日本共産党茨城県議団ニュース 2020年12月号

県議団ニュース表 県議団ニュース裏

11/25~12/15 県議会第4回定例会報告
コロナ対策優先のとき 霞ヶ浦導水495億円増

日本共産党の山中たい子県議は12月10日の議会予算特別委員会で、いまこそ医療や介護等の従事者に、定期的なPCR検査を自己負担なしで実施するよう知事に要求。さらに、コロナの診療・検査を行う診療所等への県支援金の要件緩和や減収が深刻な医療機関への財政支援を重ねて求めました。

土浦、つくばみらい、利根で緊急検査実施

県が実施したのは、土浦市や水戸市などの福祉施設(58ヵ所)約4,800人の検査であり、今後、つくばみらい市と利根町の福祉施設(15ヵ所)従事者約440人の検査を予定しています。その他の市町村に検査を広げる上でも、医療機関や医師、看護師への支援は欠かせません。

不登校児童生徒への支援 一歩前進へ

また、山中県議は、不登校の子どもたち(県内小中学生で約4,200人)にとって、学校以外の学びの場や居場所が必要だとし、フリースクール等への県の支援を求めました。教育長は、「民間のフリースクールなど、多様な受け皿との連携を強化していく必要がある」として、フリースクールへの財政的支援や生活困窮世帯の児童生徒への経済的支援を十分に検討していくと答えました。

「避難計画ない段階」の原発試運転認めず

山中県議は、東海第2原発で過酷事故が起きた場合の被害を県として試算すべきだと要求。そのうえで、「全国一の人口密集地にある東海第2は再稼働すべき原発ではない」と廃炉を求めました。

知事は、「どのような条件の下で試算するかによって異なり、国のルールがなく県が試算することは不可能だ」と答えました。

また、山中県議は、10年近く停止した原子炉再起動時のリスクを指摘。知事は、「避難計画がない段階で再稼働の決定はあり得ない。試運転についても議論することはない」と述べました。試運転は再稼働前に、核燃料を装着して原子炉を起動して行われます。避難計画がない段階では、試運転でも実施を認めない意向をはっきり示したことは重要です。

霞ヶ浦導水 187億円負担増 事業撤退を

山中県議は、工期が7年延び総事業費が495億円(うち県負担金187億円)増える霞ヶ浦導水事業の計画変更をめぐり、埼玉県や千葉県等が撤退・縮小するなかで、茨城県が早々に同意した姿勢を批判しました。

国の事業でありながら、本県負担額が国より多いのはなぜか。土浦トンネルの地上権設定は0%であり、地権者や用地の調査さえ行われておらず、工期内に完成する根拠があるのか。霞ヶ浦のCODが0.4mgしか低下しない予測に変更されており、工期も事業費も守らない国に対して、これまでの負担金返還を要求し、事業から撤退するよう求めました。

知事は「計画変更は遺憾。治水、利水の両面から必要な事業であり、変更はやむを得ないと判断した」と答えるのが精一杯でした。

※山中たい子議員の質問と答弁(大要)はこちらをご覧ください。

教育環境の充実もとめる請願採択を

江尻かな県議は議会最終日に討論にたち、県民から提出された請願の採択を求めました。コロナ禍のもとで、一人ひとりの学びを保障する教育環境の整備が、切実な願いとなって国を動かそうとしています。

▼唯一特別支援学校にだけない「設置基準」を適切につくり、過密化・大規模化、長時間通学等の解消で、障がいのある子どもたちに安心で安全な教育環境を保障する。▼私学助成を拡充するとともに、私立高校経常費については医学部や難関大学への進学実績等による査定はやめる。▼あらゆる面で教育格差をなくし、今こそ20人程度の少人数学級を展望して予算と教員を増やす。

以上に関わる請願の採択を求めましたが、いばらき自民党などの反対で可決されませんでした。

その他、共産党県議団は、議案2件と2019年度茨城県一般会計、特別会計、公営企業会計決算の認定に反対しました。
反対討論した議案は、▼立地企業への法人事業税と不動産取得税を免除する優遇措置を3年延長、▼県総合福祉会館の管理料を切り下げ、管理者を県社会福祉協議会から株式会社に変更するものです。

茨城県 新型コロナウイルス感染症対策と補正予算

主な対策内容

  • 3月定例会(補正額81億円)
    ○感染症患者入院協力医療機関の空床確保補助
    ○生活福祉資金の貸付原資助成
    ○特別支援学校臨時休業に伴う放課後デイサービス実施補助
    ○PCR検査費自己負担分補助
    ○中小企業融資資金貸付・保証料助成・利子補給
    ○高齢者施設等の個室化改修補助など
  • 4月臨時会(補正額963億3300万円)
    ○休業要請協力金
    ○県独自の中小企業・個人事業主貸付金
    ○県産品販売促進お取り寄せサイト
    ○生活困窮者への就労相談、家賃支給の活用
    ○医療機関や福祉施設への感染症対策と資材配布
    ○県立学校児童生徒へのタブレット配備
    ○学校再開時の学習支援のため非常勤講師拡充など
  • 6月定例会(補正額96億5600万円)
    ○PCR検査センター設置・運営委託費
    ○医療機関の検査機器や人工呼吸器整備への補助
    ○軽症者・無症状者の受入れ施設借上げ
    ○放課後児童クラブ・児童デイの休校中経費補助
    ○ひとり親世帯への特別給付金
    ○妊婦のPCR検査費補助
    ○地域公共交通の運行継続支援など
  • 7月臨時会(補正額459億4700万円)
    ○医療、介護、障害福祉従事者などに慰労金支給
    ○病院や薬局の感染防止対策費用に補助
    ○感染症重点医療機関の空ベッド確保に補助
    ○生活福祉資金貸付を積み増し
    ○家賃等の事業継続経費に補助
    ○中小企業への新規分野進出支援
    ○誘客イベントの誘致
  • 9月定例会(補正額155億7300万円)
    ○「いばらきアマビエちゃん」登録促進
    ○PCR検査の拡充、検査費自己負担分を全額補助
    ○介護・障害者・保育施設等の感染対策経費補助
    ○医療体制の感染対策・相談業務に補助
    ○生活困窮者への家賃支援
    ○学校に業務サポーターを配置
    ○県産水産物を学校給食に提供

12月定例会(補正額445億8300万円)

主な内容は以下の通り (これまでのコロナ対策補正予算総額は約2,200億円)。

  • 検査自己負担分の補助(18億6600万円)
    PCR検査・抗原検査にかかる自己負担分を補助。インフルエンザ流行に備えた検査数の増加に伴う公費負担を増やす。
    ○PCR検査
    222,860件で約13億円
    ○抗原検査
    222,860件で約5.2億円
  • 入院病床の確保(306億6000万円)
    コロナ患者の入院を受け入れる医療機関の空床補償の病床確保料を引上げ、補助対象病床数を増やす。
    ○特定機能病院
    ICU 43.6万円 その他7.4万円
    ○重点医療機関
    ICU 30.1万円 その他7.1万円
  • 入院受入機関の支援(17億2400万円)
    コロナ患者の入院受け入れに伴う医療機関の負担増に対し、新規の支援金を交付。
    ○患者入院延べ日数×20万円
  • 保健所の整備・検討(1億8200万円)
    感染症対策を徹底するため、保健所の整備を実施、検討する。
    ○筑西保健所を筑西合同庁舎に移転するための改修
    ○土浦保健所など老朽化した保健所庁舎の基本計画を策定
    ○医療用資機材保管倉庫の整備
  • 県立学校トイレ洋式化(23億1500万円)
    感染防止対策として、災害時の避難所機能を拡充するため、県立学校のトイレを改修。
    洋式化されていない県立高校70校と特別支援学校9校の普通教室棟と体育館のトイレを2021年度中に改修する計画。
  • 県立高校エアコン整備(32億6000万円)
    感染要因である「3密」の解消と、夏季の熱中症対策として、県立高校の特別教室と体育館にエアコンを整備する。
    ○未整備の特別教室
    (87校・320室)
    ○すべての高校体育館
    (95校・95アリーナ)
  • 感染症対策物品整備(1,200万円)
    災害時の避難所運営や物資搬送などに必要な物品を整備。
    ○避難所用
    マスク 61,500枚
    パーティションテント 500張
    ○備蓄倉庫用
    荷役台(パレット) 30枚
    荷役機器(ハンドリフト) 2台
  • 児童相談所施設改修(1億6600万円)
    ○中央児童相談所の執務室拡張、一時保護所の部屋改修
    ○日立、土浦児童相談所の執務室拡張、相談室の増設
    ○鉾田児童相談所の潮来保健所鉾田支所への移転にむけた相談室の整備など
  • 営業時間短縮要請協力金(4億2000万円)
    県が時間短縮を要請した市町村で、酒類を提供する飲食店 および接待を伴う飲食店のうち、要請期間すべてに協力した事業者に対し、1日2万円・最大28万円を支給する。
  • バス・運転代行事業支援(1億9600万円)
    ○貸切バス事業者(約190社)に対し、車両1台につき10万円を支給。
    ○運転代行業者(約350社)に対し、自動車届出台数に応じて3~20万円を支給。
  • DXイノベーション推進(3億円)
    最先端デジタル技術を活用し、生産性向上や新しい生活様式への対応など、地域課題解決に向けた研究開発プロジェクトを公募・選定(10件程度)し支援する。

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