2016年第1回定例会一般質問・答弁(2016年3月4日)

〈質問項目〉

  1. 知事の政治姿勢について(答弁・知事)
    (1)関東・東北豪雨対策と河川整備
    (2)霞ヶ浦導水事業
    (3)TPPへの対応
    (4)県都水戸市のまちづくり
  2. 少子化対策・子育て支援(答弁・知事)
    (1)雇用の改善
    (2)医療費助成と保育の拡充
    (3)児童養護施策の拡充
  3. 特別支援教育の課題について(答弁・教育長)
  4. 原子力行政について(答弁・知事)
    (1)安全協定と県民世論の反映
    (2)東海第2原発の廃炉

2016年第1回定例会一般質問
日本共産党茨城県議団 江尻加那

日本共産党の江尻加那です。

安倍政権が、戦争法やTPP、社会保障や労働法制の改悪に消費増税、そして原発再稼動や沖縄の米軍基地建設など、あらゆる分野で暴走し、国民が声を上げています。本県行政が、県民の暮らしと地域産業のよりどころなるよう願い、質問いたします。知事と教育長には、明快な答弁をお願いいたします。

一般質問を行う江尻議員=3月4日、県議会

一般質問を行う江尻議員=3月4日、県議会

1. 知事の政治姿勢について

(1) 関東・東北豪雨対策、河川整備

(質問)
はじめに、豪雨災害対策と河川整備について伺います。本県の鬼怒川堤防整備率を、現在の17%から抜本的に引き上げる「緊急対策プロジェクト」がスタートしました。しかし、国交省が示している堤防の整備方法について、住民は宅地側の堤防法面についても護岸や矢板などの遮水対策を強く求めています。知事からも整備方法の改善を国に働きかけて頂きたい。

知事は、今回の大洪水が「人災」だったとお考えでしょうか。決壊した常総市三坂地区は、流下能力が最も不足していた場所であったにもかかわらず、国交省の緊急整備の対象外とされていました。

さらに、若宮戸地区は、河川区域外の自然堤防に依存し、無堤防状態が放置されてきました。一昨年、ソーラーパネル業者の自然堤防掘削が始めるや、周辺住民は国交省に対し、洪水の危険性を指摘して掘削中止を繰り返し求めました。しかし、国は大型土嚢の設置で済ませ、洪水はそれをも押し流し、大水害となったのです。

県は、被害者に対し、「鬼怒川のことは国に聞いてほしい」と言い、県管理の八間堀川についてさえ「決壊原因は分からない」と無責任な回答をしています。
鬼怒川上流4つの巨大ダムに2千億円以上をつぎ込む一方、河川整備は年20億円程度。堤防決壊という最悪の事態と甚大な被害をもたらした国と県の責任を明らかにし、原因究明と徹底した検証、そして被害者への全面補償を求め、知事の所見を伺います。

【知事答弁】

江尻加那議員のご質問にお答えいたします。

知事の政治姿勢についてお尋ねをいただきました。
関東・東北豪雨対策と河川整備についてであります。
鬼怒川の河川整備でございますけれども、今回の豪雨では、堤防からの越水により堤防の住宅地側が削り取られたことなどにより、堤防の決壊が発生したのではないかといったようなことも言われております。

こういったことも踏まえながら、国におきましては、河川激甚災害対策特別緊急事業等を適用し、「鬼怒川緊急対策プロジェクト」として今年度から平成32年度までに約580億円をかけて緊急的・集中的に事業を実施することとしたところであり、これにより、本県区間の堤防整備率は、約9割に向上する見込みであります。

今回の鬼怒川の本県区間の河川整備につきましては、堤防の住宅地側の洗掘対策ではなく、たとえ今回の規模の洪水が再び発生したとしても、越水させないという考え方のもとに、堤防の嵩上げで対応することとなっております。さらに、漏水やパイピング現象が多く発生したこともあり、必要な箇所においては、浸透対策として、鋼矢板の設置や堤防内に浸透した水を堤防の外に排水するための施設の設置等も実施していくこととなっております。

それから、今回の原因を検証すべきではないか、人災ではないか、というお尋ねをいただいたところでございます。
このことにつきましては、これからいろいろな議論がなされてくることも考えられるところでございますけれども、例えば、県管理河川である八間堀川の堤防決壊や越水についてでございますが、9月10日の夕方に、常総工事事務所の職員が決壊箇所から約4キロメートル上流の常総市三坂新田の八間橋付近で越水を確認しておりますが、その後、八間堀川下流一帯にも浸水が拡大し、職員が近づくことができない状況となったので、決壊の正確な状況は確認ができませんでした。

このようなこともあり、原因につきましては、水位観測データや、地元住民等からの聞き取り、研究機関などの様々な情報を収集しながら、調査し検証に努めてまいりましたが、あくまでも推測の域を出ず、実際に、いつ、どのように決壊に至ったのかなど、それ以上の検証は困難であると考えております。

いずれにしましても、八間堀川につきましては、今回の被災を踏まえ、早急に流下能力の向上を図る必要がありますことから、堤防が決壊した箇所の前後と未整備の上流区間をあわせた約1.9キロメートル区間で河道の拡幅や堤防整備などについて、災害関連の補助制度を活用し、短期的かつ集中的に事業を実施してまいりたいと考えております。

(2)霞ヶ浦導水事業

(質問)
次に、霞ヶ浦導水事業からの撤退を求めて伺います。つい先日、導水事業の工期が2023年まで延長されました。4回目の延長です。すでに、予備調査以来46年、建設着工から30年。いったいいつまで続けるというのでしょうか。

この間、漁業者は那珂川の取水口建設差し止め訴訟を起こし、東京高裁で係争中です。
知事は繰り返し、霞ケ浦の浄化効果を強調しますが、そもそも水系の全く違う川の水を入れて薄めようという発想が誤りの根源です。これだけの長い期間と莫大な費用を、霞ヶ浦流域の汚濁防止に効果的に投資していれば、いつ完成するかわからない導水事業に頼らなくても、知事のいうCODの低減は達成できたのではないでしょうか。

さらに、霞ヶ浦の汚濁やアオコを強調すればするほど、その水を那珂川に逆送することの影響を、どう考えるのでしょうか。霞ヶ浦に生息する特定外来生物のカワヒバリガイなど、河川生態系への大きな影響が懸念されます。

私は、つくば市にある農業環境技術研究所に行き、お話をうかがってきました。カワヒバリガイはすでに、霞ヶ浦の周囲8割に棲息地を広げ、霞ケ浦から水を引く県南の農業水利施設に進入して、通水障害が起きているとのこと。それを、今度は那珂川に送水すれば、国がいう高浜機場のろ過施設では、仮に、ブラックバス等の卵を除去できても、さらに小さい0.1mmのカワヒバリガイの卵や幼生は除去できません。異なる水系に水を移すことは生物多様性基本法に違反するもので、知事はこの行為を容認するのでしょうか。国の対策まかせであってはなりません。

水利権の問題は、さらに国まかせです。那珂川を水源とする中央広域水道は、導水事業の暫定水利権として国が許可しています。川の水量が定めた基準より多い時に取水できる権利ですが、取水開始から24年の実績データを見ると、国がいう基準より川の水が少ない時でも、支障なく取水し続けることができています。これはもう、安定した水利権と言えるのではないでしょうか。

国が示す安定水利権の条件は4つです。(1)社会的な妥当性と公益性、(2)取水事業の確実性、(3)安定的な取水の可能性、(4)他の公益上の支障がないこと。これらすべて満たしています。

導水事業をすすめるために、あくまで暫定だと言い続ける国に対し、安定水利権として認めるよう主張し、導水事業から撤退することです。そして、全国一高いと言われる中央広域水道の料金を値下げすることです。知事の所見を伺います。

【知事答弁】

まず、霞ヶ浦の水質浄化対策につきましては、霞ヶ浦に係る湖沼水質保全計画の長期ビジョンである、CODで5ミリグラム/リットル台前半の実現を目指し、生活排水対策や畜産対策、さらには農地・市街地からの流出水対策など、排出負荷の削減に取り組んでいるところでございますが、未だ目標値との乖離は大きく、これまでの取り組みとともに、湖内に直接、浄化用水を導入する霞ヶ浦導水事業を、引き続き推進していくことが必要不可欠であると考えております。

霞ヶ浦導水事業による霞ヶ浦の水質浄化効果についてでございますが、国土交通省のシミュレーションによれば、西浦の湖水は、現在、年間約1.9回入れかわっておりますが、霞ヶ浦導水事業により、那珂川、利根川から導水をすれば、年間2.8回入れかわることとなり、その結果、西浦のCOD値を平均で0.8ミリグラム/リットル程度低下させることが見込まれており、霞ヶ浦導水による水質浄化の効果が期待できると考えているところであります。

次に、霞ヶ浦から那珂川へといった異なる水系への送水について御質問をいただきました。カワヒバリガイが移送されるなど色々な弊害があるのではないかということでございます。国土交通省が実施した検証の報告書におきましては、一部の学識経験者や関係住民等から出された生態系に及ぼす影響に関する意見に対し、国土交通省では「関連する調査等を継続して実施するとともに、必要に応じて環境保全対策を講じていく」としており、国の責任において、当然適切な対応がとられていくものと考えております。

本県といたしましても、国土交通省に対し、調査等の結果を踏まえた適切な環境保全対策が実施されるように求めてまいります。
次に、那珂川からの取水についてでございますが、春の田植えの時期には、塩水遡上による農業用水の取水障害が起きるなど、毎年のように渇水被害が生じていることから、例えば平成25年から27年までの3ヵ年においては、振替取水を23日間、潮見運転を85日間実施するなどして、何とかしのいでいるところであり、決して安定して取水ができている状況にはございません。

なお、暫定水利権につきましては、安定水利権とは異なり、水質源開発施設の建設事業に参画していることを条件に、河川管理者から建設事業の期間中、暫定的に許可される権利であります。全国共通の国の制度であり、水利権者間の調整などの問題もありますので、現状では、県としてはいかんともしがたいことから、国の場において、いろいろな議論をしていただければと考えているところであります。

(3) TPPへの対応

(質問)
次に、TPPへの対応について質問します。TPPは、ごく一握りのアメリカ巨大多国籍企業の利益を守る「自由貿易協定」です。全国第2位の本県農業の行く末を左右する大問題であり、食の安全や自給率の低下など、大筋合意の後も批判の声は止まりません。知事として批准中止の声をあげるべきです。

今、必要なのは、生産費がまかなえ、他産業なみの所得が得られる所得保障制度づくりであり、将来への展望がみえる農業対策です。農業所得に占める直接補助は、日本が15.6%なのに対し、アメリカは26.4%、フランス、イギリス、スイスにいたっては9割を超えています。自国の農業を守ることは、世界では当たり前になっています。

水害に見舞われた常総市では、一日も早く農業を再開したいと、ひたむきな努力が続けられています。農業青年は、「昔から農家は“生かさず殺さず”だが、TPPで本当に殺されてしまう」と怒りをぶつけています。また、養豚農家の後継者は「アメリカは、肉の赤みを増やす成長ホルモン剤を使って安く生産しているが、自分はおいしくて安全な豚肉をつくり続けたい」と言っています。生産者や農家は私たちの宝です。TPPについて、知事の所見を伺います。

【知事答弁】

先月4日に署名されたTPP協定は、世界全体のGDPの約4割を占めるアジア太平洋地域の12カ国において、工業製品や農林水産物などのモノの関税だけでなく、サービス、投資の自由化を進め、さらには知的財産、電子商取引、国有企業の規律、環境など幅広い分野のルールを構築するものであり、中堅・中小企業の海外展開や、貿易、投資の促進などが期待されております。

従いまして、批准につきましては、その影響をあらゆる角度から検証したうえで、我が国全体としての国益を踏まえ、国会において十分に審議が尽くされたうえで、結論がだされるべきものと考えております。

一方、農林水産分野におきましては、多くの品目で関税の削減・撤廃が予定され、畜産を中心に国内農林水産業への影響が懸念されておりますことから、万全の対応策を講じていくことが必要であり、国におきましては、昨年11月に「総合的なTPP関連政策大綱」を策定し、「攻めの農林水産業への転換」や「経営安定・安定供給のための備え」に向けた対策を講ずることとしたところであります。

農業産出額全国第2位の本県といたしましても、現在、策定を進めております新たな茨城農業改革大綱におきまして、重点的取組みにTPP対策としての「畜産・水田農業の国際競争力の強化」を、また、儲かる農業の実現に向けての「革新的な産地づくり」や「経営感覚に優れた経営体の育成」などを掲げているところでございます。

また、収入補填などの経営安定対策につきましては、現在、米や畑作物では収支差や収入減少を補填する経営所得安定対策が、畜産では収支差を補填する経営安定対策が実施されております。

特に、今回のTPP協定の影響が懸念されている畜産につきましては、経営安定対策の法制化や補償率を8割から9割に引き上げることなどを内容とする法案が、今国会に提出される予定と聞いております。
こうした農家経営の経営安定対策等については、今後とも大変重要であると考えておりますので、必要に応じ全国知事会などを通じ、制度の充実等について、国に要望してまいります。

(4)県都水戸市のまちづくり

(質問)
次に、県都水戸市のまちづくりについてです。県庁移転から18年。水戸駅から大工町の中心街は、通行人や人口の減少、空き店舗が増え、空洞化は顕著です。この最大の要因は、4,000人が働く県庁が移転したことではないでしょうか。当時、「25万人規模の県都に、2つの核は成り立たない」と、現在地建替えを求めて市民会議が設立され、1回目は11万人、2回目に12万人の陳情書が提出されました。

しかし、これを無視した前竹内知事は、他ならぬ県庁舎のゼネコン汚職で逮捕され、その後、橋本知事が引き継ぎました。知事の逮捕事件にまで至った県庁移転は見直すべきだと世論が広がりましたが、橋本知事は就任後初の93年10月の記者会見で、「移転を見直す考えはない」「なぜ反対なのかわからない」と、その声を切り捨てたのです。

水戸市は、中心街活性化を名目に、大工町再開発事業に国、県、市の税金を44億円投入。しかし、商業ビルはいまだに空きテナントのまま。そして今度は、泉町1丁目北地区再開発事業を計画し、そこに320億円を投じる巨大なコンベンション施設として市民会館を計画しています。

市民は「今なら間に合う」と声をあげ、白紙に戻して身の丈にあった計画への見直しを求め、直接請求運動を進めています。都市再開発法により、知事には再開発組合設立と事業計画を許認可する権限があります。県都水戸市の将来像について、市民の合意形成が重要です。それがないまま、事業を認可すべきではないと考えますが、所見をお聞かせください。

【知事答弁】

県庁が移転したのが原因ではないかというお話も伺いました。
確かに原因の一つになっているかもしれませんけれども、当時の調査によれば、土日の通行人の減少が駅北口では多かったという結果もございますので、必ずしも県庁だけではないんではないかと思っておりまして、全体としてのまちづくりということについて、より積極的に取り組んでいくことが必要なのではないかなと思っております。

現在、泉町1丁目北地区におきまして、中心市街地の活性化や健全な都市機能の更新を図るため、市街地再開発準備組合と水戸市により、組合施行による市街地再開発事業の導入が検討されております。
この再開発事業の核となる施設としまして、水戸市において、東日本大震災で被災した市民会館の移転が、平成25年に計画されたところであります。

この新市民会館につきましては、市民ワークショップでの議論やアンケート調査などにより様々な意見を聞いた上で、昨年3月に基本計画が策定されております。その計画を踏まえ、準備組合と市では、再開発事業の計画の作成や権利者の合意形成を進め、昨年末に、再開発事業の都市計画決定に向けた地元説明会や公聴会などを開催したところでございます。

このような中、新市民会館の賛否を問う住民投票条例の制定を求める署名活動が、計画の見直しを目指している市民団体により、本年2月から3月にかけて行われております。

市におきましては、このような動きを踏まえて、新市民会館や再開発事業への対応を検討することとしております。
県としましては、市の対応を踏まえ、準備組合から県に対し再開発事業の組合設立や事業計画の認可申請がなされた場合、都市再開発法の基準に照らし、適切に対応してまいります。

2. 少子化対策、子育て支援について

(1) 雇用の改善

(質問)
次に、今年度の県政世論調査で初めて県民要望の1位となった「子育て支援・少子化対策」について伺います。
少子化の主な原因は、若者の雇用が壊されたことです。2人に1人が非正規として働き、低賃金と不安定な雇用では結婚も子育ても成り立ちません。30代前半の男性の既婚率が、正規雇用では62%、非正規では25%です。少子化を解決するには、若者の雇用の改善が必要です。本県の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、正規雇用の数値目標を掲げましたが、具体的方策は不十分です。

そこで、3点、うかがいます。(1)税金を免除して本県が誘致した企業について、正規・非正規の雇用実態をきちんと把握すること。(2)大幅な雇用変動がある際は、県への報告を義務付けること、(3)誘致企業である日立建機などが、黒字拡大のための人員リストラ整理を大規模に進めていますが、こうした企業に対し、雇用の維持を要請することです。

さらに、雇用改善は県行政にも求められます。知事は、一般行政職で2,000人、教育職で3,500人を削減したと実績にしていますが、これ以上の職員減らしは止めるべきです。

臨時・嘱託職員は1,200人を超えています。その7割が女性です。臨時事務職員の時給は806円。嘱託職員であっても1年ごとの契約更新で最大5年の有期雇用です。そして、嘱託職員には育児休暇の制度がありません。今ある産前・産後休暇でさえ、制度はあるものの実績がありません。事実上、働き続けることができない現状におかれています。県行政がこれでいいのでしょうか。合わせて、知事の所見を伺います。

【知事答弁】

立地企業に対する雇用の対応についてであります。
立地企業に対しては、「雇用の人数や正規・非正規の内訳等を県に報告させるべきである」とのご指摘をいただきました。県は、平成20年以降、毎年、新たに県内に工場用地を取得した企業に対しまして、増加従業員数や正規・非正規別の人数に関する調査の実施を通じまして、雇用の実態の把握に努めているところであり、今後も、こうした取組により、立地企業の雇用状況について把握に努めてまいりたいと考えております。

次に、「雇用の大幅な変動については予め県に報告し、その報告に対して県の意見を言える機会もつくるべきではないか」といったご主旨のご提言もいただきました。

県税の優遇制度を活用した立地企業についてでございますが、現在、法人事業税の課税免除額を積算する観点から、3年間は雇用保険被保険者数の報告を受けておりますが、4年目以降は、県税の優遇措置の適用を受けられませんことから、報告の義務を課しておりません。

4年目以降も報告させることにつきましては、立地企業にとって負担となる等の課題もありますが、国や他県の立地企業に関する優遇制度を参考にし、また、企業の意見も聞きながら、検討してまいりたいと考えております。

また、日立建機に対し、雇用を維持するよう個別に要請すべきといった主旨のご提言もいただきました。
事業主は、その事業所において、1ヶ月以内の間に30人以上の離職者が発生する場合においては、予め事業主が、離職する従業員に対して行う再就職の援助に係る計画を策定してハローワークの認定を受けるか、又は、大量雇用変動届をハローワークに提出することとされております。

日立建機が、早期退職募集を実施することにつきましては、同社の記者発表を通じで承知いたしておりますが、経営環境の変化や事業の再構築等に伴う従業員の人員削減につきましては、個々の企業の根幹にかかわる問題であり、企業の将来の経営方針や株価などにも影響を与えかねないことから、県として、雇用の維持について特段の要請等は実施してまいりませんでした。

しかしながら、この度の日立建機につきましては、県内に複数の事業拠点を有するグローバル企業であり、人員削減の規模によっては地域の雇用動向に大きな影響を与えることも懸念されますことから、茨城労働局と県とが連携して対処することが望ましいと考えられますので、まずは、再就職援助計画や人員削減の内容の情報提供を受けられるよう茨城労働局に働きかけをしてまいります。

その上で、県の就職支援センターやハローワークにおいて、就職相談や職業紹介を行ってまいりますほか、希望者には職業訓練の実施を通じて、再就職を支援するなど、地域への影響を踏まえながら、できるだけ離職者の意向が反映されるよう適切に対処してまいります。

次に、職員定数の削減についてでございます。
これまで、バブル経済の崩壊、三位一体の改革による地方交付税の大幅な削減、リーマンショック等々により危機的な財政状況が発生したため、それに対応するための職員数の削減、あるいはまた組織の簡素化、事務事業の効率化などを行ってきたところであります。

今後、災害からの復興や地方創生などの行政需要に対応してまいりますためには、引き続き、仕事の進め方や組織体制の見直しにより効率化を図りながら、県民サービスの向上に努めていくことが重要であると考えております。
職員数の削減はやめるべきとのご意見をいただきました。職員数の削減率が、地方交付税額の算定に反映される仕組みなどもあり、引き続き、人件費の抑制が必要な事情もございます。

一方、今後は、複雑かつ多様な行政ニーズに対応するため、これまで以上に職員が意欲を持って仕事に取り組める職場環境を作っていかなければなりません。こうした事情を総合的に勘案しながら、再来年度から始まる新たな行財政改革大綱の策定に当たって、様々な事情を考えながら検討してまいりたいと考えております。

また、正職員の削減に伴い非常勤職員が増加してきている状況にございますけれども、地方自治体においては、仕事量が一定期間増加する業務や、民間のノウハウを要する業務等に従事してもらうため、非常勤職員等を活用しているところでございます。
そういったこともございますし、さらに近年では、国の緊急雇用対策事業等を活用して、非常勤職員等を雇用していることも増加の一因となっております。

県では、こうした非常勤職員が働きやすい職場環境を整備するため、法定の年次休暇に加え、雇用期間が6ヶ月以上の非常勤嘱託員に対しては、夏季休暇や療養休暇を付与するなど、これまでも、その処遇の改善に努めてきたところであります。また、子育て支援に係る休暇については、常勤の職員と同様、臨時職員に対しても、子どもが1歳6ヶ月に至るまで利用することができる育児時間休暇を付与しているところであります。

国では、少子高齢化の流れに歯止めをかけ、誰もが活躍できる一億総活躍社会を実現する観点から、働き方改革に取り組んでおり、その第一の柱として、非正規職員の待遇改善を掲げております。県といたしましては、そうした国の動向を注視しますとともに、近隣の都道府県や市町村の類似職員との均衡を踏まえつつ、引き続き、子育てや介護中の非正規職員などが働きやすい職場環境の整備に取り組んでまいります。

(2)医療費助成と保育の拡充

(質問)
次に、子育て支援の拡充についてです。切実な声がたくさん寄せられます。
「子どもが3人いるけど、年少扶養控除の廃止が原因で、去年から保育料が月5千円もあがった」「医療費の補助は厳しい所得制限をなくしてほしい」という声。

また、「少子化が大変だといいながら、子どもを生んだら全然保育所に入れない」という悲鳴。そして、友人の保育士は「こんな給料では働き続けられない。自分の子育てが成り立たない」と悩んでいます。子育ての経済的負担の軽減。そして、待機児童の9割を占める0歳から2歳の受け入れ拡大には、保育士がもっと必要です。

そこで、3点、伺います。(1)医療費助成の所得制限は廃止して、文字通りすべての子どもの医療費を無料にすること、(2)多子世帯の保育料軽減対象になっていない3、4、5歳児も無償化を進めること、(3)認可保育所を増やすとともに、保育士の給与引き上げの手立てを求めて、知事の所見を伺います。

【知事答弁】

少子化対策として、子育て家庭の経済的負担の軽減が大変重要でありますことから、医療費助成、いわゆるマル福制度につきましては、本年10月から小児及び妊産婦を対象に所得制限を大幅に緩和することといたしました。
さらなる制度の拡大についてでございますが、今回の緩和により、小児マル福制度は該当率が71%から90%となり、対象年齢と併せた助成の水準は全国でもトップクラスとなってまいります。

また、妊産婦マル福制度も全国で4県のみが実施している先駆的な制度であり、今回、該当率は80%から92%へと拡大する見込みとなっております。
所得制限の緩和により市町村への財政支援が拡大してまいりますので、今後、市町村単独による制度拡充がさらに進むという効果も期待しているところでございます。

一方で、子どもの医療に関わるセーフティネットは、本来、国が責任をもって、社会保障政策の中に位置づけ、国の制度として構築すべきものであると考えておりまして、全国知事会と連携して、国への要望を行っているところでございます。

現在、国において「子どもの医療制度の在り方等に関する検討会」が設置され、子どもの医療費の自己負担の在り方について検討が行われておりますことから、制度の拡充につきましては、こうした国の動向を注視しつつ、県の財政状況、他の都道府県や市町村の動向を踏まえながら、検討してまいりたいと考えております。

次に、保育の拡充についてでございます。
第三子以降の保育料について、国では、来年度より、第一子の年齢に関係なく年収約360万円未満の世帯は無料にすることとしております。さらに、3歳以上と比べ保育料が高い3歳未満児について、本県では年収要件を約640万円まで緩和して無料化することといたしました。

なお、この事業は、市町村と連携して実施する事業でありますことから、今後の事業の拡大については、各市町村の実施状況や財政状況などを勘案しながら検討してまいりたいと考えております。
保育士確保のための処遇改善について、国では保育士の賃金を、国家公務員給与改定に準じて改定したほか、平成27年4月から「子ども・子育て支援新制度」による、一律3~4%の改善を行ったところであります。

県では、保育士の賃金の改善状況を市町村と連携して確認することで、実効性のあるものとしてまいりますとともに、今後さらに賃金の改善が行われるよう、国に対し働きかけてまいります。
県といたしましては、これらの取り組みにより、安心して子どもを生み育てることのできる環境づくりに努めてまいります。

(3)児童養護施策の拡充

(質問)
次に、児童養護施策についてです。昨年9月、水戸市内のアパートで3歳の男の子が亡くなり、母親が起訴されました。この子は乳児院で育ちましたが、3歳になった時に児童相談所の判断で家庭に戻され、その5日後に亡くなったのです。適切な判断だったのでしょうか。児童養護施設への入所が、なぜされなかったのでしょうか。障害をかかえた母親と5人の子ども、親族からの孤立や貧困、子どもの難病など、あらゆる困難がこの家族に集中していました。児童相談所や市の福祉課、子ども病院や学校など、多くの行政機関が関わりながら、防ぐことができなかったのです。本県の児童福祉行政を根本から問い直す問題です。
本県の児童虐待に係る相談件数は、虐待防止法施行後、約3倍に増加していますが、児童福祉司の人数は2倍(24人→52人)にとどまっています。

一方、県は、国の方針に基づき、6人規模の小さな施設を増やし、さらに里親へ委託することを推進しています。その結果、施設定員は今の697人から526人へと、25%、171人もの削減計画です。

そして、施設の小規模化が進められるなか、働く職員の長時間勤務や宿直の増加が進行しています。国の職員配置基準では、1人が月に7日も宿直しなければなりません。私は厚労省に問いただしました。返ってきた答えは「1人分の措置費で非常勤職員を複数人雇用すればいい。専門職でなくてもいい」というものでした。これでいいのでしょうか。県として、県内全てにある児童養護施設から丁寧に実態を聞き取り、必要な職員配置を国に求めるべきです。

さらに、本県の児童養護施設の子どもの大学進学率は14%にとどまり、全国平均 22.6%に比べて大きく遅れています。国が来年度(2016年度)実施する支援金は貸付です。月5万円、大学4年間で240万円の借金となります。困難な状況にある子どもを支援するために、給付制にすべきです。以上、知事の所見を伺います。

【知事答弁】

県では、増加する児童虐待相談に対応するため、これまで児童相談所において、児童福祉司を増員しますとともに、平成22年度からは、新たに福祉職を採用し、専門性の高い職員を児童相談所に配置しております。

また、警察官OBや児童心理司など、複数の職種で構成される虐待対応チームを設置し、児童の安全確認などをチームで行ってまいりました。

このような中、平成25、26年度の虐待相談件数は1,200件を超え、過去最多となったことなどにより、児童相談所の相談体制の充実や夜間対応の強化を図るため、来年度から、各児童相談所に児童福祉司を1名ずつ計3名増員することといたしました。

次に、児童養護施設などの児童福祉施設につきましては、現在、児童養護施設やグループホーム等で9割、里親等で1割の児童が生活しております。家庭的な養護を推進するという観点から、国の指針では、平成41年度までに児童養護施設等、グループホーム、里親等を、それぞれ概ね3分の1づつにするという目標が示されました。

本県においては、里親委託等の状況などを踏まえながら、平成41年度までに、児童養護施設等を約4割、グループホームを約3割、里親等を約3割とする目標を設定したところであります。

今後は、国の方針に基づいて、より家庭的な養育環境である里親委託を推進し、その状況に応じて、5年ごとに目標の見直しを行ってまいりたいと考えております。

また、児童養護施設の勤務環境につきましては、平成27年度から、児童5.5人に対し職員1人の配置を、最大で児童4人に対し職員1人の配置まで増員した場合、措置費を加算して支給することとなりました。

このため、県におきましても、職員の確保について支援しますとともに、各施設の状況を把握し、必要があれば、勤務環境の改善について、国に対し要望を行ってまいります。

さらに、「児童養護施設退所者等自立支援資金貸付事業」につきましては、児童養護施設等を退所し就職や進学する者等に対して、家賃相当額や生活費などを貸付けるものであり、国の制度に基づき、本県でも平成28年度からの実施を予定しているところであります。

議員からは、給付にすべきというご意見をいただきましたが、この事業は、一定期間就業を継続した場合には返還が免除されるものであり、退所した児童の就業継続と円滑な自立を促進するという観点から、意義のあるものと考えております。
県といたしましては、すべての児童が適切に養育され、健やかに成長し自立できるよう、児童養護施策のさらなる充実を図ってまいります。

3. 特別支援教育の課題について

(質問)
次に、特別支援教育の課題についてです。前教育委員が特別支援学校を視察し、「教職員が大勢従事して、大変な予算。妊娠初期に障害の有無がわかれば」と発言し、多くの人を傷つけ、教育行政への不信を広げました。しかし、本県特別支援学校の生徒一人当たりの教育費は全国45位(2012年度)と低く、「予算がかかって大変」というより、「予算が少なくて大変」なのが実態です。

私は、特別支援学校を訪問し、実情を調査しました。この10年で児童生徒数は1.4倍、約1千人増えていますが、学校の増設が追いつかず、200人、300人の大規模校が少なくありません。そして、「片道1時間以上もかけてバスで通学している」「教室不足がいつもでたっても改善されない」など、整備要望は切実です。

生徒数が多い水戸飯富特別支援は、通学区域の一部を来年度から内原特別支援に変更されます。そのことを知った自閉症の女の子は、泣きながら「先生や友達と離れて、別の学校に行くのは怖い」と不安になり、不登校気味になっているとのこと。それぞれの状況や、希望を尊重すべきです。そして、移る先の内原特別支援には高等部がありません。きちんと設置して、教育環境を保障すべきです。

また、勝田特別支援は来年度、約250人の生徒数が見込まれていますが、当初120人規模の学校として設置しており、2倍の過密状態です。そして、「勝田特別支援学校の教育条件をよくする会」(代表:二瓶恵子教諭)は知事と教育長に陳情書を提出し、「教室不足解消まで仮設校舎を存続して、抜本的な校舎改築を」と要望しています。

また、分離予定のつくば特別支援も同様です。県南地区の新設校設置に伴い、旧筑波と茎崎の通学区域を変更しますが、人口増のTX沿線にある同校は、分離しても300人を超えており、さらなる整備が必要です。これら課題に対する教育長の所見を伺います。

【教育長答弁】

特別支援教育の課題についてお答えします。

県では、特別支援学校の教育環境の充実を目的として、第1期の特別支援学校整備計画に引き続き、昨年、第2期整備計画を策定し、特に知的障害特別支援学校の児童生徒数の急増に伴う学校の過密解消を図ることとしております。
今後、新校の設置や校舎増築等の施設整備のほか、通学区域の見直しを進めることなどにより、不足教室の解消に向け、鋭意取り組んでまいります。

具体的には、議員のご指摘にありましたように、勝田特別支援学校の過密対策としましては、常陸太田特別支援学校を分離新設し、昨年4月に小学部を先行開校したところであり、本年4月には中学部と高等部を併せて全面開校することとなっております。

また、水戸飯富特別支援学校につきましては、通学区域である水戸市内の一部の地域を内原特別支援学校に変更することとし、現在保護者のご意向も十分にお聞きしながら丁寧に調整を図っているところでございます。

さらに来年度には、つくば特別支援学校等の過密対策といたしまして、石岡市の旧八郷南中学校跡地を活用した県南地区特別支援学校の新設に着手いたします。
これらの対応により、各学校の過密状態は、大幅に緩和されることとなりますが、ご指摘のように、なお完全な解消にまでは至らないと予想しております。

これは、新校の通学区域の設定にあたりましては、児童生徒への影響、通学距離や生活圏、転校する児童生徒や保護者の心情面などにも配慮する必要があり、単に人数の面だけに着目して通学する学校を割り振ることはできないといったことが一つの要因でございます。

また、特別支援学校への入学者数や転学者数及び必要教室数の予測が非常に難しいといった面もございます。
こうした状況にありますので、新校設置等の対策を講じた後におきましても、引き続き児童生徒数の推移等を丁寧に注視していきますとともに、必要に応じまして教室配置の見直しや施設の改修等、教室の確保に向けた対策について、今計画期間内におきましても継続して検討をしてまいります。

その他,ご指摘のありましたスクールバスの問題につきましては、来年度当初予算におきまして、スクールバスを9台増車し、長時間乗車による児童生徒の負担軽減を図りますとともに、スクールバスへの介助員の複数配置に取り組むことにしております。
今後とも、第2期特別支援学校整備計画の内容を着実に実行に移すことで、特別支援学校に在籍する児童生徒の教育環境のさらなる改善に、全力で取り組んでまいります。

4. 原子力行政について

(1) 安全協定と県民世論の反映

(質問)
最後に原子力行政についてです。
東京電力福島第1原発事故は、取り返しのつかない被害を生み出しました。そして、原発事業者と自治体のあいだで結ぶ原子力安全協定は、事故の前と後では、まったく違う条件を突き付けられています。事故前、国は「過酷事故は起きない。放射能は外に出さない」と、自治体や住民に説明して建設を認めさせていたものを、今度は「事故は起こりうる。放射性物質の放出もあり得る」と、大きく変更したのです。その条件を前提につくられたのが今の新規制基準です。放射性物質の放出を認め、住民を被ばくさせるような基準が、どうして「世界一厳しい基準だ」などと言えるでしょうか。それに適合した原発再稼働の可否判断を、都道府県と立地市町村にしか認めていない今の安全協定は、当然、見直されるべきものです。

東海第2原発についても同様です。再稼働すれば、過酷事故は起こりうる。子どもたちを含め、県民を被ばくさせる危険があり得るとしているのです。その再稼働の判断を、県と東海村だけにゆだねることはできません。原発事故の被害が及び得る、すべての自治体が、安全協定締結を求めることは当然の権利です。

そして、自治体だけでなく、県民一人ひとりの声が反映されるべきです。東海第2の再稼働か廃炉か。全県規模の住民アンケート、県民世論調査の実施が求められる県政の重要課題です。今朝の新聞では、福島県民世論調査が「再稼働反対は77%」と報じられています。知事の所見を伺います。

【知事答弁】

まず、安全協定と県民世論の反映についてでございます。
東海第2発電所に係る原子力安全協定は、県と東海村及びその隣接する4つの市並びに日本原子力発電との間で締結しているところでありますが、福島第1原子力発電所事故を契機として、UPZ圏内の市町村等から、日本原子力発電に対し、協定の凍結範囲の拡大等を求める様々な動きがあり、一昨年の12月には、関係15市町村が連携して東海第2発電所の安全対策に取り組むことを目的とした「東海第2発電所安全対策首長会議」が発足したところであります。

協定の対象市町村の拡大等に関する議論に当たっては、他県でも市町村と事業者との間で行われている事例が多いところから、まずは、市町村と事業者との間で協議を進めるべきものであると考え、当該首長会議からの要請も踏まえ、県は、オブザーバーの立場で参加しているところでございます。
今後、首長会議と日本原子力発電との間で、協定の在り方について、具体的な方向性が示されてくるものと考えております。

原子力安全協定の締結範囲の拡大を日本原子力発電に求めていくことにつきましては、東海第2発電所の再稼働の動向が未だ不明であること、また、これまでのところ、全国で現行協定の改定を行った事例はないことなどを踏まえながら、慎重に対応を検討していく必要があると考えておりますが、県といたしましては、これまでの経緯や市町村の意向を踏まえ、当面、オブザーバーとしての立場から必要な助言を行うなど、適切に対応してまいります。

次に、再稼働に関する判断に県民の世論を反映する手続きについてでございます。
東海第2発電所の再稼働を巡っては、県民の中にも様々な考え方があり、県といたしましても、これらを集約していくことが大変重要であると考えております。

東海第2発電所の再稼働につきましては、これまでも申し上げておりますとおり、国の原子力規制委員会の適合性審査が終了し、国から再稼働に関する具体的な方針が示された段階で、県の原子力安全対策委員会における検証結果を踏まえながら、各界の有識者で構成される県原子力審議会をはじめ、県民の代表である県議会や地元市町村の御意見などを十分に伺った上で、県としての方針を決定してまいりたいと考えておりますが、具体的な手続きにつきましては、他県の動向等も踏まえながら、慎重に検討してまいりたいと考えております。

(2) 東海第2原発の廃炉

(質問)
事故から5年を迎えようとする今になって、東京電力がメルトダウンを過小評価して、国に説明していたことが誤りだったと発表しました。これは、国の指摘によるものではなく、「新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」での調査で判明したとされています。いま、原発立地自治体に求められる姿勢は、国の審査任せでない、独自の検証ではないでしょうか。

そうでなければ、川内原発、高浜原発と次々に再稼働させ、海外への輸出まで進めようとする国や電力会社に対し、ものを言うことはできません。先月26日に再稼働したばかりの関西電力高浜原発4号機は、その直後にトラブル発生で、タービンと原子炉が緊急停止。4年7ヶ月も止まっていた原発は、いつ、どこで不具合を起こしても不思議ではありません。九州電力川内原発でも、31年以上取り替えていなかった復水器の配管が損傷し、海水混入のトラブル発生。その九州電力は、事故時の対策所となる免震重要棟をつくる計画まで撤回してしまいました。「再稼働してしまえばどうにでもなる」、「安全よりも利益を優先する」姿勢の表れです。

そして、運転開始から40年たつ高浜原発1号機と2号機までも、原子力規制委員会は新規制基準に適合したことを示す審査書を取りまとめ、60年の運転延長を認めようとしています。

東海第2原発も、再稼働、運転延長されてしまうのではないかと、県民は不信感をつのらせています。どんなに国が安全だといっても、原発は再稼働させず廃炉にすることが最善の策だと知事はきっぱりと決断し、国にも、事業所にも要請すべきです。そして、本県の原子力安全対策委員会や原子力審議会は、廃炉を前提にした専門家集団と有識者会議へと組織をつくりかえる必要があると考えます。知事の所見を伺います。

答弁によりましては再質問いたします。

【知事答弁】

まず、原子力発電所に係る新たな規制基準についてでございます。
国は、福島第1原子力発電所事故の教訓を踏まえ、原子炉の損傷や格納容器の破損といったいわゆるシビアアクシデントへの進展を防止するため、地震・津波への対策や電源、原子炉の冷却設備などの機能を大幅に強化することを義務づけた新たな規制基準を策定したところであります。

また、従来、シビアアクシデントについては、発生の可能性が極めて小さいとして、事業者による自主的な対策にとどまっており、結果的に福島第1原子力発電c事故の際、有効に機能しなかったことを踏まえ、新たな規制基準では、シビアアクシデント防止対策の強化や万一のシビアアクシデントの発生を想定した影響緩和対策についても義務づけがなされたところであります。

いずれも、福島第1原子力発電所事故を受けて設置された各種事故調査委員会等からの指摘を踏まえた対応であり、原子力発電所の安全性向上につながるものではないかと理解しているところであります。

次に、東海第2発電所の安全性に係る検証についてでございますが、原子力施設の安全規制は、国が一元的に行うこととなっており、まずは、国の責任において、安全審査がしっかりと行われるべきであると考えております。

その上で、東海第2発電所の安全性については、県民の関心も大変高いことから、県としても国任せにするのではなく、東海第2発電所の安全性を独自に検証することとし、原子力分野の専門家で構成する茨城県原子力安全対策委員会において安全性に関する技術的な検討をいただいているところであります。

具体的な検討に当たっては、原子炉工学や地震・津波対策等を専門とする委員8名の外、臨時委員として、高経年化対策に係る専門家2名を新たに加えた10名で構成する「東海第2発電所安全性検討ワーキングチーム」を委員会の下に設置し、福島第1原子力発電所事故を踏まえた新たな安全対策はもとより、高経年化対策や事故対応時の組織体制などについて、県独自の視点も加えて検討を行うこととしているところであります。

現在、国の審査の状況と並行しながら随時ご審議をいただいているところでありますが、当然のことながら、今後の検証作業において安全性に疑義が生じれば、日本原子力発電に必要な対応をしっかりと求めていくことになると考えております。

再質問

(質問)
それぞれご答弁頂きましたが、3点、再質問します。

1つは、霞ヶ浦導水事業について、那珂川の水利権は余裕がない、暫定だから事業からの離脱はできないということでした。ならば、那珂川の渇水基準年と、渇水流量をご存じのはずです。すべて河川の水利権は、その基準にもとづいて決めることになっているからです。ご答弁ください。お答えいただけないなら、調べて公表することをお約束ください。

2点目は、まちづくりの問題です。水戸市民会館を含む再開発は認めないと、まちづくりの方向や、税金の使い方に対する市民の声を、「なぜ、反対するかわからない」と、異なる意見を排除するのではなく、住民の合意形成を図る、その過程が大切だと私は考えます。知事は、まちづくりにおいて、何が大切だとお考えでしょうか。

最後に、原発についてです。知事のお考えの中には、東海第2原発の廃炉という選択肢も、当然あるということですか。再度、お聞きいたします。

【知事答弁】

那珂川の渇水状況でございますけれども、例えば平成27年度でございますと、千波湖土地改良区で振替取水を4日間、潮見運転が53日間、それから揚水不能が1日間、那珂工水系を越す潮見運転が6日間というような状況にございまして、25年から27年にかけて、振替取水が23日間、潮見取水が85日間行われている状況にございます。基準等につきましては、後ほどお届けしたいと思います。

水戸市内の活性化策、県都水戸市のまちづくりについて、お尋ねを頂きましたが、まさに地方自治でございます。

水戸市がきちんと住民の意見をまとめながら対応していけばよろしいわけでありまして、一部先程も申し上げましたけども、署名活動も行われているようでありますけれども、それがどのくらいのものになってくるのか、あるいはまたそれに対して水戸市がどう対応していくのかということにつきましては、私どもが関与すべき問題ではないと思っております。

東海第2原発について、廃炉も選択肢に入っているかということでございますけれども、今の段階ではまだ、どうなってくるのか全く分かりませんので、例えば規制基準にしっかり合ったものが確保できていくかどうかも分かりませんので、こういった段階で仮定の話については、お答えを控えさせて頂きたいと思います。

以上

江尻加那県議の一般質問(PDF・大要)
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