

県といたしましては、こうした百里基地をめぐる防衛力の強化や事故に対して、周辺住民の皆様の不安の声があることも承知しており、その都度、県民の不安払しょくに向けた対応を図るよう、国に対して、迅速かつ十分な情報提供や周辺住民への丁寧かつ十分な説明、安全対策の徹底などの申し入れを行っているところでございます。

なお、住民説明会についてですが、国において個々の案件ごとに検討をしたうえで、実施の要否を判断しているとのことであり、他県での開催状況について把握しておりません。

次に、百里基地における外国軍との共同訓練にかかる根拠についてでございます。国によりますと、一般的に外国軍隊が他国の領域で活動するためには、その領域国の同意が必要であり、「我が国が付与する同意」が根拠になるとのことでございます。

具体的には、外国軍隊が日本の領域で訓練を実施したいという場合、外交ルートを通じて日本に申し入れがあり、「受け入れます」という外交的な手続きが行われるそうです。

県といたしましては、引き続き、県民の安全確保を図るため、県民への情報提供に努めるとともに、地元市町との情報共有を図り、国に対して、百里基地の機能強化などに係る適切な情報提供や周辺住民に対する丁寧な説明、安全対策に万全を期すよう、様々な機会をとらえて働きかけてまいります。

【江尻再質問】

知事に、百里基地の機能強化に関する住民説明について再質問します。
高市首相は昨年9月、自民党総裁選挙に名乗りを上げた際、新聞のインタビュー等に「住民説明会は絶対大事」「適切な情報提供をすることがイロハのイ」とまで断言していました。その真意はどこにあるのか、県から確認して頂きたい。

また、先ほど知事は、他県での住民説明会の開催状況を承知していないと答えましたが、本県もメンバーになっている基地立地15都道府県による「障害関係連絡協議会」で確認すれば、どのように開催しているのか分かるのではありませんか?沖縄や大分でどのようにして実施できたのか情報共有し、ぜひ百里基地でも周辺住民への情報提供と住民意向の反映を行っていくべきですが、再度ご答弁ください。

【知事の再答弁】

再質問にお答えいたします。住民説明会の実施については、個々の案件毎に検討をした上で、防衛省として判断しているとのことでございます。県といたしましては、国に対して引き続き、適切な情報提供や周辺住民に対する丁寧な説明、安全対策に万全を期すよう、様々な機会をとらえて働きかけてまいります。

以上

2026年3月茨城県議会 江尻かな議員の一般質問と答弁(大要、PDF)

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