研究炉運転再開やめよ 原子力機構に共産党議員団が要望 茨城
茨城県内の日本共産党議員団は1月13日、日本原子力研究開発機構が来月に予定する研究炉JRR-3(茨城県東海村)の運転再開をめぐり、原子力機構原子力科学研究所の大井川宏之所長宛てに中止を求め、要望しました。
JRR-3は1962年に国産研究炉として初めて臨界に到達。
原子炉燃料の照射実験などが行われてきましたが、東日本大震災にともなう新規制基準への対応で停止していました。
運転再開へ向け、1月14日から24日まで5キロ圏内の3市村で住民説明会が実施されます。
要望したのは、党県議団(山中たい子議員、江尻加那議員)をはじめ、施設周辺5キロ圏内の東海村、日立市、ひたちなか市の党議員ら。
▽施設の耐震性や危機管理体制などへの懸念▽10年以上停止後の起動時のトラブルへの懸念▽コロナの中での住民説明会で、十分な住民参加が保障されない▽JRR-3実験の有用性が社会的に理解されていない▽国の指針に基づく屋内退避・避難計画が未策定―の5点を指摘しました。
住民説明について、担当者は「ホームページでの説明など、質問を受ける対応を検討したい」と答えました。
(「しんぶん赤旗」2021年1月16日付より転載)
原子炉JRR-3について2月運転再開の中止を求める要請書
2021年1月13日
日本原子力研究開発機構原子力科学研究所
所長 大井川 宏之 様
日本共産党 茨城県議会議員 山中たい子・江尻加那
〃 東海村議会議員 大名美恵子
〃 日立市議会議員 小林真美子・千葉達夫
〃ひたちなか市議会議員 山形由美子・宇田貴子
貴事業所の研究用原子炉JRR-3について、今年2月の運転再開が予定されています。東京電力福島第一原発事故以来、原子炉の安全性が厳しく求められる状況にあり、研究炉であっても放射性物質を環境に放出するリスクはゼロにならず、事故等に対する住民の不安は拭えません。
さらに、現在の新型コロナウイルス感染拡大下において、運転再開に向けた住民説明会の開催は妥当な対応とは言えません。
よって、下記事項を踏まえ、2月の運転再開を中止するよう申し入れます。
記
- 原子炉本体は1990年の初臨界から30年経過し、建家や排気筒、設備の多くは60年以上経っており、大規模地震等に十分な余裕をもって耐えられるのか。また、通常時の安全管理や非常事態における危機管理体制や人材が確立されているのか懸念される。
- 10年以上運転を停止してきた原子炉の起動時は、とくにトラブルが懸念される。
- 運転再開に関する住民説明会を、1月14日~24日に東海村、日立市、ひたちなか市で開催するとしているが、コロナ感染拡大による外出自粛が要請されている状況にあり、十分な住民参加の機会が保障されない。
- 科学技術の進展に対するJRR-3における実験の有用性について、広く周知され、社会的理解が得られている状況にない。
- 国の原子力災害対策指針にもとづき、約5kmの原子力災害重点区域(UPZ)における屋内退避・避難誘導計画が策定されていない。
以上