江尻かな県政NEWS 2024年12月号

江尻かな県政NEWS2024年12月号表 江尻かな県政NEWS2024年12月号裏

茨城県議会がはじまりました11月29日~12月16日まで

最高額の税収と基金を県民に還元し暮らし支援を 江尻県議が会計決算に反対討論

日本共産党の江尻かな議員は11月29日に始まった県議会本会議で討論に立ち、2023年度茨城県一般会計の県税収入が4,288億円、財政調整基金が682億円になり、どちらも過去最高額を更新したことを指摘。

全国8位の財政力、1人当たりの県民所得は3位と経済面で恵まれた環境にある一方、人口当たりの保育所や老人ホーム、病院や診療所の数は全国平均に届かず、医師や看護師、保健師は全国平均を大きく下回る状況を批判しました。

また、「生活環境整備や医療・福祉の向上を優先して取り組むべきだ」と強調。とくに後期高齢者医療財政安定化基金は、上限規定の50億円を超え51億4千万円の残高があるのに、基金の活用を渋って保険料の大幅値上げを行ったことを批判しました。

大企業支援に多額の税金を使うのではなく、県民生活を支える政策転換を求めました。
2023年度一般会計・特別会計、企業会計の決算は、日本共産党とつくば市民ネットワークの2名が反対。自民、公明、国民民主、立憲、維新、無所属などの賛成多数で認定されました。

その後、大井川知事が一般会計と企業会計の補正予算(職員の給与引き上げ101億5900万円)と、条例その他24件、報告1件の提案説明と県政全般の報告を行いました。

主な内容は、県立国民宿舎「鵜の岬」の利用料金値上げや、県植物園等の改修による民間事業者の参入などある中、日本共産党が要望し続けてきた「残土条例の改正(土地の埋め立て等に県の許可を要する面積を5,000m²以上から、3,000m²超に引き下げた)」議案が計上されました。

討論や知事の発言、議案資料はこちらに掲載

  • 県議会の一般質問は12/4~6で自民党7人、立憲1人、無所属1人の予定で、日本共産党は質問できません。
  • 江尻県議は、12/10(火)10時半からの防災環境産業委員会で質疑するほか、16日閉会日の議案採決前に討論に立つ予定です。

物価高に悲鳴 よせられた声

  • 全ての食材が高騰しているので保育園の栄養士がかなり四苦八苦しています。でも値上げはしていません。アレルギー児の給食を、アレルギーない子も同じ食材(代替え)にして一緒に同じものを食べるようにしています。そのため…卵はお豆腐で…牛乳は豆乳で、カレーなども高いですがアレルギーフリーのものなので、台所事情は大変です…果物の回数を減らしたり、冬野菜を作るなどしながらなんとか対応する感じです?お米は主食なので…これ以上高くならないように願うばかりです。
  • 保育園の経営はかつかつ。給料も低い。経営者も潤ってない。夏に水遊びするので水道代がすごい。やらない訳にはいかない。電気代も上がっているので、お昼寝時のエアコン、クラスごとではなくまとめて寝かせるなどで抑えている。
  • 学童クラブのおやつ代節約のためにおにぎりを作っていた。コメ高騰でそれもできなくなった。今週はじゃがいもや焼き芋の差し入れをもらえて助かっている。

2025年度県予算と施策に300項目の重点要望提出

日本共産党は11月20日、2025年度茨城県予算編成と施策について県民の要望をもとに300項目の重点要望書を県に提出しました。提出後には、市町村議員らも参加して、下記の要望事項について県執行部と交渉や意見交換を行いました。

  • 選定療養費徴収による救急車利用の一部有料化は撤回する。
  • 紙の保険証を存続させるとともに、マイナ保険証による不安や混乱を生じさせない。
  • 水道施設や水道管などの老朽化対策と耐震化をすすめる。
  • 「1県1水道」をめざす水道広域化は行わない。
  • 保育園など給食提供施設に対してコメ・食材費高騰支援策を実施する。
  • 県立学校授業料の値上げを撤回する。

救急搬送の選定療養費徴収の撤回を求める共産党の追及に対し、県保健医療部の担当者は「よほどの確信がなければ取らない」と説明しました。

食材費高騰対策においては、県内の民間保育園や学童クラブ関係者から寄せられた声を届けました。

予算要望書の全文や保育園関係者の声などはこちらに掲載しています

江尻議員の決算に対する討論全文

本県の予算規模は全国12位、財政力指数は全国8位、そして1人当たり県民所得(※雇用者報酬と企業所得の合計)は3位と、経済面で恵まれた環境にある一方、人口当たりの保育所や老人ホーム、病院や診療所の数が全国平均に届かないほか、医師(46位)・看護師(43位)・保健師(39位)数は全国平均を大きく下回っています。

また、県民から寄せられる公害苦情件数は12年連続で全国一(2011年度以降)多くなっており、財政力にふさわしい生活環境整備や医療・福祉の向上が県民の切実な願いです。

とくに、令和5年度一般会計における県税収入は4,288億円に上り、過去最高を更新しました。さらに、黒字決算の剰余金を積み立てた財政調整基金も682億円となり、こちらも過去最高額に達しました。

これら税収と基金を県民に還元すべきです。県道の草は伸び放題、信号機や歩道の設置要望は予算がないと先送りされています。

学校給食の無償化や水道インフラの耐震化に県独自の補助がありません。子ども医療費助成も6年間まったく拡大されないままです。

また、健康長寿日本一をめざしてはいても、高齢者の外出を支援する市町村のデマンドタクシーやコミュニティバスの運行に直接の財政支援はなく、高齢者の補聴器購入を支援する補助もありません。

一方、不用額は、福祉費、保健医療費、教育費の順に多く、この3つで105億6,671万円もの予算が使い残しです。これだけあれば、医療的ケア児や難病、障害者への支援、教育現場の人員拡充や少人数学級の拡大、不登校の子どもへの支援を大幅に拡充するなどできます。来年度の予算編成では、積極的に精査すべきです。

各種基金の在り方も見直すべきではないでしょうか。35に上る基金が設けられていますが、例えば公営ギャンブルである競輪事業基金は廃止して、オリンピック種目でもある競輪を、健全で純粋なスポーツ競技として発展させていくことです。

さらに、介護保険財政安定化基金は約18億円、国民健康保険財政安定化基金は16億円も積み立てられています。重い負担となっている介護保険料や国保税の軽減に活用すべきです。

とくに、後期高齢者医療財政安定化基金は、上限規定の50億円を超えて51億4千万円も残高があります。にもかかわらず、基金の活用を渋り、高齢者の保険料が大幅値上げされました。こうした不適切な基金の現状は容認できません。

次に、水道企業会計をみると、市町村に水を供給する水道用水事業は当年度純利益が約15億円の黒字、未処分利益を含む剰余金は40億円になりましたが、令和5年度の3年に一度の水道料金改定において値下げせず、据え置かれたままです。市町村からの値下げ要望に応えるべきです。

これら県民要望に背を向ける一方で、霞ヶ浦導水事業(総事業費2,395億円)に15億6千万円が投入されました。石岡トンネル工事(全長24.7km/うち11.2km完成)が進められる一方、土浦トンネル(11.6km)は着工の目途すら立たず、2030年の完成は現実性がありません。

自民党からは、西浦に加え「北浦の水質浄化も」として堅倉立坑(小美玉市)から北浦に新たな通水工事を求める声が上がったり、国民民主党からは「土浦トンネルができなくても、石岡トンネルが完成すれば試験通水を開始すべき」などの声があるのは、当初計画がもはや破綻していることの現れではないでしょうか。日本共産党は、導水事業からの一日も早い撤退を求めます。

環境破壊の開発と言えば、石炭火力発電所から出た石炭灰を埋め立てる常陸那珂港区整備に45億2千万円を投入。また、住民から反対意見があがる日立セメント太平田鉱山跡地への産廃処分場建設と新規搬入道路の整備に7億8千万円が執行されました。いずれの事業も中止、見直しを強く求めます。

また、原子力行政において、日本原電(株)の東海第二原発再稼働工事で令和5年10月、防潮堤基礎工事に重大な欠陥不良が発覚しました。設計変更作業及び審査は滞っています。老朽原発の再稼働に県は反対し、廃炉を求めるべきです。

以上の立場から令和5年度の決算認定に反対します。

江尻かな県政NEWS 2024年12月号(PDF)